2010 年度フランス・バロック合唱統一レポート(2010 年 12 月 20 日更新) 2010 年はシャルパンティエの「真夜中のミサ」とクリスマスの小オラトリオを 12 月 26 日に 「フォンス・フローリス合唱団」演奏会で演奏します。ただし、関西の参加者は、11 月 3 日の 「フォンス・フローリス古楽院関西講座」発表会でも一部を演奏します。それぞれの本番での 演奏ピッチと演奏予定曲は下記の通り異なっていますので、ご注意ください。 《東京》12 月 26 日演奏会(関西からも有志が参加) ピッチ:a=415Hz(半音下げ) 合唱団による演奏曲: ・ Messe de minuit 全曲(Kyrie、Gloria、Credo、Sanctus、Agnus Dei)の tous (= tutti)と 書いてある部分。ソロの部分は歌わない。 ・ In Nativitatem Domini nostri Jesu Christi Canticum の Surgamus(148-203 小節)と Salve, puerule(292-315 小節)。 《関西》11 月 3 日発表会 ピッチ:a=392Hz(全音下げ) 関西講座受講生による演奏曲(予定): ・ Messe de minuit の Kyrie、Gloria。ソロの部分も全て歌う。 ・ In Nativitatem Domini nostri Jesu Christi Canticum の Salve, puerule(292-315 小節)。 【フランス・バロックの一般的な注意】 発音 フランス的な響きにするため、17 世紀フランス式ラテン語発音で歌う(「17 世紀フランス式ラ テン語ガイド」のプリントを参照してください)。 発音が違うということは母音の響かせ方、声の使い方が違う。母音はだいたい鼻母音だと思っ て、前の方、上の方で響かせる。鼻の奥にこもらせるのとは違う。目安になるのは、[ng]とい う時に響く場所。 *ドミニク・ヴィスの母音の響かせ方がフランス風の母音の大変よい参考になるのでお勧め。 イネガル (ノート・イネガル notes inégales「不均等な音符」) 1 拍が幾つかの音符に分割されている場合、たとえ音符が均等な音価で書かれていても、長い 音符と短い音符が交互に並んでいるかのように演奏すること。どの音符を不均等にするかは、 拍子と音価によって変わる。原則として、イネガルは順次進行の場合に行い、同度反復と分散 和音ではイネガルにしない。 イネガルは、不均等にすることが目的ではなく、それによって音楽がよどみなく優雅に流れる ようにする。短い音から長い音へ向かう動きをひとまとまりにとらえる(ビヨン)。 1 イネガルにするフレーズはヨン ビ→ヨン ビ→ヨン ビ→ヨン ビ→ヨンというイメージ。 ビには緊張がありヨンで解放される感じ。ビ→ヨンはテンション→リラックス。物理的にはヨ ンの方が長いのに感覚的にはビの方が長く感じるような歌い方。 装飾 振幅を広く、ちゃんと上下両方の音が聞こえるように。特に最後の振幅を大きく。長い音の場 合はゆっくりから初め、次第に速く振幅も大きくする。前の音からまたがるタイがあって装飾 がつく場合は拍の頭で動かず、アクセントが付かないように、ただしテンションは一番高まっ た状態で、伸ばしてからトリルに入る。短い音の場合は動きも速く。 ミーントーンのハーモニー 長三度を純正にするため、ミを低く、ファを高く。♯のついた音はミ、♭のついた音はファ。 ミファを広く取る。それぞれの和音の中でミの役目を担うパートは常に気をつける。また、低 く取ったミの後のファを高く取ることにも気をつける。 その他 すべての音が成長するように。音の立ち上がりははっきり、その後一度ひいてから、だんだん ふくらませる。すべての音は動いている。停滞しない。どこかに向かっている。 裏(拍)から表(拍)をひとまとまりに。 【曲ごとの注意点】 Marc-Antoine Charpentier, Messe de Minuit H.9 ・ 17 世紀フランスの音楽は 5 部編成が普通だが、これは例外的に 4 部編成。 ・ Haute-contre は本来カウンターテナーではなく高いテノール。今回は女声のアルトで歌う。 ・ ノエル(フランスの古いクリスマスキャロル)数曲が原曲になっている。 ・ オルガンミサ(Kyrie 3 回、Christe 3 回、Kyrie 3 回歌うのをオルガンと歌で交互に演奏し たりする)の伝統を受け継いでおり、歌で歌わない部分をオーケストラやオルガンで演奏す る構成になっている。 ・ 第 1 Kyrie の 1 行目はオーケストラ、2 行目は合唱、3 行目はオルガンノエル。Christe は ソリで歌う 1 回のみ。第 2 Kyrie の 1 行目はオケ、2 行目は合唱、3 行目はオルガンノエル。 ・ 第 1 Sanctus(Sanctus)はオケ、第 2 Sanctus(Sanctus)は合唱、第 3 Sanctus(Sanctus Dominus Deus Sabaoth)はオケ(したがって、Dominus Deus Sabaoth と歌詞では言わな い)。Pleni sunt は合唱。 ・ 第 1 Agnus はオケ、第 2 Agnus は合唱、第 3 Agnus はオケ。従って、dona nobis pacem と 歌詞では言わない。言わない歌詞は心で思う。 2 楽譜正誤表(拍子に関わらず、4 分音符を 1 拍として数えています) 頁# 小節# パート 訂正内容 2 35 Basse 歌詞 Kyrie の-ri-を最後の 8 分音符に移動させる。 6 106 Taille 3 拍目 8 9 ピアノ伴奏 cis 8 10 Taille 1 拍目 8 14 Haute-contre 装飾つける。 9 36 Dessus 4 拍目の cis の音に装飾つける。 10 61 ピアノ伴奏 g 11 68 ソロ Basse 最後の音 14 132 ソロ Dessus 1 3 拍目の e の音に装飾つける。 14 132 ソロ Dessus 2 3 拍目の cis の音に装飾つける。 14 138 ソロ Dessus 1 3 拍目の e の音に装飾つける。 14 138 ソロ Dessus 2 3 拍目の cis の音に装飾つける。 15 158 Dessus 4 拍目の cis の音に装飾つける。 15 162 Taille 2 拍目の裏 15 164 Haute-contre 装飾つける。 17 24 Taille 頭にタイがぬけている。 31 276 Basse 最初の音 36 (37) 59 (81) Taille 装飾つける。 h → b c → cis → c gis → cis を c に変えたのを cis に戻す。 cis f → → c a 注意点 1. Kyrie Kyrie(29小節 ) ・ 8分音符イネガル。付点4分音符の後の8分音符もイネガルにするのを忘れない。 ・ 4拍目から1拍目、2拍目から3拍目、にスラーがかかっているようなつもりで。 ・ -ri-e、-i-sonを「ビヨン」と感じる。 ・ 出だし(29小節 など)のフレーズのKy-ri-eはグレゴリオ聖歌のtorculus、e-le-はpes、-i-son もpes、のイメージで。 ・ eleisonの-i-はあまり「イ」と言い直さないで、その前のle-の「エ」の延長で少し「イ」に 近くなったくらいにする。 ・-sonの母音が高い音でも開かないように。鼻母音の響きを保つ。 ・ 35小節:Haute-contreのKy-の出だしを鳴らして。 ・ 37小節など、同音の8分音符でKy-ri-となるところはイネガルにはしないけれど、あまり律 儀に均等にもしない。-ri-eをつなげて「ビヨン」と感じるのはイネガルにする時と同じ。 ・ 39小節のHaute-contreのKyrieの出だしは新しいフレーズを導くように。 ・ 41小節:Tailleの装飾。点がついている場合はその音から始まる。この場合はその音を1拍 分のばしてから動き始める。したがってBasseの装飾の方が先に動き始めることになる。 ・ 41小節:Haute-contreの長く伸ばすfの音は最初は小さく入ってだんだん大きくする。 3 ・50 51小節は少しrit. ・50小節4拍目から51小節1拍目:Haute-contreのeは低くfは高く。 Christe(52小節 )*関西のみ。東京はソリストが担当。 ・ Christeの-teの母音は広いエになって響きが暗くならないように、イに少し近くして前の方 で鳴らせる。eleisonのe-も同じ。 ・67小節:fは高くcisは低く、で緊張感を出す。 Kyrie(100小節 ) ・ 出だしなど、同音の8分音符でKy-ri-となるところはイネガルにはしないけれど、あまり律 儀に均等にもしない。-ri-eをつなげて「ビヨン」と感じるのはイネガルにする時と同じ。 ・ この曲ではつねに-ri-eを意識する。 ・ Kyrieの-eとeleisonのe-の間でアーティキュレーションしないが、ビヨンを出すことによっ て言葉が変わったことがわかるように。 ・ 117小節や121小節などの装飾:最初の音(上の音)を長めに鳴らす。ただし、そこにアク セントは来ない(「頭に来ない」)。 ・ 120小節アウフタクト以降:下3声は少し音量を落として(叙情的な雰囲気に)。 ・ 126小節:最後の和音は倍音を出していくという意識を持ち続けて。 2. Gloria Et in terra(1小節 ) ・ 8分音符イネガル。特に付点4分音符の後の8分音符のイネガルを忘れない。同音反復はイネ ガルしないというルールは付点の時にはあてはまらないので注意。 ・ Echoと書いてあるところは小さく、Fortと書いてあるところから大きく歌う。 ・ Echo 遠くから聞こえてくる感じと同時に、平和のメッセージはおだやかにはっきり聞こ えるイメージ。弦楽器には弱音器をつけて静かな雰囲気。ただし、それだけに余計に音の立 ち上がりや言葉の抑揚は正確に。 ・ etとinの間に残響を感じるような歌い方(etをいっぱいいっぱいまで出さない)。 ・ 10 11小節:Haute-contreのfisを低めに取った後、その次のgをかなり高く取るように意識 するのを忘れない。 ・ 14小節:装飾の動きが終わった後の和音を大事に。 ・ 31小節:Gratiasの出だし。grははっきり発音するけれど、やわらかく軽めに。 ・ gratiasの-ti-の子音やagimusの-gi-の子音は長く。 ・ Gratias agimus tibi propter magnam gloriam tuam.ぶつぶつ切れないように、全部がリエ ゾンしているように、スイングして。語尾から次の語頭への流れ(-asからa-、-musからti-、 -biからprop-など)を意識する。 ・ 37 38小節で遅れない。 Domine Deus(48小節 )*関西のみ。東京はソリストが担当。 ・ ソリスト、歌手であることを忘れない。 ・ この曲のHaute-contreのパートはシャルパンティエ本人が歌った箇所。女声ではなく高い テノールのつもりで。 ・ Domineのeの音は下に落ちない。iのまま上の方で。 4 ・ tollisのllもpeccataのccもはねない。 ・ peccataのpec-はイネガルの短い方の音だけれど母音が短くならないように。 「ビヨン」の「ビ」 にあたるところ。響きを作る。 ・ 59小節の最後の-ni-をちゃんと鳴らして。その後のJesu Christeはひとかたまりで。 ・ 79小節以降:miserere nobisは少しテンポを落としてゆっくり。三歩下がった感じに。それ までと雰囲気を変えて。 ・ miserereのmi-seQui tollis(84小節 付点のイネガル忘れない。 ) ・ 84 88小節:qui tollis,で切って、その後のqui tollis peccata mundiはつなげる。 ・ 89 93小節:qui tollis,で切って、その後のqui tollis peccata mundiはつなげる。 ・ 94 99小節:suscipe,で切って、その後の(suscipe) deprecationem nostramはつなげる。 ・ 99 104小節:qui sedes,で切って、その後のqui sedes ad dexteram Patrisはつなげる。 ・ 89 92小節:各パート、♯や♮がつく音は和音や雰囲気を変える音なので意識して。 ・ 97 98小節:ヘミオラ。 ・ 91小節や100小節など:Haute-contreがgisからaに上がった時のaがいつも低いので赤丸で もつけて気をつける。 ・ 105小節以降:miserere nobisはていねいに。ただし、110 Quoniam(116小節 111小節で遅れない。 )*関西のみ。東京はソリストが担当。 ・ ぶつぶつ切れないように。思っているよりはレガートに歌ってちょうどいい。ただし「ビヨ ン」で締めるところは締めて。 ・ Quoniamの-ni-amを鳴らして。 ・ quoniam tu solus sanctus,までつなげて。tu solus, solus Dominusまでつなげて。 ・ tu solus Altissimus Jesu ChristeはJesu Christeに向かって。 ・ 132小節と138小節の装飾は動きが終わった後の和音を大事に。 Amen(143小節 ) ・ amenの-menがあまり短くならないように。 ・ 143 147小節:最初の4つ(Dessus以外は3つ)のamenをひとまとまりに、その中で3つめ のamenが山。次の3つのamenをひとまとまりに、その中で3つめ(最後)のamenが山。151 155小節も同じように。 ・ 161小節 最後まで、全体をゆっくり。 ・ 164小節:Haute-contreの装飾をみんなで聴く。装飾は目立って。最初のgの音を高めに長 めに。その後の動きもはっきり聞こえるように。動きを止める時は決然と止める。 3. Credo Patrem(1小節 ) ・ 8分音符イネガル。付点4分音符の後の8分音符のイネガルも忘れない。この場合は同音でも イネガルにする。 ・ 長い音はずっと同じにしない。停滞しない。必ずどこかにむかう動きがある。 ・ 2小節:DessusとHaute-contreの装飾の動き始めるのが早くならないように。拍の頭では前 の音のまま、絶対に動かない。 5 ・ Patremの-tremにその前のイネガルの8分音符から入るのを遅れない。 ・ 3小節:Dessusのcisを低く。 ・ ominipotentemで少しリタルダンドして、factoremから早くする。 ・ 8小節以降各パートに出てくる点付き装飾は最初の音を4分音符分のばしてから動き始める。 ・ factorem→caeli→et terrae ・ 17 言葉から言葉を取って。置いていかない。 18小節はin tempoで。26 27小節は少しrit. ・ visibiliumとomniumのリエゾンを忘れないで。 ・ visibilium見えるものとinvisibilium見えないものとの雰囲気の違いを感じる。et invisibiliumは小さく。ただし、invisibiliumのin-がよく聞こえるように。発音は「エン」。 前置詞のinは「イン」なので注意する。 ・ 27小節:Dessusのhを低めに。 ・ 29小節:Etとin、inとunumはリエゾンする。unumのu-の母音は[i]の音を強く出すのを忘 れないように。32小節のunigenitumのu-も同じ。 ・ 29小節以降:2拍目(2分の2拍子の)から1拍目に行く時に少し早くなるくらいにして流れ を作る。 ・ Et in unum Dominum Jesum Christum, Filium Dei unigenitum 言葉がぽつぽつ切れな いように。たとえば、Dominumの-numやFiliumの-umをきちんと鳴らして次の音に向かう。 ・ Et in unum Dominum Jesum Christum,とFilium で雰囲気をかえる。 ・ 32小節:Deiの-iとunigenitumのu-の母音をつなげる。 ・ 37小節:natumとanteの間はアーティキュレーションして、リエゾンしない。 ・ 37小節以降:ante omniaの-te om-、omnia saeculaの-a sae-、-cu-laで「ビヨン」。 ・ 37小節以降:ante omnia,で切って、その後のante omnia saeculaはつなげる。2回目のante omniaはpiu forte。 ・ 40小節:in tempoで終わる。 Deum de Deo(41小節 ) ・ Deumの-umの鼻母音の時に飲み込まない。響きが短く切れないように、鼻母音のまま次に 続ける。そのためには前の方で鳴らす。 ・ 3拍目から1拍目に行く時に遅れない。 ・ 49小節:dについている装飾はeではなくesで。その他の(51小節と53小節の)dについてい る装飾はeで。 ・ 52 53小節:Dessusはヘミオラ。 ・ 55小節のDessusの装飾の始まりで一人でもdの音を出す人がいないように。全員がeの音で きれいに鳴らすように気をつける。一人でも短くても音が濁る。73小節のDessusの装飾の 始まりも同じ。全員がbの音できれいに鳴らしてからaの音に降りる。 ・ 72 73小節:ヘミオラ。 ・ 75小節:Deumは一段階落とす。 ・ 78 79小節:ヘミオラ。 ・ 86小節:Genitumのnの発音を早めに。-ni-tumをはっきり。 ・ 87小節:consubstantialemの-sub-を少しはっきりと。裏拍を意識するため。 6 ・ 89小節:per quemから少しテヌート気味に重厚な雰囲気にする。ここからBasseが入って 「すべてが造られた」という歌詞の意味の雰囲気が出るようになっている。ただし、子音を 取るのを忘れない。 ・ 91小節:suntの母音は[o]と[e]の混ざった音。 ・ 92小節 :Qui propter nosから97小節のsalutemにむけてクレッシェンド。 Et incarnatus(110小節 ) ・ 8分音符イネガル。 ・ 111小節の頭や112小節の頭のHaute-contreの「準備された不協和音」を作る役割は大変重 要なので、ちゃんと鳴らして。 ・ 113小節:Haute-contreの装飾は直前のミの音からミファミファミ と始まっているつもり で。装飾前の音から装飾へはレガートにつなげる。 ・ 114小節のMariaのMa-や116小節のVirgineの-gi-や119小節のfactusの-tusは次の拍の頭に くるくらいのタイミングで。 ・ 118 119小節:Haute-contreのfisを低めにした後のgを高めに。fisとgの幅を広く。 ・ 120小節:estの-stは次の(121)小節の頭で言う。 ・ 124小節:estの-stは次の(125)小節の頭で言う。 ・ 128小節:Dessusの装飾はゆっくり目立って大胆に動き始め、止まったらその差を出す。g は高く、fisは低く。半音の幅をかなり広く取る。 ・ 128小節:estの-stは次の小節の頭で言う。 Crucifixus(129小節 Et ascendit(159小節 )*ソリスト担当。 ) ・ 170小節以降:sedet,で切って、その後のsedet ad dexteram Patrisはつなげる。 ・ 172 174小節:Haute-contreのgisとaの幅を広く。 ・ 175小節以降:Et iterum,で切って、その後のet iterum ventrus est cum gloriaは続ける。 ・ 180小節以降:judicare はフォルテ。そこまでと声を変えて。オルガンのストップを変え るような感じ。 ・ 185小節:Dessusの装飾の動きは2拍目で止める。 ・ 189小節 :nonの語尾は[n]でちゃんと閉じる。 ・ cu(長)-jus(短) re(長)-gni(短) non(短) e(長)-rit(短) fi(長)-nis(短)。母音の長短を意識する。違 い、白黒をはっきり出す。 ・ 205小節:in tempo。-nisのsは2拍目の中におさめて3拍目以降のオーケストラを邪魔しない ように。 Et in Spiritum(213小節 )*ソリスト担当。 Et unam sanctam(247小節 ) ・ 3拍目から1拍目に行く時に遅れない。 ・ 白抜き8分音符はほとんどイネガルなしで。白抜き16分音符はきちんとイネガルで。特に253 小節のEcclesiamの-si-のタイミング。Haute-contre以外も少しイネガルになるけれど長さは ある感じ。Haute-contreは長さがない、ほとんど次の小節の頭で言うくらいのつもりで。 ・ 255小節:Confiteorの-te-のタイミング。リズム感出して。 7 ・ Confiteor unum baptismaは続けられる人は続ける。confiteorから目的語のunum baptismaに向かう緊張感を持つ。 ・ Confiteorは強く。unum baptismaはゆるめる。in remissionem peccatorumはさらにゆる める。 Et expecto(263小節 Et vitam(273小節 )*ソリスト担当。 ) ・半音の幅を広く。 ・ 278小節:Dessusのamenの-menは4分音符と4分休符くらいのつもりで、次のフレーズに行 くのに遅れないように。 ・ ・284小節のet vitamからpiuフォルテ。 ・ 292小節:-menにはin tempoで入るが、次の小節に入るタイミングは指揮をみて、それまで -menがなくならないように。 4. Sanctus Sanctus(21小節 ) ・ 8分音符イネガル。 ・ 2拍子で取って軽快な感じ。 ・ fisやcisの音を低めに取ることを意識して。それに対してgやdの音は高めに。 ・ Sanc-は鼻母音の響き、-tusはイの母音が響くように。 ・ 22小節:Dessusの装飾は拍の頭で動かない(タイのついた装飾と同じ扱い)でfisが鳴った ままになっているように。動き始めたら振幅を大きく。その後のd→cを「ビヨン」で締める。 ・ 23小節:Dessusのcisを低めに、dは高めに。この後もずっと同じことに気をつける。 ・ 23小節 24小節:Basseの伸ばしている音は24小節の頭で和音が変わる緊張感を出すために そこに向かってふくらませる。 ・ 27 28小節:Haute-contreのgisの音は低めに、aの音は高めに。 ・ 30小節の装飾は装飾のついている拍の頭で絶対に動かない。 ・ 31小節途中からのsanctus はおまけがつく感じでかわいらしく。 ・ 32小節:Tailleの伸ばしている音(2分音符)は係留音になっているのを感じてふくらませ る。 ・ 32 33小節はin tempoで。 ・ 42小節以降:Pleni はだんだん輝かしくなっていく。Pleniの最初は雲の上の感じ。gloria で光がさしてくる感じ。Hosannaで栄光の行列を讃える感じ。 ・ 44 45小節:DessusとHaute-contreのterraの動きそろえる。ヨン ビ→ヨン ビ→ヨーン (装飾)。「ヨン」から「ビ」にいく動きも大事(終わりは始まり)。 ・ 46 48小節:長く伸ばす音すべて(glo-、glo-、tu-)でそれぞれでクレッシェンドする。gloria の-ri-aは同音なのでイネガルにしないが、48小節最後のDessusの8分音符はイネガルにする。 47小節のTailleの付点8分音符もイネガルにする(付点の場合は同音でもイネガルにする)。 ・ 48小節:Tailleの-aからtuに向けてクレッシェンド。クレッシェンドするためには47小節の -aに入ったらすぐに小さくする。 8 ・ 48小節:Haute-contreの4拍目のgisを低く、次の49小節1拍目のaを高く。この2音で「ビヨ ン」をきかせる。 ・ Hosannaは言葉の切れ目で切れそうで切れない。すべて続いていく感じ。na→in、sis→ho、 na→ho、na→inのつもりで。 ・ 54(76)小節のイネガルを優雅に。ぴょんぴょん跳ねない。55(77)小節の最初の和音は 澄み切った湖のように。この和音ではHaute-contreが長三度の三度を鳴らしているという意 識を特に持って。 ・ 56(78)小節:Haute-contreは小さく始めてクレッシェンドして57(79)小節の1拍目の 属七の和音に向かって緊張感を高める。 ・ 58(80)小節:Tailleのイネガルを優雅に。最後の8分音符を歌い直して59(81)小節に持 っていく感じ。 Benedictus(60小節 )*関西のみ。東京はソリストが担当。 ・ 64小節:Haute-contreの装飾は下から。 ・ 68小節:Tailleは小さく始めてのばしている音でクレッシェンドして69小節の1拍目の属七 の和音に向かって緊張感を高める。 5. Agnus Dei ・ 8分音符イネガル。 ・ 3拍目から1拍目への流れをつねに感じる。3拍目から1拍目が生まれるように。 ・ 4小節ずつフレーズ感を持って。それぞれの最後はおさまる。途中のコンマはないものと思 って次に続くように。 ・ Agnus Deiのそれぞれの母音の発音を意識する。A-は響きが落ちないように。-gnusでは[i] の音を響かせて。Deiの[e]から[i]も響きが落ちないように。 ・ mis-se-re-reの-se-の子音や-re-の子音を早めに言う。直前のイネガルした8分音符のタイミ ングくらいで言ってちょうどいい。 ・ 27小節:Dessusの2拍目のcisは低めに取り、次のdは高めに取って戻す。 ・ 32小節3拍目 36小節はソロ。(関西のみ:35小節のTailleは-ca-に入ったらsubito pianoに してその後ふくらませる。 36小節のmun→diは時間取ってもったいつけてかまわないので さっさと行かない。) ・ 37 40小節:Haute-contreとBasseはヘミオラ、DessusとTailleはもとの3拍子のまま、の 感じになっている。 ・ 39小節:Dessusのタイのついた装飾は2拍目の頭で動かず、fisが鳴ったままになっているよ うに。動き始めたら振幅を大きく。 ・ 39小節:Tailleの3拍目のcisは長三度を低めに、次のdの音は高めに取る。 Marc-Antoine Charpentier, In Nativitatem Domini nostri Jesu Christi Canticum H.414 ・ 小さなオラトリオ。語り手、天使、羊飼いが登場する。羊飼いが番をしていた夜に光が射し、 怖がる羊飼いに天使が現れ、今日救い主がお生まれになったという喜びを伝え、羊飼いがベ 9 ツレヘムにでかけ、飼い葉桶に眠る幼子を拝み、賛美をささげた、というストーリー。羊飼 いのところを合唱で歌う。 楽譜正誤表 頁# 小節# パート 訂正内容 17 310 Taille 歌詞 Assimiles の-mi-と luvium の-vi-を最後の 8 分 音符に移動させる。 注意点 Surgamus(148小節 ) (上から女声1、女声2、女声3、女声4、Taille、Basseと表記します) ・ 8分音符の順次進行で、2拍目や4拍目の裏から3拍目や1拍目の表にかかっているスラーは重 要なイネガルのサイン。ここで減速しない。ただし、ぴょんぴょん跳ねない。イネガルが強 くなりすぎないように。 ・ surgamusのsur-ga-、properemusの-pe-re-、eamusのe-a-を「ビヨン」と感じる、など、言 葉ごとにどこが「ビヨン」にあたるかを感じる。 ・ festinemusのfes-ti-の同音反復は最初の音がスタッカートで後の後がテヌートのようなイ メージで。-ti-ne-で「ビヨン」。 ・ -musの母音では[i]の音が響くように。 ・ Bethleemの-le-から-emは狭いエ(イに近い)から広いエに言い直す。 ・ 152小節のTailleの前半の8分音符4つ(-mus usque)はイネガルにしていると間に合わない のでイネガルしないで。 ・ 156小節&170小節:usqueのsは早めに言う。-queからBeth-の流れを感じ、Beth-でいった んぬいてから-le-emで「ビヨン」。 ・ 156小節 :女声2のcis、gisを低く。 ・ 160小節以降のqui natus est nobis(上3声)はレガートに。 ・ 167小節 ・ 172 :女声2のgisを低く。 183小節:下3声は上3声と違う神学的な内容を歌っているのでそのような諭すような 重厚な響きで。 ・ 172小節 :Ibi laudabimusのIbiの後早めに[l]の音を作る。 ・ 177小節:女声3のイネガルが跳ねないように。 ・ 180 181小節:上3声のeamusは消えるように。 ・ 182小節:Basseの装飾は最初のhの音を4分音符の1拍分伸ばして2拍目から動く。 ・ 182小節以降:quidは鐘を鳴らすようなイメージで音の立ち上がりをとても早く。 ・ 183小節:女声2のcisを低く、次の184小節のdを高く。 ・ quidのdは[t]の音で。 10 ・ 187小節:O pastoresの出だしo pas-は小さく、-to-でふくらませる。 ・ 187小節 :pastoresのpas-や-resのsは早めに言う。 Salve, puerule(268小節 ) (上からDessus 1、Dessus 2、Haute-contre、Taille、Basseと表記します) ・ 演奏順は、1番ソロ(268 291)→1番合唱(292 315)→リトルネッロ(316 339)→2番ソロ (268 291)→2番リトルネッロ(316 339)→3番ソロ(268 291)→3番合唱(292 315) 。 ・ 8分音符イネガル。付点の後の8分音符もイネガルにするのを忘れない。その8分音符から次 の音符に行くのに遅れない。 ・ pueruleのpu-e-、-ru-leがそれぞれ「ビヨン」。 「ビ」にあたるpu-と-ru-で響きを作る。他の 言葉でもどこが「ビヨン」にあたるか意識する。tenelluleのte-nel-、-lu-le、parvuleの-vu-le など。「ヨン」にあたるところで遅れない。子音を前に出して。 ・ この曲全体で、付点4分音符の後の8分音符は「ビ」にあたるところ。付点4分音符よりも響 かせて。逆にならないように。 ・ 4小節ひとまとまりのフレーズ。その間ブレスしない。流れるように。1小節目の3拍目から 2小節目の1拍目への流れ、3小節目の3拍目から4小節目の1拍目への流れを感じる。 ・ Quam bonus es「なんて良いおかた!」。 「なんて」にあたるのがQuam。Quamには何とな く入らないで、感動して。音量は少し落として、心温まる感じに。 ・ 300小節:1番も3番も少し大きめに入る。 ・ 308小節:te’ut のeは軽く、uの方を出して。 ・ 313 315小節:ヘミオラなので、miserisとAssimilesの間では切らない。 ・ 1番が終わるところで遅くしない。次にリトルネッロにすぐ続くので。 ・ 298小節:DentのDen-はデンではなく、ダ(ン)[dã](前の方のアの鼻母音。semperなど と同じ)。 11
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