東日本大震災全国消防団報告研修会 日本消防協会理事会の開催

平成23年9月10日発行 毎月1回10日発行 第64巻第9号
日
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第
九
号
財
団
法
人
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本
消
防
協
会
● 東日本大震災全国消防団報告研修会
● 日本消防協会理事会の開催
9
2011
日本消防
2011
CONTENTS
9
Vol.64 No.9
口 絵 台風12号による豪雨災害
(財)日本消防協会理事会開催 H23.9.6(火)
於 日本消防会館
(財)岡山県消防協会及び(財)香川県消防協会に
災害対策支援金を交付
(財)日本消防協会
巻頭言 「災害時における情報の共有について」……財団法人 鳥取県消防協会 会長 門脇 正人 ……1
財団法人日本消防協会理事会の開催及び生活協同組合全日本消防人共済会理事会の開催 ……………………3
東日本大震災全国消防団報告研修会 …………………………………………………………………………………5
報告盧「東日本大震災:大津波がすべてを変えた」…宮城県気仙沼市消防団 分団長 村上 貴敏 ……6
報告盪「東日本大震災:南相馬市の状況と消防団活動」福島県南相馬市消防団 副団長 長澤 初男 …13
東日本大震災災害活動報告 …………………………………茨城県北茨城市消防団 団長 飛田 和義 …21
東日本大震災災害活動報告 …………………………………宮城県多賀城市消防団 団長 佐藤
一朗 …23
東日本大震災災害活動報告 …………………………………福島県須賀川市消防団 団長 佐藤 茂 …25
ラジオ番組「おはよう!ニッポン全国消防団」出演者紹介 …………………財団法人 日本消防協会 …27
「図上訓練による消防署と消防団との消防連携の強化について」 奥多摩町消防団 団長 長田 一雄 …28
事業所に対する消防団活動への理解と協力の呼びかけ …………………………総務省消防庁 防災課 …31
特別表彰「まとい」を受章して「地域を愛し地域に根ざし地域を守る信頼される消防団を目指して」
…………………………………………………………………鹿児島県宇検村消防団 団長 保池 久 …32
特別表彰「まとい」を受章して「おらが町の消防団」
………………………………………………北海道北留萌消防組合 遠別町消防団 団長 闍橋 豊 …34
東西南北(香川県)
「地域防災の要を目指して」 …………………観音寺市消防団 団長 大西 光雄 …36
東西南北(福島県)
「地域に頼られる消防団であるために」 …会津若松市消防団 団長 佐藤 恒男 …38
東西南北(奈良県)
「地域に根ざした消防団活動を!」 ……………御所市消防団 団長 西口 茂敏 …40
シンフォニー(滋賀県)
「女性分団!これからの私たち」
……………………………………………………………近江市消防団 女性分団 分団長 辻 千亜紀 …42
…………………………………………………………………………………………副分団長 中西 恵
うちの名物団員 ………………………………………………………………………………………………………44
消防団の広場(茨城県)
「応急手当の普及に向けて」 ………土浦市消防団女性部 部長 清水 裕美 …46
10月の日本消防協会関係行事
編集後記
表紙写真説明
「会津まつり」
会津のシンボル鶴ヶ城をメイン会場として開催される会津最大のイベントです。会津で活躍
した勇将猛将を再現。甲冑武者姿の武者行列が歴史絵巻を繰り広げます。「ならぬことはなら
ぬ」信義を貫き通した“会津の心”をご覧ください。
(福島県会津若松市)
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台風12号による豪雨災害
被災地状況(奈良県五条市)<奈良県消防協会 提供>
(財)
日本消防協会理事会開催
平成23年9月6日(火) 於 日本消防会館
(財)岡山県消防協会及び(財)香川県消防協会に災害対策支援金を交付
(財)日本消防協会
平成23年8月9日から同月14日まで続いた林野火災において災害活動に従事した消防団
員を支援するため、財団法人岡山県消防協会及び財団法人香川県消防協会の両会長に災害
対策支援金を交付しました。
林野火災の状況(香川県・岡山県 井島)<香川県防災局危機管理課 提供>
災害対策支援金の贈呈(岡山県)
災害対策支援金の贈呈(香川県)
巻 頭 言
「災害時における情報の共有について」
財団法人 鳥取県消防協会 会長 門脇 正人
去る3月11日に発生しました東日本大震
害が発生しました。その中でも県内の東西
災で犠牲になられたかたがたのご冥福を心
を結ぶ大動脈、そして生活道路である国道
からお祈り申し上げますとともに、被災さ
9号線が、私の住む鳥取県琴浦町から隣接
れました皆様方に対しまして衷心よりお見
する大山町まで23キロにわたり大渋滞とな
舞い申し上げます。そして、一日も早い復
り、42時間、約2日間完全にストップしま
旧復興をお祈り申し上げます。
した。おりしも大晦日、帰省客や観光客等
災害時における情報の共有は、被災地が
の大型バス、乗用車、大型トラックなど約
広範囲になればなるほど難しく情報が入り
1,000台が立ち往生しました。原因はタン
にくく、情報収集も困難になってきます。
クローリー車がスリップ事故で国道9号線
災害時には各市町村の行政、消防署、警察
をふさいだことで渋滞を引き起こし、その
等に出動要請の電話が殺到するため、対応
事故処理を行っている短時間の間に40セン
だけでも大変です。平日ならまだしも年末
チ前後の積雪があり、各車両が動けなくな
年始であれば最悪で、担当者もパニック状
って始まった災害です。
態になります。東日本大震災には遠く及び
消防団員は町の職員と一緒に道路上の倒
ませんが、鳥取県で起きた年末年始の豪雪
木の除去、鳥取県から供出要請のあった
について話してみたいと思います。
600枚の毛布等を停まっている車に配布し
鳥取県は日本列島本島の西端に位置する
中国地方の北東部に位置し、東西約120袰、
ました。
また、
国交省や県からの情報が少ない中、
南北約20∼50袰と、東西にやや細長い県で
町長の「皆で情報を共有し、琴浦町で出来
す。北は日本海に面し、鳥取砂丘をはじめ
ることからやろうじゃないか!」との一言
とする白砂青松の海岸線が続き、南には、
で、全員の気持ちがひとつになり、沿線住
中国地方の最高峰・大山をはじめ、中国山
民や事業所等の人達が炊き出しをしてくれ
地の山々が連なっています。気候は比較的
たおにぎりと乾パンやペットボトルの水を
温暖で、春から秋は好天が多く、冬には降
配布しながら安否の確認を行いましたが、
雪もあるなど、四季の移り変わりが鮮やか
安否確認の中でガソリンが残り少ない車も
な所です。
多いことがわかり、正月休み中の町内5社
そんな鳥取県で、平成22年12月31日夜か
のガソリンスタンドを開けてもらうよう依
ら平成23年1月2日朝までの年末年始に降
頼をしたものの、渋滞もひどく給油にも行
り積もった大雪により県内各地で大きな被
けない状況で、ミルクがない乳幼児のいる
1
車にはミルクの手配をし、ノーマルタイヤ
で、現地の情報が的確に伝わってない様に
の車両にはタイヤチェーンを斡旋し装着す
思われます。福島原発の事故対応の情報が
るなどの対応をしました。元日の午後3時
リアルに報告されず、後日報道関係により
を過ぎたころ、自衛隊の派遣により立ち往
伝えられています。放射能による汚染は各
生している車両の燃料補給を始めていると
分野に広範囲に拡がり、特に人体に対して
の情報が入りましたが、渋滞の状況や解消
は甚大な影響を及ぼす物質であり、目に見
のめど等の情報は全く入りませんでした。
えないだけに余計厄介であります。事故へ
元日の夜には琴浦町本庁舎と分庁舎の2
の対処についても、対応が後手後手に回っ
ヶ所を避難場所に設定し、106名の方が2
て被害を拡大させてきており、これは人災
日の朝まで避難をされました。
ではないのかと思われてきます。
また、これとは別に国道9号沿いの住民
我々消防団は「国民の生命、身体、財産
の皆さんが自主的に自宅のトイレを開放し
を守る」が使命ですが、今回の原発事故は
たり食料や飲み物等を配布されたことなど
国民の生命が軽視され、企業の財産である
について、新聞でも後日「大雪ぬくもり国
原発を重視したと感じられてなりません。
道」というタイトルで紹介され、住民の皆
誠に遺憾であります。
さんの活躍が絶賛されました。
今回の大震災の報道等でたびたび使われ
このときの豪雪の緊急対応として自衛隊
た想定外を想定内にすること、また色々な
は、立ち往生している車両の除雪、燃料補
問題点を検証し、課題に対応できる体制を
給を行い、大山町消防団は立ち往生してい
整える転換期に来ていると思います。
る車両の救出、交通整理等、地元琴浦町消
鳥取県でも過去に、鳥取地震(1943年)、
防団は町内で渋滞中の全車両へ安否の呼び
鳥 取 大 火 ( 1 9 5 2 年 )、 鳥 取 県 西 部 地 震
かけ、毛布、おにぎり等の配布、体調不良
(2000年)など、大きな災害を経験してい
者の避難所への搬送や町道の倒木除去な
ど、その他近隣の市町村消防団は消防設備
ます。
鳥取県西部地震の後にも、情報の共有、
等の除雪、独居老人の安否確認等を行いま
一元化などについて問題提起されていまし
した。
た。それぞれの地域で、消防団の新たな対
ふり返ってみますと、私達は人命を第一
として行動したと思っています。
但し、国土交通省、鳥取県及び各市町村
相互で情報の共有、緊急時の連絡網の整備
応、あり方等を考えることが必要です。
この度の大震災・津波によって多くの消
防団員を含む消防防災関係者が犠牲とな
り、被災されました。
が必要であると痛感しました。その後、地
鳥取県はもちろん全国でも減少傾向にあ
元琴浦町では防災関係連絡協議会(町総務
る消防団員ですが、この大きな災害を機に、
課、消防団、消防署、警察署)において、
私達はそれぞれの地域で更に団員を確保
災害時の連絡迅速化対策として各部署間の
し、消防団は、今後ともあらゆる災害に対
公用携帯電話を活用することと、町の災害
して“人命第一”に考え、地域住民に信頼
対策本部への人員派遣で情報の共有をして
される頼りがいのある消防団として安全で
いく等を決定し、今後の備えとしました。
安心な社会を作るため一丸となって努力し
この度の東日本大震災は未曾有の大震災
ていかなくてはいけないと思っています。
2
財団法人日本消防協会理事会の開催及び
生活協同組合全日本消防人共済会理事会の開催
■ 財団法人日本消防協会理事会
平成23年9月6日(火)、日本消防会館において開催され、日本消防協会職員給与規程
の一部改正等各議案の説明が行われ、原案のとおり承認されました。あわせて、東日本
大震災への対応として当協会が行う事業に関し、会長先決により実施した補正予算の報
告及び各事業の進捗状況等の報告が、事務局より行われました。
● 第1号議案
日本消防協会職員給与規程の一部改正について
● 第2号議案
日本消防協会福祉共済事業等運営委員会委員の委嘱について
岸谷 義雄 氏
● 第3号議案
顧問の推薦について
森 民夫 氏(全国市長会会長)
(再任)
● 第4号議案
名誉会員の推薦について
奈良県 芳野 茂 氏
● 報告事項
平成23年度収支補正予算の専決について
・普通会計
・日本消防会館事業特別会計
・福祉共済事業特別会計
・防火防災訓練災害補償等共済事業特別会計
● 諸般の報告
東日本大震災に係る公務災害補償に関する国の措置について
消防団員の処遇等活動環境の整備に関する国及び市町村への要望について
東日本大震災に伴う福祉共済事業の対応について
殉職消防団員特別見舞金の経過報告について
東日本大震災消防殉職者等全国慰霊祭について
東日本大震災被災消防車両緊急支援の結果について
消防団員メンタルサポート事業について
東日本大震災全国消防団報告研修会について
3
東日本大震災記録集作成について
東日本大震に関するモニュメントについて
第20回全国女性消防操法大会の開催について
第17回及び第18回全国女性消防団員活性化大会の開催について
第26回日中消防友好調査について
消防団120年記念事業について
公益法人改革及び改正保険業法の対応について
■ 生活協同組合全日本消防人共済会理事会
財団法人日本消防協会の理事会に引き続いて、全日本消防人共済会の理事会が開催さ
れ、平成23年度中間事業の報告が行われ、了承されました。
4
東日本大震災全国消防団報告研修会
平成23年7月30日(土)と31日(日)の2日間にわたって、「東日本大震災全国消防団報告研修
会」(両日共、全国の消防団・消防防災関係者約600人が参加)を東京都港区のニッショーホール
で開催しました。
岩手県、宮城県、福島県の消防団員等から、震災の概要、被害状況等の報告、震災直後からの
懸命な活動の様子を詳細に報告していただき、また、報告研修会の最後に行いましたパネルディ
スカッションでは、「東日本大震災の教訓をこれからの防災対策にいかす」をテーマに活発な討議
が行われました。
この報告研修会で行われた被災地の消防団員等の報告を、今号から順次掲載いたします。
東日本大震災全国消防団報告研修会演題
平成23年7月30日(土)
演 題
講演
「東日本大震災の被害状況及び
消防の活動状況等について」
消防団活動報告①
消防団活動報告②
消防団活動報告③
【消防団活動報告】
消防庁
消防・救急課長 横田真二
宮城県 気仙沼市消防団
分団長 村上貴敏
福島県 南相馬市消防団
副団長 長澤初男
岩手県 山田町消防団
分団長 大石秀男
平成23年7月31日(日)
演 題
講演
「東日本大震災とどう向き合うか」
消防団活動報告④
消防団活動報告⑤
自治体防災職員活動報告
緊急消防援助隊活動報告
パネルディスカッション
「東日本大震災の教訓を
これからの防災対策にいかす」
【パネルディスカッション】
講 演 者
講 演 者
関西学院大学
総合政策学部教授 室闢益輝
宮城県 名取市消防団
分団長 樋口惠一
岩手県 宮古市消防団
分団長 中野規男
宮城県 南三陸町危機管理課
住民安全係長 佐藤智
東京消防庁
警防部副参事 五十嵐幸裕
コーディネーター
NHK解説副委員長 山闢登
パネリスト
消防庁
国民保護 防災部長 佐々木克樹
関西学院大学
総合政策学部教授 室闢益輝
福島県 南相馬市消防団
副団長 長澤初男
宮城県 気仙沼市消防団
分団長 村上貴敏
岩手県 山田町消防団
分団長 大石秀男
5
東日本大震災全国消防団報告研修会 報告盧
「東日本大震災:大津波がすべてを
変えた」
宮城県気仙沼市消防団 分団長 村上 貴敏
※本稿は、研修会での報告内容を掲載しております。
2011年3月11日、観測至上最大、巨大地
震、史上稀に見る破壊力で押し寄せた津波
…大津波がすべてを変えました…
宮城県気仙沼市消防団第3分団長の村上
です。
気仙沼市消防団の組織図です。
震災時の団員数は、団長以下860名にな
ります。組織は、本部と第1分団から第14
分団までの4と9の分団を除き、12の分団
となっております。
それではテーマ「東日本大震災による被
私の第3分団は4部11班で80名の団員で
害」「消防団の災害活動」「課題と今後の対
構成されております。本部の企画部は消防
策」この3点を中心に東日本大震災の活動
団の健全な発達と円滑な運営を期するた
報告を発表します。
め、副分団長の職にある者をもって組織し
はじめに、気仙沼市の概要です。
ております。
気仙沼市は、宮城県の北東端に位置しリ
消防施設の拡充に関すること、消防計画
アス式海岸特有の丘陵が海に迫り出した地
の企画立案、消防団員の教育訓練に関する
形をしており、河口や谷間の平坦地を中心
ことなどを調査研究しております。
として市街地が形成されています。東は太
平洋に面し、湾の入りロに離島大島を配し
た天然の良港で、全国有数の漁業基地とし
て各地の漁船が入港し繁栄してきました。
市の総面積は333.37裄で、宮城県内では7
番目の広さです。
主な三陸を襲った過去の津波災害であり
ます。
明治三陸地震津波では、気仙沼市での人
的被害も多く、死者が1,906人でした。ま
た35年のチリ地震津波の時は、遠地津波で
あり、22時間30分後に到達しております。
6
これらの災害を教訓に、気仙沼市では、
毎年、地区住民と防災関係機関が連携して
避難訓練を実施してきました。
震源とする巨大地震が発生。
気仙沼市では、直ちに災害対策本部を設
置し、非常配備を指示しております。
三陸の特徴はリアス式海岸における狭い
消防団は、事前命令により消防屯所に参
地形、狭い市街地、湾から一体となった地
集しました。14時49分、気象庁から「東日
形、港として古くからの活用、そして、沿
本沿岸に大津波警報」が発表され、消防団
岸漁業や養殖などの漁業が盛んで、沿岸に
は、水門門扉の閉鎖と避難広報活動を実施
漁業者の生活圏がありました。
しております。
これらの特徴は、津波被害の規模の大き
気仙沼市の被害状況です。
さの要因でもありました。まだ暫定の部分
暫定的な数値ですが、6月30日現在、人
もありますが、東日本大震災の概要です。
的被害は死者983人、行方不明者446人にな
地震の規模は、当初マグニチュード8.8
ります。住家被害は、全壊8,492棟、半壊
だったのが、その後、モーメントマグニチ
ュード9.0に修正され、国内観測史上最大
規模でありました。
14時49分に「大津波警報」が発表され、
当地域での観測は、気仙沼市消防署大島出
張所隊による、高台海面監視で15時11分に
押し波による第1波を観測しました。
気仙沼市の被害状況についての報道記事
です。
気仙沼市では、屋外タンクの流出による
は、2,259棟であります。
避難所は、52ヶ所で、2,308人の避難者
が避難所で生活しております。
気仙沼市消防団の被災状況です。
人的被害は、死者が8人で、うち公務中
が6人でありました。
屯所などの施設は、95施設のうち、全壊
が33棟で半壊が3棟であります。
消防車両等は、84台の車両のうちポンプ
車が2台、積載車が10台で、小型ポンプは、
内湾大火災や浸水災害の巨大さに住民がぼ
86台のうち22台が津波により、流失水没し
う然となりました。
ました。
津波浸水区域は、気仙沼市が浸水面積18
裄で、浸水比率が5.4%であり、浸水範囲
が市街地におよび壊滅状態となりました。
気仙沼市の津波浸水地域です。
赤で塗られた面積は、宮城県が第3次被害
想定で想定していた津波の範囲であります。
今回の大津波は、その範囲をはるかに超
えまして、青線で囲んだ範囲まで浸水しま
した。
津波高の種類は、遡上高と浸水深があり
各機関の動きです。
ますが、気仙沼市前浜地区の海岸沿いの工
3月11日、14時46分に、宮城県三陸沖を
場付近で、高さ11.49mの遡上高が測定さ
7
れております。
3 津波到達予想時刻の10分前には避
難完了すること
4 団指揮本部への活動報告等は、積
極的に行うこと
5 活動団員不足時、安全に配慮した
中で住民協力を求めること
これらを基本とした活動フローになります。
実際の活動フローです。
震度5弱以上、津波注意報・警報発令で
事前命令により、所属の消防屯所に参集し
大津波が街区を襲った後の状況です。
今回の津波災害の特色は、石油タンクが
流失し、火災の要因のひとつとなったこと
ます。
活動は、広報活動・水門門扉の閉鎖活
動・情報収集伝達活動・警戒活動などです。
と、400トン級の鮪延縄船などが津波によ
特に水門門扉閉鎖活動時においては、現
り簡単に陸上げされたことなど、津波の恐
場の状況や防災行政無線、団指揮本部からの
ろしさがわかりました。
情報等に注意し、団員の避難時期を見失なわ
ないよう十分注意して活動しております。
気仙沼市消防団の主な災害活動です。
今回の震災活動では、火災防ぎょ・避難
誘導・救助活動・集中捜索・遺体搬送公共
施設の清掃活動を実施しました。
第3分団区域内での主な災害活動の図面
です。
大きく2つの活動エリアになります。
1つは、
鹿折地区中心部での火災防ぎょ、
避難誘導、救助活動と遺体搬送活動です。
気仙沼市消防団の地震津波災害時の活動
フロー時における基本事項です。
平成16年7月1日に作成ました。
もう1つは、鹿折東沿岸部地区での広範囲
に渡る、集中捜索活動です。
鹿折地区中心部で発生した街区火災の防
ぎょ図です。
主な基本事項です。
1 参集途上時、災害遭遇時は、必要
な措置をとること
2 安全管理に十分配慮し事故防止に
万全を期すること
8
3月11日15時56分火災覚知、出火場所は、
気仙沼市みなと町と中みなと町地内で赤斜
線の区域内です。
初動時、広域消防隊と連携し、消防団は
Bライン中継隊形をとり、防ぎょ活動を実
夜間も燃料補給などで車両の交代をしな
がら、一昼夜、防ぎょ活動を続けましたが、
瓦礫に阻まれ、なかなか鎮圧することも出
来ない状況でした。
翌日12日には、緊急消防援助隊の東京消
防庁と合同での活動を実施し、消防団は、
火災発生から3日間、不眠不休で活動しま
した。
出動車両は、ポンプ車11台、小型ポンプ
施しましたが、劣勢状況でした。
火災は広範囲であり、広域消防では、被
災区域以外の消防団、各分団に応援要請を
行いました。
応援要請で駆けつけた各分団は、水利が
6台、出動人員は、述べ271名でした。
鹿折街区火災は、3月11日15時56分に発
生し、町中心部の瓦礫がくすぶり続け、鎮
火したのが3月23日の朝、
7時48分でした。
13日間燃え続けた火災でした。
十分でなく、遠距離送水を余儀なくされ、
図面のAラインは、ポンプ車や小型ポンプ
6台での中継隊形をとり、約1,000mの遠
距離送水を行いました。現場は、街区全体
に火災が拡大しており、南側からの進入は
津波浸水で進入できず、
火災防ぎょ活動は、
すべて北側からの隊形となりました。
火災防ぎょ活動中、数回にわたっての津波
襲来や津波警報による消火中断もあり延焼
が拡大しました。
9
した。津波により孤立取り残された要救助
者を浸水区域内から救出し、安全な地域へ
避難誘導と搬送を3班20名で行いました。
外観は、スロープ壁体が破壊され、1階内
部は壊滅状態でした。
屋上は避難者の毛布、布団敷物が点在し
ている状態でした。取り残された職員や入
居者50名を広域消防や東京消防庁のハイパ
ーレスキュー隊と連携しながら救助し、安
こちらが、鹿折地区中心部の写真です。
写真下の気仙沼バイパス側が北側で、写
真上が南側となります。
南側、気仙沼湾方向から津波が襲来し、
気仙沼バイパス下まで冠水しました。
火災は、赤線で囲んだ範囲です。
焼損棟数は、295棟で、焼失面積は、約
10万k㎡でした。
また火災対応と並行して、鹿折地区の捜
索救助活動を実施しております。
特に、黄色の丸で囲んだ場所に位置する
老健施設(老人保健施設)では、救助活動
と遺体搬送を行いました。
全な場所まで誘導しました。
一方では、残念ながら津波から逃げられ
なかった人々の無念な姿となった数体のご
遺体を搬送しなければなりませんでした。
ご遺体搬送が、消防団の災害活動にあた
るかどうかは別にして多くのご遺体を目の
前にして、我々が何とかしなければと思っ
たわけです。
職員の手で2階のベッドや、屋上に寝か
されていたご遺体を手分けして毛布、シー
ツ等現場にあるものを利用し、簡易担架を
作成して搬送しました。
悲惨な状況に、心が痛み、やりきれない
活動でありました。
その老健施設です。
2階建て耐火構造で延べ面積3,566.4㎡、
2階部分まで津波襲来し、1階部分の開口
部や2階へのスロープは破壊されておりま
10
集中捜索活動は4月25日、26日2日間に
わたり、自衛隊・警察・消防と合同で一斉
捜索を行いました。
気仙沼市消防団は、広域消防・自衛隊と
合同で、鹿折地区東沿岸部と唐桑地区を捜
索しました。
朝9時から16時までの活動時間で、114名
の消防団員を動員しての捜索活動でした。
こちらは、第13分団区域内での、公共施
設清掃の活動状況です。
津波で被災した、4月10日に本吉病院内
以上が主な災害活動でした。
消防団活動について、参集状況からまと
めたものです。
1 参集状況は、各部集合場所が決まっ
ているのですぐ行動できました。
2 発災直後は、時間の許す限り、水門
門扉閉鎖および広報活動を行っていま
す。
3 人員確保については、活動終了時に、
班長以上の会議で翌日の人員調整を行
いました。
外の清掃を実施しました。水利がなく、津
4 事前に決まっていたことは、沿岸部
谷川から500mの距離を中継しながら46名
の区域は孤立してしまうので、各部
の団員で、清掃活動を実施しました。
長・班長は、自治会長と連絡を取り合
って行動するように決めておりまし
た。
5 資機材不足を感じたことはいろいろ
ありますが、特に遺体搬送時の担架と
電池式の無線機の必要を感じました。
問題点と課題についてです。主なもの
を挙げました。
・防災行政無線の津波による使用不能で
の情報不足
・瓦礫、浸水区域内における早期道路啓
開がなければ、現場にたどり着けない
状況
11
・大津波の場合の水門門扉閉鎖活動にお
今回の震災で、仲間である消防団員や屯
いては、その必要性と避難の判断時期
所、消防車両などが被災し、消防力の低下
・被災している団員も長期災害活動を余
がみられました。
儀なくされ、精神的・肉体的ストレス
しかし、宮城県消防協会、日本消防協会
の対応の問題・避難指示広報に対して
を通じ、全国の消防団皆様からのご支援を
一部住民が避難しようとせず、避難意
いただきながら、現在は、消防車両も充実
識の低下がみられたこと
し、復興復旧に全力をあげ、取り組んでお
・団員が不足している中での長期活動に
ります。
全国の皆様からの絆を感じ、そのパワー
おける交代要員確保と時期
これらが問題点であり、今後の課題かな
を糧に今後も消防団活動に邁進する覚悟で
す。
と考えます。
この場をお借りし、全国の消防団の皆様
問題点と課題をとらえ、今後の対策をど
うとったら良いのか?災害時において消防
団員は、地域住民の生命を守るために活動
へ御礼を述べて、私の活動報告を終わりま
す。
ありがとうございました。
しますが、人数的にも時間的にも限界があ
ります。
情報の収集や、災害対応における体制の
確立も必要ですが、やはり死者ゼロを目指
すためには、住民の意識改革が絶対です。
防災意識と知識の啓発に努め、自助共助の
精神を確立しなければならないと考えま
す。地域住民と消防団員の命を守るために
も、各防災機関相互に連携して対策を講じ
なければならないと思います。
消防団報告活動を行う村上分団長
12
東日本大震災全国消防団報告研修会 報告盪
「東日本大震災:南相馬市の状況と
消防団活動」
福島県南相馬市消防団 副団長 長澤 初男
※本稿は、研修会での報告内容を掲載しております。
皆さんこんにちは。福島県南相馬市消防
団 副団長の長澤初男と申します。どうぞ
宜しくお願いいたします。
まず、南相馬市をご紹介申し上げます。
私の住む相馬地方は、福島県の浜通り、太
平洋に面し、南相馬市は、平成18年1月1
日、旧小高町、鹿島町、原町市が合併し誕
生しました。本年、悲願の常磐自動車道が
開通予定し、大きな飛躍発展が期待されて
おりました。
南相馬市は、温暖な気候とともに、海・
山・川の豊かな自然に恵まれ、人情味あふ
れ、歴史と報徳仕法によって復興を遂げた
歴史を伝承する、
相双地方の中核都市です。
消防団は、新市誕生を機に統合発足し、
定数団員1,365人、女性消防隊員16人を含
めて3区団体制で組織しております。
相馬民謡と共に、当地方が全国に誇れる
観光行事として、相馬野馬追があります。
3日間に渡り、甲冑競馬や神旗争奪戦、野
馬懸など行事を重ねます。今年は規模を縮
小し、先週、開催致しました。今回の震災
により、馬が約50頭亡くなっております。
本題に入ります。
ここで、今回の大震災を改めて振り返っ
てみます。発生日時、平成23年3月11日金
曜日14時46分、牡鹿半島の東南東130㎞付
近、深さ24㎞を震源規模に、マグニチュー
ド9.0。南相馬市は震度6強になりました。
南相馬市小高区の村上海岸の様子です。
津波が襲う連続写真をご覧下さい。高さ10
数メートルの松の木を越えております。こ
のような想像を絶する津波が襲いました。
13
隣の市の相馬市の松川浦大橋の津波の直
きくなったものです。
後の様子です。多数の方が犠牲になってお
ります。
鹿島区の津波の被害状況です。小学校の
校庭や国道6号まで漁船が流されました。
相馬市の隣、新地町のJR新地駅の津波
海岸から国道6号までは3㎞で、西側の鉄
で流された様子です。列車が流されており
橋を越え4㎞まで津波が到達しました。真
ます。被害者はゼロでした。この津波に流
野小学校の校庭にも漁船が流され、この付
された列車には、
相馬警察署の新任巡査が、
近で土中等の多くの遺体を消防団員が発見
警察学校卒業式直後、偶然にも乗車してお
をしております。
りました。津波が襲う前に乗客全員を新地
真野小学校には地震当時 75 人の児童が
町役場に避難誘導。遅れたおばあさんを通
いましたが、団訓練指導員の父親で、児童
りがかった軽トラックに乗せ、無事に避難
のおじいさんにあたる方が津波が来るかも
ができました。
しれない、と学校に知らせ、全児童と教職
員を2㎞離れた桜田山まで避難させまし
た。校舎は被災いたしましたが、無事に避
難できたわけです。
原町区の特別養護老人ホーム、ヨッシー
ランドの被害の状況です。入所者や職員が
逃げ遅れ、多くの犠牲者が発生しました。
施設にいた35人が犠牲になりました。海岸
より2㎞で平坦地であったために被害が大
14
津波が襲う瞬間の鹿島区の海岸地域の様
子です。
この後、多くの家屋が津波にのまれまし
た。私が望楼から見た津波です。
者4人、被災消防車両21台、全壊消防詰所
20棟、半壊9棟。相馬地方の消防団殉職者
は、相馬市消防団10人、新地町消防団1人
の計11名が犠牲になっております。福島県
全体では、27人の消防団員が殉職しており
ます。
その他、相馬地方では警察官1人、市職員
2人、新聞記者1人が亡くなっております。
こちらの図は、福島県のデータを基に南
相馬市が平成20年に作成し、全戸に配布し
た津波ハザードマップです。想定する津波
の高さが6mと、浸水が予測される地域は
ブルーの部分です。向かって右側の図をご
震災直後の真野川の河口付近の様子で
覧下さい。海沿いの赤い部分が今回実際に
す。この位置に真野川漁港があったのです
津波が到達した地域です。ハザードマップ
が、跡形もなく無くなっております。そし
の予想を超え、このように多くの地域が被
て真野川です。河川と陸地の境界が完全に
災しました。
なく、一面が海になってしまいました。県
道の真島橋とともに、引き波によって、多
津波による被害の面積は、市内全体の約
1割を超える面積になっております。
くの行方不明者が海に流されたものと思い
ます。
大震災時の活動内容に入ります。
時間ごとに申し上げます。私は、14時46
南相馬市の被害状況です。
7月18日現在、
死亡617人、行方不明54人、重傷者2人、
分地震発生時は経営する会社の事務所に家
内といました。
軽症者57人となっています。津波により被
14時48分、地震が収まるとともに、これ
災家屋は、全壊1,164世帯、床下浸水を含
は大変な地震であると津波を予想し、着替
め全世帯数の約6.3%が被害に遭いました。
えをしながら妻に後を託し、4㎞先の区役
消防団の被害状況です。人的被害で、死
亡8人、行方不明1人、重傷者1人、軽症
所に向かいました。
14時49分に大津波警報が発令され、14時
15
50分南相馬市長が沿岸部に避難勧告を発令
ていたため、大勢の市民が避難しました。
防災行政無線で広報し、これを受け、消防
消防団は、自衛隊や警察などと連携し、す
団は避難勧告の広報と住民の避難誘導を行
ぐに行方不明者の捜索活動を開始しました
ったわけです。
が、この球場から10人の遺体が発見されて
14時55分、車中のラジオで大津波警報発
令を把握。
15時05分に区役所到着後、すぐに情報収
おります。
バックネット付近の様子です。スタンド
に避難し助かった人から、グランドに避難
集、消防団の体制作りを行い、すでに活動
した人が危ない、
助けてという通報があり、
中の海岸部の団員に津波に注意、海岸から
道路が冠水しているために行けない。そし
離れるように指示し、ただちに、隣の消防
て、
「1人沈み、また1人やられた」 の声
分署の望楼より海岸を確認。白い雲しか見
に愕然とさせられ、助けられないもどかし
えず、これが大津波だったわけです。
さ、ジレンマを強く感じておりましたが、
15時51分、津波襲来。相馬検潮所で9.3
m以上を観測。ただし、相馬検潮所では
瓦礫と土砂に巻き込まれ犠牲になったわけ
です。
9.3mを指したまま故障した為、実際の津
波は15m以上であったと見られます。
15時55分、桜田橋、真野川を津波が逆流
をしているのを確認。
15時59分、東側県道より避難車輛が西に
進行し、大渋滞になりました。そのために
団員に高台への誘導を指示しながら、自ら
も交通誘導に当たりました。
16時45分、全団員の招集を指示し、17時
に区対策本部会議。対策協議し団員に今晩
以降の活動を指示したところです。至急の
現地被害調査確認をしての報告を求めまし
た。ここから長い一日が始まりました。
広域消防署員との深夜活動を指示。夜半、
救命ボートによる作業で近くの老夫婦を救
これは、原町火力発電所の被害の様子で
助、別の避難場所では、朝を待って救助に向
す。原町火力発電所を襲う津波の映像をご
かい無事救助、救出しました。その後、区役
覧下さい。ご覧のように、白い部分が津波
所にて朝を迎え長い一日が終わりました。
の様子です。このような状況で被害が起こ
津波発生後の南相馬市の鹿島区の港地区
ったわけであります。この映像は、3月14
の上空からの写真です。37 戸の集落 無傷
日に原町火力発電所のタンクから漏れ出し
であった家がただ1戸です。45名が犠牲に
た重油に引火し、火災が発生したところで
なっております。
す。我々は、行方不明者の捜索を中断し、
南海老のグラウンド、ここは避難場所で
消防署とともに消火活動に当たりました。
した。10数メートルの高台でありますが、
これは、平成13年に完成しました鹿島区
30mを越える津波が襲い、多数が犠牲にな
の「みちのく鹿島球場」の様子です。球場
りました。避難場所によって運命を分けた
は、市が指定する「集落避難場所」となっ
のです。
16
鳥喰溜池、これを越えてはるか相馬市ま
で津波は到達したのです。
警察との合同で行った、大シケ時の海岸
での遺体収容作業であります。約1ヵ月、
経過しております。
八沢干拓の様子です。
ご覧のように港地区の県道であります
が、道路が寸断されております。すべての
当日は、収容断念。翌日クレーンにてテ
トラを撤去し引き揚げました。まさに危険
と隣り合わせの命がけの作業でした。
住宅が全壊しております。
このように今回の捜索活動において、困
鳥喰溜池で自衛隊と合同での捜索の様子
難だった点は、
一番が原発事故による制限、
です。行方不明者の捜索のため、満水の溜
そして津波の余波、冠水、寒さ、夜間作業
池の水を抜きましたが、泥抜きに苦労し7
だったという点です。消防団員は災害対策
日間要しました。消防団の小型動力ポンプ
本部職員とともに、休憩はなしで日中の作
も、数台が故障しました。
業に引き続き、夜間、防犯に対するパトロ
ご覧のように寒い中での作業で、大変な
苦労をしました。自衛隊員の方々にも、大
ールを行い、ほとんど寝ずの晩を過ごした
わけです。
変なご苦労様をかけました。この溜池から
これは、私のいとこの夫の記事です。双
は、最終的に5台の車両と5人の遺体を発
葉沖まで屋根につかまり流されましたが、
見しております。
イージス艦に助けられたものであります。
津波前には一度、夫婦で避難し助かったわ
17
けでありますが、物を取りに戻り被災しま
した。私のいとこであった妻は流され、い
まだに行方不明です。漂流2日、奇跡の生
還と言われました。
今回の震災は、私たち消防仲間の多くの
命を奪いました。地元紙に載った相馬市の
稲山分団長の記事です。住民に津波避難を
呼びかけ、多くの命を救い、自らは犠牲と
なってしまいました。稲山分団長はじめ副
分団長を含む9名が殉職しました。
当地方では、地震・津波の被害のほか原
南相馬市消防団の上野班長の記事です。
発事故もあり、現在でも深刻な状況です。
6人家族だった彼は、妻以外、両親と2人
3月12日には、東京電力福島第一原発の1
の子ども、合計4人が行方不明です。歯を
号機で最初の水素爆発。そのことを報じる
くいしばりながら消防団員として、行方不
地元紙の一面です。この後、3月14日には
明者の捜索を行った活動の様子です。
3号機が爆発、3月15日には4号機が水素
爆発しました。
原発による、赤い区域が20㎞以内の警戒
区域。
現在立入りができない区域です。青い区
域が緊急避難区域。黄色い区域が計画的避
難区域。それと特定避難勧奨地点と、まさ
に南相馬市は5分割の状況です。
放射能により汚染された地域というイメ
ージで車両が来ない、物が入らない。特に
燃料の不足は深刻でありました。ガソリン
を求めて長蛇の列がガソリンスタンドにあ
りました。……私たちも数日誘導に当たり
ました。
18
この他にも、ただ1人行方不明の部長が
両親とともに、いまだ発見されておりませ
ん。小学2年を頭に3人姉妹で母親、お祖
母さんとともに仮設住宅の避難生活です。
大震災後53日目にあたります四十九日を
終えてからの5月1日に、当消防団鹿島区
団において、多くの犠牲者を出した「みち
のく鹿島球場」で団員も含め、今回の津波
で亡くなった方や家族のため慰霊祭を開催
した様子です。
破壊された防波堤です。
復旧された防波堤の様子ですが、今回の
津波でも壊れませんでした。ただし、離岸
提無しの防波堤、手前ですが、こちらは跡
形もなくやられております。
この写真は、高波被害で、あらためて地
域が結束し、自らの地域は自らが守るとい
当地域では、平成18年10月に港地区を襲
う、自主防災の意 識を地域全員で確認し
った台風16号の影響で、
被害がありました。
冊子作成のために、昨年8月撮影した表紙
その時の様子です。ご覧のように、防波堤
の部分です。このうち16名が犠牲になって
が破壊されております。自主防災組織と消
おります。
防団の共同作業により、土嚢を積み、犠牲
者・行方不明者はありませんでした。
県道が冠水し、多くの家屋が床下・床上
浸水になっております。
今回の教訓です。1番目として、避難の
呼びかけを待ってから避難するという、こ
れまでの体制づくりから脱却し、自らが危
険を察知し、自主的に避難する体制を構築
していくことが必要であろうと思います。
自らの命は自らが守る、行動する、日常の
心がけ、備えが必要であると思います。
2番目として、これまでの津波に対する
認識の甘さが、被害拡大につながったわけ
であります。今回の大震災の経験を後世に
伝えるのが、私たちの役目であろうと思い
ます。今回、家に戻って流され、犠牲者が
多く出たわけです。津波の怖さを再認識、
自覚すべきだと思います。
3番目として、
「来ない」ではなく、「来
るかもしれない」、いや「来る」という行
動が必要であると思います。万一の場合を
想定した判断が求められます。
19
そして、地震、雷、火事、津波、プラス
相馬市の救援の様子です。小さな児童に
原発事故であります。今回の教訓は、まさ
自衛隊員が服を着せているところ、胸に迫
に「怖さ」であろうと思います。
る想いです。
最後になりますが、今回の東日本大震災
に対しては、
日本消防協会をはじめとして、
全国各地の多くの消防関係者の方々に、暖
かい励ましや多大なる物資、義援金等のご
支援をいただき、
心よりお礼申し上げます。
この支援を支えに、協調のもと復興に向け
て頑張って参ります。
ありがとうございました。
皆さんの厚意は忘れません。
相馬地方の方言です。やっぺ南相馬。や
ろう南相馬。負けねえど南相馬。負けない
ぞ南相馬。という意味です。
地域の中で育んで来た絆を大切にし、か
けがえのない仲間を失った悲しみを忘れ
ず、団員結束のもと支え合いながら頑張っ
ていく決意です。
消防団報告活動を行う長澤副団長
20
東日本大震災災害活動報告
茨城県北茨城市消防団 団長 飛田 和義
1 はじめに
3月11日14時46分、未曾有の大震災といわ
れる東日本大震災が、当市にも甚大な被害を
もたらし、今なお大きな爪痕を残している。
私たちはいまだにおさまらない余震と津波に
緊張の日々が続き、そして収束しない東京電
力福島第一原子力発電所の放射性物質の流出
事故、長引く風評被害など復興にも様々な課
題が数多く残されている。
北茨城市は、茨城県の最北端にあって福島
県と接し、東京電力福島第一原子力発電所か
ったが、電話(携帯電話)などの通信手
ら南に70袰に位置し、約20袰の海岸線をもち
段が寸断されてしまったことと、地震の
2つの漁港があり、人口は約5万人弱、消防
大きさが団員の不安を煽った。
団員は512人となっており、消防本部は単独
で職員数は82人である。
避難の広報は、はじめに津波到達が懸念
される国道6号線に進入するが、すでに津
今回は沿岸で津波の被害を大きく受けた3地
波の第1波が到着し、引き波の状態であっ
区の分団の活動について取り上げて紹介したい。
た。その時点で取り残された高齢者3名の
避難介助をするとともに、消防署からの指
2 活動内容
令を傍受し要救助者の搬送に当った。
(1)海岸に沿ってホテルや住宅が建ち並ぶ
また、警戒中に救助を求める声を聞き、
磯原地区の分団は、地震発生時、管轄し
住宅2階より寝たきりの高齢者を救助し、
ている地域の警戒と津波の広報活動に当
避難所への搬送を一般の方にお願いし次の
活動に移った。
さらに海岸近くで発生した車両火災は、
火災現場を目前とするが、津波の被害によ
るがれきの散乱でポンプ車が接近できず、
迂回して常磐線をまたいだ消火活動を考え
たが、繰り返し押し寄せる津波に危険が伴
うため断念した。津波の第2波は常磐線の
線路を大きく超えた。
夕刻が迫ることから、ライフラインの寸
断による対策を考え、避難所には団所有の
21
左往しており、消防団の避難の呼びかけ
で我に返り避難を開始した。
浮き沈みしながら流されている軽ワゴン車
を発見、引き波になり脱出したときにロープ
を投げて60歳代の男性の救助に成功した。
倒壊住宅に進入する道路ががれきで寸断
されてしまったため、簡易担架などにより
けが人の搬出に当った。
その後、避難所の電源確保、支援物資の
配給、道路・水路からのがれきの撤去を行
発電機及びポンプ車掲載の発電機で電源確
いながら、行方不明者2名の捜索には2日
保、飲料水は地元の井戸水の場所を確認し
を徹した。
5ヶ所を確保した。
消防団員は文字通り詰所(機械器具置場)
での寝泊まりが始まった。
後に避難住宅における車両荒らし、空き
巣などが発生し、それに対応すべく警ら、
夜警を行った。
その間、飲料水の供給、本部からの指示
を受けた広報活動に当ると同時に被害の調
査を開始した。
3 おわりに
北茨城市の国道・県道では、12日から13日
避難所の管理・避難者の名簿の作成・支
にかけて、福島県より福島第一原子力発電所
援物資の配給・地区の災害対策会議の参加
の放射性物質の流出事故のため、避難する車
など活動は日夜に及び、避難者が避難所か
両の渋滞が始まり、見えない放射線の不安は
ら撤去するまで相当の日数に及んだ。
ここでさらに広まった。
(2)広い湾に漁港と集落が広がる大津地区
電気のない生活は4日間続き、水道はさら
は、大津漁港を中心に大きな津波の被害
に長期にわたり断水になった。燃料の確保も
を受け、死者2名・行方不明者1名の命
困難になりガソリンスタンドでは給油を待つ
を奪った。
車の列がおよそ2週間続いた。
第13分団の詰所は漁港直近にあり、いち早
今回の消防団活動で、防災に携わることの幅
くポンプ自動車を車庫から移動させると同時
の広さ、住民との密着した関係が浮き彫りとな
に、津波による避難の広報活動に当った。
り、消防団員の積極的な活躍は大きな災害を通
度重なる津波が街の風景を一変させた。
全身を濡らした人達、おびえ震える人達を
高台にある避難所にピストン搬送を開始した。
また、負傷者の救出・手当・病院搬送に
も協力した。
時間と同時に次々増える被害への対応
と、がれきの撤去作業は地元団員の限界に
達していたため、被害の少なかった山間部
の団員の応援を求め対応した。
(3)深い入江と漁港のある平潟港では、地
震時、船員や作業員、仲買人などが右往
22
して住民に深く浸透したと自負している。
東日本大震災災害活動報告
宮城県多賀城市消防団 団長 佐藤 一朗
1 多賀城市の紹介
多賀城市は、宮城県中部の太平洋沿岸に位
置し、仙台市の北東部に隣接しております。
本市は、古くは奈良時代(724年(神亀元
年))から東北全域を対象とした行政機関で
ある多賀城(国府や鎮守府)が置かれ、まさ
に東北の中心であり、市名の由来でもありま
す。
現在では、仙台港の背後地と接している東
南部の工業地帯、西部の農業地帯、中央部の
JX日鉱日石エネルギー㈱仙台製油所火災現場
文教商業地帯からなっており、また、鉄道・
道路のアクセスにも恵まれていることから、
「大津波警報発令。避難してください。」の広
仙台市のベットタウンとしても開発が進めら
報が繰り返し放送され、15時15分には、消防
れて、総面積19.65裄の地に人口約6万人強の
団全団員に「詰め所待機。」各分団長には、
市民が居住する「史跡と商工業のまち」とな
っております。
「ポンプ車による巡回広報、管轄エリアの被
災状況調査及び被災状況報告」について、災害
対策本部から無線による指示がありました。
2 管内被害状況について
本市には、市域を横断している2級河川
平成23年3月11日午後2時46分の地震発生
「砂押川」が流れておりますが、地震発生か
時(多賀城市の震度 5強)、地鳴りととも
ら30分以上経過しているにも関わらず、全く
に強い揺れを感じ、その揺れの大きさと約3
変化がなく安堵いたしましたが、15時45分ご
分間続いた揺れの長さから「津波が来る」と
ろ、ラジオ放送で宮城県及び岩手県の三陸沿
の予感がいたしました。
岸地域の複数の自治体に津波が襲来している
揺れが止んでまもなく、防災広報により
との放送が流れました。目の前の市道では、
車両が渋滞して動けなくなっている状況下で
西側から道路冠水が見え始め、瞬く間に水位
が増し、数分後には1m以上になりました。
更に強い流れが襲ってきて、がれき、車両
(トラックやタンクローリー等)、コンテナ等
とともに急流がすべての場所に入り込み、
家々は泥海の中で孤立状態になりました。
22時ごろ、数回の爆発音が響き渡り、確認
すると石油コンビナートから火の手が上がっ
JX日鉱日石エネルギー㈱仙台製油所火災
ておりました。そして、このコンビナート火
23
を巡回しておりましたが、その他の分団の協
力をもらい輪番制で市内の防犯パトロールを
実施いたしました。
4 おわりに
想像もできないほど大きく強い津波が、私
たちの家族、友人の命を奪い、家屋、家財を
壊し、たくさんの思い出と一緒にたくさんの
ものを奪い、流してしまいました。こんな悲
イオン多賀城(ジャスコ)南側仙台港より3∼4mの津波
しい辛い思いは、繰り返したくない。同じ失
敗を繰り返したくない。
災は、次々と誘爆を繰り返し、5日間にも及
ぶ大火災となったのでした。
9月1日現在の被害状況は、市内での死者
数188人、市民の死者数122人(市外で亡くな
そうしないために、多賀城市の住民のため、
そして、自分の家族、子孫のために、今回経
験(体験)したことを正確に、確実に、後世
に伝えて行かなければなりません。
った方を含む)、行方不明者1名となってお
そして、多賀城市の状況や私たちの経験や
り、消防団員1名が殉職いたしました。市域
活動を全国に情報発信していかなければなら
の約1/3が水没いたしました。
ないと考えます。それが、今、生きている私
たちの役目だと思います。
3
地震発生時の消防団活動、救助・捜索活
普段の生活の中で、万が一に備えるという
動について
のは、なかなかできるものではありません。
私たち消防団は、震災直後は、広報活動、
それは、見たことも体験したこともない地震
避難誘導、河川等の水位変化の確認、被害状
や津波等の災害のいろいろな状況を想像しな
況の確認等を行っておりましたが、停電の影
ければならないからです。万が一に対する備
響で信号機が止まったことによる交通渋滞や
えができる人は、頭の中で災害の状況がしっ
津波の影響で十分な消防団活動ができずにお
かりイメージできる人だと私は考えます。
りました。
食事や水も満足にとれず、休息もとれず、
幸か不幸か、私たちはこの震災を体験しま
した。第三者や行政から言われるのではなく、
不眠不休で活動に当たり、疲労困憊の状態が
自発的に各家庭には、非常持ち出し袋があり、
続いておりましたが、そんな中で自分たちに
食糧、飲料水等が備蓄してある。そんな当た
できる最善のことを模索し、できること、求
り前の状況になっていることを期待します。
められることを精一杯行ってきました。
災害対策本部に消防署や警察署から人員と
車両の応援要請があったことから、私たち消
防団は、消防や警察の人たちと一緒に最前線
で救助活動を行いました。まだ3月というこ
ともあり、浸水している水は冷たく、その冷
たい水に浸かりながらの救出活動でした。
また、停電が続いている状況下で、夜間は
街中が真っ暗であったことから、防犯パトロ
ールを実施しました。当初は、津波被災地域
を中心に管轄している分団がその担当エリア
24
JX日鉱日石エネルギー㈱仙台製油所火災
東日本大震災災害活動報告
福島県須賀川市消防団 団長 佐藤 茂
須賀川市は福島県のほぼ中央に位置し、国
道4号を挟んで東西に伸び、西に那須連峰、
東に阿武隈高地の山並みを望み、市内中心部
を阿武隈川と釈迦堂川がゆったりと流れる、
人口約8万人、面積約280裄の自然環境に恵
まれたまちであり、須賀川市消防団は、13分
団、団員約1,200人、平均年齢30.24歳と比較的
若く、車両台数は74台を擁している。
3月11日(金)14時46分、自宅にいた私は
立っていられないほどの激しく長い揺れに、
被災した学校校庭
これは大変な事態になったのではないか、負
傷者が発生しなければいいが・・・と思った。
湖畔に妻の実家があるため50年前から見てき
揺れが収まった後、要請を受けた市役所で
ているが、まさか決壊するなど夢にも思わな
情報収集や対応を協議しながら、負傷者発生
かったし、誰も想定はできなかったのではな
などの情報から現地へ向かうも、電柱の倒壊
いかと思う。8人の行方不明者のうち、12日
や道路の損壊などにより、迂回しながらよう
に4人、13日、14日にそれぞれ1人ずつ遺体
やく辿り着ける状態であった。
で発見されたが、以降懸命の捜索にもかかわ
様々な情報が入ってくる中、夜になって藤
らず2人は発見されず、3月27日で捜索は打
沼湖が決壊し行方不明者が発生したという情
ち切ることとなった。その後、1カ月以上経
報と、消防団への捜索要請があったため、す
過した4月24日に二本松市の阿武隈川で1人
ぐさま対応を協議し、翌12日から自衛隊・警
が発見されたものの、残り1人は未だに行方
察署・消防署・消防団による捜索が開始され
不明のままである。
た。決壊による家屋流失の現場はすさまじく、
当市は震度6強を観測し、8月25日現在、
その光景を目の当たりにし息をのんだ。藤沼
死者10名、行方不明者1名、家屋の被害約
藤沼湖決壊による被災現場
被災した建物
25
14,000戸、市民生活を支えるインフラも深刻な
被害を受け、市庁舎も被災するなど大きな被
害を受けた。うち、藤沼湖決壊による被害は、
死者7人、行方不明者1人、家屋の流失・全
壊22戸となっており、死者・行方不明者・家
屋の浸水の大部分はこれによるものである。
消防団関係の被害は、消防屯所全82箇所中、
被害が19箇所、防火貯水槽14箇所、消火栓8
箇所などであったが、車両には被害がなく、
何よりも消防団員に殉職者や負傷者がなかっ
たことが幸いであった。
被災した消防屯所
消防団員は、震災当日から当該地域の警
ら・広報活動などを行いながら、翌日から行
でもプラス材料であった反面、ガソリンなど
方不明者の捜索活動を行うなど、自宅が被災
燃料不足への対策と、携帯電話が繋がらない
している団員も数多くいるにもかかわらず、
ため無線機が有効であったことから、無線機
消防精神を発揮し献身的に活動してくれたこ
の整備や通信訓練の必要性も感じてきた。
とに感謝するとともに、団長命令に嫌な顔ひ
消防団は火災時における消火活動のみなら
とつ見せず行動してくれたことは、各々が事
ず、今回のような地震や水害など活動は多様
の重大さを認識していたことはもちろん、更
であり住民の期待も大きい。しかし、家庭な
に言えば日頃の訓練の賜物であったと自負し
どで対応できるであろうごく小規模なもの
ている。当市では、地震による火災の発生や
も、地域によっては消防団が対応せざるを得
停電がなかった事が、消防団が活動するうえ
ない現状もあり、消防団員への負担が大きく
なっている事が、消防団員の確保に少なから
ず支障をきたしている。何でも消防団に・・・
という風潮を、自分達で出来ることは自分達
でという自主防災の観点からも、見直すべき
ところがあるのではないだろうか。
最後に、消防団が活動するにあたり、多く
の市民の協力をいただいたことに感謝すると
ともに、当市への温かいご支援をいただきま
した全国の皆様方に、誌上をお借りしまして
御礼申し上げます。
被災した市庁舎内部
被災した道路
26
藤沼湖決壊による被災現場
ラジオ番組「おはよう!ニッポン全国消防団」
出演者紹介
財団法人 日本消防協会
平成23年7月放送分に
出演の消防応援団
王貞治さん
7月10日(日)
岩手県陸前高田市消防団
団長 佐藤 勝さん
7月23日(土)
世界の王貞治さんと対談することができて光
栄です。元気と勇気を頂きました。
陸前高田市は必ず復興します。
7月16日(土)
福島県広野町消防団
団長 渡邊 正俊さん
宮城県気仙沼市消防団
団長 武山 文英さん
今回、被災地として取り上げて頂き有難うご
ざいました。原発は、いまだ安定しておりませ
んが、双葉支部管内の各消防団と手を取り合っ
て震災復興・放射能対策に努めていきたいと思
います。
巨人、大鵬、卵焼きの世代でしたので、王さ
んとの対談は夢のようでした。
復旧・復興に向けて邁進する気持ちが湧きま
した。
27
「図上訓練による消防署と消防団
との消防連携の強化について」
東京都奥多摩町消防団 団長 長田 一雄
奥多摩町は、東京都の全面積の
10分の1にあたる225.63裄の面積
を有し、全域が秩父多摩甲斐国立
公園内に位置しています。
この面積の94%が山林で、風光
明媚な当町には近年の登山ブーム
もあり、都市部の住民を中心に年
間145万人以上の観光客が訪れてい
ます。主に東京都最高峰の雲取山
(2,017m)をはじめとする山々には、
四季を通じて大変多くの登山客が
入山します。また、その反面、昼食時に携
たっております。その消防活動において、
帯用コンロ等を山林内で使用する者も増え
山間部などの水利の少ない場所での作業に
ており、消防団として最も警戒している山
おいては、消防団幹部それぞれが全体の中
林火災の発生を危惧しているところです。
での自分の役割を理解した上で行動し、か
奥多摩町消防団は、町内21自治会、東西
つ消防署と緊密に連携を取ることが消火作
20㎞という広範囲な地域を、6個分団325
業の効率を格段に向上できる一番の方法だ
名の団員で管轄しておりますが、それぞれ
と考えています。
の分団には消防ポンプ自動車を1台ずつ配
そのため、奥多摩町消防団では、一年に
備し、日夜、管内の防火、防災の任務にあ
数回、奥多摩消防署の協力による「消防団
図上訓練」を開催し、火災等の災害時にお
ける消防署と消防団との連携の強化、現場
での分団長同士の役割分担(立ち位置)の
確認、団幹部の状況を踏まえた迅速かつ正
確な判断能力の養成を図っています。
訓練は、団幹部と消防署員の30名程度が
一室に集まり、スクリーンを使用して行い
ます。
訓練の流れとしては、まず消防署が画面
28
上に地図を表示し、発災場所、時間、周辺
を使用した通信訓練という形をとり、現場
地域の状況などの想定を説明した後、各分
と同じように副団長、他の分団長、消防署
団長が提示された情報を基にどう現状を理
への報告、指示など連絡調整を行いながら
解し、いかに消火の手当を講じていくかを
鎮火まで進め、最後に消防署からの講評を
現場到着順に前に進み出て説明します。そ
いただいた上で反省点などについて意見交
の際、想定火災現場を管轄する分団の分団
換を行います。
長が訓練上のリーダー(進行役)となり、
とくに、想定によっては火災現場が山林
それを他の分団長がサポートするという形
など水利の少ない地域である場合もあり、
をとります。
ときには水利確保のため高低差300mの現
また、分団長による説明は実際の無線機
場まで他の分団のポンプ車や小型動力ポン
29
プを中継に入れながらの送水作業を想定す
整えるのが目に見えて早くなり、特に安全
ることになります。
管理による火災現場での装備の不備がなく
そういった場合の作業の多くは、道路幅
なりました。今年春に奥多摩の山林中腹に
の狭い危険な場所であることも多く、何台
おいて建物火災が発生した時には、早い時
もの消防車両を配置できる状況は少ないた
期に水利確保ができたことで奥多摩消防署
め、消防団幹部は、消防車両の現場への入
と連絡調整も効率よく進めることができ、
場規制や消火活動中の団員へ安全指導をす
消火活動の役割分担がうまく機能し、使用
る安全管理員への指示、さらには照明など
した道路での車両同士のトラブルもなく、
の機材や団員用の食料などの物資の運搬を
効率よく鎮火まで納めることができまし
も考慮に入れることになります。
た。
消防署長と消防団長が連携し、消防署員
以上のように、消防団図上訓練によって消
および消防団員への的確な指示を計画的に
防署と消防団との消防活動における連携を
出すことで効率のよい消火作業を行い、負
強め、災害情報を組織全体で共有し、消防
傷者を1人も出さない現場管理ができるよ
団幹部が状況に応じて適材適所を勘案した
うになることがこの訓練の目標です。
判断、指示を行えるようになることで、奥
これまでに数回行った図上訓練の結果と
多摩町消防団がより安全かつ機能的な消防
して、分団長の防災意識が向上し、分団同
活動を進められるように、これからも日々
士の連携および情報統制により初動体制を
精進したいと思います。
30
事業所に対する消防団活動への
理解と協力の呼びかけ
総務省消防庁 防災課
地域防災の中核的存在である消防団員
の約7割が被雇用者であるという現状か
ら、消防庁では、消防団活動に協力する
事業所を賞揚する「消防団協力事業所表
示制度」(平成19年1月)を導入し、事業
所の地域社会からの信頼性の向上及び事
業所と地域社会の協力による地域防災体
制の一層の充実を図っています。
1.各市町村の制度導入状況等
消防庁で実施したアンケート調査によ
ると、平成22年10月1日現在、全国で777
市町村(全国の45.0%)が本制度を導入
済みであり、このうち、富山県、福井県、
長野県及び高知県では、県内全市町村で
本制度を導入しています。
なお、777市町村のうち514市町村が消
防団協力事業所表示証を交付しています。
また、全国で消防団協力事業所に認定された事業所
数は6,228事業所となり、着実に増加しています。
(参考)消防団協力事業所認定数の推移
平成22年10月1日現在 6,228事業所
平成22年4月1日現在 5,300事業所
平成21年10月1日現在 4,317事業所
平成21年4月1日現在 3,410事業所
2.地方公共団体の取組事例
地方公共団体の中には、消防団活動に協力している
事業所に対する建設工事等の入札参加資格に係る優遇
措置や税制上の優遇措置を設けているところもありま
す。
平成22年度消防庁消防団協力事業所表示証交付式の様子
このほかにも、例えば、市(消防団)の依頼を受け
た商工会が消防団員サポート店を募集し、サポート店
が消防団員限定の代金割引等のサービスを行っている
例などがあります。
3.消防庁消防団協力事業所表示証の交付
消防庁においても、全国的に特に顕著な功績が認め
られる事業所を賞揚する「消防庁消防団協力事業所表
示制度」を制定し、事業所との協力関係のより一層の
推進を図っており、毎年2月には消防庁消防団協力事
業所表示証の交付式を行っています。これまでに交付
した事業所数は、461事業所となっています。
消防庁としては、本制度が広く全国の市町村で導入
されることにより事業所と消防団との連携・協力が深
まり、消防団の活動環境が整備され、地域全体の防災
体制の充実強化につながることを強く期待していると
ころです。
また、より一層効果を発揮するためには、全国の全
ての市町村において本制度を早期に導入していただく
ことが望まれるところであり、本制度の導入を行って
いない市町村においては、今年度中に制度を導入して
いただくとともに、認定事業所を増やしていただきた
いと考えています。
なお、消防庁のHPでも消防団協力事業所表示制度
について紹介しています。
(http://www.fdma.go.jp/syobodan/)
31
特別表彰「まとい」を受章して
地域を愛し地域に根ざし地域を守る
信頼される消防団を目指して
鹿児島県宇検村消防団 団長 保池 久 1.はじめに
qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq
本年2月24日に開催されました第63回日本消防
協会定例表彰式において、消防団の団体表彰では
から南へ約380㎞の洋上にある奄美大島の南西部
に位置しています。総面積は約103裄に及び湖水
と見間違えるほどの波静かな焼内湾を有していま
す。林野面積が90%以上を占める緑豊かで、風光
最高栄誉に位置する特別表彰「まとい」を拝受致
明媚な地域であり、焼内湾を中心として、その沿
しました。全国2,200余を数える多数の消防団の
中から、今回身に余る光栄の「まとい」を受章で
岸を約40㎞にわたり14の集落が取り囲むように点
在しています。現在の人口は、2,000人に満たな
きましたことは、このうえない喜びと誇りで万感
の思いであります。同時に、その受章の重みがひ
い小規模な村でありますが、水産業(養殖)、林
しひしと感じられ、更なる消防団強化と消防団発
かした観光業を主体としています。小規模経営形
展のためリーダーシップを発揮していかねばと意
気高まっている胸中であります。
態ながら多岐にわたる業種の中、タンカン(柑橘)、
カボチャ、マンゴーの高付加価値生産農業や近年、
今回「まとい」を受章できましたことは日本消
防協会をはじめ、鹿児島県、鹿児島県消防協会、
注目を集めているクロマグロ養殖など、第一次産
「焼津市消防団発足 60業、農業、製造業(焼酎)及び自然環境資源を活
年目の栄誉」
宇検村並びに関係各位様の温かいご支援とご協力
業を中心とした村です。年間を通じて高温多雨で
温暖な地域であり、南西諸島における最高峰の湯
の賜と、深く感謝申し上げます。また、これまで
本村消防団を支えてその伝統を受け継ぎ、消防団
湾岳を擁して、そこには、学術上貴重な動植物や
絶滅が危惧される固有種が、多数生息している場
活動に日夜努力を重ねてきた諸先輩方や御家族皆
様の功績が今回の受章において、多大な貢献をも
所でもあります。現在は、他に類を見ない貴重な
たらしたものと確信しています。現消防団員の郷
自然環境や有形、無形等の文化的財産の再検証を
行い、奄美群島全体で世界自然遺産登録へ、機運
土愛護精神に満ちた地域に根ざす消防団活動の展
開と地域住民のご理解、ご協力に対しても深く敬
が高まっている状況です。
意を表すとともに御礼を申し上げます。
qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq
2.宇検村の紹介
qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq
宇検村は、九州の南端にある鹿児島県鹿児島市
分団による消火栓活用の様子
32
3.宇検村消防団の紹介
宇検村消防団は、昭和25年4月1日に団長1名、
副団長1名のほか団員28名の構成により発足しま
した。その人容は、20歳代から30歳代の湯湾集落
消防操法訓練
一般住宅の防火点検(台所周り)
出初式開会前の行進
住民の有志達であり、総勢30名の1団1分団によ
防消防に力を入れている現状です。昨年10月20日
り創設されたことから始まっています。消防団創
に発生した奄美豪雨災害は、近隣市町村のいたる
設以前の消防装備が軽装で無いに等しい時代、ひ
とたび火災が発生すると大火に繋がったことか
ところにおいて、激甚な災害が発生した中、本村
は、建物の床上・床下浸水が10棟未満、一部道路
ら、焼内村から宇検村(大正6年11月1日)へと
改称した経緯があります。消防団創設後、幾度か
の冠水や崖崩れ2箇所の発生と農作物への被害が
及んだ状況でした。この災害活動において、消防
の組織の編成が図られてきました。現在は1団本
部2名と7分団80名の総勢82名で構成する体制が
団は早期に警戒配備につき、増水地区の積み土嚢
工法や避難広報及び避難誘導にあたり人的災害の
確立されています。装備も年々充実し現在は、ポ
未然防止を図りました。
ンプ車1台、小型ポンプ付積載車6台、司令車
(日消寄贈車輌)1台、救助資機材搭載型小型ポ
〔宇検村消防団の表彰歴〕
ンプ付積載車1台を保有し、あらゆる有事に対応
する体制が整い現在に至っています。
昭和6 3 年3月 消防庁長官 竿頭綬
平成2 年2月 日本消防協会 表彰旗
4.宇検村消防団の活動
平成17年2月 消防庁長官 表彰旗
qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq
本村消防団は、災害活動や各種消防訓練はもと
平成19年2月 日本消防協会 竿頭綬
平成22年2月 日本消防協会 特別表彰「まとい」
より、火災等の未然防止活動も自発的に展開して
います。特に、一般家庭や独居老人宅の台所周り
qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq
の火気点検については、毎年各分団が自主的に実
5.おわりに
私達を取り巻く社会情勢や社会環境の変化はめ
施して防火防災に成果をあげています。地域の各
種行事等にも積極的に参加して地域をリードし、
まぐるしいものがあり、災害は火災に限らず複雑
多様化しています。昨年発生した奄美豪雨災害の
宇検村消防団の防火に対する普及啓発を地域に示
して地域とともに防災意識の高揚に取り組んでい
ように異状気象による自然の猛威に対して、現有
勢力では対応に限界があるものと思われますが、
ます。また、団員資質向上のため、毎年、鹿児島
微力ながらも全勢力を傾注して被害の軽減に努め
県消防学校の各種研修課程へ派遣しているほか、
各分団で定期的に揚水や放水訓練の火災防ぎょ訓
ていかなければなりません。台風常襲地帯の地形
にある中、今後も各種災害等に関わって消防活動
練を実施して消防力の強化を図っています。隔年
で実施されている消防操法大会に対しては、消防
を遂行していくことは永遠の消防使命でありま
す。宇検村消防団は、これからも「地域を愛し、
活動の基本とすることから重要視しており、その
訓練にも力を入れて万全の体制で挑んでいます。
地域に根ざし、地域を守る」を根底に消防団活動
全般にわたって日々努力していくところです。こ
結果、優勝の栄や上位入賞を幾度か果たしており、
の度の受章を誇りとし、またその栄に恥じない消
昭和63年には、小型ポンプ、ポンプ車両部門で県
大会優勝を達成して、全国大会へ出場し優良賞に
防団活動を消防団員一同、一致団結して邁進して
いく覚悟です。おわりに、日本消防全体の発展と
輝いています。火災等の活動については、ここ数
十年火災発生が極めて低い状況が維持されている
関係各位様のご健勝とご多幸をご祈念申し上げま
して、受章のご挨拶とさせていただきます。
中、気を緩めることなく不時の災害に備えつつ予
33
特別表彰「まとい」を受章して
「おらが町の消防団」
北海道北留萌消防組合 遠別町消防団 団長 闍橋 豊
はじめに
qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq
平成23年2月24日、日本消防会館(ニッショー
ホール)において、「第63回日本消防協会定例表
彰式」が厳粛かつ盛大に挙行され、遠別町消防団
の念願でありました消防団最高の栄誉でありま
す、日本消防協会特別表彰「まとい」を日本消防
協会の高木繁光会長より拝受いたしました。全国
2,275消防団の中からこの栄誉ある表彰を受章で
きましたことは、私ども消防団員はもとより諸先
輩、そして多くの遠別町民にとりましてもこの上
ない喜びであり、誇りであります。
これもひとえに町民皆様の常日頃消防団に対す
るご理解とご協力、更に日本消防協会、北海道消
防協会並びに消防関係者各位の皆様の温かいご支
援の賜物と深く感謝申し上げます。
また、遠別町の歴史は消防団と共にあり、日夜
努力を惜しまず精進を重ねてこられた諸先輩方の
ご尽力の賜物であると深く感謝するところであり
ます。更に日頃から消防活動に対して深いご理解
とご協力をいただいている消防団各位、またその
ご家族の皆様に対しても、心から厚くお礼申し上
げます。
今回の特別表彰「まとい」受章を契機に消防団
「安全で快適に暮らせる 美しいまちづくり」を目指して
遠別町消防団出初式(はしご登梯)
34
特別表彰まとい受章を遠別町長へ報告
一丸となって一糸乱れぬ消防組織力の強化、結束
を図り、地域住民の生命、身体及び財産を守り続
けるため、一層精進を重ねていく決意であります。
遠別町の紹介
qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq
遠別町は北海道の道北、留萌振興局管内の北部
に位置し、東はピッシリ岳を主峰とする天塩山脈
をもち、西は日本海に浮かぶ利尻岳を望む日本海
沿線が19袰続き、東西27.49袰、南北51.05袰、総
面積590.86裄を有する自然豊かな町であります。
東部に連なる天塩山脈より、西に向かってゆる
やかな傾斜をなし、その間を遠別川を中心に数流
の河川が流れ日本海に注いでいる。
町面積の87%が山林で占められ、耕地は遠別川
沿いの平坦地と日本海に面した小河川沿いの泥炭
地に大別することができる。
気候は、一般に海洋性気候で冬期間は積雪が多
い。また、北西の季節風が強く荒天時が続くが、
日本海を流れる対馬暖流の影響により内陸方面に
くらべ冬季は比較的気温の低下が少ない。夏季は
比較的温暖のため豊富な水量に恵まれ餅米栽培の
北限地域でもある。
「遠別町」の地名はアイヌ語の“ウィ・エン・
ぺッ”から転化したもので、「相話」する川とい
うことから由来したと伝えられている。
遠別町の就業人口は、第1次産業の農業や漁業
で30%、第2次産業の製造業や建築業では25%、
第3次産業の小売やサービス業は45%、第3次産
業に依存するところが大である。
また遠別町域総面積の87%が山林で占められ、
地球の大切な財産である「森」を保護、育成し、
有効的に活用することを念頭においた本町の林業
は、計画的な造材と整備を進め良質の林産物の開
発研究に努めており、「水と緑」との調和を考え
町民による植樹祭に力を注いでいる。明治以来こ
こに開拓の鍬を打ちおろして今日まで、先人の光
輝ある偉業に支えられながらわが町が形づくられ
遠別町消防団春季消防演習(通常点検)
てまいりました。
遠別町消防団の沿革
qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq
遠別町消防団の歴史は、明治45年に公設遠別消
防組として腕用ポンプ1台、組頭以下25名で組織
されたのが創始と言われています。現在の組織概
要は、1団本部、2分団制で、条例定数75名(平
成23年6月1日現在実員68名)消防団の装備は、
水槽付消防ポンプ自動車1台、普通消防ポンプ自
動車1台、小型動力ポンプ2台、指揮広報車1台
を保有し機動力を大幅に増強。
更に本部幹部には、職員同様指令卓から災害時
の一斉呼出装置(ページング)を設置し、迅速な
初動作の徹底を図っている。
団員の平均年齢は、42歳と比較的若さが感じら
れ、自営業が多く地域防災の中心的リーダーとし
て幅広い活躍を行っている。
また、一時中断されていた登梯も、平成8年度
に遠別町消防伝統保存会を発足、登梯の妙技の復
活を果たしたことにより、地域住民に大変喜ばれ
防火思想の向上に役立っている。
遠別町消防団の活動内容
qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq
消防団の活動としては、毎年1月7日に新年出
初式を実施、多数の来賓者出席のもと、各種の団
員表彰式及び消防活動協力者に対しての感謝状や
記念品贈呈も行っています。
春季・秋季消防演習は5月及び9月の第4日曜
日に実施しており、春季演習は多数の来賓者出席
のもと、訓練礼式(通常点検・小隊編成・行進間
訓練)及び大規模施設を火点とした模擬火災訓練
による防御活動等も行っています。
また、秋季演習については、5月から10月まで
の月例訓練においての問題点及び課題を取り上げ
た反省訓練を実施しています。
更に、10月の秋の火災予防運動期間中に夜間模
擬火災訓練を実施、廃材を利用した建物小屋を建
て、実際に火を点けた実戦同様の防御訓練も行っ
ています。
また、2月の厳寒期に実施される冬期間火災予
防運動においては、積雪の状況により独居老人宅
の避難口確保の除雪作業及び救急救命講習会、更
に外来講師を招き団員研修会等も実施していま
す。
毎月1日・15日を防火デーとして、午後9時に
30秒間のサイレン吹鳴を実施して、防火啓発を行
っています。また、婦人防火クラブ・シルバー防
火クラブ・幼少年消防クラブ等の協力により、火
災予防運動期間の初日に街頭による火災予防啓発
も行っています。
おわりに
qqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqqq
現在、全国的に消防団員数の減少が危惧されて
おりますが、当消防団も団員の確保に苦慮してお
ります。消防団協力事業所等の協力のもと、「お
らが町はおらが守る」を合い言葉に職責の自覚と
誇りを持ち、団員個々の能力向上を図り、今後一
層の精進を決意し消防団活動に臨んでまいりま
す。
最後になりますが、この栄誉ある受章に当たり
格別のご高配を賜りました消防関係各位に深く感
謝を申し上げまして受章のご挨拶とさせていただ
きます。
また、この度の東北地方太平洋沖地震により甚
大な被害を被った各被災地の皆様に心よりお見舞
申し上げます。また、亡くなられた人々に心から
お悔やみ申し上げるとともに、被災地の1日も早
い復旧・復興を心よりお祈りいたします。
35
「地域防災の要を目指して」
香 川
観音寺市消防団 団長
大西 光雄
1 観音寺市の紹介
観音寺市は、香川県の最
西端、愛媛県と徳島県との
県境に位置し、西は瀬戸内
海の燧灘に面し沖合には伊
吹島等の島しょを有してい
ます。瀬戸内国立公園に含
まれる名勝琴弾公園には、
東西122メートル南北90メー
トル、周囲345メートルにわ
たる巨大な寛永通宝の砂絵
があり、琴弾山山頂からの
香川県消防操法大会
壮大な眺めは、一見の価値
があります。南には讃岐山脈が連なり、四
人の新しい観音寺市が誕生し、県西部の中
国高野と称される四国八十八箇所66番札所
心都市になっております。
雲辺寺があり、市の北西部には四国霊場に
は珍しい一山二霊場の札所68番、69番札所
2 観音寺市消防団の組織と概要
の神恵院、観音寺が存在します。市の中央
観音寺市消防団は、平成17年10月11日の
部には三豊平野が広がり田園地帯になって
合併と同時に1団8方面隊22個分団、条例
おり、豊稔池等数多くのため池が点在し、
定数735名で発足し、現在は条例定数713名
田畑を潤しています。本市には国道11号、
に対し、実員数701名で地域の安心、安全
377号が北東から南西に走っており、それ
のため消防団活動を行っております。
に並行して四国横断自動車道があり、大野
また、私たちの消防団では、全国で最初
原インターチェンジを有し、JR観音寺駅
に女性消防団員が誕生した伊吹分団があり
は特急列車の停車駅にもなっております。
ます。この伊吹分団は、大正8年当時の消
観音寺市は平成の大合併により、平成17年
防組とは別組織として女子火防団として発
10月11日に旧観音寺市、旧大野原町及び旧
足しました。現在では20名の女性団員が在
豊浜町の1市2町が合併し、人口約63,000
籍し、
島しょ部の伊吹地域を管轄しており、
36
男性団員の大半が漁業に従事しているた
い命が奪われ、私たち同胞の消防団員も多
め、島に残る女性団員が中心となり、消火
くの方が犠牲となりました。亡くなられた
活動や訓練を行っております。訓練等の内
方のご冥福をお祈り申し上げますととも
容は、伊吹分団に限らず月に一度の割合で
に、被災された皆様に心からお見舞いを申
各個訓練、操法訓練、梯子操法訓練、部隊
しあげます。また、被災地の一日も早い復
訓練、防災訓練等により技術向上を図り、
興を心よりお祈りいたします。
団員1人ひとりが火災予防の啓発を行い、
防災意識を高め日々頑張っております。
本市を管轄する三観広域消防の職員も、
緊急消防援助隊として8名の隊員と車両2
団員に欠員が生じた際は、主に退団する
台で宮城県気仙沼市へ赴き救援活動を行い
団員が新団員を勧誘して補充を図ってお
ました。また、当地においても今後30年以
り、最近では自営業の方が減少する一方、
内に60%の確率で発生すると予想されてい
サラリーマン団員が増加する傾向にありま
る南海地震、東南海地震に備え、地域住民
す。入団の募集は、地域の事業所等にも協
の安全を確保するため、消防職員指導のも
力をお願いしておりますが、欠員の補充に
とで消防団が一丸となり、如何なる災害に
は大変苦慮しているのが現状であります。
も立ち向かうという意識を持って任務遂行
に邁進してまいります。
3 おわりに
このたびの東日本大震災では、多くの尊
伊吹分団女性団員の救命講習
37
「地域に頼られる
消防団であるために」
福 島
会津若松市消防団 団長
佐藤 恒男
1 会津若松市の紹介
本市は、福島県の西部会津盆
地の東南にあり、東京から約300
袰、県都福島市まで約100袰で、
東は猪苗代湖、西は宮川を境と
し、南は布引山・大戸岳を境と
した諸山岳が壁をなし、北は日
橋川を境としています。
市域面積は383.03裄で、市域の
うち約45%が山林であり、東西
お祭りの警備
に約20袰、南北に約29袰とほぼ
縦長の地形をなしています。
平成25年のNHK大河ドラマに同志社大
の創始者・新島襄(にいじまじょう)の妻
で会津藩士の娘だった山本八重を主人公に
した小型動力ポンプ21台更新、消防団員活
動服1,086着、幹部盛夏服55着、市より新
調貸与され更に心技体一新しました。
合併して、数年は各消防団それぞれ歴史、
した「八重の桜」が放映されます。会津女
文化、伝統、やり方になかなか団員同士馴
性の心意気をご期待下さい。
染めませんでしたが、現在は互いに意思の
疎通が出来、消防力等(毎年消防自動車1
2 会津若松市消防団の概要
会津若松市消防団は平成の市町村合併
台更新)も強化され活気溢れる活動をして
います。
で、平成16年11月1日に北会津村消防団と
平成17年11月1日には河東町消防団と合併
しました。共に会津若松市消防団に編入合
3 会津若松市消防団の活動
年間の主な行事と活動状況について
併です。
合併によって消防団組織は19分団、消防
4月 林野火災防ぎょ訓練
団員定数は、1,436名、実員1,380名(内女
幹部・新入団員・ラッパ隊合同訓練
性団員8名)にて現在活動しています。
消防団春季検閲
合併補助金で消防資機材の充実に老朽化
38
5月 阿賀川水防演習
6月 幹部大会
7月 市消防操法大会
8月 市総合防災訓練
10月 幹部・ラッパ隊教養訓練
消防団秋季検閲
11月 ポンプ性能検査(冬季に備えて)
秋季火災予防運動の実施
12月 年末年始火災予防警戒の実施
1月 消防出初式
消防出初式
文化財防ぎょ訓練(市内には重要
文化財170ヶ所あります。
)
3月 春季全国火災予防運動
通年、毎週日曜日朝8時の定時無線。消
防団員募集活動。
有事の際の災害出動、除雪時の消防設備
の除雪、地域の祭礼(各町内、四季折々沢
山のお祭り、祭礼があり積極的に参加、警
戒等に協力しています。
)
げます。
会津若松市は震度5強でしたが、幸い甚
大な被害は免れました。ただ、原子力事故
で風評被害が大きくのしかかっております
が、放射線量はモニタリング検査結果基準
値以下です。
また、7月29日から31日にかけての新
潟・福島(会津豪雨)は記録的豪雨で会津
消防団も組織力を活用し、防犯活動、暴
地方(福島県の面積約3分の1)は被害甚
力追放市民運動等、警察署と協力して成果
大でしたが、会津若松市は幸いにも被害の
を上げています。
報告はありませんでした。
今、消防団は社会情勢の変化、気象変動、
4 おわりに
地球温暖化、予期せぬ自然災害発生等で大
このたびの3月11日東日本大地震につき
変な時期を迎えておりますが、
「がんばろう
ましては、全国の消防団の皆さまには、日
日本」のスローガンのもと会津若松市消防
本消防協会を通して多額の義援金、励まし
団も会津魂、白虎魂でがんばっていきます。
のお言葉をいただき心より厚く御礼申し上
消防操法大会
消防操法大会
39
「地域に根ざした
消防団活動を!」
奈 良
御所市消防団 団長
西口 茂敏
みられ、史跡・古墳や社寺、神話ロマンを今
1 はじめに
東日本大震災で被災されました皆様に心よ
に伝える葛城古道は古都奈良の風土を感じさ
りお見舞い申し上げます。また、消防使命を
せる歴史街道として和みの風景が味わえるな
全うに尽くされ犠牲に遭われた同士の方々に
ど自然環境豊かなところであります。
謹んでお悔やみ申し上げます。一日も早い復
旧復興をお祈りいたしますとともに、微力な
がら、私たちも共に被災地への支援に取り組
2 御所市消防団の概要
本市の消防団は、市政発足時には6支部、
10分団、消防団員258名、消防ポンプ車8台
んでまいります。
本市は、昭和33年3月末に1町3村が合併
で編成され、昭和58年2月10日には奈良県と
し誕生しました。面積60.58裄、人口30,277人、
して最初に、日本消防協会から永年に亘る成
奈良県の北部を占める大和平野(奈良盆地)
績が評価され最高の栄誉である「特別表彰ま
南西端に位置し、大阪市中心部には北西に約
とい」を授与された消防団であります。
30袰、関西国際空港へはおよそ1時間30分の
平成12年より女性分団を加え、現在11分団、
距離にあります。西には葛城山、金剛山が聳
団員220名(内10名女性団員)、ポンプ車10台、
え立ち、5月の葛城山頂ではレッドカーペッ
可搬ポンプ10台、団広報車1台を有し、市民
トを一面に敷き詰め、「一目百万本」と言わ
の生命、身体、財産を守るため、郷土愛の精
れるツツジの自然群生で知られ、多くの観光
神のもとに地域防災の核として住民の期待に
客が訪れています。また、「古事記」や「日
十分応えられるよう、団長を中心に全団員が
本書紀」には、現在の御所市を本拠地とした
一致結団して日頃から訓練を重ね技術の習得
古代豪族葛城氏・巨勢氏に関する記述が多く
に励み、万一の災害に備えています。
ツツジ
40
葛城山
体力錬成訓練を兼ねて救急事案発生場所を的
確に伝言できる看板の設置、点検など事故防
止に取り組んでいます。
市花でもありますツツジから通称「アザレ
ア隊」として発足した女性分団は、女性なら
ではのソフトさを生かした消防団活動をモッ
トーに、災害弱者と言われています高齢者の
防火訪問、救急フェアー、市民体育祭など各
種イベントにおいて、心肺蘇生法、応急手当
やAEDの使用など普及啓発活動を展開してい
ポンプ操法
3 消防団の活動
ます。
4 終わりに
地域防災力の中核を担う消防団として、各
今日、中央構造線断層帯、東南海・南海地
自治会や介護施設等で行われる防災訓練にお
震の発生またゲリラ豪雨などの大規模災害の
いては指導者として、「自らの地域は自らで
可能性が高まる中、災害現場の第一線を担う
守る」という自主防災意識の高揚、実践訓練
消防団の果たす役割はますます大きくなって
に取り組んでいます。
います。
また、団員自らの消防技術の向上と士気の
しかしながら、現在、消防団員の減少、高
高揚を図るため、平時の訓練はもちろん、隔
齢化などの全国的な課題は本市においても例
年開催の消防操法大会では、これまで幾度と
外なく、地域防災力の低下が懸念されていま
なく県大会優勝を果たし、その歴史と伝統は
す。
今もなお全ての団員に引き継がれています。
一方、葛城山、金剛山をはじめとする林野
先の大震災を決して対岸の火事とすること
なく、私たち消防団はその自覚と責任のもと、
火災の発生に備え、県内外の市町村消防相互
住民の負託に応えるべくさらに精進するとと
応援協定に基づき、隣接市との林野火災消火
もに、「自らの地域は自らで守る」共助の精
訓練を毎年実施しています。さらに、観光シ
神から自治会をはじめ関係機関、団体との連
ーズンには特に火災や救急事案の発生が危惧
携により地域に根ざした防災力の向上に努め
されることから、登山客に対する火災予防PR、
て参りたいと思います。
登山道看板
隣接市合同
41
シンフォニー(滋賀県)
「女性分団!
これからの私たち」
近江市消防団 女性分団 分団長 辻 千亜紀
辻 分団長
中西 副分団長
1
東近江市の紹介
私たちが住んでいる滋賀県東近江市は、琵
琶湖の南東部に位置し、二度の合併により誕
生した面積388裄、人口約12万人の県下でも
有数の大きな都市です。
雄大な鈴鹿の山々に源を発するいく筋もの
清流が市内を流れ、母なる「琵琶湖」へとつ
ながり、その流域には肥沃な大地が育まれ、
美しい田園風景が広がっています。また、近
江商人が築いた古い街並み、万葉集でも額田
王の『あかねさす紫野行き標野行き 野守は
見ずや君が袖振る』などと詠われたように万
葉ロマン溢れる地や、江戸時代から続く大凧
(現在では100帖敷の八日市大凧)などの歴史
文化が育まれてきました。さらには、鉄道網
や主要幹線道路も発達するなど人々がにぎわ
う街です。
2
現在の活動状況とこれからの私たち
東近江市消防団は、団長を始め、8方面隊
26分団(支所単位)ごとに分かれて約1,000名
の消防団員が活動しています。その中で女性
分団を本部付けとして現在20代から40代の女
42
副分団長 中西 恵 性8名が、HEART RESCUE(ハートレスキ
ュー)の愛称で防火・防災啓発を中心に活動
しています。団員はそれぞれ仕事・家事・育
児もありますが、家族に支えていただき、
HEART RESCUE(ハートレスキュー)のマ
スコットキャラクターの「うーちゃん」と一
緒に女性ならではの視点で元気に啓発を進め
ています。
啓発の中で最も多く活動しているのは、市
内の幼稚園・保育園などでの紙芝居です。紙
芝居の後には、団員同士で考えたクイズで紙
芝居の中身をおさらいしたり、シーツを煙に
見立てて、煙の中を逃げる体験をしてもらっ
たりしています。子ども達にわかりやすく伝
えるために、日々試行錯誤しつつ啓発に取り
組んでいます。
その他にも、市内のケーブルテレビでの啓
発や火災予防週間の街頭啓発なども行ってい
ます。
また訓練としては、礼式訓練や救命講習、
DIG(災害図上訓練)を受講し、いざと言う
ときにしっかりと活動できるよう備えていま
す。団員の中には、上級者用救急救命講習の
資格を取得し、市の防災訓練の時には、消防
署職員と並んで、市民の皆様へ救命のポイン
ト等を指導しています。
しかし、女性消防団員は団員数も少なく、
全体の1%にとどまっているため、私たちの
活動状況については、地域の方々にはまだま
だ周知できていないのが現状です。これから
の活動として、もっと身近な存在になるよう
にしなければなりません。
そのためには、自分達で出来ることから率
先して行動すること、例えば「大きな声であ
いさつをすること」や「わかりやすい啓発活動」
を通じて、ボランティア活動が好きな学生や子
育てが少し落ち着いたお母さんなどに声を掛け
ていき、少しでも消防団に興味を持ってもらえ
るよう、努力をおしまないことです。
『女性分団がいないと何か物足りない』と
言われるような活動を今後も継続していきた
いと考えています。
43
桐生市消防団 副団長
青木 仁郎
現在、桐生市消防団副団長として活躍している青木仁郎氏
群
は、防火意識、郷土愛、使命感すべてにおいて消防団をこよ
馬
なく愛している方です。また、縁戚筋には代々消防魂が受け
県
継がれており、9代遡るとその中に12人もの消防団員が活躍
した経歴をもっております。平成12年には、所属する消防分
団の4分1が青木氏の縁戚であったため、地域の消防関係者
には「消防一族」と呼ばれており、縁戚が集まれば消防談義
に花が咲き時間を忘れるほどだそうです。
阿南市消防団 部長
中川 満雄
平成元年に阿南市消防団に入団以来、現在は見能林分団の
部長として地域の防火活動や団行事において中心的役割を努
めるかたわら、長年にわたり全日本少年硬式野球の阿南シテ
ィホープで球団代表を努め、その熱血指導と情熱は関係者の
みならず大勢の知るところです。グランドに響き渡るノック
の音や歓声にまじり、愛情たっぷりの激励を送る野太い声が
聞こえてきます。最近の嬉しい事として、かつて少年野球で
指導した子供達が成人して消防団員として入団してくれる事
だそうです。
徳
島
県
日光市栗山消防団 第2分団 部長
鷹觜 哉偉
栃
木
県
日光市栗山消防団の渓流釣り名人こと鷹觜哉偉さんを紹介
します。
鷹觜さんは通勤時間3分の地元企業に就職しており、災害
時にはいち早く駆けつけ、団幹部及び団員からの信頼も厚い
人物です。また、釣りに関しては最適な環境に居る為、釣り
のシーズンともなれば、朝に夕にほぼ毎日釣りを楽しんでお
り、日曜日ともなると幻の日光岩魚を追って、山の奥深くへと入っていきます。鷹觜さんが一度
渓に入ると、その後渓に入った人はまったく釣れない、という伝説もあるほどの名人ですので、
釣果についてはご想像にお任せします。
鷹觜さんは、釣った魚は惜しげもなく友人、知人に分け与える太っ腹でもあり、今年行なわれ
た栃木県防災館ふれあいデーの消防団物産コーナーでは、自分で釣った天然岩魚100匹を塩焼きに
して、安価で提供し1時間で完売したと大変喜んでいました。
日光市栗山地域は天然岩魚の宝庫です。皆さんもぜひ日光市栗山地域を訪れて、岩魚釣りを体
験してみてはいかがですか。鷹觜名人がやさしく指導してくれるかも?
44
御所市消防団 第2分団 団員
井上 剛敏
井上氏は平成8年に入団。平成20年のポンプ車操法大会の選手とし
奈
良
県
て出場し、準優勝を果たすなど消防人として活動を続ける一方、入団
前から所属する「御所太鼓 燿」で培われた和太鼓の実力はピカイ
チ!市内外からのイベント依頼が数多く、消防出初式や昨年の「全国
女性消防団員活性化奈良大会」情報交流会にも花を添えています。自
らの技能向上とともに和太鼓教室生への「アメとムチ」の指導は定評
です。左写真は、生徒達に取り囲まれる中、大きな掛け声と笑いとと
もに撮影したもの。多くの人から愛され、それに応えようとする彼へ
の期待は大変大きく、消防団にとっても将来が本当に頼もしい存在であります。
安芸高田市消防団 副団長
宮岡 泰之
広
島
県
安芸高田市は、郷土芸能「神楽」が非常に盛んな地域です。安芸高
田市消防団の宮岡副団長は、
「地域を自分たちで守る」という強い気持
ちで消防団活動に取り組む傍ら、地域の神楽団の代表として活躍され
ています。消防団・神楽団いずれの活動も、入団して30年をこえまし
た。
安芸高田の神楽は、舞人の動きの激しさ、太鼓や笛が奏でる奏楽の
軽快さ、衣装の豪華さから、県内外から注目を浴びています。神楽専
用舞台を有する神楽門前湯治村では、市内22神楽団が交代で、週末に
神楽公演を行っています。
宮岡副団長は、秋祭り神楽奉納や湯治村神楽公演を通じて、「永い伝統のある神楽を後世に伝え
ていきたい」と、他のメンバーとともに伝承に励んでいます。
神戸市東灘消防団 本団
黒木 眞弓
兵
庫
神戸市女性団員第1期生。常に冷静で男性団員も黙らせ
る迫力があります。眞弓さんは、だんじり祭りにも出てい
ます。さらしを巻いて勇ましい姿は男前?です。わが町を
県
守る消防団員にはピッタリです。そんな団員がいる東灘消
防団では、今回の震災地へエールを送ろうと、Tシャツを
そろえ活動しています。この思いが届きます様に。
中間市消防団 第5分団 班長
内野 民夫
福
岡
中間市出初式や三大祭り(筑前中間さくら祭り・同川まつり・同やっ
ちゃれ祭り)等のイベントにおいて、和太鼓の演奏を通じて市民の防災
意識の高揚に努める可憐な女性消防団員11名が演舞する「中間まとい太
県
鼓」社中を率いる師範が、内野民夫班長です。
自慢の上腕二頭筋と背筋力を駆使した力強い太鼓打ちと素早い土嚢積
お ん が がわ
かわすじおとこ
み作業が売りの、郷土愛あふれる頼りになる遠賀川・川筋男です。
45
消
防
団
の
茨城県
「応急手当の普及に向けて」
広場
得し、救急ボランティアとして一般の市民を
対象とし救急講習を広く実施して、応急手当
の普及び啓発活動に力を入れています。
土浦市消防団女性部
部長
清水 裕美
これまでに実施した救命講習は、延べ65団
体に行ってきました。
今年3月には、同じ土浦の消防団員を対象
とした救急救命講習を実施しました。また、
土浦市消防団女性部は平成21年4月1日
小学校のPTAの講習を実施したときに、お母
に、消防団活性化対策の一助とするため4名
さん達の真剣な表情や眼差し、態度など、本
で結成されました。
当に一生懸命実施されている姿を拝見して、
現在では、団員も増え12名で活動していま
す。
普段の活動は、水防訓練時の受付や進行係、
私も、一人の親として大変感銘を受けました。
こうした経験をしたことで、消防団活動とは
大変やりがいがあり、入団してよかったと思
各式典の来賓者案内係及び接待係、ポンプ操
いました。今後は、救急講習はもちろん、救
法競技大会時の場内アナウンス、また応急手
急講習に寸劇を取り入れることにもチャレン
当普及講習等を中心に活動しています。男性
ジしてみたいと考えています。
団員とは違い災害出動はしませんが、女性な
これからも、女性消防部のチームワークを
らではの、きめ細やかでソフトな対応能力を
大切にして、受講者にとってかけがえのない
活用し、工夫をしながら色々な活動に取り組
講習会を、一つでも出来るよう更なる努力を
んでいます。
積み重ね、市民の安心安全のため、少しでも
特に、女性部全員が救急普及員の資格を取
46
役立つ活動をしていきたいと思います。
平成23年度 全国統一防火標語
消したはず 決めつけないで もう一度
10月の日本消防協会関係行事
10月19日(水)
第20回全国女性消防操法大会(横浜市)
10月20日(木)
日中韓消防協会会議(中国)
10月21日(金)∼28日(金)
第26回日中消防友好調査(中国)
編 集 後 記
あれだけ続いた厳しい暑さが、あっと言う間に肌寒さへと移り変わるときです。不思議と、こうなれば涼し
くなった嬉しさよりも、何か手から離れていってしまったたような寂しさを感じたりします。こんなとき、い
ま身近な存在のものをもっと大事にしようと、変に柔らかく落ち着いた気持ちになり、あとはそれに自己陶酔。
私をナルシストにさせる季節が今年もやってきました。
今年は北の地を訪れ、ひと足早い秋を先取りし、既に一度自己陶酔をしたところです。二度目はこれから東
京ですることになっています。
さて、今回の編集は、いつものT・Mさんに代わり、海外出張居残り組の私が担当させていただきました。
またこの欄でお会いできる日を楽しみにしています。
(Y・A)
購読募集
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総務部企画担当 03―3503―1481
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印
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話本
︵
3833 印
︶刷
六
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七式
一
︵会
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︶
発 編
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行 集
京
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都所 話京 所 人
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〇港 田
三区
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区
日
3503 ノ
外
︶門 本 田
神
一
田
四二 消 六
八︱
︱
一九 防 知
三
︵︱
︱
代十 協 三
︶六 会 也
平平
成成
二二
十十
三三
年年
九九
月月
十五
日日
発印
行刷
月
刊
﹁
日
本
消
防
﹂
第
六
十
四
巻
第
九
号
平毎
消防人の火災共済の補償が増額されました
「1000倍補償を1500倍補償にUP」
B 型火災共済
(加入口数は 5 口から25口まで)
10口の場合 掛金1000円で
火 災 共 済 金 100万円を150万円に増額しました。
風水雪害等共済金(全損で)20万円を30万円に増額しました。
『掛金は、500円∼2,500円(500円単位)で加入できます。』
C 型火災共済
成
二
月
十一
三
年回
九十
月
十日
日
発
発
行行
『加入口数は、最高200口』
第
九
号
火 災 共 済 金 2,000万円を3,000万円に増額しました。
風水雪害等共済金(全損で)400万円を600万円に増額しました。
※ 風水雪害等共済金とは、これまで災害見舞金としてお支払いしていたものです
※ 加入にあたり、組合員となっていただくために出資金が必要になります。
生活協同組合 全日本消防人共済会
事務局 (財)日本消防協会内 支 部 都道府県消防協会内
日
本
消
防
第
六
十
四
巻
第
九
号
加入申込みは消防事務担当へ
問
合
せ
先
●各市町村の消防事務担当係
●都道府県消防協会
(日本消防協会ホームページ)
●(財)日本消防協会 年金共済部
●生活協同組合全日本消防人共済会
〒105-0001 東京都港区虎ノ門2-9-16
日本消防会館 TEL.(03)3503-1481∼5
http://www.nissho.or.jp
日
本
消
防
財
団
法
人
日
本
消
防
協
会