ディスプレイの人間工学

表紙と目次
次世代フラットパネルディスプレイに
求められる人間工学的条件
-Web調査2005および最近の研究結果から-
成蹊大学 理工学部 窪田 悟
1.コンピュータディスプレイのユーザー評価
Web調査
2000~
~2005の結果を縦断的に見る
Web調査2000
2005の結果を縦断的に見る
2.テレビディスプレイの人間工学*
1.テレビ観視者の視野の輝度と
量販店のテレビ展示環境について
2.テレビ映像の黒レベルの要求輝度
3.テレビ映像の白レベルの上限輝度
4.テレビ映像の明るさ制御と視覚疲労
*2は三菱電機㈱
2は三菱電機㈱との共同研究の一部である
2の1~3は,窪田ほか:照明環境と観視者の視覚特性を考慮した液晶テレビの輝度制御に関する研究,
電子情報通信学会技術報告,ITS
・画像処理,2006
2006年
年2月より
電子情報通信学会技術報告,ITS・画像処理,
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム
2006
★ディスプレイのErgonomics
ディスプレイの人間工学
ユーザーの視覚特性
コントラスト感度特性
視力、加齢の影響など
作業特性・表示
内容
物理的環境
作業時間、コンテン
ツ、アプリケーション
現場調査
Web調査
リニアモデルによる
開発に対抗する生態
学的な視点が必要
多くの要因との相互
作用は要素還元論だ
けでは記述できない.
ディスプレイ
の表示特性
光環境、作業空間、
視距離など
利用現場におけるユーザー評価
見やすさ、 画質、疲れにくさ
実験的研究
視認性が高く、画質が良く、視覚
負担が少ないディスプレイの
設計・開発の指針
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
1
ディスプレイの人間工学の特質と問題点
① 対象技術と広義の環境要因によって要求値が変化す
るので,データそのものに普遍性を込めにくい
② といっても,すべての組合せを示せば済むものでもない
といっても,すべての組合せを示せば済むものでもない
し,「人に優しい」といったキャッチフレーズをあげれば
済むものでもない
③ 部分的な数値上の精度と普遍性を至上とする既存の
学会の枠に入りきらない
④ 普遍的なことはデータではなく人間を中心に据えた考
え方の中にある
⑤ この考え方は現実の技術と利用実態に浸かって継続し
て問題と向かい合っていないと理解に到達しない
⑥ 技術より科学,素人より専門家,現場より研究所が優
位の現状では根付きにくい
⑦ 成果は製品自体およびその利用方法に反映されなくて
はならない
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
★Web調査の概要
Web調査の概要
調査期間 2005年9月5日~24月
対象者 主としてディスプレイ関連業界の方々
有効回答数 494
調査項目
アンケートフォームへリンク
①回答者の属性:年齢,作業内容,作業時間など
②ディスプレイの特性:画素構成,サイズ,方式など
③文字の表示特性:大きさ,明るさ,CR
など
文字の表示特性:大きさ,明るさ,CRなど
⑤目と身体部位の疲労感:目や身体の自覚症状
⑥回答者の視覚のコントラスト感度
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
2
★ディスプレイの種類,作業時間,目と身体部位の疲労感
ディスプレイの種類,作業時間,
作業内容,終業時の目の疲労感
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
ディスプレイの種類の
年次変化
ディスプレイの種類の変化
CRT
LCDモニター
LCDノート
100%
液晶産業の従事者が大半で
27.7
80%
29.8
35.7
37.6
32.6
40.8
あることが前提のデータではあ
るが,CRTは3%まで減少した.
比較の対象としてのサンプル数
60%
がもはや確保できない.
43.7
20%
ノートが増加している.
54.1
40%
52.3
58.7
64.6
10.1
5.6
2.8
3
2002
N=369
2003
N=315
2004
N=319
2005
N=493
56.2
28.6
16.1
0%
2000
N=202
2001
N=186
年度
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
3
作業時間の年次変化
ディスプレイ作業時間の推移
CRT
8
LCDモニター
LCDノート
1日あたりの時間
自宅での使用を含む
7
6
5
4
1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006
年度
2004年から家庭でのPC利用時間も聞き取っているが,ほとんどの回答者が
家庭でもPCを使用している.平均使用時間は約1時間,会社での使用を合
計すると1日あたり平均7~8時間ディスプレイに向かっていることになる.
2002年度までの延長傾向は一段落しているように見える.昨年からは若干
減少している.CRTは2003年度以降サンプル数が少なく比較の対象とならな
いのでプロットしていない.
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
年齢別のPC作業内容
2004年度
2005年度
年齢別のPC作業内容(2004年度)
無回答
メール
ソフト開発
その他
ワープロ
HP閲覧
HP作成
表計算
CAD/CAE
画像処理
年齢別のPC作業内容 (2005年度)
プレゼン資料
DTP
ゲーム
無回答
メール
ソフトウェア開発
ワープロ
HP閲覧
HP作成
表計算
CAD/CAE
画像処理
プレゼン資料
DTP
ゲーム
プレゼン資料
50以上
ワープロ
表計算
50代以上
メール
ワープロ
表計算
プレゼン資料
メール
プレゼン資料
40代 ワープロ 表計算
40代 ワープロ
メール
表計算
プレゼン資料
メール
プレゼン資料
30代 ワープロ
表計算
20代
表計算
プレゼン資料
ワープロ
30代 ワープロ
メール
プレゼン資料 メール
表計算
プレゼン資料
CAD/CAE
HP閲覧
20代ワープロ
ソフト開発
表計算
メール
メール
0%
20%
40%
60%
80%
100%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
20代はHP閲覧やソフト開発も比較的多い.若年者と高齢者の作業負担の訴え
の違いは作業内容にも依存している可能性がある.しかし,後で示す作業内容
と終業時の目の疲労感に2005年度の調査結果では関連性は認められなかった.
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
4
終業時の目の疲労感
終業時の目の疲労感の変化
ほとんど疲れを感じない
多少疲れた感じはするがすぐに回復する
帰宅後まで疲れが残る
翌日以降まで疲れが残る
0%
20%
2001
11.7
2002
11
年度 2003 8.7
2004
12.7
2005
12.2
40%
46.9
54.8
55.4
55.2
51.2
60%
80%
35.2
100%
6.1
27.7
6.6
30.5
5.4
25.7
31.7
6.3
4.8
過去5年間,目の負担感に若干の変化は見られるものの大きな変化は認められない.
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
★文字サイズ,明るさ,コントラスト
文字サイズ,明るさ,コントラストと
終業時の目の疲労感
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
5
使用文字サイズ,理想とのギャップ,画素ピッチ
使用文字サイズ(本文テキスト)
0.8
CRT
LCDモニター
LCDノート
4.0
3.5
3.0
2000
2001
2002 2003 2004
調査年度
ディスプレイ別の画素ピッチの変化
2005
CRT
LCDモニター
LCDノート
0.32
画素ピッチ (mm)
理想文字サイズと使用文字サイズの差
CRT
LCDモニター
LCDノート
0.6
0.4
0.2
0.0
2.5
0.34
文字サイズの差(mm)
文字サイズ(mm)
4.5
0.30
2000
2001
2002 2003
調査年度
2004
2005
文字サイズの年度ごとの調査結果
文字サイズの縮小は画素数の増加,すなわち画
素ピッチの縮小に依存している.特に,ノートPC
で顕著である.ただし,必ずしも理想文字との
ギャップが拡大しているわけではない.アプリ
ケーション,輝度,コントラストとの関連もあろう.
0.28
0.26
0.24
0.22
0.20
2000
2001
2002 2003
年度
2004
2005
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
文字サイズ(理想と現実のギャップ)と終業時の目
の疲労感(2002年度の結果)
2002年度の結果
理想文字サイズと現状のギャップと目の疲れ
翌日以降ま
4
で疲れが残る
帰宅後まで
3
疲れが残る
多少疲れた感
2
じはするがす
ぐに回復する
ほとんど疲れ
1
を感じない
0以下 0.01-0.30 0.31-0.60 0.61以上
理想文字サイズとのギャップ(mm)
上の図は,2002年度の調査結果である.より大きい文字で作業したいと感
じている人ほど目の疲れの訴えが高かった.見にくいディスプレイの空間周
波数を下げたいと感じているためと考えられる.ただし,実使用サイズと目
の疲れの関係を調べたところ,必ずしも小さい文字で作業している人が疲
れているわけではなかった.しかし,この傾向は本年度(2005年)の調査で
は認められなかった.
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
6
年齢と文字サイズ
年齢と文字サイズ
5
使用サイズ
理想サイズ
文字の高さ(mm)
2004年度の結果
加齢による調節力の低下とほぼ
対応しているように見える.過去4
4
53
30代
40代 理想文字サイズ
50代以上
使用文字サイズ
20代
文字の高さ(mm)
N=54
N=123
N=107
N=31
2005年度の結果
4
年間の調査結果は同様の傾向を
示している.ただし,この結果を
もって,年齢に応じた文字サイズ
を提示すればよいというわけでは
ない.図は平均値と標準偏差を示
している.個人差が大きく,如何に
個に適応できるかが重要である.
それは先に示した主観的要求文
字サイズとのギャップが大きいほ
ど目の疲労感が高いという結果か
らも明らかである.
3
20代
30代
N=78
N=192
40代
50代以上
N=166
N=53
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
明るさコントラストと目の疲れ(本年度)
ディスプレイの明るさ、コントラストと終業時の目の疲れとの関係
翌日以降まで4
疲れが残る
ディスプレイのコントラストと終
業時の目の疲労(2004年度)
コントラストと終業時の目の疲労感
帰宅後まで疲
れが残る 3
翌日まで疲4
れが残る
帰宅後まで疲
3
れが残る
多少疲れた感
じはするがすぐ
に回復する 2
多少疲れるが
2
すぐに回復
明る い
や や明 る い
ち ょう ど よ い
や や暗 い
ほとんど疲れ
1
を感じない
暗 い
高 い
や や高 い
ち ょう ど よ い
や や低 い
低 い
ほとんど疲れ1
を感じない
ディスプレイの明るさと終業
ディスプレイの明るさと終業時の目の疲労
時の目の疲労(2005年度)
使用しているディスプレイのコントラストと明るさの主観評価結果と終業時の目の疲労感を示す.
いずれも,調節の重要性を示している.個々のユーザーと環境,タスクに適応した表示を実現する
技術の重要性を示している.
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
7
明るさとコントラストの調節の頻度は?
調節が容易なら調節しますか?
明るさとコントラストの調節
1日に何回も
調節する
1%
1日1回程度
は調節する
2%
ごくまれに調節
する
35%
明るさとコントラストの調節の必要性(調節しやすければ)
調節できない,
または調節方
法が不明
3%
まったく調節し
ていない
28%
おおいにする
3%
ある程度する
45%
する必要を感
じない
52%
導入した時に
調節したまま
31%
N=493
コンピュータディスプレイのユーザー評価2005年より
N=493
コンピュータディスプレイのユーザー評価2005年より
ユーザー自身も表示特性の調節の重要性に気がついていないことを表わしている
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
★Webページ上でのコントラスト感度測定結果
視覚のコントラスト感度特性とディ
スプレイへの要求特性との関係
Webページ上での不特定多数に
よる実験の試み
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
8
加齢によって
高空間周波数
域のコントラス
ト感度が低下
する
CampbellCampbell-Robson Contrast Sensitivity Chart
視覚のコントラスト感度特性を観察するための図
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
Webページ上でのコントラスト感度測定
ディスプレイの特性把握
測定の実施
測定結果の分析
⑤コントラスト感度の測定
④刺激の提示
③階調特性の測定
②精細度の測定
①視距離の設定
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
9
コントラスト感度特性の測定画面
4画素幅のグレーティングの場合
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
測定実験に参加した被験者の属性
Webページ上で合計
300名の被験者のコントラスト感度を測定した.各被験者が使用している
名の被験者のコントラスト感度を測定した.各被験者が使用している
Webページ上で合計300
ディスプレイ上に1,2,4画素ピッチのグレーティングを表示し,視認コントラスト閾を計測した.
計測方法については,以下のページに測定画面があるので参照されたい.
http://klee.is.seikei.ac.jp/~display/csf
http://klee.is.seikei.ac.jp/~display/csf//
回答者の年齢分布
140
年齢別の視力矯正
裸眼
50代以上
100
回答者数
近視
老眼
多重焦点
コンタクト
117
120
25.9
16.7
37.0
14.8 5.6
93
80
40代
36.6
30代
34.9
20代
36.7
45.7
60
7.3 9.8
2.6
44
40
23
18.2
42.2
23
3.8
20
35.4
24.1
0
20代
30代
40代
50代
60以上
0%
20%
40%
60%
80%
100%
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
10
Webページ上で測定した年齢別のコントラスト感度と視力
年齢別コントラスト感度と視力 N=300
80
コントラスト感度
視力
コ 60
ン
ト
ラ
40
ス
ト
感
度 20
1.2
Webページ上で測定した
300名のデータ
0.8
15cycle/degreeのグレー
ティングに対する視認コ
視
ントラスト閾の逆数をとっ
力
てコントラスト感度として
いる.
0.4
視力は回答者の自己申
告5m視力である.
0
0
20代
30代
40代
50代
60代以上
N=44 N=116
N=97
N=23
N=23
20代のコントラスト感度が低い理由は不明であるが,コンタクトによる矯正が十分で
ないなどの問題も考えられる.
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
コントラスト感度と矯正
コントラスト感度と矯正方法との関係
80
矯正方法とコントラスト感度、視力
コントラスト感度
視力
60
コ
ン
ト
ラ
40
ス
ト
感
度
20
1.2
0.8
視
力
0.4
0
0
裸眼
近視
老眼
N=92
N=130
N=13
視力は回答者の自
己申告5m視力で
ある.
コンタクトレンズ使
用者のコントラスト
感度が低い.
多重焦点コンタクト
N=25
N=40
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
11
コントラスト感度と使用したい文字サイズとの関係
コントラスト感度と使用したい文字サイズ
6
コントラスト感度と使用したい文字サイズ
6
60歳以上の23名
文
字 5
サ
イ
ズ 4
(
m
m
3
(
m
m
R2 = 0.2548
文
字 5
サ
イ
ズ 4
3
)
)
2
1
10
15cycle/degのコントラスト感度
100
全年齢層 N=304
2
1
10
15cycle/degのコントラスト感度
100
60歳以上 N=23
コントラスト感度から下限文字サイズ
が規定できるように見える
コントラスト感度と要求文字サイズとの
関係は高齢者群でより明確になる
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
テレビディスプレイの人間工学
三菱電機㈱との共同研究の一部である
1.テレビ観視者の視野の輝度と
量販店のテレビ展示環境について
2.テレビ映像の黒レベルの要求輝度
3.テレビ映像の白レベルの上限輝度
4.テレビ映像の明るさ制御と視覚疲労
1~3は以下の資料より
窪田ほか:照明環境と観視者の視覚特性を考慮した液晶テレビの輝度制御に関
する研究,電子情報通信学会技術報告,ITS
・画像処理,2006
2006年
年2月
する研究,電子情報通信学会技術報告,ITS・画像処理,
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
12
画面照度と画質
PDP
LCD
量販店などの明るい環境
PDP
そ
れ
ぞ
れ
外
光
の
影
響
を
強
調
し
て
あ
る
LCD
比較的暗い環境
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
画像はソニーピクチャーズエンターテイメント:スパイダーマンより
1.テレビ観視環境の実態
量販店のテレビ展示環境
15
10
LCDとPDPとの
延べ42店舗の結果 間で有意差無
2004年と2005年
との間でも有意
差無,そこで,
すべて一緒に集
計した
5
2900
2700
2300
2500
2100
1900
1700
1300
1500
1100
900
700
300
500
0
100
観測された度数
各店舗の最低値
各店舗の最高値
展示されていた薄型テレビの画面照度(lx)
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
13
家庭のテレビの観視環境
20
100
N=50
Mean=107.9
Median=91.2
SD=64.8
MIN=23
MAX=327
10
80
60
40
5
325-350
300-325
275-300
250-275
225-250
200-225
175-200
150-175
125-150
75-100
100-125
50-75
25-50
20
0-25
0
累積(%)
度数
15
0
画面照度(lx)
窪田,嶋田,岡田,中村,城戸:家庭におけるテレビの観視条件,
窪田,嶋田,岡田,中村,城戸:家庭におけるテレビの観視条件,
映像情報メディア学会誌,60
巻,4
4号,2006
映像情報メディア学会誌,60巻,
号,2006
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
テレビ観視者の視野輝度の実態
180°視野の魚眼レンズ撮影
テレビ画面
50世帯のテレビ方向の輝度分布
テレビ画面の中心
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
14
観視方向180°視野の輝度
50世帯のリビングの実態
10
N=50
幾何平均
10.65 cd/㎡
度数
8
6
4
2
158.6-251.2
観視方向180°視野の平均輝度(cd/㎡)
100.1-158.5
63.2-100.0
39.9-63.1
15.9-25.1
25.2-39.8
10.1-15.8
6.4-10.0
4.1-6.3
1.7-2.5
2.6-4.0
1.1-1.6
0.7-1.0
0-0.4
0.5-0.6
0
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
2.黒レベルの要求輝度
●画面照度:
5, 15, 50, 150 lx
●ディスプレイ:
画面照度5,15lx
画面照度5,15lx
32型
32型CRTCRT-TV
画面照度50,150
画面照度50,150 lx
32型
32型LCDLCD-TV
●被験者:24名
●視距離:1.5m
●手順:各被験者は,夜空が完全に暮れて(黒く)見える
手順:各被験者は,夜空が完全に暮れて(黒く)見える
ようにリモコンで輝度を調整した.上昇法と下降法で数回
ずつ測定し平均値を求めた.
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
15
黒レベルの要求輝度
画面照度と要求黒輝度
要求黒輝度 Lb (cd/㎡)
10
Lb = 0.112×Ei
0.42
花火の映像という黒レベル
の要求が最も厳しいと思わ
れる条件での結果である
1
24名の平均値と標準誤差
0.1
1
10
100
画面照度 Ei (lx)
1000
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
画面の拡散反射率の測定
ISO13406-2準拠
ISO13406-2に準拠した15°φの2つの光源を30°入射で照
射し,法線方向から反射輝度を測定する.標準白色板
(Labsphere99%)の反射輝度との比から反射率を求めた.輝
度計はPhoto Research社製PR-880であった。輝度計のアパー
チャーは1°を用いた。
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
16
輝度特性の異なるCRTとLCDにおける
画面照度と黒輝度との関係
CRT(ρ=0.03)
CRT(ρ=0.06)
CRT(ρ=0.09)
LCD(Le=0.1cd/㎡)
LCD(Le=0.3cd/㎡)
LCD(Le=0.6cd/㎡)
1000
黒レベル(cd/㎡)
100
Lb = Le +(Ei × ρ)/π
10
1
Lb = 0.112×Ei
0.1
0.42
ρ:画面拡散反射率
Le :暗室輝度(cd/m2)
Ei :画面照度 (lx)
0.01
1
10
100
画面照度(lx)
1000
10000 主観評価実験によって求
めた黒レベルの要求値
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
3.まぶしさ感に基づく白レベルの上限輝度
1°Φ
25°Φ
3000ANSIルーメンのDLPプ
ロジェクタを光源に使用
1°,5°,25°Φの円形刺激をさまざまな輝度で0.5秒間提示し,まぶしさ感
を主観評価した. 評価と記入に約10秒,輝度は最高で2,000cd/㎡,順応輝度
は5,20,80cd/㎡とした.相関色温度は白表示で約7,000K,
被験者は65歳~77歳の24名,および学生20名
「まぶしさ感」の評定尺度, 0:まぶしさを感じない,1:ややまぶしい,2:まぶしい,
3:非常にまぶしい,の4段階
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
17
輝度とまぶしさ感
順応輝度5cd/
㎡の場合
順応輝度5cd/㎡
若年者群20名の平均
高齢者群24名の平均
順応輝度5cd/㎡のまぶしさ感(高齢者24名の平均)
順応輝度5cd/㎡のまぶしさ感(若年者20名の平均)
非常に
3
まぶしい
非常に3
まぶしい
視角サイズ1°
視角サイズ5°
視角サイズ25°
視角サイズ1°
視角サイズ5°
視角サイズ25°
まぶしい
2
2
まぶしい
ややま
ぶしい1
ややま
1
ぶしい
まぶしさを
感じない
0
まぶしさを
感じない
0
1
10
100
輝度(cd/㎡)
1000
10000
1
10
100
1000
10000
表示輝度(cd/㎡)
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
順応輝度とまぶしさを感じ始める輝度
高齢者24名と若齢者20名の結果
高齢者群:視角サイズ1°
:視角サイズ25°
若年者群:視角サイズ1°
:視角サイズ25°
10000
眩しさを感じ始める
輝度 Lw (cd/㎡)
Lw = 1263La
1000
0.26
Lw =k × La α
Lw = 454La
0.35
Lw = 176La
0.35
Lw = 154La
0.43
Lw:まぶしさを感じ始める
輝度
La:順応輝度
α:刺激サイズと視覚特性
よって異なるべき数
k:刺激サイズと視覚特性
よって異なる定数
100
1
10
100
順応輝度 La (cd/m2)
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
18
刺激サイズとまぶしさ感
若齢者群20
名と高齢者群24
24名の比較
名の比較
若齢者群20名と高齢者群
まぶしさを感じ始める
輝度(cd/㎡)
10000
5cd/㎡ 若年者
80cd/㎡ 若年者
5cd/㎡ 高齢者
80cd/㎡ 高齢者
1000
100
0
5
10
15
20
円形刺激の直径(deg)
25
30
平均画像レベル(APL)
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
平均画像レベルとピーク輝度
低 平均画像レベル 高
APL
ピークの白輝度(cd/㎡)
600
明るさ制御なし
明るさ制御あり
0
0
APL(平均画像レベル)
100
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
19
テレビ映像の明るさ制御が視覚疲労の
軽減に及ぼす効果
まずは,テレビの視聴実態から
Webアンケートによる
290世帯の調査結果
世帯の調査結果
Webアンケートによる290
N=290
N=290
25
メインのテレビの視聴時間帯
メインのテレビの視聴時間帯
100
80
20
%
%
60
15
22
20
18
16
14
12
8
10
6
4
2
11
12以上
9
10
8
7
6
5
4
視聴時間
視聴時刻
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
最もよく見られている番組は?
Web調査による290世帯の結果
視聴番組ランキング
50
N=290
40
30
%
20
10
その他
講座
映画
ドラマ
歌
アニメ
ドキュメンタリー・リポート
報道
0
バラエティー
3
0
2
0
1
20
0
5
0
40
10
イベント中継
30
世帯で最も長時間視聴している人
最も長時間視聴している人の1日あたりの視聴
の1日あたりの視聴時間
時間
以下の文献より,バラエティーは
APLがきわめて高い.
中村,山川:輝度ヒストグラムによ
るコンテンツの分類,信学技法
Vol.105,No.608,2006
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
20
実験方法
明るさ制御ON
とOFFの条件に
15名ずつの被験者を割り当てた
名ずつの被験者を割り当てた
明るさ制御ONと
OFFの条件に15
被験者間比較の実験
実験室の水平面照度30
250 cd/
実験室の水平面照度30 lx,テレビのピーク輝度約
lx,テレビのピーク輝度約250
cd/㎡,
32型
1.2m,表示内容はバラエティ番組
,表示内容はバラエティ番組
32型LCDLCD-TV,観視距離約
TV,観視距離約1.2m
下記のタイムスケジュール①
下記のタイムスケジュール①から⑤
から⑤で目に関する自覚症状と
グレーティング視力を測定
タイムスケジュール
①
②
30分間
視聴
③
30分間
視聴
④
⑤
15分間
休憩
30分間
視聴
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
明るさ制御
平均画像レベル(APL
)によってピークの白輝度を制御
平均画像レベル(APL)によってピークの白輝度を制御
輝度(cd/㎡)
明るさ制御OFF
約250cd/㎡
明るさ制御ON
映画やドラマの
おおよその範囲
バラエティ番組の
おおよその範囲
平均画像レベル
0
(全画面が最高階調の場合を100とする)
約125cd/㎡
100
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
21
実験状況
170ppiの超高精細LCDに高空間
周波数のグレーティングを表示,
LCDがレール上前後に移動する
高空間周波数のグレーティング
刺激を利用した視力測定
30分間
×3=90
分間のテレビ
30分間×
3=90分間のテレビ
の観視 32型
32型LCDLCD-TV
明るさ制御の有無
被験者30
名( 15名+
15名)
名)
被験者30名(
15名+15
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
自覚症状の尺度など
視聴前とセッション終了ごとに評価
目の疲れ
1.目がいたい
全く疲れていない
やや疲れている
疲れている
非常に疲れている
ない
ややある
ある
非常にある
2.目がしょぼしょぼする
3.涙がでる
4.目が乾く
5.目が充血する
6.まばたきが多い
7.ものがすぐにはっきりとみえない
8.ものがまぶしく見える
9.頭がいたい、重苦しい
以下は90分間の視聴後
画面の明るさはどのように感じました
極めて暗い
やや暗い
ちょうど良
い
やや明るい
極めて明るい
この画面に対する最適視距離( )cm
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
22
目の自覚症状
評定値の高かった上位3項目
非常に
3
ある
明るさ制御ON
**
**
明るさ制御ON
2
ある
やや
1
ある
**
**
*
④第3セッション後
瞬きが多い
**
**
やや
1
ある
①開始前
⑤休憩後
④第3セッション後
③第2セッション後
②第1セッション後
評価時点
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
目の自覚症状
非常に
3
ある
目がしょぼしょぼする
目がしょぼしょぼする
15名の平均値と標準誤差
15名の平均値と標準誤差
各条件15名の平均値と標準誤差
明るさ制御OFF
**:p<0.01
*:p<0.05
明るさ制御ON
2
ある
やや
1
ある
**
**
**
*
⑤休憩後
④第3セッション後
③第2セッション後
評価時点
②第1セッション後
0
ない
①開始前
目がしょぼしょぼする
評価時点
⑤休憩後
0
ない
0
ない
①開始前
目の疲れ
2
ある
明るさ制御OFF
**:p<0.01
*:p<0.05
③第2セッション後
明るさ制御OFF
**:p<0.01
*:p<0.05
瞬きが多い
瞬きが多い
15名の平均値と標準誤差
15名の平均値と標準誤差
各条件15名の平均値と標準誤差
②第1セッション後
3
非常に
ある
目の疲れ
目の疲れ
15名の平均値と標準誤差
15名の平均値と標準誤差
各条件15名の平均値と標準誤差
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
23
0.15
視力の変化:被験者15名の平均値と標準誤差
各条件15名の平均値
と標準誤差
明るさ制御OFF
明るさ制御ON
0.10
作業開始前からの小
数点視力の変化
0.05
0.00
-0.05
二元配置の分散分析
(明るさ制御(2)×測定時点(5))
-0.10
明るさ制御
F(1,28)=0.1097 n.s.
⑤休憩後
④第3セッション後
③第2セッション後
②第1セッション後
-0.15
①開始前
視力変化(開始前からの相対値)
視力の変化
測定時点 **
F(4,112)=6.03
測定時点
p<0.01
明るさ制御×測定時点
F(4,112)=1.224 n.s.
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
実験後に行った画面の明るさ評価と
好ましい観視距離
極めて
4
明るい
画面の明るさ
300
好ましい視距離(cm)
ちょうど
2
良い
やや1
暗い
好ましい観視距離
p<0.05で有意差あり
p<0.01で有意差あり
やや明
3
るい
極めて
0
暗い
350
250
200
150
100
50
0
明るさ制御OFF
OFF
明るさ制御ON
ON
明るさ制御
明るさ制御OFF
OFF
明るさ制御ON
ON
明るさ制御
それぞれ被験者15
名の平均値と標準偏差を示す
それぞれ被験者15名の平均値と標準偏差を示す
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
24
まとめに代えて
① 目先の技術間競争やカタログスペック競争は無意味である
② 量販店はユーザーではない,量販店の環境もユーザーの
環境ではない
③ ユーザーから見て営業や製造のかげに隠れた研究開発は
時代遅れである
④ リニアモデルによる研究開発で先行者利益を確保するとい
うスタンスは過去のものである
⑤ コストを下げるよりユーザーの利益(表面的な見栄えだけで
なく)を上げる
⑥ 製品競争が激しい時ほど研究開発・製造・営業・(学)の連
携が必要である
⑦ 企業間や技術間の枠を取り払った上で,短期的な成果を求
めず,本気でユーザーのことを考えたものづくりが望まれる
フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2006
25