英国との国際交流モニュメント『普遍の真理』制作!

英国との国際交流モニュメント『普遍の真理』制作!
長和町の黒耀石鉱山と英国セットフォードのフリント鉱山の国際姉妹遺跡がご縁ではじ
まった、その名も『歴史遺産を活かした国際交流事業』
。
平成 24 年に長和町の羽田健一郎町長がセットフォードを訪れ、合併 10 周年に建設する
町の新庁舎に両地域の交流を記念するフリントを飾りたいと提案しました。その後、セッ
トフォード側からもフリントの提供について応援の約束を頂き、昨年から黒耀石とフリン
トによる国際交流モニュメントの制作について準備を進めてきました。
今年の 5 月、英国からセインズベリー日本藝術研究所のサイモン・ケイナー氏とフリン
ト建築家であり芸術家のデビット・スミスさんが来日し、モニュメントのコンセプトやデ
ザイン、制作の方法などについて具体的な相談がはじまり、いよいよ、10 月 6 日から長和
町でその制作がスタートしました。
ここでは、その様子を紹介しましょう。
協議中のモニュメントデザインです。テーマは『普遍の真理』。
背景には、およそ 94 万前の和田峠の噴火に伴って発生した黒耀石を含む白い火砕流の地層
を配置します。その前面に過去・現在・未来を臨む窓を持つ 3 つのパネルが並びます。
中央の窓枠の内部には、黒耀石が、そして、その周囲には、セットフォードのフリント
と黒耀石のモザイクが展開します。全体のレイアウトや、それぞれのデザインには、様々
なメッセージが込められていますが、そのコンセプトについては、広報で紹介します。
『モニュメント制作日記、その 1 デビットさんと共同制作始まる』
① 10 月 5 日、英国からデビット・スミスさん来町。アトリエは黒耀石体験ミュージアム
のそばにある緑地等管理中央センターに。宿から毎日、歩いて通うことに。
② パネルの枠を作ってくださった地元の大工さんたちや通訳の笹澤さんと懇談。フリント
や黒耀石の話を熱心に聞いてくださいました。たくさんの人が関わって進むモニュメント
づくり、
「きっと、いい作品にしますね。
」
③ 作業開始!デビットさんは、モザイク用にフリントの形を整えるところから。フリント
の祖型はデビットさんとフリント細工の名人として有名な師匠のジョン・ロード氏によっ
てつくられ、長和町に空輸。その素材を、長和町の石工職人さんが耐震用に薄くカットし
てくれました。デビットさんも石工さんの技術に思わず、「ワンダフル!」
④ 地元の黒耀石もフリントと一緒に張り込むことになりました。
⑤ さて、素材を窓の周囲に並べていきます。レイアウトのデザインイメージは、デビット
さんの頭の中に。
⑥ ボンドで一個ずつフリントタイルを張り込んでいきます。
⑦ 3 枚目の未来のパネルは、デビットさん得意のギャレッティング。剥片をモルタルに挟
み込むようにして接着し、美しい流れを作り出します。
⑧ ギャレット=剥片です。未来のパネルは『融合』を合言葉に、フリントと黒耀石の両方
を使用しました。二つの石の砕片を過熱してつくったチップも加え、まさに、世界初の試
みです。
⑨ フリントと黒耀石のギャレッとは、新たな流れを生み出しているかのようです。
英国で見たギャレッとの雰囲気とはまた異なる美しさに仕上がりました。
⑩ フリントモザイクの周囲のモルタルも、自分たちで製作。移送中のひび割れや剥落が心
配されましたが、デビットさんはいたってご機嫌。モルタルを練りながら、彼、曰く…「ま
るで、パティシエの様だね♪」
⑪ 移送中にモルタルが剥がれないよう、下地にカチオンという定着財を塗って、凹凸のあ
る接着面を準備しました。
⑫ タイルの小さな隙間からモルタルを塗り始めました。
⑬ モルタルの接着強度の実験を経て、いよいよ本番。接着強化の○○を練り込んだモルタ
ルをケーキ職人のように塗りこんでいきます。モルタルは 2 度塗りで仕上げていきます。
⑭ 相談の結果、砂粒状の黒耀石や火砕流、ローム層などをブレンドしてオリジナルのニュ
ーモルタルをつくることに。
⑮ 和田峠の麓、三の又沢の火砕流地層も自分の目で確認。モルタルのイメージをつかみま
した。茶色いローム層も朝一で、掘り出し、準備 OK!
⑯ 背面に配置される、三の又沢の火砕流地層を剥ぎ取ったパネル。黒耀石は火砕流の流れ
を示しています。
⑰ 将棋をさしているのではなく、モルタル製作中!2 度目に塗るモルタルに、ローム粒子
や砂粒状の黒耀石を思い描いたデザインに沿ってまき散らし、ブラシでたたく様にしてモ
ルタルに埋め込んでいきます。
⑱ 10 月 14 日、張り込み終了!三の又沢の火砕流の地層の剥ぎ取りと並べてみました。
素材づくりに協力してくれたミュージアムのお母さんたちも出来栄えを見学に。
⑰デビットさんの所属する「フリントマンカンパニー」の社名をお土産のヘルメットに『燧
石工』と漢字で書き込みました。ご満悦の笑顔は、肩の荷が少し軽くなったことを伝える
ものでした。いつも笑顔で相談を重ねながら作業を進めていたデビットさんでしたが、悩
みながら眠れない日々を過ごしたようです。クリーニングは、お任せください。
⑲ 『フリントマンカンパニー』の WEB サイトには、早速、このモニュメントの写真が。