OUR STORY 研究開発 技術革新こそ、企業の持続的成長に向けた核となるものです。また革新技術 をベースとした、市場や顧客への新たな価値の提供を通じて、人々の暮らし を豊かにし、社会の発展に貢献することが、すなわち帝人グループの掲げる 「Quality of Lifeの向上」を実現することにほかなりません。この認識のもと、 基礎研究を含むグループ全体の研究開発戦略を策定し、グループ各社の連携を 強化して、技術開発力の向上と研究成果の早期実現を図っています。 研究開発戦略 「修正中期計画」では、発展戦略の主要施策として「複合化」 けて取り組んでいます。サプライチェーンやビジネスモデル と「融合」による「ソリューション提供」の実現に向けた重点 の変革を念頭に置き、素材などの一次製品の提供だけではな 資源投入を行っています。これを受け、研究開発面では、高 く付加価値をつけた部材・デバイスまでを作り上げて納入す 機能素材、ヘルスケア、ITという3つの異なる事業の強みを る、またヘルスケア分野でIT技術を活用し新しいサービスを 複合化、融合し、競争力のある素材を用いたソリューション 提供するなど、異なるビジネス領域の融合による価値創造、 提供型ビジネスの構築による新たな高収益事業の創出に向 ポートフォリオ変革に積極的に取り組んでいきます。 研究開発拠点 研究開発の拠点はグローバルに拡がっています。国内8ヵ 所、海外7ヵ所のグローバル研究開発ネットワークにおい て、基礎研究を含めたグループ全体の研究開発戦略に基づ く研究開発活動を推進しています。 [帝人グループの研究開発拠点] 海外7ヵ所 イギリス 中国 DuPont Teijin Films UK Limited アメリカ Teijin Advanced Composites America Inc. (炭素繊維複合材料) 帝人(中国)商品開発センター (繊維ほか) 帝人化成複合塑料(上海) 有限公司 NanoGram Corporation (新事業) (樹脂) ドイツ Toho Tenax Europe GmbH (炭素繊維) オランダ Teijin Aramid B.V. (アラミド繊維) 国内8ヵ所 静岡 東邦テナックス (株) 東京 (炭素繊維) 東京研究センター (ヘルスケア・新事業) 岡山 帝人ナカシマメディカル (株) 千葉 (新規ヘルスケア) プラスチックス テクニカルセンター 三原 (樹脂) (樹脂) 岐阜 帝人デュポンフィルム (株) 山口 岩国研究センター (ヘルスケア・新事業) 松山 技術開発センター (高機能繊維・複合材料、樹脂) TEIJIN LIMITED 統合報告書 2016 37 研究開発費投資 売上高の4∼5%を研究開発へ継続して投入するという方 針のもと、成長分野に特化した重点的・効率的な資源投入を 行っていきます。 2016年度 配分イメージ ■ 重点戦略事業 ■ 新規事業・コーポレート 2015年度の研究開発費は333億円(前年度比9億円増)と ■ その他 なりました。 研究開発への資源配分としては、研究開発費のおよそ8割 を重点領域であるヘルスケア、高機能繊維・複合繊維、およ び新規事業に投入します。 技術系人材の育成 高分子・バイオ関連分野の大学教授や研究者が集まるフォー 誉フェローにご就任いただいている根岸英一 米・パデュー大 ラムの開催、学界・学術研究機関などの有識者による技術アド 学特別教授には、国内研究員のコンサルテーションと「Teijin バイザリー会議の開催、国内外の最先端研究機関への若手研究 Limited Director of the Negishi-Brown Institute」としての 員派遣などを積極的に推進しています。 派遣研究員への直接のご指導を継続してお願いしており、いく 2010年度のノーベル化学賞を受賞され、帝人グループの名 つかの新しい技術開発成果が生まれつつあります。 オープンイノベーション 新事業創出に向けた研究開発を促進するために、社内外と の連携を強化する「オープンイノベーション戦略」を掲げてい 同研究や情報交換・人材交流を進めることで、顧客の求めるソ リューションを高い次元でタイムリーに提供していくものです。 ます。これは、研究開発を帝人グループ内のみで完結させるの ではなく、産官学の幅広い分野でネットワークを形成し、共 知的財産戦略 事業戦略、技術戦略、知財戦略の三位一体運営を推進するた ポートフォリオ構築および知財リソースの適正化を図っていま め、知財活動の戦略視点での遂行を強化しています。量から質へ す。また特許や商標などの保護や活用だけでなく、ノウハウや営 の転換、グローバル化に対応したグローバル出願率向上を引き 業秘密の保護については、全社での取り組みを強化しています。 続き推進していくとともに、構造改革、発展戦略に即した知財 2015年度の国内特許出願件数 ■ 高機能繊維・複合材料 87 ■ 電子材料・化成品 76 ■ ヘルスケア 27 ■ 新事業ほか 98 合計 グローバル出願比率(%) 30 20 10 288 0 11 38 TEIJIN LIMITED 統合報告書 2016 12 13 14 15(年度) OUR STORY イノベーションプロジェクト TOPICS 帝人グループでは2014年度より、新たなビジネス領域の開拓に向けてプロジェクト認定制度を設け、CEO直轄組織を含む プロジェクト推進に向けたタスクフォースの編成を進めており、開発予算への支援および人財の確保を行っています。 【プロジェクト認定要件】 1. ビジネスモデルの変革と、持続的な収益獲得が期待できること 2. 帝人グループの特長を活かした、融合領域での事業機会創出 すでに事業化に着手した案件に加え、企画・評価段階の案件を含めて新規テーマの認定は着実に増加しています。 認定プロジェクト例 ① 素材 IT スマートセンシング 認定プロジェクト例 ② 睡眠ソリューション ヘルス ケア IT 帝人の素材技術を活かした『電波を制御するシート』=「セ 寝つきをサポートする新たなソリューションとして、この ルフォーム」の2次元通信技術を応用し、RFID棚管理システ 度ウェアラブルセンサーとスマートフォン用アプリをセッ ム「レコピック」として事業展開を図っています。出庫・在庫 トにした「2breathe(ツーブリーズ)」の販売を開始しまし 状況・所在把握を正確かつ効率的に管理できる性能を活か た。これはスマートフォンから発せられるガイド音に合わせ し、図書・機密文書や医療機器などの物品の管理システムへ ることでゆったりとした呼吸を導く、全く新しい概念の休息 の展開を進めています。また、 「セルフォーム」と(株)タグ ソリューションです。帝人はすでに、睡眠時間を記録するサ キャストのビーコン技術「TAGCAST」の組み合わせにより、 イト「ねむログ」や睡眠情報メディア「Fuminners(フミナー スマートフォンやタブレットを置くことでネットワークへ ズ)」といった睡眠関連のマーケティング事業も展開してお の接続を認証する世界初のシート型ビーコンである り、睡眠に悩みを抱えている方々へのソリューション提供の 「PaperBeacon(ペーパービーコン)」を開発し、2015年6 充実を図っていきます。 月より販売を開始しました。 PaperBeacon (ペーパービーコン) レコピック 上記のほかにも、高 2breathe (ツーブリーズ) 性軽量構造材[素材複合化]、スーパー大麦[機能性食品素材]をはじめとして、さらなるプロジェクト の開発・評価が進展しています。 TEIJIN LIMITED 統合報告書 2016 39
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