設置の趣旨 - 大阪電気通信大学

大学等の設置の趣旨
及び特に設置を必要とする理由
1. 設置の趣旨
学校法人大阪電気通信大学は、昭和36年4月、大阪電気通信大学を開設、全国の
私立大学で初めて電子工学科を設置し、40年に及ぶ電子工学教育の歴史を有する。
翌昭和37年4月に通信工学科を増設、昭和40年4月には3学科(電子物性工学科、
電子機械工学科、経営工学科)、昭和50年4月にはさらに2学科(精密工学科、応用
電子工学科)を増設した。
かくして、工学部は7学科となり、一貫してエレクトロニクス(電子工学)とこれ
を基礎とする先端科学技術である計算機工学、通信工学、制御機械工学および情報工
学の諸分野の教育研究を実施し、多くの卒業生を産業各界に送ってきた。
平成2年4月には、大学工学部を基礎として大学院工学研究科博士前期課程に総合
電子工学専攻、制御機械工学専攻、情報工学専攻の3専攻を設置し、平成4年4月に
は、上記3専攻の博士後期課程を設置した。これにより大阪電気通信大学は高等教育
機関としての体制を整備した次第である。
上記のように、工学部は長年にわたり7学科として運営してきたが、大学院の設置
を機会に7学科の性格と教育内容を明確にし、大学院3専攻との対応を整合し、学部
学生に対し常に新鮮な教育を与えることを目的として、教員の移動を伴う学科再編成
に着手した。その結果、平成7年4月に工学部経営工学科の改組転換により情報工学
部情報工学科を開設。また平成8年4月には工学部精密工学科の学科名称を知能機械
工学科とし、さらに平成9年4月には工学部電子物性工学科を電子材料工学科に、応
用電子工学科を光システム工学科に学科名称を改め、最新の情報科学技術と高度先端
科学技術の進歩に対応した教育研究を実施し、大学改革を継続して推進している。
また、社会において実務に携わる勤労者、社会人に対して最新の高度な技術につい
て実学教育を行うことを念頭に、平成10年4月には工学部第2部(電子工学科、知
能機械工学科)を開設した。これにより工学部を工学部第1部と名称を改め、引き続
きわが国産業社会が要請する指導的技術者、研究者等を育成すべく教育・研究を行っ
ている。
近年、あらゆる科学技術が急速な進展をなし得た根幹をなすものはエレクトロニク
スを基盤としたコンピュータハード技術の向上、すなわち情報工学技術の発展による
ものと言って過言ではない。このような認識のもとに本学では上記のように情報工学
科を開設したが、21世紀のデジタル情報社会においては情報工学技術と並行して、
とくにコンピュータソフト情報技術が重要な役割を担うものと考えられる。このこと
から、本学では21世紀社会のデジタル・マルチメディア情報環境におけるグローバ
ルな情報文化社会の形成に貢献することができる人材を育成するため、平成12年4
月に情報工学部にメディア情報文化学科を開設すると同時に、情報工学部を文理混合
型学部にふさわしい名称、総合情報学部に変更した。
21世紀は科学技術が急速に進展する社会である一方、わが国社会では若年層人口
の減少とともに、超高齢化が進み、医療や介護(高齢者、身体障害者等)を必要とす
る人口が今後ますます増加することが予想されている。このような社会状況にも拘わ
-1-
らず、医療・福祉工学技術を習得して医療現場や社会福祉関連事業にたずさわる技術
者、支援者等が甚だしく不足しており、大きな社会問題となってきている。こうした
諸問題を解決するために、今後医療技術の高度化すなわち、エレクトロニクスや情報
技術を利用した高度医療・福祉機器の開発が進み、医療機関や福祉現場に数多く導入
されることが予想できる。
したがって、先端科学医療・福祉の現場では、機器の操作が大きな役割を持つとと
もに、日常の保守点検も極めて重要な職務であり、医学、工学両分野の専門知識を有
する人材が必要になってくる。本学では、新しい医療福祉先端技術の開発と技術の修
得を目ざす教育研究を行い、医療福祉現場で活躍できる人材を育成するため、平成1
3年4月に工学部第1部医療福祉工学科を開設した。
また、21世紀を迎えた現在、省エネルギーや省資源等地球環境に配慮したインテ
リジェント・マシンを構想し、これを着実な技術として実現できる人材を育成するた
め、平成14年4月に工学部第1部および同第2部の知能機械工学科をそれぞれ機械
工学科に学科名称を改めた。
21世紀情報文化社会の生活文化の充実と向上は、高度なエレクトロニクス技術と
コンピュータ利用デジタル技術の融合により達成されるものであり、こうした技術の
応用は次第に日常生活の中に浸透し、生活の活性化、あるいは潤いや豊かさなどをも
たらすものと予想される。コンピュータもしくはコンピュータを内蔵した機器とその
上のソフトウェアから構成される「デジタルゲーム」は、上述のような生活文化の充
実向上に最も重要な役割を果たすものであると考えられる。
このような21世紀社会の趨勢を先取して、この度、本学においては、工学部第1
部の7学科の内、電子工学科(入学定員 110 名)、通信工学科(入学定員 110 名)、電
子機械工学科(入学定員 110 名)の入学定員をそれぞれ10名減員し、計30名、ま
た本学校法人が併設する大阪電気通信大学短期大学部電子情報学科(入学定員 160 名)
から80名を減員し、両方を併せて入学定員110名(第3年次編入学定員 30 名)の
デジタルゲーム学科を改組転換によって開設し、デジタルゲームのデザイン(企画、
設計)と制作に関して系統的な教育と研究を行い、将来の新しいゲームの発展を担う
ことによって、新しい感性豊かな生活文化社会の創造に貢献できる人材を育成するこ
とを計画した。
現在、総合情報学部には、(平成7年開設の)「情報工学科」と(平成12年開設の)
「メディア情報文化学科」が設置されているが、今回、「デジタルゲーム学科」をこの
総合情報学部に開設する計画である。「デジタルゲーム学科」の教育は、「情報工学科」
の情報科学技術や情報処理技術の教育および「メディア情報文化学科」のデジタルコ
ンテンツの企画・制作や情報文化についての教育と密接に関連しており、これら学科
間での教育上の交流、教員の交流、さらには施設・設備の相互利用等は、「デジタルゲ
ーム学科」の学生の教育にとって極めて有益であると考えている。
さらに、「デジタルゲーム学科」にとって、本学工学部におけるエレクトロニクスや
メカトロニクスの教育は基盤となるものであり、とくに「医療福祉工学科」の教育は、
医療と福祉とに関連したゲームの創作を行ううえで有効な影響を与えるものと考えら
れる。
上記の理由により、本学において、総合情報学部に「デジタルゲーム学科」の設置
を申請する次第である。
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2. 特に設置を必要とする理由
21世紀社会において急速に進展する高度先端科学技術の基礎であるエレクトロニ
クスとその関連分野および高度コンピュータ技術を駆使した情報先端技術分野に対応
して、本学では、わが国だけでなく、国際社会において要請されるハイレベルの先端
科学技術者および情報技術者を育成する社会的使命を果たしてきている。
本学は、昭和36年度に工学部電子工学科を寝屋川キャンパスで開設以来、毎年計
画的に同キャンパスの施設設備の充実を図ってきたが、昭和62年度には、より充実
した教育研究を進めることを目的として寝屋川キャンパスからスクールバスを利用し
て約10分の位置に四條畷キャンパスを開設した。また、平成2年度には、大学院工
学研究科博士前期課程を、つづいて、平成4年度に同博士後期課程を開設し、大学院
を設置する大学として充実した施設と高度な設備を備えた2キャンパスを整備し、高
等教育機関にふさわしい教育・研究の環境を整えた。これらの施設・設備は学部学生
にも開放し、高度な研究者や指導的役割を担う技術者の育成に重要な役割を果たして
いる。また、教授陣においても最新の科学技術・情報技術の教育および研究を行うこ
とのできる優秀な教授集団を構成することによって、本学学生は高度な近代科学技術
を学習し、わが国の産業社会のみならず国際産業社会において指導的技術者となって、
現在その能力を国内外の社会の諸分野で発揮し、活躍している。
平成7年度に工学部経営工学科の改組転換により情報工学部情報工学科を開設し、
高度な情報工学技術者を養成するために、他に類を見ないユニークな特徴を持つ教育
課程を編成し、就学する学生だけでなく情報産業界からも好評を得ている。同学科は
既に第4期生までが卒業し、情報産業界や金融サービス業界等多種多様な業界に就職
を果たして、21世紀の情報科学技術社会で大いに活躍していることから、産業経済
社会から高い評価を受けている。
上記の情報工学科は、ますます高度化する情報工学技術に対応して、最新かつ先端
的な情報科学技術を教授する、ハードを主体とする工学科である。しかしながら、情
報科学技術分野とその技術を活用するソフト製作が一体となって初めて21世紀デジ
タル情報文化社会の健全な環境を創造することが期待されるものであり、ハードとソ
フトが両輪となって新しい情報社会の形成が可能である。このことから、本学では2
1世紀社会のマルチメディア情報環境に対応する教育・研究を行う学科として、平成
12年度に情報工学部メディア情報文化学科を開設すると同時に、情報工学部を文理
混合型学部にふさわしい名称、総合情報学部に改め、両学科相携えて21世紀情報文
化を開拓する学生の養成に積極的に取り組んでいる。
21世紀の幕開けと同時に、わが国では若年層人口の減少、高齢者人口の増加が叫
ばれ、医療・福祉・介護(高齢者・身体障害者等)の問題が大きくクローズアップさ
れてきた。しかしながら、20世紀末より先端科学技術の進展には著しいものがあり、
医療や福祉分野の世界にも最先端の科学技術を駆使したハイテク機器が数多く導入さ
れ、医学や福祉の知識の修得だけで医療や福祉現場を機能させることが不可能な状況
になってきた。このことから、本学では平成13年度に21世紀の高齢化社会に対応
すべく医療や福祉分野の技術に対する幅広い教育を行う学科として、工学部第1部に
医療福祉工学科を開設した。
本学は、第1年次生の教育は四條畷キャンパスで行い、第2年次生からは寝屋川キ
ャンパスで行っているが、メディア情報文化学科では、第1年次生より卒業までを木々
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の緑多く、環境豊かな四條畷キャンパスで行っている。この四條畷キャンパスにおい
ては、21世紀の情報文化社会で、指導的役割を担う高度な技術者を養成するに必要
な最新式デジタル設備を備えたマルチメディア・ホールや映像・音像の教育・研究を
実学的に行う演習室やスタジオを多種整備し、国際的な情報発信基地としてのキャン
パスになっている。また、本年夏の完成を目ざして高度医療・福祉技術を修得するた
めの講義室、医療実験室、演習室等の建築・整備を行っており、まさしく21世紀先
端科学技術を修得するのにふさわしい高度先端科学技術キャンパスになっている。
21世紀社会の生活文化の充実と向上のうえで、コンピュータもしくはコンピュー
タを内蔵した機器とその上のソフトウエアから構成される「デジタルゲーム」は今後
ますます重要な要素となることが期待される。このような趨勢を先取して、デジタル
ゲームのデザイン(企画・設計)と制作に関して系統的な教育と研究を行い、将来の
新しいゲームの発展を担う人材を育成する目的をもって、この度、上記四條畷キャン
パスの総合情報学部に「デジタルゲーム学科」
(入学定員 110 名、第3年次編入学定員
30 名)を改組転換によって新設することを計画した。
1. コンピュータの急速な発達・普及により、コンピュータを利用した「デジタルゲ
ーム」が立上り発展的な広がりを見せ、さらには新しい文化としての市民権を得る
までに至っている。その過程で、従来から知られているようにコンピュータが生産、
管理の効率を上げることに役立つのみならず、人間に喜びと楽しみを与えるものと
して再認識されてきた。これまでの20世紀生産型社会から脱皮して次の段階の2
1世紀型生活社会に移りつつあるわが国にとって、このような「デジタルゲーム」
は新しい生活文化をもたらすものとして重視されるべきである。
2. 現在、わが国の産業界においてコンピュータもしくはコンピュータを組み込んだ
機器と、その上で動作するソフトウエアを利用する「デジタルゲーム・アミューズ
メント産業」は最も活発な産業であり、世界を席巻する勢いにある。現在まで「デ
ジタルゲーム」は、単なるアミューズメントとして取り扱われてきたが、今後は様々
な生活の分野において重要な役割を果たし、21世紀の生活文化の形成に大きく寄
与することが期待され、かつ世界市場への展開も始まりつつある。
3. 「デジタルゲーム」は、幼年期から少年期にわたる時期では、教育の効果を高め
る上に有効な「エデュテイメント」として、青年あるいは成年の男女に対しては、
スポーツやエアロビクス等の体力向上や健康保持に有効なツール、即ち「エクサテ
イメント」として、また、熟年・老年層に対しては、リハビリテーションや生活活
性化のツールとして、今後21世紀生活文化社会において大きな比重を持つと思考
される。
4. 上述のような「デジタルゲーム」を企画し、デザインし、制作するためには、基
礎テクノロジーとしてエレクトロニクスの基礎知識の習得と、高度なプログラミン
グ技術に習熟することが必要であり、こうした基礎テクノロジーと共に、一方では
アートやデザイン的なセンスを要するデッサンや音楽の基本技術を身につけるこ
とが必要である。このような技術と技能の統合の上に立って、機器をデザインした
り、コンピュータ・グラフィックス、コンピュータ・ミュージック、コンピュータ・
アニメーション等を駆使してデジタル・コンテンツを構成、制作する能力を持つこ
とが要求される。
5. 上記3で述べたように、
「ゲーム」は広範な年齢層の様々な生活と関係するので、
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それぞれの生活実態や人間心理、社会環境や行動等について知識を持つことが要求
される。楽しみながら教育を受け、楽しみながらスポーツ能力の向上、健康保持を
し、楽しみながらリハビリテーションや健康回復を可能とするためには、「ゲーム」
のアミューズメントあるいはエンターテイメントとしての性格をうまく利用する
ことが大切であり、ゲームのシナリオライター、クリエーターの育成には幅広い
様々な分野についての知識と教養を必要とする。
6. 「デジタルゲーム学科」では、上述の社会的要請に応えるためゲームに関する認
知科学、心理学、インタフェース工学等の学際的な研究の成果を基礎に、高等教育
としての「デジタルゲーム」の教育を系統的に構成し、新しいゲームを創造するこ
とを可能とする人材を育成し、わが国ゲーム産業の発展に寄与することを期するも
のである。
なお「デジタルゲーム学科」を総合情報学部に設置することによって、学生は情
報工学科で情報科学の基礎や先進的な情報処理技術を学ぶことができると共に、メ
ディア情報文化学科ではアート・コースやデザイン・コースでデジタル・コンテン
ツ制作技法を学ぶことができる。さらに、「デジタルゲーム学科」の学生や教員と、
上記2学科の学生や教員との交流、また、工学部第1部電子工学科、電子機械工学
科、機械工学科で行われているエレクトロニクスやメカトロニクスの教育・研究は
ゲーム機器制作技術に大きな便益を与えるものであり、一方、工学部第1部医療福
祉工学科のリハビリテーションや老人の生活活性化の教育・研究は、新たな「ゲー
ム」の創造に極めて重要な基盤となるものと考える。
上述のことから、既設の工学部第1部7学科の内、電子工学科、通信工学科、電子
機械工学科の入学定員から30名(各学科 10 名)および本学校法人が併設する大阪
電気通信大学短期大学部から80名を振り替え、入学定員110名(第3年次編入学
定員 30 名)の総合情報学部デジタルゲーム学科を開設することを計画し申請する次
第である。〔資料1:大阪電気通信大学学部学科組織図参照〕
また、今回の総合情報学部デジタルゲーム学科の設置申請は、次のとおり「平成1
2年度以降の大学設置に関する審査の取扱方針」(平成13年2月20日、大学設
置・学校法人審議会・大学設置分科会長決定)に沿うものである。
第2
1
具体的な取扱い
一般地域の取扱い
(1)ア
看護職員の養成に資するもの及び情報、社会福祉、医療技術、
先端科学技術など特別の人材養成に係るもので、我が国全体と
して特に必要と認められるもの。
(2)改組転換
①
入学定員の増を伴わない改組転換又は同一設置者の大学及び
短期大学の範囲内の入学定員の振替。
(3)編入学定員の設定
2
工業(場)等制限区域の取扱い、別表「工業(場)等制限区域」には
該当しない
≪資料1:大阪電気通信大学学部学科組織図参照≫
-5-
[1]生活文化社会と人材育成
デジタルゲーム学科では、21世紀の情報文化社会環境のもとにおける生活文化の
活性化に対応して、デジタルゲームについて企画、設計、デザインから制作まで系統
的な教育を行うことを目標としている。20世紀におけるコンピュータの進歩は、膨
大な情報量の処理と計算能力、人間思考能力を一部上回るニューロコンピュータの開
発等によって、生産技術や生産管理、あるいは経営・金融管理やマネーフロー予測等々、
20世紀資本主義生産社会の進歩に大きな役割を果たすと同時に、一方、日常生活に
浸透し、情報デジタル化に伴って社会はインターネット情報社会へと変革が進んでい
る。
このような趨勢のなかで、21世紀は、20世紀生産技術社会のあとをうけて、ど
のように健康で豊かな生活文化社会を形成するかが大きな課題となっている。今回開
設を計画している「デジタルゲーム学科」はこのような課題に応えるために、以下に
述べる3つのコースを設けて、生活文化社会に役立つ人材を養成するものである。
①
コンピュータ・ゲームは単なるコンピュータ上のコンテンツとして捉えられない。
アーケードゲーム、エクサテイメント用機器、福祉機器等の開発には回路、センサ
ー、インタフェースに関する工学の基礎とさらに、それらを制御するソフトウエア
に関する知識が不可欠である。さらに高度なゲームを開発するためにはコンピュー
タ内部に関する深い知識や基本ソフトウエアの仕組みから、画像認識や信号処理と
いった高度なプログラミング技法の修得も欠かせない。このようなハードウエア・
ソフトウエアを構築することのできる人材を育成する。
② 単なるゲームアーティストを育成するのではなく、レベルの高いユースウエア、
すなわちコンピュータ・グラフィックス、コンピュータ・ミュージック、コンピュ
ータ・アニメーションなどのユースウエアをコンピュータ上に統合する環境を駆使
して、アピール度の高い、魅力あるゲームコンテンツを創造する人材を育成する。
③ コンピュータ・ゲームの社会各層への拡大・浸透に対応できる人材、すなわち、
アミューズメントと生活文化の関連を広い視点からとらえて、ゲームの広汎な可能
性を見出し、ゲームの企画、評価、販売を行うゲームビジネスを志向する人材や、
新しい分野へのゲームの展開を模索するベンチャー志向の人材を育成する。
以上の観点から、コンピュータ・ゲームを通して21世紀における情報文化社会の
形成に貢献することができる人材を育成することは極めて重要なことであり、ゲーム
学科では、ゲームシステム、ゲームクリエーション、ゲームプロデュースの分野につ
いてコンピュータ利用技術を駆使して、感性豊かな新しい生活文化社会の創造に貢献
できる人材を育成する。
[2]技術者育成に特徴のある教育課程
(1)総合科目
デジタルゲーム学科の教育課程では、総合科目と専門教育科目に大別され、総合科
目では、A群「文化と社会」、B群「語学」、C群「健康の科学」を準備している。こ
れらA群で8単位以上、B群で12単位以上、C群で4単位以上修得し、A群、B群、
C群合わせて24単位以上40単位までの科目の履修が卒業のために必要である。
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A群の「文化と社会」には30科目を配置し、1年次から4年次までの4年間にお
いて、学生が自由に選択できるよう配慮している。本学の計画しているデジタルゲー
ム学科は、現在社会で利用されているゲームを念頭においたものでなく、21世紀の
教育、老人医療、福祉健康等、多くの問題を抱えた社会において、デジタルゲームを
通して社会の生活文化に貢献できる技術者を育成するものである。このためこの分野
で活躍する人材には、工学的要素と文化的要素を合わせ持つことが必要であり、人間
を中心とした科目(人生論、人間発達と心理学、人間形成と教育等)、教育を考えた
科目(教育学の世界、道徳と教育等)、社会生活についての科目(宗教とは何か、く
らしと日本国憲法、社会生活と法等)、異文化の理解についての科目(言語コミュニ
ケーション、異文化の理解等)、情報倫理についての科目(情報法と企業、情報化社
会と犯罪等)のような科目を多く配当し、豊かな心を養うことができるよう配慮され
ている。これらの教養が専門知識を修得する課程においても修得できるようにしてい
る。
B群の「語学」においては、英語科目(フレッシュマン・イングリッシュ、アドバ
ンスト・イングリッシュ、オーラル・イングリッシュ)は1・2年次から修得しなけ
ればならないが、英語以外に中国語、韓国語を準備して、4年次までの4年間で修得
できるよう配慮している。最近の国際社会においては、アジア諸国に対する関心が高
まっており、中国や韓国は重要な地域と位置付けられている。特にわが国は、アジア
諸国と重要な隣国関係にあり、わが国情報産業の将来においては中国語あるいは韓国
語を修得した技術者やビジネスマンを必要とすることは確実である。なお、本学で開
講しているドイツ語、フランス語も第2外国語の卒業要件単位として認める。上述の
ことから、1・2年次で基礎的な英語をマスターした後、中国語や韓国語も併せて修
得できるよう1年次から4年次まで配当している。
C群の「健康の科学」においては、スポーツ演習を1・2年次で修得できるととも
に、情報科学技術の進歩した現代社会での健康について教授し、近代科学社会におけ
る環境破壊が人体に及ぼす影響、高齢化社会の進む技術社会での福祉について教授す
る。
このようにデジタルゲーム学科の総合科目は、社会人となってから在学中に修得し
た科目をもとに、その教養を基盤として創造力豊かな発想をもつ人間として21世紀
社会に貢献できるよう配慮したものになっている。
(2)専門教育科目
◇ デジタルゲーム学科の3つの学習コース
コンピュータの急速な発達・普及により、コンピュータを利用したデジタル「ゲー
ム」が立ち上がり発展的な広がりを見せ、さらには新しい文化としての市民権を得る
までに至っている。その過程で、従来から知られているようにコンピュータが生産、
管理の効率を上げることに役立つのみならず、人間に喜びと楽しみを与えるものとし
て再認識されてきた。これまでの20世紀生産型社会から脱皮して次の段階の21世
紀型生活社会に移りつつあるわが国にとって、このようなデジタル「ゲーム」は新し
い生活文化をもたらすものとして重視されるべきである。すなわち、21世紀社会の
生活文化の充実と向上のうえで、コンピュータもしくはコンピュータを内蔵した機器
とその上のソフトウエアから構成されるデジタル「ゲーム」は今後ますます不可欠の
重要な要素となることが期待される。
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上述のようなデジタル「ゲーム」を企画し、デザインし、制作するためには、基礎
テクノロジーとしてエレクトロニクスの基礎知識の習得と、高度なプログラミング技
術に習熟することが必要であり、こうした基礎テクノロジーと共に、一方ではアート
やデザイン的なセンスを要するデッサンや音楽の基本技能を身につけることが必要
である。このような技術と技能の統合の上に立って、機器をデザインしたり、コンピ
ュータ・グラフィックス、コンピュータ・ミュージック、コンピュータ・アニメーショ
ン等を駆使してデジタル・コンテンツを構成、制作する能力を持つことが要求される。
さらに、「ゲーム」は広範な年齢層の様々な生活と関係するので、それぞれの生活実
態や人間心理、社会環境や行動等について知識を持つことが要求される。楽しみなが
ら教育を受け、楽しみながらスポーツ能力の向上、健康保持をし、楽しみながらリハ
ビリテーションや健康回復を可能とするためには、「ゲーム」のアミューズメントあ
るいはエンターテイメントとしての性格をうまく利用することが大切であり、ゲーム
のシナリオライター、クリエーターの育成には幅広い様々な分野についての知識と教
養を必要とする。
上記のことから、デジタルゲーム学科では広い意味で「ゲーム」を創造することの
できる人材を幅広く育成するために、「ゲーム」そのものを3つの大きな要素からな
るものと考え、それぞれを主に学び、異なる観点から「ゲーム」創造に携わることが
できるように、「ゲーム」のハードウエア、ソフトウエアを設計、製作する GS「ゲー
ム・システム」、「ゲーム」内で用いられるメディア・コンテンツを制作する GC「ゲ
ーム・クリエーション」、そして、「ゲーム」そのものの企画と統括的な管理を行う
GP「ゲーム・プロデュース」の3つのコースを準備している。これらの3つのコー
スはそれぞれが密接に関連するものであり、どの分野の仕事に就いたとしても、すべ
ての分野に対する幾ばくかの知識が要求されるものであることはいうまでもない。し
かしながら、本学科のコース制は一度選択すれば二度と変更不可能であるような硬直
化したものではなく、学生の興味の変化や時代の流れによって変化する嗜好を柔軟に
受け入れられるように計画している。
また、専門教育科目は基礎専門科目と基盤専門科目、および学科専門科目に大別し、
それぞれの分野において多彩でユニークな科目を配当しているが、それぞれの分野に
おける修得単位数は資料2のとおりである。
≪資料2:デジタルゲーム学科の履修モデルと標準単位数参照≫
1. 基礎専門科目
基礎専門科目は主に1年次、2年次の2年間で学修して、3年次からの本格的な専
門教育に備えるために必要な科目を重点的に配当している。ゲーム、情報、デザイン、
コミュニケーション、人間、数学、理科、ハードウエアと幅広い分野を用意し、ゲー
ム創造という総合的な制作に携わるに十分な基礎的技能や知識を学修できるように
配慮している。
ゲーム分野としては、ゲームに関する概説的な位置づけであり、本学科のカリキュ
ラム構成についても指導する場である「ゲーム学」並びに、それを工学的側面から補
足する「ゲーム工学概論」や、ゲーム制作の上で欠かすことのできない人間に関する
深い理解を得るための「ゲームの心理学」、「ゲームの社会学」といった科目を配当し
ている。情報分野には、プログラミング能力を身につけることを目標として「プログ
ラミング入門Ⅰ」「プログラミング入門Ⅰ演習」を必修科目とし、さらに「アルゴリ
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ズム基礎論」といった科目を配当している。数学も、従来の解析を中心とした科目で
はなく、ソフトウエア制作の基礎となる「論理数学」や「離散数学」を軸とした科目
を配当している。
デザイン分野には、計算機を用いたメディア・デザインへの入門を目標とした「デ
ジタル造形」「デジタル音楽」を配当し、コミュニケーション分野には情報関連産業
に従事するには必須ともいえる「情報産業英語」や「テクニカル・ライティング」の
他、計算機を用いてのプレゼンテーションなどを重点的に教授する「日本語表現法」
といった科目を配当している。人間分野には、「知的所有権」や「認知科学」といっ
た、人間、社会と計算機の関わりに関する科目を配当している。
理科分野はシミュレーション等の基礎知識となることを目的とした「基礎物理学」
、
「基礎力学」の他、想像力を広げるきっかけとなるであろう「基礎天文学」、「基礎生
物学」といった科目を配当している。さらに、ハードウエア分野は、電子回路に関す
る基礎知識と実践的な作業が行えるように「デジタル回路基礎」、「情報ハードウエア
実験」といった科目を配当している。
各コースに共通な必修科目として「ゲーム学」、
「ゲームの心理学」、「プログラミン
グ入門Ⅰ」、
「プログラミング入門Ⅰ演習」ならびに「知的所有権」を設定し、どのコ
ースを選択したとしても基礎的な知識を学修させる。さらに、各コースに以下のよう
な推奨科目を設定して履修指導を行う。
◆GS「ゲーム・システム」コース
このコースでは、主に高度なソフトウエアを作成するためのプログラミングに関し
て他コースよりも多くの知識と演習が必要であるため「プログラミング入門Ⅱ・演習」、
「アルゴリズム基礎論」を、数学に関する基礎知識、ハードウエアに関する基礎知識
を学修するために「論理数学」、「確率・統計入門」他2科目と「デジタル回路基礎」、
「情報ハードウエア実験」を、英語で書かれた様々な技術文書を読解できるようにな
るために「情報産業英語」を、また自然現象に関しての知識を得ることでソフトウエ
ア制作者としての視野を広げるために理科2科目を用意している。また「ゲーム工学
概論」は本コース全体のガイダンス的性格を持つ科目である。
◆GC「ゲーム・クリエーション」コース
このコースでは、主にメディア・コンテンツを作成するために必要となる人間に関
するより深い知識を得るために「ゲームの心理学実験」、「ゲームの行動学」、「ゲーム
の社会学」から2科目を、計算機を用いたデザイン手法の入門である「デジタル造形」、
企画書の作成やプレゼンテーションなどをスムーズに行えるようにする「日本語表現
法」を、様々なデータを統計的に扱える様にできることは、デジタルコンテンツ制作
者として重要な技能であるために「確率・統計入門」を、さらに、様々なデジタル機
器の内部構成に慣れ親しむための「情報ハードウエア実験」を用意している。
◆ GP「ゲーム・プロデュース」コース
このコースでは、主にゲームの企画を行うために必要な人間に関するより深い知識
を得るために「ゲームの心理学実験」、「ゲームの行動学」
、「ゲームの社会学」を用意
し、計算機を用いたデザイン手法の入門である「デジタル造形」、企画書の作成やプ
レゼンテーションなどをスムーズに行えるようにする「日本語表現法」、英語で書か
れた様々な技術文書を読解できるようになるために「情報産業英語」を用意している。
-9-
2. 基盤専門・学科選択専門科目
◆ゲーム・システム(GS)コース
単にコンピュータ上のコンテンツとしては捉えられないアーケードゲーム、エクサ
テイメント用機器、福祉機器等の開発には回路、センサー、インタフェースに関する
工学の基礎とさらに、それらを制御するソフトウエアに関する知識が不可欠である。
さらに、高度なゲームを開発するためにはコンピュータ内部に関する深い知識や基本
ソフトウエアの仕組みから、画像認識や信号処理といった高度なプログラミング技法
の修得も欠かせない。本コースでは、このようにゲームのハードウエア・ソフトウエ
アを構築することのできる人材を育成するためのカリキュラムを用意している。また、
未来型のゲームをデザインするには新たなコンセプトのインタフェースやソフトウ
エア技法が欠かせず、本コースを履修する学生はこのような要求に対応できる能力を
育成する。そこで、2年次に学修する基盤専門科目では「コンピュータアーキテクチ
ャ」、「ヒューマンインタフェース」、「情報ネットワーク」、「ソフトウエア設計論」、
「ヒューマンセンシング」を推奨科目として指定し、さらに「プログラミング演習」、
「グループプログラミング演習」を行うことで、プログラミングに関する経験を積ま
せる。特に、ソフトウエア工学の基礎知識である要求分析や設計技法を学ぶ「ソフト
ウエア設計論」とそれを実践する「グループプログラミング演習」は、実践的なソフ
トウエア制作の場において貴重な経験となるであろうことが期待できる。さらに3年
次で行う「ゲームインタフェース実験」において、人と計算機を結ぶインタフェース
について人の側と計算機の側の両面から学び、「ゲームプログラミング演習」ではチ
ームを組んで企画から、コンテンツ制作、プログラミングを行うことで、学生がそれ
までの学修で身に付けた知識、技能を再確認することができる。
本コースでは、高度プログラミング技法やデジタル回路、インタフェースを基礎か
ら学修するカリキュラムを採っており、このコースは従来の分類では理系、特に情報
系と言えるが、ソフトウエアに関する様々な知識・技能を集中して修得することを目
標としていることから、いわゆる従来の文系の学生であっても、意識が高ければ選択
可能なコース設定としている。学科選択専門科目では、広い意味でのハードウエア、
ソフトウエアに関する深い理解を促すことができるように、「プログラミング言語」、
「データ構造とアルゴリズム」、「形式システム論」のような情報基礎系の科目から、
高度なソフトウエア集合体である「オペレーティングシステム」、「並列分散ソフトウ
エア」、「データベース」の他、現在ソフトウエア制作において最も主流である手法の
「オブジェクト指向」や、実践的な「デジタル情報処理」
、「画像認識」、「3D プログ
ラミング」、「ネットワーク・プログラミング」といった科目を用意している。また、
ハードウエア系の科目に関しても、「ゲームセンサー論」等では単なる動作原理の理
解ではなく、それが実際の装置でいかに利用されているかを主に教授する他、ハード
ウエアの外観設計である「ユニバーサルデザイン論」や、健常者、障害者の身体運動
について学びインタフェースの設計に活かすための「身体運動論」、
「身体障害論」と
いったユニークな科目も用意する。
特徴的なカリキュラムとして生物の運動をプログラミングにおいて利用する技法
を学ぶ「モーションプログラミング実験」や、VR(バーチャルリアリティ)空間をプロ
グラミングする「VR プログラミング演習」があり、専用の施設と演習室を準備して
これらにあてる。
- 10 -
◆ゲーム・クリエーション(GC)コース
このコースにおいては魅力あるゲームコンテンツを創造する人材を育成する。コン
ピュータ上のレベルの高いユースウエアを駆使して、アピール度の高いゲームコンテ
ンツを開発する。本コースでは単なるゲームアーティストを養成するのではなく、ア
ートやデザインのセンスを持つ学生の共同作業によりゲームクリエーションを行わ
せる。ここで作られたコンテンツはゲーム・システムコースの学生によって実装され、
さらにゲーム・プロデュースの学生により評価され、その意見を採り入れて改善を行
うという教学上のダイナミズムを期待している。
本コースは、いくらかの基礎知識の上に立って、様々な技能、技法を学修するいわ
ゆるメディア系のカリキュラムである。そこで、2年次に学習する基盤専門科目では
「コンピュータ・グラフィックス」、「グラフィックデザイン・演習」を推奨科目とし
て指定し、さらに興味に応じて「デザイン基礎」、「デッサンの基礎・実習」の様なデ
ザイン、アートの実技を行う科目や商品をデザインするための「インダストリアル・
デザイン」以外にも、「プログラミング演習」などの情報系演習も学修できるように
している。さらに3年次で推奨する「ゲームインタフェース実験」において、人と計
算機を結ぶインタフェースについて人の側と計算機の側の両面から学び、「ゲームプ
ログラミング演習」ではチームを組んで企画から、コンテンツ制作、プログラミング
を行うことで、学生がそれまでの学修で身に付けた知識、技能を再確認することがで
きる。
学科選択専門科目では、よりデザイン寄りの「サイン・デザイン」の他に、ソフト
ウエア制作技法である「シミュレーション技法」、「Web プログラミング」や、メディ
ア系コンテンツに関わる基礎知識である「3D グラフィックス」、「コンピュータ・ア
ニメーション」、「バーチャル・リアリティ」、「情報セキュリティ」、「コンピュータミ
ュージック・実習」などを通じて、多彩なメディア・コンテンツの制作のための基礎
知識や技能を身に付けることができ、さらに実際のゲームを取り上げて、そのデザイ
ン手法について学ぶ「ゲームデザイン」、映像制作の現場について学ぶ「放送システ
ム」「映像音響論」といったきわめて実践的な科目を学習することで、それらの応用
手法についても学ぶことができる。「ゲーム制作実習」ではゲーム制作の現場におい
て学生自身の能力を試されるという、きわめて有益な体験をすることができる。
コンピュータ・ミュージック、コンピュータ・アニメーションなどがユースウエア
としてコンピュータ上に統合された環境を駆使するゲームクリエーションにおいて
は、従来のアーティストとは異なる新たな感性とセンスを持つ人材が必要とされる。
また、「デッサンの基礎・実習」、「ゲームプログラミング演習」、「コンピュータ・アニ
メーション」
、「コンピュータミュージック・実習」などの実技的な技能演習が主体と
なり、その技能の上に「ゲームデザイン」、「ゲーム制作実習」で得たゲームデザイン
能力を身に付けることが要求される。
◆ゲーム・プロデュース(GP)コース
このコースにおいては、ゲームの社会各層への拡大・浸透に対応できる人材の育成
を目ざす。ゲームの企画、評価、販売を行うゲームビジネスを志向する人材や、新し
い分野へのゲームの展開を模索するベンチャー志向の人材を育成する。このコースの
学生はアミューズメントと生活文化という広い視点からゲームを見ることにより、ゲ
ームの広範な可能性を見出し、アミューズメントの基礎技術としてのゲームを様々な
- 11 -
方面に展開することを学ぶ。
本コースは、様々な知識を横断的に学ぶ、いわゆる従来の文系的部分と、いくらか
の基礎知識の上に立って、様々な技能、技法を学修するいわゆるメディア系の学修ス
タイルが混在しているカリキュラムである。したがって、必然的に学生自身の選択の
幅をかなり広く設定している。2年次に学修する基盤専門科目では「グラフィックデ
ザイン・演習」と「ゲームシナリオ」のみを推奨科目として指定し、さらに興味に応
じて「メディア・ビジネス論」、「ゲーム評価法・演習」、
「アミューズメントと福祉」、
「メディア・プロデュース」、「マーケティング論」、「コンセプト・メーキング」とい
った文系的科目を学修するだけでなく、「デッサンの基礎・実習」の様なデザイン、
アートの実技を行う科目や「プログラミング演習」などの情報系演習も学修できるよ
うにしている。さらに3年次の「ゲームプログラミング演習」を履修すれば、チーム
を組んで企画から、コンテンツ制作、プログラミングを行うことで、学生がそれまで
の学修で身に付けた知識、技能を再確認することができる。
学科選択専門科目では、コンテンツ制作ならびに企画等で必要となる技法である
「Web デザイン・演習」、「DTP」、「コマーシャル・デザイン」や、ゲーム・メディ
ア系コンテンツ設計の基礎知識である「エデュテイメント・デザイン」、「インストラ
クショナル・デザイン」、
「エクサテイメント・デザイン」のほか、「市場調査法」、「人
間コミュニケーション論」、「高齢者心理学」、
「障害者心理学」といった科目によって
人間の心理や、行動を調査し、より深く理解する手法について学ぶことができる。ま
た、「ゲーム・メディア制作特論」では、外部のゲームやメディア制作に携わってい
る著名人を招いて講演を行うことで、現場の現状や問題点について知ることができる。
特徴的なカリキュラムとして「ゲーム評価法・演習」がある。これはゲームコンテ
ンツやプレーヤーの行動の映像を数十人の学生に提示し、リアルタイムの集団反応を
採取して提示することで、ゲーム制作へのフィードバックをかけるものである。これ
を行うために独自に開発した装置と專用の演習室を用意してこれに対応する。また、
「エデュテイメント・デザイン」においては、トレーニングシステムから生涯学習シ
ステムまでの幅広い教育システムとゲームとの関連を視野に入れ、インストラクショ
ナルデザインの視点を踏まえて具体的なシステムデザインを教授する。
このコースでは、人間理解に基づいたゲームの応用により、21世紀型生活文化社
会を心豊かで快適なものとすることを目ざした教授を行う。このコースの教育は、基
礎専門科目におけるゲームに関するカリキュラムより得た幅広い視点を前提に、本学
科の様々な科目を通じて身につけたクリエーションの成果をビジネスの観点から把
握する能力を育成する。
(3)教育と履修指導について
前述のように、デジタルゲーム学科では GS「ゲーム・システム」、GC「ゲーム・
クリエーション」、GP「ゲーム・プロデュース」の3つのコースを設け、各々のコー
スの学修に必要な多彩でユニークな科目を準備している。
総合科目は、これら3つのコースに共通であり、1年次から4年次の間に履修する
ことができる(3コースの「履修モデル」参照)。また、基礎専門科目のうち3コー
スに共通の必修科目「ゲーム学」、「ゲームの心理学」、「プログラミング入門Ⅰ」、
「プ
ログラミング入門Ⅰ演習」、「知的所有権」は何れのコースでも基礎科目として1年次
前・後期に履修させる(3コースの「履修モデル」参照)
。
- 12 -
専門科目では、1年次と2年次、2年次と3年次、あるいは3年次と4年次で履修
できる科目等、履修年次に幅を持たせ、4年間に学生が多様な選択によって科目履修
できるように配慮している。
このように4年間の教育にある程度のゆとりを持って取り組み、高度なソフトウエ
ア制作から、メディア・コンテンツの作成、ゲーム・メディアのプロデュースに至る
までのすべての分野にわたって、基礎から応用までを学生が教員と共に追求できるよ
うにし、幅広い情報教育を実現している。
(4)コース別の履修指導(履修モデル)
① GS「ゲーム・システム」コースは基本的に従来の工学・情報系の履修スタイル
に基づいており、資料3に示すように、1年次には、基礎専門科目においてプロ
グラミング基礎、数学、理科、デジタル回路基礎といった工学系科目を学修する。
また、「ゲーム工学概論」
は GS コースの内容を概説する講義である。2年次には、
基礎専門科目として技術的なコミュニケーション能力を身につけるための科目
「情報産業英語」、「テクニカル・ライティング」や人間の行動を工学的、統計的
に捉えることについて「認知科学」、「人間工学」も学修し、さらに「情報ハード
ウエア実験」を含むハードウエア系科目を学修して基盤専門科目のより高度なハ
ードウエア系科目に備える。また、基盤専門科目として人間とハードウエアを繋
ぐための知識「ヒューマンインタフェース」、「ヒューマンセンシング」
、高度なソ
フトウエア制作に必要となる基礎知識である「ソフトウエア設計論」や「情報ネ
ットワーク」
、「データ構造とアルゴリズム」、「プログラミング言語」といった科
目と「プログラミング演習」を中心とした科目を学修する。また、「プログラミン
グ演習」並びに「グループプログラミング演習」において個々人または集団が高
度なプログラミング技法を実践的に利用する場を与える。
3年次からは、プレゼミにおいて各教員の下で卒業研究に備えるほかに、「ゲー
ムインタフェース実験」において、人とゲームの関わり方についての経験を、「ゲ
ームプログラミング演習」を通して、実際にゲームをグループで作成する経験を
積むことができるほか、学科選択専門科目において、高度なハードウエア系科目
「コンピュータハードウエア」、「ゲームセンサー論」、「ユニバーサルデザイン
論」を学修し、ソフトウエア技術者として身につけておくべき高度なソフトウエ
アに関する知識「プログラミングシステム論」
、「オペレーティングシステム」、前
期5科目10単位以上、さらに後期には「並列分散ソフトウエア」ほか4科目8
単位以上についても学ぶ。さらに、「ゲームプログラミング技法」や、「Web プロ
グラミング」といった GC コース科目の応用ソフトウエア作成技法について学ぶこ
とも有益である。
3年次後期より卒業研究が始まるが、4年次ではそれに加えて「情報セキュリ
ティ」といった難易度の高い問題についても学ぶことも望ましいが、「VR プログ
ラミング演習」、「ゲーム制作実習」で、最先端のプログラミング技法について学
ぶ。卒業研究では、以上の課程で得られた知識に基づいて各指導教員の下で新た
な工学的問題に取り組むことになる。
≪資料3:デジタルゲーム学科〔ゲームシステムコース〕履修モデル参照≫
② GC「ゲーム・クリエーション」コースは基本的に従来の工学・情報系の履修ス
タイルとは異なり、基本的な知識を学修した後は、技能、技法を個別に身に付け
- 13 -
ていく情報・メディア系の教学スタイルに基づいている。よって、必修科目の割
合も比較的少なく、科目履修の幅も GS コースよりもより広い。しかしながら、
豊富な工学・情報系科目を履修することにより深い知識・技能を得ることも可能
であり、個々人の興味と、熱意に応じてバラエティに富んだ知識を得ることが可
能である。
資料4のように、1年次には、基礎専門科目ではプログラミングとゲーム学に
重点を置いて、デザイン、コミュニケーション、人間、数学といった分野から基
本的な知識を学修する。とくに、基盤専門科目ではあるが、「グラフィックデザイ
ン・演習」を学修するよう指導する。また、GP コースの学科選択専門科目ではあ
るが「ゲーム・メディア制作特論」も履修することが望ましい。2年次には、基
礎専門科目として技術的なコミュニケーション能力を身につけるための科目「情
報産業英語」、「テクニカル・ライティング」、また、「認知科学」で人間の行動を
工学的に捉えることについても学修し、さらに「情報ハードウエア実験」によっ
て基本的なハードウエアに関する実践的な知識を得る。また、基盤専門科目とし
て高度なソフトウエア制作に必要となる基礎知識である「ソフトウエア設計論」
や「データ構造とアルゴリズム」、「プログラミング言語」といった科目を学修す
る。さらに、デジタル・コンテンツ制作に関して「コンピュータ・グラフィック
ス」、「デザイン基礎」、
「デッサンの基礎・実習」といった科目を学修することで、
3年次以降のより高度な技法学修に備える。
3年次からは、プレゼミにおいて各教員の下で卒業制作(卒業研究でもよい)
に備えるほかに、「ゲームインタフェース実験」において、人とゲームの関わり方
についての経験を、「ゲームプログラミング演習」を通じて、実際にゲームをグル
ープで作成する経験を積むことができる。学科選択専門科目においては、ソフト
ウエア技術者として身につけておくべき高度なソフトウエアに関する知識「プロ
グラミングシステム論」、「データベース」についても学ぶことも望ましい。コン
テンツ制作のための様々な科目、特に3D アニメーションを制作するための「3D
グラフィックス」、「コンピュータ・アニメーション」、「バーチャル・リアリティ」
といった科目や、ゲーム内で用いられるコンテンツのデザインに必要な「サイン
デザイン」、「コンピュータミュージック・実習」、「ゲームデザイン」などを学修
する。さらに、本コースでは「ゲームプログラミング技法」や、「Web プログラミ
ング」といったより応用的なソフトウエア作成技法および「情報セキュリティ」
等、合計9科目18単位以上を前後期で学修する。
さらに、3年次後期より卒業制作(卒業研究でもよい)が始まるが、4年次で
はそれに加えて「放送システム」、「映像音響論」といったより具体的なコンテン
ツ制作技法についても学ぶほか、「モーションプログラミング実験」で最先端のコ
ンテンツ制作技法について学ぶことができる。卒業制作では、それらすべての知
識・技能に基づいて各指導教員の下でオリジナリティ溢れるコンテンツ制作に取
り組むことになる。
≪資料4:デジタルゲーム学科〔ゲームクリエーションコース〕
履修モデル参照≫
③ GP「ゲーム・プロデュース」コースは工学・情報系の履修スタイルとは異なり、
基本的な知識を学修した後は、情報・メディア系の教育スタイルに基づくものの、
個別の知識・技法を身に付けさせるために、科目履修の選択の幅が上記2コース
- 14 -
よりも広く、文系コースである。しかし、このコースにおいても、豊富なメディ
ア制作系科目を履修することにより技能の習得も可能であり、個々人の興味に応
じてバラエティに富んだ知識を得ることが可能である。
1年次には、基礎専門科目ではゲーム学に重点を置いて、デザイン、コミュニ
ケーション、人間といった分野から基本的な知識を学修するが、基盤専門科目の
「グラフィックデザイン・演習」を学修し、さらに学科選択専門科目の「ゲーム・
メディア制作特論」をも履修することが望ましい。2年次には、基礎専門科目と
して技術的なコミュニケーション能力を身に付けるための科目「情報産業英語」、
「テクニカル・ライティング」、「コミュニケーション論」、「アンケート調査法基
礎」や、「問題解決の基礎」によって基本的知識について学修する。また、基盤専
門科目としてコンテンツ制作に関する基礎知識である「デザイン基礎」を学修し、
ゲームプロデュースを行うに必要な知識、技法を、「ゲームシナリオ」、「メディ
ア・ビジネス論」、「ゲーム評価法・演習」、「メディア・プロデュース」、「マーケ
ティング論」といった科目において学修する。
3年次からは、プレゼミにおいて各教員の下でより専門的な知識を得ると共に、
研究室という集団に所属することで、将来的にチーム内で指導的な役割を果たす
ことに関しての経験をも得ることができる。学科選択専門科目においては、プロ
デュースという仕事を行う上で必要な「市場調査法」、「人間コミュニケーション
論」、「高齢者心理学」、「障害者心理学」といった科目や、具体的なゲーム・メデ
ィア設計のための「コマーシャル・デザイン」、「エデュテイメント・デザイン」、
「インストラクショナル・デザイン」、「Web デザイン・演習」、「ゲーム・メディ
ア制作特論」について合計9科目18単位を前・後期にわたって学修する。さら
に、コンテンツ制作のための様々な科目である「コンピュータ・アニメーション」、
「バーチャル・リアリティ」といった科目や、ゲーム内で用いられるコンテンツ
のデザインに必要な「サインデザイン」、「コンピュータミュージック・実習」、「ゲ
ームデザイン」などを学修することが望ましい。
3年次後期より希望すれば卒業制作(卒業研究でもよい)が始まるが、卒業制
作を選択しない場合は、4年次で個別の科目履修に多くの時間を割くことができ、
「放送システム」、「映像音響論」、
「DTP」といったより具体的なコンテンツ制作技
法についても学ぶことができる。
≪資料5:デジタルゲーム学科〔ゲームプロデュースコース〕
履修モデル参照≫
以上3コース履修モデルを概説したが、学生は自己の目的にそって、上記3コ
ースの科目を適当に取捨選択して受講することもできる。
(5)編入学生の履修指導
デジタルゲーム学科では第3年次編入学生30人枠を設けているが、編入学を希望
する学生の大多数は短期大学卒業生(準学士)、4年制大学で2年間以上の学修を修
了した後、デジタルゲームについての学習意欲をもつ学生、あるいは既に大学を卒業
(学士)しているが、ゲームコンテンツ制作技術についての学習意欲をもって編入学
を希望する社会人等が予想される。また、高等専門学校卒業生(準学士)
、放送大学、
専門学校等での単位を修得した学生にも幅広く編入学の受入れを行う。編入学志願者
には本学科の内容からみて、文科系、理科系に関係なく柔軟に対応する。
- 15 -
デジタルゲーム学科では、「ゲームシステム」、「ゲームクリエーション」、「ゲーム
プロデュース」の3つのコースを設けており、第3年次編入学生に対しての履修指導
は、デジタルゲームが21世紀情報社会の生活文化に果たす役割に理解を持つよう、
できるだけ多彩な科目を幅広く教授し、将来、社会で積極的に活動できる有能な人材
の育成を行う。原則的には固定したコース設定を学生に要求するのではなく、カリキ
ュラム全般について幅広く学習することを薦める。学生の希望によっては3つのコー
スの内、いずれのコースを専攻するかを学生自身の判断によって選択させる。
上記のように、3つのコースの内いずれのコースを選ぶかは学生自らが行うが、第
3年次編入時には修学要綱(教授要目&学修必携)、デジタルゲーム学科案内等によ
り各コースの履修科目の指導をするとともに、オリエンテーションにおいてデジタル
ゲーム学科の専任教員および担当事務職員が資料6~8(各コースの履修モデル)の
ように、学生が選択したコースの科目をできるだけ余裕をもって学習できるように履
修指導を行う。
また、本学では従前より既設学部・学科において、平素から教職員と学生が親密な
交流・相談の機会を持ち、学生生活が充実したものとなるよう努めているが、本学科
においても、これを履修指導に活かしていく考えである。
編入学生は、文科系、理科系にわたって様々な学歴を持つと考えられるので、既修
得単位の認定については柔軟に対処して既修得62単位以上を認める方針であるが、
総合科目については下表の24単位以上を必要とする。また、専門科目ではすべての
学生に対し、第1年次必修科目の内「プログラミング入門Ⅰ」および「同演習」
、「知
的所有権」が既修得であることが望まれる。また、「ゲーム学」および「ゲームの心
理学」は編入後第3年次で履修させ、その他はコースの選択、本人の志向に基づいて
指導し、第4年次においてはデジタルゲーム学科の学生として、コースの学科選択科
目を時間にゆとりをもって履修できるように指導を行う計画である。また、第4年次
においてはできるかぎり卒業制作を履修して、デジタルゲームの制作とデザイン(設
計・企画)に関して系統的に学習するよう指導を行う。
第3年次編入時に認定する単位数
編入条件
群別・必選別
編入時に認定する単位数
科 目
A群 選択科目 最大8単位まで認定する。
既に修得の単位数が
総合科目 B群 選択科目 最大12単位まで認定する。
62単位として認定する。
C群 選択科目 最大4単位まで認定する。
上表のように既修得単位数が最低62単位以上を修得している学生を第3年次に
編入学させることを条件とし、2年間の学生生活の中で学生が希望する科目を自由に
選択することによって、卒業後修得した科目が社会の即戦力になるように教育を行う
計画である。
[3]デジタルゲーム学科の設置場所と通学圏
大阪電気通信大学は、大阪府の東北部、淀川沿いの寝屋川市に大学本部校「寝屋川
キャンパス」を設置し、寝屋川市に隣接し、スクールバスで約10~15分に位置す
る関西文化学術研究都市のエントランスゾーンの一角である四條畷市清滝に「四條畷
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キャンパス」を設置している。また、寝屋川、四條畷の両市に隣接する交野市の風光
明媚な位置に「南星台グラウンド」を有している。
これら寝屋川市、四條畷市、交野市(3市とも「工業(場)等制限区域」外)は、
大阪市の衛星都市として京阪神経済産業地域の中核になっており、大手産業やその関
連企業、特に寝屋川市、四條畷市の近隣都市は、大手電気産業や情報産業あるいはそ
れらに関連する企業が多数あり、そこで就労する勤労者や、商業・工業地域で就労す
る社会人が多く、大阪府内においても人口密度の非常に高い地域である。
平成12年度に開設した総合情報学部メディア情報文化学科は、第1年次より第4
年次までを四條畷キャンパスで一貫した授業を行っており、今回計画のデジタルゲー
ム学科は、第1年次から第4年次まで四條畷キャンパスで授業を行う。しかしながら、
高学年における教育・研究では寝屋川キャンパスにある諸施設・設備を利用する。
四條畷キャンパスおよび南星台グラウンドは、大阪府と奈良県を二分する生駒連山
(金剛生駒紀泉国定公園)北端の風光明媚な丘陵地にあり、緑の木々の多い緑地帯を
もち、情報科学技術習得のための教育・研究を行うにふさわしい環境にある。また、
四條畷キャンパスは人と人のふれあい、豊かな自然環境を大切に考えて、長期計画に
基づいてキャンパス整備を行っており、地域住民の憩いの場としても好評を得ている。
寝屋川、四條畷の両キャンパスとも、大阪市内の中心部から約30~40分程度、
京阪神の主要都市から約1時間~1時間半程度で通学できる最良の地にあり、大阪、
京都、奈良、滋賀、神戸、姫路、和歌山等、の多方面からの通学に至便であり、京阪
神経済産業圏に位置する大学キャンパスとしては通学に最適の場所である。このこと
から、本学を希望する高等学校生の約80%以上は近畿地方の2府4県から志願して
くる状況にある。
≪資料9:大阪電気通信大学設置位置図参照≫
[4]寝屋川・四條畷両キャンパスへの至便な通学経路
大阪電気通信大学は前述のように大阪府の東北部、淀川沿いの寝屋川市と、それに
隣接する四條畷市の両市にキャンパスをもち、両キャンパスでそれぞれ授業を行い、
クラブ活動等は、両キャンパスの他、交野市に位置する南星台グラウンドも併用して
行っている。
両キャンパスは、隣接する寝屋川市と四條畷市のそれぞれの境界付近に位置し、両
キャンパス間は大型スクール・バス運行による直結と、ネットワーク通信により常に
連絡を密にした体制で授業運営を行えるようすべての面で整備している。
四條畷キャンパスは、玄関のホール前に路線バス(民営バス2社)のバス発着場と、
寝屋川・四條畷両キャンパス間のスクール・バスの広場をもち、教職員や学生はもと
より地域住民も安心して利用できるように配慮され、かつ安全にバスの乗降ができる
よう設置場所、周辺の景観等が種々工夫されており、バスを利用する学生や地域住民
から好評を得ている。
スクール・バスとしては、寝屋川・四條畷両キャンパス間を大型バスが約15分程
度で往復し、学生や教職員が両キャンパス間をスムーズに移動できるように配慮して
いる。
寝屋川キャンパスは、京阪電車本線の「寝屋川市」駅(急行停車)から徒歩約10
分以内の場所にあり、大阪市内や京都市内の中心部から乗換えをしないで時間にゆと
りをもって通学できる位置にある。
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四條畷キャンパスは、JR 西日本の学研都市線「忍が丘」駅から徒歩約15~20
分程度、同「四条畷」駅から路線バスで約10分程度、京阪電車「大和田」駅から路
線バスで約15~20分程度の位置にある。京阪電車は、大阪市内の中心部(淀屋橋)
と京都市内の中心部(三条・出町柳)、そして滋賀県の大津市内まで運行しており、
大阪市内を網羅している地下鉄や京都市内を走る地下鉄とも連結されている。また、
JR 学研都市線は大阪市内を一巡する大阪環状線(京橋)経由で東西線、神戸線、京都
線、和歌山への阪和線、奈良への関西線等、大阪を取り巻く近畿圏内のすべての路線
と接続されている。
近年になり、大阪空港(兵庫県伊丹市)と京阪電車「門真市」駅を結ぶ大阪モノレ
ールの開設、大阪市内を地下鉄として運行する JR 東西線の開通、また、この東西線
と JR 学研都市線および神戸線との接続等、大阪周辺電鉄会社の路線改革による交通
網の整備が進んだことから、本学を熱望する学生の通学には種々の方法がある。さら
に最近は、各沿線を運行する電車の近代化と高速化が行われ、従来からの始発駅や終
着駅が延長され、遠方からも乗り換えなく容易に通学できるようになった。このこと
から、従来であれば他府県からの通学に長時間を要した地理的に不便な地域からでも、
1時限目の授業に充分間に合うように短時間で容易に通学することが可能になり、本
学のおかれている地理的重要度が益々高まっている。
以上のように、寝屋川および四條畷両キャンパスへの通学方法には、種々の方法が
あり、本学学生は夜遅くまで勉学に熱中することが可能なだけでなく、授業終了後の
各種クラブ活動にも安心して熱中することができるとともに、ゆとりのある学生生活
を送れるものと確信している。
≪資料10:大阪電気通信大学への通学経路参照≫
[5]学生確保の見通し
最近のわが国の人口統計においては、老人層の増加と若年層の減少が明確になって
いる。このように、わが国の少子化現象は教育関係機関だけでなく、様々な方面に大
きな影響を与えているが、とくに大学や短期大学への進学適齢期である18才人口の
減少は、日本経済社会にとってマイナス面が多く、重大な社会的問題として大きくク
ローズアップされている。2000年までの18才人口の総数と進学率の実測をもと
に、2009年までの大学・短期大学志願者数の予測値は次のようになっている。
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
1,465,543 1,411,518 1,367,192 1,326,509 1,300,814 1,238,451 1,213,506
18才人口
新規高校卒業生数 1,301,842 1,253,851 1,214,477 1,178,338 1,155,513 1,100,116 1,077,957
進
予
学
測
者
現役生
742,046
719,707
701,964
685,789
677,127
649,065
640,303
浪人生
67,183
63,241
48,371
27,351
2,071
0
0
計
809,229
782,948
750,335
713,140
679,198
649,065
640,303
現役進学率(%)
57.0
57.4
57.8
58.2
58.6
59.0
59.4
(リクルート社カレッジマネジメント94号による)
上表のように、2003年(平成15年)以降18才人口が年々減少し、それにと
もなって大学・短期大学への進学者数が極端に減少する傾向にある。全国の大学にと
- 18 -
って、このような厳しい状況ではあるが、大阪電気通信大学は京阪神経済産業地域の
中心にあり、各種産業も多いことから、そこで生計を営む勤労者も多く、人口密度が
非常に高い状況にある。このため近畿地方(2府4県)には、全国的に見ても数多く
の高等学校が設置されており、そこでは大学あるいは短期大学への進学を目ざして多
くの高校生が勉学に励んでおり、大学進学率も全国平均より高い状況が続いている。
〔資料11:近畿地方の高等学校数一覧参照〕
本学は昭和36年に工学部(現工学部第1部)を開設以来、わが国の産業界を支え
るエレクトロニクスとコンピュータ、およびそれら関連分野で活躍する技術者や指導
的役割を担う人材育成のための教育・研究を実践的に行い、工学分野を志す学生層に
は全国的に幅広く信頼と支援を得てきた。平成12年には、本学で初めて文系として
の総合情報学部メディア情報文化学科を開設したが、21世紀社会のマルチメディア
情報環境に対応する教育・研究を行う学科として高校生に人気が高く、情報コンテン
ツ・ソフト制作技術に意欲のある多くの志願者が毎年続いている。また、翌平成13
年開設の医療福祉工学科においても同様に、医療や福祉における工学分野で活躍する
ことを希望している多くの志願者がある。これらは、本学が永年にわたって行ってい
る情報および先端科学技術教育に対する信頼が証明されたものと確信している。資料
5に示すとおり、本学は常に高い倍率の志願者を得ている〔資料12:過去5年間の志願
状況および入学状況参照〕が、最近のわが国は、バブル経済崩壊後の長期的な経済不況に
よる影響や18才人口減少による進学状況の変化により、本学を目ざしてくる志願者
の80%以上が近畿地方が中心〔資料13:地方別志願者率状況参照〕であり、残りが他
府県からの志願者である。現在のように長期にわたる経済不況が続く限りこのような
状況が益々顕著になるものと予想している。しかしながら、資料5の過去5年間の志
願者状況及び入学状況に示すとおり、18才人口が減少するなかにおいて、常に6.
5倍以上の倍率(工学部第1部は毎年5倍以上、総合情報学部は8倍以上)を誇って
おり、大学進学適齢期の人口が今後ますます減少することが予想されているが、国際
社会に役立つ最新技術を修得した人材を育成するために、より良い教育を行うことに
より本学を希望する志願者を確保できると確信している次第である。
今回設置予定のデジタルゲーム学科は、21世紀社会の生活文化の充実と向上のう
えで、コンピュータもしくはコンピュータを内蔵した機器とその上のソフトウエアか
ら構成されるデジタルゲームの制作とデザイン(設計・企画)に関して系統的な教育
と研究を行い、将来の新しいゲームの開発を行う人材を育成することによって、21
世紀生活文化社会の展開と創出に寄与することを目的として開設する学科であり、こ
のようなユニークな特徴をもち、かつ、わが国で初めて設立される新学科であること
から、多くの高校生や社会人に大きな魅力と興味を与えるものである。また、情報生
活文化社会におけるゲーム産業の世界的な発展と隆盛のなかで、最新のデジタル情報
技術を利用して、コンテンツの制作やゲーム機器の設計等に強い興味を抱く高校生は
多く、大きな希望をもって入学を志望する者は多数であると予想している。
≪資料11:近畿地方の高等学校数一覧≫
≪資料12:過去5年間の志願状況および入学状況≫
≪資料13:地方別志願者率状況≫
- 19 -
[6]編入学生確保の見通し
大阪電気通信大学は、昭和36年に工学部(現工学部第1部)を創設以来、工学部
第1部7学科の内6学科、総合情報学部情報工学科の工学系7学科において編入学定
員を設けず、各学科の定員に欠員が生じた場合のみ当該学科への編入学生の受入れを
認めてきた。しかしながら、昨今は4年制大学への入学を熱望する学生が増加してき
ており、短期大学へ進学した学生も、卒業後4年制大学への編入学を希望する学生が
毎年増加する傾向にある。21世紀の高度技術社会や情報化社会を考えると、工学技
術系や情報技術系に関する学部・学科を有する大学は、今後このような傾向に応える
必要があると考える。
本学では平成12年に開設の総合情報学部メディア情報文化学科、および翌平成1
3年開設の工学部第1部医療福祉工学科において、大学創設以来初めて第3年次編入
学定員(メディア情報文化学科 30 名、医療福祉工学科 10 名)を設けており、平成1
4年度入学試験においてメディア情報文化学科の初めての編入学試験(47 名が受験)
を行うことができた。
学校法人大阪電気通信大学は、同一キャンパス(寝屋川キャンパス)内に大阪電気
通信大学短期大学部電子情報学科を併設し、教育・研究に利用する施設・設備は大学
と共用して、常に新鮮な感覚で教育を行っているため、本学短期大学部の2年次在籍
学生の大多数が4年制大学への編入学を熱望している。しかし、上述のように本学大
学では工学系7学科において編入学定員を設けていないうえ、工学部第1部6学科お
よび総合情報学部情報工学科学生の成績が優秀なこと等により、定員に欠員が生じる
のは極く僅かであるため、本学短期大学部からの編入学希望学生の受入れが困難な状
況にある。このため、多くの編入学希望学生は、本学以外の他大学(国公私立)に編
入学をするか、あるいは編入学の夢を捨てて就職するといった状況にある。
平成10年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度
2年次在籍学生数
(人)
282
263
272
268
192
編入学者 (人)
95
108
116
123
98
編入学者/2年次在籍学生数 (%)
33.7
41.0
42.6
45.9
51.0
大阪電気通信大学短期大学部学生の編入学状況
資料14に示すように、近畿地方には大阪を中心として約100校を超える短期大
学があり、入学定員も3万人を超え、特に大阪府、兵庫県、京都府では女子短期大学
が相当数設置されており、将来的には、これら短期大学卒業後4年制大学への編入学
〔資料14:近畿地方の短期大学数一
を希望する学生が増加してくるものと予想している。
覧参照〕また、バブル経済崩壊後の経済不況による影響を受け、短期大学あるいは女
子大学の就職状況が好転しないため、卒業後工学技術や情報技術を修得することを考
え、大学の第3年次へ編入学する若者が増えてくるものと考える。
最近は、大都市(大阪市内、神戸市内、京都市内等)を中心に多くの情報技術関連
の専修学校が設立されており、これらの殆どは2年の修業年限で、大学の第3年次へ
編入可能な授業を行っており、専修学校を修了した後、4年制大学へ編入学する生徒
もかなり多くなるものと予想される。
以上のような短期大学および専修学校を修了した学生のなかにデジタルゲームの
- 20 -
企画や制作に旺盛な興味を持つ者が非常に多く、編入学を希望すると考えられる。
また、社会人においては、長期的不況により企業倒産やリストラの影響により会社
を退社し、デジタルゲームについての技術修得を志し編入学を希望する者も相当数に
上るものと予想されるが、現在社会人であっても積極的にゲームの企画・制作に興味
を持って学習を希望する者もあると考えられる。
近年の急速な科学技術の進歩と発展によって、コンピュータハードウエアが飛躍的
に発展し、それにともなってソフトウエアにおいてもある程度の人的思考能力を持つ
ようになってきた。このような情報技術の発展は、文化社会生活において安らぎと豊
かさを与えると同時に、現在産業界で活躍中の社会人の誰でもが挑戦できる新しい学
科である。このことから、本学では社会的に安定して勉学意欲を持ち、最新の情報科
学技術を修得するために努力する企業人や勤労者にも門戸を開き、新しい情報技術の
知識を与えることを考えている。
このようなことから、平成15年開設予定のゲーム学科では、第3年次編入学定員
30名の枠を設け、21世紀の情報生活文化社会で活躍できる優秀な技術者を一人で
も多く育成することが本学に課せられた責務と考えている。
≪資料14:近畿地方の短期大学数一覧参照≫
[7]卒業後の進路予想
本学は、昭和36年に大学工学部を創設以来、一貫してエレクトロニクスとその関
連分野、および情報技術の諸分野の教育・研究を行ない、わが国のみならず国際社会
の産業界が最も必要とする最新の科学技術を修得した技術者の育成を行なってきた。
本学卒業生の大多数は技術者や指導者として国内だけではなく海外の企業の職に
つき、産業界の第一線で活躍している。21世紀の情報技術社会においては、最新技
術を修得し、その知識力、応用力豊かな技術者を必要としており、本学卒業生はその
要望に見事に応え、産業経済社会で常に高い評価を得ていることによって、経済社会
のあらゆる業種から本学学生を要望する企業が多数に上っている。このことから、就
職を希望する学生の殆どが希望業種につくことができ、資料8に示すように工学部第
1部の就職率は100%近い高率であり、就職業種も資料9のように多岐にわたって
いる。〔資料15:過去5年間の就職状況,資料16:業種別就職状況参照〕
平成7年度に開設した総合情報学部(情報工学科)は、平成10年度末(平成11
年3月末)に第1期卒業生を産業界に送り出すことができたが、工学部第1部と同様、
高い就職率で各種情報系企業に就職を果たし、新設の学部として求人状況、就職状況
ともに好調な結果になり、現代社会においては最新の情報科学技術を修得した高度技
術者を必要としていることを実感している次第である。
バブル経済崩壊後の長期的な経済不況によって、最近は企業・金融機関・証券業界
等の大手産業の相次ぐ経営破綻や人員整理、これらの影響による中小企業の倒産等は、
さらに経済社会を混乱に陥れ、就職を希望する全国の高等学校生や大学生に大きな不
安と打撃を与える状況になっている。然しながら、本学への求人状況は資料10のよ
うに全国の主要都市に位置する企業から多くの求人〔資料17:地方別求人状況(社数),
地方別求人状況(人数)参照〕があり、その業種においても多岐にわたり〔資料18:業種
、学生は就職を担当する指導教職員と相
別求人状況(社数),業種別求人状況(人数)参照〕
談しながら、希望する業種に就職することができる。以上のように本学学生を求める
産業界の強い要望によって学生にとっては上記のような卒業後の就職状況は大きな
- 21 -
励みとなっている。このように本学への求人状況が好調な理由は、①大学(工学部)
を開設以来、永年にわたるエレクトロニクスとその関連分野、情報技術の諸分野の教
育実績、豊富な経験が国内だけでなく海外の産業界からも信頼されているものと確信
している。②最近の世相に見られるように少子化とともに、定職をもたずフリーター
的な生活を考えている若者が増加しており、就職状況の悪化が影響して益々このよう
な状況が進むことが予想される。しかしながら、本学では低学年次より就職への考え
方、就職への取組み方、産業界の技術者の必要性等、就職指導を徹底して行ない、安
心して勉学に熱中できるよう教育を行なっている。③第1年次入学時より、第一級陸
上無線技術士、第三級電気主任技術者、機械設計技術者三種、システムアドミニスト
レーター、情報処理技術者等、各種の国家資格を得るための講習会や研修会を計画的
に行ない、生涯資格を取得して大手産業へ就職を果たす学生が多くいる、ことによる
ものと考えている。
本学では、平成2年度に大学院工学研究科博士前期課程を、平成4年度に同後期課
程を開設したことにより、例年卒業生の10%前後が大学院へ進学し、より高度な研
究者、指導的役割を担った技術者を目ざして教育・研究を続けている。また、本学在
学中に修得した教養と最新の専門知識を活かし、厳しい産業経済社会の中で実践して
自力で企業を起こし、国際的にも技術力、知名度の高い一流企業として大成した卒業
生も見られ、
本学ではこのように活躍する OB や一流企業で成功している OB を随時、
多数招いて学生に就職の重要性について講義を行なっている。平成15年度開設予定
のデジタルゲーム学科卒業生も上記のように、21世紀の情報文化社会において大多
数は民営企業や官公庁に就職し、産業経済社会の第一線で活躍するものと考えている。
本学の総合情報学部にある既設の情報工学科は、情報科学技術の基礎とコンピュー
タ・ハードウエアを中心とした学科であり、メディア情報文化学科は21世紀のマル
チメディア・インターネット情報環境における多様なデジタル・コンテンツを企画・
制作する能力を持つ人材を育成するコンピュータ・ソフトウエアを重視した学科であ
る。今回開設予定のデジタルゲーム学科は、21世紀社会の生活文化の充実と向上の
うえで不可欠な要素になってくると思われるデジタルゲームの制作とデザイン(設
計・企画)に関しての系統的な教育と研究を行なう全国ではじめての学科であり、将
来の新しいゲームの発展を担う人材を育成することを目的として新設するものであ
る。
現在、わが国の産業界においてコンピュータもしくはコンピュータを組み込んだ機
器と、その上で動作するソフトウエアを利用するデジタルゲーム・アミューズメント
産業は最も活発な産業であり、世界を圧巻する勢いにある。現在までデジタルゲーム
は、単なるアミューズメントとして取り扱われてきたが、将来は様々な生活の分野に
おいて重要な役割を果たし、21世紀の生活文化の形成に大きく寄与することが期待
され、かつ世界市場への展開も始まりつつある。
デジタルゲームは、幼年期から少年期にわたる時期では、教育効果を高める上に有
効なエデュテイメントとして、保育園、幼稚園、小学校や塾に至るまで活用されるよ
うになるものと予想され、青年あるいは成年の時期においては、スポーツやエアロビ
クス等の体力向上や健康保持に有効なツール、即ちエクサテイメントとして、スポー
ツ事務や各種スポーツ教室(野球、ゴルフ、テニス等)に採り入れられ、効果のある
スポーツデジタルゲームが利用されることが予想される。
また、熟年・老年層に対しては、リハビリテーションや生活活性化のツールとして、
- 22 -
21世紀生活文化社会や福祉社会において大きな比重を持つと思考される。このよう
にデジタルゲームは広汎な年齢層の様々な生活と関係し、世界産業の中においても重
要産業の一つに位置付けられることが予想される。それに従事するにはそれぞれの生
活実態や人間心理、社会環境や行動等についての幅広い知識を持つことが要求される
とともに、エレクトロニクスや情報に関しての高度な知識と技術力が必要になる。今
回開設予定のデジタルゲーム学科は、上記のような幅広い知識を得るための教育を行
なうため、卒業後はあらゆるゲーム産業だけでなく、これらゲームを採り入れて活用
する学校・塾等の教育機関の他、スポーツセンター、医療・福祉現場等のようなエン
ドユーザにも就職ができ、本学科学生に対するニーズは高いものと確信している。
本学においては、雇用環境悪化が叫ばれる以前から就職に対する心構え、社会人と
なるために必要な知識、現在の社会状況と学生のおかれている環境等について説明会
や勉強会を持ち、就職に対する多大な成果を上げている。産業経済社会からの本学学
生への要望を聴くだけでなく、従前より大学全体として教職員が就職活動の努力を積
み重ねており、今後もこの努力を惜しまず継続する考えである。
≪資料15:過去5年間の就職状況参照≫
≪資料16:業種別就職状況参照≫
≪資料17:地方別求人状況(社数),地方別求人状況(人数)参照≫
≪資料18:業種別求人状況(社数),業種別求人状況(人数)参照≫
[8]教育研究のための施設と設備
本学は、工学部第1部と同第2部、および総合情報学部、さらに大学院工学研究科
博士前期課程および後期課程を設置しており、昭和36年に大学(工学部)を創設以
来、工学分野の先進的な教育と研究を行なう大学として産業界から高い評価を受けて
いる。
本学では、寝屋川キャンパスと四條畷キャンパスの2キャンパスを用いて全学科の
教育と研究を行なっているが、それぞれのキャンパスで行なう教育・研究に必要な施
設と最新の設備が整備されている。両キャンパスの施設・設備は、それぞれのキャン
パスで学ぶ学生が利用できるよう種々の体制が整えられているとともに、両キャンパ
スから相互に利用できるよう、キャンパス間に大型スクールバスを頻繁に連絡させ、
教職員および学生にとって有効利用を図っている。
教育・研究のための設備については、学生が在学中に最新の高度科学技術を習得で
きるよう、以下に述べる研究所、研究センター等を数多く設置している。
① 情報科学センター
本センターは、情報科学の教育・研究の中核として昭和55年に発足し、昭和55
年以来、文部科学省助成金の交付を得て設備の更新を重ね、資料12にあるような最
新技術のキャンパスネットワークシステムを設け、活発に研究活動の支援を推進して
いる。さらに平成7年に学内ネットワークを完備して、ネットワークによる分散処理
型計算機システムを導入している。本システムは寝屋川キャンパスと四條畷キャンパ
スのすべての研究室、主な講義室、教育研究施設を情報ネットワークで結び、さらに
国内外の他のネットワークとも接続して、世界規模での情報交換ができるようになっ
ている。平成13年にはネットワークの増強を行ない、現在、光ファイバーによる基
幹最大 8Gbps(全二重通信時)の帯域を持つ通信環境を実現している。これによって、
- 23 -
研究目的に応じたセンター内計算機の研究室からの利用、研究室間のデータ交換、イ
ンターネットを通じての国内外の研究者との学術交換および教育におけるメディア
プレゼンテーションの利用など、きめ細かいサービスが提供されている。
センター内機器としては、32台の計算機を並列化することで構成した 64CPU ク
ラスタシステムによる高速演算サーバを始めとして、最大 1.2TB のファイルサーバ、
静止画像・動画像やプレゼンテーション資料の作成・編集が可能なマルチメディアワ
ークステーション等を設置するとともに、高品質カラー印刷機等各種入出力機器も設
置し、それぞれの特徴を活かした計算サービスを行なっている。
情報科学センターは寝屋川キャンパスの一角にあり、総合情報学部の施設として常
に整備して情報科学教育の重要な施設の一つになっている。平成15年度開設予定の
デジタルゲーム学科も、この施設・設備を四條畷キャンパスからネットワークを介し
て教育研究用として施設利用ができるよう計画している。また、四條畷キャンパスと
寝屋川キャンパスのスクールバスを利用することによって、デジタルゲーム学科の学
生も寝屋川キャンパスの本センターに設置されている多くのコンピュータ装置や特
殊な設置を直接利用することも可能なように整備されている。
上記のように情報科学センターは、21世紀の高度情報技術を習得するに必要な最
新設備を整備しているが、今後も情報科学技術の進歩に対応して3年毎に文部科学省
の助成金を受けて近代技術を結集した新システムに順次移行することを計画してい
る。
≪資料19:大阪電気通信大学ネットワーク構成概要図参照≫
② 情報処理教育センター
大阪電気通信大学はエレクトロニクスと情報を中核とした大学であり、その応用と
してのマイコン・パソコンに重大な関心をもって教育を行なってきた。昭和53年と
いう早い時期に情報処理教育センターを設立し、わが国でも最初の試みとしてパソコ
ンを用いた「対話型情報処理教育」を開始し、学生の情報教育に多大な成果を上げて
きた。20世紀末に至って、科学技術の著しい情報化に対応した設備の更新、および
充実を行ない、情報教育の実践と研究に関してわが国でも先進的な位置を占めている。
本センターは、資料13のネットワーク図に示すように、寝屋川キャンパスに第2,
第3,第4の3つの演習室、四條畷キャンパスに第1,第5の2つの演習室を合わせ
〔資料20:ネットワー
て5演習室を設け、合計で400台のパソコンを設置している。
ク図参照〕
教育方針についても、大学入学時より直ちにきめの細かい実習教育を実施し、情報
処理に関する知識と技能の育成を図っている。教員は学生に対して、教員のコンピュ
ータ画面・学生のコンピュータ画面・書画カメラ・ビデオ等の映像が提示でき、また
同時に学生が演習している画面を教卓からスキャンできる。この教育方式は「電通大
方式」として広く知られている。特に、第1演習室では9台のモニタを駆使して学生
のコンピュータ画面をスキャンできるモニタマトリクスを導入している。
本センターは、多数の教員で構成される開発室を設け、情報処理教育の CAI、CME、
数式処理を用いた数学教育、LAN を利用した教科教育の CME 等の開発やテキスト、
教材の開発を行なっている。また、AI 技法を用いたコンピュータ言語のための知的
CAI システムの研究は学会でも広く知られている。日進月歩のこの分野において、こ
の種の教育努力は欠かすことのできないものであり、より優秀な、また先進的な技術
- 24 -
者を育成する起動力となっている。
さらに、学生のために数式処理やインターネット等の講習会を開催し、カリキュラ
ム以外のサービスも提供している。一方、高等学校教員、社会人、小・中学校に対し
ても定期的に講習会を開催し、社会人に対しても開かれたセンターとして運営を行な
っている。
上記のように、情報処理教育センターには最新の優秀な設備を数多く整え実学教育
の中心的存在であり、学生が自由に技術習得を目ざす最適の施設である。このことか
ら本センターでは、授業の行なわれていない時間帯や放課後には施設・設備を解放し
て、学生が自由に演習利用できるようになっている。
≪資料20:ネットワーク図参照≫
③ メディアラボラトリ
平成12年度のメディア情報文化学科開設と同時に前述の情報処理教育センター
の永年の経験と実績を活かして、総合情報学部では「美,感,遊,創」を求める環境
と教育の設計を行い、時代を先取りしたデジタルクリエータ、デジタルデザイナーが
育つ環境としてメディアラボラトリが実現した。
メディアラボラトリは資料14のとおりクリエーションルーム、コミュニケーショ
ンルーム、オーサリングルーム、デザインルームの4つの演習室からなる創造空間を
設計し、Windows NT、Turbo Linux、BeOS、の3つの OS をトリプルブートできるメ
〔資料21:四條畷学舎6号館演習室ネットワーク図参
ディアリッチな創造環境を実現した。
照〕特に BeOS の本格的な導入は日本だけでなく、世界でも最初の試みであると言わ
れている。
メディアラボでは、通常のビジュアルデザインツールを駆使した演習のみならず、
BeOS 上の Mono を用いたアニメーション作成、3D-LOGO を用いた3次元デザイン
ツール、作成したコンテンツのサイバーコンテスト、オブジェクティブマルチメディ
アデータベースを利用した作品、資料の蓄積などユニークな実践が行なわれている。
ネットワークコンピュータ、マルチメディアデータベースの機能を利用することで、
他大学では例を見ないデジタルクリエーションのためのサイバーな教育環境が実現
された。その一例としてデジタルメディアの多人数によるリアルタイム評価を行う環
境「コンテンツエバリュエータ」や「電子コンテストシステム」、「双方向ビジュアル
コミュニケーションシステム」等、多くのメディア教育支援システムを開発し、最先
端のサイバーメディアスクールを実現した。4つの演習室の概要は次の通りである。
(1)オーサリングルーム(Authoring Room)
PhotoShop、PageMaker、Premiere 等のプロ仕様のアプリケーションソフトウエアを
使用してビジュアル系の制作を行うことのできる演習室。また、MIDI 音源、MIDI キ
ーボード、タブレット、DV カメラなど複数のデジタルメディア機器を接続して、メ
ディアコンテンツを制作することができる。
(2)クリエーションルーム(Creation Room)
3つの OS(BeOS、Turbo Linux、Windows NT)上で動作する莫大なソフトウエア群
の中から自分の目的に合ったソフトウエアを選択して利用することができる。これに
より、制作するデジタルコンテンツに応じた最適のソフトウエアを選択できる自由が
生まれ、コンテンツ制作に集中することができる。また、ドルビーデジタル・DTS デ
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ジタルに対応したサラウンド音響システムを導入し、映像・音像を学習できる演習室
である。
(3)コミュニケーションルーム(Communication Room)
コンピュータと LL(Language Laboratory)を融合した新しいマルチメディア教育環
境である。メディアラボで開発した「コンテンツエバリュエータ」を導入し、メディ
アコンテンツの多人数によるリアルタイム評価を行う環境が構築されている。
(4)デザインルーム(Design Room)
オーサリングルームと同様に、MIDI キーボード、MIDI 音源、タブレットなどのデ
ジタルメディア機器を利用してデジタルコンテンツを制作できる演習室である。特に、
ビデオ編集やデスクトップミュージックなどのコンテンツ制作を重視した高性能の
コンピュータ環境が構築されている。
≪資料21:四條畷学舎6号館演習室ネットワーク図参照≫
④ 視覚情報基礎研究施設
人間が外界から得る情報の約8割は視覚情報で、しかもフルカラーイメージの情報
である。本学は視覚情報や画像に関する研究の蓄積が厚く、これまでに共同研究が進
められてきた。視覚情報研究の発展すべき方向を考える上で視覚情報のあり方が重要
になる。このためには視覚情報の獲得・処理・認識・生成を一連の流れとしてとらえ、
視覚情報全体を体系的に位置付ける必要がある。幸いにして本学はこれら個々の段階
に関して集中的に研究を行っている研究者を多く抱えている。
視覚情報基礎研究施設では、これらの研究者が共同研究という形態をとることによ
り、視覚情報の統一的な研究を進めるとともに、関連する研究分野と産業界への応用
を追求する。本研究施設は現在、研究者6名で2つの部門「視覚情報処理部門」「視
覚情報計測部門」を構成している。視覚情報処理部門では画像生成、モデリング、バ
ーチャルリアリティ、画像処理・理解の研究を担当し、視覚情報計測部門では視覚系、
マシーンビジョン、視覚センサの研究を担当する。研究成果を出しつつ、部門構成と
担当研究者を拡充したいと考えている。
⑤ メカトロニクス基礎研究施設
本学が社会的に貢献する大きな教育研究分野の一つにメカトロニクスがある。21
世紀社会のニーズである機器の小型化、精密化、高機能化、多様化といった技術の基
盤となるメカトロニクスは、機械工学、電気・電子工学、システム工学、計測工学、
ロボット工学、さらに情報技術を融合した分野である。
社会の多様化、高齢化が進む現状から、人の機能や行動を支援する機器の必要性も
高まってきており、「人にやさしい」機械を開発するためにも、メカトロニクス分野
は非常に重要になっている。さらに、近年とくに注目されている地球環境問題といっ
た観点からも、メカトロニクスの基幹部門である機械工学基礎分野の重要性も改めて
見直されている。
このような背景から、本学におけるメカトロニクス分野の教育研究をさらに一層高
める必要があり、そのために「メカトロニクス基礎研究施設」を2001年に開設し
たが、さらに実績を増して将来的にはメカトロニクス基礎研究所に展開することを計
画している。
メカトロニクス基礎研究施設では、メカトロニクスの各部門で行われている各種研
- 26 -
究を、次の4部門によって組織化している。
① 機械工学基礎部門
機械力学、流体力学、熱工学、材料力学、設計工学、材料加工学
② エネルギ環境部門
エネルギシステム工学、環境工学、熱工学、熱流動工学
③ 計測制御・ロボティクス部門
ロボット工学、システム工学、認知科学、電力制御変換工学
④ バイオエンジニアリング部門
生体工学、福祉工学
①はメカトロニクスの基幹部門、②は地球環境に関わる部門、③はメカトロニクス
応用部門、④は人の機能・行動を支援する福祉機器に関わる部門である。このように、
メカトロニクス基礎研究施設は、学部学生、大学院生の教育研究を支援するための重
要な任務を果たしており、メカトロニクス分野における最先端の実践的教育研究を推
し進めるために欠かすことのできない施設である。また、特に上記③、④部門の研究
はデジタルゲーム学科の教育研究にも大きく役立つものである。
⑥ エレクトロニクス基礎研究所
本研究所は、昭和62年12月に研究施設として発足し、以後計画的に内容を充実
して研究所としたが、設置する諸設備は、文部科学省科学助成金、私学振興財団学術
研究助成、文部科学省科学研究補助金等多くの研究補助金により整備され、エレクト
ロニクスの基礎分野での研究に貢献することを目的として設置された。エレクトロニ
クスの基礎となる新素材や半導体デバイス等の製作、ならびに電子レベルでの固体の
表面・界面の薄膜の物性評価のための高レベルの装置群は極めて充実しており、学内
外の共同利用研究所として高い評価を得ている。また、学生に対しても高度な教育と
研究の場として開かれており、学部学生や大学院生に対する教育、研究に多大の成果
を挙げている。
デジタルゲーム学科では、老人層や身体障害者がリハビリテーションや医療機器、
福祉機器として必要となるゲームのハードウエア開発も重要な技術習得の一つであ
る。この開発には回路、センサー、インタフェース等の工学の知識と素材開発も不可
欠なものになる。
これらの教育、研究のために、視聴覚や触覚、体温等に対する鋭敏なセンサーの製
作や視聴覚研究のための特殊なレーザー応用等が必要であり、本研究所は先端科学技
術を駆使した医療・福祉用ゲーム開発のために重要な役割を果たすと考えている。
⑦ 学術フロンティア推進センター
わが国の独創性ある科学、技術発展を推進するために、私立大学にハイテク研究セ
ンターおよび学術フロンティア推進センターを設立していくことが文部科学省で決
められた。本学は上記エレクトロニクス基礎研究所を中心として、永年、電子材料の
研究に独自の成果を挙げ、これらの業績をもとにして、平成10年度に文部科学省の
認定を受けて本センターを設立した。
エレクトロニクスの根幹を支えているトランジスタ、センサー、レーザ等は、材料
固有の性質を利用していることは勿論であるが、これらデバイスの特性向上、動作限
界の打破には、異なる材料の接合により電子の運動、光伝搬のより高度な制御が必要
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である。こうした考えのもとに、(1)表面、界面領域に量子構造をもつ新機能材料、
(2)表面機能および界面積層による新機能材料、(3)表面および界面機能の原子
レベルでの評価法等の学術フロンティアを広げていく計画で推進している。
これら新機能材料の研究により高度光情報処理用レーザ、高密度光メモリ、大気汚
染ガス検出センサー、微量 X 線検出デバイスの実現に貢献していくものである。この
優れた教育研究施設および設備を活用して得られた成果が、産業社会が必要とする新
素材の開発に結びつき、ゲームのハードウエアにも活かされるものと確信している。
また、本施設で教授する優秀な教授集団が、デジタルゲーム学科に入学する学生に先
端的な仕事に触れることができるだけでなく、国際的な感覚を養い得る教育を計画し
ている。
⑧ 衛星通信研究施設
情報通信は現代社会を支えるライフラインの一つであり、この技術なくして近代技
術社会が成り立たない状況にある。とりわけ衛星通信は、同時性、多元接続性、回線
設定の柔軟性、対災害性等の特徴があり、データ通信、サテライトニュースギャザリ
ング、テレビ会議等ビジネス分野のみならず、行政・教育・地域情報等の公的分野に
おいても重要な位置を占めている。衛星通信研究施設は、全国の大学に先駆けて Ku
帯の伝播研究を行い、現在では Ka 帯による大学間ネットおよび全学共同研究施設と
して学生の教育や卒業研究に活用し、この施設・設備で修得した知識・技能が産業社
会において即戦力となるように教育している。
デジタルゲーム学科においても、本研究施設のすばらしい設備と優秀な教授陣の指
導のもとに制作したゲームソフトを全世界に発信でき、教育や医療関係に貢献できる
ような研究に利用して行くことを計画している。
⑨ 充実した実験・実習設備
本学の教育方針である実学教育尊重の精神に基づいて、学生実験のための施設・設
備を常に更新し、卒業後の経済国際社会において即戦力となれるよう最新の装置・機
器類の充実を図っている。
四條畷キャンパスでは、主として1年次生の受講学生が楽しい雰囲気で基礎工学実
験、物理実験等をできるように最新設備の実験センターをもち、多くの実験担当教員
や大学院生(ティーチングアシスタント)により、きめ細かい指導を行っており、受
講する学生から好評を得ている。
さらに、平成13年度には工学部第1部の7番目の学科として医療福祉工学科を開
設したことから、四條畷キャンパスで受講する学生の講義、諸実験に支障を来さない
よう、講義室および医療福祉技術を修得するために必要な実験室を持つ校舎を建設中
であり、本年9月に竣工する。
一方、寝屋川キャンパスにおいては、2~3年次生のための電気実験、化学実験等
を行うための実験センターを設け、実践教育を行っている。また、この実験センター
には、ロボット共同研究施設も整備されており、協調ロボットの教育研究も行われて
いる。また、寝屋川キャンパスには、制御機械工学教育研究のために機械工学実習棟
を設け、最新の制御機械実習設備を整え、指導教授陣だけでなく、専任の実習指導技
術者を配置して諸実習を行えるようにしている。
このように、学生は在学中に国際社会人に必要と思われる専門知識や技術、人間性
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豊かな教養が身につけられるようにできており、デジタルゲーム学科の学生も上記の
ような優れた施設・設備を自由に利用・活用して最新の知識と専門職としての技術を
学ぶことを計画している。
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