August, 2004 Vision System Design 誌 「ビジョン・ソリューションの横顔/マイクロディスプレイを試験する周辺機器群」 汎用 PC ベースのイメージプロセッシングとモーションコントロールコンポーネントによる LCOS マイクロディ スプレイの迅速な解析。 監修:Andrew Wilson アクティブ・マトリックス(2 枚のガラスに液晶が挟まれ、うち1枚には一つ一つの画素にごく薄いフィルムドラ イブトランジスターを備えている)フラットパネル LCD と対照的に、シリコンベースの液晶ディスプレイ「リキ ッドクリスタル・オン・シリコン」(LCOS)は、一枚の硝子板と IC で液晶を挟んでいます。イメージの形成をコ ントロールする回路は IC 上に構成され、表面は反射コーティングされています。IC チップに入射し反射す る光のライトパスに偏光子を置くことにより、(LCOS は)ミニチュアの反射ディスプレイとして機能します。 「Kopin 社で製造されているような各ピクセルに対して追加回路を必要とする、透過型のデバイスとは違 う」と、ディスプレイチェック社、社長のルイス・コリアー氏は言います。「反射装置(reflective device)はフィ ルファクターが大きく、より正確なイメージを捉えることが出来ます。それは電気回路構成が各ピクセルの 後ろに位置し、光を遮る障害を作らないからです。」より多くのピクセルを、より小さいチップ面積に形成でき るため、LCOS マイクロディスプレイは高い解像度を得ることが出来ます。 マイクロディスプレイは現在、Brillian 社、Hana Microdisplay Technologies 社、Microdisplay 社を含む 多くの企業で生産されています。現在の同製品のアプリケーションはリア・プロジェクション HDTV、ヘッド アップディスプレイ、携帯電話のアイピース、PDA、テレビ電話などに使われています。 これらの製品を作るためには、設計者は複数の LCOS マイクロディスプレイをミニチュアディスプレイエンジ ンとして使用します。例えばリア・プロジェクション HDTV の場合、それぞれが一つの色を表現する 3 つの デバイスがディスプレイエンジンとして使用され、入ってくる光を赤、緑、または青(RGB)のどれかの波長 で反射させます。結果生成される RGB イメージは光学的に平行に整えられ投影し、カラーイメージを形成 します。 LCOS マイクロディスプレイを出荷する際には各デバイスに欠陥がないか検査が必要です。「過去におい ては」、とコリアー氏は続けます。「各部品は試験ディスプレイエンジンに手作業で載せられ、位置と焦点を 合わせられ、その後、形成されるイメージを目視で、ホワイトスポットやダークスポットといった、欠陥がない か試験をしたのです。」この行程はあきあきするような作業であり、人為的なミスが起こりやすく、悪くすると この様な試験では、各デバイスの輝度、面均一度、コントラスト比率、フリッカー、反応速度、ピクセルの欠 陥等を数字で表すことができません。 1998 年に設立されたディスプレイチェック社は、LCOS マイクロディスプレイの特製を自動計測するシステ ムを製造しています。「各パーツに組み込んで検査を受けさせるという受動的なやり方でなく」、コリアー氏 は続けます。「検査においては、おのおのデバイス(単体で)を稼動させることが必要なのです。」 図1 DisplayCheck MDT-250 シリーズで、LCOS マイクロディスプレイの特性描写を自動で行うためには、(被 検査)デバイスは各々ドライバーに接続され、光学ステージ下に設置されます。(上図)同システムは、輝度 および面均一度を計測し、デバイスの反応時間、フリッカー、色度座標、色温度、分光反射率を試験します。 (下図) DisplayCheck は統合されたテストドライバー回路により、複数の業者で製造された LCOS マイクロディス プレイおのおのを動作させることができます。MDT−250 シリーズの設計において、各デバイスはこれらド ライバーに接続され、光学ステージの下に設置されます。(上図)同システムは、輝度および面均一度を計 測し、デバイスの反応時間、フリッカー、色度座標、色温度、分光反射を試験します。(下図) 図2 カスタム製造された光学ヘッドにおいて、入ってくる光線は偏光され、偏光ビームスプリッター(PBS)により、 デバイス表面に反射して映し出されます。この光はデバイスの各ピクセルからの反射光であるため、その 偏光特性は変化し、別のポラライザーとビームスプリッターを通り、カメラに検知されます。MDT-250 シス テムは PC ベースのコントローラーへ統合されたごく身近な装置を使用しているのです。 試験の際にはいくつかの方法が使用されます。輝度と面均一度を計測するには CCD カメラや分光計測器 を使用しますが、反応速度とフリッカーの分析にはフォトダイオードを使用します。色度座標と分光反射率 は分光計測機を使用します。(測定用の)光学ヘッドの開発においては、カスタムデザインされた高吸光比 の光学系、たくさんの汎用装置が使われているのです。 光学デザイン(光学設計) 各 LCOS マ イ ク ロ デ ィ ス プ レ イ の 光 学 ス イ ッ チ は 偏 光 ス イ ッ チ に 基 づ い て い ま す 。 Illumination Technology 社製の光源から照射される、白色光または、カラーフィルター経由の光は、偏光、反射され、 偏光ビームスプリッター(PBS)によってデバイス表面に投影されます。偏光された光は各ピクセルからの 反射光であり、デバイスに投影されたイメージによって偏光の程度を変えることができます。偏光ビームス プリッター(PBS)を通った光は、次に別の偏光器と偏光ビームスプリッター(PBS)を通り、CCD カメラで検 地されます。偏光ビームスプリッター(PBS)と 2 回目の偏光器を通る反射光の道筋は、最初の偏光器と 90°の位相をなしており、カメラで検知された光で各ピクセルのグレイスケールを計測することができま す。 光学ビームスプリッターから反射された光はその後、次のビームスプリッターを通り、そこで Ocean Optics 社製の USB2000 分光器と Thor Labs 社製のフォトダイオードアレイに投影されます。 「これらのデバイス試験を自動化するためには、」コリアー氏は言います。「マシンビジョンと、データの取り 込み、モーションコントロールを組み合わせたシステムが欠かせません。」 LCOS マイクロディスプレイの各ピクセルからの反射光をデジタル化するためには、システムの FOV 内で の位置を特定する必要があります。一度特定すれば、各ピクセルの反射光は検知が可能です。「視界部分 が狭く、拡大率の高いカメラを一台だけ使用した場合、明るさ、コントラスト比率、面均一度といった肉眼で の確認要素を計るには多くの時間がかかるでしょう。加えて、一つの光学系システムでは 2 つの役割を果 たすことができません。」よって、Display Check 社のシステムには 2 台の Adimec 社製カメラ、MX12P (1M)を Danaher Motion 社 6 インチ x/y/z/f テーブルに搭載しています。 1 台目のカメラは Thales Optem 社製の f/2.5 ズームマクロレンズ、または Schneider Optics 社製の f/1.9 Xenoplan 固定倍率レンズを取り付けます。どちらのレンズを使用した場合でも、600×400 から 1920× 1280 ピクセルフォーマット以内のパーツが、デバイスから 3 インチ以内の稼動範囲内で試験できます。カス タマーは要求に必要に応じてレンズの選択が可能です。 2台目のカメラは、比較的入手しやすい Navitar 社の 6.5 倍ズームレンズ、あるいは Moxtek 社の偏光器 を使用するためアメリカディスプレイコンソーシアムが提供する仕様に基づきカスタマイズされた Thales Optem 社の固定倍率レンズを使用します。高い解像度の光学アセンブリは独立した各ピクセルやパーツ のサブピクセルの場所を特定します。コリアー氏は「これにより、パーツの 1μm の欠陥を検知することがで きます。」と説明します。 同氏によれば、幅広い 12bit のダイナミックレンジと各波長における量子効率に優れていることが Adimec 社の MX12P を選択した理由だそうです。「システムはおよそ 1:3000 の比率のコントラストでパーツを計測 することが求められます。そのためにはダイナミックレンジが広いことが必要でした。他の要因には、CCD カメラのピクセル不良が少ないことが挙げられます。Adimec の MX12P では、1M ピクセルの中で不良の ピクセル数は 7 以下で、不良ピクセルが隣り合うことがありません。」 PC ベースのボード カメラから取り込まれたイメージをデジタル化し、フォトダイオードと分光器からのアナログデータを取り込む ために、Display Check 社のエンジニアは National Instruments(NI)社の数々の PCI ベースのボード を使用します。NI の PCI-6024E データ取り込みボードは 12bit 解像度でフォトダイオードからのアナログ シグナルをデジタル化しました。 取り込まれたイメージの露出時間をコントロールするために、NI の 6602 のタイミング、デジタル I/O モジュ ールが Adimec のカメラにトリガーを出します。システム MDT-250 は設計上 2 台のカメラを組み込んでい るため、2 つの NI1422 モジュールを使用し、40MHZ で MX12P からの LVDS 出力からデータを取り込み ます。コリアー氏は、「ボード上のメモリーが 16M バイトの場合、リアルタイムの情報量を増やすためにボ ード上のイメージはバッファされる。」といいます。Ocean Optics 社の分光器 USB-2000 からの出力を取り 込む場合は、PCI ベースのインターフェースは必要ありません。これは分光器が USB インターフェース機 能を備えているためで、PC の USB ポートに直接接続が可能です。 PC ベースのシステムは 6 インチの x/y/z/f ステージの動きも制御します。このため コリアー氏とメンバーは NI PCI ベース PCI-7334 コントローラーを選択しました。4 軸の 12bit 分解能ステ ップモーターコントローラーは、正確な位置決めのための座標・多軸での動きを制御するために 3-D 補間 機能を備えています。 ステージを制御するために、Display Check 社のエンジニア達は、7334 のコントローラーボード上でステッ プモーターの制御が出来るステップモーターパワードライブを搭載した NI MID-7604 とボードを接続しまし た。NI にはシングルシールドのケーブルがあり、これが MID-7604 のパワードライブを動作を制御するボ ードに接続され、モーターへのコマンド、モーション I/O、コントロール、信号をフィードバックします。 データの収集、デジタル I/O、フレームグラバー、モーションコントロールボード用に 1 台目の PC が使用さ れ、2 台目の PC は試験の際に、デバイスのドライブを行うために使用されました。イーサネットでマシンビ ジョン/モーションコントローラーシステムに接続し、2 台目の PC が、LCOS マイクロディスプレイの生産者 から提供されたカスタムドライブ回路にテストコマンドを送ります。これは、マイクロディスプレイがテストされ ていることと同義です。NI ソフトウェアパッケージがテストエレクトロニクス、光学系、データの収集とモーシ ョンコントロールを統合しています。 ソフトウェアのソリューション 「システムがイメージ、モーション、データの収集をコントロールするので、」コリアー氏は言います。「私達に は、これら全ての機能を備えた統合ソフトウェアパッケージが必要です。」Display check 社が使用してい るのは NI 社の TestStand です。これは NI’ の LabView、Visial C++、Visian Basic で書かれたファンク ションを単一のユーザーインターフェースで制御することが出来ます。テストでの位置決めを制御するのに、 Display Check 社は、モーションコントロールアプリケーションに LabView コードを使用する、NI 社の Flex Motion をソフトウェアとして選択しました。 NI 社の画像処理ソフト IMAQ Vision は、分析とイメージキャプチャーの速度を速くします。LavView のプ ログラミング言語で書かれたこのソフトは、パターンマッチング、ゲージング、イメージインテンシファイヤー 機能を備えています。コリアー氏によると、「NI の IMAQ ソフトウェアを使えば、小さなソフトウェアチームで も、50 以上のマシンビジョンイメージの正常化機能、機能のプロセッシングが極わずかな時間で行えま す。」 図3 プロダクションエンジニアは MDT-250 を使用して、反応時間、フリッカー、色度座標(左図)、色温度、グレ イスケールの面均一度を、リポートウィンドウで確認し、データベース互換なフォーマットに変換し出力。 コリアー氏は「各テスト用のモジュールが IMAQ ビジョンまたは FlexMotion で作られると、それらは TestStand プログラムには標準的なテスト手順として呼ばれます。」これらのモジュールは多くの機能を組 み込むことができます。例えば、IMAQ ビジョンで作られたモジュールがイメージキャプチャー・イメージ分 析・データのディスプレイを行うことが可能です。これらは LabView に統合され、TestStand プログラムとな ります。 特徴・特性・利点 2004 年にアメリカで開催された、「イメージディスプレイシンポジウム」で Display Check 社の MDT-250 システムは、価格帯$200,000∼$270,000 で発表されました。このシステムは、Brillian 社を含む多くの 半導体生産に携わる企業、台湾の多くの企業で、LCOS マイクロディスプレイの特性評価の自動工程で導 入されています。 Display Check 社、社長ルイス・コリアー氏は「MDT-250 の開発時には、オペレーターはただパーツをス テージに乗せ、パーツの情報を入力、試験をスタートさせるだけにしようと考えました。それと同時に、プロ ダクションエンジニアが取り込んだイメージを評価し、明るさ、面均一度、コントラスト比率、マイクロディスプ レイなどを評価する必要が生じるかもしれないとも認識していました。」と言います。これにより、MDT-250 のインターフェースはデータベースに互換性を与えるレポートウィンドウ機能を備えました。これらのデータ は、各デバイスを分析するために使用され、デバイス生産の工程で、半導体生産に携わるエンジニアにフ ィードバックを与えられます。
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