税制改正を踏まえて~3月決算の税務ポイント

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2015.2.20 Fri.
税務
設備投資や給与支給関係の優遇税制など
税制改正を踏まえて~3月決算の税務ポイント
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3月決算法人の期末が近づいている。今回の決算と確定申告においては、平成 26 年度税制改正項目や平成 26 年4月の消費税率引
き上げを踏まえての取り扱いが必要となる。設備投資や給与支給関係の税制優遇措置、交際費等の損金不算入制度の緩和、新消費税
率が適用される資産の譲渡等の時期など、今回の決算における税務取り扱いのポイントを解説する。
等の支給を受けた一定の者で、前期をもって退職した者
や当期の新入社員は含まれない。従って、前期の平均給
平成 26 年度改正による「生産性向上設備投資
与額は一般的に給与水準の高い退職者給与を除いて、ま
促進税制」と平成 25 年度改正による「生産等
た当期の平均給与額は給与水準の低い新入社員給与を除
設備投資促進税制」はともに生産等設備関係の
優遇税制だが、基本的な適用の仕組みが異なる。 いて算定され、要件判定において平均給与額の実体的改
善をより適切に反映させる趣旨の改正とされている。
「生産性向上設備投資促進税制」と「生産等設備投資
ポイント3 接待飲食費の 50%損金算入と少額飲食費
促進税制」は、ともに「生産等設備」(法人の事業の用に
直接供される建物や機械などの減価償却資産で構成され
交際費等に該当する一定の飲食費の 50%相当
額の損金算入が可能とされたが、
「少額飲食費」
ている設備で、福利厚生施設など一定のものを除く)に
を除いた後の飲食費の額の 50%相当額である。
関係する措置(一定の特別償却と特別税額控除の選択適
用)である。しかし、前者は、工業会の証明や経済産業
平成 26 年度改正により、交際費等に該当する飲食費
局の確認を受けた一定の生産性向上設備等の個々の取得
(いわゆる社内飲食費を除く)の 50%相当額の損金算入
等に適用がある一方、後者はその事業年度に取得等した
が可能とされ、中小法人だけでなく資本金1億円超の法
生産等資産(1 または 2 以上の生産等設備を構成する一
人にも適用される(中小法人は定額控除限度額までの損
定の減価償却資産)の取得価額の合計額が減価償却資産
金算入と選択適用)。交際費等に該当する飲食費(社内飲
全体の償却費の金額を超えることなど、合計額ベースの
食費を除く)で、1人当たり 5 千円以下の少額飲食費は、
要件を満たす場合に、当該生産等資産のうち新品の機械
改正前より交際費等から除外することになっており、
および装置に適用される。このように、両者は適用の仕
50%相当額もこの少額飲食費を除いたベースで計算する。
組みが異なることに留意したい(下表)。
ポイント4
資産の譲渡等の時期と新消費税率の適用
ポイント1
「生産等設備」関係の2つの優遇税制
生産性向上設備投資促
進税制
対象設備
個々に要件を満たす一
定の生産性向上設備等
最終適用
年度
3月決算法人は平成 29
年3月期
生産等設備投資促進税
制
合計額ベースの要件充
当を前提に一定の新品
の機械および装置
3月決算法人は平成 27
年3月期(注)
(注)平成 27 年度税制改正大綱では、生産等設備投資促進税制は期限
到来をもって廃止するとされている
ポイント2
所得拡大促進税制における「継続雇用者」
「平均給与等支給額要件」は、前期と当期の両
方で給与等の支給を受けた「継続雇用者」ベー
スで判定する。
所得拡大促進税制にかかる平成 26 年度改正により、
給与等支給総額の増加割合要件が、一定の事業年度につ
いて5%から2%、または3%へ緩和されるとともに、
平均給与等支給額要件の判定ベースが「継続雇用者」と
された。継続雇用者とは、前期および当期の両方で給与
引き上げ後の消費税率は、原則として資産の譲
渡等が平成 26 年4月1日以後に行われた場合
に適用されるが、資産の譲渡等の時期は取引の
態様ごとに定められている。
引き上げ後の消費税率は、経過措置が適用される場合
を除き、平成 26 年 4 月 1 日以後に行われた資産の譲渡
等および課税仕入れ等に適用されているが、同日以後に
行われたかどうかは取引の態様ごとに以下の時期による。
主な取引態様
棚卸資産
請負
固定資産
原則的な資産の譲渡等の時期
引き渡しのあった日
目的物の全部を完成して相手に引き渡した日(物
の引き渡しを要するもの)
、または約した役務の全
部を完了した日(物の引き渡しを要しないもの)
引き渡しのあった日
(参考)平成 26 年4月1日をまたぐ資産の譲渡等で、販売側と仕入れ側で
収益・費用の計上基準が異なる場合の取り扱いなどが国税庁の解説(平成
26 年 1 月「消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&
A」
)で示されている
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