「ジョジョの奇妙な超越論的座談会」 発表者:石岡良治 2013年1月26日 高崎経済大学 0 岸辺露伴のマンガ論:『ジョジョ』第四部「漫画家のうちへ遊びに行こう」 ・「『リアリティ』こそが作品に生命を吹き込むエネルギー」 ・戯画的に虚構化されたマンガ家の姿は、ときに荒木の分身ともなる(ルーヴルやグッチ訪問) ・集英社新書『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』の映画紹介は『ジョジョ』導入にも最適 1 ギャンブルと「チャンス」:『武装ポーカー』と『ジョジョの奇妙な冒険』 ・『武装ポーカー』(荒木飛呂彦のデビュー作、1980年) ・マカロニ・ウエスタンの影響→主人公「ドン・ペキンパー」etc. ・ギャンブルというモチーフ、必ずブラフとイカサマが現れ、別の次元で勝負が決まる ・『ジョジョ』第三部のダービー兄弟 2 「紙面」と殴打:白黒印刷と「読解」という条件を用いて ・「オラオラ」のラッシュは「表面」で止まる→物体破壊と紙面(第五部60巻ラスト) ・「黒い姿」である限り負けない→スタンド能力の「謎」を用いる「強さ」の尺度 ・「近接パワー型」「因果性への介入」といった能力のスタンドが強いという傾向も揺さぶられる 3 フィギュレーションfiguration 形象と造形 ・言説と形象(ジャン=フランソワ・リオタール『言説、形象』)異なる記号化 ・マンガは言説と形象を交差させる→「紙面」という出来事が単位となる ・吹き出し内部の擬音と文字の形象化→「パパウパウパウ」「パウロォー」 ・第四部のスタンド「エコーズ」書き文字の実体化能力 4 トランスフィギュレーションtransfiguration 予型論・変容・運命の突破 ・各部のラストバトルは、キャラクターが配置される「環境」を巻き込む ・「種の優越」「因果性の操作」「ループ」「運命」etc. ・「超越論的な条件」を把握することが勝負の鍵だが、同時に「気概」も作用 ・「昇天」の描写→スタンドと「魂」の関係を可視化 ・第五部「レクイエム」における「静かな世界変容」 5 コンフィギュレーションconfiguration 配置・設定・並行世界 ・系図と国籍→イギリス・アメリカ・イタリア・日本etc. ・「ジョースター」「ツェペリ」「ディオ」「吉良」などの系譜 ・それぞれの「善悪」は、部によって入れ替わる→血統の混交と交差 ・第六部ラストの「回帰後の世界」はそれ以前とは異なる→第七部以降との差異 ・SBRにおける「希望の国アメリカ」と「大統領の陰謀」 ・『ジョジョリオン』と「3・11以後」→ 天変地異の作用は今後どう描かれていくか
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