植物細胞を用いたフラボノイド機能性・薬効成分のメタボリックエンジニアリング 静岡県立大学 薬学部 生薬学教室 静岡県立大学 大学院生活健康科学研究科 食糧細胞工学研究室 静岡県立大学 食品栄養科学部 細胞生理学研究室 沼津工業高等専門学校 三井農林株式会社・食品総合研究所 野口博司,阿部郁朗 小林裕和,丹羽康夫 森安裕二 加藤美知代 後藤慶一 [研究内容] 植物培養細胞を用いフラボノイド類 (機能性成分としては,カテキンを含むポリフェノール,ラズベリー香気成 分,ホップ苦み成分など,薬効成分としては,抗アレルギー薬としてのクロモン類など) の高生産・高蓄積系を樹 立し,メタボリックエンジニアリングのベンチャーとして素材を商品化する.この目的に対して,以下の研究を遂行 した. ① 有用フラボノイド類生合成遺伝子のクローニング ラズベリーケトンの生産および抗炎症作用を担うリンドレインの原料の生産に必要なダイオウ由来ベンザルア セトン合成酵素遺伝子 (RpBAS) のクローニング.マルバアサガオ由来クロモン合成酵素遺伝子 (IpCHS-A) のクローニング.シロイヌナズナのカルコン合成酵素遺伝子 (AtCHS) のクローニング. ② 粗抽出標品の商品化に耐えうる安全性を保証する遺伝子操作技術の開発 植物由来の安全な遺伝子導入形質転換選択マーカーとして,分岐鎖アミノ酸の合成を司るアセトヒドロキシ酸 合成酵素 [acetohydroxyacid synthase, AHAS:別称,アセト乳酸合成酵素 (acetolactate synthase,ALS)] の変 異型遺伝子作製. 特許出願番号 2005-17220 ③ 基質合成系発現遺伝子のクローニング フラボノイド類の合成に必要な基質の合成系を発現させる遺伝子 (緑化遺伝子) AtCES のクローニング. Plant and Cell Physiology, 印刷中;特許出願明細書作成済み (出願:3 月 1 日) ④ 培養細胞に導入する遺伝子コンストラクトの作製 カテキン高生産培養細胞系を樹立するために,シロイヌナズナ AtCHS を高発現させるためにアクチン遺伝子 (AtACT2) プロモーターの制御下に置いたコンストラクトの作製.安全な形質転換選択マーカー として AtAHAS コンストラクトの作製. ⑤ 植物個体への導入 アロマテラピーに利用可能なラズベリーケトンを合成する RpBAS をシロイヌナズナに導入. 図1 薬用植物等からクローニングした遺伝子にコードされる酵素によって骨格が作られる化合物 図2 「緑化遺伝子」 により葉緑体の基質合成能を獲得したカルス (シロイヌナズナ). ces, callus expression of RBCS.
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