創業サポートガイド - 長野県信用保証協会

信用保証協会の
創業サポートガイド
∼創業をお考えの皆様へ∼
はじめに
これから創業される方も、創業されて間もない方も、
はじめまして。
長野県信用保証協会です。
当協会は、「日本一創業しやすい県」を目指す長野県において、創業に関するご相談から、
創業計画策定に関すること、創業時及び創業後の資金調達まで、皆さまの「創業」という夢の
実現を積極的に応援しています。
本冊子は、保証制度や創業計画の解説を中心に、創業についての基礎的な内容をまとめたも
のです。創業をお考えの方のお役に立てれば幸いです。
INDEX
1. 信用保証協会について
⑴ 信用保証協会とは …………………………………………………………………………………3
⑵ 保証をご利用いただける方 ………………………………………………………………………3
2. 創業者向け保証制度
⑴ 創業の流れと保証制度 ……………………………………………………………………………4
⑵ 創業等関連保証、創業関連保証、再挑戦支援保証 ……………………………………………5
⑶ 長野県中小企業融資制度「創業支援資金」 ……………………………………………………7
3. 信用保証協会の創業支援
⑴ 創業から保証まで …………………………………………………………………………………8
⑵ 創業後の保証支援 …………………………………………………………………………………9
4. 創業計画の作り方
⑴ 計画の前に ………………………………………………………………………………………10
⑵ 創業計画書の作成 ………………………………………………………………………………11
⑶ 創業計画書記入例 ………………………………………………………………………………16
⑷ 収支等計画書記入例 ……………………………………………………………………………20
5. 創業時に必要な届出等 ……………………………………………………………………21
2
1. 信用保証協会について
⑴信用保証協会とは
「信用保証協会」は、中小企業の皆様の金融の円滑化を図るために設立された公的機関です。
事業を営んでいる方が金融機関から事業資金を借入するときに「公的な保証人」となり、資
金調達をサポートいたします。
*経営相談、財務診断、情報提供等の各種支援サービスをご用意しています。
*保証付融資を受ける際の「信用保証料」以外の費用は不要です。
*法人の代表者以外の連帯保証人は原則として不要です。
*創業者向けをはじめとするさまざまな保証制度がご利用いただけます。
⑵保証をご利用いただける方
◆企業規模(資本金または従業員数のいずれかが該当すればご利用いただけます)
業 種
製造業等(運送業・建設業を含む)
資本金
従業員数
3 億円以下
300 人以下
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タ
イヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベ 3 億円以下
ルト製造業を除く)
900 人以下
卸売業
1 億円以下
100 人以下
小売業(飲食業を含む)
5,000 万円以下
50 人以下
サービス業
5,000 万円以下
100 人以下
ソフトウェア業
情報処理サービス業
3 億円以下
300 人以下
旅館業
5,000 万円以下
200 人以下
医業
―
法人 300 人以下
個人 100 人以下
◆業 種
ほとんどの業種が対象となりますが、農林漁業、娯楽遊戯場の一部、金融業、宗教・政治経
済・文化団体、その他信用保証協会において不適当と認める業種は対象となりません。
◆許可等
許認可や届出等を必要とする業種を営んでいる場合は、当該事業に係る許認可等を受けてい
ることが必要です。(P. 23 参照)
◆所在地・業歴
長野県内に事務所、店舗、工場等があり、事業を営んでいる方にご利用いただけます。
ただし、創業者向け保証制度(創業等関連保証、創業関連保証)については、業歴に関係な
く創業前の段階からご利用いただけます。
3
2. 創業者向け保証制度
⑴創業の流れと保証制度
創業する方の準備状況に応じた制度をご用意しております。
機械設備等の発注を行った
商品の仕入を行った
店舗権利金を支払った
…など
開業届の開業日または
登記事項証明書記載の
設立年月日の日とします
創業後
年未満
創業後
年未満
営業開始
必要な
営業許可を取得
創業に向け
客観的に事業着手
創業計画書・収支等
計画書を作成
創業決意
1
5
創業等関連・創業関連保証(無担保)
ご利用いただける制度
4
県制度・市町村制度の創業支援資金
創業等関連
保証・創業
関連保証に
該当する場合、
計画段階から
ご利用いただ
けます
一般保証(有担保)
創業等関連保証・創業関連保証を
ご利用されない場合は、原則とし
て借入金を保全する担保が必要と
なります。
一般保証
(無担保又は有担保)
創業後1年経過の
場合は一般保証で
も無担保保証が可
能となります。
⑵創業等関連保証、創業関連保証、再挑戦支援保証
新たに事業を始めようとする方や事業を始めて間もない方を支援するための、全国統一の
保証制度です。
創業等関連保証
対象となる方
⑴創業を予定されている次の方
①事業を営んでいない個人の方で、1カ月以内に新たに事業を開始する具体的計画のある方
②事業を営んでいない個人の方で、2カ月以内に新たに会社を設立し、事業を開始する具体的
計画のある方
③会社(中小企業者である会社)が別会社を設立し、その事業を開始する具体的計画のある会
社
⑵創業後間もない次の方
①事業を営んでいない個人の方が事業を開始した場合、事業開始以後5年を経過していない方
②事業を営んでいない個人の方により設立された会社で、設立以後5年を経過していない会社
③会社(中小企業者である会社)が設立した別会社で、設立以後5年を経過していない会社
保証限度額
1,500 万円(但し上記⑴①②の場合は自己資金の範囲内の借入となります)
保証期間
10 年以内(据置1年以内を含む)
連帯保証人
法人の代表者以外不要
担保
不要
信用保証料
借入金額に対し年 0.55%~ 0.80%
創業関連保証
対象となる方
⑴創業を予定されている次の方
①事業を営んでいない個人の方で、1カ月以内に新たに事業を開始する具体的計画のある方
②事業を営んでいない個人の方で、2カ月以内に新たに会社を設立し、事業を開始する具体的
計画のある方
⑵創業後間もない次の方
①事業を営んでいない個人の方が事業を開始した場合、事業開始以後5年を経過していない方
②事業を営んでいない個人の方により設立された会社で、設立以後5年を経過していない会社
保証限度額
再挑戦支援保証と合算して 1,000 万円
保証期間
10 年以内(据置1年以内を含む)
連帯保証人
原則として法人の代表者以外は不要
担保
不要
信用保証料
借入金額に対し年 0.55%~ 0.80%
再挑戦支援保証
対象となる方
過去に経営の状況の悪化により、事業を廃止・会社を解散してから5年を経過していない次の方
⑴事業を営んでいない個人の方で、1カ月以内に新たに事業を開始する具体的計画のある方
⑵事業を営んでいない個人の方で、2カ月以内に新たに会社を設立し、事業を開始する具体的計
画のある方
⑶事業を営んでいない個人の方が事業を開始した場合、事業開始以後5年を経過していない方
⑷事業を営んでいない個人の方により設立された会社で、設立以後5年を経過していない会社
保証限度額
創業関連保証と合算して 1,000 万円 保証期間
10 年以内(据置1年以内を含む)
連帯保証人
原則として法人の代表者以外は不要
担保
不要
信用保証料
借入金額に対し年 0.55%~ 0.80%
5
◆「事業を営んでいない個人」とは
= 給与所得者(サラリーマン)
、法人の代表権のない役員、主婦、学生など
①対象となる方
⇒個人事業主(※1)、法人の代表権のある役員(※2)は対象となりません。
廃業又は代表権のある役員を辞任している場合は対象となります。
※1「個人事業主」とは、所得税法上の事業所得のある方を指します
給与所得以外に不動産所得等がある方や、保険外交員(給与所得ではなく税務申告をしている
契約社員)をしている方でも、事業所得がなければ対象となります。農林漁業などを営んでい
る方は、事業所得であり対象となりません
※2「法人の代表権のある役員」とは、会社のほか、公益法人、特定非営利法人なども含みます
②具体的な確認資料
申込を希望する方
確認書類の例
給与所得者
源泉徴収票、市町村民税の特別徴収税額通知書の写し
会社の代表権のない役員
会社の履歴事項全部証明書
専業主婦、学生
健康保険者証の写し(被扶養者であることを示すもの)
、
非課税証明書
◆「事業を開始する具体的計画」とは
①事業開始に向けた資料
「事業開始の準備(=客観的着手)が確認できる資料」
が必要です。
実際に ☆客観的着手の確認書類…不動産賃貸契約書の写し、許認可の写し(申請書含む)、商品の発注資料の写しなど
②計画書
創業等関連保証・創業関連保証をご利用いただく場合、定型様式の創業計画書(P. 16 ~
19 参照)があります。それ以外の場合は、任意の様式で結構です。 いずれの場合も、計画
書の記載内容が確認できる資料を合わせてご用意ください。
◆創業等関連保証における「自己資金」とは
「自己資金」=①「資金・資産」-②
「借入金」
①創業予定の事業に充当するために用意した「資金・資産」
各種預金、有価証券、入居保証金、申込前に導入した事業用設備など
(不動産は除きます。また、入居保証金と異なり「礼金」は該当しません。
)
☆必要書類…預金:残高推移・満期日等が分かる資料、入居保証金:賃貸借契約書及び預かり証の写し
②事業外も含めた「借入金」
返済予定期間が2年超の借入金は2年分の返済予定額とし、それ以外は全額を算入。
☆必要書類…借入の始期・終期及び現在残高、返済予定が分かる資料の写し
※創業計画書の「6. 資金調達計画」欄(P. 17)をご参照ください。
6
⑶長野県中小企業融資制度「創業支援資金」
「日本一創業しやすい県」を目指す長野県では、創業者向けの融資制度「創業支援資金」
をご利用いただくことができます。ご負担をいただく信用保証料について、県・市町村の補
助を受けられます。
◆創業支援資金の概要
対象者
貸付限度額
新規開業予定者及び新規開業者で事業の実施のために資金を必要とする方
※個人で新しい事業を開始する場合は、商工会等の経営指導員による経営指導を受ける必
要があります。
設備 3,000 万円
運転 1,500 万円 ※ただし、新規開業予定者の場合は、設備・運転の合計で自己資金の範囲内で 2,500 万円
(創業関連保証を利用できる場合は 1,000 万円まで自己資金不要)
貸付利率
年 1.8%
貸付期間
設備 7 年以内(据置 1 年以内)※自動車 5 年以内 建物等 10 年以内
運転 5 年以内(据置 1 年以内)
信用保証料
保証人等
必要書類
県・市町村の補助により自己負担 0.44%以内
※創業等関連保証・創業関連保証を利用する場合は信用保証料の自己負担はありません。
(保証人)法人代表者を除き原則不要
(担保)必要に応じて徴する
※創業等関連保証・創業関連保証を利用できる場合は、原則 2,500 万円まで無担保、無
保証人による貸付(法人代表者を除きます)。
・申込書 ・貸借対照表(又は試算表)及び損益計算書
・県税及び市町村税の納税証明書
・設備資金の場合…設計設備計画図、見積書、カタログ等(写し可)
・建物を対象とする場合…建築確認通知書の写し
・許認可等を必要とする場合…許認可等の写し
・衛生、防火及び安全等について確認が必要と認められた場合…関係行政機関
の意見書
・事業所周辺の略図
・資金ごとに定める書類
<これから開業する場合> 創業計画書・経営計画に関する意見書
<開業後 1 年未満の場合> 収支等計画書
・その他金融機関が定める書類
・信用保証を受けるために必要な書類
◆収支等計画書
開業後 1 年未満の方のお申込に際しご提出いただく書類です。県「創業支援資金」でお申
込をいただく場合は所定の様式(P. 20 参照)のご提出をお願いします。他の制度でお申込を
いただく場合は任意の様式(収支実績と計画、貸借対照表、事業見通し及び資金の必要理由等
記載のあるもの)を使用していただいても構いません。
――市町村の創業支援制度については、各市町村の窓口等へお問い合わせください――
7
3. 信用保証協会の創業支援
⑴創業から保証まで
商工会議所
商工会
①相談
ながの創業サポート
オフィス
創業される方
連携
①
②
相
談
・
申
込
⑤
融
資
実
行
⑥
返
済
①
相
談
③
⑦
面
創
談
業
後
の
サ
ポ
ー
ト
②申込
金融機関
信用保証協会
④保証承諾
①相 談
商工会議所・商工会・ながの創業サポートオフィス(P. 9 参照)または借入希望の金融
機関もしくは当協会へご相談ください。
②申 込
金融機関の窓口を経由して信用保証のお申し込みをいただきます。
※県・市町村制度保証は、県・市町村の商工担当課や商工会議所・商工会が受付窓口となります。
③面 談
当協会の保証担当者がお伺いして、お話を聞かせていただくことがあります。
④保証承諾
当協会では、お客さまの事業内容や経営計画などを検討した上で、金融機関に保証の承諾
を連絡します。
⑤融資実行
保証承諾後、信用保証書の交付を受けた金融機関がご融資いたします。
⑥返 済
融資条件に基づき、借入金を金融機関へご返済いただきます。
⑦創業後のサポート
事業を開始する資金の保証申込をいただいた場合、創業後一定期間を経過した時点で当協
会の担当者が訪問し、経営上の課題や当協会への要望等をおうかがいします。
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⑵創業後の保証支援
当協会では、創業時の支援のみでなく、創業した後の資金調達に対してもお手伝いをさせ
ていただきます。皆様のニーズや事業展開に合わせて、数多くの保証制度(県・市町村制度
保証、協会制度保証)をご用意しておりますので、是非ご活用ください。
要件に該当し、限度額の範囲内であれば、創業者向け保証制度を再度ご利用いただくこと
も可能です。
◆保証の内容
一般保証
○保証限度額 2 億 8,000 万円
○保証期間 特に定めはありませんが、資金使途等に応じた適切な期間とします
○資金使途 事業に必要な「運転資金」と「設備資金」に限られます
○連帯保証人 原則として法人の代表者以外不要です
○担保 必要に応じて提供していただきます
○貸付利率 金融機関所定の利率となります
○信用保証料率 0.45%~ 1.90%
その他の保証(一例)
・小規模企業者のために・・・小口零細企業保証
・長期的に経営を安定させたい方のために・・・セーフティネット保証
・売掛金や商品在庫を有効活用したい方のために・・・流動資産担保融資(ABL)保証
・既存の借入金を含め資金繰りを安定させたい方のために・・・借換保証
ご参考
ながの創業サポートオフィス
長野県では、「ながの創業サポートオフィス」を開設し、創業を考えている方のご相談
に応じて、創業前から創業後まで一貫したサポートをしています。
長野県にはどんな支援があるのか知りたい、長野県内の創業支援施設を探している・・・
など、創業についての悩みやビジネスプランを無料でご相談いただけますので、是非ご活
用ください。
<お問い合わせ先>
公益財団法人長野県中小企業振興センター内 ながの創業サポートオフィス
住所:〒 380-0928 長野県長野市若里 1-18-1 TEL:026-269-7359 (受付時間 平日
8:30 ~ 17:15)
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4. 創業計画の作り方
⑴計画の前に
□創業を思い立ったのはどのような理由からですか?
□どんな目的で何をやりたいのですか?
□やろうとしている事業に、信念と情熱を持っていますか? □経営者としての自信と体力はありますか?
□事業についての十分な知識と経験はありますか?
□創業時期の具体的なイメージがありますか?
□家族の理解・協力は得られていますか?
□良き相談者、事業協力者は確保されていますか?
創業とは、事業のすべての決定権を自分で持ち、自分の能力や可能性が発揮でき、事業が軌
道に乗れば、大きなやりがいと、生きがいを得ることができるものです。反面、すべてが自己
責任となり、事業が軌道に乗らなければ、大切な時間とお金を失うリスクを伴います。
事業を成功させるためには、創業の準備段階にしっかりとした創業計画を立てることが重要
です。創業計画は、自分の夢を実現するための具体的な行動を示すものです。頭に描いている
事業のイメージをより具体的にまとめることにより、実現可能なものになります。
次ページ以降の説明と記入例を参考に、創業計画を作成してみましょう。
≪記入例について≫
◆創業計画書記入例(P. 16 ~ 19)
美容室を開業する方が、創業等関連保証を利用して 300 万円を借り入れる場合
(長野県制度「創業支援資金」を利用)を例に、作成しています。記入例の該当欄に
「⑵創業計画書の作成(P. 11 ~ 15)
」を確認
番号( ~ )を付していますので、
しながらご覧ください。
◆収支等計画書記入例(P. 20)
上記創業計画書を作成して開業した方が、開業後 3 カ月が経過した時点で、創
業等関連保証を利用して 50 万円を借り入れる場合(長野県制度「創業支援資金」
を利用)を例に、作成しています。
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⑵創業計画書の作成
開業形態
事業形態には個人と法人(会社)があります。業種や事業の規模などを総合的に勘案し
て決定しましょう。経営上の相違点を一覧にしましたので、比較してみてください。
項目
個人事業
会社事業
開業手続き
手続きは比較的簡単です。
会社設立登記の手続きが必要となります。
社会的信用
一般的に法人に比べやや劣り 一般的に信用力に優れ、大きな取引や従業
ます。
員の募集等の面で有利です。
経理事務
会計帳簿や決算書類の作成は 会計帳簿や決算書類の作成が複雑です。税
比較的簡易です。
務申告は通常税理士に委嘱します。
会社と個人の財産は区別されており、会社
を整理するときには、出資分を限度に責任
を負います(合名会社または合資会社等の
無限責任社員を除く)
。
ただし、代表者は取引に際し連帯保証をす
るケースが多く、この場合は保証責任を負
います。
事業に対する
責任
事業の成果はすべて個人のも
のとなりますが、事業に万一
のことがあると、個人の全財
産をもって弁済する責任があ
ります。
社会保険への
加入
社会保険への加入は従業員が
加入が必要です(役員および家族従業員も
対象で、事業主は、国民健康
加入できます)
。
保険、国民年金に加入します。
事業主の報酬
事業利益がそのまま事業主の 報酬はあらかじめ定款や株主総会などで決
報酬となります。
定し、役員の報酬は経費になります。
☆各種届出や事業にかかる税金等の相違点は、P. 21 ~ 22 をご参照ください。
開業(予定)住所
立地条件は、事業の成否を左右する重要なポイントであり、
「業種」や「取扱品」を考
慮する必要があります。また、法律で様々な規制を受けるケースや近隣住民の理解が必要
になるケースも生じます。
これから始める事業の市場規模、将来性、競合他社等の市場調査を行い慎重に選定して
いきましょう。その場所に係るコスト(家賃等)が、大きな負担にならないかどうかも確
認しておきましょう。
開業(予定)年月日、設立(予定)年月日
創業のタイミングが、同業他社等の状況からみて適切であるか、検討してみましょう。
また創業にあたって、各種届出が必要になります。
「創業時に必要な届出等(P. 21)
」を
参照してください。
、取得に時間を要することもありますので、開業までの
許認可が必要な場合( 参照)
スケジュールは余裕を持って立てましょう。
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業 種
今後の動向を把握し、「開業する業種が成長産業か」
「顧客ニーズにマッチしているか」
、
「品質・価格等に競争力があるか」
、
「経験・知識を有しているか」などを十分に検討し、
経営者としての自信を持ち、創業する事業の具体的な業種を決めましょう。
業種によっては、事業を行う際に許認可が必要なものがあります。
「許認可の申請
(P. 23)」を参照してください。
従業員数
「人材」=「人財」ともいわれるように、人材は企業にとって重要な要素です。営業時
間、季節要因による繁忙・閑散期を考慮し、
「従業員は何人必要か」
、
「パート・派遣社員・
家族労働の活用は可能か」なども十分に検討しましょう。事業が軌道に乗るまでは、人件
費が重い負担となり、事業継続が困難となるケースがあります。
従業員がいる場合、雇用関係や社会保険関係の書類提出が必要です。
「社会保険関係の
届出(P. 22)」を参照してください。
取扱品
取扱品は、すべてを取り揃えるのもひとつの方法ですが、手間やコストを考慮して絞り
込むと効率的です。ターゲットとする顧客層によって、低価格品を主力とするのか、高価
格品を主力とするのか全く変わってきます。
取り扱う商品・サービスにニーズがあるか、また何がセールスポイントなのかについて
も検討してみましょう。
開業動機・目的
事業を行うことは、単に商品の販売やサービスの提供を行うだけではなく、それらを通
じてお客さまの満足を得ることが最終目標です。そのために、どんな目的で何をやりたい
かをはっきりさせ、強い信念と情熱をもって創業することが重要なポイントです。なぜ創
業を決意したのか、動機と目的を明確にしましょう。
「誰かに勧められたから」、
「知人が儲かっていそうだから」などの理由で十分な経験や
準備もないままの開業は、お勧めできません。
開業に必要な知識、技術、ノウハウの習得
知識、技術、ノウハウの習得には、何よりも経験が必要です。その事業について十分な
経験がありますか。今までに培った知識、ノウハウは、必ずその事業の強みとなるはずで
す。足りない場合には、どのように補っていくのかも具体的に検討しておきましょう。
事業協力者
家族の協力や理解が得られていますか。資金面では、親、兄弟等からの援助があるかも
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重要なポイントです。返済が不要で金利負担を伴わない資金はありがたいものです。また、
前勤務先からの取引先など多くの人脈があると、
それを活かした営業展開が期待できます。
運転資金計画
創業時に必要となる資金として、事務所・備品・車両等の「設備資金」と仕入・人件費・
広告宣伝費等の「運転資金」があります。
運転資金計画には、漠然とした金額を記入するのではなく、内訳を具体的に記入し、積
み上げ計算してみましょう。
「創業当初にどれくらい在庫が必要か」
、
「掛け売りの代金回
収までに先行する仕入、人件費、
家賃の支払はどれくらい必要なのか」も検討してみましょ
う。消耗品や広告代等も忘れてはいけません。思った以上に細かいものでお金がかかるも
のです。飲食店であれば、皿、箸、メニュー表、チラシ等の思いつくものはすべて書き出
してみましょう。
設備計画
創業する場所が決まったら、店舗、工場を買うのか、借りるのかを決めましょう。取得
資金、賃貸借の場合は保証金、敷金等を記入しましょう。機械・器具、什器・備品等も必
要となります。店舗、工場の改装資金も必要となるかもしれません。見落としが無いよう
にすべて記入しましょう。設備資金については、すべての見積書等を入手し、必ず正確な
金額を確認するようにしましょう。
☆設備資金の見積書(写し)は保証申込時にご提出いただきます。
資金調達計画
自己資金
創業のために支出できる自分自身の手持ち資金はいくらありますか。生活費などとは切
り離して、事業に使うことのできる資金を算出してみましょう。
☆親族等から贈与等の支援を受けた場合には、
確認のための書類提出をお願いしています。
借入金等
家族や事業協力者からの借入金、金融機関からの借入予定額を記入してみましょう。
その際、毎月返済額が過大でないかどうか注意しましょう。借入金の返済財源は、一般
的に「返済可能額=減価償却額+税引後利益」により算出可能です。
ここまで記入ができたら、運転資金と設備資金の合計額が資金調達計画の合計額と一致して
いるかを確認しましょう。(P. 17 創業計画書記入例 5. 今回の資金計画による必要資金合計)
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収支計画
「これからはじめる事業は、
どれくらいの利益が出るのか」
という点は、
開業する方にとっ
て、一番気にかかるところです。利益は、以下により算出されます。
売上 - 売上原価(仕入・製造費等)- 販売管理費(人件費・家賃等)- 営業外費用(借入金利息等)
この計画を「収支計画」といいます。計画立案にあたっては「経営環境」
、
「業界事情」
、
「設備能力」、「競合状況」、「価格推移」等について総合的に検討する必要があります。
以下を参考に収支計画を検討してみましょう。
【売上計画を立てましょう】
まずは、商品・サービス、単価、数量等を具体的に書き出してみましょう。その後、ター
ゲットとする顧客層、営業時間、立地条件等も考慮し、まずは1日、1カ月単位での売上目
標を立て、そこから 1 年間の売上目標をシミュレーションしてみましょう。
例)
[飲食店]客単価 × 客席数 × 回転回数 × 月の営業日数 × 12 カ月
[製造業]製品単価 × 個数 × 月の営業日数 × 12 カ月
【仕入計画を立てましょう】
商品構成が決まったら、仕入計画を立てましょう。注意すべき点は、原価率(仕入高÷売
上高)です。売上の額が大きくなればなるほど、わずか数パーセントであっても利益の額が
大きくなるため、まずは少し厳しめ(高め)で設定しましょう。
原価率は、事業の内容、取り扱う商品、サービスによって異なってくるものです。インター
ネットを活用し、同業者の原価率等の情報を入手することも一つの方法です。
【人件費について】
必要な従業員数、パート・派遣社員の活用等を十分に検討し、営業時間、繁忙・閑散期か
ら適正人数を考慮し、人件費を計算してください。法人の場合は、代表者の報酬は役員報酬
として経費扱いになりますので、計上を忘れないようにしてください。
【その他費用について】
毎月定期的に発生する費用(水道光熱費、リース料、ガソリン代等)と臨時的に発生する
費用(賞与、車検代等)の2つに大きく分類し、費目ごとに積み上げ計算してください。
【利益について】
さて、収支計画を作ってみてどれくらい利益がでましたか。その利益で毎月の借入返済は
可能ですか。個人事業であれば生活費は確保できますか。目標売上に到達しないケースも想
定して、何度もシミュレーションしてみましょう。思いどおりの利益が確保できず、毎月の
返済が難しい場合には、導入する設備を新品から中古品に変更するなど設備計画の見直しを
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することも必要です。様々な角度から納得のいくまで繰り返しシミュレーションしてみま
しょう。
収支計画書は、創業資金の調達において重要であり、また、開業後においても事業を継続
していくうえで、重要な資料となります。
販売・仕入先
販売先および仕入先の選定・確保は、収支計画に影響を与え、事業を継続的に維持する
ためにも重要です。万一、取引先が倒産するようなことになった場合、事業継続が困難と
なり、連鎖倒産する危険もあるでしょう。取引先の選定にあたっては、出来る限り信用状
態を把握しなければなりません。
創業後の主な販売先・受注先と予定金額を書き出してみましょう。これは創業後の営業
方法・展開を再確認することにもなります。回収方法については、例えば月末〆の翌月末
日に現金 50%、手形 50%など詳しく確認しておきましょう。
主な仕入先・外注先についても同様にできるだけ詳しく書き出してみましょう。取扱品
が決まっていれば、仕入・材料も固まってきます。信頼のおける業者であることや、相応
の価格での仕入が可能であることなど、念入りなチェックが必要です。前勤務先の取引業
者や、その業者からの紹介など、人脈も活用して検討しましょう。
売上代金の回収サイト(回収期間)が長くなると思わぬ資金不足を招くこともあります。
仕入先・外注先への支払サイト(支払期間)を決めるとき、売上代金の回収サイトとバラ
ンスを取り、当面の資金繰りが立つように取引条件を交渉するようにしましょう。
借入金等状況
今回の資金調達によるもの以外の借入(住宅ローンなど)について書き出してみましょ
う。創業後も、それらの借入は、当然に返済しなければなりません。収支計画の利益また
は役員報酬から返済が可能か再確認しましょう。
自己資金算定額
創業に関する保証制度には、
「自己資金の額が保証限度額」
となるものがあります。
「2. 創
業者向け保証制度(P. 4 〜 7)
」でご案内した制度のうち、
「創業等関連保証」
・
「創業支援
資金」の一部の要件が該当します。P. 6 を参照し、自己資金額・保証限度額を算定して
みましょう。
その他
保証協会の創業計画書は、創業時の保証申込にあたり必要最低限のことだけを記入して
いただくものです。この計画書だけでは書ききれないことがたくさんあると思います。補
足説明は、できるだけ詳しく記入し、わかりやすい創業計画書を作成することをお勧めし
ます。
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⑶創業計画書記入例
16
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18
19
⑷収支等計画書記入例
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5. 創業時に必要な届出等
◆税務関係の届出
個人事業の場合
届出先
税務署
届出の名称
提出期限
個人事業の開業届出書
開業日から1カ月以内
所得税の棚卸資産の評価方法の届出
書
確定申告書の提出期限まで(届出がな
い場合は、最終仕入原価法となります。
)
所得税の減価償却資産の償却方法の
届出書
確定申告書の提出期限まで(届出がな
い場合は、定額法となります。
)
給与支払事務所等の開設届出書
事務所等を開設した日から1カ月以内
源泉所得税の納期の特例の承認に関
する申請書兼納期の特例適用者に係
る納期限の特例に関する届出書
随時
所得税の青色申告承認申請書(青色
申告を希望する場合)
青色事業専従者給与に関する届出書
(青色申告を希望する場合)
開業の日から2カ月以内(開業の日が
1 月 1 日から 15 日までの場合は 3 月
15 日まで)
県地方事務所
事業開始申告書(個人分)
県で定める日(10 日以内)
市町村
開業等届出書※
各市町村で定める日
法人の場合
届出先
届出の名称
提出期限
法人設立届出書
設立の日から2カ月以内(定款等の写
しや登記簿謄本等の添付が必要)
棚卸資産の評価方法の届出書
確定申告書の提出期限まで(届出がな
い場合は、最終仕入原価法となります。
)
減価償却資産の償却方法の届出書
確定申告書の提出期限まで(届出がない
場合は、建物を除き定率法となります。
)
給与支払事務所等の開設届出書
事務所等を開設した日から1カ月以内
源泉所得税の納期の特例の承認に関
する申請書兼納期の特例適用者に係
る納期限の特例に関する届出書
随時
青色申告承認申請書(青色申告を希
望する場合)
設立3カ月を経過した日と最初の事業
年度終了日のうち、いずれか早い日の
前日
県地方事務所
事業開始申告書(法人分)
県で定める日(10 日以内)
市町村
法人設立・設置届出書※
各市町村で定める日
税務署
※各市町村によって、届出の名称が若干異なります。
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◆社会保険関係の届出
届出先
種類
提出期限・留意点等
社会保険事務所
健康保険、厚生年金保険
設置後5日以内
①新規適用届
・法人事業所は強制加入
②新規適用事業所現況書
・個人事業の場合
③被保険者資格取得届
従業員5人以上は強制加入(サービ
ス業の一部等については任意加入)
④扶養者(異動)届 ⑤国民年金第3号被保険者の届出
従業員5人未満は任意加入
公共職業安定所
雇用保険
①適用事業所設置届
②被保険者資格取得届
①は設置日後 10 日以内
②は雇用した翌月の 10 日まで
個人・法人とも従業員を雇用するとき
適用事業所となる。
労働基準監督署
労災関係
①保険関係成立書
②適用事業報告
①は保険関係成立後 10 日以内
②は事業所設置後遅滞なく
・適用事業所は雇用保険と同じ
・従業員を 10 人以上雇用する場合は、
「就業規則届」の届出も必要
県労働局
労働保険概算保険料申告書
保険関係成立後 50 日以内に申告納付
◆事業にかかる主な税金
個人事業の場合
種類
国税
所得税
個人住民税
・県民税
地方税 ・市町村民税
個人事業税
税金の概要
申告手続き等
所得金額に応じてかかります。
翌 年 2 月 16 日 ~ 3 月 15 日 に
税務署に申告
(確定申告)
します。
次の2つからなります。
・均等額でかかる均等割
・前年の所得に応じてかかる所得割
所得金額に応じてかかります。
所得税の確定申告をすれば、特
に申告の手続きは必要ありませ
ん。
法人の場合
種類
国税
法人税
法人住民税
・県民税
地方税 ・市町村民税
法人事業税
税金の概要
申告手続き等
所得金額に応じてかかります。
決算日の翌日から2カ月以内に
本店所在地の税務署に申告(確
定申告)します。
次の2つからなります。
・会社の区分(事業規模)に応 申告期限は法人税と同じです。
じてかかる均等割
事業所等のある県および市町村
・当期の法人税額に応じてかか に申告します。
る法人税割
所得金額に応じてかかります。
申告期限は法人税と同じです。
事業所等のある県に申告します。
☆事業にかかる税金のほか、消費税や固定資産税、自動車税等も考慮しておく必要があります。
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◆許認可の申請
業種によっては許認可の申請が必要です。信用保証協会の保証をご利用いただくにあたっ
て必要となる許認可は次のとおりです。
番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
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15
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17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
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28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
業種
食料品製造業
食料品販売業
飲食店・喫茶店
建設業
一般旅客自動車運送事業
特定旅客自動車運送事業
一般貨物自動車運送事業
特定貨物自動車運送事業
旅館業
古物営業
薬局
医薬品・医薬部外品・化粧品・医療器具製造販売業
医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器製造業
医薬品販売業
高度管理医療機器・特守保守管理医療機器販売業
高度管理医療機器・特守保守管理医療機器賃貸業
医療機器修理業
一般廃棄物処理業
産業廃棄物処理業
特別管理産業廃棄物処理業
有料職業紹介事業
病院・診察所・助産所
宅地建物取引業
酒類製造業
酒母・もろみ製造業
酒類販売業
第 1 種高圧ガス製造業
液化石油ガス販売業
一般労働者派遣事業
家畜商
浄化槽清掃業
興行場(映画館・劇場)
浴場業
測量業
砂利採取業
採石業
建築士事務所
電気工事業
自動車分解整備業
揮発油販売業
揮発油特定加工業
軽油特定加工業
種類
許可
許可
許可
許可
許可
許可
許可
許可
許可
許可
許可
許可
許可
許可
許可
許可
許可
許可
許可
許可
許可
許可
免許
免許
免許
免許
許可
登録
許可
免許
許可
許可
許可
登録
登録
登録
登録
登録
認証
登録
登録
登録
許認可権者
保健所長
保健所長
保健所長
国土交通大臣または知事
国土交通大臣
国土交通大臣
国土交通大臣
国土交通大臣
保健所長
公安委員会
知事
厚生労働大臣または知事
厚生労働大臣または知事
知事
知事
知事
厚生労働大臣または知事
市町村長
知事または市長
知事または市長
厚生労働大臣
知事
国土交通大臣または知事
税務署長
税務署長
税務署長
知事
経済産業大臣または知事
厚生労働大臣
知事
市町村長
保健所長
保健所長
国土交通大臣
知事
知事
知事
経済産業大臣または知事
地方運輸局長
経済産業局長
経済産業大臣または経済産業局長
経済産業大臣または経済産業局長
☆上記許認可の申請のほか、理・美容室開設時の保健所への届出など、法令等で定める諸手続
が必要です。
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<ご相談・お問い合わせ先>
保証統括部/〒380-0838
長野市南長野県町 597-5
TEL 026(234)7680
本店営業部/〒380-0838
長野市南長野県町 597-5
TEL 026(234)7271
松 本 支 店/〒390-0852
松本市島立 976-1
TEL 0263(47)1533
上 田 支 店/〒386-0025
上田市天神 3-4-8
TEL 0268(22)5914
飯 田 支 店/〒395-0084
飯田市鈴加町 2-19
TEL 0265(52)1522
諏 訪 支 店/〒392-0022
諏訪市高島 1-12-18
TEL 0266(52)1946
佐 久 支 店/〒385-0027
佐久市佐久平駅北 19-5
TEL 0267(68)8484
伊 那 支 店/〒396-0015
伊那市中央 4634-1
TEL 0265(72)6148
中 野 支 店/〒383-0025
中野市三好町 2-1-58
TEL 0269(22)4528
http://www.nagano-cgc.or.jp E-mail [email protected]