もう一度確認しよう 周辺症状への対応

もう一度確認しよう
周辺症状への対応
訪問看護ステーション
看護師 畠山 貴江
周辺症状とは
認知症の症状は中心となる症状(必ず見られ
る症状)と、それに伴って起こる周辺症状(必
ずみられるとは限らない症状)に分けられます。
中心となる症状とは「記憶障害」や「判断力の
低下」などで、必ずみられる症状です。周辺症
状は人によって差があり、怒りっぽくなったり、
不安になったり、異常な行動がみられたりす
ることがあります。
妄想
抑うつ
幻覚
不安・
不安・焦燥
記憶障害
実行機能障害
新しいことを覚えられない 段取りが立てられない
計画できない
睡眠障害
失行
中核症状
介護抵抗
服の着方がわからない
道具が使えない
失認
物が何かわからない
食行動異常
失語
物の名前がでてこない
暴言・
暴言・暴力
徘徊
周辺症状
基礎知識
いない人の声が聞こえる
物を盗まれたという
実際に無いものが見える
昼と夜が逆転する
何でも食べようとする
基礎知識
無目的に歩きまわる
大きな声をあげる
外にでようとする
手をあげようとする
落ち着かない
入浴や着替えをいやがる
イライラしやすい
基礎知識
気分が落ち込んでやる気
がしない
妄想
抑うつ
幻覚
物を盗まれたという
気持ちが落ち込ん
でやる気がない
不安・
不安・焦燥
いない人の声が聞こえる
実際にないものが見える
記憶障害
実行機能障害
新しいことを覚えられない 段取りが立てられない
計画できない
落ち着かない
イライラする
昼と夜が逆転する
失行
中核症状
介護抵抗
睡眠障害
服の着方がわからない
道具が使えない
失認
物が何かわからない
食行動異常
失語
入浴や着替えを嫌がる
物の名前がでてこない
何でも食べようとする
暴言・
暴言・暴力
徘徊
大声をあげる
無目的に歩き回る
手をあげようとする
外に出ようとする
周辺症状
妄想 ① 症状
•
•
•
•
•
•
•
物盗られ妄想
罪業妄想
被害妄想
関係妄想
心気妄想
血統妄想・誇大妄想
幻覚
妄想 ② 原因
高齢者の知能の老化に伴う、判断力や適応
力などの認知機能の低下による。
妄想 ③対応
ウソ・ホント
十分に傾聴し、本人の訴えを理解する。
○
妄想 ③ 対応
ウソ・ホント
否定や訂正しようとむきにならず、まずは本
人に共感する。
○
妄想 ③ 対応
ウソ・ホント
妄想においては薬物療法は効果がない
×
薬物療法に比較的反応し、よい効果が得られ
る場合もある。(向精神薬のブチロフェノン系
薬物等)
妄想 ③ 対応
ウソ・ホント
妄想のきっかけになる周囲の言動や態度に
も注意をはらう。
○
せん妄 ① 症状
• 注意の障害
• 認知障害
(記憶障害・見当識障害・思考障害・知覚障害)
• 精神運動性障害
• 睡眠・覚醒周期の障害
• 感情の障害
※発症は急激!数時間から数日。症状は日によって大
きく異なり、1日のうちでも変動する。
せん妄 ② 原因
• 脳器質性疾患
脳循環障害・血管性認知症・アルツハイマー認知症
• 身体疾患
肺炎などの感染症・代謝疾患・内分泌疾患・手術など
• 薬物
総合感冒薬・うつ治療薬・抗パーキンソン薬・睡眠導入
薬など
• アルコール
せん妄 ③ 対応
ウソ・ホント
不穏を鎮め安心感を与える環境を整える。
○
せん妄 ③ 対応
ウソ・ホント
助言は単純で、しかも同一の表現が良い。
○
妄想 ③ 対応
ウソ・ホント
幻覚や妄想はちゃんと否定する。
×
非難されたという陰性の感情だけが残り、気分
がますます不安定になる。
徘徊 ① 症状
• 無目的に歩き回る。
・・・でも、実際は何らかの理由が存在すること
が多い。
徘徊 ② 原因
•
•
•
•
見当識障害(場所・時間)によるもの
記憶障害によるもの
認知障害(思考・判断力障害)によるもの
感情障害(気分・情動の障害)によるもの
徘徊 ③ 対応
ウソ・ホント
見当識障害による徘徊の場合
①頭ごなしに否定すると感情的になり徘徊を助長する。
○
②いったん気持ちを別のことに向けさせるのが良い。
○
徘徊 ③ 対応
ウソ・ホント
記憶障害からの徘徊の場合
本人の気持ちを否定せず、本人の気持ちを理解する
ところから出発して対応を考えることが大切である。
○
徘徊 ③ 対応
ウソ・ホント
認知障害(思考・判断力障害)による徘徊の場合
あせらなくて良いことを説明し、周囲が「一緒に協力
して」行う態度が必要である。
○
徘徊 ③ 対応
ウソ・ホント
感情障害による徘徊の場合
本人が安心を得られるような環境で穏やかに接する
必要がある。
○
抑うつ ① 症状
• うつの4大症状
抑うつ気分
意欲の低下(抑制状態)
不安・焦燥
自律神経症状
抑うつ ② 原因
• 加齢に伴う身体的、心理的、社会的側面のさ
まざまな能力の衰えがストレスとなる。
• 心理社会的要因として、配偶者や友人との死
別、生きがいや社会的役割の喪失。
• 脳の機能障害(高血圧・脳血管障害などの脳
循環障害)
抑うつ ③ 対応
ウソ・ホント
介護者の激励や叱責は逆効果で、かえってうつ病を
悪化させ、最悪の場合は自殺に追いやることもある。
○
抑うつ ③ 対応
ウソ・ホント
家族は本人の状況を病気として理解し、共感
することが重要であり、受診の必要はない。
×
病気として理解し、共感することが重要であるが、ま
ず専門医を受診する事が望ましい。
最後に
認知症高齢者の気持ちや思いを理解すること
が、対応への第一歩。
「だいじょうぶ。だいじょうぶ。」と何度でも何度
でも繰り返し、手を握ってあげたいものです。