平成27年3月議会一般質問原稿

一般質問
皆様おはようございます。公明党の井上純一です。議長のお許しを得ましたので、公明党の一員として、先
に通告しました順に従い質問をさせていただきます。
最初に、質問事項 1 低炭素・循環型社会の構築に向けて、
質問要旨 1 生命維持に不可欠な物質であるリンの再資源化について質問いたします。生物には遺伝子情報
を子孫へと伝える『DNA』があります。DNA は炭素、窒素、酸素、水素そしてリンの五つの元素で構成さ
れています。このうち炭素、窒素、酸素、水素は大気と水の主成分であり、地球上に無尽蔵に存在しますが、
リンは大気中には存在しません。しかし、リンがなければ生物は DNA を作ることができず代替できる物質
もありません。そこで生物は、食物に含まれるリンを体内に取り込むことで DNA を祖先から子孫へ伝えて
きました。古来日本人は、人糞などを肥料として利用し、食物から体内に取り込んだリンを再び畑に戻し、
自然循環によりリンを摂取することができていました。しかし、近代化に伴う生活環境の変化により、人糞
は下水汚泥となり再び畑に戻ることがなくなり、その代わりにリンを含んだ化学肥料が使用されるように
なりました。そして、日本はそのリンの全量を輸入に頼り、そのうち半分は中国から輸入しています。現在、
世界的な経済成長と人口増加に伴いリンの需要が拡大し、リン資源の枯渇化が懸念され始めております。既
にアメリカは 1997 年にリン鉱石の海外輸出を禁止しております。
今、資源のない日本に求められる対策は、
下水汚泥や家畜の排泄物に含まれるリンを再資源化することです。そこで質問致します。
質問項目 1 今後の下水処理事業において、下水汚泥に多く含まれるリンを回収し、再資源化する考えはあ
るか
次に質問要旨 2 ゴミの減量化と再資源化を推進し、環境への負荷の少ない循環型社会に向けての本市の取
り組みについて質問します。本市においては、紙・アルミ缶、スチール缶、ガラスビンに加え、最近ではプ
ラスチックの分別回収も市民に定着し、着実にごみ減量化の成果が出てきております。私がゴミ集積場を見
て常々思うことは、さらに家庭から出る生ゴミや天ぷら廃油を再資源化できれば、革新的なごみ減量化にな
るのではないかということです。今、再生可能エネルギーのひとつとして生ゴミや木材などのバイオマスの
活用が注目を集めており、先進自治体の新潟県長岡市では自治体と地域住民が一体となって取り組み、生ゴ
ミを発酵させて発生するバイオガスを燃料として発電するバイオマス発電を 2013 年 7 月から始めた結果、
燃やすゴミが 3 割減少、年間で約 2.3 億円の財政負担軽減が見込まれています。更に、農業振興の立場から
東京農業大学の小泉武夫名誉教授は、生ゴミを燃やして処理する時代は終わった。これからは発酵させて堆
肥にし、豊かな土を作って、美味しくて栄養価の高い野菜を作る時代である。水にぷかぷか浮くトマトでは
なく、昔のように水に沈むトマトを作ろう!それがブランドとなり、6次産業化推進につながる。と述べら
れております。
また、てんぷら廃油の再資源化の用途として、従来の石鹸だけではなく、バイオディーゼル燃料として再利
用し、低炭素社会の実現へ向けて取り組む自治体も見られます。本市においてもこれらの先進自治体の取り
組みは第 6 次東海市総合計画のめざすまちのすがた 21『ゴミの減量化やリサイクルが進んでいる』の実現
に向けて大いに参考になるのではないかと考え、質問を致します。
質問項目 1
循環型社会の実現に向けて家庭から出た生ゴミを使ってバイオマス発電及びその生成の過程
で発生する残留物を肥料として還元する事業を実施する考えはあるか
質問項目 2 てんぷら廃油を給食センターからだけではなく、家庭からも回収するために新たに積極的な方
法を検討すれば、ゴミの減量化につながると考えるがどうか
質問項目 3 てんぷら廃油回収に関しては、市民がよく利用するスーパーマーケット等と連携すれば、効率
よく回収できると考えるがどうか
続いて、質問事項 2 国際交流の推進について
質問要旨 1 本市は、トルコに続き、昨年オーストラリアのマセドンレンジズ市と姉妹都市提携をするなど
積極的に国際交流を推進しておられます。今年は戦後 70 年また日本と韓国の国交正常化 50 周年という佳
節に当たり、中国や韓国の都市との国際交流について質問いたします。
およそ今から 100 年前、中国からの留学生とも交流していた思想家の吉野作造氏は険悪化する日中関係を
見据えつつ次のように述べています。『国民的信任尊敬の関係があれば、時々個々の政治上、経済上の問題
について反目や誤解があっても、それはあたかも風のまにまに起こる大海の上のさざなみの如きものであ
って、その底を流るる所の親善関係というものには何等動揺を見ないのである』と。国籍は違っても互いを
大切に思い、幸せを願う心の交流を幾重にも根付かせていく中で、友好の大樹がどんな風雪にも耐え、豊か
に枝葉を茂らせていくのではないでしょうか。東アジア地域の安定と繁栄を考えるとき、自治体間の交流の
拡大や草の根レベルでの民間交流を促進し、交流の層を厚くしていくことが重要であると考えます。
今日まで、日中では 356、日韓では 151 にのぼる自治体の姉妹交流が結ばれています。日中・日韓の姉妹交
流も従来の『親善・友好』を目的とした交流から、『環境協力』『農業技術援助』等へ進化しており、その
存在感は増してきております。戦後 70 年、韓国との国交正常化 50 周年という節目に当る本年、さらに国
際交流を拡大し、一対一の友情の絆を育む潮流を共に高めていくべきではないでしょうか。そこで質問致し
ます。
質問項目 1 東アジアに目を向け、中国や韓国の都市との国際交流を推進する考えはあるか。また、韓国に
東海市(トンヘシ)、中国には東海県(ドンハイケン)という本市と同名の都市があることから、当該都市
との交流も視野に入れて検討したらどうか。
次に質問事項 3 防災・減災対策について
質問要旨
1 行政と住民、住民同士などの間で災害情報を共有し、いざというときに避難できる『災害リ
スクコミュニケーション』について質問します。
昨年 8 月に広島で真夜中に起こった大規模土砂災害で明らかになった課題は、人々の生命を守る為、避難に
必要な情報をいつ、どのように住民全員に伝達するかという、いわゆる『災害リスクコミュニケーション』
です。政策研究大学院大学の池谷教授は『災害リスクコミュニケーション』について次のように述べていま
す
『1 点目に重要なことは、市が避難情報を出す際の基準となるデータの精度を上げることである。
2 点目は、人的被害を最小限に抑える為の情報伝達のやり方である。スピーカーを使って警報を出しても、
外が大雨、家が締め切り状態では住民は気付かない。そこで重要になるのは『多重方式』による伝達である。
例えばスピーカーを使うと同時に各地域の町内会長に連絡して、近隣の家を一軒ずつ回り情報を伝えても
らうと、すべての住民をカバーすることができる。』と。以上の点を踏まえて質問致します。
質問項目 1 土砂災害などの危険が予測される場合の避難勧告などの具体的な発令基準は策定しているか
質問項目 2 災害時に人的被害を最小限に抑える為には、すべての市民へ確実に情報を伝えることが重要で
あり、そのためには情報伝達の多重化・多様化が必要であると考えるがどうか
質問項目 3 避難勧告を的確に行うためには、市と国等の専門機関とホットラインを構築し、避難情報を出す
際には助言を得るなどの手順を決めておくことが必要であると考えるがどうか
次に質問要旨
2 昨年 11 月におきた長野県北部の地震で、住民同士が助け合う共助の重要性が再認識さ
れました。そのためにまず住民自らが防災対策の主体者であるとの自覚が重要になることから、地区防災計
画の策定状況等に関して質問します。長野県北部で起きた最大震度 6 弱の地震で、最も被害が大きかった白
馬村神城地域の堀の内地区では、近隣住民が倒壊家屋の中に取り残された人を救出し、人的被害が出ません
でした。以前から白馬村では災害時避難行動要支援者名簿を基に『災害時住民支えあいマップ』を町内会・
自治会ごとに作成しており、堀の内地区では、これが安否不明者の迅速な把握、救助に役立ちました。
そこで質問致します。
質問項目 1 住民自らが作る地区防災計画の策定に関して、26 年 9 月定例会の一般質問の答弁で、今後コ
ミュニティ連絡協議会を初め地域自主防災会の会合等、機会があるごとに説明し、また広報及び市のホーム
ページ等により周知し、支援するとのことであったが、現在の進捗状況はどうか
質問項目 2 災害時避難行動要支援者名簿を現在作成中だが、これを災害時の安否不明者の迅速な把握、救
助に役立てるために具体的にどう活用していくのか
最後に、質問事項 4 医療費抑制対策について
質問要旨 1 今後の社会保障費の増大を抑えるため、政府は 2016 年を目途に都道府県別に後期高齢者の医
療費の抑制目標を導入する方針であります。本市の医療費抑制対策について質問をいたします。現在日本は、
皆さんがご承知のとおり、世界に類を見ないスピードで高齢化が進んでおり、毎年社会保障費は増え続け、
2014 年度末の『国の借金』は過去最大の1062兆円、国民一人が背負っている借金は約832万円とな
る見通しです。中でも医療費の伸びが大きく、今のペースで医療費が増え続ければ、それを賄うために個人
や企業が負担する税金や保険料が過大になる恐れがあることから今回の政府の判断となりました。医療費
の抑制に向けての最大の対策は言うまでもなく予防医療の充実です。特にガン予防対策に加え、重症化する
と介護生活になる可能性の極めて高い糖尿病対策が重要であると考えます。そこで質問いたします。
質問項目 1 本市の後期高齢者の一人当たりの平均医療費は愛知県平均と比較してどうか
質問項目 2 医療費抑制に対しての後期高齢者医療制度としての取り組みはどうか
質問項目 3 糖尿病は認知症の原因のひとつとも言われており、重症化を防ぐことは、医療費の抑制だけで
はなく、介護費抑制にもつながる大変重要な施策と考えるが本市はどのような取り組みをしているか?
また、最近、生活習慣病の予防や健康状態の改善につながる取り組みとして、健康づくりのインセンティブ
を高める方策として『ヘルスケアポイント』の普及が注目されており、既に昨年 12 月から福島県伊達市、
新潟県見附市、千葉県浦安市、岡山市など全国 6 市で実証実験『健幸ポイント』プロジェクトが行われてお
ります。健幸ポイントは、歩いた歩数や、市の運動教室への参加、健診データの改善などに応じてポイント
を付与し、溜まったポイントで商品券や電子マネー等に交換できます。そこで質問致します
質問項目 4
今年1月に決定した政府の国民健康保険に対する医療保険制度改革骨子にヘルスケアポイン
トの付与や保険料への支援等について、国が策定するガイドラインに沿って保険者が保険事業の中で実施
できることを明確化することが明記されたが、本市の今後の取り組みはどうか?
お伺いして、壇上からの質問を終わります。 (4524 文字)