Paper - 麗澤大学

住 宅の価 値
【 1】
−
−2 0 2 5 年:失われる資産価値と誕生する生活価値 −
−
リクルート住まい 研究所主任研究員(麗澤大学経済学部教授)
清 水 千 弘
1
失 わ れ る 日 本 と 住 宅 の 価 値: Losing Japan and Housing Value
「失われていく日本」、「負け続ける日本」、いわゆる
しかし、我々は何を失い、誰に負けるというのであ
とを考えれば、人口減少と高齢化は新規の「持ち家需
「Losing Japan」という言葉が、とりわけ海外のメディ
ろうか。そして、震災の復興とあわせて、日本はどの
要」が大きく低下していくことを意味する。
アなどでしばしば聞かれるようになった。
ような未来を切り開いていくのであろうか。その中で
そのような中でしばしばささやかれることは、新規
1 9 9 0年の不動産バブル崩壊後の持続的な不動産価
住宅市場は、どこに向かうのであろうか。
の持ち家需要が大きく減少する中で、住宅の価値が大
格の下落と「失われた1 0 年(Lost Decades)」と揶揄さ
まず、住宅市場の参加者、とりわけ購入者の属性の
きく低下する、または地方部だけでなく大都市の郊外
れた経済停滞、そして、中国・インドなどの台頭の中で、
変化に注目してみよう。
部ですら、住宅は無価値化してしまうということであ
世界経済における日本の存在感が急速に失われている。
人口の減少と高齢化は、住宅市場に影響を与えると
る。つまり、日本人は、これから家計の最大の資産で
言われる。具体的には、新規の住宅の入居は、結婚・
ある「住宅の価値を失う(Losing Housing Value)」と
国内事情に目を向ければ、人口減少と有史上どの国
出産・転勤・転職などのイベントによって発生する。
いうのである。【3】
も経験したことがない速度で進む高齢化、巨額の財政
そして、そのようなイベントは、経済環境とは無差別
果たして、大きな成長が見込まれない社会経済シス
赤字と年金問題に象徴される将来の財政に対する危機
(関係なく)に、ランダムに発生することが知られて
テムの中では、「住宅の価値は低下、または無価値化
感が蓄積し、社会全体で将来に対する不安と閉塞感か
いる。そして、その発生確率は四半世紀の間、変化し
してしまうのか」という疑問が出てくる。
漂うようになった。それに加えて、2011年3月11日には、
ていない(Shimizu, Nishimura and Watanabe(2010))。
さらに、もう一つの疑問が出てくる。「住宅をなぜ
東日本大震災が発生した。「Losing Japan」が現実の
そうすると、わが国において人生のライフステージの
持つ必要があったのか」、ということである。また、我々
ものになろうとしているのである。
最後にはおおよそ持ち家率は8 0% に到達しているこ
は「住宅に対して何を求めているのか、何を期待して
【2】
0 0 2
いるのか」ということである。
リックにならなければならなかったということかもし
2 5 歳から40歳にかけて、日本では3 0歳から45歳にか
住宅の機能とは、元々は外的から生命や財産を守る
れない。
けて持ち家率が急速に増加する。それでは、現在にお
手段としての住宅の機能から出発したと言っても良い。
年収の何倍もする資産を手に入れるために 3 0年ま
いて、または将来の30−45歳といった世代において、
そして、家族が形成される中では、その家族と生活を
たは 3 5年といったローンを組み、家計の支出の多く
「住宅を持つ」ことで豊かさを享受できる、または、資
共にする場所であり、休息をとったり、家族または個
の部分を住宅のために費やしてきた。そのような犠牲
産継承のための最適な資産が住宅であると信じている
人の余暇を楽しんだりする場所となった。このような
を払うことができたのも、ワーカホリックと呼ばれな
人たちがどの程度いるであろうか。 機能を求めているうちは、住宅を持つ必要はなかった。
がらも働き続けることができたのも、住宅を持つこと
現在または将来の住宅市場の主人公たちは、1 9 9 0
賃貸でも所有でも、その機能を果たすことができれば
で豊かさを享受することができたからである。そして、
年の住宅バブルの崩壊後の住宅価格が持続的に下落し
良い。しかし、ここに資産としての機能が加わる。住
子供への遺産動機もそれを増幅させていたと言っても
続け、団塊ジュニア世代の住宅市場の参入によって一
宅が家計の中で最大の資産となり、富の象徴となった。
良いであろう。
時的な回復が見られたものの、将来においては住宅価
家を持つことが男の甲斐性とも言われた。住宅を持つ
加えて、3 0 年または 3 5年といった長期のローン契
格が大きく上昇する要因を見つけることは困難な状態
ことができなければも結婚もできないと言われる地域
約を許してきた背後には、雇用が生涯保証され、年齢
に置かれた人たちである。「Japan is No.1」と言われ
もあった。さらに、子供に資産を継承するための最大
とともに給与が上昇していくという就業制度があった
た、日本人が最も自信を持った時代、日本の世界での
の手段として位置づけられてきた。そうすると、住宅
からであった。また、住宅価格が経済の成長とあわせて、
経済大国としての存在感が大きかった時代など知るこ
は利用することの価値だけでなく、富の象徴としての
右肩上がりに上昇し続ける、住宅を持つものが社会の
ともなく、就職氷河期の中で職を見つけ、社会人になっ
資産、または資産継承の手段としての機能が加わり、
勝ち組になる、という市場構造にも支えられた。
てからも経済が停滞基調にあり、成長の喜びを経験す
異なる価値体系を持つこととなった。
しかし、このような時代を生きた、住宅価格が上昇
ることもなく、リストラなどといったマイナス要因が
そのような資産としての住宅を所有することを支え
基調にあり、また、終身雇用・年功序列といった制度
増加する社会で生き続けてきた人たちである。
たのが、日本人の勤勉さと、終身雇用、年功序列型の
に守られ、その恩恵を最も大きく受けることができた
このような住宅市場の主人公の変化は、住宅市場に
就業構造であった。日本人は、しばしばワーカホリッ
世代は、住宅市場から姿を消しつつある。戦後の高度
大きな構造変化をもたらすと考える方が自然であろう。
ク(workaholic)とも揶揄された。そのような勤勉さ
経済成長を牽引した人たちはすでにリタイアしており、
本稿では、「住宅の価値」と題し、2 0 2 5年に向かっ
を支えた最も大きな誘因の一つが、住宅に対する憧れ
団塊世代を中心とした「Japan is No.1」という時代を
て社会経済構造が変化していく中で、どのように住宅
と、住宅購入後のローン返済のためであったと言って
謳歌した人々もまた、退職期を迎え始めている。
の価値は変化していくのか、という視点から考えてみ
も良いであろう。住宅を所有するためには、ワーカホ
Shimizu and Watanabe(2010)によれば、米国では
たい。
【1】本稿の執筆にあたり、Er w in D iew er t 氏、F r anz Fuerst 氏との議論は有意義であった。ここに記して御礼申し上げます。
【2】世界全体のGDPに占める日本のGD Pの比率は、1 988年から1996年までは、15%を超える水準であった。しかし、2009年には9 % まで低下し、2 0 2 5年には5 % 程度になるという予測がなされている。そのときには、
インドにもGDPの規模で抜かれ、中国の四分の一程度の規模になっていると言われている。
【3】ハーバード大学のマンキュー教授とワイル教授の研究によれば、住宅需要を強くもたらす年齢層の人口の減少によって、米国の住宅価格が1 9 8 0年代後半をベースとして2 0 0 7年には実質ベースで4 7% 下落すると予想
した(Mankiw and D. N. Weil(1 9 8 9))。わが国においても、とりわけ若年層の人口が大きく減少していく中で、住宅価格が大きく下落することは予想されることである。
0 0 3
2
住 宅 を 持 つ こ と は 正 解 だ っ た の か ?: Owner Occupied Housing or Rental Housing
土構造・産業構造が大きく変化し、人々の多くは「都
費)を引いた純収益を一定の割引率で現在価値へと割
市」の「持ち家」に住むこととなった。
り戻した価格ということになる。
このような経済が成長し続ける社会では、住宅を持
この資産の裁定式を用いると、持ち家の使用者費用
日本において、住宅を持つという選択は正解だった
つことで家計はより豊かになるという構図ができあ
は、次のような形で表現することができる。
のであろうか。
がっていた。「賃貸住宅」から出発し、都市部の「集合
戦後、日本の住宅政策は、新築住宅の着工と持ち家
住宅」、そして、「庭付き一戸建て」へと進んでいった
政策を中心として進められてきた。ここで、「戦後」
住宅双六(すごろく)といった言葉が機能していたの
という枕詞がつくのは、戦前の東京などの都市部では、
も、そのような時代である。
借家市場が中心であったためである。
それでは、近年において、または、これからにおいて、
戦後の日本は、空襲で焦土と化した都市の復興と絶
住宅を持つことで豊かな生活を送ることができるので
持ち家の使用者費用は、住宅に投資している資金を
対的な住宅不足を解消することが最も大きな政策課題
あろうか。
他の代替的な資産に投資をした時に得られるであろう
の一つであった。また、農地解放に代表される、土地
この問題を理解するに当たり、経済学でいう持ち家
運用益と、所有していることで生じる諸費用(つまり
の所有権体系とその所有構造を変化させることが、大
の使用者費用、いわゆるユーザーコストという概念
固定資産税、損害保険料や維持管理費等)の合計額か
きな政策課題であった。そのような中で、住宅市場を
がきわめて有益である(経済理論的な整理は Diewert
ら住宅価格の値上がり益(キャピタルゲイン)を引く
再生していくためには、公的部門による直接供給や大
and Nakamura(2 0 0 9)または Katz(2 0 0 9)を参照さ
ことで求められることになる。この式からわかるよう
地主による住宅供給だけに期待することが困難であっ
れたい)。
に、実際の住宅市場では、持ち家の使用者費用の中で
たために、民間資金を用いた新築着工と持ち家政策を
使用者費用を求めるためには、住宅価格がどのよう
も最も大きな影響を受けるのが資産価格のマクロ変動
推し進めることが最適な政策選択であったと言っても
に決まっているのかを知る必要がある。住宅価格は、
分、つまり、住宅の値上がり益(キャピタルゲイン)で
良い。
経済学では資産価格の裁定式を用いて説明することが
ある。
そして、ベビーブームと高度経済成長、産業構造の
できる。裁定式とは、資産価格は将来に発生する収益
この住宅の値上がり益は、個別の住宅の短期的な価
転換、列島改造へと続く都市化の進展などの中で、国
(家賃)から費用(固定資産税・損害保険料・維持管理
格変動ではなく、ある空間的なエリア内での平均的な
住 宅 を 持 つことの 費 用
0 0 4
持ち家の使用者費用=
代替資産への投資利回り×資産価格
+(固定資産税+損害保険料+維持管理費)
−キャピタルゲイン(住宅価格の値上がり益)
住 宅 の 価 値 — 2 0 2 5 年 : 失 われる 資 産 価 値 と 誕 生 する 生 活 価 値 —
[ 図 1 ]住宅価格と家賃の変化:1986 - 2010
100
80
3
る。
2.8
そうした場合には、前述の式の値上がり益は、短期
の価格変動によって決定されると考えた方が良い。
1. 0
また、家計は、一般的には、ローンを借り受けて住
=
I ndex 2000
ー 80
2
ー 100
1.8
1.6
1.4
マンション家賃
マンション価格
戸建て価格
1.2
1
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1993
1992
1994
戸建て家賃
0.8
1991
+代替資産への投資利回り
2.2
1990
住宅ローン金利×ローン残高
%
ー 60
1989
持ち家の使用者費用=
ー 40
1988
えられる。
ー 20
2.4
1987
味しないといけない。そうすると、次のように書き換
0
2.6
1986
宅を購入する。そうした場合には、ローンの効果を加
20
︶
的な値上がり益ではなく、エリア内での平均的な長期
40
戸建て価格変動率
マンション価格変動率
対 前 年 変 動 率︵
60
価格変動を見て行動していると考えたほうが自然であ
×(資産価格−ローン残高)
+(固定資産税+損害保険料+維持管理費)
られ、家計においても住宅が絶対的な資産として位置
成長力に支えられた当時の日本において、土地は必ず
づけられていた。土地は常に上がり続けるわけである
上がり続けるものとして考えられていたのである。
となる。この式からもわかるように、住宅ローン金利
から、一日でも早く住宅を買うことが、日本人にとっ
しかし、1 9 9 0年のバブル崩壊をきっかけとして、
が低い時期には住宅の使用者費用は低下し、金利が上
ては豊かさを享受できると信じられていた。
住宅価格は持続的な下落傾向へと突入し、その速度こ
昇すると使用者費用は増加することがわかる。
また、「富める国の地価は必ず上がり続ける」など
そは落ちたものの、大きな価格上昇は期待できない状
といった言葉も聞かれた(例えば田中(1978)
)。当時
況になっている。ここで、リクルート住宅価格指数
の日本においては、日本は富める国であるという自信
(RRPI)を用いて、東京都を対象として、持ち家の使用
があったのである。これは、英国の代表的な古典派経
者費用と利用者費用としての家賃の過去四半世紀の変
済学者の一人であるジョン・スチュアート・ミルの文
化を見てみよう(詳細は、Shimizu et.al(2012)を参照)。
かつて、
「土地神話」という言葉がしばしば聞かれた。
献からの引用であった。産業革命以降に世界の大国と
まず、東京における住宅市場のマクロトレンドを見
日本の地価は必ず上がり続けるものであると強く信じ
して君臨した英国、高度経済成長期を経て、高い経済
たものが、図 1である。マンション価格、戸建て価格と
−キャピタルゲイン
(住宅価格の値上がり益)
持 つことの 費 用 と 住 まうことの 費 用
0 0 5
もに、1 9 8 6年から住宅価格のピークとなる1990年に
[ 図 2 ]持ち家の使用者費用の推移
かけて二倍を超える水準まで上昇していた。そして、
35,000
その後、バブル崩壊と併せて価格が下落し、2 0 0 0年
30,000
から2 0 0 6年にかけては、1986年をも下回る水準にま
で下落した。そして、いわゆるミニバブルといわれた
基調にある。一方、家賃の動きは小さく、バブル期に
一定の上昇は見られるものの、極めて安定した動きに
あることがわかる。
それでは、住宅を保有することの使用者費用はどう
を加味した使用者費用指数(BUC:Basic User Cost)
と、長期の期待収益と住宅ローンの効果を加味した持
ち家の使用者費用(FUC:Financial User Cost)の変
化を見たものである。また、ブリティッシュコロンビ
1
: 00億 円
であろうか。図2は、家賃と併せて、短期の価格変動
使 用 者 費 用/ 均 等 家 賃
時期に少しの回復は見られたものの、依然として下落
25,000
20,000
b)短期的な使用者費用
15,000
10,000
d)ディワートの使用者費用
5,000
a)家賃
0
ー5,000
c)長期的な使用者費用
ー10,000
ア大学教授のディワート氏は、持ち家を保有すること
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
している(Diewert and Nakamura(2009))。そのディ
1993
した使用者費用を比較したときの最大値であると定義
ー20,000
1992
Opportunity Cost)を、家賃と長期の期待収益を加味
ー15,000
1991
による機会費用(OOHOC:Owner Occupied Housing
ワート教授によって提案された OOHOC 指数も図2に
追加した。
まず、短期の住宅価格の変動を織り込んだ使用者
増加していた。長期の住宅価格の変動を加味した使用
ここで、家賃と比較する理由としては、家賃には資
費 用(Basic User Cost)は、1 9 9 0年 か ら1 9 9 1年 の
者費用(FUC)は、依然として家賃よりも低い。この
産性がなく、住宅を利用する、つまり住まうことだけ
単年度では価格が下落に転じていたことから、家賃
段階では、短期的には費用が上昇することで貸家が支
(Equivalent Rent)と比較すると、6倍の大きさにまで
持されることになるが、長期的には持ち家を持つこと
に対する対価として位置付けられるためである。
0 0 6
住 宅 の 価 値 — 2 0 2 5 年 : 失 われる 資 産 価 値 と 誕 生 する 生 活 価 値 —
の方が依然として有利な状態であった。1 9 9 2年から
市場変動のリスク(住宅の値下がり損)にさらされて
上昇期待の方が大きかったといえよう。また、老後の
2 0 0 0年にかけては、家賃よりも持ち家の使用者費用は、
しまい、将来に対して高いツケを負わされていたので
安心といった側面もあった。そのための費用を支払う
短期・長期の住宅価格の変動を考慮したとしても、持
ある。
ことに何の疑問も持つことはなかった。
続的な住宅価格の下落を受けて高い費用が発生してい
とりわけバブル期に住宅を購入した家計のツケは大
しかし、2 0 年前から、日本の住宅市場では所有す
たことがわかる。このような中では、住宅は持たない
きい。将来の資産価格の上昇と所得の上昇を見込んで
ることの費用は、資産としての上昇期待がなくなる中
方がよく賃貸住宅を選択した方が有利だったと言えよ
この時期に住宅を購入してしまった世代は、住宅の資
では消滅しているだけでなく、高い負の費用となって
う。
産価格が住宅ローン残債以下にまで低下し、所得の上
家計に負荷を与えているのである。老後の安心どころ
しかし、2 0 0 0年以降においては、再度価格が上昇
昇速度の低下または下落などによって売りたいと思っ
か、高いローンの支払いといった老後への負の遺産を
基調へと転じる。そうした場合には、持ち家の使用者
ても売ることができず、長期間にわたって高い住宅の
負うことで本来得ることができる老後の楽しみも奪わ
費用は低下していき、持ち家を持つことの方が有利と
費用を支払い続けるといった状況に追い込まれてし
れてしまう世帯も少なくなかった。
なる。
まったのである。
そうすると、家計と住宅との関係は、資産としての
このような過去四半世紀を振り返った時に、次のこ
マサチューセッツ工科大学のウィートン教授らが整
住宅という側面を放棄し、またはそのリスクから解放
とが理解できる。
理しているように、住宅には資産としての側面と使用
し、住まうことに対する喜びと、それに対する費用負
バブル崩壊後においては、たとえ、住宅ローン金利
することから得られる効用を享受するという側面があ
担をしていくということだけに変更していかなければ、
を引き下げたとしても、住宅を保有することの費用は
る(Lee, Seslen and Wheaton(2010))。経済が成長し、
生活水準そのものを低下させてしまうことになってし
極めて高かったということである。見かけ上、住宅ロー
資産価値の上昇が期待される局面では、利用すること
まっているのである。
ン減税の効果などによって住宅を購入することが家計
の喜びに加えて資産価値が上昇することによる喜びを
にとって有利な選択とみられていたが、家計は大きな
求めてきた。むしろ、かつての日本では、資産価値の
0 0 7
3
住 宅 の 価 値 は な く な る の か ?: Losing Housing Value?
住 宅の価 値と資 産 価 値
見もある。
その背後には、人口減
少と高齢化といった二つ
0 0 8
[ 図 3 ]労働人口の将来予測
1.4
人口
家計と住宅との関係を見たときに、必ずしも負の要
の波が一気に押し寄せて
因だけにさらされていたわけではない。所得の変動は
くるためである。
様々な制度的な要因で変化しづらいことは知られてい
図3は、厚生労働省「社
る。そのため、経済が停滞する局面でも、相対的に住
会保障人口問題研究所」
宅価格の下落よりも緩やかに低下していった。そうす
による将来人口の中位推
ると、バブル崩壊後においては、社会全体での住宅取
計に基づき、日本の人口
得能力が大幅に上昇し、かつては住宅を購入すること
と 労 働 人 口 の2 0 2 5年 に
ができなかったような低所得者層までもが住宅の購入
向けての動きを見たも
を可能としていった。
のである。日本の人口の
しかし、住宅の価格が下落し続ける社会では、資産
ピ ー ク は、2 0 0 4年1 2月
性は消滅しつつあり、このような傾向がより拡大する
の1億2,7 8 3万8 0 0 0人 で
ことが予想される中では、とりわけ地方都市や大都市
あった。また、2010年には、
の郊外部の住宅の価値が大きく低下するといったこと
死亡者数が出生者数を1 0
がささやかれるようになった。さらには、住宅の買い
万人以上上回っており、本格的な人口減少局面に突入
しかし、新規の住宅需要を生み出すのは労働人口に
手がつかず、価格そのものが低下するだけでなく、無
してきている。しかし、その減少速度は地域によって
依存するところが大きい。図3からも明らかなように、
価値化してしまうリスクにさらされていると言われる。
ばらつきが大きく、首都圏の中心部では依然として人
労働人口は1 9 9 5年をピークとしてすでに減少し始め
無価値化するだけならいいが、大きな負債となって押
口が増加しているために、本格的に住宅市場が冷え込
ており、2025年には1970年と同じ水準までに減少し
しかかろうともしていると考えた方がいいといった意
むのは2020年頃からではないかとも言われている。
ている様子がわかる。この傾向は、すでに東京などの
1.3
1.2
1.1
1
労働人口
0.9
1970
1972
1974
1976
1978
1980
1982
1984
1986
1988
1990
1992
1994
1996
1998
2000
2002
2004
2006
2008
2010
2012
2014
2016
2018
2020
2022
2024
0.8
住 宅 の 価 値 — 2 0 2 5 年 : 失 われる 資 産 価 値 と 誕 生 する 生 活 価 値 —
首都圏でも発生している。このような労働人口の急速
が急速に拡大した時期には、住宅は生活資源というよ
住宅を生産資源から生活資源へと位置づけを変更し
な減少は、消費・投資の減少を意味し、経済全体の縮
りも生産資源という位置づけが強かったのではないか。
たときに、空間的には経済価値の相対的な分布の変動
小という形で出現してくるのである。
生産活動を効率的に行うために、都市中心部への通勤
がもたらされる。狭くて、環境の悪い都市中心部よりも、
それでは、2 0 2 5年の住宅の価値は、1 9 7 0年という、
のしやすさが重視され、そのような立地に基づき住宅
自然環境が豊かな地方都市や大都市郊外部でゆったり
けして豊かな時代ではなかったときと同じような水準
の価値が形成されていたのではないか。長い労働時間
と過ごすことの方が、高い効用を得ることができる家
にまで急落していくのであろうか。地方都市や大都
によって住宅で過ごす時間はほとんどなく、生産活動
計が存在するのかもしれない。また、このような傾向が、
市の郊外部の住宅の価値は消滅し、将来世代の負債と
との合間に、ただ休息をとるためだけのシェルターと
通勤から解放された高齢者よりも、従来の住宅市場の
なってしまうのであろうか。
して位置づけられていたのではないか。このような住
主人公であった中堅層・若年層にまで拡大する可能性
前述のように、住宅には資産としての側面だけでな
宅は、生産活動の停滞に応じて、住宅の価値は低下し、
は十分にあるといってもいいであろう。
く、利用によって効用をもたらす側面がある。価格が
生産活動が停止してしまうような地域では無価値化し
大きく上昇しているような時期には、人々は、その資
てしまうこともありうるであろう。
産性を重視し、値上がり益の獲得を目的として住宅を
しかし、生産活動と切り離し、生活資源としての住
保有する。そして、価格が値上がりする社会では時間
宅としてとらえたときには、異なる価値が生まれる。
が経過するにつれてその費用が上昇していってしまう
例えば、高齢化社会の進展は、生産活動から解放され
住宅を生活資源として見たときに、「住むための魅
ために、老後の所得が低下した時代への安心のために
る家計の増加を意味する。そうすると、都心までの時
力」とは一体何であるのか。この問題は、都市の魅力
も住宅を所有した方が良いという錯覚にも陥ってし
間などといったものは関係なく、生活の場としての住
といった問題と等しくなる。
まっていた。また、そのようなときには、将来の世代
宅の側面が重視されることとなる。社会全体で住宅
人がどのような地域に集まるのかといった問題は、
に対して遺産として住宅を残す動機が強く働いた。し
の中で過ごす時間が長くなる。それは、住宅の稼働率、
経済学だけでなく、地理学、社会学、都市工学など多
かし、住宅価格の上昇が大きく見込まれなくなったと
利用率が高くなることを意味する。そうしたときに、
くの分野で、古くから研究がなされてきた。農業が中
きには、利用によって効用をもたらす側面が強くなる
都市の中心部に通勤を前提としない人々が住宅と向き
心であった時代には、農業に必要な水を求めて人々は
と考えればよい。住宅を生活資源としてとらえ、家族
合ったときに、地方都市や大都市の郊外部の住宅の利
河川の周辺に集まり文明を築いた。第二次産業へと移
との生活の営みによって幸せを実感できれば、その対
用価値は、実は大きく改善され、本源的な利用価値は
行する中では石炭などの資源が集積する場所や資源の
価としての価値が存在する。
高まる可能性すらある。また、それぞれの家計の価値
移入・移出が容易な場所に工場が立地し、その周辺に
そのような中で重要なのは、その住宅という資源を
観に応じて、住宅の立地も変更されることになるかも
住宅が集積した。第三次産業が中心となったときには
どのように活用していくのかということである。経済
しれない。
中心業務地を中心として人々が集積していった。つま
住 むための 魅 力
0 0 9
り、産業を中心とした集積がもたらされ、住宅地が形
ン(Restaurants)の集積度はニューヨークよりも高
さらに、国勢調査の調査区を単位として、アメニティ
成されていったのである。このような社会では、産業
く、とりわけバー・居酒屋を含むナイトライフ(Night
の集積を見たものが図 5 である。ここでの集積は、ア
の中心までの距離に応じた住宅の価値体系が構築され
Life)を楽しむアメニティの集積が際立って高い。小
メニティ毎の数ではなく、アメニティの種類の数を示
ていった。
売店舗(Retail Amenities)の集積は、ニューヨークや
している。先に整理した2 4分類の中で、どれだけの
しかし、産業の集積が乏しいところにも多くの人々
ロスよりも低いもののパリよりは高い。一方、美術館
数のアメニティの種類が存在しているのかを示してい
が集まり、都市を形成しているところは少なくない。
(Arts)などの集積は小さいものの、他の都市と比較し
る。この図を見ると、東京都区部といえども、平均し
例えば、世界で最も住みやすい街として常に上位にラ
て際立って低くなっているわけではない。
て8種類以下の地域がほとんどであるが、逆に言えば
ンクされるカナダのバンクーバーには、多くの人が集
ここにいくつか示唆されることがある。東京におけ
どのような町丁目という小地域にも8 種類以上の都市
積しているが、際立った産業が存在するわけではない。
るバー・居酒屋の著しい集積の高さは、東京にそれだ
アメニティが存在しているということである。そして、
そのような中で、シカゴ大学の社会学者、クラーク
けの需要が存在していることを意味する。典型的なサ
そのアメニティの多様性・集積が大きいのは、都心部
教授(Terry Nichols Clark)は、アメニティの集積こ
ラリーマンの行動様式として、仕事の後に、居酒屋な
と世田谷区などの西側のエリアであることが理解でき
そが都市の成長を促進させるという理論を打ち立てた。
どのナイトライフを楽しむ場所へと出かけていく頻度
るであろう。これらの地域は、住宅価格が高い地域と
つまり、生活資源が集積しているところに人々が集ま
が、他の都市と比較して際だって高いということの代
重なることから、アメニティの集積が住宅の価値に対
るというのである。このことは、生活資源としてみた
理指標であるとも考えられる。このことも、また、住
して影響を与えているとも言えよう。
ときに、その魅力がある地域の住宅価値は、産業の集
宅の中で過ごす時間の減少をもたらし、生活資源とし
しかし、ここでみた都市集積は、従来型の都市アメ
積や衰退とは無差別に、決定されることを意味する。
ての住宅の価値を低下させてきた要因の一つでもあっ
ニティという枠のなかである。従来型の都市集積は、
図4は、筆者が参加しているクラーク教授による都
たとも言えよう。そして、日本の特徴は、これらの図
都市型アメニティの集積と併せて住宅の価値も形成さ
市間アメニティ比較プロジェクトの成果の一部であ
からは読み取ることができないものの、地方都市にお
れてきたと言っていいであろう。産業の集積と併せて
る。この国際アメニティ比較プロジェクトでは、都市
いても等しく都市アメニティの集積が高いということ
住宅が立地し、都市型アメニティの集積を呼び、さら
アメニティを2 4分類し、地域別の集積度を測定してい
である。つまり、日本人は、都市型アメニティの集積
にその周辺での生活資源としての住宅の価値も高く
る【4】。
が高いところを好んで立地しているということがわか
なっていることを示している。つまり、従来の住宅の
図4をみると、人口1万人当たりの東京のレストラ
る。
立地は、産業集積までの距離と都市アメニティの集積
【 4 】2 4分類とは、
(1)アート/ギャラリー、
(2)芸術家・アーティスト、
(3)芸術・アートの指導、教室、
(4)協会、組合、団体、
(5)バー/ナイトライフ、
(6)衣類/ファッション、
(7)地域社会/政府によるサービス、
(8)教育/健康、
(9)
海外の政府機関サービス、
(10)文学関連のカルチャー、
(11)メディアサービス、
(12)博物館/水族館/動物園/史跡、
(13)音楽/楽器の店、
(14)その他のエンターテインメント、
(15)公園と自然、
(16)パフォーマンス系統のアー
ト、
(1 7)宗教、
(1 8)レストラン/食べ物、
(19)特殊な・専門的なサービス、(20)特殊な・専門的な店、(21)スポーツとレクリエーション、(22)ツーリズム、(2 3)映像・ビジュアル系統のアート、(2 4)その他、である。
0 1 0
住 宅 の 価 値 — 2 0 2 5 年 : 失 われる 資 産 価 値 と 誕 生 する 生 活 価 値 —
[ 図 4 ]アメニティの都市間比較
レストラン・食べ物/per 10,000人
バー・ナイトライフ等/per 10,000 人
45
12
40
10
35
8
30
25
6
20
4
15
10
2
5
0
Chicago
Los Angeles New York,
Montreal
All5 Burroughs
Toronto
Paris
Seoul
Tokyo,
Metropolis
教育・健康/地域社会・政府によるサービスコミュニティ/その他組織/per 10,000 人
8
7
6
30
■ Education/Health
■ Community/Gov't Services
■ Other Organizations
25
Seoul
Tokyo,
Metropolis
Toronto
Paris
Seoul
Tokyo,
Metropolis
■ Specialty Stores
■ Clothing/General Retail
5
1
Chicago
Los Angeles New York,
Montreal
All5 Burroughs
Toronto
Paris
Seoul
Tokyo,
Metropolis
博物館・水族館等/ビジュアル系統のアート/パフォーマンス系統のアート/per 10,000 人 ( パリを除く )
0
Chicago
Los Angeles New York,
Montreal
All5 Burroughs
メディアサービス/芸術サービス per 10,000 人 ( ソウル・東京の芸術サービスを除く )
12
■ Museums and Galleries
■ Visual Arts
■ Performance Arts
10
■ Media Services
■ Arts Services
8
4
6
3
4
2
2
1
0
Paris
10
2
5
Toronto
15
3
6
Los Angeles New York,
Montreal
All5 Burroughs
20
4
7
Chicago
衣類・ファッション/その他の専門店/per 10,000 人
5
0
0
Chicago
Los Angeles New York,
Montreal
All5 Burroughs
Toronto
Paris
Seoul
Tokyo,
Metropolis
0
Chicago
Los Angeles New York,
Montreal
All5 Burroughs
Toronto
Paris
Seoul
Tokyo,
Metropolis
0 1 1
に基づき行われてきたと言えよう。
このように考えれば、将来への過度な経済成長期待
然である。その価値は、住宅の中でどのような生活を
しかし、この構造も、今後は大きく変化する可能性
によって膨れあがっていた住宅の価値は消滅するかも
するのかといったことによって大きく変化するものな
がある。
しれないが、本源的な生活価値は残ると考えた方が自
のである。
ナイトライフを住宅の中でするようになったらどう
であろうか。美術館やコンサートなど、文化的な生活
は、常に日常の中にある必要はなく、一か月または数
[ 図 5 ]小地域別アメニティの集積度
か月に一度訪問すればいい。そうした時に、新しいア
メニティの中での集積が生まれる可能性は予想できる
のではないだろうか。産業の集積と都市型アメニティ
の集積とは一致することが多い。しかし、産業や都市
型アメニティとはことなる新しいアメニティへの選好
が強くなっていったとすれば、その新しいアメニティ
のもとでの集積と住宅価値の創造が生まれる。住むた
めの魅力が、それぞれの家計の中で変化していくとき
に、新しいアメニティ集積と住宅の価値が生まれてく
るものと考えられるであろう。
例えば、美しい山が見えるかどうかといった景観や
水辺までの近接性などの自然の豊かさ、農業環境とい
Variety of Urban Amenities
うものも、場合によってはアメニティになりうる。地
産地消を楽しむ、または都市の喧噪から離れるという
■1ー8
こともまたアメニティになる。地域コミュニティの崩
■ 8 ー 11
壊が進む都市に対して、コミュニティそのものがアメ
ニティと感じる人もいるであろう。都市アメニティが
ない(都市アメニティから隔離される)こと自体がア
メニティになる場合もある。
0 1 2
■0
■ 12 ー 14
0
2
4
km
■ 15 ー 22
住 宅 の 価 値 — 2 0 2 5 年 : 失 われる 資 産 価 値 と 誕 生 する 生 活 価 値 —
4
結 論 : 住 宅 の 価 値 を 創 造 す る: New Creation of Housing Value
日本のバブル経済のまっただ中で、イェール大学
いう大国に代わって、日本が台頭していくということ
ている。新しい住宅市場の主人公が、従来の価値観か
教授 ポール・ケネディ氏の『大国の興亡』という本が
を予感させるものであった。
ら完全に解放されるわけではない。
1 9 8 8年に翻訳された(Kennedy(1 9 8 7))。同著には、
しかし、それから四半世紀が過ぎた今、「経済大国
もちろん、ドラスティックな変化が発生するとは考
産業革命前の欧州の経済発展とそれぞれの国々の勢力
日本」もまた衰退局面へと入った。経済活動そのもの
えづらい。しかし、ゆっくりではあるが、住宅に対す
図の変化から出発し、イギリスの産業革命とそれ以降
の停滞速度よりも、世界経済全体の拡大の中で、日本
る期待や行動形式が変化してくるとは考えた方が自然
におけるフランス・オーストリアといった伝統的な大
の経済活動水準のシェアが小さくなっていく速度の方
であろう。
国が衰退、そして、2 0世紀に入るとアメリカやロシ
が速い。そのような中で、相対的な豊かさを享受する
住宅に対して、資産価格の上昇といった保有目的は
アなど豊富な資源と土地を持つ国家の成長が促進され
ことができなくなり、日本全体で閉塞感が強くなって
縮小していき、生活の中から享受できる効用に対して
たことが記されている。そのような大きなうねりの中
いる。
の対価として住宅の価値の比重が大きくなっていくの
で、近代においては第一次世界大戦と第二次世界大戦
そして、住宅市場もまた大きな転換期を迎えている
ではないか。そうしたときには、住宅の価値は生活価
を通じて、アメリカとロシアという二大大国が誕生し、
と言えよう。社会経済活動の構造変化は、住宅市場の
値へと変わる。このようなことは、かつてから言われ
イギリス・ドイツ・フランスの相対的な地位の低下が
主人公の価値観をも変化させると考えた方がいいであ
ていた『所有から利用』というようなこととは異なる。
もたらされた。
ろう。バブル期の日本が繁栄した時代を知らない若年
それぞれの生活様式に応じた価値観とそれに応じた住
その本が出版された当時の米国はまた、巨額の財政
層が、住宅市場の主人公になってくるのである。
宅の価値が形成されていくのである。
赤字と貿易赤字の「双子の赤字」と言われた構造的な
それでは、新しい住宅市場の主人公は、住宅に何を
そして、その価値をどの程度の大きさで創造できる
不況に苦しめられていた。そして、1 9 8 9年11月10日
求めるのであろうか。
のか、ということは、どれだけ我々日本人が住宅との
のベルリンの壁崩壊、1 9 9 1年1 2月のソビエト連邦崩
かつての住宅市場の主人公は、経済的な豊かさと都
関わりの中で豊かな生活を送ることができるかどうか
壊による冷戦の終焉を迎える。米国とともに戦後の世
市的なアメニティの集積の下での豊かさを追い求めて
ということに依存する。そして、その豊かさとは、都
界を牽引してきたソ連という大国もまた、政治的な問
きた。そのような世代が新規の住宅需要を形成してき
市アメニティを享受するだけでなく、様々な価値観の
題から終焉を迎えたのである。そのような中で、日本
た。このような価値観を持った主人公が市場から退場
もとで形成されるであろう。それは、自然環境を楽しむ、
経済の繁栄が続いた。『大国の興亡』は、米国・ソ連と
していく中で、新しい世代へと交代がなされようとし
スローライフを楽しむ、コミュニティとの関わりを楽
0 1 3
しむなど、様々な生活様式がある。既に、従来型の都
そうしたときに、それぞれの豊かさに応じた生活価
市型アメニティを享受するだけの生活様式とは異なる
値が、住宅の中に反映されていく。その価値は、今後、
生活様式によって生活価値を創造している家計が出現
さらに大きくなっていくことが期待されるところであ
し始めている。
る。
[参考文献]
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Working Paper. available at: http://economics.mit.edu/files/2 3 3 6
0 1 4