社内資料 ルシドリール錠 100mg の安定性に関する資料 1.グラシンラミネート紙包装における 90 日間の安定性 2.粉砕時における 90 日間の安定性 3.光に対する 90 日間の安定性 平成 16 年 6 月 共和薬品工業株式会社 LCD-D-1(1) 1.グラシンラミネート紙包装における 90 日間の安定性 【緒言】 ルシドリール錠 100mg の長期投与期間(90 日間)中における安定性を確認するため、以下の安定性 試験を実施したので報告する。 【試料】 ・ルシドリール錠 100mg:LOT No.3004(共和薬品工業株式会社) 【包装形態】 ・グラシンラミネート紙による分包品 【保存条件】 ・日本薬学会病院薬局協議会散剤配合変化試験法の報告にある 25±1℃、75±5%RH に設定した恒温恒 湿器内に保存 【試験項目】 ① 外観 ② 吸湿水分量 ③ 含量 【試験時期】 開始時,15,30,60,90 日目 【試験方法】 ① 外観 性状を肉眼で観察した。 ② 吸湿水分量 日局一般試験法の水分測定法(カールフィッシャー法)により水分量を測定した。 ③ 含量 紫外可視吸光度測定法により試料中の塩酸メクロフェノキサート含量を測定した。 1 【結果】 ① 外観 試 料 フィルムコーティング錠 保存期間 15 日目 30 日目 開始時 白色のフィルム コーティング錠 ± + 60 日目 90 日目 ++ ++ 判定基準 − :全く変化が認められないもの ± :変化の有無が疑わしいもの + :明らかに変化が認められるが、実際の服用に差し支えのない程度のもの ++:服用に差し支える程度の変化が認められるもの ② 吸湿水分量 試 料 フィルムコーティング錠 開始時 2.2% 15 日目 5.8% (3.6%) 保存期間 30 日目 6.9% (4.7%) ( 60 日目 90 日目 7.3% 12.2% (5.1%) (10.0%) )内は開始時からの増加量 ③ 含量 試 料 フィルムコーティング錠 開始時 99.5% (100.0%) 15 日目 99.0% (99.5%) ( 保存期間 30 日目 60 日目 90 日目 99.8% 99.2% 100.3% (100.3%) (99.7%) (100.8%) )内は開始時を 100%として換算した値 【考察】 外観については、経時的に変化が認められ、60 日目には服用に差し支える程度の変化が認められた。 吸湿水分量についても経時的に増加が認められ、90 日目に 10.0%の増加が認められた。 含量については、90 日目においても変化が認められなかった。 以上の結果より、有効成分である塩酸メクロフェノキサートは製剤化しても高い吸湿性を失わないこ とが判明した。従って、フィルムコーティング錠のグラシンラミネート紙分包品による投薬には問題が あると判断された。 2 2.粉砕時における 90 日間の安定性 【緒言】 ルシドリール錠 100mg 粉砕品の長期投与期間(90 日間)中における安定性を確認するため、以下の 安定性試験を実施したので報告する。 【試料】 ・ルシドリール錠 100mg 粉砕品: ルシドリール錠 100mg(LOT No.3004,共和薬品工業株式会社)を粉砕したもの。 【包装形態】 ・グラシンラミネート紙による分包品 【保存条件】 ・日本薬学会病院薬局協議会散剤配合変化試験法の報告にある 25±1℃、75±5%RH に設定した恒温恒 湿器内に保存 【試験項目】 ① 外観 ② 吸湿水分量 ③ 含量 【試験時期】 開始時,15,30,60,90 日目 【試験方法】 ① 外観 性状を肉眼で観察した。 ② 吸湿水分量 日局一般試験法の水分測定法(カールフィッシャー法)により水分量を測定した。 ③ 含量 紫外可視吸光度測定法により試料中の塩酸メクロフェノキサート含量を測定した。 3 【結果】 ① 外観 試 料 開始時 保存期間 30 日目 15 日目 60 日目 ルシドリール錠 100mg 白色の粉末 ± + ++ 粉砕品 判定基準 − :全く変化が認められないもの ± :変化の有無が疑わしいもの + :明らかに変化が認められるが、実際の服用に差し支えのない程度のもの ++:服用に差し支える程度の変化が認められるもの 90 日目 ++ ② 吸湿水分量 試 料 ルシドリール錠 100mg 粉砕品 開始時 2.2% 15 日目 7.7% (5.5%) 保存期間 30 日目 9.1% (6.9%) ( 60 日目 90 日目 14.7% 19.1% (12.5%) (16.9%) )内は開始時からの増加量 ③ 含量 試 料 ルシドリール錠 100mg 粉砕品 開始時 99.5% (100.0%) 15 日目 98.7% (99.2%) ( 保存期間 30 日目 60 日目 90 日目 99.0% 98.7% 98.0% (99.5%) (99.2%) (98.5%) )内は開始時を 100%として換算した値 【考察】 外観については、経時的に変化が認められ、60 日目には服用に差し支える程度の変化が認められた。 吸湿水分量についても経時的に増加が認められ、90 日目に 16.9%の増加が認められた。 含量については、90 日目において若干(1.5%)低下が認められた。 以上の結果より、粉砕品はフィルムコーティング錠よりも高い吸湿性を示すことが判明した。従って、 粉砕品のグラシンラミネート紙分包品による投薬には問題があると判断された。 4 3.光に対する 90 日間の安定性 【緒言】 ルシドリール錠 100mg の光に対する安定性を確認するため、以下の安定性試験を実施したので報告す る。 【試料】 ・ルシドリール錠 100mg:LOT No.3004(共和薬品工業株式会社) 【包装形態】 ・ルシドリール錠 100mg をプラスチックシャーレに入れ、ポリビニリデンフィルムで被覆したもの(曝 光品)及びポリビニリデンフィルムを更にアルミ箔で被覆したもの(遮光品) 【保存条件】 ・蛍光灯下(1000Lux) 。但し、温湿度は成り行き 【試験項目】 ① 外観 ② 吸湿水分量 ③ 含量 【試験時期】 開始時,15,30,60,90 日目 【試験方法】 ① 外観 性状を肉眼で観察した。 ② 吸湿水分量 日局一般試験法の水分測定法(カールフィッシャー法)により水分量を測定した。 ③ 含量 紫外可視吸光度測定法により試料中の塩酸メクロフェノキサート含量を測定した。 5 【結果】 ① 外観 試 料 保存期間 15 日目 30 日目 開始時 60 日目 フィルムコーティング錠 − − − (曝光品) 白色のフィルム コーティング錠 フィルムコーティング錠 − − − (遮光品) 判定基準 − :全く変化が認められないもの ± :変化の有無が疑わしいもの + :明らかに変化が認められるが、実際の服用に差し支えのない程度のもの ++:服用に差し支える程度の変化が認められるもの 90 日目 − − ② 吸湿水分量 試 料 フィルムコーティング錠 (曝光品) フィルムコーティング錠 (遮光品) 開始時 2.2% 15 日目 2.6% (0.4%) 2.6% (0.4%) 保存期間 30 日目 2.9% (0.7%) 2.9% (0.7%) ( 15 日目 99.9% (100.4%) 99.6% (100.1%) 保存期間 30 日目 60 日目 90 日目 98.6% 98.9% 100.2% (99.1%) (99.4%) (100.7%) 99.2% 100.4% 100.2% (99.7%) (100.9%) (100.7%) )内は開始時を 100%として換算した値 60 日目 90 日目 2.9% 3.1% (0.7%) (0.9%) 3.0% 3.3% (0.8%) (1.1%) )内は開始時からの増加量 ③ 含量 試 料 フィルムコーティング錠 (曝光品) フィルムコーティング錠 (遮光品) 開始時 99.5% (100.0%) ( 【考察】 外観については、いずれの試料においても変化が認められなかった。 吸湿水分量については、90 日目に、曝光品,遮光品のいずれの試料においても若干(約 1%)の増加 が認められた。 含量については、90 日目においても変化が認められなかった。 以上の結果より、ルシドリール錠 100mg の光に対する安定性には問題はないと判断された。 【結論】 ルシドリール錠 100mg の安定性試験を種々実施したところ、本製剤は有効成分である塩酸メクロフェ ノキサートが高い吸湿性を有していることから、フィルムコーティング錠及び粉砕品のグラシンラミネ ート紙分包による投薬には問題があると判断された。 6
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