1.これまで各国・地域の誘拐事件・誘拐脅威情報に

広域情報(誘拐事件に関する注意喚起)
1.これまで各国・地域の誘拐事件・誘拐脅威情報については、「スポット情
報」、「危険情報」等において個別に注意を促してきていますが、近年、テロ
組織、一般犯罪組織によるものを問わず、外国人を標的とした誘拐事件が数多
く発生しています。特に2010年夏から現在まで、海外において外国人が被害者
となった主な誘拐事件としては、次のようなものがあります。
(1)2010年4月、アフガニスタン北東部で邦人ジャーナリスト1人が何者かに
誘拐され、約5ヶ月間拘束されるという事件が発生しました。
(2)2011年1月、ニジェールの首都ニアメのレストランから、フランス人男性
2人が何者かに誘拐され、ニジェール・マリ国境地帯における救出作戦後、遺体
で発見されるという事件が発生しました。
(3)2011年2月、メキシコ南部チアパス州の観光地アグア・アスール国立公園
近くで、反政府左翼組織「サパティスタ民族解放軍」を支持するグループが、
アルゼンチン人、カナダ人、フランス人を含む観光客17人を拘束し、翌日解放
されるという事件が発生しました。
(4)2011年2月、アルジェリア南部サハラ砂漠の世界遺産で有名な観光地であ
るイリジ県ジャネットの南約250キロのアリデナで、現地の運転手、ガイドとと
もに移動中であったイタリア人女性旅行者1人が何者かに誘拐されるという事
件が発生しました。
2.誘拐事件には、資産家や企業家等をねらった「身代金目的誘拐」、さらに
は、外国人等を誘拐してその国の政府等に対して政治的要求を行う「政治目的
誘拐」等があります。一口に誘拐といってもその形態は幅広く、また、その犯
行主体も個人や犯罪組織からテロ組織まで多岐にわたっているため、各国ごと
に注意すべき誘拐事件の種類と傾向は異なります。
3.近年、外国人に対する誘拐で特に注意を要する地域として、アフリカ、中
南米、アジア、中東地域等の国々が挙げられます。
(1)アフリカ地域では、ナイジェリア、アルジェリア、スーダン、チャド、
マリ、ニジェール、ケニア、ウガンダ、南アフリカ、ソマリア等で誘拐事件が
発生しています。ナイジェリアやスーダンでは身代金目的の誘拐が多いとされ
ますが、ニジェール、マリ、モーリタニア等では政治目的を伴う誘拐も発生し
ている模様です。また、ナイジェリアや南アフリカ等においては、「419事件」
と通称される詐欺事件の一種として、架空の商談等を口実に被害者を現地にお
びき寄せて誘拐・監禁し、身代金を要求するといった事件も発生しています(「4
19事件」の詳細については、2008年11月6日付け広域情報「国際的詐欺事件(通
称419事件)に対する注意喚起」を参照願います。)。
(2)中南米地域については、身代金目的の誘拐事件が数多く発生しており、
日本人が被害に遭う事件も報告されています。
(3)中東地域では、イラク、アフガニスタン、イエメンにおいて外国人の誘
拐等が発生しており、このうち、テロ組織又は地元の武装集団による政治目的
のものを含む誘拐では、人質が殺害されるケースもあります。また、解決した
場合でも長期化するケースがみられます。
(4)アジア地域では、フィリピンのミンダナオ地域で身代金目的の誘拐事件
が頻発しているほか、パキスタンの各地においても誘拐事件が発生しています。
大洋州地域では、パプアニューギニアで身代金目的や強姦目的の誘拐事件が増
加しています。
4.海外に渡航・滞在される日本人が、誘拐の被害に遭わないようにするため
には、各国において過去に発生した誘拐事件の特徴等を踏まえた安全対策を講
じ、最新の政治・社会情勢等に応じて行動する必要があります。また、誘拐事
件は、旅行者等を含め誰もが被害に遭う可能性があり、犯行手口も、事前に周
到な準備を行って実行されるもののほか、偽の警察官等による偽装検問や、タ
クシーなどを装って犯行に及ぶもの等、様々な形態があることに留意する必要
があります。
5.つきましては、これまで誘拐事件・誘拐脅威情報に関して各国に発出され
ている「危険情報」、「スポット情報」等の内容にも留意し、不測の事態に巻
き込まれることのないよう、外務省や現地の在外公館より最新の治安関連情報
の入手に努めるとともに、「目立たない」、「行動を予知されない」、「用心
を怠らない」の誘拐対策の三原則を心掛け、日頃から安全確保に十分注意して
ください。また、万一に備え、渡航前には、家族や友人、職場の同僚等に日程
や渡航先での連絡先を伝えておいてください。海外での滞在中には、日本の御
家族等との間でこまめに連絡を取ることが大切です。
6.なお、誘拐対策の詳細については、外務省海外安全ホームページにおいて、
パンフレット「海外旅行のテロ・誘拐対策」、「海外における誘拐対策Q&A」
を掲載しておりますので、併せて御参照ください( http://www.anzen.mofa.go.
jp/pamph/pamph.html )。
(問い合わせ先)
○外務省領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐に関する問い合わせ)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)3679
○外務省領事サービスセンター(海外安全担当)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902
○外務省海外安全ホームページ: http://www.anzen.mofa.go.jp/
http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp (携帯版)