ドイツ語の名詞の性割り当て規則 - Seminar für Interkultur und Sprache

ドイツ語の名詞の性割り当て規則:
ドイツ語に取り入れられた日本語由来の名詞の性をみる*
田 中 雅 敏
1.はじめに – Sexus と Genus
2004 年 12 月末に発生したインドネシア(スマトラ島)沖大地震による大津波では,たくさんの人命が奪わ
れた。ドイツでもこの津波関連のニュースは大きく取り上げられている。また,現地の復興状況についても,
ドイツではたびたび報道されている。たとえば,
(1) Die Menschheit wird wohl noch viele Jahre brauchen, um den Albtraum zu verdauen. Fast 300.000
Menschen kostete der Tsunami am 26. Dezember 2004 das Leben, bis heute sind große Gebiete in Südasien
verwüstet. Erst nach und nach wird nun klar, wie mächtig das Beben, das die Flutwelle auslöste, tatsächlich war.
(Spiegel-Online, 20. Mai 2005)
「あの悪夢を受け入れて消化するにはまだ長い年月が必要だろう。2004 年 12 月 26 日に襲った津波は 30 万人
もの人の命を奪い,南アジアのかなりの地域が荒廃している。今回の大津波を引き起こしたあの地震がいかに
巨大だったかということが少しずつ明らかになってきた」
(2) Die Tauchgründe intakt und manche Strände breiter als zuvor, so wirbt der Tourismus-Chef von Phuket.
Und die Deutschen fahren wieder in die vom Tsunami betroffene Region. Immerhin stehen auf der Insel annähernd
so viele Zimmer wie vor der Flutkatastrophe zur Verfügung. (Spiegel-Online, 01. Mai 2005)
「
『潜水ポイントは無傷で,海岸線も前より広くなって快適です』とプーケット島の観光局長は宣伝してい
る。津波の被害に遭ってしまった地域へドイツ人たちは再び足を運ぶようになってきた。その島では,津波
被害の前と変わらない数のホテルの部屋が宿泊客を待っている」
(1) の例では,Tsunami は男性名詞として扱われている。(2) の例では,男性名詞と中性名詞のいずれの扱い
になっているかは判別できないが,少なくとも女性名詞としては扱われていない。しかし,次の (3) 及び (4)
の記事に見られるように,同じ単語 Tsunami が女性名詞として表現される場合もある:
(3) "Es wird gesagt, dass eine Tsunami (Flutwelle) drei Jahre braucht, um von den USA nach Japan zu gelangen",
bemerkt hierzu Ryutaro Yagi, Direktor von Swire Transtech Ltd., einem Importeur von amerikanischer
1
Netzwerkhardware und anderen Computerprodukten.
(Computer-Zeitung, 06. Januar 1994)
「
『津波がアメリカ合衆国から日本に到達するには3年はかかるといわれている』と,アメリカ製のネット
ワーク機器をはじめとするコンピュータ製品の輸入会社の社長は言い添える」
(4) Und er fügt hinzu: "Die Tsunami offener Netze erreicht jetzt gerade die japanische Küste."
(Computer-Zeitung, 06. Januar 1994)
「そしてさらに付け加えた。
『ネットワークの津波は,今はもう日本の海岸線に到達している』
」
このように,ひとつの名詞が2つ以上の性(文法上の性)に割り当てられ具現化されることを「性の揺れ
(gender fluctuation) 」と呼ぶ。本稿で扱う「性」とは,
「自然の(生物学的な)性 (Sexus)」に対する「文法上
」と表現するときは,この「文法上の性」
の性 (Genera)」のことを指しており,以下,単に「性(名詞の性)
のことを指すものとする。その際,それぞれの名詞の性は,男性名詞には定冠詞の主格 (nominative form) の
der または [M] を,女性名詞には同様に die または [F] を,中性名詞には das または [N] を付与することで
明示する。
(5) 「自然の性」と「文法の性」
(ドイツ語)
a) Sexus: 生物学上分類される性
b) Genera: 文法上分類される性
b-1) Maskulina: 男性名詞 [M] (本稿では der をつける)
b-2) Feminina: 女性名詞 [F] (同 die をつける)
b-3) Neutra: 中性名詞 [N] (同 das をつける)
日本語の名詞にはこのような名詞の性システムがないため 1) ,日本人のドイツ語学習者にとって「名詞の
性」の分類,及び割り当て規則の学習は困難を伴うことが予測される。本稿では,その割り当てを予測でき
るような体系的なメカニズム(規則)を概観したのち,外来語の例として日本語の単語がドイツ語に取り入
れられる際にそのメカニズムに従ってどの性別が割り当てられているかを紹介する。
2.ドイツ語学習者から見たドイツ語の「名詞の性」
ドイツ語の名詞は,
「性」
「数」
「格」の素性を持っており,その中でも「数」と「格」の素性は,その違い
がその文の意味に直接影響を与える。たとえば,主語名詞の「数」の違いによって,定動詞の語尾(動詞の
不定形から語幹部分を差し引いた部分)が変化する。そのため,見た目は同じ人称代名詞 sie であっても,
その動詞の形から,それが単数形なのか複数形なのかが区別できるわけである。
2
(6) Was ist gestern mit Maria geschehen? 「昨日,マリアに何があったの?」
a. Gestern hatte sie einen Verkehrsunfall.
sie = Maria ひとり(英語の she)
「昨日,彼女は事故に遭った」
b. Gestern hatten sie einen Verkehrsunfall. sie = Maria を含む複数人の集合(英語では they)
「昨日,彼女たちは事故に遭った」
(7) Haben Sie Kinder? ― Ja, ich habe einen Sohn.
「お子様(複数形)はいらっしゃいますか?― はい、息子がひとり(単数形)おります」
(6) のような例は,名詞の「数」素性が動詞の語尾変化に影響を与えているために,聞き手は「事故にあった
のがマリアひとりなのか,マリアを含めて複数人だったのか」を知ることができる一例である。また,(7) が
示すように,話し手が相手の子どもの数を知らない場合,複数形 (Kinder) で尋ねることができる。それに対
し,答える側は子どもの数が1人だけの場合,単数形 (einen Sohn) で答えればよい。
「格」素性が文の解釈にとっていかに重要であるかを示している。
次に,(8) の例は,
(8) #Vater hat Mutter geschimpft.
father has mother upbraided
(8) では,
「父」と「母」の間に「罵った/罵られた」の関係があることは分かっても,文の最終的な意味は
分からない。Vater と Mutter のどちらが主語でどちらが目的語なのかが不明だからである。これは,(8) に「格」
「罵った/罵られた」
情報が欠落していることに起因する。これを (8’a) または (8’b) のように書き換えれば,
の関係が分かる。
NOM
(8’) a. Der Vater
NOM
b. Die Mutter
ACC
hat die Mutter
geschimpft. 「父が母を罵った」
ACC
hat den Vater
geschimpft. 「母が父を罵った」
他方,
「性」素性情報は,その名詞の意味解釈,ひいては文全体の解釈に影響を及ぼすことがない。(8) の例
では,
「罵った/罵られた」の主語・目的語関係は不明であるが(それは「格」情報の欠落による)
,
「父」と
「母」が当事者であることは理解できる。つまり,(8) のように,そこに「性」素性が明示されていなくても
(たとえば無冠詞の状態)
,語の意味は分かる。
「性」素性情報が決定的に必要となるのは,同音異義語の区別に関わる場合である。
(9) a. der Band ― die Band ― das Band 「冊・巻」―「楽団・バンド」―「テープ・帯」
3
b. der See ― die See 「湖」―「海」
c. die Steuer ― das Steuer 「税」―「ハンドル」
このように,同音異義語は,性別の違いによって,発音は同じでも意味を複数使い分けることができる。こ
の意味の弁別をしているのは,性の違いによるものであって,その性の違いが冠詞の違いを生み出している。
同音異義語は,性の違いから発音の同じ名詞の意味を弁別しており,それは音素の違いが異形態
(allomorpheme) を生み出している (=(10)) のと類似している。そのため,Werner (1975:39) は性の違いを「準
音素」(quasi-phoneme) と名づけている。
(10) der Band 「冊・巻」 ― der Rand 「端・縁」
/b/ – /r/ 弁別音素
同形態で,意味(性)の違いを持つこのような同音異義語の存在は,ドイツ語の習得にとって困難となる
が,Duden (1995:207f) によれば,このような同音異義語は58対しかない。また意味の違いも大きいため 2),
それぞれを別個の名詞として学習しても良いかもしれない。これに対し,いわゆる性の揺れについては,ひ
とつの名詞が2つの性別の間で 揺れている だけであり,これは「同一名詞の2つの変異」として捉える
ことができる。
以上のように,ドイツ語の名詞の「性」は,目に見える形で提示されていなくても,語の意味が解釈でき
てしまうため,学習者が名詞の意味とは無関係に後付けで覚えたり,時には無視して覚えてしまう恐れもあ
るもので,学習上の困難となる可能性があるといえる。
そうすると,明示されていなくても意味が分かるのなら,必要ないのではないかと思われる向きもあるか
もしれないが,ドイツ語では「性」の区別は衰退の兆しすらない。むしろ,文の解釈に密接に働く「格」素
性こそ,その区別が薄れつつある側面もあるほどである。現代ドイツ語では,
「格」の区別(たとえば3格と
4格の違いなど)が薄れてきている 3)。もちろんすべての格の垣根が失われつつあるということはなく,もし
構造格(主格 Nominative と対格 Accusative)の区別がなくなってしまえば,中国語のように「語順」で,常
に「主語が目的語に先行する」という線形順序をとらねばならず,ドイツ語の語順は自由度を失ってしまう。
今のところ,顕著に見てとれるのは,2格の衰退 4),そして3格と4格の区別の希薄化である。
(11) a. [...] ist im Wasser geworfen worden. (Kruse 1987: 58) 【Locative - Destinative】
′[...] is thrown into water′ (この場合,前置詞 in は「移動(方向)
」を表すので対格を要求)
b. Nach langen Kämpfen entschloss ich mir […] (Kruse 1987: 35) 【項】
′I decided after the long struggle that [...]′ (sich entschließen ′ref. decide′ は対格の再帰代名詞を要求)
4
それに対し,
「性」の区別は,なくなる兆しもなければ,3種類ある性が少なくともイタリア語やフランスの
ように男性・女性名詞の2種類だけに減る,ということも起こりそうにない。生物学上の性別が男性と女性
の2種であることを考えれば,名詞の文法上の性を2種類だけ持つ言語では,その2つの性が男性名詞と女
性名詞の2種であることは自然の帰結であると思われる。男性名詞と中性名詞,または女性名詞と中性名詞
だけの2種類の文法的性別を持つ言語は聞いたことがない。少なくとも現在のところ,ドイツ語にとって中
性名詞は,英語の「動名詞」を外来語として受け入れる際の性別の割り当て先(例:Singing makes me feel happy.
に見られるような動名詞 singing「歌うこと」は,ドイツ語では動詞の不定形をそのまま名詞化して中性名詞
扱いするのと類似しているため,Das Singing (= Das Singen) macht mir Spaß. ‘Singing makes me feel funny.’ とな
る)として必要であり,ドイツ語はこの先も男性・女性・中性名詞という3つの性体系を保持しつづけそう
である(Cf. Spitz (1965), Neumann (1967), Jarnatowskaja (1968), Wegener (1995))
。
3.ドイツ語に取り入れられた外来語の性の揺れ
ドイツ語固有の名詞の場合,地域差などが影響して性が揺れることはあり,地域間的 (interregional) に見れ
ば,ある地域とある地域で同じ単語でも別の性を割り当てていることはありえる (=(12))。しかし,ひとつの
地域内 (intraregional) では,基本的に性の選択が揺れることはないという前提に立つことにする。
(12) die Butter [F] (標準ドイツ語) ― der Butter [M] (シュヴァーベン地方の方言)「バター」
したがって,性の選択の揺れは,すでに性の揺れがあることが知られているドイツ語既存の語では当然のこ
とであるが,それ以外は,これからますます国境を越えてドイツ語に入ってくるであろう外来語について主
に起こりうると予測できる。
「外来語の性の決定」については,Duden (2001: 319f.) の記述によれば,
(13) 外来語がドイツ語に取り入れられる際,その外来語(原語)がその元の言語において指定されていた性
をそのまま尊重するよりは,類義のドイツ語もしくはドイツ語の訳語の性に倣って性別を判断すること
が多い。
とある。(14) は,ドイツ語において,フランス語の la place [F] が,対応するドイツ語 der Platz に倣って der
Place de la Concorde と男性名詞として表現されている例である 5)。
(14) Dreh- und Angelpunkt des Tour-de-France-Finales ist der Place de la Concorde (der Platz der Einheit) in Paris,
wo die Fahrer zum endgültig letzten Mal dieser Tour durchs Ziel fahren. (ZDF.de, 21. Juni 2005) Æ [M]
「ツール・ド・フランス決勝レースの山場はコンコルド広場である。選手たちはレースの最後にこの
ゴールを通りぬけるのである」
5
しかし,これについても (15) や (16) に見られるように,揺れがある:
(15) Am 23. Dezember 1836 wurde in Paris auf der Place de la Concorde der große Obelisk aufgestellt,
der dort heute noch die Mitte des Platzes behauptet. (BR-Online, 23. Dezember 2002) Æ [F]
「1836 年 12 月 23 日,コンコルド広場に大きなオベリスクが建てられた。今もこのオベリスクは広場の中心
的な役割を果たしている」
(16) Als Romanist habe ich selbst lange Zeit dem französischen Geschlecht Vorrang erteilt und Sätze gesagt wie
"Wir trafen uns auf der Place Vendôme" und "Wir trennten uns an der Gare du Nord." Inzwischen aber
bin ich mehr und mehr zu der Überzeugung gelangt, dass in deutschen Sätzen auch nach deutscher Grammatik
verfahren werden sollte. (Spiegel-Online, 31. März 2005) Æ [F]
「私個人的には,ロマンス語学文学研究者として,長い間フランス語の元の性を優先的に割り当ててきた。
『ヴァンドーム広場で会いましょう』とか『パリ北駅で別れます』というような文を言うときの Place や
Gare はフランス語の元の性(女性名詞)を当ててきたわけです〔ドイツ語ではいずれも男性名詞〕
。しかし,
次第に,外来語の性はドイツ語の文法に従う傾向が強くなってきました」
日本語の名詞も,ここで挙げたフランス語の名詞のように,ドイツ語に取り入れられれば(借用語として
定着していても,また一時的に外来語としてドイツ語の文章に取り入れられる場合でも)何らかの性を割り
当てられる。その際,(1) 〜 (4) で見たように,性が揺れることも予測される。日本語の具体的なデータにつ
いては改めて第5節でふれることにし,次節では,ドイツ語における「名詞の性別割り当て規則」を概観す
ることにする。
4.ドイツ語における名詞の性別割り当て規則
4.1.性別割り当て規則の3本柱
ドイツ語における名詞の性の割り当てには,大きく分けて次の3つの原理(規則)があることが知られて
いる (Werner 1975, Wegener 1995) 。これらは,ドイツ語固有の名詞が,古語から現代語に至るまでの変遷上
でどのように性別が割り当てられてきたかを示すことはもちろん,今回の主題であるドイツ語に取り入れら
れた借用語や新しく作られる新語・造語などの性別決定にも関わるものと予測できる。
(17) a. 名詞の意味に基づく割り当て semantic rule
b. 形態音韻的割り当て morpho-phonological rule
c. 音韻に基づく割り当て phonological rule
6
4.2.名詞の意味に基づく割り当て
(17a) の「名詞の意味に基づく性別の割り当て」は,さらに次の2つの原理によって成り立っている。
(18) a. Natural Gender Principle (NGP) 自然の性に基づく割り当て
[M] der Sohn「息子」, der Vater「父」/ [F] die Tochter「娘」, die Mutter「母」など
新語: [M] der Schwuli「ホモセクシュアルの男性」/ [F] die Tussi「女の子」
(例外: der Vamp「妖婦」, die Memme「女々しい男」, die Schwuchtel「ホモセクシュアルの男性」,
das Mädchen「女の子」 など)
b. Leading Words Principle (LWP) 既存の語からの意味的な類推による割り当て
Intercity (IC), Interregio (IR) Æ der Zug Æ der Intercity, der Interregio「列車名」
the band Æ die Kapelle Æ die Band
the match Æ das Spiel Æ das Match
le tour Æ die Reise Æ die Tour「旅」
la chanson Æ das Lied Æ das Chanson「シャンソン」
(例外 der Trip, der Song など Î (21a): 単音節の名詞)
4.3.形態音韻的割り当て
(17b) の「形態音韻的割り当て」は,さらに次の2つの形式規則 (formal rules) 原理によって成り立つ:
(19) a. 派生語 ― 派生語尾を伴う名詞
-ig [M]
König「王様」, Honig「蜂蜜」, Käfig「檻」
(例外: das Reisig「小枝」
)
-ling [M] Lehrling「徒弟」, Zwilling「双子」, Schmetterling「蝶」 (例外: die Reling「船の手すり」
)
-ist [M] Kommunist「社会主義者」, Polizist「警察官」
-er [M] Lehrer「教師」, Bäcker「パン職人」
-ei [F] Bäckerei「パン屋」, Bücherei「図書室」
-heit [F] Krankheit「病気」, Kindheit「幼年時代」
-keit [F] Kleinigkeit「些細なもの」, Süßigkeit「甘いもの」
-schaft [F] Mannschaft「チーム」, Freundschaft「友情」, Meisterschaft「至芸・選手権」
-ung [F] Zeitung「新聞」, Achtung「注意」
-chen/-lein/-le [N] Mädchen「女の子」, Fräulein「お嬢さん」
-nis [N] Geheimnis「秘密」, Ergebnis「結果」 (例外: die Erlaubnis「許可」
)
-tum [N] Eigentum「財産」, Altertum「古代」 (例外: der Reichtum「富」
)
7
b. 擬似派生語尾(派生語尾ではないが性別の割り当てに有効な変化語尾に見えるもの)を持つ名詞
Augst (1984) の試験的調査: 1000 個の名詞のうち
-e [F] 90.4 %
[M] 9.4 % / [N] 0.06 %
-en [M] 83 %
[N] 17 % / [F] 0 % 6)
-er [M] 71 %
[N] 15 % / [F] 14 %(人・道具の –er を想起させる)
ここで「形態音韻的割り当て」と言っているのは,語そのものの音(音韻)だけでなく,接尾辞のような形
態素(拘束形態素)も含めたものとして分析するための区分であり,次の4.4の「音韻的割り当て」と区
別する必要がある。紙幅の都合で,性の割り当てに有効な接尾辞のすべてを列挙することはできないが,(19a)
で見てとれるように,非常に多くの接尾辞が名詞の性に関わっている。(19b) に挙げられている3種類は,一
見すると形容詞の変化語尾のように見えるが,これらは語の一部であり,これらの形態音韻特徴で終わる語
は,それぞれ一定の傾向をもって一つの性が割り当てられていることを示している。
また,興味深いことに,女性名詞に割り当てられる名詞の大きな特徴のひとつである語尾 –e で終わる語で
も,その語尾 –e を失えば,女性名詞以外の性(男性名詞か中性名詞)に変化してしまうことがある。このこ
とは,接尾辞および擬似接尾辞による音韻形態的な性の割り当てが,かなりの程度で体系的に行われている
ことを示している。
(20) a. die Quelle Æ der Quell 「源泉」
b. die Zehe Æ der Zeh「足の指」
4.4.音韻に基づく割り当て
(17c) の「音韻に基づく割り当て」は,(17b) に対して,接辞のついていない名詞が対象となる。つまり,
名詞そのものの「音」が問題なのであり,形態素などの効果によって性が決まるわけではないような名詞群
に関わるものである。
(21) a. 単音節(一音節)の名詞 Æ 男性名詞が優勢
単音節(接辞のない名詞のおよそ 80 %)der Trip, der Song, der Typ
b. 複音節,及び一般的に単音節にも当てはまる Æ
・語末音が -ie [F]
Japanologie「日本語学文学研究」, Familie「家族」
-a [F] Kamera「カメラ」, Aula「オーラ」
(例外: der Opa「祖父」= NGP, das Sofa「ソファー」Å das Bett = LWP による)
-ft/-cht [F]
Luft「空気・空」, Nacht「夜」
8
Natur「自然」, Tür「扉」, Gebühr「料金」
-ur/ür [F]
-ett [N] Etikett「ラベル」, Tablett「盆」 (例外: der Kadett「将校養成学校の生徒」
)
・語頭音が tr-/dr- [M]
Traum「夢」, Druck「圧迫・圧力」
kn- [M] Knecht「職人」, Knopf「ボタン」, Knödel「団子」 (例外: das Knie「膝」
)
繰り返しになるが,(21) では,
「派生」
(動詞から名詞,名詞から形容詞などを作るような操作)とは無関係
で,語そのものの音(特に,語末音と語頭音)による性の割り当てであることに注意されたい。
4.5.非語の性割り当てテスト
以上の割り当て規則の実用性を検証するため,Köpcke/Zubin (1983, 1984) では人工的に作った語彙(非語)
の性別割り当てテストを行っている。この実験は,被験者 40 名に対し,(22a-l) に挙げる 12 個の非語を提示
し,被験者が直感的にどの性別を割り当てるかを記録したものである。その結果は (23) のとおりである。表
(23) には,
「被験者たちが判断した中で最も優勢だった性」
「その割合(百分率)
」
「その性が割り当てられる
上での考えられる割り当て規則(理由)
」を記す。
(22) a. Troch b. Knirf c. Trunt d. Pucht e. Wühr f. Flett
g. Muhre h. Bachter i. Sponken j. Knauling k. Quettchen l. Borchheit
(23)
非語
性の割り当て
割合
理由
非語
性の割り当て
割合
理由
Troch
[M]
87.2 %
語頭音
Knirf
[M]
75 %
語頭音
Trunt
[M]
70 %
語頭音
Pucht
[F]
73 %
語末音
Wühr
[F]
80 %
語末音
Flett
[N]
85.7 %
語末音
Muhre
[F]
95 %
擬似接尾辞
Bachter
[M]
71 %
擬似接尾辞
Quettchen
[N]
100 %
接尾辞
Borchheit
[F]
100 %
接尾辞
Sponken
[M]
83 %
擬似接尾辞
Knauling
[M]
100 %
接尾辞
[N]
17 %
ここでは,いずれも人工的に作った非語なので,NGP や LWP のような「意味的」類推規則によるものはな
いが,すべて,
「形態音韻的」
(接尾辞/擬似接尾辞)
,および「音韻的」
(語頭音/語末音)な規則で,それ
ぞれ,ある一つの性に傾く結果が出ていると言える。このことは,ドイツ語の名詞の性別割り当てメカニズ
9
ムの一つの可能性として,上で挙げた3つの規則が,非常に体系的にとらえられていることを示している。
4.6.3本柱の階層性
以上観察した,ドイツ語の名詞の性を割り当てるための3つの柱は,それぞれ独自に作用するのではなく,
一定の階層性をもって「相互作用」あるいは「相補分布」をなしていると考えられる。
たとえば,Knecht や Wicht は,(17c) の規則に基づけば,語末音が –cht であるため,女性名詞に割り当て
られることは十分に予測されるところである。しかし,これらは実際には男性名詞であるので,一つの考え
方として,これは NGP に従った性の割り当てであると考えることができる。そこで,
「音韻的な規則」によ
る割り当てよりも,同時に「意味的な類推による割り当て」が可能な場合には,こちらの規則のほうが優先
的に適用されると考えてみることにする。その結果,ひとまず (24) のような階層性を想定する。
(24) semantic >> phonological rule
さらに,Mädchen「女の子」, Matterhorn「マッターホルン(山)
」などは,意味的な類推による分類と実際に割
り当てられている性は違っており,事情はさらに複雑である。しかし,これらは,
「形態音韻的」な規則によ
って「意味的」な割り当て規則の適用が抑制されていると考えることができる。
(25) a. Mädchen 意味的には [F] のはず,しかし [N] Í -chen の形態音韻
b. Matterhorn 意味的には「山」なので,LWP により der Berg「山」Æ [M] と
なることが予測されるが,実際は [N] Í das Horn「角・ホルン」という形態音韻
そこで,ひとつの提案として,(26) のような「性割り当て規則の階層性」を考えておくと,それぞれ,より
上位の規則が適用できる環境下では,より下位の規則の適用は抑制され,その結果,その適用されたより上
位の規則に基づく性が割り当てられることになる。
(26) ドイツ語の名詞をめぐる性割り当て規則の階層性:
morpho-phonological >> semantic >> phonological rule
5.外来語(日本語)単語の性の割り当て
最後に,ドイツ語の辞書 7) に記載されている日本語単語のひとつひとつについて,辞書に掲載されている
性と,その性が割り当てられるに至った理由を分析してみる。
10
(27) ドイツ語に取り入れられた日本語由来の名詞の性
見出し語
性
考えられる割り当て規則
Aikido (合気道)
das
動作を表す 8)
Bonsai (盆栽)
der
das
LWP 「盆・皿の中の木 (der Baum)」
動作「木の芸術」
Budo (武道)
das
動作
Dan (階級の段)
der
単音節 / LWP「階級 (der Grad)」
Dschodo (浄土)
das
LWP「汚れのない清い国 (das Reich ohne Makel)」
Futon (蒲団)
der
das
語末音 –on ? ← der Beton「コンクリート」
?? (スイスの新聞で中性名詞)
Geisha (芸者)
die
NGP 「音楽や踊りの訓練を受けた女性」
Go (碁)
das
LWP 「卓上ゲーム (das Brettspiel)」
Harakiri (腹切り)
das
動作
Hiragana (平仮名)
das
LWP「文字 (das Schriftzeichen)」
Ikebana (生け花)
das
動作
Judo (柔道)
das
動作
der
NGP「男性の柔道家 (der Judo-Kampfsportler)」
die
NGP「女性の柔道家 (die Judo-Kampfsportlerin)」
Kakemono (掛物)
das
LWP「絵 (das Hängebild)」
Kamikaze (神風)
der
LWP「風 (der Wind)」
Karaoke (カラオケ)
das
LWP「語源が『空っぽのオーケストラ』(leeres Orchester)」
Karate (空手)
das
動作
Karoshi (過労死)
der
LWP「死 (der Tod durch Überarbeitung)」
Katanaka (片仮名)
das
LWP「文字 (das Schriftzeichen)」
Ken (県)
das
LWP「連邦州 (das Bundesland)」
Kendo (剣道)
das
動作
Kimono (着物)
der
das
LWP「正装 (der Anzug)」
LWP「衣服 (das Gewand)」
Koto (琴)
das
LWP「楽器 (das Musikinstrument)」
Kyu (級)
der
単音節 / LWP「階級 (der Grad)」
Manga (漫画)
der
LWP「コミック (der Comic)」
Manyoshu (万葉集)
das
LWP「集合名詞(詩歌を集めたもの)(集合 Ge-...)」
Judoka (柔道家)
11
der
NGP「天皇 (der Kaiser)」
das
LWP「ゲーム名 (das Geschicklichkeitsspiel)」
Miso (味噌)
die
das
der
LWP「大豆ペースト (aus fermentierten Sojabohnen gefertigte Paste)」
LWP「調味料 (das Gewürz)」
語末音 –o ??
Ninja (忍者)
der
NGP「忍びの戦士 (in Geheimbünden organisierter Krieger)」
Origami (折り紙)
das
動作「紙を折る」/ LWP「紙 (das Papier)」
Rikscha (人力車)
die
語末音 –a
Sake (酒)
der
LWP「お米のワイン (der Reiswein)」
Samurai (侍)
der
NGP「仕える者 (Dienender)」
Schogun (将軍)
der
NGP「軍を統率する者 (japanischer kaiserlicher Feldherr)」
Sumo (相撲)
das
動作
Sushi (鮨)
das
LWP「料理 (das Essen, Gericht)」
Tamagotchi(たまごっち)
das
形態音韻 –tchi (-chen)
Tenno (天皇)
der
NGP「天なる統率者 (der Kaiser, der himmlische Herrscher)」
Tofu (豆腐)
der
?
Tsunami (津波)
der
die
LWP「大きなもの」9)
LWP「高波 (die Flutwelle)」
Zen (禅)
das
動作?
Mikado (御門)
*LWP「人力の車 (das Mensch-Kraft-Fahrzeug)」
(27) の表を見る限り,圧倒的に多いのは意味的な類推によるもので,音韻的規則がそれに次いでいる。これ
は,意味的規則のほうがより階層的に上位の規則であると仮定するならば,日本語の単語がドイツ語に取り
入れられたときの「性割り当て規則」は (28) のようになることを示唆している。なお,日本語には「派生語
10)
の接辞」がないため ,
「形態音韻的規則」はどこまで作用するのか,それが作用する場合の階層性はどうす
るべきか判断しかねる。しかし,1つだけドイツ語の –chen(形態音韻的規則)に対応すると思われる例 (das
Tamagotchi) というのがあり,語尾の –tchi を「縮小辞 (Diminutive)」と見れば,階層の一番上位に置くことも
可能性のひとつである。
(28) 日本語の名詞をめぐる性割り当て規則の階層性:
morpho-phonological >> semantic >> phonological rule
ここまでの議論が正しいとすると,ドイツ語の名詞であれ,日本語の名詞であれ,およそドイツ語という言
12
語において名詞に性を割り当てるという認知的な処理は,(26) 及び (28) のような同一の階層性をもった3つ
の規則に基づいてなされるということになる。したがって,ドイツ語における名詞の性割り当て規則の階層
性は,現時点では (29) として最終的に定式化することができる:
(29) ドイツ語において名詞に性を割り当てる認知活動に関わる規則の階層性:
morpho-phonological >> semantic >> phonological rule
6.結語にかえて
今回の観察をするにあたり,性の割り当てが「音韻形態的」あるいは「音韻的」規則でなされているので
あれば,目に見える形(形態や音韻)である程度までその性を予測できるのではないかという期待をもって
いた。しかし,結果的には,名詞の性の決定には,
「意味」に関わる部分が中核をなしており,ドイツ語学習
者がドイツ語単語もしくは外来語起源でドイツ語に取り入れられた名詞群の性を学習する際には,やはりで
きるだけたくさんの基本語彙を知っておく必要があることが分かった。
例外が少なくないにせよ,上の (18), (19), (21) で紹介した「性割り当て規則」に基づいて,たとえば,単
音節の単語を見たら 80 %の割合で男性名詞と思えば良い,語尾が -e で終わる名詞を見たら 90% は女性名詞
だと思えば良い,などと,一定の予測能力を持っていれば,新しい語彙を学習し,その名詞の性をインプッ
トする際にも,予測できる範囲のものは無理に覚えなくて済み,むしろそこから逸脱した例外だけに注意す
ることも可能になる。本稿で提示する「性割り当て規則」は,まだまだ綿密な検証の余地があるが,一定の
傾向を示したモデルとしては意義があるだろう。ドイツ語の名詞であれ,日本語の名詞であれ,ドイツ語に
取り入れられて用いられる名詞はすべて何らかの性を割り当てられるのであるから,本稿で提示する「性割
り当て規則」がドイツ語の学習に一定程度役立てば幸いである。
さらに,残る課題としては,現代ドイツ語固有の語について,ゲルマン語の変遷の中でなされ現在に至っ
ているその性の割り当てを調べることも非常に意味があると思われる。
注
* 本稿は,2005 年 6 月 25 日に広島大学で開催された第 83 回広島独文学会研究発表会で筆者が行った口頭発
表に基づいている。研究発表会の場で貴重なご指摘,ご意見をくださったすべての方にここにお礼を申し上
げる。また,本稿の執筆にあたり,問題点の示唆,温かい励まし,貴重な助言をくださった吉田光演先生(広
島大学)に謝意を表する。本稿のドイツ語校正は,Axel Harting 先生(広島大学)にお願いした。合わせてこ
の場を借りてお礼申し上げたい。
1) 有生物の性差に基づく代名詞表現(
「彼」
「彼女」など)を除けば,日本語にはドイツ語のような厳密な名
詞の性システムはないと言える。
13
2) 中には,der Quell ― die Quelle のように,ほぼ同音(同形態)で同義の単語対もあるが,この点について
は別途触れる。本文中の (20a-b) を参照されたい。
3) この「与格と対格の区別の希薄化」を指して,両者の混合体 Accudative (Accusative + Dative) という用語
も提唱されている。
4) 2004 年に刊行された “Der Dativ ist dem Genitiv sein Tod” という書籍がドイツでベストセラーとなっている。
5) Concorde は「統一」という意味で,place de la Concorde はドイツ語の Platz der Einheit という広場と同義
になる。後述するが,place が語尾 –e を持つという点で女性名詞に割り当てられる可能性がある一方で,Platz
der Einheit という名の広場がすでに固有名詞として定着して,ドイツの色々な町にあることで,一層,男性
名詞への性の割り当て(place = der Platz)が優位なのかもしれない。
6) 語尾 –en は,名詞化された不定形,複数語尾を思い起こさせ,中性名詞や女性名詞に傾く傾向が否定でき
ないのであまり有意とはいえない。
7) 今回の調査で使用した辞書は次のとおり: (a) Das Langenscheidt Fremdwörterbuch, (b) Duden - Deutsches
Wörterbuch neu, (c) Wahrig - Die deutsche Rechtschreibung, (d) Wissen.de-Lexikon, (e) Bertelsmann - Das Wörterbuch
der deutschen Sprache.
8) 動作 (activity) は,ドイツ語では動詞の不定形をそのまま名詞化し,中性名詞にするのと同じ効果を見て
とれる。
ins Kino gehen 「映画館に行く」→ das Inskinogehen 「映画館に行くこと」
9) 津波という概念は古くからヨーロッパでも知られていたが,実際のその威力・破壊力などを身をもって知
ったのはヨーロッパの人々にとっては今回のスマトラ沖大地震がひとつのきっかけとなっているはずである。
その「大きさ」に焦点が当てられると男性名詞になる傾向があるかもしれない。
(岩崎克己氏の指摘による)
10) 形容詞を名詞にするときの「湿っぽい」→「湿っぽさ」や,動詞を名詞化するときの「歩く」→「歩行」
など,活用変化はある。これはドイツ語の「湿っぽい (feucht)」→「湿っぽさ (Feuchtigkeit)」のような品詞派
生に似ている。そのため,日本語の「湿っぽさ」がドイツ語になれば,女性名詞を作る接尾辞 –keit に倣っ
て die Shimepposa となれば納得できそうである。
14
参考文献
Augst, Gerhard (1984): Kinderwort. Der aktive Kinderwortschatz (kurz vor der Einschulung) nach Sachgebieten
geordnet. Frankfurt/Main: Lang.
Duden (51995): Bd. 4, Grammatik. Mannheim, Leipzig, Wien, Zürich: Duden.
Duden (52001): Bd. 9, Richtiges und gutes Deutsch. Mannheim, Leipzig, Wien, Zürich: Duden.
Köpcke, Klaus Michael / Zubin, David A. (1983): "Die kognitive Organisation der Genuszuweisung zu den einsilbigen
Nomen der deutschen Gegenwartssprache." In: Lingua 74, 302-335.
Köpcke, Klaus Michael / Zubin, David A. (1984): "Sechs Prinzipien für die Genuszuweisung im Deutschen: Ein Beitrag
zur natürlichen Klassifikation." In: Linguistische Berichte 93, 26-50.
Kruse, Detlef (1987): Glaßbrenner und der Berliner Dialekt. (= Schriften zur Berliner Sprache und Literatur, Bd.1),
Berlin.
Jarnatowskaja, V. E. (1968): "Die Kategorie des Genus der Substantive im System der deutschen Gegenwartssprache."
In: Deutsch als Fremdsprache 5: 213-219.
Neumann, Werner (1967): "Notizen zur Genusbestimmung der deutschen Substantive und zur Definition des Wortes."
In: Deutsch als Fremdsprache 4: 16-22.
Schlobinski, Peter (1988): "Über den »Akkudativ« im Berlinischen." In: Muttersprache 98-3: 214-225.
Spitz, Erich (1965): "Beitrag zur Genusbestimmung der deutschen Substantive." In: Deutsch als Fremdsprache 2: 35-43.
Werner, Otmar (1975): "Zum Genus im Deutschen." In: Deutsche Sprache 3: 35-58.
Wegener, Heide (1995): Die Nominalflexion des Deutschen – verstanden als Lerngegenstand. (= Reihe Germanistische
Linguistik 151), Tübingen: Max Niemeyer.
15
Ein Tsunami ist eine riesige Flutwelle: Zur deutschen Genuszuweisungsregeln
TANAKA Masatoshi
Im vorliegenden Aufsatz handelt es sich um die Mehrfachzuweisungen von Genera zu einem Nomen (wie in (1)), ohne
dass dabei eine semantische Verschiebung des betreffenden Nomens (wie in (2)) bewirkt wird:
(1) die Butter (im Hochdeutschen) und der Butter (in der schwäbischen Mundart)
(2) die Steuer (Teil des umlaufenden Geldes) und das Steuer (Vorrichtung zum Steuern)
Im Deutschen werden (i) semantische, (ii) morpho-phonologische sowie (iii) phonologische Genuszuweisungsprinzipien unterschieden:
(3) (i) semantische Genuszuweisung: Genera werden auf Basis einer natürlichen Klassifizierung zugewiesen
(der Schwuli, die Tussi) bzw. sie werden von Wörtern geleitet, die bereits im Lexikon existieren (der Zug Æ der
Intercity, das Lied Æ das Chanson).
(ii) morpho-phonologische Zuweisung: Bei der Genuszuweisung wirken Pseudo- (-e, -en, -er) und Ableitungssuffixe
(-ig, -ling, -heit, -schaft, -chen, -tum u.a.).
(iii) phonologische Zuweisung: Die Genuszuweisung wird von der Anzahl der Silben in einem Wort (ein- oder
mehrsilbig) sowie von Auslauten (-ie, -ft/cht usw.) und Anlauten (tr/dr-, kn-) beeinflusst.
In dem vorliegenden Beitrag wird eine Hierarchie der Prinzipien, die für die deutsche Genuszuweisung wirken,
vorgeschlagen:
(4) morpho-phonologiche >> semantische >> phonologische Regel
Mit Hilfe von (4) könnte die Zuweisung z.B. des sächlichen Artikels an dem Nomen wie das Mädchen erklärt werden.
Semantisch gesehen ist ein Mädchen weiblich, aber die Priorität habende morphologische Endung -chen bewirkt eine
sächliche Zuweisung.
Wird ein japanisches Wort einmal ins Deutsche importiert, bekommt es auch ein Genus. Über die riesige Flutwelle, die im
Dezember 2004 große Gebiete Südasiens verwüstet hat, wurde in vielen deutschen Zeitungen berichtet. Dabei wurde dem
Wort Tsunami meistens der maskuline Artikel (der Tsunami) zugewiesen. Das Wort wird aber traditionell vielmehr als
Femininum (die Tsunami) verwendet. Da der Begriff Tsunami buchstäblich „Flutwelle“ bedeutet, wird er von den meisten
Deutschen intuitiv als Femininum interpretiert. Aber wenn man die gewaltige Macht eines/einer Tsunami in Betracht zieht,
würde man eher zur Zuweisung des männlichen Artikels tendieren. Hierbei spielt das semantische Genusprinzip eine Rolle.
Dabei möchte ich auch für die Genuszuweisung für die japanischen Nomina die Hierarchie der Prinzipien (4) vorschlagen.