ヒューマンメディア工学 [復習]知識ベース Knowledge Base Human Media Engineering 知識を適切な表現方法に従って記述 知識メディアとオントロジー 加藤 俊一 Toshi KATO 知識表現 knowledge representation 理論や法則といった知識を、コンピュータで 処理できるように表現すること。 「~は~である」といった命題の形式で記述 する述語論理を用いることが多い。 推論エンジン: 知識を使って推論 意味ネットワーク: 知識の関係を表現 意味ネットの例(1) 定義を表す 事実 ルール・経験則 メタ知識 計算機に格納 必要に応じて引き出せる→推論エンジン (参考) データベース Data Base 意味ネットによる知識表現 M. Minsky 以前 意味ネット semantic net による知識表現 文や単語の意味、概念間の連想関係、知識などを ネットワーク形式で図式化。 ノード(節点): 個々の概念 アーク(矢印): その意味関係 (様々な意味をアークにもたせる。 「なんでもあり」) → 情報処理方式は、非常に複雑・困難になった! 意味ネットの例(2) これも定義を表す 1 意味ネットの例(3) 主張を表す 意味ネットの例(4) 主張の別の表記 意味ネットの例(5) 推論のための情報 フレーム型世界観による知識表現 フレーム型知識表現の例 汎化 M. Minsky (1975年) インスタンス instance 世界には「個体」が存在する。 クラス class 共通する特徴をもつ「個体の集合」を考えること ができる。 属性 attribute 各個体やクラスには、それを特徴付けるいくつか の性質がある。 フレーム型知識表現の例 汎化 クラスフレーム:家具 いろいろな家具 上位クラス: テンプレートスロット:大きさ テンプレートスロット:質量 「家具」という概念 部分概念 部分概念 いろいろな椅子 いろいろな机 「椅子」という概念 「机」という概念 Aさんの机 実例 「Aさんの机」という 実例 Bさんの椅子 実例 「Bさんの椅子」という 実例 クラスフレーム:机 クラスフレーム:椅子 上位クラス:家具 オウンスロット:年間製造台数=100万 テンプレートスロット:引き出しの個数=4 上位クラス:家具 オウンスロット:年間製造台数=400万 テンプレートスロット:背もたれの高さ インスタンスフレーム:Aさんの机 インスタンスフレーム:Bさんの椅子 クラス:机 スロット:大きさ=W90,H90,D70 スロット:質量=30kg スロット:引出の個数=6 クラス:椅子 スロット:大きさ=W50,H90,D50 スロット:質量=30kg スロット:背もたれの高さ=50cm 2 フレーム型知識表現の例 部品 今日の目当て これらの部品に分解できる これらの部品から構成される 知識の枠組み 「知識」とは何か? 我々は「知識」をどう利用している? 我々は「知識」をどう得ている? アタマの中にある「知識の使い方」を 「外在化」 「手順」の記述の例 「ルール・経験則」に関する知識 規則 していいこと、いけないこと 手続き 手順 (参考) 法律の世界では 「千葉→東京へ行く」の巻 乗換案内で 時刻表を確認 ノウハウ 付けます お金に糸目は 「図・写真を含むホームページの作成から Webサーバーでの公開まで」の手順を 言葉や図式で説明してみよう。 テキスト本文の作り方 Emacs (mule)、HTMLコマンドなど 図・写真の組み込み方 付けません 能率よく行うための知恵 [課題1] 「手順」の記述 座れる電車に 乗って東京へ 間にあわなそう 実体法: 概念の定義(フレーム)・ 満たすべき要件(規則) 手続法: 種々の手続きを定めたもの 「メタ知識」: 知識を利用するための知識 間に合いそう 普通電車の 切符を買う 約束の時間に・・・ 特急電車の 切符を買う 普通電車の 切符を買う &「遅れます」の 連絡をする 最速で着く経路で 東京へ 特急に乗って 東京へ 知識の枠組み 「ルール・経験則」に関する知識 規則 手続き (例) 走行中パンクしたらすぐ停車 (例) タイヤ交換の手順は、、、 「メタ知識」 ノウハウ (例) 車の診断順序は、、、 描画ソフト、図・写真のダウンロード・保存の仕方 図・写真を取り込むためのHTMLコマンドなど HTML文書のアップロード、アクセス権 プレビューでエラーに気づいたら? 3 [宿題1] 「手順」の記述 「オークション」の進め方を言葉や図式で説 明してみよう。 「ブレーカーが落ちる」現象を言葉や図式 で説明してみよう。 知識を 「もしAならばBである」 A → B というルール形式で表す。 このルールを用いて推論する。 前向き推論 後ろ向き推論 推論 inference 記述された知識群の上で論理的な演算により 新たな知識を導き出すこと クラス階層に関する知識 「落ちる」直前の状態 予兆と回避の方法は?(前向き) 「落ちた」直後の対処 何から調べて回復させるか?(後向き) プロダクションルール production rule 専門家の知識をコンピュータに蓄積し、それに もとづいたデータ解析や機器制御を実行する システム。 知識ベース: 判断のもとになる情報を蓄積 推論エンジン: 知識ベースを参照して推論 Artificial Intelligence (AI, 人工知能) 知識の利用法 日常的な生活経験からの整理 電磁気学(物理法則)からの整理 知識の利用法 エキスパートシステム expert system 原因の推定と対策の立て方 商品説明 開始 入札 落札 終了 [課題2] 「手順」の記述 知識の利用法 クラスに関する知識 インスタンスに関する知識 規則 手続き メタ知識 知識の利用法 前向き推論 forward reasoning A→B 前提となる知識 (A)から結論 (B)を推定する 三段論法 (例) 「人間は生物」&「生物は死ぬ」 ∴ 「人間は死ぬ」 何を前提とするかで様々な結論が導けるが、 結論の間に矛盾は無い。 (*) 第1階述語論理で書かれることが多い。 4 知識の利用法 知識の利用法 前向き推論 forward reasoningの利用 プロセス制御 (目標値を実現するように制御) スケジューリング (手順の実行) 複雑な操作を必要とする作業、など (プロダクションシステム) 知識の利用法 後向き推論 backward reasoningの利用 診断系の問題解決 (例) 症状からの病気の診断 現象からの故障個所の推定 (例) 「走らない」原因は? エンジンの不調 → 走らない バッテリーの放電 → 走らない ガソリン不足 → 走らない バルブの欠損 → エンジンの不調 プラグの劣化 → エンジンの不調 A→B 結果(B)から、その前提となった原因(A)や 推論規則(A→B) を推定すること 一つの結果に対して、様々な原因を考えうる。 探して得られる条件や推論規則が事実と一致 すれば、最初の結論を正しいと見なす。 条件や推論規則を探すことができなくなった場 合は、最初の結論を誤りと見なす。 プロダクションシステムによる知識の利用 プロダクションシステム production system 行動規則に関する手続き的な知識の記述 プロダクション規則 production rule プロダクションメモリ production memory PM もし<条件1>かつ…かつ<条件m>ならば <行動1>と…と<行動n>を実行する。 プロダクション規則を格納 ワーキングメモリ working memory WM 対象の状態を記述 プロダクションシステムによる知識の利用 [宿題2] 「手順」の記述 プロダクションシステムの動作 後向き推論 backward reasoning 対象の状態が次々とWMに反映される。 システムはWMを常時モニタ。 PMに記述されたある規則の「条件部」が成立。 その規則が自動的に起動されて処理。 その結果は「対象の状態」に影響を及ぼす。 「ブレーカーが落ちる」現象を言葉や図式 で説明してみよう。 日常的な生活経験からの整理 電磁気学(物理法則)からの整理 原因の推定と対策の立て方 エキスパートシステム expert system 「落ちる」直前の状態 予兆と回避の方法は?(前向き) 「落ちた」直後の対処 何から調べて回復させるか?(後向き) 5 オントロジー ontorogy 知識を表現するための 語彙あるいは基礎概念の体系 知識表現・知識の共有の際に 知識の枠組み: フレーム理論など 知識の内容: ある特定領域の知識全体をどのような語彙を用いて 表現するか 専門家は人によって日ごろ用いる語彙が異なる。 (参考) シソーラス thesaurus 広義語 (注)「特定分野」「文脈」の視点は無い。 反義語 より狭い概念: 食材 →(肉、野菜) →((牛肉、豚肉)、(葉菜、根菜)) 通称 外来語 情報の検索に使われる辞書 情報の項目(語彙)を、 同義語や 関係している項目(親子・兄弟など) でまとめる。 (参考) シソーラス thesaurus より広い概念: 食材>肉>牛肉 より広い概念は一つ 同義語 狭義語 (参考) シソーラス thesaurus 意味が対立する語の関係です。 否定対立:善 ←→ 悪 中間点を中心に逆方向:上 ←→ 下 行為の対立する立場:売る ←→ 買う 年齢、性別:「兄」 ←→「弟」「姉」 関連語 同じカテゴリー 異なるカテゴリー (参考) 多義語 参考: http://www.gengokk.co.jp/thesaurus/ 6 (例)科学技術シソーラス(JICST) オントロジー ontorogy 知識を表現するための 語彙あるいは基礎概念の体系 知識表現・知識の共有の際に 知識の枠組み: フレーム理論など 知識の内容: ある特定領域の知識全体をどのような語彙を用いて 表現するか 専門家は人によって日ごろ用いる語彙が異なる。 (例) 「部屋を掃除する」 オントロジによる知識の共有・再利用 クラス インスタンス 応用に独立した オントロジ(深い) 応用に独立した 対象世界モデル 応用に独立した 問題解決モデル 応用に依存した オントロジ(浅い) 応用に依存した 対象世界モデル 応用に依存した 問題解決モデル 個別的な 知識表現 対象世界に関する 問題解決に関する 知識 知識 属性 [宿題3] シソーラス・オントロジー 様々なオントロジ 様々な情報サービスの場面で、 シソーラス・オントロジーが必要となるのは、 どのような場合か? 講義資料・ビデオ資料とは 異なる事例を想定して、 説明してみよう。 知識ベースシステム Knowledge Base Base System 知識を適切な表現方法に従って記述 事実 ルール・経験則 メタ知識 知識ベース: 知識を計算機に格納 推論エンジン: 必要に応じて(組合せて) 引き出せる (参考) データベース Data Base 7 [本日の参考書] 「情報の共有と統合」〔岩波〕 第3章 知識の共有と再利用 情報処理学会編 「エンサイクロペディア情報処理20002001」 第5章 人工知能 8
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