会報 GROOVY 45号 2008年 4月26日発行

KJFC
(九谷ジャズファンクラブ)
会報
http://www.kjfc.info
GROOVY
Vol.45
2008.4.26
追悼特集:オスカー・ピーターソン
KJFCと喫茶茶会記
CONTENTS
GROOVY VOL.45
公式ホームページ : http://www.kjfc.info
九谷ジズファンクラブ(KJFC)会報
2008.4.26
〔追悼特集〕
オスカー・ピーターソンの思い出
M.S. 3
ジャズ夢日記①水戸守敬一郎
4
〈五郎庵さんがオスカー・ピーターソンのLPを買ってきた〉
私にとってのオスカー・ピーターソン紅 我蘭堂
5
〔KJFCと喫茶茶会記〕
喫茶茶会記の状況
福地 史
オランダの歌姫たちJOANIE-S.T. Y's ROOM No.20 Y.S.
〔ライブレポート 草加JAZZ IN VOL.5〕
H.S.
〔連載〕
ハービー・ハンコック研究・第12回
高木 信哉
曲解説・楽曲解説遠藤 律子
ハービー・ハンコック研究・第3回:補足
田中 裕士
気まぐれジャズマン第25回
水戸守敬一郎
SOUL TLAIN Vol.7 M.T.
〔KJFC TOPICS〕
ジャズ夢日記①
水戸守敬一郎
例会レポート
紅 我蘭堂
JOANIE-S.T.
ほか
14
15
18
6
8
19
20
21
21
22
このPDF版GROOVY-45号は、印刷物として発行、配布したものを基に新たにレイアウトしています。したがいまして、
印刷物とは一部異なる部分があります。
表紙および本文中イラスト制作(各ロゴマークを除く)……水戸守敬一郎
※無断転載はかたくお断りいたします。
印刷・製本:文京堂 東京都文京区本駒込1-10-4 電話:03-3941-4508
《追悼特集》
オスカー・ピーターソンの思い出 M.
S.
オスカー・ピーターソンが2007年12月23
日にトロント、ミッシソーガの自宅で亡くなりまし
た。享年82歳でした。1982年の来日コンサート
ではミッシソーガ・ラトラーという自作の曲を演奏し
ています。私の一番好きなジャズ・プレーヤーでした
ので思い出を書きたいと思います。
ピーターソンを初めて聴いたのは1963年
(昭和
38年)
私がジャズを聴き始めた学生の時でした。そ
の頃、AKAIのテープレコーダーを購入して好きなF
Mラジオ放送やテレビ番組を録音して楽しんでいまし
た。当時FM放送は東海大学が実験放送として放送し
ており、時間によっては演奏者、曲目のみを説明して
LPレコードを裏表全て放送するだけというとても良
い時代でした。その中で
「オスカー・ピーターソンの
真髄」
というタイトルで日本では2枚組で発売された
「The Trio」
と
「Sound of The Trio」
が放送されました。
ジャズ・レコードをまだ全く持っていなかった私はこ
れを録音したテープを繰り返し聴いていました。特に
シカゴやオン・グリーン・ドルフィン・ストリートは
大変好きな曲でした。ピーターソンの指から機関銃の
玉のように繰り出される音にはビックリし感心して聴
いていました。大学祭で私達のクラブが音楽喫茶店を
開いた時には、このテープも皆さんにお聞かせしたこ
した。
ピー
ターソ
ン・ト
リオの
生演奏
を初め
て聴い
たのは
196
7年の
コン
サート
で、
ベースはルイ・ヘイズ、ドラムスはサム・ジョーンズと
いう63年に聴いたことのあるキャノンボル・アダレイ
セクステットの二人になっていました。その後も来日
の度に聴きに行きました。1969年にはドラムスがボ
ビー・ダーハムに代わりました。このときはカセット・
テープレコーダーを持ち込み録音してきました。前から
3列目の席でしたが、聞こえてくるのは左右の上の方に
あるPAスピーカーからの音で、残念ながら全くぼやけ
た音でしか録音できませんでした。今でもお宝として
とってあり、追悼として先日久し振りで聴きました。最
後の曲目はいつものように
「Hymn To Freedom」
です。1
971年にはベースがジョージ・ムラーツ、ドラムスが
ともありました。FMのジャズ番組を聴いていたとき
に、多分
「Night Train」
が発売されたころだと思います
が、ジャズ評論家の蔡垂炳
(サイスイピン)
さんがその
LPのB面最後に入っている
「Hymn To Freedom」
(自
レイ・プライスでした。レイ・ブラウン、エド・シグペ
ンと離れた後は常にメンバーは代わるようになって来ま
した。1976年にはベースのジョージ・デュビビエと
のデュオでした。その後暫くはピーターソンのコンサー
由への賛歌)
をかけるにあたって、
「トレモロでオルガ
ンのような連続した音を出して盛り上げる所を聴く
と、体の中の血液が興奮するような感じがする」
と言
われて聴いた所、本当にそんな感じになるほど感動し
トに行く機会がありませんでした。1988年に青山に
ジャズクラブ東京ブルー・ノートが誕生して話題になっ
ていたので一度行きたいとは思っていたのですが、あま
り入場料が高いので行けませんでした。ところが198
たことは今でも忘れられません。この曲は全米をツ
アーするようになってから、黒人への差別を身をもっ
て体験し、キング牧師などの公民権運動と黒人解放運
動が盛んになった1962年に書いたもの。黒人霊歌
9年にピーターソンがソロで出演するというので思い
切ってこの機会に聴きに行ってきました。入場料は2万
を思わせる曲調で、人種差別のない世界を願う祈りの
曲だそうです。その後この曲を聴きたくて買ったレ
コードが
「Night Train」
ではなくて7枚のアルバムから
円という金額だったと思います。
ある時テレビを見ていたらニュース・キャスターの
木村太郎氏が車椅子に乗っているピーターソンにイン
タビューをしていました。ピーターソンももう演奏は
集めた
「オスカー・ピーターソン・ベストアルバム」
で
3
しなくなったものと思っていました。しかし1993
年に脳梗塞で倒れたがリハビリを経て1996年には
カムバックできたそうです。2003年には東京ブ
ルー・ノートで演奏があるというニュースを聴いて、
これはもう最後の機会と思い聴きに行く事にしまし
た。前売りは売り切れで当日券しかないと言われまし
たので、立ち見も覚悟で仕事が終るなりすぐに駆けつ
けました。やはり満席で立ち見となりそうだったので
すが、入り口近くにストゥールを出して頂けて一応腰
掛けて聴く事はできました。ピーターソンが登場する
時すぐ目の前の通路を車椅子でステージまで送られて
行くのを見てビックリしました。ステージの端からピ
アノまでは歩いて行
かれました。40年
間聴いてきた私も、
78歳の車椅子に
乗ったピーターソン
を見てお互いに年を
とったものだなあ、
と言う変な感動があ
りました。メンバー
はギター ワケニウス、ベース ペデルセン、ドラム
ス ドリューという20年位続いているカルテットで
した。ピーターソンは病気の後遺症で左手が少し不自
由そうでしたが、右手が自由であれば全く問題が無い
と言うような演奏でした。最近の録音をあまり聴いて
いなかったので曲目があまり分からなかったのです
が、2004年のモントリオール・ジャズフェスティ
バルでのこのカルテットの演奏がNHKで放映されま
した。それと殆ど同じ曲が演奏されたようです。ミル
ト・ジャクソンの
「リ・ユニオン・ブルース」
やサテ
ン・ドールの他は
「ヒート・ランド」
や
「すし」
など自作
の曲が多い様です。ピーターソンはコンサートでは
度々、亡くなった音楽家に捧げる曲を演奏しますが、
このときはジョン・ルイスが亡くなったときに作った
という
「レクイエム」
を演奏しました。
カナダではピーターソンは80歳を記念して切手の
図柄に生存中に取り上げられましたが、そのような
ケースは初めてだそうです。
ご冥福をお祈りします。
ジャズ夢日記① 水戸守敬一郎
〈五楼庵さんがオスカー・ピーターソンのLPを買ってきた〉
−平成20年1月21日−
五楼庵さんがオスカー・ピーターソンの新譜
(?)
のLPをジャズ・
フェスティバルに行って買ってくる。スティープル・チェイス風のジャ
ケットデザイン
(?)
二つ折りのジャケット。
ポータブルのレコードプレーヤーでKJFCの皆
(?)
で、横浜の昔住ん
でいた家で、あぐらをかいて聴く。
一曲目は演奏に女性コーラスが入っている。あとの曲はピアノ・トリ
オの演奏。なぜかタイガー・ウッズも何曲か参加しているという。
「ああ。ジャズファン以外にも売れるようにねらってるなァ」
と思う。
9月いっぱい外国人ジャズマンは日本でのジャズ・フェスティバルで稼
いで帰っていくんだなぁと、五楼庵さんと二人でためいきをつく。
(夢
の中では今は7月初め)
。
4
J.J.J.
私にとってのオスカー・ピーターソン
紅 我蘭堂
プレイヤーはレコード・アルバムを残す。そしてその のレコードを聴きながら
レコードがある限り、例え肉体は滅んでもターンテー 思いめぐらす。そのレ
ブルの上で生き続けている。それにしてもオスカー・ コードは
『THE TRIO』
(VE
ピーターソンは何と膨大な数のレコードを残したのだ RVE V-8420)。空間を埋め
ろう。
「レコードを出せばいいってもんじゃ、ねえん
尽くすような絢爛豪華な
だょ」
と突っ張る奴もいるだろう。そういう連中には
淀みない
「音」
の羅列がま
「出す奴が偉いんだよ」
と突っ張り返してやる。レコー ず挙げられる。そして
ドを出すといういうことは、それだけピーターソンの 「間」
を上手くつかったバ
ジャズを求める人がいたという証しだろう。多くの要 ラード・プレイ。ライブ
望が長年にわたってあり続け、そしてライブを聴きた 録音ということもあって、乗り乗りの様子がうかがわ
いというリクエストもあり演奏し続けたことは、立派 れる。ピアノを弾きながら
「ウィウィウィッウィ」
と鼻
な金字塔といえる。
歌まじりのピーターソンが、とてもいい。
「シカゴ」
も
モダンジャズは半世紀以上の歴史を積み重ねてきた 楽しいし、しっとりと聴かせる
「イン・ザ・ウィー・
が、恐らくピーターソンのレコードは、将来CDに変 スモール・・・」
もいい。緩急自在な職人技が堪能できる
わるメディアが登場しても聴きつがれるに違いない。 アルバムではないだろうか。
また、もう1枚ぜひとも忘れられないレコードがあ
正直に言って、私はオス る。
『ELLA AND LOUIS』
。ご存知エラ・フィッツ
カー・ピーターソンとの ジェラルドとルイ・アームストロングの共演アルバム
お付き合いは深くない。 だが、このバックが凄い。ピーターソンのピアノに
レコードもそんなに持っ ハーブ・エリスのギター、ベースはレイ・ブラウン、
ていない。とうとう来日 そしてドラムスがバディ・リッチ。オールスターの共
公演も行かずじまいだっ 演といっていいが、ここでのピーターソンが素晴らし
た。でも数少ない手持ち い。リズムはエリスにま
のレコードはよく聴い
かせ切り、敬愛するふた
た。
りに寄り添うようにメロ
『WE GET REQUEST』
ディーを弾き、そうかと
(VERVE)には本当にお世
話になった。何回聴いたか分からない。コルコバー
ド、イパネマの娘・・・本当にジャズ・ピアノ・トリオ
いって決して目立つこと
の魅力を満喫させてもらった。そしてそこから聴く対
象を他のミュージシャンに拡げていったことは間違い
ない。もっと言い換えれば、1回聴いて聴き飽きて、
他のレコードを聴いて、また戻ってくるという原点み
たいなレコードだ。不謹慎かと思うが食事で言えば
“お茶漬け”
か
“もりそば”
の食感だ。
ピアノとベースとドラムスの楽器のバランスがとて
も気持ちよい。憚りながら、これからジャズを聴こう
とする人すべてにお薦めできるレコードだ。
オスカー・ピーターソンの魅力は何かと、もう一枚
5
なく、むしろ第3の
ヴォーカリストのように
バックコーラスを付けて
いるような感じ。これが
理想的な唄伴奏というお
手本を示している。そうピーターソンは
“唄ごころ”
に
溢れていたことがここでも立証されている。ピーター
ソンは声帯の代りにピアノを使って歌っている。だか
らこの名盤の伴奏はピーターソンでなければならな
かった。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
草加JAZZ IN VOL .5
2008年1月13日
於 草加市文化会館第一会議室
菅野 義孝カルテット
H.S.
近年、正月明けは草加JAZZ INのライブが楽しみに
なっている。KJFC会員の桑谷栄美子さんが中心と
なって
“NPO法人冒険あそび場ネットワーク草加”
を
主催する人達及び、楽しみながら賛助する方々や、地
域の音楽ファンも集って回を増すごとに活況を呈して
いる。
― 子供達を遊びを通じて育む
「冒険あそび場」
と
ブスポットでも殆んどPAを介しての音楽ばかり、草
加JAZZ INはアコースティックなサウンドを重視、PA
は最小限のギターアンプ、ベースアンプの使用にとど
まっている。従って音が実にまろやかであり、聴衆が
自然な音と出会える好適な環境になっている。
(3)
草
加市文化会館第一会議室、良好なグランドピアノが配
備された100名前後のやや細長い空間、音の響きも
よく、なんと言っても演奏者と聴き手の表情がはっき
ジャズとの共鳴 ―このコンセプトが素晴らしい。5
年前のスタート時お手伝いさせてもらった折、こちら
も末席にあつて皆さんと協奏出来たら……という思い
であつた。記念すべき第一回目の伊藤 潮トリオが、
り分かる音空間、音を介してのコミニケーションが良
会の意向を隅々までに押さえた完璧な演奏で答えてく
昨年11月ジャズギタリスト菅野 義孝氏に出演交
れ、集った方々に
“一味違ったジャズ体験をして見ま
せんか”
と言うキャッチフレーズを見事に体感した事
が、以降の良好な展開に寄与したと思われる。草加JA
渉の折、ピアノを配したカルテットの要望を提示、メ
ンバーに付いては一任した。氏は会の意向を十分理解
してくれ自身にとっても挑戦的なメンバーを思い描い
ZZ INの際立った特色を挙げれば、
(1)
手作りのライ
てくれた。しかし、ピアニスト、ベーシストのスケ
ブという事であろう。企画段階からスタッフの意見を
十分引き出し、会のコンセプトに照応したかたちにま
とめ上げ、その過程でライブやCDでその音楽性を十
ジュールが微妙であった。氏は最後まで諦めず調整す
る事によって何とかメンバーを確保したのだった。
従って12月の上旬まで時間が掛かってしまった経過
分掌握することも忘れない。ミュージシャンとのコミ
ニケーションも計り、当日は皆さんの誠意や普段の料
理で慎ましくもてなす。
(2)
楽器本来のサウンドを大
があり結果、G )菅野 義孝 P)
海野 雅威 B)
金
子 健 D)
木村 由紀夫のベストメンバーが揃っ
た。氏に言わしめればその日このメンバーが揃ったの
切にしている事ではないかと思う。コンサートやライ
は奇跡だったと言う事になる。それぞれ多様なライブ
好なかたちで展開できる事だと思う。
6
シーンで活躍している逸材達であり、海野 雅威は
久々の大型新人として脚光を浴びているピアニスト、
名門コンボのレギュラーを勤め堅実なベースワークに
定評のある金子 健、木村 由紀夫は第一線で活動す
る数々のコンボでの活躍、特に来日した海外のミュー
ジシャン達に評価が高く、氏の優れた音楽性を示して
いると言えよう。そして、リーダーの菅野 義孝はト
ラジショナル・モダンと称するに最もふさわしいジャ
ズギタリストであり、深く伝統に立脚しながら新しい
サムシングを感じさせる。1998年ジャズ新撰組
(
KING PADDLE WHEEL )
で初吹き込み
「マイ・ワン・
アンド・オンリー・ラブ」
前半のバラードプレイから
ミディアムスローのブルージーな展開、3分強の短い
演奏は、師匠グラント・グリーンの影響を感じさせな
がら随所に光るものがあった。2003年の初リー
ダー作
「イントロデューシング」
( WHAT’
S NEW )ギタ
リストにとって挑戦的なシンプルなギタートリオでは
チューブ・アンプによる音色のウォームな美しさにダ
イナミックなアドリブのコントラストが鮮やかな色彩
を感じさせる内容で、5年間の研鑽が自己のスタイル
として形成されつつある姿を浮き彫りにした様な優れ
た一作であった。この勢いのある流れが翌年、ニュー
ヨークでのメル・ライン、グラディ・テイトのトリオ
でレコーディングした二作目
「ムーブメント」
( WHA
T’
S NEW )として結実、現在、様々なライブシーンで
活動を展開させている最も期待されるジャズギタリス
トである。
前置きが長くなってしまったが、こうしたベストな
メンバーによる当日の演奏内容に触れて見たい。
三曲目
「IF I WERE A BELL」は当日のハイライト、
ベース∼ピアノ∼ギターの演奏展開で各人の充実した
アドリブ、取り分けギターの燃焼度はピークに達し
た。四曲目のラストナンバーは先のたぎ(たぎア)を静
めるかのような、きれいなメロディーの
「WHEN YOU
WISH UPON A STAR」
、ギターの繊細な表現が素晴ら
しい。そしてアンコールは
「TAKE THE“A”TRAIN」
、
それぞれにとって、本セッションの充実が溌剌とした
演奏を誘発し、楽しさ溢れた展開となった。
セッション終了後、ピアニストとベーシストは次の
ステージへ。菅野さん、木村さんを囲んでスタッフの
お母さん達が集
い、少し遅れて
冒険遊び場での
仕事を終えたボ
ランティアの若
者が三々五々席
に付いて、菅野
さんとフランク
にジャンルを越
えた音楽談義に
発展、ギターを借りて爪弾く場面もあり、終始にこや
かに満ち足りた菅野さんの表情は、すっかり草加JAZ
Z INに胸襟を開いた和やかな雰囲気に満ちていた。当
日のアンケートが次々に紹介され、今回が最高だった
という意見が多かった。
草加の音楽ファンに
“一味違ったジャズ体験”
を与え
た菅野 義孝カルテット。
それぞれの今後の活躍を期して待つものがあると思
う。
私は密かに次の企画、
「DEDICATE TO GRANT GRE
〔一部〕
オープニングはカルテットのスイギーな
「THERE
WILL NEVER BE ANOTHER YOU」
、二曲目しっとり
EN」
を横浜で………
とした音色の美しいバラード
「 SMOKE GET IN YOUR
と考えただけでワクワクして来る。
その展開に思いを馳せながら夜の帳の下りた草加を
後にした。
EYES」
、 三曲目ボサノバでリズミックなアドリブの
冴えたプレイ、ピアノのダイナミックな高揚感も素晴
らしい
「GIFT」
、四曲目ピアノをフィ二チュアーした
「
FLY ME TO THE MOON」
、五曲目ベースをメインに
「IN A SENTIMENTAL MOOD」
、ラストはドラムスに
十分な活動の場を与えた CUTEで締めくくった。
〔二部〕
各人のボルテージが上がってきたセカンドセット。
一曲目は才人ジョニー・マンデル作曲のバラード
「SH
ADOW OF YOUR SMILE」
、二曲目ギターとピアノ、
対話の妙技を聴かせた
「THE GIRL FROM IPANEMA」
,
7
ハービー・ハンコック研究・第12回
(
“Retrospective of The Music of Herbie Hancock”
)
(1972:
“Crossings”
(交差点)
)
HERBIE 1972
高木信哉
録音年月日
1972.2.15
1972.6.1
1972.11.21
1972.12.12
1972.12.13
タイトル Crossings
On The Corner
Moon Germs
Sun Flower
Dark Of Light
演奏者 Herbie Hancock
Miles Davis
Joe Farrell
Milt Jackson
Norman Connors
(レーベル名)
(WarnerX10作目)
(Columbia)
(CTI)
(CTI)
(Cobblestone)
1972年は国内で様々なことが起こった。2月、札 調、制御する統合的電圧制御モジュール群で構成さ
幌で
「第11回冬季五輪」
が開催された。同月、連合赤 れ、アナログ・シンセサイザーの基本構造を、初めて
軍による軽井沢の
「あさま山荘事件」
が勃発した。同
完成形として実用化した電子楽器である。オランダ系
月、横井庄一が28年ぶりにグアム島から帰国した。 アメリカ人の Dr. Robert Arthur Moog (Bob Moog) の
4月には川端康成が謎のガス自殺を図った。5月に
氏名発音は
「モーグ」
が正しい。しかしながら、日本で
は、沖縄が27年ぶりに本土に復帰した。6月には田 はムーグという誤った発音の表記が流布され一般化さ
中角栄が総理大臣になり、
「日本列島改造計画」
を発
れてしまった。
表、9月には日中国交が回復した。11月5日、上野 ステージで使用可能なミニ・モーグは、1970年、
動物園で、2頭のパンダが初めて公開され、開園前に “エマーソン・レイク・アンド・パーマー”
(以下ELP)
3,000人が行列した。
のキーボード奏者キース・エマーソンの依頼が、元で
開発されたステージ仕様のシンセサイザーで、いわゆ
1970年前半のハービー・ハンコック
(1972年当
るサテライト・シリーズの先駆的な存在だ。モジュ
時のハービーは31歳∼32歳)
は、新しい音の創り
ラー式が各機能をコードで接続していくのに対し、機
方に夢中になっていた。1972年のハービーは、シンセ 材の内部であらかじめ幾つかの接続を済ませており、
サイザーについて徹底的な研究を行っていた。ハー
それをスイッチで選ぶ様に作られている。後に当たり
ビーは、新しい音楽のための交差点に差し掛かってい 前になるこの方式は、音色設定の自由度に制約が生じ
た。
てしまったものの、操作の簡易性と明確性を獲得し、
1972年2月、ハービー
(当時31歳)
は、2年ぶ 機械いじりが苦手なプレイヤーでもシンセサイザーが
りに10作目のリーダー作
『クロッシングス』
を吹き込 簡単に扱える様にした。モーグ・シンセサイザーの音
んだ。1970年にメンバーを入れ替えた
“クワン
楽界での使用例としては、1967年にザ・モンキーズが
ディシ”
セクステットの2作目である。ハービーは、
アルバム
『Pisces Aquarius Capricorn & Jones Ltd』
(邦
「マイルス・バンドを辞めてから、
『ザ・プリズナー』 題:
『スター・コレクター』
)
で初めて使用し、ついで1
と
『ファット・アルバート・ロトゥンダ』
を吹き込んだ 969年にビートルズがアルバム
『アビイ・ロード』
で取
けど、それはあくまで過渡的なグループであり、レ
り上げるに至って広く使われるようになった。シンセ
コーディングだった。私が目指した音楽の完成形を示 サイザーの音そのものが作品の主な話題になったの
すのは、
“クワンディシ”
セクステットによってだ。
は、クラシック音楽ではウォルター・カーロス=ウェ
『クロッシングス』
を吹き込んだ頃は、シンセサイザー ンディ・カーロスの
「スウィッチト・オン・バッハ」
、
に興味があって、パトリック・グリーソンというシン ポピュラー音楽では1970年代前半のELPの作品が挙げ
セサイザー奏者をメンバーに加えたんだ」
と語ってい
られる。ELPのキース・エマーソンは、本来ライブ演
る。
奏向けではなかったモジュラー式のモーグ・シンセサ
パトリック・グリーソンは、モーグ・シンセサイ
イザーをステージに持ち込み、演奏中に設定を変えて
ザーを弾いていた。モーグ・シンセサイザー(MOOG
音を作っていた。こういった試行錯誤が、ミニ・モー
Synthesizer)は、アメリカの電子工学博士、ロバート・ グやポリ・モーグといったステージ仕様のシンセサイ
モーグ (Robert Moog)
〈1934年5月23日-2005年8月21日〉
ザーの開発契機となっていった。
が、1964年に開発したシンセサイザーのことである。
モーグ・シンセサイザーに魅せられた大物ミュージ
モーグ・シンセサイザーは、電気的振動を発生、変 シャンは、多い。スティービー・ワンダーは、マルコ
8
ム・セシルとロバート・マーゴレフが参加したトント うするだろうか、ということを一番気にしながら音楽
ズ・エクスパンディング・ヘッド・バンドの可聴可能 活動を続けていると思う。
ギリギリの低域のブンブンうなるシンセ・ベースを聞
1972年1月、ウェザー・リポートが初来日し、来日
き、二人をスカウトした。そして
『インナービジョン
公演を行う。筆者は、そのライブを見ているが、その
ズ』
、
『トーキング・ブック』
、
『心の詩』
など、それま
当時は正直あまりいいと感じられなかった
(後年大好
でにない重い粘っこいうねりのあるシンセ・ベースを きになるのだが)
。
使って、新しいグルーブ感を生み出し、新しいサウン 1972年2月は、チック・コリアが、
『リターン・
ドの創造に成功した。
トゥ・フォーエバー』
を録音し、録音メンバーで活動
ドイツ
(当時は西ドイツ)
では、モジュラー・シンセ を開始する。
サイザーの一機能であるミュージック・シーケンサー 1972年6月∼7月、マイルス・デイビスは、問題作
を活用したミニマル・ミュージックがタンジェリン・ 『オン・ザ・コーナー』
を吹き込む。この録音にハー
ドリーム等によって一般的な人気を獲得し、さらにク ビーも参加していた。ハービーは、一体何を感じなが
ラフトワーク等の活動によってテクノ・ポップという ら、録音に臨んでいたのだろうか?
ジャンルが広まった。ミュージック・シーケンサーの やはりリズムだろうか?
『オン・ザ・コーナー』
は、何
正確なリズム保持機能はテクノやディスコ・ミュー
度聞いてもなんか変な感じで、どこが小節のアタマな
ジックと相性が良いため、大々的に普及する。モー
のか判然としない。これは、プロデューサーのテオ・
グ・シンセサイザー・ユーザの代表の様なキース・エ マセロが、小節のアタマを単に1拍半カットしていた
マーソンも、1970年代後半はヤマハのGX-1を頻繁に
のだ。つまり2拍目のウラから曲が始まるのだ。この
使っている。時代が代わった現在は、アナログ部品主 トリックに中々気がつかず、一体マイルスは、どう
体だった内部回路がディジタル部品で構成され、制御 やって演奏しているのか?と謎だった。よく聞いてい
にコンピューター技術が導入される事によって、開発 ると、ベースがドドゥと弾くところが小節のアタマ
当初とは比べ物にならない高性能かつ高機能のシンセ だってわかってくる。
サイザーが登場し、主流となったが、逆に現行機種で 1972年7月、ギル・エバンスが、菊地雅章の招きで
は作成が困難な音色と音質を求めて、製造中止となっ 来日し、日本人のメンバーたちと臨時オーケストラを
た旧式のシンセサイザーを新品と同等もしくはそれ以 結成し、コンサートを行った。
上の金額で売買するケースも見受けられる。これがい わゆるヴィンテージ・シンセと呼称されるものであ
1972年12月、ウェイン・ショーターはロサンゼルス
り、アナログ制御式のモーグはその代表的な機種とし に引っ越した。子供のイスカの症状が悪化し、たびた
て、今でも高く評価されている。
びひきつけを起こし、ウェインは悩んでいた。前年に
ロサンゼルスに引っ越したハービーからカリフォルニ
さて
『クロッシングス』
を聞くと、マイルス・デイビ アの良さを散々聞かされていたウェインはロスに引越
スの
『ビチェズ・ブリュー』
の影響が、色濃く感じられ し、憎たらしいほど寒いニューヨークに別れを告げ
る。私は、チックやトニーやキースやウェインの音楽 た。ウェイン・ショーターの家族は、しばらくハー
と比較しても、最もマイルスの影響を受けていたの
ビーの家に居候した。そしてハービーの向かいの家を
は、ハービー・ハンコックだと思う。マイルスの下を 借りた。
去ったあとでも、マイルスだったらこの場合は一体ど
【
「SLEEPING GIANT」
曲解説楽曲解説 by遠藤律子】
1972年作のアルバム
「CROSSINGS」
の1曲目に収
録された
「SLEEPING GIANT」
は、スワヒリ語で名付
けられクレジットされた6人のバンドメンバーに加え
て、コンガ奏者も加わり、アフリカテイストにあふれ
るオープニングから24分を超えて堂々と演奏されて
いる、意欲作の組曲だ。
この時代、ファンク、ディスコ、ロックのキャッチー
なメロディとリズムに魅せられてジャズから離れる聴
衆が多い中で、この曲は、この時代のリズムを取り入
れつつ、音楽の発展を考えた時に言われる
「20世紀
のサウンドはアメリカで発展した」
という通説を具現
したような出来上がりになっている。
*曲進行
1.イントロ
いきなり始まるパーカッションの渦、これはハー
ビーはじめバンドメンバーが受け持っているのだが、
それはいわゆるアフロと言われるリズムになってい
く。
しかし、ラテン音楽のようにはっきりとしたリズム
の芯
(クラベという)
が提示されるのではなく、バンド
9
メンバーが単純な打楽器を一つずつ叩いて組み合わせ
たアフリカ的リズムだ。それに乗ってドラムスがかな
り派手にソロを繰り広げる。
ようなメロディ提示がなされる。
そしてAmキーのあまりアウトしていない普通の
ファンク演奏が始まる。
16ビートのファンキーなリズムに乗って、エレピの
ソロ、左手は4th BUILDの3つの音を押さえて、それ
を半音上げてドミナント感を演出する。
キーは最後にE♭に行く。
2.1楽章
ドラムスのソロが盛り上がって、このままこの曲は
終わってしまうのかと思い始めたところに、エレピと
ベースが入って来る。
リズムはアフロ。はっきりしたメロディはない。
ベースはA音を中心として、B♭?Cと弾いたり、Aフリ
ジアン
(Aの音をミとして、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、
ド、レとならべるスケール)
を想定させる動きをす
る。エレピはA音の上にB♭の3和音
(下からF,B♭,D)
を載せたりする。
段々AフリジアンからAコンビネーションディミ
ニッシュ系のアドリブソロに発展して行く。ペンタト
ニックで作ったメロディを半音上げて、アウトさせて
それを従来のドミナントの役割とする、モードの中の
ドミナント→トニック
終止形も出て来る。
2.2楽章
やがてテンポが落ちてなくなり、管の登場だ。
キーが設定出来ないフリーソロのようなメロディ、日
本の雅楽のようなメロディにベースも絡む。
やがてベースは、E,F♯,G♯,B,C♯のペンタトニック
で出来たフレーズで、中心音はF♯、F♯mキーとも言
える調整感の中での動きだ。
3.3楽章
ビートが16ビートにまとまって来る。
E♭mキーで、ペンタトニックのリズムパターンフ
レーズが提示される
ここでは、16ビートで刻む6拍子のくり返しが続
く。
5.5楽章
テンポが崩れて管登場。
ここでは、ソプラノサックスとベース、パーカッ
ションのみになる。
エレピの再登場でAm系のパターンが聴こえて、そ
れに乗ってサックスがモーダルなソロを展開する。
Aエオリアン
(Aをラとして、ラ、シ、ド、レ、ミ、
ファ、ソと歌うスケール)
でもあり、Aコンビネー
ションディミニッシュスケールでもありで、やはりア
ウトさせてまた戻りテンション感を演出する。
そして、B♭からさらにE♭7そしてFへと、比較的
短い時間で転調していく。ここは従来のブルース的5
度進行が見られる。
6.エンディング
再度、管によるメロディ提示、そしてドラムスのシ
カケを合図に、壮大なる組曲の終わりを迎える。Aに
戻るが、Eの3和音が載ったり、最後までここは何マ
イナー等とはっきりわかるコードは示されない。
パーカッションの弱いサウンドが残る。
5つのパートで展開される曲の1つ1つは割に簡単な
「1発ものファンク」
であるが、それらをつないで行く
リズムフリー、キーフリーの部分がアドリブなのか
決って書かれたものなのかはっきりしない作りになっ
ていて、この部分に現代音楽的な斬新かつ高度な音作
りが示されている。
4.4楽章
テンポがくずれて、また管セクションによる雅楽の
<アルバム解説 by 高木信哉>
『 Crossings/ Herbie Hancock 』
1. Crossings
2. Quasar
3. Water Torture
Herbie Hancock(p,electric piano,melotron),Eddie Henderson(tp,flh,percssion),Benny Maupin(bass clarinet, alto fl
ute,ss,piccolo,percssion),Julian Priester(tb,percssion),Buster Williams(b,percssion),Billy Hart(ds,percssion),
With Patrick Gleason(Moog Synthsizer),Victor Pontoja(congas)
Voices: Candy Love, Sandra Stevens, Della Horne, Victoria Domagalski, Scott Beach
10
ハービー
(当時31歳)
の10作目のリーダー作で、”
ム
ワンディシ”
セクステットの2作目に当たる。ワー
ナー・ブラザースへの吹き込みは、合計3枚あるが最
後の1作。本作は、壮大なそして壮絶な音楽絵巻であ
る。そしてマイルスの
『ビチェズ・ブリュー』
に対する
ハービーから答である。
さてハービーのオリジナルは、24分50秒にも及
ぶ
「クロッシングス」
の1曲だけで、2と3は、メン
バーのベニー・モウピンのオリジナルだ。
「クロッシ
ングス」
を聞くと、マイルス・デイビスの
『ビチェズ・
ブリュー』
の影響が色濃く感じられる。ジャケット
も、奥地にある川をグルと4人の僧侶たちが船を漕ぎ
ながら、思案しているような絵図で、
『ビチェズ・ブ
リュー』
のジャケットを彷彿とさせる。
「クロッシング
ス」
は、混沌とした5部構成の組曲である。全員の
パーカッションから始まるが、はっきりとしたリズ
ム・パターンは、でてこない。その上にドラムのソロ
が始まる。ドラム・ソロが終わり、曲が終わりそうな
雰囲気からハービーのエレピとベースで1部が始ま
る。2部になるとやっと管が登場し、日本の雅楽のよ
うなメロディが出てくる。3部にはビートが16ビー
トになる。4部には、テンポがなくなり、再び雅楽の
ようなメロディが提示される。16ビートに乗って、
ハービーのエレピのソロになる。5部は、管が再び登
場し、エレピの再登場であるパターンが聞こえてく
る。そしてサックスがモーダルなソロを取る。ハー
ビーの楽曲にしては、珍しくわかりづらい重苦しい演
奏である。5部構成で展開されるひとつひとつのパー
トは、決して難しくはないが、全体が繋いであるので
高度ではあるが混沌とした印象が否めない。この曲
に、もしウェイン・ショーターでも入っていれば、全
体の音に変化がもたらされ、もう少しスマートな音楽
になったのだが。しかしいつも以上に複雑なビートや
フィギュアを望んだハービー自身であったから仕方が
ない。
2も3も重苦しい演奏だ。2は、現代音楽風の生ピ
アノから始まり、全員の合奏があり、アルト・フルー
トのソロ∼全員の合奏∼トランペットのソロとなる。
またハービーのプロデューサー、デビッド・ルービ
ンソンの助言で、パトリック・グリーソンというシン
セサイザー奏者が、メンバーに加わっているが、まだ
パトリックが、シンセサイザーを使いこなしておら
ず、本作においてはこれといった効果を上げていな
い。しかし新しいもの好きのハービーは、このシンセ
サイザーの音色や響きが、新鮮でおもしろくて仕方が
なかったようだ。
ハービーのシンセサイザー研究の成果は、翌年に現
れる。ハービーは、まだ形には出来なかったが、次に
やる音楽の構想を虎視眈々と練っていた。 以上
ハービー・ハンコック研究・第3回:補足
(1963年分)
【
「Seven Steps to Heaven」楽曲解説by田中 裕士)
】
■録音データ
1963年 5月14日 Recorded: New York
Miles Davis(tp), George Coleman(ts), Herbie Hancock(p)Ron Carter(b), Tony Williams (ds)
ハービー・ハンコック、23歳の時のスタジオ録音である。
ジョージ・コールマン(ts)を迎えたクインテット時代は、ライブ盤作品がほとんどである中、このアルバ
ムは唯一のスタジオ録音盤として大変貴重な記録だと言えよう。
6曲収録中、半数の3曲をハービー・ハンコックがプレイしている。
(他、3曲は、作曲者であるヴィクター・フェルドマンをピアニストに迎え、カリフォルニアで録音され
ている)
■ 楽曲構造、主題とその和声進行考察
《Chord Changes of Harmony》
【Intro】
┃F7
┃E♭7
┃F7
┃E♭7
┃
┃F7
┃E♭7
┃F7
┃E♭7
┃
11
【A】
┃Fmaj7 Bm7(♭5)┃Em7(♭5) A7(#9)┃ Dm7 A♭7 ┃ G7
┃Gm7
┃ C7
┃E♭69 E7(♭9)┃F6
┃
【A】
┃Fmaj7 Bm7(♭5)┃Em7(♭5) A7(#9)┃ Dm7 A♭7 ┃ G7
┃Gm7
┃ C7
┃E♭69 E7(♭9)┃F6
┃
【B】
┃Cmaj7
┃ Dm7
G7 ┃ Cmaj7
┃ Fm7
┃E♭maj7
┃ A♭m7 D♭7 ┃ G♭maj7
B♭7 ┃
┃ Gm7
┃E♭7
┃E♭7
┃F7
┃Fmaj7
┃E♭7
┃Fmaj7
┃
C7 ┃
【A】
┃Fmaj7 Bm7(♭5)┃Em7(♭5) A7(#9)┃Dm7 A♭7 ┃ G7
┃Gm7
┃ C7
┃E♭69 E7(♭9)┃F6
┃
【Interlude】
┃F7
┃F7
┃
┃
┃
┃
A-A-B-A 形式 (8小節×4=計32小節)
Key of F で、主題A部分はいくつかの二次的ドミナント、経過和音を使用しながら、ダイア
トニックを中心にしたベーシックな和声推移で展開される。
Bridge (B部分)で Key of C に一時的転調、再び Key of E♭に一時的転調、さらに
Key of G♭への三度目の転調を経て、A部分の原調(Key of F)へと戻る。
この3展開転調は、Key of C→E♭→G♭とMinor 3rd
(短3度)
上行という Diminished Harmony の秩序性
を持って上行転調していることはマイルスの確信的思考によるものだと私は察する。1960年代初頭に創
られた楽曲としては大変興味深い転調例の1つである。
イントロダクション、主題提示尾部、そしてソリストチェンジ時の Interlude として、
│F7 │E♭7│ が4反復
(8小節間)
提示され、主題、個々のソロ(tenor sax, piano)の構図をくっきりと
引き立たせているコントラスト効果に成功している。 また、主題テーマ部4∼6小節目に Tony Williamsの為に仕組まれた、ドラムフィルインのスペースが
(シンプルなメロディキャラクターを退屈なものに感じさせない為の)
効果をもたらしており、実に素晴
らしい作曲アイデアだと感じる。
(いささか主観ではあるが)
主題A部分はメロディーが先に作曲され、主題B部分は和声進行秩序が先に創
作されたのではないかと察する
(勿論、断言は避けたいが・・・)
。
■ ハービー・ハンコックのインプロヴィゼイション
(ソロ)
考察
2コーラス
(64小節)
・・・時間にして約60秒という僅かな時間内に、当時23歳という新進気鋭
のハンコックが思い描いていた
(であろう)
、新しい和声色彩の小宇宙を垣間見ることが出来る洒脱なソ
ロで、実に心地の良い64小節間はあっという間に終結するのである。
一切無駄弾きの無い、簡潔で旨みが凝縮された極上のソロパートだと言えよう。
具体的考察としては、(1)オスカー・ピーターソン、ウィントン・ケリー等に見られる伝統的ジャズピ
アノインプロヴィゼイション語彙による、精度の高い8分音符フレージング。
(2)Delayed Resolve, Combination of Diminished Scaleによるハーモニー解釈と、それらの理念によると
ころのフレージング構築。などが特徴的だが、黒人としての独自性を強く保持しながらも、Bill Evansの
12
和声理念からの影響も明らかにうかがえる。しかし、いわゆる
『ハンコック・スタイル』
の完成域にはあ
と一歩達していないように感じる。特筆すべきこととして、この1963年5月のレコーデイングを
きっかけに、ハンコックはピアニストとして急速な成長、進化を遂げたという事実、そして9ヶ月後
(1
964年)
の2月にフィルハーモニックホールに於いてライブ録音された2部作、
“Four&More”
“My
,
Fu
nny Valentine”
で
『ハンコック・スタイル』
の完成を成し遂げたーと私は確信している。勿論その研鑽成果
の良きパートナーとして、マイルス、トニー、ロンという3人が多大なる影響を及ぼしたことは言うま
でもない。
■ コンピング
(バッキング)
における、オーケストレーション考察
両手を使用した、典型的なオープンハーモニーでオーケストレーションを構築している。
フロント奏者
(ソロイスト)
に対する
“単なる伴奏”
という古典的手法ではなく、ハーモニー的にもリズ
ム的にもソロイストを刺激し続け、ドラマティックな伴奏を奏で、アンサンブル全体の温度、展開、エ
ナジーを高める使命を果たしている。
具体的に提示され続ける和声は、7声∼8声によるコードワークであるが、左手で提示されている4
Way Closed(4声密集)部分、もしくは右手の内声部分に時折聴こえる
(※注1)
カラーノートがシーク
レットスパイスとなって、従来のハーモニーに、より色彩と重厚さを増して響かせている。また、前述
のソロ考察同様に、Delayed Resolve, Combination of Diminished Harmonyといった
(当時としては)
斬新な
るアイデアを積極的に取り入れ、オーケストレーションそのものを
(※注2)
フロートさせているのが心
地良く、全体を通して総ての瞬間が1音残らず美しく響いているのが実に素晴らしい。私自身も何度聴
いても毎回聴き惚れてしまうくらいだ。
(※注1)
カラーノート・・・各種和声を個々の色彩として捉え、構成音以外に付加音として響かせる、内声部分の音。テンショ
ンノートである場合と、そうでない場合も稀にある。
(※注2)
フロート・・・浮遊感。各種和声が持つ調性感を緩め薄める効果。ハーモニーコントラストとして、調性支配感の強い
部分との対比が生まれ、互いに引き立て合う成果が出る。近代クラシック音楽で確立された手法。
以上
13
KJFCと喫茶茶会記
喫茶茶会記の状況
2007年7月より本格稼動した綜合藝術茶房喫茶茶会記。
なんとか現在においても撤収せずに至っている。開店当初
は常連様にクラスタがあり三大派閥と銘打って崇めていた。
一つは展示中の作家さんのグループでありもう一つはMixi
つながりのグループでありもう一つがKJFCである。
そして現在においても君臨されているのがKJFCである。
開店当初の貧しい質感の中において
(無論いまでもそうだ
が)
わたくしの友人関連を凌駕する勢いでお越しになられ
るKJFC各位には心からの感謝と落涙が芽生える。
そのような主観はとりあえず伏せ、そこに客観的要素が
あることも言説したい。
正直わたしは定量的にKJFC各位より圧倒的に聴いてい
ない。
そこには枚数といった形而下的事実とは無縁の本質的に
聴いている
「枚数」
というものがある。
繰り替えすが年齢ベースで考慮しても聴けていないので
ある。
で、あれば店としての魅力が落ちるのも必定。それなの
に何故に主要顧客のクラスタとして通われ、君臨するの
か。思うに、そこで推量できることはKJFCがジャズ喫茶
文化のメセナでありジャズ喫茶の瓦解を抑止するために諸
活動を行われていることにあろう。
私自身もサラリーマン時代、ジャズ喫茶に遅ればせなが
ら通いつめていたものである。なにやらそういうメセナ的
感慨もあったのだ。さらにはその現場。マスターとの会話
に垣間見るマスターの苦悶の中にはジャズ喫茶の変容とい
う歴史が読み取れる。そのようなエンスージアスティック
な世界の中に相互間の共通の歴史認識が生じるわけである。
正直わたしの店はジャズ喫茶ではない。ジャズ喫茶スト
レート玉で生き残っている店は偉大だ。それでもわたしの
店、綜合藝術というビジョンの裏にもジャズ喫茶の変容の
というキー項目があることを通
(つう)
は確認されるのだ。
まあ、一言でいうならば
「お、若造の分際でようやっとるな」
という質感だ。
?私は綜合藝術という縦割り藝術の打破をビジョンとし
ている。ただし、ジャズ喫茶通いにおける異文化享受がわ
たしの基底にある。基底、いや海底にてわたしとKJFC各
位は要談しているわけである。それゆえに強固な連関が生
じているといってよいのだ。
? 思うに今後ジャズ喫茶文化という楔に打ち付けられ
た音楽解釈は皆無になるであろう。
わたしの年齢以下の者はジャズ協同組合長以外表層上で
は正直皆無に近い。
ジャズ喫茶の元来持つ異様なる謎性は四散された。その
中でKJFC誌の質感がなにやら反体制チックな同人誌であ
る風合いが
「楔的」
で好ましい。
そのような質感を後生に継承する役目も当店のミッショ
ンになる。
筆 喫茶茶会記店主 元渋谷道玄坂 @Groove
(旧音楽館)
WEBマスター 福地
〔茶会記でのKJFC会員の活動〕
2008年1月13日
(日)
『ローランド・カーク特集』 Y.S.氏
2008年1月27日
(日)
『オランダの歌姫たち』
JOANIE-S.T.氏
2008年3月2日
(日)
『ビル・エバンス特集』
M.T.氏
2008年4月6日
(日)
講演
『ティシュー・エンジニアリング』
石井宏一氏
2008年5月11日
(日)
『デューク・エリントン特集』
M.T.氏
2008年6月1日
(日)
『我が青春のセルジオ・メンデス』
JOANIE-S.T氏
(予定)
14
〔1月27日のレジュメ
(抜粋)
〕
喫茶茶会記 レコードコンサートVol.2 2008.1.27 JOANIE-S.T.
オランダの歌姫たち
Ann Burton (1933-1989) ・Rita Reys (1924- ) Greetje Kauffeld (1940- )を聴く
人口約1600万、鎖国時代の日本とも関係が途絶えなかった西ヨーロッパの立憲君主国オランダ。ジャズへの
造詣も深いお国柄と見え、アメリカ録音のレコードを自国の仕様に誂え、多くの作品を独自のジャケットに収
め残しています。また、数多くのジャズメンを輩出していますが、特に女性ヴォーカリストはオランダのみな
らず、ヨーロッパを代表する歌姫を育んでいます。多くの国民が、自国語のオランダ語だけではなく英語・フ
ランス語・ドイツ語に堪能だからでしょうか?
本日の企画は、何気なく見つけた1枚の写真がきっかけとなりスタートしました。大好きなAnn Burton、私
がコンプリートコレクションを目指すシンガーのひとりです。公式音源は’
67年のシングル盤以外蒐集を達成し
ました。このシングルも音源としてはオランダ盤Blue Burton CDに追加収録され、現在容易に手に入るように
なりました。彼女の伝記
「Blue Burton」
(Anneke Muller著)
は、若く可愛かった少女時代から晩年までのAnnの軌
跡を、数多くの写真とともに綴ったハードカバーです。 (吉祥寺Funky店主 故 野口伊織氏・Vocal評論の重鎮 高田敬三氏との写真もあり)
。蘭学に疎い私でも、眺めているだけで十分楽しめる本ですが、この第14章にAnn
最晩年の
‘87年 テレビショーでにこやかに共演する本日の主役3人の歌姫たちのショットがあります。
’
89年、56歳の若さで亡くなった以降も、わが国で高い人気が続くAnn Burton。彼女のアルバムの半数近くは
日本企画または日本録音! 私は残念ながら4度の来日公演 ‘73/’
(
74/’
77/’
80) に行く機会はありませんでし
たが、これを補って余りある素晴らしい作品を、その都度日本に残してくれました。
Europe’
s First Lady of Jazzとも呼ばれ、最近続々とLP/CDが復刻されるだけではなく、80歳を超えた今も、
バリバリの現役歌手として新譜を発表し続ける Rita Reysもコンプリートの道半ばです。 クラブシーンで人気が沸騰し、無名だった彼女の旧譜の復刻が続くGreetje Kauffeldも最近注目しています。
本日は短い時間ですが、3人の代表作のレコードを駆け足でかけながら、お楽しみいただきたいと思います。
ANN BURTON DISCOGRAPHY
1.‘Early’Burton & more / Fly Me To The Moon with Fl
amingo Combo (1962) Blue Jack Jazz Records CD
8 717127 650538
2. Fifty Years /Who care for Abraham / Down Town J
azz Band
(1963.11.20) Timeless Record CD TTD 639
3. Ann Burton (1965.11.20) DECCA EP BU 70 017
Her Debut Recording Miss Otis regarts / Kansas City
4. Blue Burton (1967.7.27) artone MDJ S-3063 /
CD SMM 496791 2 Go away little boy / Sunny
5. Ballad And Burton (1969.4.4) artone XDJ S-502
0 Bang Bang
6. Ann Burton Sings For Lovers And Other Strangers
(1972) CBS(Holland) S 64485 For all we know
7. Misty Burton (1973.3.16) EPIC(CBS-SONY) ECP
M-20 It’
s too late
8. By Myself Alone *(1974.4.28) EAST WIND EW-7
007 / CD UCCJ-4012 Yesterday & Yesterdays
9. A Lovely Way To Spend An Evening (1977.5.11) CD Absord Music Japan ABCJ-268
15
10. Burton For Certain
(1977.6) TRIO PA
P-9070 I won’
t cr
y anymore
11. He’
s Funny That
Way (1977.6) LOB
STER LDC-1005 Exactly like you /
Rainy days and Mon
days
12. New York State of
Mine *(1979.5) TRIO PAP-9175 / CBS(Holland)8
4281
New York state of mine / Come in from the Rain /
Something so right
13. Some Other Spring (1980.4.26) LOBSTER LD
S-1023
14. Sentimental Touch (1981) RCA PL70465 / C
D TOKUMA TKCB-70048 Way back home
15. Am I Blue (1981.5) KEYTONE KYT711 / CD
PHONO-Music CD272002311
16. It Might As Well Be Love *(1984) TURNING POI
NT 30002 This is new
17. That’
s All Ann Burton & Mark Murphy Meet The R
ob Agerbeek Trio
(1987.4.23) Blue Jack Jazz Records / CD BJJ
R 021
Burtone Records Issue
18. Ann Burton Sings Vol.1 (1987) Burtone BT0
01 Re-issue as No.12 [New York State of Mine]
19. Ann Burton Sings Vol.2 (1987) Burtone BT0
02 Re-issue as No.16 [It Might As Well Be Love]
20. Everything Happens (1988.7.2-3) Burtone C
D BT003 Her Last Recording Again
21. Her American Recordings (1989) Burtone CD
BT004
Re-issue as No.12(BT001) [New York State of M
ine ] & No.16 (BT002)[It Might As Well Be Love]
Omit [ Soon ]
Compilations
Ann Burton ? Louis Van Dyke Collection / artone
22. Miss Ann Burton / CBS-SONY
23. Skylark / CD LOBSTER
24. Collage / CBS(Holland)
25. Best Selection - New York & Holland Recordin
g CD Absord Music Japan ABCJ-340
26. Best Selection - Japan Recording / CD Absor
d Music Japan ABCJ-336
○その他、CBS-SONY(EPIC)より ベスト盤GOLD DISK
シリーズが2種類。
Lobster の一部音源がオーディオメーカー等販促品(TRI
O・石丸電器)としてLPにて流通。
○1977年の来日公演は、当時FM東京よりON AIRされ
た。
PRIVATE CD-R [Maybe You Be There] Legend
ary Blue Burton Live in TOKYO‘77
RITA REYS DISCOGRAPHY
1. The Cool Voice of Rita Reys(1957) There wi
ll never be another you / I cried for you
2. The Cool Voice of Rita Reys Ⅱ(1957) Star eyes
3. Two‘Jazzy’People(1958) Avalon / Prelude t
o a kiss
4. Marriage in Modern Jazz(1960) Too close for
comfort / Like someone in love
5. Jazz Pictures at an Exhibitin(1961) I’
m gonna
sit right down and write myself a letter / Speak low
6. Jazz Sir,That’
s Our Baby(1963)
7. At the Golden Circle Club,Stockholm(1963) St
ella by starlight
8. Live at Jazzfest,Warsaw,Poland(1963)
9. Relax with Rita & Pim(1964) Desafinado / Blu
esette
10. Congratulation in Jazz(1965)
11. Rita Reys meets Oliver Nelson(1965)
12. Rita a GO-GO,Live at The GO-GO Club,Loosdre
cht(1967)
13. Rita Reys Today ? Recorded in London(1969)
14. Rita Reys sings Burt Bacharach(1971)
15. Rita Reys sings Michel Legrand(1972)
16. Our Favorite Songs(1973)
17. Rita Reys sings George Gershwin(1975)
18. That’
s Old Feeling(1979) Too marvelous f
or words / Fly me to the moon
19. Rita Reys sings Antonio Carlos Jobim(1981)
20. Memories of You(1983)
16
21. Rita Reys & Trio Pim Jacobs Special Guest Lo
uis van Dijk Live at Concertgebouw(1986)
22. Have Yourself a Merry Little Christmas(1986)
Winter woderland
23. Two for Tea(1987)
24. CD Swing and Sweet(1990)
25. 2CD Europe’
s First Lady of Jazz Rita Reys
26. The Great American Song Book Volume 1(199
2)
27. 2CD Europe’
s First Lady of Jazz Rita Reys
28. The Great American Song Book Volume 2(199
2)
29. CD Tenderly(1992)
30. CD Loss of Love,Rita Reys sings Henry Mancini
(1998)
31. CD Once upon a Summertime(1999)
32. CD The Lady Strikes Again(1999)
33. CD Live in Concert(2003)
34. CD Beautiful Love(2004)
Compilations
35.
36.
37.
38.
39.
40.
41.
The Rita Reys Collections(1969)
Rita’
s Request(1981)
Rita Reys Collage(1981)
Rita Reys / Pim Jacobs Collage(1981)
CD The Ballad Album(1995)
CD First Lady of Jazz(1995)
CD Introducing Dutch Jazz Masters(1999)
42. CD Dutch Jazz Masters Volume 3 Rita Reys
(1999)
43. CD Dutch Jazz Masters Volume 6 Leading La
dies & Gents(1999)
44. CD Sommertime(2000)
45. 4CD-Box Set The Rita Reys Story / Songs of a
Lifetime(2004)
46. CD I Got Rhythm / Rare and Unissued recordin
gs 1949-1964(2004)
47. CD Hollands Glorious(2005)
48. CD Het Beste Van….Rita Reys(2006)
49. 3CD Songbooks(Bacharach,Legrand & Gershwi
n) (2006)
50. DVD Live at CARRE (2007)
その他 LP盤とは違う写真を使った、スリーブ付EP盤
が蘭PHILIPS等から多数発売されている。
GREETJE KAUFFELD DISCOGRAPHY
1.
2.
3.
4.
5.
6.
Hello Paulchen! ? Hello Greeyje
Sunday Melody
My Kinda’ World This Girl’
s in Love with You (This Guy)
And Let the Music Play Tristeza
He Was a King Uncrowned I Remember Clifford
Some Other Spring Polka Dots and Moonbeams
上記は本日持参分のみ
〔2008年3月2日 ビル・エバンス特集の様子〕
17
Y’s ROOM
No.20
2008. 3
Y.S.
「Y 茶会記でレコードコンサートを開く」
ここ数年都内に新しい
「ジャズ喫茶」
が増えてきていま
すが、中でもYのお気に入りが
『茶会記』
です。
お店の詳細は
「GROOVY」
Vol.43に特集が組ま
れているので、ここでは省略しますが、四谷三丁目か
ら徒歩数分の閑静な住宅街にあり、路地を入った民家
の一階という本当に
「大人の隠れ家」
的存在です。
このお店の店主は
「総合芸術喫茶」
を目指していて、
リクエストをすればバロックとかジャズ以外のアルバ
ムもかけてくれるので、厳密には
「ジャズ喫茶」
と呼べ
るかどうか分かりませんが、なかなかの質感のお店で
す。
照明を落とした店内は落ち着きがあり、Yにとって
紅茶を飲みながら好きな本を読んでいると、世間の騒
音を忘れる事が出来きる貴重な空間です。
そんなある日
「茶会記」
の店主との会話の中で、KJF
Cが
「ジャズ・カントリー」
の例会でやっているような
レコードコンサートをやりませんか、との話が持ち上
がりました。
YはKJFCの例会ではレコードコンサートの担当は
何回かやった事があるのですが、不特定多数のお客
(中には著名なコレクターの方もいるかも知れないの
で)
を相手に開催する事には躊躇いがありました。け
れども
「茶会記」
でKJFC会員以外の方に、Yの好きな
アーティストやアルバムで組んだ特集をお聞かせする
のも、意義のある事と思い引き受ける事にしました。
そのような経過で1月某日喫茶
「茶会記」
で第1回目
のレコードコンサートが、Yの担当で開催されまし
た。
特集内容はYの数少ないコレクションの中で、アナ
ログのリーダーアルバムをコンプリートした
「ローラ
ンド・カーク」
です。
以前KJFCの例会でも特集
(前編のみ)
したのですが、
ローランド・カークはYの大好きなマルチ・リード奏
者で、その風貌・演奏スタイルからどちらかというと
ジャズファンから敬遠されがちな演奏家でが、演奏を
聴けば聴くほど味が出てくるJAZZ界の奇才です。
当日は
(アルバムジャケットが素晴らしいので)
全て
のジャケットを店内に並べる事にしましたが、開催時
間には12名の方々が集まりました。
最初に2本のDVDでライブ演奏風景を抜粋で観て頂
き、その後ローランド・カークのリーダーアルバムと
サイドメンで参加してい
るアルバムから、聴きや
すいスタンダードナン
バーを中心に聴いて頂き
ました。
最後はMINGUS AT CA
RNEGIE HALLの「C J
AM BLUES」
で締めく
くりました。
少しでも多くの方にカー
クの良さを理解していた
だき、またファンが増え
てくれる事を希望しながら無事閉会になりました。
その後、これをきっかけにKJFCの会員やそれ以外
の方が担当してレコードコンサートが開催され盛況と
の事、このイヴェントがジャズファン・ジャズ喫茶
ファンの拡大に少しでも繋がればと思います。
18
気まぐれジャズマン 第25回 水戸守敬一郎
〈今、なやみ苦しんでいる若い君へ〉
君は中学生かい? 高校生かい?
今、君は苦しんでいるだろうな。苦しんでいない若者なんていないのだから。
学業、恋愛、夢、家族、友人。なやんで、とことん苦しんでくれ。
その苦しんだこと、なやんだ事は将来絶対むくわれるから。
けっして、むだなことではないから。
そして、そんなときに、君にジャズと言う音楽に出会ってほしい。
奴隷の黒人が仕事のときに歌った労働歌。一日の仕事が終ったときに仲間と演奏した音楽。
白人に、けっして屈しないと歌った黒人の心のさけび。
そんな音楽が、きっと君をささえてくれることだろう。
そして僕はやっぱり思う。
君はぜひ、ジョン・コルトレーンという、ジャズ・ミュージシャンに出会ってほしい。
ジョン・コルトレーンを今、じっくり真剣に聴かせてくれるジャズ喫茶なんてあるのだろうか。
ダウン・ロードなんていうので、ジョン・コルトレーンのジャズを聴けるのだろうか。
今の君に、気軽にCDを何枚も買う、お金がないのもわかっている。
しかし、何とかして、彼の音楽を聴いてくれ。彼の音楽はきっと君に力をあたえてくれるだろう。
それだって、なやみや苦しみは消えることはない。
だけど君は成長する。
ジョン・コルトレーンの真摯な生き方が、君をこのままではいけないと叱咤するだろう。
君のあまえた態度を、もっと真剣に生きる様にと、やさしく正してくれるだろう。
ジャズを愛する、君の先輩たちは、皆、そうやって、ジャズを聴き、力をもらって、生きてき
たのだから。
嘘だと思うなら、ジャズを聴く大人の人にきいてみな。
「ジョン・コルトレーンというジャズ・ミュージシャンを知っていますか?」
って。
知らないなんて言う人だれもいないから。
僕は、なやみ、苦しみ、ジョン・コルトレーンを聴く若者を絶対信じる。
19
KJFC TOPICS
○2008年1月13日(日)、桑谷栄美子
ランダ女性ヴォーカル特集を、3月2日(日)にはM.T.さ
さんが所属する
「NPO法人 冒険あそ
んが
「ビル・エバンス特集」
、4月6日(日)には石井宏一さん
び場ネットワーク草加」
主催のジャ
が「ティシュー・エンジニアリング講演」を行ないました。
ズ・ライブが開催されました。この詳
また6月1日(日)にはJOANIEST―S.Tさんがセル
細は4ページをご参照ください。 ○
ジオ・メンデスのレコード・コンサートを行なう予定で
同じく1月13日(日)に、総合藝術喫茶
す。詳細は12ページをご参照ください。 ○3月14日
『茶会記』
で、Y.S.さんが
「ローラン
(金)、M.O.さんが入会されました。今後もよろしくお
ド・カーク特集」
、1月27日(日)にはJOANIEST―
願いいたします。 ○4月26日(土)工藤真理さんが参加して
S.Tさんも
「オランダの歌姫たち」
と題して、アン・バート
いるアマチュアバンド、NJSSのライブ・コンサートが
ン、リタ・ライス、フリーチャ・カウフェルドの3人のオ
新宿で行なわれました。詳細は次号でレポートします。
JAZZ LIVEのお知らせ
日時:6月27日(金) 19:30開演予定
出演:山口和与( b)
宮野祐司(as)
場所:映画館 プロデュース:阿部久美子
《PROFILE》
山口和与/やまぐちかずよ(b)
1972年にプロとして演奏活動を開始。京王プラザホテ
ル
「サパークラブ コンソート」
「プレイボーイクラブオブ
東京」
、テレビ番組
〈11PM〉
、沢たまきショウ全国ツアー
他に出演。猪俣猛、西直樹、坂元輝テリーハーマン、
ニューサラブレッズ、大橋節夫with世良譲等のレコーディ
ングに参加。オリジナル作品はCDを5枚と、楽譜を発
表。スタンダード曲集
《infinity》
の制作にベーシ
宮野祐司/みやのゆうし
(as)
中学校のブラスバンドでサキソフォーンを始め、大学在学
中より演奏活動を開始。金丸正城、中村善郎、山口和与、
松尾明とTAKE TEN、二村希一グループ、小林洋と
室内バンド、バリトンサックスの宮本大路、等とのグルー
プ
「クロスカウンター」
、中牟礼貞則、谷川賢作、林栄一、
小太刀のばら、吉野弘志他、数々のミュージシャンとの共
演で活動中。1997年、フェビアン・レザ・パネ
(p.)
と
のデュオアルバム
《PLANTAR》
をリリース。
スト、作編曲、プロデューサーとして携わる。
http://ameblo.jp/yamaguchi-kazuyo/
ジャズ夢日記② 水戸守敬一郎
〈マイルス・ディビスの聴いたことのない曲を夢の中で聴く。〉
夢の中でも、うとうとと寝ていてじっとラジオの音を聴いている。 ライブの録音。
マイルスのフュージョン。パンゲアの中の曲みたい。サンタナのライブの音楽のよ
う。サンタナも参加しているのかな? お客さんものっている。パーカッションが
ハイテンポですごい。 マイルスのトランペットは時々、ちょこっとしか聴こえて
こないのだが、それがすごいのなんのって、ずい分長い曲のよう。と思って聴いて
いたら、あれれっ、ウッドベースが入ってきて、だんだんしっとりとした4ビート
のジャズになってゆく。
(夢の中で感動している。) う∼ん、これはマイルスのい
つ頃の曲だろうと思って聴いている。 と思ったら、目がさめて、まくら元のラジ
オから男、女の会話が聴こえていた。
20
SOUL TRAIN Vol.7
撮影:M.T.
21
RECORD
CONCERT( 例会) REPORT
[2007年11月16日
「映画館」
]
特集:テーマ
「夜」
その2
今回は先月の
「映画館」
例会で掛けられなかった
「夜」
の続編となりました。それにしても本当にジャズメン
は夜が大好物のようです。なるべく同名曲は避けまし
たが、
どうしても聴き比べをしたいものは掛けました。
この他にもまだまだ「夜」もしくはそれに付随する関
連の曲はたくさんあると思うので、このテーマはもう
数回はできそうです。
この日も約10名の会員が参加し
ましたし、新加入の荒井さんが初めてお見えになりま
した。
1. ROUND ABOUT MIDNIGHT/HOWARD RILEY
2. A NIGHT IN TUNISIA/COUNT BASIE
3. A NIGHT IN TUNISIA/RYAN KISOR
4. NIGHT SONG/AHMAD JAMAL
5. YOU AND THE NIGHT AND THE MUSIC
6. A NIGHT IN TUNISIA/ART BLAKEY
7. THE WAY YOU LOOK TONIGHT/ART PEPPER 「SURF RIDE」より
8. GOODNIGHT SWEETHERAT/ZOOT SIMS 「DOWN HOME」より
9. MIDNIGHT CREEPER/NORMAN SIMMONS
10. ONE NIGHT AFFAIR/SELDON POWELL
11. WHITE NIGHTS/VLADIMIR SHAFRANOV
12. 白夜 /川嶋哲郎
13. GRAVY NIGHT/ 岡安芳明
14. LONDON BY NIGHT/NATHAN DAVIS
15.IN THE STILL OF THE NIGHT/MARGE DODSON
アナログにこだわる、銀座の老舗
「
」
東京都中央区銀座6-2-5ウエストビルB1F phone:03-3572-76840
営業時間:コーヒータイム PM0:00∼5:00
(土曜日のみPM2:00∼)
バータイム PM7:∼11:00 定休:日曜祝日
(バータイムは土曜日も)
交通:東京メトロ銀座線、丸の内線、日比谷線
「銀座」
、JR
「有楽町」
駅他
メニュー:コーヒータイム 珈琲・紅茶500円、ビール700円
バータイム ボトル8,000円
(チャージ3,000円)
22
[2007年11月24日
「ジャズ・カントリー」
]
特集:DJ我蘭堂
「欧米か、ジパングか」
最近のレコード・ライブラリーより
本日は、3連休の中日にもかかわらず例会にご出席
いただきまして、誠に有難うございます。
今日は私が担当させていただきます。タイトルは偉
そうに「DJ我蘭堂『欧米か、ジパングか』
」などと付
けましたが、なんのことはありません。私が最近聴い
て良いと思ったアルバムを、新譜を中心に紹介させて
いただくだけです。
新譜とは言っても復刻盤もありますので、純粋に最
近の録音だけではありませんが、理屈抜きに楽しめる
ものを集めてみました。
一応前半はアメリカとヨーロッパ。後半は日本人を
掛ける予定です。どうかリラックスして、お聴きくだ
さい。紅 我蘭堂
PLEX 3.SHADOW OF YOUR SMILE/4.KAWA
POWER 5.YOU AND THE NIGHT AND THE MUSIC 6.DANNY BOY/7.I WON'T DANCE 8.AUTUMN
LEAVES
グラント・スチュワートは1971年カナダのトロ
ントで生まれ。チャーリー・パーカーやワーデル・グレ
19歳でニューヨー
THE BILL CHARLAP TRIO LIVE AT THE VILLAGE イをアイドルにしていたらしいです。
クに進出、クラーク・テリーやブラッド・メルドー、カー
VANGARD
ティス・フラーなどのグループやバンドで活躍、1992
BILL CHARLAP(p) PE年に「DOWNHOME SOUNDS」というアルバムを
TER W A S H I N G T O N ( b )
リーダー作で発表以降、
確実にアルバムを発表していま
KENNY WASHINGTON(ds)
す。近年は同じテナー・サックスのエリック・アレキサ
2003 年 9 月録音
1.ROCKER/2.AUTUMN IN
ンダーと組んだライブや吹き込みを多く出しています。
NEW YORK 3.GODCHILD/
スタイルは、お聴きになればお分かりでしょうが、
4.THE LADY IS A TRAMP/
オーソドックスな吹き方で、どちらかというとソニー・
5.IT'S ONLY A PAPER
ロリンズやデクスター・ゴードン系の男性的なスタイル
MOON/6.MY SHINING HOUR 7.ALL ACROSS THE
です。これもやはり中川さんからいただいた音源です。
欧米か アメリカ編
CITY/8.WHILE WE'RE YOUNG/9.LAST NIGHT
WHEN WE ARE YOUNG
IN THE STILL OF THE NIGHT/GRANT
ビル・チャーラップは、すっかりおなじみの中堅ピ
STEWART
ア二ストです。
安定感があると言えば言えるのですが、
GRANT STEWART(ts) TARDO HAMMER(p)
現在ではいまいち個性に乏しいかなと感じています。
こ
PETER WASHINGTON(b) JOE FARNSWORTH
れからが楽しみです。バックで堅実なサポートをして
(ds)
いる二人のワシントンに注目でしょうか。名古屋の中
2006 年 10 月17 日録音
川さんから頂戴した音源ですが、中川さんは特にドラ
1.IN THE STILL OF THE NIGHT/2.THEME FOR
ムのワシントンがお好みのようです。
ERNIE/3.WIVES AND LOVERS/4.AUTUMN
LEAVES 5.IF EVER I WOULD LEAVE YOU/
SHADOW OF YOUR SMILE/
6 . W O R K / 7 . L U S H LIFE
GRANT STEWART
8.LOADS OF LOVE
GRANT STEWART(ts)
もう1 枚グラント・スチュ
PETER B E R N S T E I N ( g )
ワートを。本格派だけにこのま
TARDO HAMMER(p) PEま延びてほしいプレイヤーです。
TER W A S H I N G T O N ( b )
あとこの人に欲しいのは“遊び
LEWIS NASH(ds) 心”。テナーの巨人といえばソ
1.THIS COULD BE THE
START OF SOMETHING BIG/2.THE FABIO COM- ニー・ロリンズもデクスター・
23
ゴードンもズート・シムスも豊な遊び心の持ち主でし
た。誰が悪いとは言わないけれど、最近のテナー奏者
は真面目に吹きすぎていて、面白みに欠けるところが
あります。曲全体の構成にしても、個々のフレーズに
しても余裕がほしいなぁ。
1984 年 3 月 3 日 4 日、5 月 1 日録音
SIDE A 1.SATIN DOLL 2.SOFTLY AS IN THE
MORNING SUNRISE/3.TOO
LATE NOW
SIDE B 1.YOU LOOK GOOD
TO ME /2.IT MIGHT AS
WELL BE SPRING/3.MY
HEART STOOD STILL/
4.TEACH ME TONIGHT
クネード・ヨリエンセンと読
むらしい。デンマーク生まれで
すがスウェーデンで活躍したピア二ストです。北欧系
のピア二ストはビル・エヴァンスの影響を受けている
か、もっとフリージャズ系の激しいプレイヤーが多い
のかと思っていましたが、私が好きなレッド・ガーラ
ンドに近いよくスイングする演奏でした。楽しいアル
バムです。20年以上前の録音ですが、昨年再発された
らしく、ディスク・ユニオンで新譜として購入しまし
たが、当たりでした。1曲ずつは短いですがA面すべ
てを聴いてください。
MAIDEN VOYAGE/AUSTIN PERALTA
(VILLAGE RECORDS VRJL-7031)
AUSTIN PERALTA(p) RON CARTER(b) BILLY
KILSON(ds) 2005 年9 月27 日録音
SIDE A 1.PASSION DANCE 2.MAIDEN VOYAGE 3 . S O M E D A Y MY
PRINCE WILL COME
SIDE B
1.SPAIN
2.GREEN DOLPHIN
STREET 3.N.Q.E 4.NAIMA
アメリカの10代プレイヤー
を1枚。
日本の松永貴士(p)や矢
野沙織さん(as)、アメリカでは
以前ゴローさんが紹介したフランチェスカ・カフィー
ソ(as)など最近10代プレイヤーの活躍が目立っていま
すが、このペラルタ君も先行きが楽しみなピア二スト MAINTAIN!/FREDRIK KRONKVIST
です。
FREDRIK KRONKVIST(as) DANIEL TILLING(p)
MARTIN SJOSTEBT(b) DANIEL FREDRIKSSON
(ds)2004 年 11 月5 日6 日録音
欧米か 北欧編
SIDE A 1.IMPROVISED
THE SOUL & JAZZ OF TIMO LASSY
TIMO LASSY(ts,bs,fl) JUKKA ESKOLA(tp) ACTION2.SUPREME RESOMIKKO MUSTON EN(tb)
G E O R G I O S LUTION
KONTRAFOURIS(p) ANTTI LOTJONEN(b) SIDE B 1.TRIPLET SOUL
MOB /2.ROOTSY VIBRATEPPO MAKYNEN(ds) 2006 年録音
1.HIGH AT NOON 2.EARLY TION
MOVE 3.LIVE AT THE TIM- SIDE C 1.26-2 /2.NORTH
BER YARD 4.THE CALL AFRICAN PEARL 3.TWO
5 . U N I V E R S A L F O U R STEP TAKEDOWN
SIDE D 1.KICTIN' JAZZ/2.LOVETHEME FROM
6.WELDON
7.SWEET SPOT 8.LOVE SPARTACUS/3.MAINTAIN!
MOAN
9 . A F R I C A N もうひとりスウェーデンのアルト・サックス・プレ
イヤーのフレデリック・クロンヴィストを紹介します。
RUMBLE 10.A.L'S SPOT
ヘルシンキで活躍しているというから、多分フィン やはり昨年ディスク・ユニオンでジャケットの衝動買
若くて元気がある頃のジャッ
ランドのプレイヤーなのでしょう。詳細は分かりませ いをしてしまいましたが、
キー・マクリーンに似ていて好感を覚えました。と言
んが、これも何となくジャケットを見て買ってしまい
ました。ティモ・ラッシーの元気がいいテナー・サッ うか、全面的にマクリーンの影響を受けているプレイ
クスをお聴きください。このグループは、50年代・60 ヤーだと言えましょう。心地よい緊張感を味わえる演
年代の懐かしいところを目指しているようですが、ノ 奏だと思っています。
リの良さは最近のジャズシーンに合っているのかなと ヨーロッパのジャズは、地雷原を目隠しして歩くよ
うで、
一歩間違えるとフリージャズ爆弾を踏んでしまっ
感じます。
て地獄に落ちるのですが、たまには若くて切れのいい
JAZZ TRIO/KNUD JORGENSEN(OPUS 3)
やめられません。
KNUD JORGENSEN(p) STURE AKERBERG(b) プレイにぶち当たることがあるので、
JOHAN DIELEMANS(ds)
24
ジパングか
STRAIGHT AHEAD/ 村田 浩(What’s New
WNCJ-2149)
村田 浩(tp)
澤田一範(ts)
松本全芸(p)
矢野
伸行(b) 宮岡慶太(ds)2005年1月25日26日、
2 月 7 日録音
1.SPLIT KICK 2.OUT OF
NOWHERE 3. IF YOU LOVE
AGAIN 4.ONCE IN A WHILE
5. WABASH 6. LION AND
THE WOLF 7.OLD FOLKS
8 . S W E E T J U I C E 9.MAMA INEZ 10.MOOSE
THE MOOCHE
何でここまでハードバップをやるのか? という男
たちの生き様を聴いてやってください。年を言って申
し訳ないが、もう還暦を越えている村田 浩さんはも
ちろん大ベテランですが、このアルバムを聴いてぶっ
飛んでしまったです。若い!というか、ここまで50年
代・60年代にこだわったアルバム制作は珍しい。なん
かアート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズ、ホ
レス・シルバー・クインテット、ジョージ・ウォーリ
ントン・クインテットなどのアルバムを聴いているよ
うです。
まさにタイトル通りストレートな50年代ハー
ドバップを追求しています。ジャズは年齢に関係ない
のでしょうか。私は「ONCE IN A WHILE」の瑞々し
い上に感情のこもったバラードプレイにしびれました。
私の個人的な趣味からすると、変化球が少し多くなっ
てきているような最近の日本ジャズのなかでは、この
ようにストレート一本で勝負している
“本格派”
のジャ
ズにはもっともっと頑張ってもらいたいです。
やはり素晴らしいと納得させられました。“日本のソ
ニー・クラーク”というあだ名が付いているとか、呼
ぶ人がいるとか聞くけれど、そういう先入観がなくと
も一聴すればゴキゲンなピアノ・トリオだと分かりま
す。粘っこいクラークだけでなくバド・パウエルの早
弾きから始まって、ウィントン・ケリーやガーランド
の軽妙さ、ホレス・シルヴァーのリズム感、さらにジュ
ニア・マンスの黒っぽさも兼ね備えています。このア
ルバムの録音当時、太田寛二は弱冠22歳と聞くと、改
めて驚いてしまう。スイング観やブルージーな表現を
よく自分のものに消化している、素晴らしい才能と言
えます。
WHEN THE WORLD WAS YOUNG/菅野光亮(BMG
JAPAN BVCJ-37531)
菅野光亮(p)、福井五十雄(b)、野口通生(ds) 1978年
6 月 8 日録音
1.NO MORE BLUES 2.WHEN THE WORLD WAS
YOUNG 3.SWEET AND LOVELY 4.PASTRALE
5.YOU ARE MY HEART'S DELIGHT 6.TEARDROPS OF THE ANGEL 7.I
WISH YOU LOVE 8.IN THE
WEE SMALL HOURS OF
THE MORNING
1983年に44歳という若さ
で亡くなった菅野光亮の作品も、
立て続けに3枚ほどCD化され
ました。その中で比較的オーソ
ドックスなピアノ・トリオの本
アルバムを紹介させてもらいます。
この復刻盤が出るまでは、存在すら知らない人でし
たが、改めて聴いてみると素晴らしい人でした。ただ
BLUE HIGH-LAND+1/太田寛二(CROWN THCD- しこれも正直に言ってテクニックだけであれば現在活
躍しているピアニストの方が、はるかにテクニックを
019)
でもそれをおぎなっ
太田寛二(p)、小杉 敏(b)
、岡山和義(ds) 1981 持っているしミスタッチも少ない。
ておつりがくるほどの熱意を感じます。私はラテン調
年 1 月 28、29 日録音
1 . C A R A VA N 2 . L O V E W A L K E D IN で軽快な1が気に入りました。他にもアルバム全体を
3.CREAM・・・? 4.BLUE HIGH − LAND 5.MY 通して緩急自在というかアップテンポとスローテンポ
IDEAL 6.JUST IN TIME 7.MY COCEPTION を自在に操っている創り方に好感が持てます。ただし
繰り返しになりますが、菅野さんは決してテクニシャ
8.REFLECTION(LP 未収録曲)
昨今の『復刻盤』ラッシュの中での超目玉! 大変 ンではありません。ジャズに対する深いエモーション
で演奏している人です。でもそれがいいと私は思いま
な名盤が復刻されました。以前
した。
太田寛二のCDを会報で紹介し
たことがありましたが、この初
STRODE ROAD/ 関根敏行(THINK! RECORDS
リーダー・アルバムをCDでも
THCD-038)(原盤 SMILE SML-002 澤野工房)
仕方ないから再発してほしいと
関根敏行(p)、成田 敬(b)、黒崎 隆(ds) 1978 年
節に願っていたところでした。
3 月 3 日録音
さて待望のこのアルバムは、
1.STRODE ROAD 2.UP JUMPED SPRING
25
3.LOVE FOR SALE 4.WILL YOU STILL BE MINE
5.DETOUR AHEAD 6.I COULD WRITE A BOOK
7.DEXTERRITY
くしくも前掲の菅野盤と同じく
1978年のアルバム。この2枚
だけでないが、
総じて復刻盤を聴
いて思うことは、当時は本当に
“熱い”時代だったのだなぁと言
うこと。
楽器が出来ない私が聴い
ていても「あっ、ハズシたな」と
か
「このフレーズはちょいと苦し
いな」
という部分は確かにありま
す。あるけど、
「それがどうした、文句があるか」とい
う迫力がある演奏が多いです。現代のピアニストを始
めとするプレイヤーは上手くなりました。
上手くはなっ
たがそれだけに個性に乏しく、一部の人を除いて誰を
聴いても同じという現象が起きていると私には感じら
れます。
この関根敏行トリオなど、今でも健在で活躍されて
いるのだろうか。
もしそうならライブを聴きたいな。
シャ
ンシャンチキチキとしたシンバルワークが気持ちいい
黒崎隆のドラムスもいいです。
もう一枚同じ関根敏行で『STOP OVER』という
アルバムもあります。こちらはトランペットの佐々木
秀人が入っているカルテット演奏。できれば2枚同時
にお聴きになることをお薦めします。
海を見ていたジョニー/坂元 輝(ウルトラ・ヴァイブ
CDSOL-1155)
坂元 輝(p)、根市タカオ(b)、渡辺 毅(ds) 1980年
10 月13 日録音
1.REFT ALONE 2.MY FAVOLITE THINGS 3.夕
焼け小焼け
4.AUTUMN
LEAVES
岩手県にあるジャズ喫茶
「ジョ
ニー」は日本人プレイヤーしか
掛けないということで有名でし
た。私も一度は訪れたいと思い
ながら、店の前を今年の夏に通
り過ぎただけで店内には入って
いません。下の写真では分かり
にくいですが、静かな田舎町
にあります。本アルバムは、
そのジョニーでのライブ盤で
す。これも正直に言って坂元
輝という人のピアノ演奏を
聴くのは初めてでした。どち
らかというと教則本のような
陸前高田の
「ジョニー」
マイナス・ワン(ある楽器だけ
26
演奏を抜いてある)のアルバムを作っているプレイヤー
という印象がありました。でもこの演奏は素晴らしい
です。とてもいいライブ演奏でした。1での坂元さん
の感情がこもったプレイも素晴らしいです。またコル
トレーンで有名な2ではトリオが疾走しています。中
間でのドラム・ソロも気迫がこもっています。まさか
3をジャズで演奏するとは思っていませんでした。な
かなか渋い味わいがあります。定番の4はピアノ・ト
リオが得意とするところで、聞き比べるのが好きな私
には、またまた大きな悩みが増えました。
A TIME FOR LOVE∼MONK'S TRIO Ⅱ/小林陽一
(WHAT'S NEW RECORDS WNCJ-2144)
小林陽一(ds)、
吉岡秀晃(p)、
ETHAM 吉岡(b) 2004
年 7 月 14 日録音
1.A TIME FOR LOVE 2.UN POCO LOCO 3.LONG
AG O AN D F A R A W A Y
4.NERO 5.STRIKE UP THE
BAND 6.THE MOON IN RIO
7.MISTY
小林陽一は 80 年代からグッ
ドフェローズを率いて、ファン
キー・ハードバップ路線を突き
進み、2003年にモンクス・ト
リオとしてピアノトリオを吹き
込みました。今回はその第2弾。トリオの名称は小林
が渡米中にモンキー小林と名乗っていたことに由来し
ます。今回はピアノに吉岡秀晃を起用したが、単純に
甘いだけではない良質なハードバップ・ピアノトリオ
作品に仕上がっています。私はかねてから洋の東西を
問わずレッド・ガーランドの後継者の最右翼が吉岡だ
と思っていたから大歓迎です。実際にこのアルバムで
も4のスローブルースや、アップテンポの5における
乗りのよさなど、ガーランドの全盛時代を彷彿させま
す。これは穿った見方かもしれないが、小林と吉岡の
両ベテランが、
「これが正統派のバップ・ピアノ・トリ
オだぜ」と大見得を切っているように聴こえます。実
際、冒頭から意表をついたスロー・バラードで始まる
が、バリー・ハリスやガーランド、ハンプトン・ホー
ズなどの気持ち良い部分を踏襲しています。また2で
はバド・パウエルで有名な曲を「新しい器に古い酒を」
のように現代風なアレンジで聴かせてくれています。
か
なりの難曲だと思うが、サラーと弾いているのが心地
よい。
小林は、かなりなテクニシャンであると思うが、自
分のソロを多く取り、強調することがありません。こ
のアルバムでも的確なリズムと、決めるべきところで
鼓舞するような音を折りこんで吉岡に弾かせている職
人芸に感心しました。
にいえば売れなくてもいいというストイックな思いが
込められているようです。宮さんのアルバムにしても
SUNSET STREET/宮之上貴昭(SFC RECORDS ライブにしても、根底にはウェス・モンゴメリーへの
SFC-104)
敬慕の念があります。それはフレーズの端々に現れる
宮之上貴昭(g,key) 滝本博之(p)、稲垣 護(b)、太田耕 し、選曲などにも影響が強いと思います。このアルバ
平(ds,per) 山本太郎(cl)※11 のみ
ムはボサノヴァやストリングス的に使っているキーボー
1.CALIFORNIA NIGHT 2.NO MORE BLUES ドなども収録されていて、とても楽しそうに聴こえま
3.WHEN A MAN LOVES A WOMAN 4.AUTUMN すが、宮之上節がふんだんに盛り込まれているので単
LEAVES 5.ONCE I LOVED
純なイージーリスニングではありません。
2年がかりで
6.STAR DUST 7.FRUIT録音したと本人がライナーで書いているように、結構
AGE OF THE SPIRIT 8.FOR
これまでの音楽活動の集大成的な位置づけがあると思
BUDDY
9.EYES OF
います。確かに多重録音を多用するなどの演出を盛り
DREAM 10.WHAT A WON込み、じっくりと熟成させた感じがあります。本人が
DERFUL WORLD 11.RAIN納得できる作品に仕上がったのでしょう。ライブでは
DROPS KEEP FALLIN' ON
超絶奏法というのだろうか、独自のフレーズを探求す
MY HEAD 12.RAINY AFるシーンが聴かれましたが、このアルバムはその宮之
TERNOON 13.SUNSET
上節の進化の一里塚的な位置にあります。さらりと聴
STREET
くのも良いし、じっくりとスピーカーに向き合って聴
宮さんは良い意味で、商業ベースに乗らないアルバ くのも良い。永く付き合えそうなアルバムです。以上、
ム造りをしています。昨年私がベスト・アルバムだと 本日は遅くまでお付き合いいただきまして、本当にあ
思った「SPIRITS」
(SFC-103)もそうでしたが、極端 りがとうございました。
[2007年12月14日
「映画館」
]
特集:鉄道・駅・列車にちなんだ曲やアルバム(持寄り)
27
1.SLOW FREIGHT/RAY BRYANT(CADET)
2.NIGHT TRAIN/OSCAR PETERSON(VERVE)
3.BLUE TRAIN/GUIDO MANUSARDI
4.SOUL STATION/HANK MOBLEY(BLUE NOTE)
5.ORANGE EXPRESS/ 渡辺貞夫
6.ALONE IN SANFRANCISCO/THELONIOUS MONK(RIVERSIDE) ※ジャケットにケーブルカー
7.TAKE THE “A” TRAIN/宮間利之 & THE NEW HERD(TBM)
8.CORCOVADO/JACK WILSON FEATURING ROY AYERS より ※
ジャケットに汽車
9.THE TRAIN AND THE RIVER アルバム THE JIMMY GIUFFRE 3/
JIMMY GIUFFRE(ATRANTIC)より
10.GRAVY TRAIN/LOU DONALDSON(BLUE NOTE)
11.MIDNIGHT SPECIAL/JIMMY SMITH(BLUE NOTE) ※ジャケット
に客車
12.IT'S MOLLISSEY MAN/DICK MOLLISSEY ※ジャケットが線路
13.THE PEPPERMINT CHOO CHOO/JOANIE SOMMERS
14.SOUL STATION/GRANT STEWART 「ESTATE」より
15.SUBWAY BLUES/DUKE JORDAN 「TIVOLI ONE」より
16.NIGHT TRAIN/JIMMY FORREST 「NIGHT TRAIN」より
17.RAMBLIN'/JACK WILSON 「RAMBLIN'」より
18. 駅(竹内まりや)/THOMAS HARDIN TRIO
19.TAKE THE A TRAIN/CLIFORD BROWN 「STUDY IN BROWN」
より
20.BREAKFAST ON THE MORNING TRAIN/STACEY KENT(BLUE
NOTE)
21.IN CHICAGO/CANNONBALL ADALEY & JOHN COLTRANE ※
ジャケットに汽車
東京でもっとも音のいい店を目指している
「映画館」
ジャズスポット
東京都文京区白山5−33−19 Phone.03−3811−8932
営業時間:PM16:00頃∼23:30
定休:日曜日、祝日
交通:都営三田線
「白山」
駅A3出口から坂の上に向かって、徒歩20メートル
または営団南北線
「本駒込」
駅より徒歩3分
メニュー:コーヒー 500円 ビール 600円 スパゲティ― 680円など
ウィスキー(ボトル) 6,000円より
ホームページ http://www6.ocn.ne.jp/~eigakan/
28
[2007年12月22日
「ジャズ・カントリー」
]
今年の物故者追悼 & 忘年会
〔第 1 部〕今年の物故プレイヤーを偲んで
1. TRANSFIGURATION/ALICE COLTRANE(WARNER BROTHER)
2. BELLS/ARBERT AYLER ※ DONALD AYLER を偲んで
3. MERCY,MERCY,MERCY/CANNONBALL ADDELEY
(CAPITOL) ※ JOE ZAWINUL を偲んで
4. ZAWINUL/JOE ZAWINUL(ATLANTIC)
5. MAX ROACH + 4/MAX ROACH(EMACY)
6. SPIRITUAL MOMENTS/ 富樫雅彦(PADDLE WHEELE)
7. FRANK MORGAN完全盤 /FRANK MORGAN(GNP)
8. LIVE FROM “STUDIO A”/JOHNNY FRIGO 9. DON'T TRY THIS AT HOME/MICHAEL BRECKER
10. RETURN OF THE BRECKER BROTHERS(GRD)
11. JUDGMENT!/ANDREW HILL(BLUE NOTE)
12. GRASS ROOTS/ANDREW HILL(BLUE NOTE)
《休憩》
・2007 年会計報告 ・新住所録配布 ・2008 年主催ライブに向けて、希望プレイヤーのお願い 等々
〔第 2 部〕忘年会(今年の 1 枚:持寄り)但し、物故者も続く
13. THE SONG OF MY LIFE/RUTH BROWN(FANTASY)
14. STORMY MONDAY/LOU RAWLS(CAPITOL)※ RON JEFFERSONを偲んで
15. AEOLIAN DRINKING SONG/TONY SCOTT(RCA)
16. DUKE JORDAN/DUKE JORDAN(SAVOY)※CECIL PAYNE を偲んで
17. CITY SCAPE/MICHAEL BRECKER(WARNER BROTHERS)
18. THE TIME AND THE PLACE/ART FARMER(CBS)※ WALTER BOOKER を偲んで
19. LIVE IN PARIS 1996/ARMAD JAMAL(BIRDOLOGY)
20. PHAROAH SANDERS LIVE(THERESA) ※ WALTER BOOKER を偲んで
21. 4/PAUL TOGAWA(MODE)
[2008年1月18日
「映画館」
]
特集:ヨーロッパの都市名・地方名の曲やアルバム(持寄り)
今回はヨーロッパの都市名や地方名が付いた曲お呼びアルバムを持ち寄りました。そんなにはないと思いま
したが結構ありました。
1.WE ARE ALL TOGETHER AGAIN FOR THE FIRST TIME/DAVE BRUBEAK,GERRY
MULLIGAN,PAUL DESMOND(ATLANTIC)
〔ROTTERDOM BLUES〕
2.THE GREAT ENCOUNTER/BUDDY DE FRANCO & TAL FARLOW MELANCHOLY STOCKHOLM〕
3.SWINGING MACEDONIA/DUSCO GOYKOVICH
4. パラジウム/ 佐藤允彦 〔DER ZWEIG VON SALZBURG〕
5.AT THE CAF? BOHEMIA/KENNY DORHAM(BLUE NOTE) 〔MONACO〕
6.A DAY IN COPENHAGEN/DEXTER GORDON(MPS)
7.ROUND ABOUT MIDNIGHT/MILES DAVIS(COLOMBIA) 〔DEAR OLD STOCKHOLM〕
8.THE MODERN JAZZ QUARTET/MJQ 〔BARDEN BARDEN〕
9. 霧のロンドン・ブリッジ / 美空ひばり 10.CHARLIE WENT TO CHERBOURG/ZOOT SIMS
11.EVENING IN PARIS/ZOOT SIMS
12.CHARLIE WAS IN ROUEN/ 同上
13.PREVIN PLAYS/DINAH SINGS 〔APRIL IN PARIS〕
29
14.IMPRESSIVE ROME/KONITZ-SOLAL(CAM498376-2) 〔ROMAN BLUES〕
15.SAIT-ON JAMAIS/MODERN JAZZ QUARTET 〔たそがれの VENICE〕
15. MIDNIGHT IN PARIS/DUKE ERINGTON
[2008年1月26日
「ジャズ・カントリー」
]
担当 JOANIE-S.T
L.MORGAN & H.MOBLEYの共演を辿る
(1938.7.10 - 1972.2.18)
(1930.7.7 - 1986.5.30)
昨年の夏休み、
待望のクーラーが備え付けられた札幌の自宅
リスニングルームにて、
溜まりに溜まったモザイクのボックス
セットのチェックを行うなどというジャージーな時間を過しま
した。「Miles の10枚組の山・なんとかしなくちゃ」とか
「Parkerのベネディッティ・コレクションなんか一生聞かない
な∼」
などと不遜な独り言をぶつぶつラズウェル漫画の主人公
の様にほざいていた時、ふとMobley10枚組に手が伸びまし
た。じっくりブックレットを眺めてみると、なんともMorgan
と共演が多いことに気づき、手元にあったClaude Schlouch
製作のDiscographyを丹念に調べてみました。存在が確認さ
れるも全く発表されてないセッションがブルーノート等にいく
つかあるようですが、
実に正式音源として発売された21枚の
レコードが全部手元にあり
「よし!この際纏めて聞いてやろう」
と思い立ったのが本日2008年の冒頭を飾る?企画となりました。
(きっと定年後はこんな毎日になるんじゃな
いかと思っております)
ジャズにのめり込んだ大学時代、悪しきSJ論調の影響からか、マイルスバンド時代のMobley=いもテナー
の図式(Someday My Prince Will Come の Coltrane ソロとの対比が槍玉に挙がっていたと記憶していま
す)が頭に染み付き、リーダーアルバムなんか全く眼中にない時代が続いたのですが、どこかで耳にしたリカー
ド・ボサノバの軽やかな音色に惚れ、あっさりと転向いたしました。Morgan も同じ様な風潮で、当時日本全
国津々浦々を巡業していたA.Blakey & JMも毛嫌いしており(シューベルツの花嫁も録音!)
、その昔主要メ
ンバーだったMorgan を、理解しようともせず避けると云う愚行をしておりましたが「NIKA」で聞いたVee
Jay の諸作・Roulette 盤のライブを気に入り、こちらはいち早く転向していました。
本日のプログラムはMobleyがMorganを見出し、強力にデビューを助けた ‘56 年11月のセッションか
ら始まり、リアルタイムでは発売されず、Mobley存命最期の頃、次々発売されたLTシリーズまで、時系列的
に聞いて頂けるようにしました。以下のレコードリストは、例によって私のお気に入りMusician 満載のサイ
ト Jazz Discography Project(http://www.jazzdisco.org/)の労作を加工し作成しています。
(今回の資料作成に当たり、ジャズ批評87号「リー・モーガン大全集」を改めて紐解きました。最近の編集と
は一線を隔した正に座右の書ですね)
30
Lee Morgan and Hank Mobley
Together Sessions
(Lee Morgan Quintet) Morgan’
s First Recording
Lee Morgan (tp) Clarence Sharpe (as) Horace Silver (p) Wilbur Ware (b) Philly Joe Jones (d) Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ, November 4, 1956
* Lee Morgan Indeed! (Blue Note BLP 1538)
1. Hank Mobley Quintet
Lee Morgan (tp) Hank Mobley (ts) Hank Jones (p) Doug Watkins (b) Art Taylor (d)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ, November 5, 1956
Hank's Shout (H.Mobley) 7:10
● Introducing Lee Morgan (Savoy MG 12091)
Blue Note・Morgan初リーダーアルバム録音の翌日5日、
前日とは打って変ったメンバーとSavoyでのセッ
ション。実質Mobley のリーダーアルバム企画だったようで、この曲も終始Mobleyが主導権をとっていま
すが、Morgan の豊かな音色も既に風格さえ感じさせます。誰もが本当に18 歳?と思ったに違いありませ
ん。この日を含めて短期間に4回の録音を担当したR.Van Gelderが一番驚き、かつ新しい才能誕生の証人
となったことでしょう。
2. Hank Mobley Quintet
same personnel above Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ, November 7, 1956
Doug's Minor B'OK (D.Watkins)6:43
● The Jazz Message Of Hank Mobley, #2 (Savoy MG 12092)
7日の録音はMobley名義のリーダーアルバムと並行、
と言うよりは結果として2枚のリーダーを代えたレコー
ドを発売したのが本当かもしれません。
この2枚とMobley #1のSavoy盤は音もしっかりした人気盤です。8-9年前のとある土曜日吉祥寺ユニオン
を訪れた際、三枚とも信じられない良好な状態で私を待っていました。
3. Hank Mobley Sextet
Donald Byrd, Lee Morgan (tp) Hank Mobley (ts) Horace Silver (p) Paul Chambers (b) Charlie
Persip (d) Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ, November 25, 1956
Touch And Go (H.Mobley) 9:20
● Hank Mobley With Donald Byrd And Lee Morgan (Blue Note BLP 1540)
人気の 1500 番台にあって今一存在感の薄い地味な印象のレコードです。Byrd との2トランペットもまず
まずの出来ですし、絡むMobley も悪くありません。そう、先に 10inch が発売されましたが、12inch で
は Mobley 初リーダーアルバムです。
4. Lee Morgan Sextet
Lee Morgan (tp) Kenny Rodgers (as) Hank Mobley (ts) Horace Silver (p) Paul Chambers (b)
Charlie Persip (d) Benny Golson, Owen Marshall (arr)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ, December 2, 1956
Slightly Hep (B.Golson) 6:33
31
● Lee Morgan, Vol. 2 (Blue Note BLP 1541)
一月前に初リーダー作indeed!を吹き込んだばかりのMorganの2作目です。この後JM時代を含め絡みが増
えるB.Golsonのアレンジが1作目との印象を大きく変えています。
名作Vol.3に収録の
「I Remember Clifford」
もこのチームの仕事でしたね。
5. Johnny Griffin Septet
Lee Morgan (tp) John Coltrane, Johnny Griffin, Hank Mobley (ts) Wynton Kelly
(p) Paul Chambers (b) Art Blakey (d)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ, April 6, 1957
The Way You Look Tonight (J.Kern) 9:38
● Johnny Griffin, Vol. 2 - A Blowing Session (Blue Note BLP 1559・Later Classic Record Press)
大編成の正にブローイング セッション。
テナーの三人に伍してMorganはしっかりと存在感のあるソロをとっ
ています。Mobley は押され気味です。
6. Hank Mobley - Lee Morgan Quintet
Lee Morgan (tp) Hank Mobley (ts) Wynton Kelly (p) Paul Chambers (b) Charlie Persip (d)
Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ, February 9, 1958
Peckin' Time(H.Mobley)6:49
Mosaic MQ10-181
● Hank Mobley/Lee Morgan - Peckin' Time (Blue Note BLP 1574)
● The Complete Blue Note Hank Mobley Fifties Sessions (Mosaic MQ10-181)
長らくレコード蒐集を重ねていると本当に巡り会いの縁がないものがあります。このPeckin’ Timeがまさに
私にとっての逃した大物のひとつ。未だモザイクの BOX-SET で我慢しています。
7. 8. Hank Mobley Septet
Lee Morgan (tp) Curtis Fuller (tb ) Hank Mobley (ts) Billy Root (ts, bars) Ray Bryant (p)
Tommy Bryant (b) Charles 'Specs' Wright (d)
"Birdland", NYC, April 21, 1958
There Will Never Be Another You (Warren) 9:26
Wee (D.Best) 11:18
Roulette SR 52015
Roulette SR 52022
● Various Artists - Monday Night At Birdland (Roulette SR 52015)
● Various Artists - Another Monday Night At Birdland (Roulette SR 52022)
その時、恰もバードランド・月曜の夜は若手ジャズメンの梁山泊と化していた.
..と油井正一さん的口調にな
るほど、メンバーのソロは溌剌としており、私的には最高のジャムセッションです。特にMorganの演奏はも
う絶頂期に差掛っています。
9. Curtis Fuller Sextet
Lee Morgan (tp) Curtis Fuller (tb) Hank Mobley (ts) Tommy Flanagan (p) Paul Chambers (b)
Elvin Jones (d) Gigi Gryce (arr )
Nola Penthouse Studios, NYC, March 12, 1959
Down Home (C.Fuller) 4:00
● Curtis Fuller - Sliding Easy (United Artists UAL 4041)
先日、この企画が決定しているのにもかかわらず、某所のブラインドテストで判らず、個人的に恥ずかしい
思いをしました。
これだけのメンバーを揃えているのに、あまり印象に残らないのは Gryce のアレンジの所為でしょうか
● 10. 11. Art Blakey And The Jazz Messengers
Lee Morgan (tp) Hank Mobley (ts) Bobby Timmons (p) Jymie Merritt (b) Art Blakey (d) Pee Wee
Marquette (ann)
"Birdland", NYC, April 15, 1959
Close Your Eyes (B.Petkere)
11:10
Blue Note BLP 4015
Blue Note BLP 4016
M And M (H.Mobley) 6:35
● Art Blakey - At The Jazz Corner Of The World, Vol. 1(Blue Note BLP 4015)
Art Blakey - At The Jazz Corner Of The World, Vol. 2 (Blue Note BLP 4016)
ジャズ・メッセンジャーズ時代の正式共演録音はこの2枚のライブだけです。Vol.1のClose your eyesは大
好きな演奏です。Vol.2 の M and M は作曲の才にも長けた Mobley のオリジナル、二人のイニシャルでしょ
うか。
12. Hank Mobley Quintet
Lee Morgan (tp) Hank Mobley (ts) Andrew Hill (p) John Ore (b) Philly Joe Jones (d)
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, October 2, 1963
Three Way Split (H.Mobley) 7:40
* Hank Mobley - No Room For Squares (Blue Note BLP 4149)
個人的に非常に思い入れのあるレコードです。十数年前、某レコード店の放出セールに早朝から並び、12時の
戦闘開始の前からこの曲がなり続けていました。さてその成果は.
...私にとっての軍艦マーチです。
20. Hank Mobley Quintet
Lee Morgan (tp) Hank Mobley (ts) Harold Mabern (p) Larry Ridley (b) Billy Higgins (d)
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, June 18, 1965
Recado Bossa Nova (D.Ferreira) 8:05
● Hank Mobley - Dippin' (Blue Note BLP 4209)
本日の最後はなんと言ってもこのレコードと決めていました。全曲かけたいくらいですが、定番のリカードボ
サノバを。この曲のイーディー ゴーメ/ヴォーカルヴァージョンが専売公社時代のたばこCMで一世を風靡
したことを覚えているのは我々以上の世代でしょうか?
● 13. Lee Morgan Quintet
Lee Morgan (tp) Hank Mobley (ts) Herbie Hancock (p) Larry Ridley (b) Billy Higgins (d)
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, September 18, 1965
Ceora (L.Morgan) 6:15
Ill Wind (Keehler) 8:00
● Lee Morgan - Cornbread (Blue Note BLP 4222)
大ヒットしたThe Sidewinderの二番煎じのような扱いを受けているこのレコード、実はB面の二曲が聞き
ものだと思います。特に Ill Wind での余り聞く機会のない Morgan のミュートは絶品です。
14. Hank Mobley Quintet
Lee Morgan (tp) Hank Mobley (ts) McCoy Tyner (p) Bob Cranshaw (b) Billy Higgins (d)
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, December 18, 1965
The Morning After(H.Mobley) 9:43
● Hank Mobley - A Caddy For Daddy (Blue Note BLP 4230)
モノラル盤の発売はDJ向けを除きこのあたり4250番前後が最後。二人とも好調ですが、McCoyのピア
ノも聞きものです。
15. Hank Mobley Octet
Lee Morgan (tp) Kiane Zawadi (euph) Howard Johnson (tu) James Spaulding (as, fl) Hank
Mobley (ts, arr) McCoy Tyner (p) Bob Cranshaw (b) Billy Higgins (d) Duke Pearson (arr)
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, March 18, 1966
Cute 'N' Pretty (H.Mobley) 7:34
B1 7243 8 33582 1 2
● Hank Mobley - A Slice Of The Top (Blue Note LT 995,
Capitol B1 7243 8 33582 1 2, Japan-King GXK-8177)
Blue Note 絶頂期の録音から数多くの未発表を発掘したLTシリーズ、内容的には優れたものがたくさんあ
りますが、如何せん例の冴えないジャッケットのオンパレード。当時全く売れなかったようで、現在中古で
出回っている盤は殆んど大きな穴の開いたカット盤です。日本発売のキング未発表シリーズは賢明にも独自
ジャケで発売し、未だに人気がありますが、この盤のデザインだけはいただけません。
’95年に秘かに出回っ
た Capitol重量盤は F.Wolff のカラー写真を使い、往年を彷彿させる優れた装丁の逸品です。
16. Hank Mobley Quintet
Lee Morgan (tp) Hank Mobley (ts) McCoy Tyner (p) Bob Cranshaw (b) Billy Higgins (d)
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, June 17, 1966
Chain Reaction (H.Mobley) 11:00
* Hank Mobley - Straight No Filter (Blue Note BST 84435)
伝説となりつつある’85.2 の「One Night with Blue Note」
新生 Blue Note を象徴するこのイベント
の全容はアナログ4枚組に分けて収録され、その様子はLD/DVDでも鑑賞することができます。東芝の日本
盤LP BOXセットにはおまけのEPが付属していて、挨拶をするA.Lion / R.Van.Gelderの声に交じって、
なんと演奏には参加出来なかった、晩年のMobleyの肉声が収録されています。84年に再始動を始めた新生
Blue Note レーベルは 4423 で途切れていた伝統の番号を復活し、未発表録音を往年のイメージを踏襲し
たジャケットで4424からこの4435迄僅かに発売しました。このかっこいい演奏が未発表なんて、贅沢!
17. Lee Morgan Sextet
Lee Morgan (tp) Jackie McLean (as) Hank Mobley (ts) Cedar Walton (p) Paul Chambers (b) Billy
Higgins (d)
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, September 29, 1966
Somethin' Cute (L.Morgan) 6:35
* Lee Morgan - Charisma (Blue Note BST 84312)
二人の共演がリアルタイムで発表されたのは、このレコードが最後です。McLeanを含めた豪華な布陣です
が、この三人がフロントを務めるのはこの1枚だけです。
18. Lee Morgan Quintet
Lee Morgan (tp) Hank Mobley (ts) Cedar Walton (p) Paul Chambers (b) Billy Higgins (d) Rudy
Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, November 29, 1966
The Rajah (L.Morgan) 9:09
● Lee Morgan - The Rajah (Blue Note BST 84426)
新生Blue Noteシリーズの一枚。正直このレコードがターンテーブルにかかる機会はあまりありません。時
間が押した場合はパスになるかもしれません。
19. Hank Mobley Quintet
Lee Morgan (tp) Hank Mobley (ts) Cedar Walton (p) Walter Booker (b) Billy Higgins (d)
Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, February 24, 1967
(H.Mobley)
5:10
Boss Bossa ● Hank Mobley - Third Season (Blue Note LT 1081)
数ある二人のコラボレーション、最後のセッションです。Morgan 運命の日まではまだ5年もあり、Mobley
が先に引退状態に追い込まれたせいでしょうか?
[2008年2月15日
「映画館」
]
特集:女性名が付いた曲やアルバム(持寄り)
洒落のつもりで女性名が付いた曲を集めてみましたが・・・、ジャズメンは
フェミニストが多いというか、
たくさんありすぎました。
そしてアート・ペッ
パーが会員のハードワーカー・パトリシア明子さんに捧げたような24もあ
りました。
1. BESSIE'S BLUES/JOHN COLTRANE〔CRESCENT(IMPULSE)より〕
2. NAIMA/ JOHN COLTRANE
3. SOPHIA/ILLINOIS JACQUET 4.HAVE MET MISS JONES/ 同上
5.MIKI/GENE DINOVI NANCY/ JOHN COLTRANE
6. STELLA BY STARLIGHT/MARTIAL SOLAL
7. EMILY/ 大友義雄 8.FRAN DANCE/MILES DAVIS
9. STELLA BY STARLIGHT/ MILES DAVIS
10.CINDY'S JUMP/EUGEN CICERO
11.LITTLE LEONA/ROY HAYNES〔BUSHMAN'S HOLIDAY より〕
12.MISS MOPSY/ 同上
13.SISTER SADIE/DOMENICO FARINATCH(tp)(IMPERIAL JAZZ COMPLEX2006&2007)
14.JEANNINE/DUKE PEASON
15.CANDY LOLA WANTS YOU/LOLA ALBRIGHT
16. TAMMY'S BREEZE/THE THREE SOUNDS
17. ANGEL EYES/DAVE BRUBECK
18.REZA/ELVIN JONES TRIO〔PUTTIN' IT TOGETHER(BLUE NOTE)より〕
19.SWEET LITTLE MAIYA/ 同上
20.KEIKO'S BIRTHDAY MARCH/ 同上
21.RITA-SAN/ART PEPPER〔アルバム NO LIMIT より〕
22. SISTER CHERYL/WYNTON MARSALIS
23. CAMELIA/TAMAYA HONDA
24. PATRICIA/ART PEPPER〔アルバム LAURIE'S CHOICE より〕
25,NICA'S DREAM/Qいしかわ 『Q's GROOVE』
(WHAT'S NEW WNCJ-2118)より
35
今後の予定
ジャズスポット「映画館」
電話 03-3811-8932
2008年5月16日(金)午後7時∼午後10時
特集:地名・都市名が付いた曲・アルバム 第3弾アジア・アフリカ・オセアニア・南米編
2008年6月20日(金)午後7時∼午後10時 特集:道(STREET,ROAD などにちなんだ曲・アルバム)
2008年7月18日(金)午後7時∼午後10時 特集:未定
「JAZZ COUNTRY」電話 03-3572-7684
2008年5月24日(土)午後7時∼午後10時 特集:リー・コーニッツ&レニー・トリスターノ 担当:M.T.
2008年6月28日(土)午後7時∼午後10時 特集:未定
2008年7月26日 (土) 午後7時∼午後10時 特集:未定
特集は変更になる場合があります。ホームページで確認してください。
特集は変更になる場合があります。ホームページで確認してください。 編集後記
・GROOVY第45号が完成しました。今回は昨年逝去したオスカー・ピーターソン追悼がメインにな
りました。・喫茶茶会記と会員とのつながりも少しずつ深まってきたかなと感じます。もちろん
『映画
館』
や
『ジャズカントリー』
をおろそかにするということではなく、若い新しいお店を応援しようという
心持ちでしょう。JOANIE−S.T.さんのレジュメはオランダの歌姫の貴重なディスコグラフィーになる
かと思い、可能な限り掲載しました。・今年の10月でKJFC は活動を再開してから10周年を迎えま
す。10年1日とは本当によく言ったものです。あっという間の10年間だったと思います。数えていませ
んが例会も200回を超えたのではないかと思います。これまで積み重ねてきたことはやはりうれしいこ
とですが、積み重ねていること自体に、ほんの少しだけ誇りを感じます。もちろんこれは
『映画館』
のマ
スターとママさん、
『ジャズカントリー』
のマスターをはじめ本当に多くの方に支えられたからだと改め
て感謝いたします。そうでなければ何のバックボーンもないKJFCのような小さなファンクラブは、
とっくの昔に消滅していたでしょう。・今年のライブ企画も少しずつですが進んでいます。もしかした
ら次号でご案内できるかもしれません。・ご意見、ご質問その他ご提案をどんどんお寄せください。
(紅)
一緒にジャズを楽しみませんか? KJFC会員募集中
KJFCは心からジャズを楽しむ人の集まりです。オタクはいません。むしろみんなで好きなジャズを勉強して、分か
ち合っています。みんなジャズについての素人です。一度例会に遊びにきてください。あなたの好きなジャズが、必ず
見つかるでしょう。
《KJFCの主な活動》
・ 毎月2回のレコードコンサートを主体にした例会
(会費月額500円)
・ 年1,2回自主ライブの主催
・ 会報GROOVYの発行 ・ ホームページの運営などです。
詳しくはホームページthttp://www.kjfc.infoか、下記まで
090-4178-1833(布田幸雄)