平成18年度研究報告書 - 長崎能力開発センター

障厚
害生
者労
働
の省
就・
障
労害
移者
自
行
︵立
一支
般援
就調
労査
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︶
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生ト
活
移
行
に
資
す
る
訓
練
プ
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グ
ラ
ム
に
関
す
る
調
査
研
究
厚生労働省・障害者自立支援調査研究プロジェクト
障害者の就労移行
(一般就労)
並びに地域生活移行に資する
訓練プログラムに関する調査研究
やってみようよ。
就労移行支援事業!
や
っ
て
み
よ
う
よ
。
就
労
移
行
支
援
事
業
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2
0
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7
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長
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能
力
開
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ー
能力開発センター 訓練プログラムに関する調査研究 CMYK 山道
2007年3月
第三セクター 職業訓練法人
長崎能力開発センター
背は7mm
(決*平)
は じ め
に
この度平成1
7年1
0月に「障害者自立支援法」が成立し、その改革のポイントの一つとして就
労支援の抜本的強化というテーマが掲げられ、それぞれの分野において色々な転換・変革が試
みられている。そして就労移行トレーニングや就労支援への期待が大いに高まっている。
このような状況の中で、障害者自立支援調査研究プロジェクトとして、
「障害者の就労移行
(一般就労)並びに地域生活移行に資する訓練プログラムに関する調査研究」を第三セクター
職業訓練法人 長崎能力開発センター(以下「当センター」
)においても実施することとなっ
た。
当センターは、昭和6
2年に、知的障がい者の能力開発訓練センターとして開設され、すでに
3
5
7名の修了生を地域に送り出し、9
7.
5%にあたる3
2
9名の就職を決定し、修了生を雇用してい
る事業所数は1
5
0社を超えている。
本書は、1編では当センターで実施している知的障がい者を対象とした職業能力開発(就労
移行)訓練プログラムを分かりやすくまとめ、2編では開設当初から実施している全寮制によ
る生活訓練の必要性や訓練プログラムを、3編ではトレーニングの成果を上げるためには不可
欠となる定着支援についても事例を中心に報告している。
さらに、訓練の実際を画像を通して伝えるためのプレゼンテーションと、各種訓練にすぐに
活用できるような資料(原本)を添付している。
サブテーマを「やってみようよ。就労移行支援事業!」として取り組み、これから就労移行
支援事業や就労支援の分野に挑戦しようとしている方々の現場で役立つ参考書及び活力源にな
れれば幸いと願っている。
平成1
9年3月
第三セクター 職業訓練法人
長崎能力開発センター
理事長
田 島 良 昭
C O N T E N T S
目次
はじめに ……………………………………………………………………………………………………… 1
第1編 就労移行(職業能力開発)訓練プログラム
第1章 総論 ………………………………………………………………………………………………… 4
第2章 2年間の訓練プログラム …………………………………………………………………… 6
第1節 導入訓練期 ……………………………………………………【1学年4月∼5月】 8
第2節 基本訓練期 ……………………………………………………【1学年6月∼9月】 10
第3節 応用訓練期! …………………………………………………【1学年10月∼3月】 12
第4節 応用訓練期" …………………………………………………【2学年4月∼9月】 15
第5節 実習訓練期 ……………………………………………………【2学年10月∼3月】 17
第3章 長崎能力開発センターの実践例 …………………………………………………………… 19
第1節 導入訓練期 …………………………………………………………………………… 19
第2節 基本訓練・応用訓練期 …………………………………………………………… 22
第3節 進路指導 ……………………………………………………………………………… 31
第4章 訓練効果を高める方法 ……………………………………………………………………… 37
第1節 評価・奨励金 ……………………………………………………………………… 37
第2節 考 査 ………………………………………………………………………………… 40
第5章 まとめ …………………………………………………………………………………………… 44
2
第2編
一般就労するための生活訓練プログラム
第1章 総 論 …………………………………………………………………………………………… 45
第2章 2年間の訓練プログラム …………………………………………………………………… 47
第1節 導入訓練期 ……………………………………………………【1学年4月∼5月】 49
第2節 基本訓練期
(個別指導)……………………………………【1学年6月∼8月】 52
第3節 基本訓練期
(習慣化) ………………………………………【1学年9月∼3月】 54
第4節 応用訓練期
(個別指導)……………………………………【2学年4月∼6月】 57
第5節 応用訓練期
(コース別)……………………………………【2学年7月∼9月】 59
第6節 実習訓練期 ……………………………………………………【2学年10月∼3月】 63
第3章 学習指導 ………………………………………………………………………………………… 66
第4章 余暇活動 ………………………………………………………………………………………… 69
第5章 進路指導 ………………………………………………………………………………【2学年】 71
第6章 評価・考査 ……………………………………………………………………………………… 75
第7章 今後の課題点 …………………………………………………………………………………… 77
第8章 まとめ …………………………………………………………………………………………… 84
第3編
定着支援のあり方
はじめに ……………………………………………………………………………………………………… 85
第1章 長崎能力開発センターの定着支援 ……………………………………………………… 85
第2章 定着支援の実態 ………………………………………………………………………………… 87
第3章 事例(1
8期生の定着支援) ………………………………………………………………… 92
第4章 まとめ …………………………………………………………………………………………… 101
最後に ………………………………………………………………………………………………………… 102
資料編
!就労移行支援事業訓練プログラム(プレゼン) ……………………………………………… 105
!生活訓練プログラム(プレゼン) ………………………………………………………………… 111
!平成1
8年度 障害者保健福祉推進事業等事業実施計画書 ………………………………… 115
!プロジェクトメンバー
……………………………………………………………………………… 1
1
7
3
第1編
就労移行(職業能力開発)
訓練プログラム
第1章
総
論
長崎能力開発センター(以下「当センター」
)は昭和6
2年に知的障がい者を対象として、そ
の特性に応じた能力開発訓練を行うことにより、就労及び雇用促進を図ることを目的に設置さ
れました。知的障がい者の雇用・訓練について十分なノウハウを持つ民間企業等と地方公共団
体とが一体となった第三セクター方式によって、設置運営されております。
知的障がいを持つ方々は、種々のハンディーを背負ってはおりますが、職業能力を開発する
ための適切な訓練を受け、地域社会での支援体制を整備することにより、
「私も働きながら、
自立した生活をしたい」という思いを実現させたいと願っております。
一般就労し継続して働くための能力開発訓練
職業能力開発訓練
(職業訓練)
訓練科目
●麺製造科(素麺)
●畜産科 (養豚)
4
生活能力開発訓練
(生活訓練)
全寮制
● アガペ寮(1学年)
● カナン寮(2学年)
1学年2
0名定員、2学年合わせて4
0名が2年間の訓練期間で一般就労を目指し職業訓練、生
活訓練のトレーニングを行っています。
職業訓練では、一般就労を目指し、職業意識・職業基礎習慣・職業技能を身につけるため、
系統立てられた2年間のプログラムに基づきトレーニングを行っています。
当センターは毎年「修了生の実態調査」を実施しています。修了生が就職している事業所か
らのアンケート調査結果より、求められる職場定着の鍵を考察し、訓練の方針に取り入れてい
ます。
事業所は、労働意欲や素直さ、周りの人との人間関係、責任感、集中力など、職業技能より
も職業意識を最も求めていることが今までの実態調査からも明らかになっています。もちろん
職業技能が不必要というわけではありません。
2年間の職業訓練のなかで、職業基礎習慣を身につけ、職業技能を高めていきながら、職業
意識をどう身につけていくのか、これから、説明を行っていきたいと思います。
5
第2章
2年間の訓練プログラム
1 2年間のスケジュール
当センターでは2年間という期間限定でトレーニングを行います。限られた2年間を有効か
つ効果的にトレーニングを行うために、職業訓練では5つの期(導入訓練期、基本訓練期、応
用訓練期!、応用訓練期"、実習訓練期)に分かれています。これは、一般就労を目指す上で、
系統立てて指導していくことが訓練効果を高めるためです。訓練生は一度に多くのことを習得
することが難しいため、一つひとつ段階を追って指導していきます。
職業訓練のカリキュラム(2年間)
1学年
4月
6月
導入訓練
1
0月
基本訓練
1月
3月
応用訓練①(1学年)
(1月∼3月)
(1
0月∼1
2月)
1)
各科へ配属
1)ラポート作り
1)
1学年だけの各科訓練となる
1)
基本的技能、技術の確立
2)
基本的労働習慣
2)基本動作の訓練
(判断力、持続性、巧緻性、 (さらなる技術、機敏性、持続
(挨拶、返事、
報告) (定時出勤、礼儀、衛生面、健康
性のレベルアップ)
責任感)
管理、安全面、意志交換、協調性)
3)個別の能力把握
進級考査
1学年だけでの各科訓練が 2)
3)
2学年によるピアカウンセリング 2)
多くなる(職業に対する意 (2月・個人課題、精神面での
4)
中間考査
※体力測定
強化を図る)
識付け)
移動キャンプ
導入訓練考査
2学年
4月
6月
応用訓練②(2学年)
1
0月
3月
実習訓練
1)
職場実習
1)職場実習に向けた (6月∼9月)
2)
ジョブトレーナー(各職場での職業面の把握、及び指導)
1)
体験実習
意識付け、訓練
(生産性、対人関係(協調性)
、職
2)進路相談
業知識、職業意識の強化)
実習中の状況を正確に把握し、個々の持つ課題を追指導を行う
3)職調べ、職探し
4)体験実習
5)職場見学
訓練生の指導をする際に大切なことは、!学ぶ段階、"定着する段階があることです。2年
間で職業意識・職業技能・職業基礎習慣を身につけるわけですが、できるようになっても定着
し続けなければすぐに元の状態に戻ってしまいます。各期によって重点的に指導することは異
なってきますが、学んだから終わりなのではなく、常に定着し続けているのかチェックが必要
です。
6
2 訓練生のタイムスケジュール(1週間及び1日)
訓練生の1週間及び1日をどのように訓練しているのかタイムスケジュールの例を示します。
企業では1週間に5日または6日勤務、1日8時間労働が基本です。訓練生は月曜日から土曜
日の午前中まで、1日8時間働きます(土曜日は午前中のみ)
。また、通常勤務帯以外にも早
出や遅出なども行い、労働時間に合わせて自己調整することができるような指導も行います。
主な1週間の訓練生のスケジュール
8:4
5
∼
月
火
水
木
金
土
職業訓練
職業訓練
職業訓練
職業訓練
職業訓練
職業訓練
職業訓練
体育訓練・
職業学習
1
2:0
0
∼
1
7:0
0
職業訓練
職業訓練
職業訓練
職業訓練
日
休日日課
1日のスケジュール
時間
普
通
日
課
6:0
0
起床・洗面・着替え
6:2
5
自主トレーニング(ジョギング等)
7:2
0
朝食・掃除
8:4
5
職業訓練開始
1
7:00
職業訓練終了
1
7:30
筋力トレーニング等
1
8:30
夕食
1
9:00
入浴・洗濯・出勤準備・自由時間(サークルがある人は参加)
2
2:00
就寝
※7時早出者は7時に出勤、6時早出者は6時に出勤できるよう準備する。
7
第1節
導入訓練期(1学年4月∼5月)
1 目 的
いよいよ訓練の始まりです。この時期は訓練生が当センターの生活にスムーズに導入を図る
ことを目的としています。導入訓練期は職業前訓練であり、まだ各科(麺製造科・畜産科)に
配属せずに、環境整備や基本動作訓練(ラジオ体操・行進、姿勢、挨拶、返事等)を中心に行
います。本人の能力を把握し、仕事をする上で基礎となる部分を教える時期となります。また、
これから2年間の訓練を受ける上で職員や先輩とのラポート(信頼関係)を作る大切な時期と
なります。
1)新入生同士と先輩(2学年)及び職員とのラポート形成
2)基本動作訓練
3)全般的な意識と能力のチェック
2 指導のポイント
1)新入生同士と先輩(2学年)及び職員とのラポート形成
入校した訓練生は初めて親元から離れる人も多く、不安がいっぱいです。そんな中で新入
生同士や先輩である2学年、職員とのラポート(信頼関係)が今後2年間の訓練を成し遂げ
ていく上で非常に大切になってきます。この時期には、まず職員と訓練生が一緒に作業した
り、先輩との交流、キャンプなどの行事を通して信頼関係を築いていきます。
歓迎遠足
8
交流会
2)基本動作訓練
基本動作訓練とは、ラジオ体操、行進、挨拶、報告、言葉遣い(敬語等)
、道具の使い方、
環境整備など基本的な動作一つ一つを教えていきます。これは職場で働く上で、最も基礎的
な部分であり、実際に各科に配属される前にしっかりと定着できるように全体・個別指導し
ます。
ラジオ体操
環境整備
3)全般的な意識と能力のチェック
さまざまな作業を通して、本人の職業能力がどの程度あるのか、評価します。評価は各月
の奨励金や各期の考査で行います。詳しくは第4章をご覧ください。導入訓練期での評価ポ
イントは以下の通りになります。
導入訓練期
評価チェックポイント
! 出勤準備ができている(作業、帽子、靴、タオルなど)
" 時間を守れる(時間の意識)
# あいさつ・返事・報告ができる(言葉遣い、質問など)
$ 安全に作業ができる(危険性の認識)
% 道具の使い方・管理の仕方(大切に使う、準備、片付け)
& 落ち着いて作業に取り組める(情緒、安定感)
' 正確にていねいに作業ができる(確実性)
( 続けて作業ができる(持続性)
) 素早く作業ができる(機敏性)
* 他の人と協力して作業ができる(協調性)
この評価チェックポイント以外にも個々に課題がある場合は、個別課題として評価の対象
に加えます。
9
第2節
基本訓練期(1学年6月∼9月)
1 目 的
この時期は、実際に各科(麺製造科、畜産科)
基本訓練期
指導割合
に配属され、作業を覚えていく段階です。本格的
な作業訓練に入りますが、まずは技術的なものよ
職業基礎習慣
りも、職業基礎習慣の指導・確立を重点に目指し
ます。基本訓練期の約半分は職業基礎習慣の指導
職業意識
職業技能
になっていることが分かります。また、2学年か
ら指導を受けることでピアカウンセリングの効果
も期待されます。
1)職業基礎習慣の指導・確立(定時出勤、礼儀、衛生面、安全面、意思交換、協調性)
2)2学年によるピアカウンセリング
2 指導のポイント
1)職業基礎習慣の指導・確立
職業基礎習慣は、定時出勤、礼儀、健康管理等、仕事を継続して行うための大切な習慣で
す。実際の職場と同じような職業訓練科に配属し、仕事を通して基本的労働習慣の指導・定
着を目指します。
職業基礎習慣の指導例
具
!定時出勤
"礼
儀
体
的
な
項
目
長崎能力開発センターでの指導方法
出勤準備(制服、作業服)の習慣
出勤準備リストを作成し、チェックする
時間に対しての意識行動
各科にタイムカードを利用し出勤時、帰る時
にそれぞれ使用し、時間の意識を習慣づける
休み(静養、受診)の自己申請の習慣
自分で申請用紙に記入し、各担当職員へ申請
するよう習慣づける
挨拶、返事、報告の習慣
各科で本人達が言えるようなセッティングを
し、1つの作業が終わったら報告するよう習
慣づける
上司に対してのけじめある言動の習慣(敬語) 現場等に敬語の一般的な言葉遣いを掲示する
#衛 生 面
1
0
身だしなみに対しての意識行動
出勤前には鏡で身だしなみチェックを行う習
慣づけをする
!衛 生 面
"健康管理
#安 全 面
$意思交換
%協 調 性
作業現場の整理整頓、清掃(ロッカー、各場所にプレートを貼り、それに責任者の名
更衣室、休憩所、トイレ、機械等)
前を書き、責任持って取り組めるような習慣
づけをする
清潔な作業服及び身体の自己管理(洗
浄、殺菌)
麺製造科−手の消毒の徹底、鏡の前で殺菌剤
の使用
服薬の自己管理と意識行動
薬を飲んだ時は飲み終えた袋を必ず職員に見
せ確認してもらう習慣をつける
時節に応じた作業服の調整の習慣(皮
膚病対策)
時節に応じた作業服(夏、冬、春秋用)を揃
え季節や時間帯に合った着方の習慣づけ
道具、機械等の適切な操作習慣
マンツーマン指導により機械操作の手順を確
実にマスターさせ、同時に危険性も知らせる
機械操作の取り扱い者とその機械の掃
除担当者(責任者)を決める
担当者を決め普段から機械をよく理解させて
おきその危険性も認知させておく
自分の気持ちを素直に表現する習慣
定期的に訓練生と話す機会を設け相談、選択、
決定の機会を増やす
わからない時、相談したい時は自分か
ら声をかける習慣
訓練の中で様子を伺いその都度相談、聞き取
りをし徐々に話しやすい状況にしていく
休憩時間の有効利用
仕事や趣味の話をするなど会話をする場面を
増やす
お互いが協力し合いながら作業を行う
習慣
職業訓練での仕事の役割を明確化し、その役
割をきちんと果たすことで周りに迷惑をかけ
ないよう取り組む
2)2学年によるピアカウンセリング
1学年と2学年が一緒に働くことで、2学年から1学年への助言などを行える環境を作り
ます。1学年は先輩の姿を見たり、教えてもらったりしながら、仕事を学んでいきます。他
に、2学年の様子を見ることで、1学年は1年後の自分の姿をイメージができることも大き
な特徴です。将来的な姿をイメージしにくい訓練生にとって、言葉で説明されるよりも、2
学年の姿を見るほうがより、具体的なイメージを作ることができます。そして、先輩のよう
になりたいなど目標になり、意欲や向上心にもつながる存在となります。
先輩の指導
先輩の指導
1
1
また、2学年は1学年に教えることで、職業基礎習慣の再確認や責任感等の職業意識を高
めることができます。
基本訓練期
評価チェックポイント
出勤準備(出勤の準備が確実にできる)
時間の意識(出勤時間、休憩、作業開始の時間を守れる)
職
業
礼儀・挨拶(挨拶、返事がきちんとできる。言葉遣いがていねいである)
意思交換(作業に関しての報告、質問ができる。指示の理解の意思表示)
基
衛生観念(作業服、制服、手洗いなどが衛生的である)
礎
掃除(作業場の掃除、後片付けが積極的に取り組める)
習
慣
規律(作業場内のルール、規律を守れる)
安定性(休まずに出勤できる。精神的に安定して、作業を続けることができる)
安全性(安全に作業ができる。危険物を確認できる)
道具に対する意識(道具を大切にする。準備・後片付けがきちんとできる)
積極性
作業態度が積極的で、意欲的である。
職
責任感
作業態度に責任感がある。
業
忍耐力
いやな仕事でも我慢強く作業ができる。
意
協調性
他の人とトラブルを起こさずに作業ができる。
識
向上心
目標に向かって努力する。
緊張感
作業と作業以外の区別ができる。(けじめのある行動ができる)
職
業
技
能
確実性
作業が確実に正確にできる。
作業が丁寧にきれいにできる。
持続性
集中して作業ができる。
(よそ見をしない)
機敏性
設定時間内に作業を終わらせることができる。(時間の意識)
第3節
応用訓練期!(1学年10月∼3月)
1 目 的
基本訓練期が終わり、いよいよ応用訓練期に入
応用訓練期!
指導割合
ります。この時期は基本的労働習慣に加え、職業
意識や職業技能の指導を重点に置き指導していき
職業基礎習慣
ます。2学年が職場実習などセンター外での訓練
に入るため、1学年だけでの作業となってきます。
これまで、2学年に頼ってきた1学年は仕事を任
1
2
職業意識
職業技能
せられることも増え、職業意識や職業技能の向上にとてもよい時期となります。
1)職業意識に対する指導
2)職業技能に対する指導
2 指導のポイント
1)職業意識に対する指導
職業意識とは、仕事に対する意識、意欲、集中力を表します。訓練生に指導する上で最も
難しく、定着が難しいものです。職業意識を育てていくためには日々の積み重ねが必要であ
り、本人の気持ちにどのように働きかけていくのかは訓練生ごとに違います。指導者は、成
長できる環境や時期をしっかりと見極め、的確に言葉がけをすることが求められます。
職業意識の指導例
具
!意
体
的
な
項
目
識 『仕事とは』に対しての意識の変革
義務感、責任感に対しての意識の養成
「なぜ働くのか」
についての意識の習慣
"意
欲
・自発的、積極的な取り組みと習慣
・目的意識の向上
・向上心の養成(達成感と次への目的
意識)
#集 中 力
・自分に課せられた持ち場を精一杯や
り通す習慣の確立
・労働時間をフルに活用する姿勢の習
慣
指
導
方
法
・五つの項目を通常の麺製造科、畜産科にお
ける訓練の中で職員が常に意識し訓練生
個々に応じ的確に指導を行う。
・訓練生の成長期を逃さずに効果的に活用す
る
$ 考査時期
考査に合格したい、2学年になりたい
という意識、気持ちを大切にする
% 1学年のみでの作業を始める時期
上手になりたい、任せられたいという
意識、意欲を大切にする
& 2学年が職場実習に行く時期
実習に行きたいという意識、意欲を大
切にする
・無駄話、無駄な行動に対しての規律
的意識の習慣
2)職業技能に対する指導
職業技能とは、確実性、機敏性、持続性のことをさします。早く、確実に、継続して仕事
をすることは、どこの職場にも求められることです。技能を中心に一つ一つ丁寧に根気強く
指導していきます。
1
3
職業技能の指導例
具
!確 実 性
的
な
項
目
長崎能力開発センターでの指導方法
丁寧に取り組む習慣
作業内容、機械操作をマンツーマン指導によ
り確実にマスターさせる
決められたやり方できちんと取り組む
習慣
訓練の中で声かけ、アドバイスを行い普段か
ら丁寧さの意識の強化を図る定期的な個別
チェックを行い改善点をアドバイスする
移動は駆け足でする習慣
3歩以上は駆け足の習慣をつける
設定タイム内で取り組む習慣
定期的なタイム測定を行い時間の意識付けを
行う
手指を素早く動かす習慣
設定時間を決めその時間までに作業が終了す
る様習慣づける
1日を通し最後まで取り組む習慣
担当作業を決め最後までやり通す習慣をつけ
る
8時間労働に耐えうる体力の強化を作業後
(夕方の体力トレーニング)の時間に利用し
行う
集中力を維持し続けて取り組む習慣
集中力が途切れないよう声かけを行い、又一
人2つ以上の機械操作(担当)を決め責任を
持って取り組む環境(雰囲気)をつくり本人
の意欲を出させる
"機 敏 性
#持 続 性
応用訓練期!
職
業
基
礎
習
慣
体
評価チェックポイント
礼儀・挨拶・意思交換(挨拶、返事、作業報告・質問、言葉遣い、指示の理解の意思表示)
衛生観念(作業服、制服、手洗いなどが衛生的である)
規律(作業場内のルール、規律を守れる。出勤時間などの時間の意識がある)
安定性(休まずに出勤できる。精神的に安定して、作業を続けることができる)
安全性(安全に作業ができる。危険物を確認できる。道具・機械類を安全に使える)
積極性
作業態度が積極的で、意欲的である。
自主的に作業に取り組める。
職
責任感
任せられた作業、自分の担当作業を責任持ってやり遂げることができる。
業
忍耐力
いやな仕事でも我慢強く作業ができる。注意されても安定して作業ができる。
意
協調性
識
就職をしたいという意識がある。自らを高めようとし、目標に向かって努力をする。
緊張感
作業と作業以外のけじめのある行動ができる。真剣に作業に取り組むことができる。
職
持続性
技
能
機敏性
応用力
1
4
上下関係を理解した行動がとれ、指示、注意を素直に受け入れることができる。
向上心
確実性
業
他の人とトラブルを起こさずに、他の人と協力して、作業ができる。
作業が確実に正確にできる。作業が丁寧にきれいにできる。
道具・機械・設備類を決められた通り、正しく操作することができる。
集中して作業ができる。(よそ見をしない)
8時間、持続して作業に取り組める。
設定時間内に作業を終わらせることができる。(時間の意識)
動作が機敏に正確にできる。
作業工程の技術度が高い。
第4節
応用訓練期!(2学年4月∼9月)
1 目 的
いよいよ、2学年となりました。これまでは後
応用訓練期②
指導割合
輩だった訓練生も新しい1学年が入ることにより、
先輩となります。これまで以上に意識や技術が求
職業基礎習慣
められ、進路を意識する大切な時期です。この時
期には職場見学や体験実習など、視点を外に向け
職業意識
職業技能
だし、具体的に進路が考え出す時期となります。
1)職場実習に向けた意識付け・訓練
2)職場見学
3)体験実習
2 指導のポイント
1)職場実習に向けた意識付け・訓練
これまでは、当センターでの訓練を行ってきましたが、実際の職場での体験実習に向けた
取り組みが始まります。これまで職業意識・職業基礎習慣・職業技能を中心に訓練を行って
きましたが、それを職場実習でしっかりと活かせるように再度心構えを伝えます。特に個別
の課題がある人に関しては、各科訓練の中で集中的に指導していくことが大切になってきます。
2)職場見学
訓練生はセンター以外の職場を具体的にイメージしにくいため、職場見学を通して、実際
の職場がどうなっているのかを見ます。今後、実習・就職をすることに対する意識を高め、
訓練に対するやる気をアップさせることにつながります。
3)体験実習
職場体験実習はこれまでセンターで訓練を受けてきたことをセンター外の職場で活かせる
か確認します。職場で実際どこまで適応できるのか評価し、課題が見つかったところをセン
ターで再訓練します。あくまでも就職に向けた実習ではなく、職場でのトレーニングとして
行います。
1
5
体験実習までの流れ
職場事前指導
・職場見学
センターでの
再トレーニング
職場体験学習
・個別課題の指導
・実習に対する心構えの指導
課題点の把握
体験実習先の例
・製麺工場
・しいたけ農園
・ばれいしょ農園
・食肉加工場
・弁当製造工場
応用訓練期!
職
業
基
礎
習
慣
等
評価チェックポイント(体験実習前)
礼儀・挨拶・意思交換(挨拶、返事、作業報告・質問、言葉遣い、指示の理解の意思表示)
衛生観念(作業服、制服、手洗いなどが衛生的である)
規律(作業場内のルール、規律を守れる。出勤時間などの時間の意識がある)
安定性(休まずに出勤できる。精神的に安定して、作業を続けることができる)
安全性(安全に作業ができる。危険物を確認できる。道具・機械類を安全に使える)
積極性
作業態度が積極的で、意欲的である。自主的に作業に取り組める。
職
責任感
任せられた作業、自分の担当作業を責任持ってやり遂げることができる。
業
忍耐力
いやな仕事でも我慢強く作業ができる。注意されても安定して作業ができる。
意
協調性
他の人とトラブル、他の人と協力性、上下関係の理解、指示・注意を素直に聞ける。
識
向上心
就職をしたいという意識がある。自らを高めようとし、目標に向かって努力をする。
緊張感
作業と作業以外のけじめのある行動ができる。真剣に作業に取り組むことができる。
確実性
職
業
作業が確実に正確にできる。作業が丁寧にきれいにできる。
道具・機械・設備類を決められた通り、正しく操作することができる。
集中して作業ができる。
(よそ見をしない)
持続性
8時間、持続して作業に取り組める。
作業を維持するための、体力がある。
技
能
設定時間内に作業を終わらせることができる。(時間の意識)
敏感性
動作が機敏に正確にできる。
全体の作業の流れ、機械の流れに合わせて、作業することができる。
応用力
1
6
作業工程の技術度が高い。周りに配慮しながら、作業に取り組める。
応用訓練!
評価チェックポイント(体験実習)
時間の意識(遅刻せずに出勤できる。実習先の勤務時間、休憩時間が守れる)
職
業
基
礎
習
慣
礼儀・挨拶(実習先での挨拶、返事がきちんとできる。言葉遣いが丁寧にできる)
意思交換(実習先で必要な報告、質問ができる。指示の理解の意思表示をする)
衛生観念(作業服、手洗いなどが衛生的である。実習先で求められる衛生管理が守れる)
規律(実習先の職場のルール、規律、就業規則を守れる)
安定性(休まずに出勤できる。職員がいない状態で、安定して作業を続けることができる)
安全性(実習先で危なくないように作業ができる。危険物を確認できる)
職
業
意
識
職
業
技
積極性
実習先での作業態度が積極的で、意欲的である。
責任感
任された作業、自分の担当作業を責任持ってやり遂げることができる。
忍耐力
いやな仕事でも我慢強く作業ができる。注意されても安定して作業ができる。
協調性
実習先での人間関係をうまく保てる。実習先で可愛がられる存在である。
実習先での指示注意を素直に聞くことができる。
向上心
就職したいという意識がある。実習先に慣れようと努力する。
緊張感
真剣に作業に取り組むことができる。緊張感を持って職場実習に取り組める。
確実性
持続性
機敏性
能
応用力
実習先での作業が正確に丁寧にできる。
実習先で求められる確実性を達成できる。
実習先の勤務時間内、集中して作業が持続できている。
実習先の作業動作が機敏にできる。
実習先の作業の流れ、機械の流れに合わせて、作業することができる。
実習先の作業工程の技術度、技能度が高い。
第5節
実習訓練期(2学年10月∼3月)
1 目 的
体験実習を終え、実際の職場での課題の把握が
実習訓練期
指導割合
終わり、再トレーニングも行いました。この時期
では、個々の性格や能力に合わせ、実際に就職を
職業基礎習慣
目指した実習を行います。指導の割合も最終確認
として3点全て重点的に行います。具体的な進路
職業意識
職業技能
指導については第3章で示します。ここでは、職
員も実際に職場に出向き、状態を把握しながら仕
事がスムーズにいくようサポートします。
1
7
1)職場実習
2)ジョブトレーナー(各現場での職業面の把握、指導)
2 指導のポイント
1)職場実習
いよいよ就職を前提とした職場実習が始まります。職場実習では、今後本当にその人がそ
の職場で就職し続けていけるのかを把握します。評価基準は体験実習で使ったものと同じで
すが、職場訪問を通して企業からの指摘や要望などをすぐにキャッチし、個別に指導が必要
となります。
2)ジョブトレーナー
ジョブトレーナーは実習の導入期には訓練生と一緒に職場に入り、一緒に作業しながら、
本人に仕事を教えます。また、職場の人に訓練生の性格や障がい特性を伝え、より実習が円
滑に進むようにサポートします。職場内に訓練生をサポートしてもらえるキーパーソンを見
つけることも大切です。ジョブトレーナーは徐々に訪問回数を減らし、職員がいなくても仕
事ができるように指導していきます。
ジョブトレーナーの仕事例
! 訓練生の適した仕事や希望の把握
" 職場開拓・連絡調整(仕事内容の把握、訓練生についての説明、日程調整等)
# 訓練生へ実習の説明・職場面接
$ 職場にて訓練生への直接指導(職員との関係調整も含む)
% 定期的な職場訪問と評価
1
8
第3章
長崎能力開発センターの実践例
ここからは、各期で行っている長崎能力開発センターの実践例を紹介します。
第1節
導入訓練期
導入訓練期
基本訓練・応用訓練期
実習訓練期
(進路指導)
導入訓練期は全般的な能力の把握と基本動作訓練を行うと2章で説明しました。当センター
で行う導入訓練の特徴的なものとして移動キャンプがあります。
1)移動キャンプの目的
移動キャンプとは、3泊4日で訓練生が4人1グループに分かれて、協力しながら目的地
まで移動します。一人ひとり役割を決め(班長、住居主任、食事主任、保健主任)
、自主性
や協調性を育てます。導入訓練考査(第4章参照)の一環として行います。
移動キャンプの目的
・各個人の自主性を引き出し、又グループ行動をすることで協調性を認識させる
・グループの一員として自分の役割を果たす
・衣食住の大切さやありがたさを体感する機会とする
・道具を大切に扱うことにより物を大切に扱う心を育てる
1
9
2)移動キャンプの内容
! 地図を使って、歩行や公共交通機関を利用し、目的地まで移動する
地図を使っての移動
公共交通機関の利用
" それぞれの役割をしっかりと果たす
各役割の仕事例
班長
! 班全体の責任者(リーダー)として、班全体をまとめる
" 指示書・地図を持つ
# 班全体の報告をする(出発・到着など)
$ 移動の時、歩くスピードを決める
% お金の管理をする(電話代、交通費、ジュース代)
食事主任
! 食事作りの時、リーダーとなって行動する
" 食事作りの道具・備品を責任もって管理する
# 食料品を責任もって管理する
$ 食事作りの道具、備品が全部そろっているかチェックし、報告する
住居主任
! テントを建てる時、リーダーとなって行動する
" テントの備品を責任を持って管理する
# テントの備品が全部そろっているかチェックし、報告する
保健主任
! 班全員の健康チェックをする
" 起床時に班全員の体温を測り、チェック表に記入する
# 班員がケガをした時は手当てをする
$ 救急袋を責任持って管理する
等
2
0
# テント張り、食事作りなど生活に必要なことは全て自分達で行う
テント設営
調理
$ グループで話し合いをし、よりグループ行動が円滑に進むように協力する
ミーティング
話し合い
移動キャンプの評価チェックポイント
! 他の班員と協力できている
" 班の中で自分の役割を果たすことができる
# 道具などの管理、扱いがきちんとできる
$ やる気を持って、一生懸命取り組めている
% 時間を守れる、ケジメのある行動ができる
2
1
第2節
基本訓練・応用訓練期
導入訓練期
実習訓練期
(進路指導)
基本訓練・応用訓練期
基本訓練・応用訓練期では下図のように、各科訓練と共通訓練に分かれます。各科訓練では
麺製造科と畜産科に分かれ、職業訓練を受けます。将来これらの職業に就職するための技術を
習得する目的ではありません。あくまで訓練の教材であるため、どんな人を育てたいのか、ま
た地域性などを考慮して選択することが求められます。
共通訓練は各科訓練が終わった夕方や夜、土曜日の午後を使って行います。体力増進や、働
く上で必要な知識などを学びます。
基本訓練・応用訓練の内容
各 科 訓 練
麺製造科
共 通 訓 練
畜 産 科
体育訓練
・筋力トレーニング
・サークル活動
サッカー
陸 上
和太鼓
職業学習
・基礎学習
安 全
言葉遣い他
・進路職業学習
給 料
面 接 他
1 各科訓練
1)麺製造科
! 麺製造科の特徴
麺製造科では手延べそうめん作りを行っています。手延べそうめんは地元島原の地場産
業であり、多くの人たちに馴染み深いものとなっています。製麺工場では実際の企業によ
り近い環境を作り、1日4
0
0"のそうめんを製造しています。
2
2
そうめん作りはたくさんの工程を含んでいるため、訓練生の能力にあわせて訓練するこ
とができます。また、そうめん作りは毎日同じ工程で行われるため、訓練生にとってはと
ても分かりやすい環境といえます。また、そうめんは生き物と同じで指示通り行わないと
良いものはできません。生き物を扱うように丁寧に扱い、熟成に遅れないように素早く取
り込むなど集中力、確実性、機敏性などの訓練効果も期待できます。
" 麺製造科に向いている人(育てたい人)
・集中力がない人
そうめん作りは集中して作業することが求められるた
め、集中力を育てることに有効。
・手先の器用さを育てたい人
手延べ作業(麺を伸ばす)等手先の器用さが必要とな
る。手先の器用さを活かす、能力を伸ばすのに有効。
・協調性がない人
集団で作業し、協力して作業することも多くあるため、
協調性やコミュニケーション能力を伸ばすなどに有効。
また、常に職員の指導が必要な人にも有効。
# 麺製造科の一日の流れ
次ページ参照
【資料 麺製造科1学年の動き 参照】
【資料 麺製造科2学年の動き 参照】
2)畜産科
! 畜産科の特徴
畜産科では母豚8
0頭、総頭数約8
0
0頭の SPF 豚(清浄豚)の飼育管理の工程を通して職
業訓練を行います。SPF 豚専用の広大な敷地の中で、体全体を使った訓練が中心となりま
す。
また、畜産は動物を育てる仕事です。知的に障がいのある訓練生の『仕事は楽しいもの
だと感じる心』を育てることは非常に難しいことです。餌をやり、豚舎の掃除をし、豚を
育てていく畜産科の仕事は楽しさややりがいを感じやすく、動物に愛着を持つことによっ
て仕事に対する責任感を育てることに有効です。
2
3
! 畜産科に向いている人(育てたい人)
・基礎体力がない人……一輪車で堆肥を運搬するなど体力の強化に有効。また作業時間
の単位が長い(豚舎の清掃6
0分)ため、持続力を育てるのに有
効。
・手先が不器用な人……体全体を動かす仕事が多く、手先が不器用な人でも作業ができ
る。
・積極性がない#
%
・責任感がない$………各豚舎の担当を持たせることで意識の向上・責任感を育てるの
%
に有効。
・依存心が強い&
" 畜産科の一日の流れ
次ページ参照
2
4
めん せい ぞ う か
しゅっ きん
くん
れん
こう
てい
訓練工程
めんせいぞう か
じ もと
じ
こう てい
こう てい
らく えん き こう てい
こう てい
1 出勤(訓練開始)
くん れん かい し
2 粉入れ工程
こな い
3 ミキサー工程
4 楽延機工程
5 イタギ工程
6 自動巻き工程
じ どう ま
こう てい
出勤してタイムカードを押
し、その後、更衣室で作業
服に着替えて工場へ
新粉4袋、再生粉1袋を準
備し、こぼさないようにミ
キサーに入れる。
よく混ぜ合わせた粉に塩水
を入れ3
0分程こねる。
水分量は粉に対し約4
6%
ミキシングされた麺魂に圧
力をかけながら水分を均一
化し脱気する。
切断された麺帯をローラー
にかけ、厚みを整え円筒状
にしタライにとる。
カケバ工程の準備工程で太
さを均一に細くし、別のタ
ライに渦状に移す。
ば さんぎょう
麺製造科では、地元の地場産業で
て
の
そうめん
せいぞうこうてい
ある「手延べ素麺」の製造工程を
とお
しょくぎょうくんれん
おこな
通して、職業訓練を行います。
せいめんこうじょう
じっさい
たて わ
製麺工場では、実際の企業により
ちか
かんきょう
つく
さまざま
こうてい
旗に干した素麺が密着しな
いように、再度、鋼管で上
下に分けていく。
き
近い環境を作り、様々な工程の機
かいるい
そう さ
くんれん
こう てい
1
2 従割り工程
き ぎょう
はた ほ
こう てい
て
1
1 旗干し工程
の
こう てい
1
0 手延べ工程
延ばした素麺の節をずらさ
ないように、旗の上下の穴
に差し干していく。
麺を引き延ばしながら、鋼
管で上下に広げ、最終的な
細さまでする工程。
こう てい
むろ ばこ じゅく せい こう てい
こう てい
9 小引き工程
こ
び
8 室箱熟成工程
7 カケバ工程
その後の手延べ工程に備え
るため、熟成後に一担、麺
を小さく延ばす工程。
木箱の中にしばらく置き熟
成を待つ。この熟成時間で
麺の良し悪しが決まる。
2本の鋼管に麺を綾掛けで
巻き取りながら、さらに麺
を細くしていく。
おこな
械類を操作しながら訓練が行われ、
にち
そう めん
せい ぞう
1日4
0
0!の素麺が製造されてい
ます。
じ ぶん
し ごと
かん そう こう てい
ここでは自分のペースで仕事をす
き かい
1
3 乾燥工程
あ
素麺のひび割れ・曲がり・
変色に注意しながら、一中
夜乾燥させていく。
るのではなく、機械のペースに合
ぜん ご
なが
あ
ふし き
こう てい
と
1
4 節切り工程
こ
こう てい
1
5 取り込み工程
翌日、乾燥した麺の下の節
を手で切り落とし、鋼管を
はずしていく。
上の鋼管を持って麺切機に
き れ い に 並 べ、上 の 節 を
切って鋼管をはずす。
めん き
こう てい
こうてい
1
6 麺切り工程
せん べつ こう てい
1
7 ジャストカッター工程 1
8 選別工程
麺切機 に の せ た 素 麺 を、
1
9.
3!の長さに切断し、長
い素麺を9本に分ける。
切った素麺を束ねて不揃い
な部分をカットし1
9!ちょ
うどの長さに揃える。
色むら・太さ・反りなどの
不良品を目で検査し、ピン
セットで取り除く。
わせて、あるいは前後の流れに合
し ごと
くんれん
わせて仕事ができるように訓練を
めんせいぞう か
しょくぎょうくんれん
します。麺製造科での職業訓練で
かくじつせい
き びんせい
きょうちょうせい
は、
「確実性」「機敏性」「協調性」
ようせい
しお みず つく
おこな
などの養成を行います。
資材倉庫
25
玄関
2
3
4
22
6
1 ホール
更衣室
23
8
10
さい せい ふん づく
こう てい
2
1 再成粉作り工程
製造過程で出る節などの不
要部分を粉砕機にかけ粉に
し、原料にもどす。
しゅっ か
2
0 出荷
9#(1
8
0束)入 っ た 素 麺
をビニールで密閉した状態
で出荷・保管をする。
けっ そく こう てい
1
9 結束工程
結束機で5
0"に結束された
素麺を、帯がずれないよう
に箱に詰めていく。
20
21
11
機械室
24
トイレ
その日の温度・湿度によっ
て濃度を調整して、粉に混
ぜる塩水を作る。
5
9
こう てい
2
2 塩水作り工程
予備乾燥室
12
7
13
乾燥室
14
15
結束室
19
そう じ
2
3 掃除
16
17
18
しゅう れい
くん れん しゅう りょう
2
4 終礼
2
5 訓練終了
作業の最後に工場全体や機 一日の反省点・注意点の訓
械の掃除を行う。
辞を行い、挨拶・返事の仕
掃除も大切な訓練のひとつ。 方の練習も行う。
作業服を制服に着替え、そ
の後タイムカードを押し訓
練が終わる。
2
5−2
6
訓練プログラムに関する調査研究 折込 CMYK 山道 小川内 平島
420×297
ち く さ ん か
管理作業
しゅっ きん
その他の作業
くん れん かい し
どう ぐ あら
1 出勤(訓練開始)
くん
れん
こう
出勤したら、まずタイ
ムカードを押し、その
後シャワー室に入る。
てい
訓練工程
ちくさん か
ぼ とん
とう
畜産科では、母豚8
0頭、総頭数約
とう
とん
せい じょう とん
きゅう じ
こうてい
とお
い どう
子豚に菌の感染を防ぐ
ため、分娩前の母豚を
きれいに洗浄し、分娩
舎へ移動。
しゅっ か
じょう か そう
1
1 出荷
かん り
1
5 浄化槽の管理
規定の体重まで成長し
たらいよいよ出荷。い
ちばんの力の見せどこ
ろ。
作業で使用した道具は
きれいに洗浄し、決め
られた置場所へ戻し片
付ける。
発酵を促すため、毎日
スコップや鍬を用いて
浄化槽内のチップを撹
拌する。
!
"
!
"
し いく
しょくぎょうくんれん
せん じょう
7 母豚の洗浄・移動
豚の頭数に合わせて餌
の量を調整し、こぼさ
ないように給餌器に入
れていく。
8
0頭 の SPF 豚(清 浄 豚)の 飼 育
かん り
ぼ とん
4 給餌
!
"
そうとうすうやく
かた づ
1
8 道具洗い(片付け)
おこな
管理の工程を通して職業訓練を行
とん せん よう
こう だい
とんしゃ
なか
からだぜんたい
シャワー室で全身をよ
く洗い、畜産科専用の
作業服に着替えて豚舎
内へ。
つか
地の豚舎の中で、体全体を使った
くんれん
ちゅうしん
どう
さ ぎょう
こと
こと
たの
8 分娩
子豚の体を拭きあげヘ
ソの緒を結ぶ。分娩終
了まで担当者が付き添
う。
ちくさん か
1
2 豚舎の洗浄
移動して空いた部屋は
高 圧 洗 浄 機 で 洗 い、
隅々まできれいに汚れ
を落とす。
かん きょう せい び
1
6 環境整備
除草作業や豚舎周辺の
片付けなど豚舎全般の
環境整備も訓練生で行
う。
1日の訓練を振り返り、
良い点や改善点、注意
事項などの訓辞を行う。
!
"
しょくぎょうくんれん
はたら
よろこ
き
!
"
そ
せき にん かん
ようせい
2
0 入浴(シャワー)
その日の予定や注意点
を説明し、挨拶の練習
を行い、訓練開始。
じ
体力」「働く喜び」「責任感」「持
ぞくせい
にゅう よく
ちょう れい
3 朝礼
畜産科での職業訓練では、「基礎
とん しゃ ない そう じ
6 豚舎内掃除
糞を取り除いた後、通
路に落ちている餌やゴ
ミをきれいに掃き取る。
おこな
じゅ にゅう
9 授乳
固
形
分
離
槽
分
娩
豚
舎
離
乳
豚
舎
肥
育
豚
舎
A
育
成
豚
舎
肥
育
豚
舎
B
豚隅
舎離
発
酵
堆
肥
舎
朝・夕と
1日に2回
廃
水
処
理
施
設
作堆
業 場肥
通 路
しょう どく
洗浄後、消毒液を散布
する。衛生面は豚の育
成上、大変重要なポイ
ント。
にく とん
たい ひ づく
さ ぎょう ふく
せん たく
1
7 作業服の洗濯
専用の作業服は豚舎内
で毎日洗濯する。量が
多いので全員で行う。
豚舎を出る時も再度
シャワーで全身の汚れ
をきれいに落とし、豚
舎外へ。
!
"
管理作業は
曝ば
っ
気き
槽
堆
肥
舎
とん しゃ
1
3 豚舎の消毒
飲めない子豚が出ない
ように、一頭ずつ母豚
の乳房を含ませ授乳す
る。
続性」などの養成を行います。
交
配
豚
舎
せん じょう
まな
意欲などを学んでいきます。
たい りょく
5 除糞
とん しゃ
たいせつ
より、働く事の楽しさ・大切さ・
い よく
ぶん べん
!
"
物とふれあいながら作業する事に
はたら
じょ ふん
スコップで隅々まで確
実に糞を取り除き、一
輪車に積んで堆肥舎へ
運んでいく。
!
"
訓練が中心となります。また、動
ぶつ
1
9 終礼
2 入浴(シャワー)
います。SPF 豚専用の広大な敷
ち
しゅう れい
にゅう よく
しき
行われます。
くん れん しゅう りょう
1
0 肉豚の移動
成長するにつれ豚舎を
移動する。板を使って
上手に誘導していく。
1
4 堆肥作り
乾燥し粉状になった堆
肥 を 袋 詰 め・計 量・
シーラー加工し、商品
化する。
2
1 訓練終了
制服に着替え、身だし
なみを整えて、タイム
カードを押して訓練終
了。
出荷台
2
7−2
8
訓練プログラムに関する調査研究 折込 CMYK 山道 小川内
420×297
2 共通訓練
1)体育訓練
体育訓練では各科訓練終了後の夕方や夜の時間、土曜日の午後などを使って体力づくりを
行います。8時間の労働に耐えうる体を作るには、基礎体力の向上が必要不可欠となります。
運動を通して、体力・基本動作などの向上を目指します。
体育訓練の目的
!体力面
筋力、瞬発力、持久力、柔軟性、機敏性、忍耐力の強化などの向上
"基本動作
規律、礼儀、意欲、意識改革の育成
#サークル
サークルの技術向上、先輩との上下関係を学ぶ
$ストレス発散 スポーツを通したストレス発散
メニュー例
1.ランニング
2.ストレッチ
3.2%走(グランド2
0周)
4.腹筋、背筋、スクワット
5.各サークル活動(サッカー、和太鼓等)
※時期によってはスポーツをする
5.ストレッチ
6.終了
筋力トレーニング
和太鼓サークル
2)職業学習
職業学習では働く上で必要な知識を習得することを目的としています。主な内容は表の通
りです。普段各科訓練では学習しにくい部分や社会で知っておかなくてはならない知識など
を学び、就職に向けての意識を高めます。また、日常の訓練、指導を系統立てて学習し、一
2
9
つ一つがなぜ必要なのか、何に注意しなければならないのか学習します。
職業学習年間指導表
月
5
内 容
法
安全面
ビデオ
労働災害・安全対策について
8
衛生面
食品テキスト
9
職場見学
安全面、衛生面、規則等を実際の現場で学習
畜麺学習
各科テキストから説明
1
1
1
2
工場見学
食品加工工場見学
製麺工場見学
1
販売実習
各種行事・育成会のバザーを担当
働くこと
働くということ、給料について
3
面
面接の仕方・面接練習
(進級考査・面接試験)
4
職業選択に
ついて
職業適性について
雇用状況・職業選択の方法
5
職
職場見学・職業体系(業種)・職種
1
0
2
基 礎 学 習
方
各 科 学 習
進路職業学習
職場見学
3
0
接
種
授業風景
第3節
進路指導
2学年になると、進路指導が本格的に始まります。大まかな流れとして下の図のようになり
ます。
1 進路指導の流れ
①二者面談
②体験実習
三者面談
希望の確認
修了後の生活の
場の検討
③職探し
職業訓練(応用訓練)
としての体験を目的
事前学習
電話、訪問調査
⑤四者面談
④職場実習
就職決定
五者面談
就職を目的としての
実習
就職の意志確認
雇用条件の確認
平成1
8年度の2学年の進路指導の詳しいカリキュラムは次のようになります。2学年になる
と進路指導は本格化してきます。
月
進
路
指
導
4月
進路相談(本人の希望調査)
5月
家庭訪問
二者面談(保護者・職員)
6月
ケース会議(進路の方向性検討)
職場体験実習開始
三者面談(生活の場方向性決定)
7月
職場見学(グループ)
各管轄職安への求職相談開始
職場体験実習
8月
職場体験実習
9月
職場探しについての説明
職場探し 職場実習契約
保護者研修(職場実習について個別相
談)障害者企業面接会参加
月
進
路
指
導
10月
職場実習開始
保護者へ実習状況報告
ケースにより個別訓練
11月
保護者職場見学
職業安定所へ個別訓練
12月
保護者研修(実習・雇 用 状 況・個 別 相
談)
1月
職場実習契約(本人のみ)
保護者職場見学
四者面談(事業所へ求人票提出依頼)
2月
五者面談
職場内定
3月
職場実習終了
3
1
2 職場定着するために…
進路指導の大まかな流れを具体的に説明を行っていきます。
!二者面談・三者面談 (本人、保護者、職員)
本人の希望に基づき、保護者と協議の上、就職先・
生活の場などの方向性を決定します。
"体験実習
内外のあらゆる資源(一般事業所や福祉工場)等を
活用し、労働意欲を高めます。この実習は就職を目的
三者面談
とはせず、職業意識を高めるために、職場見学・体験
実習を行います。
例)期間就労の事業所、福祉工場など。
#職探し
現実を理解するため、本人の希望を元に職探しを行
います。職員主導の職探しの場合、実際に就職し、様々
職場見学
な困難に出会った時に「自分が希望した職場ではない
から辞めたい、勧められた職場だから」と離職につながる可能性が高いです。
そのため、希望と現実のギャップを埋めて「納得」して就職できるように、できるだけ本人
主体で職探しを行っていきます。
職探しの流れは、おおよそ下のようになります。
本人が行うこと
職探しをする範囲を決定する
$
%
&自宅から就職するのか、&
&単身アパート、通勤寮、&
&グループホームから
&
&就職するのか。
&
'
(
職場の情報を集める
職業安定所で情報収集
インターネット、雑誌、電話
帳で自分の就職したい職場を
探す。
3
2
支
援
の
ポ
イ
ン
ト
仕事の場、生活の場をどこにするのか明らかにさせる。
情報収集の方法をアドバイスする。
職業安定所、インターネット、求人雑誌、電話帳などの利用、
使用方法の指導
希望する職場へ連絡をする
履歴書記入
電話のかけ方のマナー、注意
点などの指導。
土曜日の職業学習の時間など
も活用。
職場見学、面接
見学、面接時の下記の注意点の指導(引率はしない)
職探し報告書の記入を行う。 (見学)服装、身だしなみ、挨拶、言葉遣い
(面接)履歴書を渡す
職場実習へつながらなかった
職場実習の依頼
場合、新たな職場を探す。
※職場開拓(各利用者の特性に合わせた職場実習先を開拓する)
※職場開拓
職場開拓において支援員に必要な力として、様々な職場などを開拓する行動力、職業安定所
の求人情報だけでない多くの情報収集力、企業などの現状の察知力が上げられます。
企業に対して、様々な制度やフォローする職員の支えがあること、関係機関の支えがあるこ
となど説明を行い、障がい者雇用の理解を得られるよう取り組む事が必要です。
もちろん、容易ではありませんが、訓練生の代弁者としての情熱を持って開拓していきます。
!職場実習
就職を前提に職場実習を行います。
当然、開始時期を中心に個別指導を行い、
場合によっ
ては、実習を中断し、当センターへ戻り、職業訓練を
再度行い職業意識を高め実習を再開する場合もありま
す。実習期間中は定期的に巡回指導を行います。
職場実習
"四者面談・五者面談 (本人、保護者、就職先事業所、職業安定所、職員)
この面談で、雇用条件を確認します。
四者面談・五者面談時に限らず、職業安定所、関係機関、保護者等とは密に連絡し連携をとっ
て進めていきます。
3
3
3 具体的なパターン分け
職探しの流れとして、 !職探し で述べた流れが原則的な流れであるが、利用者の障がい特
性に合わせて職探しの支援方法を3パターンに分けることができます。
A.自分で職場を探すケース
本人が希望する職場を、本人が探し、面接、職場実習の依頼、就職までと職探しの一連の
流れを本人が行います。
B.時期を図り職員から職場実習先の情報提供をするケース
障がいの特性上や、希望する職種によっては、なかなか本人1人では職場実習先を探すこ
とが難しい場合が多いのが現状です。本人の状況や職探し報告書の内容を見ながら職探しに
行き詰まっている場合、時期を見計らって、職場実習先の情報を提供します。本人がその実
習先に納得したら職場実習へつなげていきます。
C.職探しよりも職場適応を早期に図るケース
障がい特性によっては、本人が職場に適応するまでに時間がかかる場合があります。この
ようなケースでは職場探しを行わず、職場実習を時間をかけて行います。本人の適応力の向
上はもちろんですが、実習先の方々に本人を理解してもらう必要性もあります。
職探しの経緯
パ
タ
ー
ン
3パターンの具体例
2学年4月時点の
就職希望先
支援者想定の
就職先
実
習
先
実 習 に 至 る 経 緯
A
和太鼓のプロ
食品加工場
食品加工場
母親と職安にて職探し
A
大型ホームセンター
かまぼこ店
かまぼこ店
クリーニング業で実習するが、時間・賃
金面が気になり実習先変更
4日職安へ通い実習先を見つける
A
清掃業
清掃業
清掃業
合同就職面接会で2社面接が可能となっ
たが、清掃業への希望が強く自分で職探
しし、清掃業が見つかる
A
姉と同じ職場(食品 パン屋
加工)
パン屋
自分で職探しをして見つける
A
老人福祉
就労継続A型
未定
福祉工場で実習するが、問題行動を起こ
し、実習中止
現在職探し中だが、祖母の紹介で福祉継
続A型を面接、実習予定
B
ショッピングモール
パン工場
パン工場
職探し行うが求人なく、職員が斡旋
B
ショッピングモール
就労継続A型
就労継続A型
本人の希望職種の求人なく職員で斡旋
B
弁当屋
かまぼこ店
かまぼこ店
職探し行うが求人なく、職員で斡旋
3
4
パ
タ
ー
ン
2学年4月時点の
就職希望先
支援者想定の
就職先
実
習
先
実 習 に 至 る 経 緯
パン工場
お菓子店
お菓子店
希望のお菓子店を自分で探すが見つか
らず、職員で斡旋
B
就労継続A型
食品加工
食品加工
職探しするがなく、職員が斡旋
B
鉄工所
堆肥製造
堆肥製造
職探しするがなく、職員が斡旋
本屋
小売店
小売店
小売店での実習順調だが、雇用条件か
ら、今後進路変更が検討中
パン工場
麺製造工場
麺製造工場
早期から実習行うが、生活の乱れ、意
欲低下から実習中断し、センターで再
訓練。福祉工場のパン工場で実習し、
職探し行うが、実習をしていた麺製造
工場が良いということで再実習中
クリーニング
漬物店
未定
職員斡旋した実習先でかんしゃく行為
にて実習中止。職探し中(仕事対する
意欲強化が必要)
ショッピングモール
B コンビニ
グループホーム
未定
老人福祉事業でハウスキーピング作業
行うが、自閉的傾向があり応用が利か
ず適応できず実習中止
B
リサイクルショップ
缶詰加工
缶詰加工
職探しするがなく、
職員に実習先を依頼
福祉工場
福祉工場
福祉工場
農園業で実習行うが、実習通勤途中や
生活の場での問題行動があり、実習中
止→一般就労より福祉工場が適してい
る
職探し行わず、福祉工場で実習中
農芸
堆肥製造
堆肥製造
職探し行わず、職員で斡旋
福祉工場
福祉工場
福祉工場
職探し行わず、職員で斡旋
自閉的傾向があり長期的に実習行い職
場適応を図っている
B
B
B
B
B
C
C
職場定着の鍵は、本人の希望と職場のマッチングであり、職探しの役割は重要です。進路指
導で、いかに本人主体で本人の希望を現実にいかに擦り合わせることができるか、支援の大き
なポイントです。
希望と現実のマッチング
本人の希望
例)保育士になりたい
トラックの運転手になりたい
現 実
資格が必要
免許証が必要等
職員が現実を伝える
のではなく、本人が
職探しをして資格の
必要性を感じたり、
新たな職種を探す必
要性に本人が気づく
3
5
知的障がいを持つ方々にはイメージすることが苦手な方が多く、雇用条件・情勢など情報提
供するだけでは、その現実を理解し、納得することは難しいです。求職活動に本人も参加する
ことによって、
『現実(雇用情勢、公的機関の支援体制、企業主の障がい者理解など)
』を体感
し・理解することができます。そして、自らが希望する職場に出会った時に、感謝と同時に働
く事を大切にしようとする思いが芽生えてくるのです。
3
6
第4章
訓練効果を高める方法
訓練効果を上げるものとして評価・奨励金、考査を訓練の中に設定しています。
第1節
評価・奨励金
○評価・奨励金とは
単調になりがちな訓練に、毎月、評価・奨励金が
あることで訓練への意識が引き締まります。日常の
訓練の良い刺激、スパイス的役割をねらっています。
毎月、職業面5
0点、生活面5
0点で職業・生活担当職
員が各期の評価表に基づいて採点します。
その評価点数に合わせて現金で奨励金を支給する
奨励金支給
ため、評価が高い人には奨励金も高く、評価が低い
人には奨励金が低くなります。
能力的な違いがあるため、+αで本人の努力の度合い・成長度も評価します。努力した分
だけ評価が上がり、奨励金も上がる、また逆にがんばりが足らなかったり、トラブルを起こ
したりした場合は評価も下がり、奨励金も下がる、訓練生にとって分かりやすく、訓練への
意識も高まりやすいです。訓練生は、支給された奨励金をやりくりしながら毎月の日用品や
外出の際の小遣いなどに使います。そのような中で、お金の上手な使い方、金銭管理、経済
概念などを学んでいきます。
○評価項目
職業訓練面では、職業基礎習慣・職業意識・職業技能を合計3
7項目の評価項目としてあげ、
その3
7項目のうち各訓練期の訓練目標に合わせ2
0項目で評価を行っています。
(1)職業基礎習慣
職業能力
(11項目)
(2)職業意識
(14項目)
(3)職業技能
(12項目)
3
7
評価表は各訓練期を経るごとに、職業基礎習慣→職業意識→職業技能へと評価の重点を移行
していくように評価項目を設定しています。具体的な評価項目は下表のようになります。
!出勤準備
出勤準備が確実にできる。
"時間の意識
出勤時間、休憩、作業開始の時間を守れる。
#礼儀・挨拶
挨拶、返事がきちんとできる。言葉遣いが丁寧である。
$意志交換
作業に関しての報告、質問ができる。
指示理解の意思表示ができる。
業
%衛生観念
作業服、制服、手洗いなどが衛生的である。
基
&掃除
作業場の掃除、後片付けが積極的に取り組める。
礎
'規律
作業場内のルール、規律を守れる。
(安定性
毎日、休まずに出勤ができる。
)安全性
安全に作業ができる。危険物を認識できる。
*道具に対する意識
道具を大切にする。準備、後片付けがきちんとできる。
職
習
+通勤
職
業
!積極性
作業態度が積極的で、意欲がある。
自主的に作業に取り組める。
"責任感
作業態度に責任感がある。
任された作業を最後までやれる。
#忍耐力
いやな作業でも我慢強くできる。
注意されても安定して作業ができる。
$協調性
他の人とトラブルを起こさずに作業ができる。
他の人と協力して作業ができる。
指示、注意を素直に受け入れることができる。
上下関係を理解した行動ができる。
%向上心
就職したいという意識がある。
自らを高めようとする意識があり、目標に向かって努力をする。
&緊張感
作業と作業以外の区別ができる。(けじめがある)
真剣に作業に取り組むことができる。
!確実性
作業が確実に正確にできる。
作業が丁寧にきれいにできる。
道具、機械を正しく操作することができる。
"持続性
集中して作業ができる(よそ見をしない)。
8時間、持続して作業に取り組める。
作業を持続するための体力がある。
#機敏性
作業が機敏に正確にできる。
設定時間内に作業を終わらせることができる。
全体の流れ、機械の流れにあわせて作業ができる。
$応用力
作業工程の技能度が高い。
周りに配慮しながら作業ができる。
作業工程の先を読んで、作業に取り組める。
意
識
職
業
技
能
3
8
通勤が支障なくできる。
(交通機関の利用、公共マナーなど)
○評価表の種類
各訓練期での評価表は下のようになります。
職業面
導
入
訓
練
考
査
2学年
応用訓練期"
1学年
導入訓練期
生活面
評価表!
生活面
評価表$
職業面
評価表*
基本訓練期
評価表"
応用訓練期!
中
間
考
査
評価表#
評価表(
進
級
考
査
評価表)
実習訓練期
認
定
考
査
評価表%&'
(生活の場で異なる)
評価表+
評価表でつけた評価を訓練生にも分かりやすいよう明細書として示し、1ヶ月間の自分の良
かった点や課題点を振り返り、翌月の訓練への意識を高めます。
奨励金明細書
実際例
3
9
第2節
考
査
考査とは ねらい
訓練の節目に実施する『考査』は、手が届く目標を設定し常に目的意識をもち、挑戦心・向
上心・努力心を育てることをねらっています。考査に
合格することで達成感を体感でき、訓練への意欲につ
ながっていきます。
また職員は、利用者のその時点での達成度を明確に
し、課題点を確認することができます。合否について
は本人の現時点での到達度で判断するので、たとえ点
数が取れていても、本人の努力・姿勢等を考慮し、合
合否発表
否検討会議にて検討し決定します。
考査の流れ
<1学年>
導入訓練期
導
考入
査訓
練
中
間
考
査
基本訓練期
進
級
考
査
応用訓練!
<2学年>
認
定
考
査
応用訓練期"
応用訓練
1)導入訓練考査(導入訓練終了時)
各科職業訓練に配属される前に基本的な職業面の習慣度のチェック、把握を行います。ま
た、考査を通じ訓練生自身の意欲と自主性を引き出す機会とします。
考査項目
考査期間
(H18年の場合)
職業基礎習慣
6日間
4∼4/2
9)
4
0点 (4/2
4
0
考
査
項
目
評
価
方
法
出勤準備、時間の意識、挨拶・ 月∼金曜日までの5日間
返事・報告、危険性の確認、 を評価する。1項目を3
道具を大切に使う・準備片付 点とし、計30点満点。
け、情緒安定、確実性、持続
性、機敏性、協調性
2)中間考査(基礎訓練終了時)
1学期間におけるこれまでの訓練の成果を考査します。また現時点での達成度を把握し、
本人たちへ現段階での課題点を認識させます。
考査を通じ、課題となる部分を改善し、生活面・職業面のより一層のレベルアップを図る
機会とします。
考査項目
考査期間
(H18年の場合)
職業基礎習慣
3週間
4
0点 (9/4∼9/2
2)
3組に分け、1週間
ずつ考査する。
考
査
項
目
○挨拶・返事・報告
○掃除
○時間
○機敏・丁寧・持続性
評
価
方
法
月∼金曜日までの5日間を
評価する。1項目を2点と
し、計40点満点。
技能考査
作業工程のうち3項目で 1項 目10点。プ ラ ス ア ル
1日
8
ファで考査に臨む姿勢や真
評価。
3
0点 (麺製造科:9/1
9∼
畜 産 科:9/1
剣さを努力点として評価す
1)
9/2
る。
個人考査
3週間
2)
3
0点 (9/4∼9/2
職
業
考
査
技能考査
4
0点
努力点
1
0点
本人の課題に沿った考査 15日間、1日2点、合計30
内容を設定。
点満点。
例)・自分から進んで作
業に取り組む
3週間
!洗濯、洗面、歯磨き、 !、"は日中寮にて個別で
個別に考査日を設定
入浴
行う。
"掃除
#教室にて一斉にて行う。
#学習(住所、電話番号、
小遣い帳)
体力測定
1日
腹筋力・背筋力
脚力
腕力
機敏性・持久力
柔軟性・努力
腹筋・背筋
スクワット
腕立て伏せ・懸垂
反復横とび・持久走
前屈・努力する姿勢
自転車運転考査
1日
運転、操作、知識
自転車を運転し評価。
体
力
考
査
合否発表
集計、検討会議を行い合否を決定する。
追 考
不合格の人は1週間単位で追考査を行う。追考査 (9/27∼10/4 10/4に 集
でも合格に達しなかった場合は、追々考査、追々々 計検討し、合否発表する)
考査を行う。
査
4
1
3)進級考査(1学年応用訓練終了時)
1学年から2学年へと進級する節目で、各個人の課題を設定し、その改善と意識付けを図
るとともに、1学年として最低限、身につけておくべきところまでの引き上げを行う機会と
します。
進級考査を通して、考査を最後までやり遂げることにより、2学年としての自覚と自信そ
して今後の意欲につなげる目的としています。
考査項目
個人課題考査
職
考査期間
(H1
8年の場合)
1ヶ月
9∼3/5)
10
0点 (1/2
考
査
項
目
職業・生活共通または職
業・生活のみ
例)
職:確実な作業をする
生:食事のマナー
評
価
方
法
1日3点の30日間+努力点
とする。
基本的作業遂行 2、3日
能力考査
5
0点
作業行程のうち1項目で
評価。
職業総合
1時間
確認テスト
5
0点
基本的な作業に向かう姿 50問の筆記テスト。
勢、作業態度。
業
考
査
体力考査
1日
原城マラソン
合否発表
集計、検討会議を行い合否を決定する。
追 考
不合格の人は1週間単位で追考査を行う。追考査でも合格に達しなかった場合は、
追々考査、追々々考査を行う。
査
4)認定考査(2学年応用訓練終了時)
能開センター内での職業訓練が概ね終了したこと
を位置づける考査とし、合格の場合、本格的に進路
指導に入ります。また2学年になり進路指導までの
なかだるみの解消をねらいます。
個人課題など職場実習に出る前にインパクトのあ
る指導を行う機会とし、意識の向上と継続をした上
で職場実習へと送り出します。
今回の考査は職業考査に限定し、体験実習・職場実習に入る前の意識付けのため、企業で
働くための必要8項目(意欲、素直、挨拶・返事・報告、集中力、機敏性、確実性、持続性、
真剣さ)の意識を強化することを目的とします。
4
2
考査項目
考査期間
(H18年の場合)
考
査
項
目
意欲
1週間
毎週水曜日に合格者を 素直
1∼)
挨拶・返事・報告
発表(8/2
集中力
機敏性
確実性
持続性
真剣さ
職業考査
評
価
方
法
○△×で週1回評価。
意識を高めるため自己評価と職員に
よる評価を行う。
合否発表
8項目全て○の場合、合格とし認定証書を渡す
追
不合格の人は1週間単位で追考査を行う。合格するまで考査を受ける。
考
査
4
3
第5章
ま
と
め
これまで当センターの職業訓練の取り組みについてまとめてきました。知的障がいのある人
が一般企業で就職するためには、企業側の理解や制度の活用はもちろんですが、やはり本人の
持っている力を伸ばし育てることが大切になってきます。職業訓練では職業基礎習慣・職業技
能・職業意識の3点を訓練のポイントとし、試行錯誤を重ねながら、指導しています。その特
徴的な指導方法が、これまで説明した各期でのポイント指導や、考査、奨励金、進路指導等で
す。これらは全て、実践で培ってきた方法と言えます。しかし、一人一人個性や能力が違うた
め、指導方法も同じではありません。訓練生ごとに合わせた柔軟な対応が求められ、日々、訓
練生と向き合いながら指導方法に関して試行錯誤する毎日です。
入校当初、多くのことができなかった訓練生でも、訓練を通して指導者側の想像よりもはる
かに大きく成長することはよくあります。しかし、2年間という限られた時間の中で全てを十
分に育てるということには限界があります。訓練生は、企業で働いてから学ぶことも多くあり、
働いてからも成長できるような人、企業側が育てたいと思われるような人を育てることが大切
であると思います。そのための指導が上であげた3点、特に職業意識が大切です。
知的に障がいのある人が一般就労を目指すにあたり、得意なこともあれば、不得意ことも必
ずあります。不得意なところがあっても、個性を発揮して働く喜びを感じ、いきいきと働くこ
とができる人を育てるトレーニングこそ、職業訓練での指導で最も重要なことだと思います。
訓練生と向き合いながら、作り上げてきたプログラムを参考にしていただいて、よりよいメ
ニュー、指導プログラムを作っていっていただけたら幸いです。
4
4
第2編
一般就労するための
生活訓練プログラム
第1章
総
論
長崎能力開発センターは、知的に障がいのある方を対象に、職業訓練を行うと同時に生活訓
練も行っています。職場定着ができるかどうかは、安定した生活能力をともなっているかとい
う点で大きく左右されます。仕事ができなくて離職するケースよりも、それ以外の生活の乱れ、
人間関係などで離職するケースが多いというのが実態調査を通しても顕著にあらわれています。
また、修了生を支援する担当者からも同じような意見がでているのが現状です。
当センターでは、全寮制を取り入れ、親元を離れて生活する経験をして自立心を促し、感謝
する心を養い、集団生活をすることによって思いやりや協調性を身につけさせます。そこに寄
宿舎での生活の意味があるのではないかと考えます。同時に、基本的な生活習慣を身につけ、
身の回りのことを自らの力でやれるようになること、健康管理においても自分で行うこと、結
生活訓練
寄宿舎
トレーニングホーム
全寮制
アガペ寮(1学年)
(20名)
エコーホーム
(単身生活実習) 古部分寮(小グループでの生活)
カナン寮(2学年)
(20名)
折橋ホーム
(自宅実習者のトレーニング)→
寄宿舎での生活を基本としながら、段階に応じて生活の場を変え、将来を見据えてトレーニングをしていきます。
4
5
局これらのことが職場定着につながっていくのだと考えます。生活訓練は、基本的生活習慣の
確立・社会適応能力の向上・精神面の強化・協調性、自立心を養うといったことを柱に、
トレー
ニングを行っていきます。段階に応じて、また、ケースに応じて生活の場も変えながら、その
人の将来の進路にあったトレーニングをみつけていきます。2年間の生活訓練の中で、どのよ
うに訓練をしていくのか、これから、段階を追って説明していきたいと思います。
4
6
第2章
2年間の訓練プログラム
1 2年間のスケジュール
職業訓練に並行して、生活訓練を行っていきます。安定して仕事を続けるためには、安定し
た生活が必要だと考えるからです。基本的な生活習慣の習得はもちろん、一社会人として、社
会で生きていくために必要なルールや、協調性、常識等を身に付けるための指導を行います。
訓練生は一度に多くのことを習得することが難しいため、一つひとつ段階を追って指導してい
きます。訓練生の指導する際に大切なことは、!学ぶ段階、"定着する段階があることです。
2年間で基本的生活習慣・社会性・協調性等を身につけるわけですが、できるようになっても
定着し続けなければすぐに元の状態に戻ってしまいます。各期によって重点的に指導すること
は異なってきますが、学んだから終わりなのではなく、常に定着し続けているのかチェックが
必要です。
生活訓練のカリキュラム(2年間)
1学年
4月
5月 6月
期
8月 9月
3月
基 本 訓 練 期
導 入 訓 練 期
個 別 指 導
習
慣
化
内 1)ラポート作り
1)身辺処理能力の徹底指導
容 2)規則・日課等の指導
※パトローリングシステム導入 1学年終了時を目標に達成していく。
3)個人の把握、個別指導
1)基本的生活習慣の確立、習慣化、達成
※学習指導開始
4)ピアカウンセリング
導入訓練考査
中間考査
進級考査
※追考査により、習慣化へとつなげる
2学年
4月
期
6月 7月
9月 1
0月
応用訓練期
個 別 指 導
コ ー ス 別
3月
実 習 訓 練 期
内 1)基本的生活習慣の確立 1)個人の進路を踏まえたコー 1)生活実習
容
・習慣化(個々のレベル
に応じて)
2)社 会 適 応 能 力 の 向 上
ス別訓練
評価、未自立の部分の追指導
2)小グループでの生活実習の
経験
(個々のレベルに応じ
て目標を設定)
4
7
2 訓練生のタイムスケジュール(1週間及び1日)
訓練生の1週間及び1日をどのように訓練しているのかタイムスケジュールの例を示します。
また、通常勤務帯以外にも早出や遅出なども行い、労働時間に合わせて自己調整することがで
きるような指導も行います。
土
曜
日
6:0
0 起床
点呼・
6:2
5 自主トレーニング
食事当番
6:5
0 清掃(公共の場)
7:2
0 朝食
7:4
5 清掃(寮内掃除)
8:2
0 出勤準備
8:3
0 生徒朝礼
8:4
5 職業訓練
日
曜
日
6:30 起床
6:50 点呼
7:00 清掃(公共の場)
7:30 朝食
清掃
7:50 (寮内・居室掃除)
12:00 昼食
フリー
13:00
∼
∼
17:00 食事当番
入浴・洗濯
18:30 夕食
19:00 余暇
21:00 終礼
∼
1
2:0
0 昼食
1
3:0
0 学習指導・体育訓練・
職業学習(年間スケ
1
5:0
0 ジュールに基づく)
食事当番
1
6:0
0
入浴・洗濯
身だしなみチェック
1
8:30 夕食
1
9:00 余暇
2
1:00 終礼
2
3:00 就寝
∼
∼
月 曜 ∼ 金 曜
6:0
0 起床
点呼・
6:2
5 自主トレーニング
食事当番
6:5
0 清掃(公共の場)
7:2
0 朝食
7:4
5 清掃(寮内掃除)
8:2
0 出勤準備
8:3
0 生徒朝礼
8:4
5
職業訓練
1
7:0
0
1
7:0
0 帰寮
1
7:4
5 体育訓練
1
8:3
0 夕食
1
9:0
0 入浴・洗濯
2
1:0
0 西式健康体操・終礼
2
2:0
0 就寝
早出日課
"7時早出者
6:00 起床
6:25 点呼
6:30 朝食
6:55 出勤
7:00 職業訓練開始
1
2:0
0∼13:15 昼休み
1
7:00 職業訓練終了
#7時3
0分出勤者
6:0
0 起床
6:2
5 点呼・自主トレ
6:5
0 清掃(公共の場)
7:0
0 着替え
7:0
5 朝食
片付け
7:2
5 出勤
7:3
0 職業訓練開始
1
2:0
0∼1
3:1
5 昼休み
17:0
0 職業訓練終了
$8時出勤者
6:00 起床
6:25 点呼・自主トレ
6:50 清掃(公共の場)
7:20 朝食
片付け
7:50 出勤
8:00 職業訓練開始
12:00∼13:15 昼休み
1
7:00 職業訓練終了
∼
!6時早出者
5:3
0 起床(出勤準備)
5:4
5 出勤
6:0
0 職業訓練開始
1
2:0
0∼1
3:1
5
昼休み
1
6:30 職業訓練終了
帰寮 清掃 身辺整理
4
8
第1節
導入訓練期
1学年4月∼5月
1 目 的
職業訓練と同様に、この時期は訓練生が長崎能力開発センターの生活にスムーズに導入を図
ることを目的としています。導入訓練期に、訓練生個人の把握を行い、今後の生活面における
重点課題を見極めていきます。また、指導上、訓練生と職員とのラポート形成は欠かせないも
のです。また、訓練生同士や先輩とのラポート形成にも努めます。導入訓練の間は全体指導が
多くなりますが、個別指導もいれながら基礎とな
導入訓練期指導割合
る点をきちんと指導していきます。
基本的生活習慣
1)ラポート形成
社会性
協調性
2)寄宿舎での規則、日課の指導
精神面
3)訓練生個人の把握、個別指導
経済性
健康管理
4)ピアカウンセリング
2 指導のポイント
1)ラポート形成
これから2年間親元を離れ、寄宿舎での生活になるわけですから、
訓練生と職員とのラポー
ト形成が重要になってきます。訓練生の不安や悩みを取り除き訓練に集中できるように励ま
してあげることが大切です。また、保護者との連携も必要ですので、連絡を密に取り、2年
間一緒に訓練生を支えていくという気持ちを持ってもらうことが必要になってきます。
2)寄宿舎での規則、日課の指導
集団生活において規則は欠かせないものです。
『生活のしおり』を用いて、訓練生にわか
りやすく、社会のルールとの関連をもたせて説明していくことが大切です。また、日課につ
いては口頭だけの説明ではなく、実際に反復練習を行います。日課表には全て時間が記載さ
れており、時間を意識してできるようになっています。
4
9
3)訓練生個人の把握、個別指導
基本的生活習慣(洗面、歯磨き、入浴、洗濯、寝具、着衣、食事、身だしなみ、居室整理、
健康管理等)は現段階でどのくらいできているのか把握し、個別に指導を行います。
(生活
個別指導状況チェック表にてチェックを行う)
基本的生活習慣
項
重点指導項目(1
1項目)
目
*導入訓練時
チ ェ ッ ク 視 点
1.洗面・歯磨き
起床時、就寝時にできているか
2.布団たたみ
起床時にたためているか
3.身だしなみ
ひげそり、整髪、服の着方、爪の切り方、耳掃除がきちんとできているか
(着衣・清潔含む)
4.健康管理
起床時の検温、就寝時の健康チェック表記入が毎日できているか
5.居室整理
居室、タンスがきちんと整理されているか
6.洗濯
洗濯、取り込みができているか
7.入浴
入浴準備ができているか
8.挨拶・返事
その場にあった挨拶、返事ができているか
9.日課に沿う
起床、朝礼、終礼、就寝時間が守れるか
1
0.当番・役割
食事当番及び寮内掃除が責任もってできているか
1
1.出勤準備
翌日の出勤準備ができているか
5
0
導入訓練個別指導計画書
【目的】基本的生活習慣の確認及び細部徹底指導
● ∼4月●日●
【期間】4月●日-
【日程】別紙
【指導内容】!排泄
・洋式トイレの使用方法
"歯磨き
・正しい歯の磨き方
#洗面
・洗面の方法(女子:洗顔フォームの利用)
$入浴
・入浴準備品
%洗濯
・洗濯機の使用方法(洗剤の量、洗濯時間)
・手洗いの方法
・干し方
&布団たたみ
'食事
・箸の持ち方
(身だしなみ
・髭の剃り方
)居室整理
・服のたたみかた
・タンスの中の整理方法
・掃除
*清潔
・爪のきり方
+健康管理
・電子体温計の測り方
・健康チェック表の記入の仕方
,火気の取扱い ・ガスの元栓の開け閉めの仕方
・ボイラーの使い方
・コンロの使い方
※あくまでも現時点での実力を正確に把握するための個別指導であるため、チェック中のアドバイスは最小限にとど
める。本人の終了の申請があった後、正しいアドバイスを行う。
4)ピアカウンセリング
導入訓練の間は先輩(2年生)が一緒に出勤してくれたり、食事作りを教えてくれたりと、
先輩達の声かけで動いていきます。1年生が先輩を慕うようになり、2年生自身も自覚が芽
生えてきます。また、同じ経験をしてきている先輩たちからの励ましは、1年生にとっては
心強い支えになるようです。歓迎会等の行事を行い、1年生と2年生が交流できる場を作っ
てあげる事が必要です。
*導入訓練考査に関しては、第6章を参照してください。
5
1
第2節
基本訓練期(個別指導)
1学年6月∼8月
1 目 的
各科に配属となり、職業訓練、生活訓練の両立が必要となって来る時期になります。職業訓
練が始まると、時間に余裕がなくなり、生活面の乱れが目立つようになってきます。そこで、
できていない面については個別指導を行い、基本的生活面の確立を図ります。同時に、この時
期は長崎能力開発センターでの生活にも慣れてき
基本訓練期(個別指導)指導割合
た時期でもあり、寮生活の中にパトローリングシ
ステムを導入し、責任感を養います。
基本的生活習慣
社会性
協調性
1)身辺処理能力の徹底指導
精神面
2)パトローリングシステム導入
経済性
健康管理
2 指導のポイント
1)身辺処理能力の徹底指導
訓練生が各科に出勤後、居室のチェックを行い、身辺整理ができていない訓練生について
は、職業訓練担当者と連絡を取り、日中寄宿舎に戻ってきてもらい、個別指導を行います。
その際は、職業訓練(仕事)を休んでいる点も意識させる必要があります。個別指導につい
てはできるまで繰り返し指導を行います。
2)パトローリングシステム導入
各クラスに5つの役割を設け、その内容によって委員を中心に活動を行います。訓練生同
士がピアカウンセリングを行い、相互関係の中でより個性を引き出していく事を目的としま
す。
5
2
パトローリングシステム役割分担
役 割
内
容
クラス長
クラス全体のまとめ役・クラスの代表
・班員への連絡
・職員への報告
・朝礼・終礼の号令かけ
体育委員
体育・スポーツに関する責任者
・自主トレーニング・体育訓練時のまとめ役と点呼・号令かけ
・体育行事の計画
・西式健康体操の号令かけ
美化委員
寮内外の環境美化に関する責任者
・管理棟・寮内掃除当番決め
・掃除道具の点検・管理
・環境整備(植木鉢への水やり)
食事委員
食事に関する責任者
・食事当番時の役割分担
・食事数の把握
・調味料チェック
・早出弁当の配達
・班員の食事状況チェック(偏食・マナー)
保健委員
健康管理の責任者
・健康チェック表の交換
・救急箱の不足品チェック
評価表−基本訓練期(個別)
評
価
項
目
洗面、歯磨きが自立している。
掃除が確実にできる。
基 本 的 身だしなみ(服装、爪、整髪、ヒゲなど)が自立している。
生活習慣 身辺整理(自室、タンスの中の整理など)が自立している。
入浴が自立している。
洗濯が自立している。
反社会的行動(盗癖、性癖、暴力、虚言など)がない。
社 会 性
男女間のルール、けじめが守れる。
挨拶、返事、言葉遣いなどがきちんとできる。
規則(日課、各当番など)が守れる。
協 調 性
精 神 面
健康管理
経 済 性
他の人とトラブルを起こさずに生活ができる。
弱い者いじめをしない。
情緒が安定している。
自己健康管理(健康チェック、投薬、薬づけなど)が確実にできる。
食生活(暴飲、暴食、偏食)がきちんとできる。
小遣い帳が確実につけられる。
お金の管理が確実にできる。
(不明金がない)
5
3
第3節
基本訓練期(習慣化)
1学年9月∼3月
1 目 的
1年生の段階で基本的生活習慣の習慣化がなされることを目標とします。この基本訓練期の
前半では職業訓練、生活訓練ともに慣れ始め、目標を見失いがちな時期になります。そこで考
査(中間考査)を行い、基本的生活習慣の確立、習慣化に向けての意識の向上を図ります。基
本訓練期後半に入ると、基本的生活習慣の習慣化に加えて、社会性、協調性・精神面に重点が
置かれます。さらに、この時期は進級を控えており、
基本訓練期(習慣化)指導割合
訓練生一人一人が自分の課題と向き合い改善してい
かなければなりません。そのため進級考査を行い、
基本的生活習慣
社会性
進級に向けて意識を高めていきます。
協調性
精神面
健康管理
1)基本的生活習慣の確立、習慣化
(達成をめざす)
経済性
2 指導のポイント
1)基本的生活習慣の確立、習慣化(達成をめざす)
前半は中間考査によって基本的生活習慣の確立を目指します。さらに、あくまでも習慣化
が目標であることを意識付けします。また、後半は、進級考査によって、基本的生活習慣の
習慣化を目標に取り組みます。また、個人課題を設け、継続的に課題を意識できるようにし
ていきます。特に社会性や協調性・精神面といった点については、個人課題として取り上げ
えると効果的です。各考査の詳細については第6章を参照下さい。
明日の出勤準備の確認を行います
5
4
居室の整理整頓(毎日の積み重ねが大事)
基本的生活習慣
項
重点指導項目(1
1項目)
目
*1学年終了時の目標
チ
ェ
ッ
ク
視
点
1.洗面・歯磨き
・起床時、就寝前に必ず磨く
・きちんと隅々まできれいに磨けているか
・(洗顔)
起床時はもちろん、一日を通して汚れた時に洗うことができるか
2.布団たたみ
・きちんとたためているか
・シーツ、カバーは清潔なものをつけているか
3.身だしなみ
・シェーバー、T字カミソリいずれかを使用でき、必要に応じて剃ること
(着衣・清潔含む) ができる(男子)
・服の着こなしが正確である
・用途に応じて着衣ができる
・寒暖に応じて調節ができる
・履物を服装に合わせて選ぶことができる
・手洗い、爪きり、整髪、耳掃除などをすすんで行う
・衣類の清潔に心がけ、必要に応じて着替えることができる
4.健康管理
・体調不良の訴えが自らできる
・病気になった場合、自ら治そうという意識がある
・好き嫌い、暴飲暴食をしない
・きちんと咀嚼ができる
・調味料の正しい使い方ができているか
5.居室整理
・物品が整理されてあり、掃除も行き届いている
・衣類を種類別にたたみ、収納することができる
6.洗
濯
・毎日汚れたものがきちんと洗濯できるか
・洗濯機の利用ができる
・洗濯バサミを利用してきちんと干せる
・乾いたものを取り込める
7.入
浴
・身体、髪ともきれいに洗え、マナーも守れる
・洗顔用具をきちんとそろえられるか
・入浴後、下着まできちんと着替えられるか
・髪をきちんと乾かすことができているか
8.挨拶・返事
・TPOにあった挨拶をする
・元気よく、大きな声で挨拶、返事をする
9.日課に沿う
・時間に合わせた行動ができているか
1
0.当番・役割
・当番を責任もってやれているか
・クラスのメンバーと協力してできるか
・自分の担当場所の掃除ができているか
1
1.出勤準備
・翌日の出勤準備ができているか、忘れ物がないか
・清潔な作業着であるか
5
5
評価表―基本訓練期(習慣化)
評
価
項
目
洗面、歯磨き、身だしなみ(服装、爪、整髪、ヒゲなど)が自立している。
基 本 的 身辺整理(自室、タンスの中の整理など)が自立している。
生活習慣 入浴が自立している。
洗濯が自立している。
反社会的行動(盗癖、性癖、暴力、虚言など)がない。
非社会行動(奇異な言動、公共の場での場違いな行動など)がない。
社 会 性
男女間のルール、けじめが守れる。
規則(寮のきまり、日課、当番など)が守れる。
挨拶、返事、言葉使い、公共のマナーなどがきちんとできる。
交通機関、商店などの公共機関を利用することができる。
他の人とトラブルを起こさずに生活ができる。
協 調 性 弱い者いじめをしない。
思いやりの気持ちがある。
精 神 面
健康管理
情緒が安定している。
素直な態度である。
自己健康管理(健康チェック、投薬、薬付けなど)が確実にできる。
食生活(暴飲、暴食、偏食)がきちんとできる。
小遣い帳が確実に付けられる。
経 済 性 お金の管理が確実にできる。
(不明金がない)
計画的にお金が使える。
5
6
第4節
応用訓練期(個別指導)
2学年4月∼6月
1 目 的
進級考査に合格し、意識、意欲ともに高く先輩としての自覚が芽生えてくる時期です。今ま
で基本的生活習慣について徹底指導を行ってきたものの、確立、習慣化が難しい訓練生も出て
きます。その際は現時点でも継続して指導を行います。
この応用訓練期からは社会適応能力(金種の理解、計算、時計、住所、氏名、電話、公共交
通機関の利用、非社会的行動の軽減)の向上を目的とし指導を行います。これから先進路指導
が同時に行われ、社会との関わりが増えてきます。実際に社会資源を利用しての指導が増えて
きますので、個々のレベルに合わせた個別指導を
行い、社会適応能力を身につけていきます。
応用訓練期指導割合
基本的生活習慣
社会性
協調性
1)基本的生活習慣の確立・習慣化
2)社会適応能力の向上
精神面
健康管理
経済性
余 暇
2 指導のポイント
1)基本的生活習慣の確立、習慣化
1年時に基本的生活習慣の確立、習慣化が難しかった訓練生については、継続的に指導を
行います。さらに習慣化についても、
「やらされている」
、
「チェックされているからする」
ではなく社会生活をおくるにあたって、
「あたり前のこと」として習慣化されるよう工夫を
行います。当センターでは外部からの講師にお願いし、話をしていただくようにしています。
5
7
評価表―応用訓練期(個別指導)
評
価
項
目
洗面、歯磨き、身だしなみ(服装、爪、整髪、ヒゲなど)が自立している。
基 本 的
身辺整理(自室、タンスの中の整理など)が自立している。
生活習慣
入浴、洗濯が自立自立している。
反社会的行動(盗癖、性癖、暴力、虚言、男女間のルールなど)がない。
非社会行動(奇異な言動、公共の場での場違いな行動など)がない。
社 会 性 規則(寮のきまり、日課、当番など)が守れる。
挨拶、返事、言葉遣い、公共のマナーなどがきちんとできる。
交通機関、商店、銀行などの公共機関を利用することができる。
協 調 性
他の人とトラブルを起こさずに生活ができる。
弱い者いじめなどなく、思いやりの気持ちがある。
情緒が安定している。
精 神 面
感謝の意識がある
自己解決しようとする意識がある。(周りの人に頼りすぎない)
必要なことは相談できる。
健康管理
自己健康管理が確実にでき、食生活がきちんとできる。
病気(ケガ、皮膚病も含む)の時は治そうとする意識がある。
小遣い帳が確実に付けられ、お金の管理が確実にできる。(不明金がない)
経 済 性 計画的にお金が使える。
貯蓄しようとする意識がある。
そ の 他
余暇の善用ができる。
(趣味、楽しみを持ってすごすことができる)
2)社会適応能力の向上
【社会適応能力チェック表・地域で生活するための条件参照】
社会適応能力については個々のレベルを十分に把握し、休日を利用して個別指導を行って
いきます。また、全体指導として、学習指導(土曜日の午後)を行い外部の講師による講話
や見学をいれながら社会適応能力を身につけていきます。学習指導の詳細について第3章を
参照してください。
5
8
第5節
応用訓練期(コース別)
2学年7月∼9月
1 目 的
進路指導において、生活進路が決定し、そのコース別に指導を行います。コースについては、
!自宅 "通勤寮・グループホーム #単身生活にわかれています。
また、地域の中にあるトレーニングホームを利
用し、小グループでの生活実習を行います。この
時期になると、寄宿舎の生活から少し離れ、社会
応用訓練期(コース別)指導割合
基本的生活習慣
社会性
資源を活用しながらの実践指導が主になってきま
す。
協調性
精神面
健康管理
経済性
余 暇
1)個人の進路を踏まえたコース別訓練
職場への対応能力
2 指導のポイント
1)個人の進路を踏まえたコース別訓練
自宅生活者と通勤寮、グループホーム、単身生活を希望するコースにそれぞれわかれて、
学習をします。
通勤寮・GH 希望者
この段階では、
「通勤寮進路」と漠然としている段階なので、さらに具体的に決定してい
き、地域で生活するために必要なことを学びます。
◆色々な通勤寮やGHの見学をし、本当に住みたい通勤寮・GH、エリア、種類を決めてい
きます。
5
9
◆地域サービスセンターに出向き、通勤寮職員や、GHの世話人さんの話を聞き、地域で生
活するための必要なことを学びます。
◆通勤寮の生活費調べを行います。
(寮費、食費等)
◆社会適応能力の向上のための学習(金種、数、文字、時間、電話、意志伝達、金銭管理、
反社会的行動、非社会的行動、礼儀、協調性、相談、交通機関の利用、余暇利用)
別紙チェッ
クリストを用いて評価、学習指導の中で指導します。
【社会適応能力チェックリスト参照】
◆通勤寮体験入寮
通勤寮を希望する訓練生に関しては、実際に体験入寮をします。この段階では、通勤寮が
どんなところなのか、どんな人たちと生活をするのか、あくまで体験を通して、通勤寮やG
Hを知り、生活進路の選択肢として確実に把握させることを目的とします。数ある通勤寮や
GHの中で、自分が住む通勤寮やGHを探すことも重要です。また、評価をしてもらい、現
状の課題を認識させます。
自宅 希望者
自宅で生活するためには、基本的な生活習慣の確立はもちろん、学生の時とは違うという
認識のもとに、生活費に関しても自分の給料の中から支払うことを学ぶ必要があります。自
宅に戻ることが、イコール何もしなくていい、お金がかからないという認識では困るので、
そこをしっかり学ぶ必要があります。
◆トレーニングホームを利用し、自活した生活を送る練習と、1ヶ月の生活費がどれくらい
かかるのかを学習させます。
(親への依存心をなくす)
◆地域サービスセンターに出向き、地域サービスセンターの職員の講話を聞き、自宅で生活
するために必要なことを学びます。
(余暇の大切さ、相談できる人がいるということ、身
辺処理の自立の大切さ、地域に出てからの問題など)
◆社会適応能力の向上のための学習(金種、数、文字、時間、電話、意志伝達、金銭管理、
反社会的行動、非社会的行動、礼儀、協調性、相談、交通機関の利用、余暇利用)
別紙チェッ
クリストを用いて評価、指導します。
6
0
【社会適応能力チェックリスト参照】
単身生活 希望者
単身生活をしたいという訓練生は少なくありません。希望に沿いながら、現実を知るとい
う機会も大切です。
◆アパート体験実習
二者・三者面談の中で、一人暮らしをしたいと希望する訓練生については、実際に体験さ
せます。敷地内もしくは、地域のトレーニングホームにおいて、一人暮らしの体験を通して、
一人暮らしの大変さや現段階での生活が可能かどうかということを本人が判断します。訓練
生のイメージでは、アパートの中は何でも揃っている、一人暮らしは自由がいっぱいという
考えがほとんどです。そうではなくて、備品や調味料、掃除用具にいたるまでをすべて自分
で準備し、毎日の献立きめから、金銭の管理、身辺処理すべてに関してひとりでやらなけれ
ばなりません。口頭での説明だけでは真の理解までにはいかないため、体験を通して覚え、
学んでいきます。
スタートにあたり、必要な買物を全て自分でします
【アパート学習のしおり参照】
献立決め、金銭管理、すべてを1人で行います
◆アパート学習 必要経費調べ
アパートで単身生活をすることになると、当然費用が発生します。しかし、訓練生にはそ
れがどれくらいかかるのか、イメージがわきません。水道代、ガス代、電気代、電化製品や
家具類など、一人暮らしを始めるためには毎月どれだけの費用がかかるか、最低いくらの蓄
えが必要かを自分で調べます。広告や、雑誌などを用いて値段を調べたり、職員に聞いたり、
もしくは実際にお店に行って値段を調べてくることもあります。そういう経験を通して、生
活していくにはお金が必要になってくるということを学び、現段階でそれが自分に可能であ
るかどうかを判断します。今すぐには無理なので、生活進路を変更する場合がほとんどです
が、今はできないけれど、いつかは一人暮らしがしたいと新たな目標を持つ人もいます。目
標にむけたステップとして、通勤寮進路に変更する人がほとんどです。さらに、この学習を
通して、生活をしていくには「働くことが大事だ」ということにつなげ、働く意欲を高めて
いきます。
【アパート学習必要経費調べ参照】
6
1
評価表―応用訓練期(コース別)
評
価
項
目
基 本 的 基本的生活習慣(洗面、歯磨き、身だしなみ、入浴、洗濯など)が習慣付いている。
生活習慣 身辺整理(自室、タンスの中の整理など)が自立している。
反社会的行動(盗癖、性癖、暴力、虚言、男女間のルールなど)がない。
社 会 性
非社会行動(奇異な言動、公共の場での場違いな行動など)がない。
規則(寮のきまり、日課、当番など)が守れる。
挨拶、返事、言葉遣い、公共のマナーなどがきちんとできる。
協 調 性
他の人とトラブルを起こさずに生活ができる。
弱い者いじめなどなく、思いやりの気持ちがある。
情緒が安定している。
精 神 面
感謝の意識がある
自己解決しようとする意識がある。(周りの人に頼りすぎない)
必要なことは相談できる。
健康管理
経 済 性
自己健康管理が確実にでき、食生活がきちんとできる。
病気(ケガ、皮膚病も含む)の時は治そうとする意識がある。
小遣い帳が確実に付けられ、お金の管理が確実にできる。(不明金がない)
計画的にお金が使える。
実習先に合わせた出勤準備が確実にできる。
職場への
出勤、退勤時間に合わせての日課、行動がとれる。
対応能力
通勤が支障なくできる。
(交通機関の利用、公共のマナーなど)
そ の 他
6
2
余暇の善用ができる。
(休日を有効に使える。趣味、楽しみをもっている)
第6節
実習訓練期
2学年1
0月∼3月
1 目 的
いよいよ今まで訓練してきた事を地域の中で実践していきます。修了後暮らすであろう生活
の場において生活実習を行います。これは受け入れる側にとっても、本当にここで生活ができ
るのか見極めてもらう機会でもあります。
1)生活実習
実習訓練期(自宅)指導割合
実習訓練期(通勤寮)指導割合
基本的生活習慣
基本的生活習慣
社会性
社会性
協調性
協調性
精神面
精神面
健康管理
健康管理
経済性
経済性
余 暇
余 暇
職場への対応能力
職場への対応能力
2 指導のポイント
1)生活実習
雇用を前提とした職場実習先が決まった訓練生から
実習をスタートさせます。ここでは実習中の状況を評
価表にて示し、その評価に対し、反省し改善をしてい
きます。また実習終了後も寄宿舎での訓練にフィード
バックさせ、追指導を行います。
! 自宅実習
自宅での約束事を決め、書面で誓約をかわします
自宅での生活実習では、訓練生自身の評価ととも
に、保護者の協力体制についても把握が必要です。
自宅で暮らすためには保護者の協力は欠かせません。
また、保護者へ訓練生の課題や問題点の説明はきち
んと行っておく必要があります。
" 通勤寮生活実習
自分の希望する通勤寮で実習を行います。希望す
GHでの実習
6
3
る通勤寮へ実習の依頼書を持って、自分で実習のお願
いに行きます。この生活実習の評価が通勤寮入寮の決
め手となることを意識付けして、実習を行わせます。
! GH生活実習
希望のGHへ生活実習の依頼を行い、生活実習をさ
せてもらいます。ここでも、この評価によって最終的
な入寮が決まることを意識付けして実習をさせます。
" 分寮生活実習
通勤寮などの実習となると、一度に何人も受け入れ
てもらうことは難しいため、通勤寮実習を控えている
訓練生や、一定期間通勤寮実習が終った訓練生につい
分寮での実習のため、買物をしているところです
ては、分寮で実習をします。借家を利用し、より地域に近い形での経験をさせ、表面化し
てきた問題に対して指導を行います。
6
4
評価表−実習訓練期(通勤寮・GH)
評
基 本 的
生活習慣
価
項
目
基本的生活習慣(洗面、歯磨き、身だしなみ、入浴、洗濯など)が習慣付いている。
身辺整理(自室、タンスの中の整理など)が自立している。
反社会的行動(盗癖、性癖、暴力、虚言、男女間のルールなど)がない。
社 会 性
非社会行動(奇異な言動、公共の場での場違いな行動など)がない。
規則(寮のきまり、日課、当番など)が守れる。
他の人とトラブルを起こさずに生活ができる。
協 調 性
弱い者いじめなどなく、思いやりの気持ちがある。
先輩、目上の人に対してのけじめのある行動ができている。
情緒が安定している。
精 神 面
通勤寮、グループホームを利用する感謝の意識がある。
自己解決しようとする意識がある。(周りの人に頼りすぎない)
必要なことは相談できる。
健康管理
経 済 性
職場への
対応能力
そ の 他
自己健康管理が確実にでき、食生活がきちんとできる。
病気(ケガ、皮膚病も含む)の時は治そうとする意識がある。
小遣い帳が確実につけられ、お金の管理が確実にできる。(不明金がない)
計画的にお金が使える。
実習先に合わせた出勤準備が確実にできる。
出勤、退勤時間に合わせての日課、行動がとれる。
通勤が支障なくできる。
(交通機関の利用、公共のマナーなど)
余暇の善用ができる。
(休日を有効に使える。趣味、楽しみをもっている)
評価表−実習訓練期(自宅)
評
基 本 的
生活習慣
価
項
目
基本的生活習慣(洗面、歯磨き、身だしなみ、入浴、洗濯など)が習慣付いている。
身辺整理(自室、タンスの中の整理など)が自立している。
反社会的行動(盗癖、性癖、暴力、虚言、男女間のルールなど)がない。
社 会 性
非社会行動(奇異な言動、公共の場での場違いな行動など)がない。
規則(寮のきまり、日課、当番など)が守れる。
協 調 性
親、家族の意見を素直に聞くことができる。
家族(兄弟など)とトラブルなく、仲良く生活できる。
情緒が安定して、甘え、我がままを出さずに自宅生活が送れている。
精 神 面
自己解決しようとする意識がある。(親、家族に頼りすぎない)
必要なことは親、家族に相談できる。
健康管理
経 済 性
職場への
対応能力
自己健康管理(投薬、薬付けなどが)確実にできる。
食生活(暴飲、暴食、偏食)きちんとできる。(特に間食、おやつの量)
小遣い帳が確実に付けられ、お金の管理が確実にできる。(不明金がない)
計画的にお金が使える。
実習先に合わせた出勤準備が確実にできる。
出勤、退勤時間に合わせての日課、行動がとれる。
通勤が支障なくできる。
(交通機関の利用、公共のマナーなど)
余暇の善用ができる。
(趣味、楽しみをもって過ごすことができる)
そ の 他
休日の利用(休日を有効にすごすことができる)
家の手伝い(決められた家の手伝いをきちんとすることができる)
6
5
第3章
学習指導
1 目 的
主に土曜日の午後を利用して、社会生活をおくる上で必要な知識を身につけるため学習を行
います。職業訓練や生活訓練で指導されていることが、なぜ社会で必要なのか話をしていきま
す。そのため同じ指導者だけではなく、第三者(GHの世話人さんや地域サービスセンターの
ワーカー、各事業所の職員の方、修了生)による指導を行います。
また、性教育についても欠かせない学習のひとつです。これについては、男女にわかれて、
「男子学習」
「女子学習」というかたちで行っています。
1)職業学習指導
2)体育訓練
3)生活学習指導
4)男子学習・女子学習
2 指導のポイント
1)職業学習指導
ここでは進路活動を進める前段階として、就職に向けての意識を高めていく機会とします。
教材を用いて、訓練生にわかりやすく、就職している自分をイメージできるように指導して
いくことが必要です。また、各事業所の見学等も取り入れながら指導していくと良いでしょ
う。
2)体育訓練
筋力トレーニングや各種スポーツ(団体競技)を取り入れ、体力の向上、協調性の育成を
めざします。
3)生活学習指導
社会で生活する上で、必要なマナーや態度について学習していきます。机に向かって授業
をする形だけではなく、地域に出てボランティア活動や講話を聞く形を取り入れています。
6
6
学習指導年間プログラム(1学年)
第
1
週
4月
第
2
週
第
3
週
第
小遣い帳の書き方
電話のかけ方
手紙の書き方
防災訓練
パトローリングシス
テムについて
体育訓練
4
5月
移動キャンプ
移動キャンプ
6月
地域学習
体育訓練
7月
挨拶・言葉使いにつ
洋服のTPO
いて
帰省経路表作成
体育訓練
8月
帰省について
中間考査発表
体育訓練
9月
栄養指導
自転車考査
(中間考査)
体力テスト
(中間考査)
週
日曜日の過ごし方
学習テスト
(中間考査)
(休日利用計画書の書き方)
時刻表の見方
(買い物の仕方・物価について)
1
0月
職業学習 基礎学習
「安全面」
(ビデオ) 体育訓練
労働災害・安全対策
時間の管理
調理実習
1
1月
「衛生面」
食品衛生テキスト
体育訓練
障害について
年賀状の書き方
刑務所見学
職業学習
作業遂行上の基礎知識
働く為に必要なこと
1
2月
犯罪について
職業学習「基礎習慣」
マラソン練習
(ビデオ)
職場の決ま
(進級考査)
りを守る
1月
2月
「ことばづかい」
マラソン練習
(ビデオ)
正しく聞き、
(進級考査)
正しく話す
マラソン練習
(進級考査)
3月
「基礎習慣」
(ビ デ オ)職 場 の
チェックポイント
GH世話人さん講話
GH見学
体育訓練
マラソン練習
(進級考査)
試走
6
7
学習指導年間プログラム(2年生)
第
1
週
4月
第
2
週
第
3
週
第
4
週
体育訓練
サービスセンター講話 1ヶ月の生活費
5月
「職場見学」
体育訓練
通勤寮見学
ディスカッション
GH・通勤寮・自宅
について
6月
「給料について」
「求人票の見方」
体育訓練
外食時のマナー
外食・買い物
体育訓練
ボランティア
外食・買い物
7月
8月
職探しの方法
「面接の仕方・面接の
帰省について
練習」
ディスカッション
職探し
9月
サービスセンター講話
「余暇利用について」
1
0月
就業・生活支援セン
ター
離職について
1
1月
1
2月
1月
2月
3月
消費者センター
4)男子学習・女子学習
修了生は社会にでて沢山の失敗を経験しています。特に対人関係や携帯電話、性的問題が
目立っています。そこで、それらを中心に男女別に学習を行っています。
男子学習では日頃の厳しい訓練とは違い、訓練生と職員の距離間を近づけ、色々な相談や
希望をきき、進路への意識を高めることを目的とします。また飲酒や喫煙、性的知識の個別
聞き取りを行い、個別指導を行います。
女子学習では男子訓練生と共同生活の中で、女子訓練生の言動に女性らしさが不足しがち
であるため、時折女子だけで過ごす時間を設け、女性としての常識、女性らしい言動につい
て学んでいきます。また、性教育の時間としても利用し、知識不足による性的問題の対象に
ならないように正しい性の理解を深める学習を行っています。
6
8
第4章
余暇活動
1 目 的
当センターでは夜の余暇の時間を使って、サークル活動を行っています。また、バイク学習
を行い、交通規則、マナーを習得する機会としています。
また、訓練がない日曜日は個人で計画をたて、過ごします。この余暇の過ごし方は修了後も
支援が必要な部分であり、時間を持て余している人も少なくありません。そのため、毎週必ず
計画をたてて余暇の有効利用ができるように、自分の趣味探しとしても位置付けています。
1)サークル活動
2)バイク学習
3)休日利用
2 指導のポイント
1)サークル活動
当センターのサークル活動には「和太鼓サークル」
「サッカーサークル」
「陸上サークル」
があります。地域で行われている試合や大会、イベントに参加し、練習に向けての意欲を高
めています。サークルに参加することで、新たな楽しみの発見や、仲間と共に一つの目標に
向かって取り組むことのすばらしさなどを感じます。
2)バイク学習
バイク学習は1学年の中間考査を合格した人から学習を開始します。修了後の通勤を考え
た時、交通手段に幅を持たせるために、免許の取得を目指します。テキストやビデオ教材を
用いてわかりやすく解説しています。テキストの解説が終わると、実際に問題集を解き合格
6
9
点を目指していきます。合格点が何度か取れるよう
になると、教習所に行き試験を受けます。
3)休日利用
日曜日の過ごし方として、午前中は寮内、居室の
大掃除を行います。休みのときにしかできない身の
回りのこと(寝具交換・布団干し・靴洗い・環境整
備など)を済ませ、午後からは自由に使える時間と
夜の時間を利用して、バイク免許取得に向け
て、講義をうけます
して、各々で過ごします。休日利用については、時間を持て余す訓練生も多く、修了後も上
手に休日を過ごせず、支援を多く要す部分でもあります。当センターでは、少しでも自分の
時間として有効に利用できるように、週初めに「休日利用計画書」
を作成し、提出してもらっ
ています。買い物も、行き先やバスの時刻などについても調べさせ、帰寮後はお小遣い帳を
つけるようにしています。休日を有効利用すると共に、社会適応能力を育てる機会にもして
います。
休日利用計画書
日
所持金
月
目
的
氏名
外出先
出発
時間
帰寮
時間
決
日程経路
昼食
裁
備考
所長 次長 担任
(例)
4/5 7
8
0
0円
N床屋
センター⇒N センター
散髪
Fマート
床屋⇒Fマー
買い物
1
3:0
0 1
7:0
0
ト⇒センター
(シャンプー・
歯磨き粉)
印
印
印
4/1
2 5
5
0
0円
残寮
印
印
印
バスに乗って買物へ。交通機関の利用も勉強です
7
0
寮でゆっくり
休みます。
買物のあとのお小遣い帳チェック
第5章
進路指導(2学年)
1 目 的
生活進路については、まず、どこに住むかという「生活の場」の決定をしていきます。住む
場所がどこなのか、そこから通える職場をさがすためにも、まずは生活の場を決めていきます。
基本は本人の意志を尊重し、希望を聞き、それが可能であるかどうかを本人に段階を経て指導
し、理解を深めます。口頭での説明のみではわかりにくいため、体験を通して本人が理解でき
るようにします。例えば、アパートで一人暮らしがしたいと言っても、無理だということは簡
単ですが、それでは本人の納得というところまではいきません。最初から否定はせず、まずは
体験させてみる、その体験を通して本人が現実を知るといった段階を踏むことが大切です。最
終的には、
「自分で決める」ということが、大事になります。定着するためには、本人自身の
1年間の流れ(生活進路)
4月
進路アンケート
2者面談(本人・職員) ※本人の希望確認
事前アンケート
2者面談(保護者・職員)※保護者の意見確認
生活の場の見学(通勤寮・GH等)
5月
3者面談(本人・保護者・職員)※意見のすり合わせ
単身生活希望
アパート体験学習
アパート生活費調べ
現実理解
再度面談・進路の方向転換
生活進路の決定
6月
自宅進路
7月
9月
10月
*コース別訓練
・
トレーニングホーム利用(生活費調べなど)
・地域サービスセンターでの学習
・社会適応能力の向上
自宅誓約(自宅で生活するための約束事を決める)
・生活実習(自宅生活+職場実習)
・評価・家庭訪問
2月
・自宅契約(自宅での約束事、最終的な誓約)
・生活設計書作成
生活の場内定
※進路は、あくまで個々のケースに合わせて進めていく。
通勤寮・GH進路
通勤寮体験入寮
*コース別訓練
・
トレーニングホーム利用(協調性)
・通勤寮の生活費調べ・通勤寮職員・世話人さんからの講話
・社会適応能力の向上
・生活実習(通勤寮・GH実習+職場実習)
・評価
生活設計書作成
面 接
内定・利用契約
7
1
“納得”が必要です。
1)二者面談(本人・職員)
2)二者面談(保護者・職員)
3)生活の場の見学
4)三者面談
5)生活実習
6)自宅誓約
7)評価・家庭訪問
8)地域サービスセンターの利用(地域との交流)
9)自宅契約
1
0)生活設計
2 指導のポイント
1)二者面談(本人・職員)
事前に、本人たちへ進路アンケートを実施します。生活の場の希望と、職業進路の希望を
第3希望まで記入してもらいます。それをもとに、二者面談では、本人の現段階での希望を
聞きだします。
【二者面談報告書(本人)参照】
2)二者面談(保護者・職員)
保護者へも、事前にアンケートを実施し、親としての進路の希望を記入してもらいます。
それをもとに、保護者として現段階の進路をどう思っているか、意見を聞きます。
【二者面談報告書(保護者)参照】
3)生活の場の見学
訓練生は、生活進路を選ぶ際に、自宅・通勤寮・GHと大きくは3つの選択肢があるわけ
ですが、2学年の最初の段階では漠然としたイメージしかなく、具体的なことがわからない
まま進路を決定する場合があります。訓練生の選択
肢の幅を広げるためにも、実際に通勤寮やGHなど
を見学し、見て感じ、それを自分にあてはめていく
といった作業が大切になります。
4)三者面談
二者面談での本人・保護者の希望を互いに伝え、
7
2
生活の場をどこにするのかを決定しいきます。三者面談である程度生活進路を決定していき
ますが、ケースによっては、本人に色々と体験をし、現実を知った上で再度三者面談を行う
場合もあります。本人の納得のいくかたちでの生活の場の決定をしていく必要があります。
【三者面談実施マニュアル、三者面談報告書参照】
5)生活実習
雇用を前提とした職場実習が開始した訓練生から、生活のほうでも実習を行います。通勤
寮希望の人は通勤寮で、自宅の人は自宅での生活実習をします。両者ともに、本当にその場
所で生活ができるかどうか、評価をします。本人自身も、受け入れる側としても見極めが重
要となります。
6)自宅誓約
自宅生活を開始するにあたり、自宅での約束事を
決めます。この段階では、自宅で生活するための約
束事を守れるかどうか、同時に職場実習もうまくい
くように、自宅に帰る前に意識付けを行います。
【自宅実習のしおり参照】
7)評価・家庭訪問
自宅で生活するために、守るべき約束事を保
護者と一緒に決めます。
生活実習がスタートすると、カナン寮ではなく、センター外での生活となり、職員も目が
届かなくなります。そこで、訓練生が生活実習をしている所に出向き、そこでの生活の様子
を把握することが大事です。通勤寮実習者は、通勤寮の職員に様子を伺い、評価をしてもら
います。その評価次第では、意識付けのため、途中で実習を中止することもあります。その
ような評価のもとに、本当にそこで生活が可能かを判断し、また、訓練生の意識も高めてい
く必要があります。自宅実習者についても同様に、家庭訪問を行い、様子を伺います。評価
は保護者につけてもらいます。自宅実習者については、家族の協力・理解が欠かせません。
一番身近な支援者になるわけですから、この自宅実習の間での見極めが重要となります。
【家庭訪問報告書・通勤寮生活実習評価表参照】
8)地域サービスセンターの利用(地域との交流)
2年生の後半になると、センター以外での活動を増やします。自宅に戻る人であれば、地
域の行事に参加したり、地域サービスセンターの職員や他の在宅者とのつながりをもってお
くことが大事です。センター修了後すぐにはなかなか交流できなかったり、
サービスセンター
にも行きにくいというのが現状で、センター在籍中から地域との関わりをもつように、徐々
7
3
に地域の支援者へバトンタッチするようにしていきます。
地域サービスセンターでの交流
自宅生活をしながら、GHに時々宿泊をして、トレーニ
ングを行います
9)自宅契約
通勤寮入寮者に関しては、通勤寮との契約を結び、守るべきルール等を互いにかわします。
しかし、自宅生活者については、そういうところに関して曖昧なところがありました。自宅
生活をする人たちは、何も約束やルールがないのかといえばそうではありません。学生時代
とは違い、就職して自宅で生活をするわけですから、当然生活費の支払いや、家族の中での
約束事を決めておく必要があります。そこで、職場の内定がでた人から「自宅契約」を行っ
ていきます。生活実習時に結んだ自宅誓約をもとに、今度は、給料の中からいくらの生活費
を支払うか、保護者と本人との間で決めます。また、自宅で生活するためにここは守ってほ
しいという約束も両者でかわします。立会人として、センターの職員が入り、契約を見届け
ます。
【自宅実習のしおりの中の自宅誓約書参照】
1
0)生活設計
職場の内定もきまり、給与見込みがはっきりしてきた時期に、1ヶ月の生活設計書を作成
します。本人たちは、1ヶ月の給料をどのように使っていくのかよく理解できていない場合
があります。実際に、紙幣等を使って、お金の流れをつかみながら、生活設計書を作成して
いきます。水道・光熱費がいくらか、自分にかかる医療費、食費、通勤費、携帯代…などを
計算し、その中で自分で自由に使えるお金や貯金にまわすお金などを一つ一つ確認しながら
理解できるようにします。
7
4
【生活設計書(自宅・通勤寮)参照】
第6章
評価・考査
1 目 的
日頃の訓練だけではなかなか意欲が高まらなかったり、意識の継続ができなかったりと、目
標を見失いがちです。そこで訓練の効果を上げるために、毎月の評価と期ごとで考査を行いま
す。また、評価の点数に応じて奨励金が支給されます。
1)奨励金
2)評価
3)考査
2 指導のポイント
1)奨励金
奨励金は、
「訓練意欲の動機づけ」のために支給されます。毎月の評価表の採点に応じて、
訓練生本人に奨励金を現金で支給します。
また、奨励金は「学習費」としても支給されます。訓練生は、支給された奨励金をやりく
りしながら毎月の日用品や外出の際の小遣いなどに使います。そのような中で、お金の上手
な使い方、金銭管理、経済概念などを学んでいきます。
2)評価表
評価表は「絶対評価」と「相対評価」で採点されます。つまり、人と比べて相対的に何が
どれだけできたかという「相対的評価」だけではなく、その人がもっている能力に対してど
れだけその能力を発揮する事が出きたかという「絶対評価」で評価されます。例えば、1
0の
能力があるA君が5の能力を出した場合と、5の能力を持つB君が4の能力を出した場合で
は、仕事量としてみた場合はA君のほうが上ですが、絶対的な評価はB君の方が上になりま
す。このような方法を重視しますので、人と比べた能力の差だけで採点や順位が出されるわ
けではありません。
7
5
また、評価表は6種類に分かれています。指導をどこに重点をおくかで、配点が異なりま
す。1年生の前半は基本的生活習慣の項目が多く、徐々に社会性、協調性、精神面といった
部分の配点が大きくなってきます。また、生活実習が始まると、生活進路によっても評価表
が変わってきます。詳細は資料を参照してください。
3)考査
考査には「導入訓練考査」
「中間考査」
「進級考査」があります。
!導入訓練考査のポイント
・基本的生活習慣の指導と現段階での能力の把握
(事前に、基本的な生活習慣の確認及び細部徹底指導を個別に行う)
"中間考査のポイント
・基本的生活習慣の確立
#進級考査のポイント
・基本的生活習慣の習慣化
・個人課題を設定し、その改善と意識付け
・グループ生活考査(4∼5人のグループで生活し、
協調性、責任感、精神面をみていきます。
)
・2学年へ進級する事への自覚と自信をつけさせる
考査については計画書にそってすすめていきますので資料を参照してください。
7
6
第7章
今後の課題点
当センターの生活訓練を検証するために、地域生活支援を直接に担当している方々に集まっ
ていただいて、今後の課題点を探りました。
●一般企業就労に向けての生活訓練プログラム検討会の開催状況
・平成1
8年1
1月1
0日
(社福)南高愛隣会 県南地域サービスセンター 各グループホーム・ケアホーム群
グループ長他5名 との検討会
・平成1
8年1
1月1
5日
(社福)南高愛隣会 県央地域サービスセンター 各グループホーム・ケアホーム群
グループ長他5名 との検討会
・平成1
8年1
1月2
8日
(社福)南高愛隣会 通勤寮双葉寮 及び 諫早通勤寮職員 3名
(社福)民生会
佐世保通勤寮職員 2名
との検討会
・平成1
8年1
1月2
2日
(社福)南高愛隣会 県南・県央・佐世保・長崎各地域サービスセンター
生活支援ワーカー6名 との検討会
・平成1
8年1
2月3日
県北地区、県央地区、雲仙地区、長崎地区のご家族の方々8名
との検討会
●検討会の内容
! 地域生活の現場での生活支援の現状について
基本的な生活習慣
健康管理(通院 投薬 食習慣 運動 他)
余暇(休日利用 趣味 サークル活動 地域交流 他)
経済性(金銭管理 小遣い 貯金 経済設計 他)
職場定着(職場訪問 職場との連携 職業意識 労働基礎習慣 出勤準備 他)
社会性(反社会性 常識 規則 日課 他)
協調性(素直さ 思いやり 他)
7
7
精神面(自立心 相談 情緒の安定 他)
将来への希望
家族との連携
その他
! 修了生が地域生活する上で、また支援する上での課題点は?
(支援する割合が多いもの、特に支援するのが難しいもの等)
" 当センターの生活訓練の内容やあり方についての要望
# その他
● 一般企業就労に向けての生活訓練プログラム検討会
――雲仙・県央地区 グループホームの世話人さんより
① 金銭面
・無収入でも危機感がない
ホームでの食事には困らない(年金がある)
・お金の感覚が不足
切羽詰った状況になったことがない(保護者からの仕送りや、送りものがある)
金額の計算はできるが、金額とモノの関係性に疎い
・生活設計の認識不足
1ヶ月の生活設計がイメージできない
自分に見合った生活設計の指導必要(小遣いの額)
。ただし生活設計の指導は紙面上では
困難
自己負担金も含め、今後を見据えた金銭管理の徹底
小遣いとCDを買うのは別という認識がある
GH、通勤寮での生活費について、自宅進路の人も理解が必要
・ホームの「積み立て」の認識不足
「積み立て」が何なのかわからない。
「積み立て」がどのように使われているのかわからな
い。
② 協調性
・周りにあわせることができない
ホーム内の行事に全員一致して取り組めない(例:クリスマス会、外食、誕生日会など)
当センターでは2
0人だがグループホームでは4人が標準であり、4人の価値観を合わせる
7
8
にはより協調性が必要
・
「どうする?」の選択肢の場合、
「∼ない」を選択することが多い
当センターでは全員統一で集金をするので、
「する?・しない?」を選択して判断できな
い
・我慢ができない
人に合わせることが苦手な人が多い(自己中心的な人が増えている)
ホーム全体が家族という意識が薄れてきている
グループホームでの生活実習を積極的に取り入れてほしい
③ 当センターと地域生活のギャップ
・職場や地域生活には評価がない
頑張り度ではなく、行った日数で給料が出る
・当センターでは1万円、職場では8万∼9万貰う
沢山もらって驚くが全て小遣いだと思っている(家賃・生活費の支払いを理解していない)
④ 社会性
・地域の人への挨拶ができない
職員には挨拶するが、知らない人には挨拶できない。当センターでは地域の人と会う機会
が少ない。慣れてくると挨拶しなくなる。
・何かあった時の一言がない
「すみません」
「ありがとう」
「ごめんなさい」
「お願いします」が言えない
ホームでの来客に対応できない。お茶が出せない。
・敬語が使えない
誰にでも友達感覚で話してしまう
寄宿舎でも敬語の意識、訓練生と職員のけじめが必要(職場でも同様になるから)
「年上には敬語」が理解できない(言語能力や知識力で判断してしまう)
世の中に出てから学ぶのは難しい、2年間できちんと教えてほしい
・上下関係の理解ができない
年上の人をたてることがわからない。当センター修了生はプライドがある
センター内では2年生は上級生だが地域に出ると新人となりギャップがある
当センター在学中から、来客を招いたり、世話人さんとの接触が必要
⑤ 生活習慣
・洗濯が身についていない
洗濯物の量に関わらず、いつでも洗剤はスプーン1杯使っている
干し方がヨレヨレのままでしわをのばせない
・入浴指導が不十分
7
9
洗い方が雑で、キレイに洗えていない。グループホームでは特に男性の入浴指導ができな
い。職員と入るとできるが、一人で入るとできない人が多い。
・食習慣の偏りがある
好き嫌いが多く偏食になってしまう。調味料を必要以上に使う。盛り付けの勉強が必要
(何
でも一つの皿に盛りつける)
・調理の経験不足
当センターでは2
0人分だがグループホームでは4∼5人分であり、分量がわからない。
小さい鍋や炊飯器を使う練習が必要
・外食の経験不足
外食の経験も必要である(料理の本からの情報と実際食べた味は異なる)
選べない・上手に食べれない・マナーが悪い。バイキングは適量がわからず食べ過ぎる。
新年会・忘年会では自分のお酒の適量がわからないまま飲む
・季節に合った服装ができない
季節の変わり目がわからない。服装について周りの目を気にしない。年齢に見合った服装
ができていない。自分の中に決まりがあり、
「○月からは長袖」と融通が利かない。
・身だしなみの習慣化ができていない
世話人が休みの時は髭剃りも休み。髭剃りと歯みがきは言われなくてもできるようになっ
てほしい。評価があるからするのではなく、当たり前にできるように指導してほしい
・整理整頓ができていない
⑥ 余暇活動
・日曜日はクラブサークルや、地域での活動がある
ウォーキング・クラブ活動・ボランティア活動などだが毎週はない
休日は、午前中は掃除・洗濯等、午後は自由に過ごしている
・平日休みの人は一人で休みになることが多く、活動の場所がない
テレビを見たり音楽を聴いたりして過ごす
・趣味がある人は上手に過ごせるが退屈する人も多い
⑦ 障がい認知
・初期の訓練生はハンディを自覚できていたが、最近はできていない様に思える
・ハンディを持って世の中に出る事の大変さの自覚ができないと本人が苦労する
・ハンディをいかに自分で克服していくかが課題である
・障がいの認知ができず、精神的なたくましさの欠如に繋がっている
8
0
● 一般企業就労に向けての生活訓練プログラム検討会
――通勤寮より
① 当センター修了後に通勤寮で見られる問題点
・男女交際、対人関係が一番の問題(男女交際の一貫した教育が必要)
・職員の目の届かないところで、職員を見分けての行動がある
・社会人になったから自由だという意識がある
・叱る職員が近くにいなくなるとできない
・職場定着の面では大きな問題はない。自分で職探しをして納得して就職するから意識も高
い
② 反社会的行動
・通勤の行き帰りにいろんな問題が出る。
(イライラしてゴミ箱を蹴る、携帯電話の各種サ
イト、盗癖等)
③ 当センターに要望すること
・就職を進める際に生活設計を十分考えてほしい。
・読み書き計算の勉強にもう少し力を入れてほしい。
・目上の方に対する丁寧な言葉遣い、2年生が敬語を使う機会を増やす。
いろいろな年代の人を当センターへ招いて、言葉遣いの勉強を強化してほしい。
・性教育の充実∼「恋愛とはなにか?」
「男女交際とは?」などの学習。
・一般常識、マナー、社会のルールについての教育の充実。
・職業意識、金銭欲は当センターを修了後も意識継続ができるようにしてほしい。
・自立訓練は当センターだけのものではなく、職員の規制のない所で定着できるかが大切で
あり、生活進路がどこであっても、自活に向けて繋がっていることを教えてほしい。
● 一般企業就労に向けての生活訓練プログラム検討会
――地域生活支援ワーカーより
① 当センター修了後の主な問題
・同期とのつながりが強く、良い面もあるがお金の貸し借りもみられる
・携帯電話、キャッチセールスでの失敗がある
当センターでは情報が少なく、地域に出るといろんなところから情報が入ってくる
・当センターでは出なかった問題が、地域に出た途端に大きく出てしまう
(当センターは問題が出にくい環境ではなく、出やすくすることも大切)
・外出時の行動は乗り物の乗り方はわかっているが、マナーなどの把握が必要
8
1
当センターの時から地域の行事参加の機会を増やす必要性がある
・自宅契約については、修了後も定期的な意識付け必要である
特に生活設計の定期的な聞き取りが必要であり、家に入れるお金が減った、経済状況が変
わった等、修了時と状況の変化がある
・当センターにアフターフォロー担当、相談窓口の必要性を感じる。
センターの後押しがあっ
て地域の相談支援へ動ける人もいる
② 家族との連携
・母親との連携が重要である
・修了後の育成会活動への参加が少ない
本人が安定しているから今は必要ないという考え
比較的若い家族は参加率が悪い
地域に出てからも母親同士の意見・情報交換は必要
地区単位で活動することは必要(トレーニング・実習の状況報告など)
・当センターに行ったら1
0
0%就職できる、何とかしてもらえるという感覚を感じる。
・家族も進路が決まって安堵するが、次の目標を持つことが大切
就職したら「一人立ちした」
「親の役割がある程度終わった」という感覚になる
・自宅進路者の自宅生活が可能か否かは、家族の支援力がポイントではないか
家族と支援センターが連携してやっていけるかどうかの見極めが重要
・家族の方の障害認知ができていない様に感じる事もある
例えば転職の希望は本人の希望より親の希望になっていることもある(給料面、休み等の
要望を聞くと過大評価している家族もある)
家族も職探しの体験をするのもいいかもしれない
・当センターに限る事ではないが、親の勉強会が必要ではないか
③ 報告・相談
・大変なこと、取り返しのつかない頃になっての相談が多い
・家庭訪問も時間的に限られてくるので電話連絡は大切である
・地域での失敗は成長の1つ。次に活かせるようにしたいと考えている
④ 余暇活動
・週休二日になると余暇時間が多い
・余暇に集う場所の検討や魅力ある余暇活動の提供の必要性がある
・夜のクラブ活動への参加は、時間帯があわないこと、距離があることから難しい
・地域のイベント利用が必要になる
8
2
● 一般企業就労に向けての生活訓練プログラム検討会
――在宅者の親・家族より
① 当センターで学んだこと
・親元を離れて寮で訓練することがいかに大事かを学んだ
・計画的にお金を使える様になった
・仕事が休みで家の用事がない時は、必ず外出する習慣がついてしまった
② 自宅生活について
・初めのうちはいいが、だんだんと甘えが出てきて難しい面もある
・当センターで学んだ2年間のことを、いかにして親も一緒に継続していくかが難しい
③ 職場について
・相談できる人を作ることが大事
・本人から職場での悩みを聞いても親から会社へ言えない(言える所と言えない所がある)
・社長さんは理解あるが、現場で一緒に働いている人との関係が問題になる
④ 当センターに要望すること
・親自身が2年間で何を望むのか、親との信頼関係づくりを強化してほしい
・食事づくりは、献立、材料の買出し、調理の一貫した指導をしてほしい
・近年、活気ある挨拶がきかれない
・職員の姿勢については、教えるという意識よりも、自分自身の成長も含めた接し方が必要。
本人達からの相談事を「いつもの事」として済ませないでほしい
・ピアカウンセリングの指導を強化し、お互いに助け合いの精神を育んでほしい
・何故、療育手帳が必要なのかを学習させてほしい
8
3
第8章
ま と め
今回、地域で実際に支援をされている方々、自宅で生活されている保護者の方々からの意見
も交え、生活訓練プログラムを見直してきた。2年間という期限ある中で、いかに意味のある
指導をしていくかを考えた時、基本的な部分とそれぞれの能力に合わせた指導はもちろん、や
はり、2年後その人がどのような生活をしていくかを念頭において訓練することが大事だと言
える。ある程度、将来を見据えつつ、今この人にとって何を習得させるべきか、最低限必要な
生活習慣とともに、地域で生活するために今足りないもの、そしてそれを本人にわかりやすく
指導していくということ。このようなベースを大事にしながら訓練していくことが重要である
と感じる。知的に障がいを持っている方々にとって、言葉での理解が時に難しい場合がある。
とにかく、体験してみること、その体験を通して学習し、自分のものとして吸収していく。こ
のような過程が本当に大事なのだと感じる。生活訓練においても、体験と、繰り返しの指導に
よる習得が大半をしめる。さらに、寄宿舎で2
0名が同じ条件で同じ目標に向かって取り組むこ
とが、この2年間の訓練の一つのポイントである。この中で、協調性を養い、役割を果たし、
精神的自立を図るという、グループワーク的な要素があり、ここに、訓練の効果をさらにあげ
るポイントが含まれている。
生活面については、就職したからといって、支援の必要性がなくなるわけではない。特に、
生活については、就職すると支援の必要がないと思われがちである。保護者も意外とそのよう
にとらえ、安心される方が多い。しかし、生活面の支援は、地域で生活するからこそ必要のよ
うに感じる。生活の乱れが仕事に影響し、離職する場合が多いというのは実態調査を通してみ
えてくる。また、地域には、たくさんの情報や、興味のあるものが多く思わぬ失敗を招きやす
く、社会性を問われる部分が多い状況にある。そうした場合に、それを正してくれる支援者が
いるかいないかでは大きな差がある。長く働くためには、安定した生活が不可欠となる。就職
をしたからすべてが“自立”になるわけではなく、やはり生活面の支援・生活の安定があって
こそ定着につながっていくものだと思われる。今回の生活訓練プログラムは、この当センター
における2年間の訓練であるが、その後の継続的な訓練、学習も必要と感じる。また、時代の
流れとともに、訓練生の特色も年々変化している。その変化に合わせて本当に必要な訓練プロ
グラムをその都度つくりあげていくことが大変重要である。さらに、その時々のニーズや、福
祉をとりまく状況など職員も視野を広げ、型にとらわれない新たな取り組みをしていくことが
今後の課題であると言える。
最後になりましたが、今回、この生活訓練プログラムの作成にあたり、多くの皆様のご協力
を頂き、とても感謝しております。ありがとうございました。
8
4
第3編
定着支援のあり方
はじめに
障害者自立支援法における就労移行支援事業に期待されていることは、トレーニングのみな
らず就職支援・定着支援も含まれた内容になっており、
「定着支援」が大きな役割として位置
づいている。
当センターにおいても、開設当初からその重要性を認識し、課題点とされてはいたが、具体
的な取り組みや体制整備はまだ十分とはいえない状況にある。
このような状況において、就労移行トレーニングと一体的に機能する定着支援のあり方を考
えていく一つの指標として、当センター第1
8期生(平成1
8年3月修了者2
0名)の就職後1年内
に生じた様々な問題点・課題点及びそれに対する定着支援の実態を報告したい。
第1章
長崎能力開発センターの定着支援
当センターにおいては、社会福祉法人南高愛隣会(コロニー雲仙)
(以下「コロニー雲仙」
)
の地域生活支援システムと連携し、就職後の定着支援を行っている。
コロニー雲仙(社福)南高愛隣会と連携しての地域生活支援システム
長崎県立長崎高等技術専門校
中学校
高校(養護学校含)
福祉施設
入
校
希
望
者
(訓練の委託)
長崎能力開発センター
(2年間の能力開発訓練)
(受講指示) (職業相談)
一 般
就労の場
・一般企業 91%
・福祉工場 6%
・その他 3%
生活の場
・自宅 40%
・知的障害者通勤寮 45%
・グループホーム 10%
・その他 5%
(地域生活支援)
ハローワーク 公共職業安定所
(社福)南高愛隣会 コロニー雲仙
(入校申請)
・長崎障害者就業・生活支援センター
・県南地域サービスセンター(雲仙市)
・県央地域サービスセンター(諫早市・大村市 他)
・佐世保地域サービスセンター(県北)
・長崎地域サービスセンター(長崎市)
・NPOふれあいネットワーク・ピア(当事者団体)
8
5
就業生活支援4つの拠点
佐世保地域サービスセンター
佐賀県
長 崎 県
県央地域サービスセンター
(長崎障害者就業・生活支援センター)
長崎地域サービスセンター
県南地域サービスセンター
各拠点の地域サービスセンターには、
・障害者就業・生活支援センター
・相談支援事業
・グループホーム
・ケアホーム
・知的障害者通勤寮
・ジョブコーチ支援事業
・居宅介護事業
・短期入所
・日中一時支援事業
・地域活動支援センター
・トレーニングホーム・ルーム事業(法人単独事業)
・結婚推進室「ぶーけ」
(法人単独事業)
等の事業があり、当センター修了生の定着支援も含めて地域生活支援を行っている。
8
6
第2章
定着支援の実態
この章においては、当センター第1
8期生(平成1
8年3月修了者2
0名)を対象に、就職後1年
内における定着支援の状況を報告したい。
1 1
8期生の特徴
1
8期生の特徴として、平均年齢が2
1.
5歳と比較的若く、入校時1
6歳から2
5歳と幅があった。
障害の程度としてはB1が5名、B2が1
5名と軽度であった。
入校前の状況として、新卒者が9名、その他で1
1名と前年までの割合と比べて新卒者の割合
が少なく、学校生活を卒業し、社会での生活を経験している人が半数であった。
修了時の就職先として、一般企業への就職が1
7名、福祉工場などの福祉的就労が2名、作業
所が1名であった。また、修了時の生活の場は自宅が1
1名、通勤寮が8名、福祉ホームが1名
と自宅が比較的少なかった。生活支援については、受けている人が1
6名、残りの4名は支援を
全く受けていない状況であった。さらに、支援を受けていない4名は在宅者であり、修了後、
何らかの問題が起きてしまっている。詳しい経過については、1
8期生の事例報告をみていただ
きたい。
表1 1
8期生状況一覧
平成1
8年3月2
5日現在
性別
男(1
3人)
女(7人)
年齢
平均年齢2
1.
5歳
知的障がいの程度
(B1)5人
(B2)1
5人
入校前の日中状況
養護学校(9人)
施設・作業所(6人)
在宅(5人)
修了時の就職先
一般企業(1
7人)
福祉的就労(2人)
作業所(1人)
修了時の生活の場
自宅(1
1人)
通勤寮(8人)
福祉ホーム(1人)
生活支援の状況
受けている(1
5人)
受けていない(5人)
8
7
2 1
8期生の進路指導の状況
2学年に進級した時点で進路の希望取りを行った。その時点では、生活進路において自宅希
望者1
1人、通勤寮・グループホーム希望者7人、一人暮らし2人であった。
実際、自宅を希望しても家庭の状況で困難な場合や、職場がなく困難な場合などが多いため、
本人が直接保護者に聞くことで現実を知り、それを受け止める機会を作った。また、通勤寮・
グループホームを希望した人については、体験実習を行い体験する機会を作った。一人暮らし
の希望者については、実際に一人暮らしの体験をさせた。一人暮らしについては第2、第3希
望にあげた4名についても体験させた。実際に色々な経験を通して最終的にどこで生活するの
かを三者面談で決定した。その結果、自宅希望から通勤寮・グループホームへと希望を変更し
た人は1人。理由は「自宅での生活はだらけてしまうから」
「生活力をつけたい」ということ
であった。通勤寮・グループホームから自宅へ希望を変更した人は2人、理由は「やはり集団
での生活よりも自宅での生活をしたい」ということであった。一人暮らしを希望していた2人
については、通勤寮・グループホームを希望した。理由に「お金の計算ができなかった」
「一
人では何もできなかった」をあげている。その後生活の進路においては三者面談が行われた5
月∼6月の間でおおむねの方向性を出した。定着のポイントとして、生活の基盤がきちんとで
きているかどうかである。本人たちにも、そこをしっかり理解させ、親なき後も自立して生活
できるだけの力を備えておかなければならないことを知る機会を作ってあげる必要がある。
表2 1
8期生
生活進路状況
一覧
訓練生 アンケート 二者面談 アパート学習 体験実習
三者面談
四者面談
生活実習
五者面談
現
1
A
自宅
自宅
なし
なし
自宅
自宅
自宅
自宅
自宅
2
B
通勤寮
自宅
なし
なし
自宅
自宅
自宅
自宅
自宅
3
C
自宅
自宅
なし
通勤寮
通勤寮
通勤寮
通勤寮
通勤寮
通勤寮
4
D
一人暮らし 一人暮らし 一人暮らし実習 通勤寮
通勤寮
通勤寮
通勤寮
通勤寮
通勤寮
5
E
自宅
自宅
なし
通勤寮
自宅
自宅
自宅
自宅
自宅
6
F
通勤寮
通勤寮
なし
通勤寮
通勤寮
通勤寮
通勤寮
通勤寮
通勤寮
7
G
自宅
自宅
なし
通勤寮
自宅
自宅
自宅
自宅
自宅
8
H
自宅
自宅
一人暮らし実習 なし
自宅
自宅
自宅
自宅
自宅
9
I
自宅
自宅
なし
なし
自宅
自宅
自宅
自宅
自宅
1
0
J
通勤寮
通勤寮
なし
通勤寮
自宅
自宅
自宅
自宅
自宅
1
1
K
自宅
自宅
一人暮らし実習 通勤寮
自宅
自宅
自宅
自宅
自宅
1
2
L
一人暮らし 一人暮らし 一人暮らし実習 通勤寮
自宅
自宅
通勤寮
通勤寮
通勤寮
1
3
M
通勤寮
通勤寮
なし
通勤寮
通勤寮
通勤寮
通勤寮
通勤寮
1
4
N
自宅
自宅
一人暮らし実習 なし
自宅
自宅
自宅
自宅
自宅
8
8
通勤寮
在
1
5
O
自宅
自宅
なし
通勤寮
自宅
自宅
自宅
通勤寮
自宅
1
6
P
通勤寮
通勤寮
なし
通勤寮
通勤寮
通勤寮
通勤寮
通勤寮
通勤寮
1
7
Q
通勤寮
通勤寮
一人暮らし実習 なし
通勤寮
通勤寮
福祉ホーム 福祉ホーム 通勤寮
1
8
R
通勤寮
通勤寮
なし
通勤寮
通勤寮
通勤寮
通勤寮
通勤寮
通勤寮
1
9
S
自宅
自宅
なし
通勤寮
自宅
自宅
自宅
自宅
自宅
2
0
T
自宅
自宅
なし
通勤寮
自宅
自宅
自宅
自宅
自宅
生活進路の方向性が決まったら次に職業進路を進めていった。三者面談の時期にいくつかの
職場体験実習を行い、麺製造科・畜産科で訓練した部分を実践にうつしていく。その後、実践
で見えてきたものを再度認定考査で見直し、訓練を行う。合格者から随時、職探しや職場実習
へとうつっていく。1
8期生においては、職探しをしたのは、1
7人であったが、自分で探して職
場実習まで進むことができた人はだれもいなかった。そのため職員へ職探しの依頼をし、実習
先が決まるまで待機する。その間は実習に備えて各科で訓練を行った。残りの3人については、
コミュニケーションが困難であったり、本人の希望に沿う職場が求人を出しており、タイミン
グが合ったということが理由で、職探しをせず、直接職場実習を行った。
職場実習は1
2月頃には全員が職場実習に行くこととなり、職場実習を行った回数については、
1回が1
5人、2回が2人、3回が2人、4回が1人であった。実習先の変更理由については、
本人の希望にそったが適職ではなかったり、作業能力がおいついていなかったことがあげられ
る。実習先変更の際はきちんと本人にも理由を説明し、少しでも作業能力の向上や、意欲の向
上をはかれるように意識付けを行った。さらに、職場実習と並行して、生活実習も行うため、
生活実習での乱れが生じた場合は、職場先にも協力していただき、職場実習を一時中止したり、
生活実習を中止したりと意識付けを行ったケースもあった。五者面談は1
8人が行ったが、残り
の2人については、
「ケガ」
「情緒不安定」が理由で当センター在籍中には行えなかった。その
2人については修了後もセンターが支援をし、一人は怪我が回復後、実習を行い就職すること
ができた。もう一人は作業所に進路を変更し、実習を行った。進路指導の状況の詳細は表2を
みていただきたい。
今期の進路指導を進めていく中で、一つ足りないと感じたものがある。それは、地域との交
流である。職場の定着を図るうえで、重要なのは地域のサービス支援を受けていることが重要
であるのだが、その重要性を学習させ、
実際に在学中に交流会などに参加する機会が作れなかっ
たことは反省点である。そのため、支援を受けようと登録しても、行事に参加できなかったり、
気軽に相談に行ったりすることができないでいるようであった。今後の進路活動の中に、地域
のサービス支援について学ぶ機会を作っていきたい。
8
9
表3 1
8期の職業進路状況
希
望
体 験 実 習
職 場 実 習
修
了
1 A !クリーニング"洗車
馬鈴薯協会
小売業
小売業
2 B !運送業"動物と関わる仕事
馬鈴薯協会
農業
(養鶏)
農業
(養鶏)
!食肉加工"農業#製造業
製造業
(食肉)
サービス業
(廃棄物処理) 卸売業
(畜産物)
サービス業
(園芸品)
サービス業
(園芸品)
卸売業
(畜産物)
!自動車工場"パン屋
#ホテルマン
馬鈴薯協会
製造業
(食肉)
小売業
3 C
4 D
5 E !プロの太鼓"小売業#運送業 馬鈴薯協会
6 F !運送業
7 G
!製造業(お菓子)"製造業パン 馬鈴薯協会
#部品組み立て
8 H !清掃業"運送業#小売業
9 I !給食"食品製造業#宅配業
馬鈴薯協会
時
小売業
小売業
サービス業
(園芸品)
サービス業
(園芸品)
製造業
(菓子)
製造業
(菓子)
小売業
小売業
農業
(きのこ卸し)
農業
(きのこ卸し)
小売業
小売業
1
0 J
!菓子製造"リサイクル
#海産物加工業$皿洗い
1
1 K
!食品製造業"クリーニング
#車整備
(農業)
サービス業(老人福祉業) 小売業
農業
小売業
(農業)
1
2 L
!居酒屋(皿洗い)"清掃業
#警備員
サービス業
(給食) サービス業
(給食)
サービス業
(給食)
1
3 M !老人ホーム"運送業
サービス業
(給食) 農業
農業
!ファーストフード店
1
4 N "ケーキ屋#花屋
作業所
サービス業
(給食) サービス業
サービス業(クリーニング)
作業所
サービス業
(老人福祉業)
1
5 O !クリーニング"洋服屋#飲食店 製麺工場
サービス業(クリーニング)サービス業(クリーニング)
1
6 P !パン屋"ヘルパー#製造業
飲食店
飲食店
サービス業
(興行課)
サービス業
(興行課)
サービス業
サービス業
1
7 Q
!スーパー"レストラン
#大村おしぼり
1
8 R !製麺工場"花屋#スーパー
製造業
(食肉)
サービス業
(興行課)
製造業
(製麺)
1
9 S
!スーパー"居酒屋(裏方)
#小売業
サービス業
(給食)
、サービス業
(共同組合)
製造業
(製麺)
サービス業
(共同組合)
2
0 T
!パン工場"スーパー
#コンビニ
サービス業
(給食) 製造業
(パン・菓子)
製造業
(パン・菓子)
9
0
3 1
8期生の定着支援の特徴
第1
8期生の定着支援においては、生活の場が自宅の場合の傾向としては、地域サービスセン
ターの支援を受けていない人が何らかの問題が発生した時に、解決できず、問題が大きくなっ
てしまったようである。
1
8期生において生活の場が自宅の人は2
0名中、1
2名であったがそのうち支援を受けているの
は7名であった。残りの5名は支援を受けていなかった。その5名に関しては事例にもあげて
いるように、問題が大きくなり、うち3名は離職という形になってしまった。やはり、問題が
発覚して、当センターにより対応したものの、対応後も継続的に支援が必要であり、当センター
が継続的に支援をするのには限界がある。やはり、地域サービス支援を定期的に受けることが
重要である。そのサービスには就業の支援に加え、余暇の支援も行われている。知的障がい者
が地域で生活するうえでは、コミュニケーション能力の不足から自宅にこもりがちである。そ
のため、状況も把握できにくく、普段生活している家族だけでは本人の状況の変化を見逃しが
ちである。そういう状況を避けるため支援を受け、交流会などに参加するだけでも、本人には
楽しみができ、その時に第三者が本人の様子の変化にも気付くこともできる。そこは、本人に
限らず、保護者にも理解してほしい点である。また、当センターの役目として、在学中に地域
との交流を作って、
「地域のサービスを受けやすい環境づくり」があげられる。
一方通勤寮、グループホーム利用者の傾向としては、職場の定着、生活能力の向上などのト
レーニングも受けているため、ケースは多々あがっているものの大きい問題はなく、問題がお
きてもすぐに対応ができる体制が整っている。また本人の相談も受けやすく対応も速く出きる。
問題の内容としては、異性問題、経済的問題、対人面でのトラブルなどであった。異性問題に
おいては、男女一緒に生活しているため少なからず起きてくる問題である。しかし問題が起き
る度に指導を受けることができ、本人も学んでいっているようである。経済的問題としては、
通勤寮利用費など在宅者に比べ費用が多くかかる。そのため、生活設計が成り立たず、今後は
職場の変更や、生活の場の変更などの対応が必要である。そのような問題も随時通勤寮で対応
してもらうことができる。対人面におけるトラブルは、集団生活のなかでは必ずおきてくるも
のである。しかし、反面友達とのやり取りも多く、在宅者に比べると、交流の機会は多く、コ
ミュニケーション能力の向上は図れる機会は多い。
9
1
第3章
事例(1
8期生の定着支援)
1
8期生の修了後において、生活の場(在宅者と通勤寮・グループホーム利用者)という点で
見たところ、在宅者の方が、問題が大きくなってから気付く場合が多いようである。やはり、
支援を受けているかどうかが定着するための大きなカギといえるのではないだろうか。
通勤寮・グループホームでは常に家族以外の第三者と生活し、指導・支援を受けている。そ
のような環境の中では、対人ストレス、異性問題と、在宅者とは違った問題もでてきているよ
うだが、問題行動を早期発見、早期対応できるため問題が大きくならずに、解決することも多
い。また、すぐに相談できる人が近くにいるのもポイントである。修了後の状況については、
表4を参照していただきたい。
定着支援をしていく上でポイントを3点あげてみる。
1.本人たちの状況把握
本人たちがどのような問題を抱えているのか、状況を把握する。
2.保護者の状況把握
本人を支えてる保護者の状況も定着支援をすすめていく上で重要である。
支援力に不安があるところは、要注意である。
保護者にも本人の状況把握・課題を理解して支えてもらえるようにする。
3.各地域サービスセンターとの連携
本人たちの問題が出てきた時に、地域サービスセンターのワーカーとの相談を行い、今後
の方向性のアドバイスをもらうことができる。また、支援を受けていない人に関しても、今
後受けていけるように薦めることもできる。
今回は1
8期生の定着支援というかたちで2
0名を追いかけてきた。在宅で支援を受けていない
修了生の問題がクローズアップされ、当センターで支援を行った。その問題のケースと、支援
内容について紹介する。
9
2
表4
1
8期生
修了生 性別
修了後状況
療育手帳
入校前の状況
修了時の年齢
修了時の地域
支援体制
就職先事業所
(産業別)
修了時の
生活の場
4月 5月 6月 7月 8月 9月 1
0月 1
1月 1
2月 1月 2月 結果
1
A
男
B1
養護学校
2
0有
小売業
自宅
○
●
○
○
○
○
○
●
○
○
○ 定着
2
B
男
B2
養護学校
2
0有
農業
(養鶏)
自宅
○
○
○
○
○
○
○
●
○
●
○ 定着
3
C
男
B2
養護学校
2
0有
小売業
自宅
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
● 定着
4
D
男
B2
養護学校
2
0有
小売業
自宅
○
○
○
○
○
○
●
●
●
×
● 定着
5
E
男
B2
養護学校
2
0有
小売業
自宅
×
×
×
○
○
○
○
○
○
○
○ 定着
6
F
女
B2
在宅
2
0有
サービス業(共同組合) 自宅
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○ 定着
7
G
男
B2
通所施設
2
0有
小売業
(農業)
自宅
●
●
●
○
○
○
○
●
×
●
● 定着
8
H
男
B1
作業所
2
2有
製造業
自宅
○
△
△
△
△
△
●
●
●
●
● 定着
9
I
女
B2
通所施設
2
0有
製造業
自宅
△
△
△
△
△
△
△
△
×
●
● 定着
1
0
J
男
B1
在宅
2
3無
農業
(きのこ卸し) 自宅
○
○
○
○
○
×
×
×
×
×
× 離職
1
1
K
女
B2
養護学校
2
0無
作業所
自宅
×
×
×
×
×
×
×
●
○
○
○ 訓練
1
2
L
女
B2
施設
1
9無
サービス業(クリーニング) 自宅
●
×
×
×
×
×
×
×
×
×
× 離職
1
3
M
女
B1
施設
2
0有
サービス業
通勤寮
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
● 定着
1
4
N
男
B2
在宅
2
1有
小売業
通勤寮
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
● 定着
1
5
O
男
B2
養護学校
2
0有
小売業
(畜産物)
通勤寮
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
● 定着
1
6
P
男
B1
養護学校
2
0有
農業
通勤寮
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
● 定着
1
7
Q
男
B2
在宅
1
8有
小売業
(園芸品)
通勤寮
●
●
●
●
×
●
●
●
●
●
● 定着
1
8
R
男
B1
在宅
2
4有
サービス業
(給食) 通勤寮
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
● 定着
1
9
S
女
B2
作業所
2
4有
飲食店
通勤寮
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
● 定着
2
0
T
女
B2
養護学校
2
0有
サービス業(和太鼓) 通勤寮
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
● 定着
9
3
○…順調 ●…支援を受けた △…相談あり ×問題あり
事例1)
在宅でコロニー雲仙・地域サービスセンターの支援を受けていないケース
プ ロ フ ィ ー ル:Aさん・2
0代・男性・在宅・知的障害(療育手帳B1)
・てんかん。地域
の生活支援は受けていない。養護学校卒業後、建具屋に就職するが、本人
の能力不足で適応できず退職。その後当センターで職業訓練を受ける。就
職先は決まったが、契約は1年で、再度更新ができるという条件で入社。
ケ ー ス ・ 問 題:修了後、職場の仕事内容は理解できていた。また、作業内容が当センター
の実習時と変わり、本人も意欲的に取り組むことができていた。しかし、
会社の経営上の問題が発生し、給料未払いが発覚。その後も仕事には行く
が、給料の未払いは続く。給料未払いについては、支援を受けていないた
め、定期的な巡回指導もなく、たまたま当センターから連絡をしてから分
かった。Aさんが支援を受けていないため、当センターで支援することと
なる。
支
援
内
容:当センターから職員が出向き、社長と状況確認を行う。未払いの原因は、
きのこの生産ができておらず、生産量が減り、収入が少なくなったとのこ
と。収入の回復までには時間を要するように思えたとの状況報告があった。
本人は給料のことは心配だが、もうしばらく待ちたいとのことであった。
また、社長のAさんの評価は高く、今後も雇用継続で考えたいとのこと。
今後は定期的に職場を訪問し状況確認を行うこととなった。また、1年目
の契約更新については、当センター職員が同行することとなった。また、
就労支援を受けるようにアドバイスも行う。
支援後の本人の様子:支援後に1
8期生の同窓会を開いたところAさんも参加。やはり給料未払い
は続いており、心配とのこと。支援も受けようとしない。原因としては登
録料、支援料が支払えないとのこと。また、自分から給料の支払いを要求
した様子で、出勤しなくていいと言われ、自宅で待機中とのこと。
今 後 の 課 題:!就労継続が可能かどうかの検討。
"支援の必要性を教え、就労支援を受けることを薦める。
9
4
事例2)
在宅でコロニー雲仙・地域サービスセンターの支援を受けていないケース
プ ロ フ ィ ー ル:Bさん・2
0代・男性・在宅・知的障害(療育手帳B2)
。地域の就労支援
は受けていない。長崎県外出身の為、新しい環境の中での支援を本人が望
まなかった。当センターにおいて、職業訓練を受けた後、菓子製造会社に
就職。
ケ ー ス ・ 問 題:就職して半年が過ぎ、本人も仕事に慣れてきている頃ではあったが、職場
での部署異動があったとのこと。作業内容も今までと変わってしまい、本
人は混乱している。また、職場の上司とも人間関係がうまく築けず、スト
レスを抱えてしまっている。さらに、近くに友達もなく、話し相手がいな
いため、遠方であるが、当センターによく遊び来るようになる。職場での
状況については、本人から当センター職員へと連絡が入ったため、問題が
把握できた。職場での人間関係のストレスにより仕事を休む日が増えたり、
転職を家族で考えたりと、状況は悪化していった。
支
援
内
容:当センター職員と、職業安定所の指導官と職場訪問を行った。本人も話し
合いに参加している。修了後の状況確認をしたところ、就職して6ヶ月が
すぎ、職場内での配置転換が行われていた。本人は新しい仕事内容で、指
示されたことを出来ずに悩み、会社を辞めたいなど精神的にも苦しい思い
をしていた様子であった。特に計量が難しく、今でも自信がないと話す。
Bさんの能力からしても計量は難しく、すぐに適応は難しい作業であった
と思われる。今回の話し合いには本人も同席しており、上司より、現部署
に必要な人材であることを本人を前に言われており、安心した様子であっ
た。また、本人が苦手としていた上司も部署が変わり、人間関係での悩み
も減った様子。
支援後の本人の様子:当センターに来る回数も減り、職場、自宅での生活共に良好のようであっ
た。会社側も本人のことを配慮して下さったようで、少しずつ表情もよく
なり、時々当センターにかかってくる電話の声も明るい。友達については、
自宅に一番近い障害者就業・生活支援の登録を行い、そこで友達づくりに
励んではどうか…と提案するが乗る気ではない。当センター近くの就労支
援は同期の友達も受けており、本人は遠方であるがそちらの支援を望んだ
9
5
ため登録することとなった。月に2回ほど通勤寮に宿泊することができる
ようになり、本人も意欲的になった。今後も職安の定着指導による職場訪
問で様子をみていくこととなった。
今 後 の 課 題:!本人が定着指導を受ける職安とも連携を図る必要がある。月に1回程度
の連絡を取るかたちで状況を確認し、指導していければと考えている。
事例3)
在宅でコロニー雲仙・地域サービスセンターの支援を受けていないケース
プ ロ フ ィ ー ル:Cさん・2
0代・女性・在宅・知的障害(療育手帳B2)
。養護学校卒業後、
作業所に通う。当センターにおいて、職業訓練を受ける。修了後は実家の
パン屋に就職。自宅前の工場で働く。
ケ ー ス ・ 問 題:自営業のパン屋へ就職したため、1日を通して家族のみの関わりで、友達
もなく、満足できていない。そのため、当センターに毎日のように電話が
かかってきていた。話の内容もいつも同じで気が済むまで話している状況。
保護者からも余暇の利用が上手に使えていないと相談を受ける。
支
援
内
容:障害者就業・生活支援センターの登録をすすめる。当センター職員と本人、
保護者とで生活支援センターを訪問し、事業内容を説明していただく。
御両親とも納得され、すぐに登録。
支援後の本人の状況:登録後、在宅者交流会に参加し、友達をたくさん作っていきたいと、楽し
みをもって生活できるようになってきている。以前よりは電話の回数も減
少し、たまにかかってくる電話の声もとても明るくなっている。
今 後 の 課 題:何か問題が起きた時も、すぐに連絡がとれる関係はできているため本人か
らの連絡を待つ形をとった。しかし、
本人が慣れるまでの間は障害者就業・
生活支援センターとの連携を図り、本人の様子を当センターとしても支援
をしていく。将来的には支援センターへ支援を移行していきたい。
9
6
事例4)
在宅でコロニー雲仙・地域サービスセンターの支援を受けていないケース
プ ロ フ ィ ー ル:Dさん・2
0代・女性・知的障害(療育手帳B2)精神安定剤服用。養護学
校から直接センターへ入校する。センターでの訓練中に情緒面の安定が図
れず、一般就労は難しくなった。結局作業所へ通うことになり、修了後は
本人も頑張って通っていた。保護者へは就労支援を受けるように促すが、
なかなか登録されない状況。経済的な面で登録は難しい様子がうかがえる。
ケ ー ス ・ 問 題:修了後が気になり、当センターの職員より連絡をとったところ、情緒は安
定しており、作業所に行くのを本人は楽しみにしている。しかし、経済的
な面において、このままでは、困難と保護者も言われている状況。たしか
に、作業所からは一日約1
0
0
0円支払われており、交通費にも満たない状況。
その後、職業安定所の紹介で一般企業へ入社したものの1ヶ月で退職。原
因としては、基本的な挨拶・返事・報告ができなかったことや作業のス
ピードが遅かったことがあげられる。精神面の安定を図る前に就職したた
め、本人も適応できなかったのではないかと思われる。また、初めての環
境に慣れるまでに時間を要すため、職場への導入段階で支援が必要であっ
たと思われる。退職後、今まで通所していた作業所に行くことになった。
しかし、修了後と同様に経済的には難しく、このまま続けていくことが困
難との相談がある。
支
援
内
容:別の作業所を紹介する。そこでは今までよりも、Dさんに合った作業内容
であり、意欲的に取り組めていると思われる。給料も以前よりもらえると
のことである。また、Dさんにとっては余暇の支援を受けることが必要と
思われたため、余暇活用の支援を受けることを薦める。
支援後の本人の状況:情緒面の安定も図られており、作業も毎日楽しそうに行えている様子。
まだ、一般企業への進路を進めていくには、
課題は多いが徐々にレベルアッ
プがしていければと思う。給料については、評価制であったが、マイナス
点がなく評価が良好であったため、生活設計は成りたつと思われる。支援
については、保護者の同意が得られずに依然未登録である。
今 後 の 課 題:今後は、次のステップアップを図っていかなければならないが、次の段階
9
7
へ進むための支援はその作業所で行ってもらえるとのことであり、引き続
き連携して支援していきたい。
事例5)
在宅でコロニー雲仙・地域サービスセンターの支援を受けていないケース
プ ロ フ ィ ー ル:Eさん・2
0代・女性・在宅・知的障害(療育手帳B2)
。中学校卒業した
ものの反社会的行動により、社会適応できず児童自立支援施設に入所。そ
の後、当センターに入校し訓練を受けるが訓練中も帰省の度に反社会的行
動をくりかえしていた。
1
9歳で修了。
修了後は支援が必要であるとセンター
側は判断したが、Eさん自身が支援を望んでいなかった。1ヶ月は通勤寮
利用をさせていただき職場に慣れるまでは支援を受けることとしたが、そ
の後はやはり在宅での生活を望み、自宅から今までと同じ職場へ通うこと
となった。
ケ ー ス ・ 問 題:通勤寮から通っている間は職場の評価もよく、作業も理解して取り組めて
いた様子。しかし、自宅通勤になって1週間ほどして病欠したことをきっ
かけに、無断欠勤が続くようになった。
支
援
内
容:無断欠勤が続いたとのことで、直接本人に就労継続の意思確認をするため、
当センター職員で家庭訪問を行う。就労継続の意思はなく、退職を希望し
た為、当センター職員が同行し、職場へ退職願を出しに行く。その後も、
支援を望まないため、当センターの職員と電話連絡程度のやりとりとなる。
支援後の本人の状況:その後はスナックや飲食店などのアルバイトを行うが、すべて、1ヶ月間
内に退職している。原因としては、働く能力は十分備わっているのだが、
職業意識が低く、働くことの重要性が実感できていないためと思われる。
地域生活をしていく上で、働いていないことが、どう大変なのか実感でき
るまで時間が必要と思われる。半年過ぎた頃から携帯代金が払えなくなっ
たり、遊ぶお金もなくなったりと保護者の経済的な支援が難しくなってき
た時点で、働いて賃金を得る重要性がわかってきた様子である。その後、
平成1
9年2月に就職先がみつかったとの連絡がある。就職先は日中はパチ
ンコ店、夕方がスーパーということであった。仕事内容的に難しい点も考
9
8
えられるのだが、本人が気付いて納得しないと支援は難しい状況である。
今後本人が、8時間働き仕事内容も自分に適したものを選ぶことが継続的
に安定した収入が得られるということが理解できるまで、見守っていきた
い。
今 後 の 課 題:就労の大切さ、必要性を本人が感じることができるまで、時間が必要であ
る。それがわかるまでは定着は難しいと思われる。また、できるだけ本人
が相談しやすいような関係づくりを築いておくことが必要と思われる。
心配な点は反社会的行動を今まで繰り返してきているため、今後も同様の
行動に至らないよう、把握が必要である。
事例6)
在宅でコロニー雲仙・地域サービスセンターの支援を受けているケース
プ ロ フ ィ ー ル:Iさん・2
0代・男性・在宅・知的障害(療育手帳B2)
。普通高校卒業後、
作業所に通う。その後、当センターに入校し訓練を受ける。出勤拒否が当
センター訓練中から課題であった。寄宿舎から通うと問題はないが、自宅
から通うと、甘えからか出勤しないことがみられていた。実習期間中に何
度か指導を受けながら、自宅からの通勤が可能になった。
ケ ー ス ・ 問 題:3ヶ月のトライアル雇用を利用して入社したが、順調に継続雇用に至った。
しかし、自宅での生活が乱れ、ゲームばかりをしていた様子であり、御両
親も本人には強く言うこともできず、家族にはわがままが通じていた。そ
のため、無断欠勤するようになり、事業所から地域サービスセンターへ連
絡が入る。
支 援 の 内 容:支援を受けていたため、早急に対応できた。すぐに当センターでの再訓練
を受け、再訓練中に通勤寮の見学等も行い、生活進路を考えるきっかけも
できた。再訓練修了後、通勤寮のショートステイを利用し、生活の見直し
を優先に指導を行った。通勤寮からの通勤はとても時間がかかり大変だが、
きちんと通うことができていた。今後も通勤寮を利用することが望ましい
が、今の給料では生活設計が成り立たない。そのため、意識付けした後自
宅からの通勤が再開となる。
9
9
支援後の本人の様子:自宅からの通勤については今後も心配なところであるが、今のところは順
調に出勤できている。
今後は1週間に1回ショートステイで通勤寮を利用することとなり、余暇
の使い方が今までよりも改善されると思われる。
今 後 の 課 題:生活態度の改善を行う。また、定期的に通勤寮のショートステイを利用す
るなど、生活にはりを与え、本人の状況把握を行う。
1
0
0
第4章
ま と め
当センターの第1
8期生の修了後の定着支援の中で見えてきたものは、!支援の必要性、"当
センターと本人を含める家族との連携(ラポート形成)
、#保護者の本人理解、$特に修了し
てから1年間の定着支援の重要性である。
支援の必要性については、1
8期生の定着支援を行って強く感じた点であった。表4からも分
かるように、社会に出ると誰もが何らかの失敗はするものである。しかし、それをそのままに
しておくと問題が悪化することは言うまでもないが、支援を受けることで改善は見込めること
がわかる。大切なのは当センターで訓練中に支援の必要性を学習させ、例えば地域のサービス
センターで行われている行事に参加するなど、支援の必要性を肌で感じる機会が必要である。
また、問題が起きた時に、地域サービスセンターに限らず、当センターにも何らかの相談が
できるような、ラポート形成を2年間の訓練の中で築いていくことが重要である。
さらに、もちろん本人の同意のもと、地域生活支援者に当センターの訓練で見えてきた、本
人の状況、課題点を十分に伝えることも大切である。特に、在宅で生活をしている人に関して
は、保護者の協力は欠かせないものである。
修了して1年間が職場に定着するまでの大変重要な期間である。当センターから地域への橋
渡しの重要性についてはこれまで述べてきた通りだが、実際に定着支援を行うとなれば、定着
支援の専門の職員が一人配置されることが理想であり、体制整備も必要であろう。
図1
定着支援の理想のシステム
各地域の生活支援機関
長崎能力開発センター
2年間の訓練
長崎能力開発センターの
定着支援
(1年間)
就労先事業所
定着支援の役割
①職場への定着支援
②地域の生活支援機関への橋渡し
③家族支援
④同窓会活動
1
0
1
最
後
に
平成1
8年度、障害者自立支援調査研究プロジェクトとして、「障害者の就労移行
(一般就労)
並びに地域生活移行に資する訓練プログラムに関する調査研究」を第三セクター職業訓練法人
長崎能力開発センター(以下「当センター」
)においても実施した。
サブテーマを「やってみようよ。就労移行支援事業!」として取り組み、これから就労移行
支援事業や就労支援の分野に挑戦しようとしている方々の現場で役立つ参考書を目指してまと
めたつもりである。
第1編においては当センターで実施している知的障がい者を対象とした職業能力開発訓練プ
ログラムをまとめたが、今後の課題として
・基礎能力の強化(体力・挨拶他)
・働くための意識・基礎習慣・技能を育てるための個別訓練のあり方
・進路指導に入る前の事前学習(選択肢の理解)
・進路指導(体験実習・職場実習)の検証
・時代ニーズに応じた訓練科目の検討
等がみえている。
第2編では開設当初から実施している全寮制による生活訓練の必要性や訓練プログラムをま
とめたが、今後の課題として
・基本的生活習慣の習慣化の徹底
・生活設計の体験を通しての理解
・地域の人とのコミュニケーション能力の育成
・地域生活と寄宿舎生活との落差をうめる工夫 等がみえている。
第3編ではトレーニングの成果を上げるためには不可欠となる定着支援について事例を中心
に報告したが、今後の課題として
・各地域における就業生活支援への橋渡しの重要性
・家族支援の意識強化
・選任職員の配置
等がみえている。
平成1
8年度は、2
0年間の検証も含めて各訓練プログラムをまとめることが出来たが、同時に
見直すべき課題点も見えてきた。今後は、課題点を反映させた訓練プログラムに改善し、それ
を実践・検証し、職業能力開発訓練、生活訓練、定着支援のモデルを完成させていきたい。
1
0
2
資料編
1
0
5
1
0
6
1
0
7
1
0
8
1
0
9
1
1
0
1
1
1
1
1
2
1
1
3
1
1
4
平成1
8年度
障害者保健福祉推進事業等事業実施計画書
都道府県名、市町村名又は公益法人等名
第三セクター職業訓練法人 長崎能力開発センター
1.事業実施計画書
事業区分
&障害者自立支援調査研究プロジェクト
&事業名
障害者の就労移行(一般就労)並びに地域生活移行に資する訓練プロ
グラムに関する調査研究
'事業実施目的
!訓練生数3
57名、一般就労への就職率9
7.
5%、一般就労への定着率
(離転職者含む)82.
7%の実績を残す長崎能力開発センター(以下
「当センター」
)の2年間の職業能力開発訓練プログラムを発表し、
2年間を標準とする就労移行支援事業の訓練プログラムのモデルを
示す
"当センターでは開設当初より全寮制を取り入れ、就労移行トレーニ
ングと並行して生活トレーニングを実施している。
知的障害者通勤寮がその役割を終えようとしている今日、現訓練生
が寄宿舎から、自宅・グループホーム等へ移行するまでのトレーニ
ング過程をまとめ、一般就労するための生活トレーニングの必要性
並びにそのモデルを示す
#平成1
8年3月の訓練修了者20名の一般企業就労後の定着支援の実例
をまとめ、離職のリスクが高い就職後1年以内における定着支援の
あり方を示す
(事業実施計画
!例年実施している「修了生の実態調査」の内容を深め、修了生3
57
名、家族、事業所、支援関係者等を対象に実態調査を平成18年11月
までに実施する
"!の調査結果を今後も実践現場のデーターとして多方面から分析し
各種調査研究等に活用可能なデーターとして整理する
#!の調査に基づき「第17回修了生の実態調査報告書」を作成する
$過去1
9年間の実績を基に2年間を標準とする就労移行支援事業の訓
練プログラムのモデルをまとめる
%過去の実績と平成18年度の実践を基に一般企業就労に向けての生活
トレーニングのモデルを示す。将来的には実例を重ね内容を深める
と共に地域生活移行後のトレーニングの必要性やモデルの作成にも
結びつけたい
1
1
5
%平成1
8年3月の訓練修了者20名の一般企業就労後の定着支援の実例
をまとめ、離職のリスクが高い就職後1年以内における定着支援の
あり方を示す。さらには実態調査を反映した定着支援のモデル作成
に結びつけたい
&国庫補助所要額
'事業実施予定期間
平成1
8年7月1日から平成19年3月31日まで
(事業実施予定場所
!第17回修了生の実態調査は、長崎県県下全域を基本とする
"生活トレーニングのモデル作成のための実践(実習)は長崎県内の
2ヶ所にトレーニングホームを設置する
#平成1
8年3月の訓練修了者20名の一般企業就労後の定着支援の実践
は長崎県県下全域を基本とする
$「第1
7回修了生の実態調査報告書」及び各種モデルの作成は、長崎
能力開発センターで実施する
)事業内容
!現在までの19年間の実績を十分に検証し、2年間を標準とする就労
移行支援事業の訓練プログラムのモデルをまとめる
"現在までの実績と、今年度の訓練修了予定者(20名)が寄宿舎から
自宅やグループホーム等へ移行するまでの実践例に基づき、一般企
業就労に向けての生活トレーニングのモデルをまとめる
#修了生3
57名、家族、事業所、支援関係者等を対象に実態調査を実
施し、
「第17回修了生の実態調査報告書」を作成する
(別添
「調査事業計画書」参照)
$平成1
8年3月の訓練修了者20名の一般企業就労後の定着支援の実例
をまとめ、就労移行支援事業における定着支援のあり方を示す
*事業の効果及び活用方法 「第1
7回修了生の実態調査報告書」
「就労移行支援事業の訓練プログ
ラム」
「一般企業就労に向けての生活トレーニングモデル」「就労移行
支援事業における定着支援のあり方」を報告書として示し、障害者の
一般企業就労に向けての就労移行支援及び生活トレーニング、並びに
職場定着支援の各種プログラム作成に資するよう広く公開し活用を図
る
1
1
6
厚生労働省・障害者自立支援調査研究プロジェクト
「障害者の就労移行
(一般就労)
並びに地域生活移行に資する
訓練プログラムに関する調査研究」
プロジェクトメンバー
研究責任者
第三セクター職業訓練法人 長崎能力開発センター
理事長
田島 良昭
研究スタッフ
第三セクター職業訓練法人 長崎能力開発センター
阿 部 百合子(専務理事・所長)
森
純 子(生活指導課長)
七 種 和 恵(生活指導教官)
社会福祉法人 南高愛隣会
森 田 和 富(県南事業ブロック 総合支援部 部長)
野 口 弘 行(県央事業ブロック 長崎障害者就業・生活支援センター課長)
岡 崎 洋 子(基礎ブロック 自立支援センター ひまわり寮 一科科長)
林 田 眞 由(事務局 総務部 財政課長)
中 田 小百合(広報室 室長)
松 重
明(佐世保地域サービスセンター 支援員)
1
1
7
厚生労働省・障害者自立支援調査研究プロジェクト
障害者の就労移行(一般就労)
並びに地域生活移行に資する
訓練プログラムに関する調査研究
平成1
8年度報告書
平成1
9年3月3
1日発行
編著・発行
第三セクター
職業訓練法人
長崎能力開発センター
〒8
5
9
‐
1
2
1
1 長崎県雲仙市瑞穂町西郷戊1
4
92番地1
TEL 0
9
5
7
‐
7
7
‐
3
21
1 FAX 09
57
‐
77
‐2
0
71
印刷・製本
株式会社 昭和堂
〒8
5
4
‐
0
0
3
6 長崎県諫早市長野町1
0
0
7‐2
TEL 0
9
5
7
‐
2
2
‐
6
00
0