デジタル通信へのお誘い

デジタル通信へのお誘い H23年11月27日
JA1GHR 坂村
【1】デジタル通信の面白さと特徴
①ここでは、RTTY と PSK について説明します。(SSTV や、今はやりの JT65 については略)
いずれも、音声帯域である3 Khz のバンド幅内での運用となるが、音声と異なり使用帯域を
狭くすることにより、S/N 改善を図っている。 つまりより少ない送信電力で遠距離まで届く。
したがって、DX(海外などの遠距離)通信に最も強いのはCW(電信)通信だが、
「しゃべるのが面倒」とか、「CWは苦手」という人が、「簡易な設備とローパワーで海外局と
QSOしたい」という場合に最適の通信手段。 (SSTVは音声帯域3Khzをフルに使用)
特に、PSK-31は CWに近い帯域幅なのでDX通信向き。 ⇒『狭帯域デジタル』
②RTTYの簡単な原理
RTTY は、“Radio Teletype” の略で、バイナリ符号の“1”と“0” を “マーク”と“スペース”により
表わす。 英数字一文字を5ビットで表わし、その前後にスペースとマークを割り当てる決まりに
なっている。 よって、一文字を表わすのに7ビット使う。
アマチュア無線でよく使われるのはダウンシフトでマークの周波数より 170 Hz 低い周波数が
スペースになっている。 従って受信機のフィルター幅は250Hzくらいが望ましい。
変調方式は FSK(Frequency Shift Keying)だが、その実現方法は二通りあり、注意が必要。
最近のリグは RTTY モードが付いているのが多いので、PC 側からマーク・スペース信号を送る
(つまり “1”と“0”)だけでリグが自動的に170 Hz 差の搬送波を直接送出する。⇒FSK
一方、搬送波に乗せる信号を AF(音声信号)段でシフトさせても同じ電波が出せる。⇒AFSK
これを AFSK と言う。 AF段やSSB変調器の直線性が悪いと電波の質が悪くなるので注意。
MMTTY は両方に対応できるようになっているので、どちらを使うかあらかじめ決めておく事が
必要。
③PSKについて
BPSKとQPSKがあるが、よく使われているのはBPSKで、通信速度は31Hz(Baud)が良く
使われている。 RTTYと違って“文字”を表わす符合の長さが一定でなく、よく使われる文字は
短く、あまり使用頻度の高くないものは長くなっている。
英文では大文字よりも小文字のほうが使用頻度が高いので、デジタル符号長は短くしてある。
RTTYはマークとスペースの周波数差が170Hzなので、受信フィルターはそれよりも狭くす ることは出来ないが、PSKでは100Hz以下にすることも可能
そのため、S/Nを良くすることが出来、CW並みのDX通信が可能
【2】使用ソフトウェアーとインストール
ここでは森さん(JE3HHT)が開発したフリーフェアー・「MMTTY」を取り上げて説明、
ソフトウェアーは無料でインターネットからダウンロードできる。
インストール時にダウンロードしたファイルを開き、指示どうりに展開すればOK、
使用者のコールサインを入力する必要がある。 C:¥MMTTY
インターネット上で、『MMTTY』で検索すると、いっぱい出てくるが、
JARTS:http://jarts.web.fc2.com/ に豊富な情報あり。
運用ノウハウの参考になるのは、JA1WSKのサイトがすばらしい: http://home.b01.itscom.net/ja1wsk/mmtty00.html
【3】パソコン(PC)とのインターフェース
最初に考慮しなければいけないのが、PC 側のインターフェースが、「USB か RS232C か」です。
ソフトウェアーは、RS232C インターフェースを前提に作られているため、古い PC 等で、RC232C
が付いている場合は楽ですが、 最近の PC は USB がほとんどなので、変換機能が必要です。
インターフェース機能は基本的には「音声信号のレベル変換と送受信切り替え信号伝達」です。
参考資料(今となっては古い!):RS-232Cインターフェースの場合の回路図
市販品はインターネット等で購入可能
【4】運用方法
(1)・・・・概論・・・・
・CWなみの使用帯域幅なので、相手を探すときは、10hz単位で周波数を微調整できるとFB。
また、相手の送信周波数が動いたとき、それを追いかけてはいけないことが多い。
したがって、RITやクラリファイヤーを使用するか、スプリット運用が可能なリグ(VFOが二つあ る)では、送信と受信を別々のVFOで設定するのも良い。
ただし、PSK/MMvariの場合は、ソフトウェアーの画面上で送信周波数を受信周波数とは別に
設定できる機能がある。(右クリックで「送信周波数をここに設定」というコマンドあり。
・RTTYはFSKであるため、あまり電波の歪みを気にせずフルパワーで運用可能だが、PSKは
歪みのある電波だと了解度が悪くなることから、ALCが働かない範囲で送信するのが良いとされ
ている。 実際にはフルパワーの40%くらい、つまり最大出力100Wの送信機なら40W位で
運用すると良い。
(2)・・・・実際・・・・
MMTTY を開くと最初に出てくる画面で、
右上に「WaterFall」がありますが、「表示」コマンドで「XYスコープを開く」とするとFB、
十字の波形(リサージュ)が表示される。
この波形が正確に「たて」と「よこ」になった時が相手信号へ同調した状態
かなり正確に合わせないと文字化けが起きる。
QSOしたい相手のコールサインにカーソルをあてて、左クリックすると「Call」Boxに
取り込まれる。 キーボードから入力してもOK
「DE3」を押すと自分のコールが発射される。
応答があったら、「QSO」ボタンを押す。 この時点でログに開始時間がインプットされる。
終了時には、再度「QSO」ボタンを押す。 と同時に「Call」枠から相手のコールサインが消え、
ログ帳にデータが自動記録される。 いちいちセーブする必要はない。
相手が名前を送ってきた場合は、クリックで「Name」欄に取り込むと、相手へ“~さん”、
と送信文に自動引用可能
(3)・・・・画面設定と説明・・・・
『Demodulator』という枠が上の方にあります。
Mark ・・・2125 Hz キャリヤーポイントから下にシフトさせる周波数差
Shift ・・・ 170 Hz マークの周波数から下にシフトさせる周波数差=スペース
「横バー」は信号強度を表示、その中の縦棒はカーソルを当てて左クリックし、
信号があるときのみ緑のバーが現れるに縦棒の位置を設定する。
②画面に出ている「ボタン」の意味と役割
・『Type』 復調器の種類で電波伝搬の状況により使分けする。 ここでは略
・『Rev』 リバースのこと。 RTTY 信号の‘1/0’を逆にさせる機能
・『HAM』 アマチュア無線で使われている標準的なマークの周波数とシフト幅に設定する
・『SQ』 スケルチの意味、入力レベルが大きい時はオンにすると文字化けが減る
・『Not』 ノッチのこと、170hz内のあるビート信号を抑圧する。 あまり使わない。
・『BPF』 バンドパスフィルターのこと。 略
・『TX』 押すと送信状態になる
・『TXOFF』 押すと送信状態が解除される
・『ATC』 Automatic Threathold Control 自動閾値調整
・『NET』 オン(押した状態)で送信周波数と受信周波数を一致させる
・『AFC』 Automatic Frequency Control 受信周波数に送信周波数を自動的に追尾する
通常、「オフ」で使用することが多い。 要注意!
・「Macro」 定形文を登録しておくところ。 キーボードが苦手の人にはこれが便利!
・『QSO』 Call の欄に相手局コールが入っているときに、このボタンを押すと
QSO の開始時刻がインプットされ、QSO 終了時にもう一度このボタンを押すと
ログに終了時刻がインプットされると同時に QSO データが登録される。
・『Data』 使用した事がないので不明(Hi)
・『Init』 Call 欄に入っているデータを消去するボタン
・『Find』 Call 欄に入っている CallSign を過去のデータと照合・検索する。
・「Name」 相手の名前を入れる欄
★PSK-31( Mmvari )の場合の注意点
bPSKでは、リグのモードがUSBでもLSBでもかまわない。
USBの場合、キャリヤーポイントから1500Hz上で送信するのでバンドエッジでの運用には
注意が必要。
実際には、MMvariの画面上でクリックすることで、音声帯域3Khzの中であれば(フィルター
の帯域内なら、の意)任意の周波数で送信が可能 ⇒1500Hzにこだわらなくてよい。
信号の幅が非常に狭いため、相手局の周波数に正確に合わせてコールしないと取って
もらえない。 よって必ず「RITやクラリファイヤー」はオフにすることが必要。
ただし、DXの珍局などがスプリットを指定した場合はこの限りでない。
また、狭いバンド内で多くの局が出られるため、希望の局を探すのに苦労するが、
私の場合は、SSBの帯域幅3Khzをフルに画面に出しておき、信号のあるところを画面上で
“クリック”して選局している。
【5】DX運用のノウハウ
Dx局がパイルアップをさばいているような場合は、RSTレポート交換のみの短い文章で。
状況を見ながら名前やQTHを追加したりグリッドロケーターを加えていく。
ラグチュウースタイルの場合は、更に自局のアンテナ、リグ、送信電力なども追加。
以上の3つパターンを定形文に登録しておくと、キーボードを使わずにクリックのみで
QSOができてしまう。
珍局とのQSOでだらだらとリグ・アンテナの紹介などをしているとつぶされる。 Hi Hi
ほかの人も早くQSOをしたいのだから、送信は短く!!!
スプリット運用の場合は、相手がどこの周波数を聞いてるかを早く探るのがコツ。
【6】局免許申請関係
・当局の場合の申請資料・送信系統図添付
・参考図書: HAM Journal シリーズ 10 臨時増刊(2001 年 8 月) ・・・絶版・・
「PSK31・RTTY入門」 JH1BIH 相原 寛 著