糖尿病における急性代謝失調

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科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン
科
学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 2013
2013
19 糖尿病における急性代謝失調
ス
ステートメント
テートメント
1
糖尿病ケトアシドーシス
1)診 断
糖尿病ケトアシドーシスは,インスリンの極端な欠乏とインスリン拮抗ホルモンの増
加により,高血糖(≧250 mg/dL)
,高ケトン血症(β -ヒドロキシ酪酸の増加)
,アシドー
シス(pH<7.30,重炭酸塩濃度<18 mEq/L)をきたした状態であり,緊急の対応が必
要である a, b)
. グレード A コンセンサス
2)治 療
生 理 食 塩 水 を 中 心 と し た 輸 液 で ,水 分 と ナ ト リ ウ ム を 補 充 す る . グレード A
コンセンサス
カリウムを適切に補給することは重要である b〜e)
. グレード A コンセンサス
アシドーシスの補正は原則として行わない 1, 2)
. グレード A
インスリンの少量持続投与(速効型インスリンの点滴静注)を行う. グレード A
コンセンサス
3)合併症
脳浮腫,高 Cl 性代謝性アシドーシス,低カリウム血症を合併することがあるので,治療
中には,意識状態,バイタルサイン,電解質の経時的なモニターを行う. グレード A
コンセンサス
2
高浸透圧高血糖症候群
1)診 断
2 型糖尿病患者が,感染症,脳血管障害,手術,高カロリー輸液,利尿薬やステロイ
ドホルモンの不適切な投与によって高血糖をきたした場合に発症しやすい.高齢者に
多くみられるが,欧米では小児(特にアフリカ系米国人での)2 型糖尿病の初発症状と
しても注目されている. グレード A コンセンサス
さまざまな程度の意識障害と脱水に基づく多飲,多尿,全身倦怠感などの症状をきた
すが,糖尿病ケトアシドーシスよりゆっくり発症し,発症までの期間は数日から週の
単位である. グレード A コンセンサス
高血糖(≧600 mg/dL),高浸透圧血症(≧320 mOsm/L)をきたすが,アシドーシスは
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認めず,pH≧7.30,HCO3≧18〜20 mEq/L である. グレード A コンセンサス
2)治 療
生 理 食 塩 水 を 中 心 と し た 輸 液 で ,水 分 と ナ ト リ ウ ム を 補 充 す る . グレード A
コンセンサス
糖尿病ケトアシドーシスに準じて,速効型インスリンの点滴静注を行う b, c)
. グレード A
コンセンサス
3)合併症
脳浮腫,肺炎,消化管出血,腎不全,脳血管障害,肺動脈血栓症,低カリウム血症な
どを合併することがあるので,治療中には,意識状態,バイタルサイン,電解質の経
時的なモニターを行う. グレード A コンセンサス
3
乳酸アシドーシス
1)診 断
乳酸アシドーシスは,乳酸の産生過剰あるいは代謝障害により,血中の乳酸が著明に
増加(>5.0 mmol/L)した結果,代謝性アシドーシス(血液 pH<7.35)を生じた状態で
あり,緊急の対応が必要である. グレード A コンセンサス
ビグアナイド薬を服用中の患者において,乳酸アシドーシスの発症が報告されている
が,その大半が投与禁忌や慎重投与となっている症例である. グレード A コンセンサス
2)治 療
組織低酸素症を認める場合は,組織の十分な循環と酸素化を確保する. グレード A
コンセンサス
基礎疾患を有する場合は,その治療を行う. グレード A コンセンサス
病態に応じて,酸素投与,人工呼吸管理,細胞外液補充,昇圧薬投与などを行う.
グレード A コンセンサス
ビグアナイド薬に関連した乳酸アシドーシスでは,血液透析が病態の改善に有効であ
るとの報告がある 3)
. グレード C
4
低血糖
1)低血糖の予防
低血糖は,糖尿病治療における大きな障壁であり,その予防や対策のため患者教育や
血糖自己測定の習得が勧められる. グレード A コンセンサス
2)低血糖の診断と対応
動悸,発汗,脱力,意識レベルの低下などの低血糖症状があり,少なくとも血糖値が
70 mg/dL 以下の場合,低血糖と診断し対応する.可能であれば,まず血糖自己測定器
などで血糖値を確認する. グレード A コンセンサス
低血糖の際は,速やかにブドウ糖を中心とした糖質の経口摂取(ブドウ糖として 5〜
10 g)
,またはブドウ糖の静脈内投与(ブドウ糖として 10〜20 g)
,またはグルカゴンの
筋注を行う.また,いったん症状が回復しても再発や遷延があるため,注意深い経過
観察と処置が必要である. グレード A コンセンサス
3)無自覚低血糖
低血糖を繰り返すことで,インスリン拮抗ホルモン分泌反応の低下と無自覚低血糖を
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糖尿病における急性代謝失調
引き起こすことがある.これを回避するには,普段から低血糖を避け,良好なコント
ロールに保つことが重要である. グレード A コンセンサス
4)薬剤性低血糖
経口薬では,特に長時間作用型のスルホニル尿素薬で低血糖を起こしやすい傾向があ
る. グレード A コンセンサス
インスリンでは,超速効型インスリンアナログおよび持効型溶解インスリンアナログ
において,従来の速効型インスリンや中間型インスリンより低血糖の頻度が少ないと
されている 4〜6)
. グレード B
強化インスリン療法により,重症低血糖の頻度が従来療法に比べ約 3 倍に増加するこ
とが示されており,個々の病態に応じた目標設定を行うことが勧められる 7, 8).
グレード A
解
1
説
糖尿病ケトアシドーシス
糖尿病ケトアシドーシスは,1 型糖尿病(劇症 1 型糖尿病を含む)の初発症状として認め
られるのみならず,1 型糖尿病患者における感染症併発時,あるいは感染症に引き続き胃
腸炎を併発し,嘔気・嘔吐などの消化器症状のため十分な摂食ができないときにインスリ
ンを減量・中止するなどのインスリン注射のマネージメントエラー,アルコール多飲やス
テロイド,サイアザイド,ペンタミジンおよび向精神薬(オランザピン,クレチアピン,ク
ロザピンなど)などの薬剤によってももたらされる病態である a, b)
.また,2 型糖尿病患者で
も大量の糖質摂取によりもたらされる(ソフトドリンクケトーシス)ことがあり,糖尿病ケ
トアシドーシス患者のうち約 20〜30%が 2 型糖尿病であったという報告がある 9, 10)
.
1)糖尿病ケトアシドーシスの病態
糖尿病ケトアシドーシスの病態の特徴は,肝臓におけるブドウ糖とケトン体の過剰産生
および筋肉や中枢神経系でのブドウ糖やケトン体の処理能の低下である.
インスリンの欠乏とインスリン拮抗ホルモン(グルカゴン,コルチゾール,アドレナリン
など)の増加は,脂肪組織におけるホルモン感受性リパーゼの活性を亢進させ,脂肪分解
(lipolysis)を促進して大量の遊離脂肪酸(long-chain non-esterified fatty acids:NEFA)を供
給する.遊離脂肪酸は,肝臓で CoA(coenzyme A)の作用を受け,CPT(carnitine palmitoyltransferase)
-Ⅰ,CPT-Ⅱにより能動的にミトコンドリア内に取り込まれケトン体の産生
に利用される a, b)
.
2)糖尿病ケトアシドーシスの診断
臨床所見としては,1〜2 日の経過で,急激な口渇,多飲,多尿,倦怠感が出現し,脱水,
種々の程度の意識障害,体重減少を呈する.腹痛,嘔気を伴うこともあり,急性腹症と誤っ
て診断されることもある.代謝性アシドーシスを補正するための過呼吸(Kussmaul 呼吸)
,
呼気のアセトン臭,口腔粘膜の乾燥,低血圧,頻脈などを認める.
検査所見としては,高血糖(≧250 mg/dL)
,高ケトン血症(β -ヒドロキシ酪酸の増加)
,
アシドーシス(pH<7.30,重炭酸塩濃度<18 mEq/L)などの所見が特徴的である.β -ヒド
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ロキシ酪酸が 3.8 mmol/L 以上(小児にあっては 3.0 mmol/L 以上)に増加している場合は診
断的価値が高い 11)
.妊婦では糖尿病ケトアシドーシスの発症頻度が高くなり,しかも,非
妊娠時よりも低い血糖値でケトアシドーシスをきたしやすいとの報告がある 12)
.
3)糖尿病ケトアシドーシスの治療
ケトアシドーシスの際には,平均して体重の 10%の水分と 10 mEq/kg の NaCl が欠乏し
ているので,生理食塩水を中心とした十分な輸液と電解質(ナトリウム,カリウム)の補充,
インスリンの適切な投与が重要である a〜c, f)
.原則として,血糖と pH は 1 時間毎,電解質は
2 時間毎にモニターする.
生理食塩水は,患者の全身状態,尿量などにより適宜調節が必要である.通常は 500〜
1,000 mL/hr(あるいは 15〜20 mL/kg/hr)のスピードで輸液を開始する.以降,循環動態
に応じて,250〜500 mL/hr を目安に調整する a, b)
.大量の生理食塩水は脳浮腫をきたすおそ
れがあるが,一般に治療開始後 24 時間以内の輸液量が 4 L/m2 以下では脳浮腫は起こらな
い.血糖値が 250〜300 mg/dL となれば,5〜10%ブドウ糖を含むナトリウム含有維持輸液の
点滴静注を行う.血漿浸透圧が正常化し,意識状態が改善するまでは,血糖値は 250〜
300 mg/dL に維持し,その後は 150〜200 mg/dL を目標とする.
インスリンは少量持続静注法が原則である a〜d, f)
.
速効型インスリンを生理食塩水に混注して 0.1 U/kg/hr の速度で点滴静注を開始する.
50〜75 mg/dL/hr の速度で血糖が低下することが期待されるが,血糖の低下が不十分もし
くは過度な場合は点滴の速度を調節する b, c)
.
十分量のインスリンとブドウ糖を適切に投与することにより,β -ヒドロキシ酪酸の正常
化が早まるとの報告がある 13)
.
血糖の改善に伴い血清カリウムの低下が認められるので,血清カリウム(K)が 3.3 mEq/L
未満の場合は,20〜40 mEq/hr の速度で 3.3 mEq/L になるまで補充したあとで,インスリ
ンを投与する a, b)
.血清 K が 3.3〜5.0 mEq/L で,腎機能に異常がないと判断される場合は,
輸液中の K 濃度を 20〜30 mEq/L に調節して,血清 K 濃度を 4.0〜5.0 mEq/L の範囲に維持
する b〜e)
.
糖尿病ケトアシドーシスにおける重炭酸塩の投与やリンの補充が,生命予後や病態の改
善に寄与するというデータはない 1, 2, 14)
.
2
高浸透圧高血糖症候群
1)高浸透圧高血糖症候群の病態
従来,高浸透圧非ケトン性昏睡(hyperosmolar non-ketotic coma:HONC)
,非ケトン性
高浸透圧昏睡(non-ketotic hyperosmolar coma:NKHC)と呼称されていたが,ケトーシス
を伴うこともあり,さらに昏睡になることはまれであるため,高浸透圧高血糖症候群(hyperosmolar hyperglycemic syndrome:HHS)と称されることが多くなっている b〜d)
.
著明な高血糖,浸透圧利尿に基づく高度の脱水,高血糖と脱水に基づく高浸透圧血症を
呈する.脱水の程度は糖尿病ケトアシドーシスよりも高度であり,ケトーシスの程度は軽
度にとどまることが多い.
ケトーシスの程度が軽度であることに対する理由としては,ケトン体産生の要因である
脂肪分解を抑止するのに十分なインスリンが存在する,脂肪分解を促進するインスリン拮
抗ホルモンの増加が糖尿病ケトアシドーシスほどではない,肝臓での脂肪酸からケトン体
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糖尿病における急性代謝失調
を合成する経路が障害されているなどの理由が考えられている b〜d)
.
2)高浸透圧高血糖症候群の診断
高浸透圧高血糖症候群の頻度は不明であるが,米国の報告では 10 万人・年あたり 17.5 症
例といわれている.
インスリン分泌が保たれている 2 型糖尿病患者が,急性感染症,脳血管障害,心血管障
害,手術,高カロリー輸液,利尿薬やステロイドの投与によって高血糖をきたした場合に
発症しやすい.高齢者では,渇中枢の機能が低下しており,飲水行動が減少することによ
り病態が悪化しやすいと考えられている.高浸透圧高血糖症候群を発症し,はじめて糖尿
病と診断されることもあり,従来高齢者に多いと考えられていた.しかし,最近では,欧
米において小児,思春期の 2 型糖尿病の初発症状としても注目されている 15, 16)
.
臨床症状は,さまざまな程度の意識障害と脱水に基づく多飲,多尿,体重減少,倦怠感,
痙攣,振戦などである.身体所見として,血圧の低下,頻脈,皮膚や口腔粘膜の乾燥が認
められる.片麻痺,一側性の腱反射亢進,病的反射の出現などの巣症状を伴うことがある.
糖尿病ケトアシドーシスが急性に発症するのとは対照的に,発症まで数日の期間がある.
検査成績として,高血糖(≧600 mg/dL)
,高浸透圧血症(≧320 mOsm/L)をきたすが,
アシドーシスは認めないか,軽度にとどまるため,pH>7.30,HCO3>18〜20 mEq/L である.
3)高浸透圧高血糖症候群の治療
治療の基本は,脱水の補正と電解質(ナトリウム,カリウム)の補充,適切なインスリン
治療,さらに高浸透圧高血糖症候群をもたらした誘因の除去である.原則として,血糖は
1 時間毎,電解質は 2 時間毎にモニターする.
心不全をきたすような基礎疾患がなければ,まず,脱水の状況に応じて生理食塩水を 500
〜1,000 mL/hr(あるいは 15〜20 mL/kg/hr)より開始する b)
.以降,循環動態に応じて,調
整する.
循環動態が安定していれば,補正血清ナトリウム(Na)を以下の式を用いて評価する.
補正 Na 濃度=実測 Na+
{
(血糖値 − 100)/100}× 1.65
補正 Na 濃度が 135 mEq/L 以下と低値であれば,そのまま生理食塩水を 250〜500 mL/hr
の速度で継続し,補正 Na 濃度が正常(135〜145 mEq/L)または 146 mEq/L 以上と高値で
あれば,0.45%食塩水(half saline)を 250〜500 mL/hr で投与する b)
.
カリウムの補給に関しては,血清カリウム(K)が 3.3 mEq/L 未満の場合は,インスリンを
投与する前に 1 時間あたり 20〜40 mEq の速度で 3.3 mEq/L になるまで補充する.血清 K が
5.0 mEq/L 以上なら K は投与しない.血清 K が 3.3〜5.0 mEq/L で,腎機能に異常がないと
判断される場合は,輸液中の K 濃度を 20〜30 mEq/L に調節して,血清 K 濃度を 4.0〜
5.0 mEq/L の範囲に維持する b〜e)
.
血清リン濃度はインスリン治療に伴い低下し,赤血球内の 2, 3DPG(2, 3 ジホスホグリセ
リン酸)の低下を招き組織の低酸素血症を助長するといわれるが,リンの投与を行うことに
関する有用性は証明されていない d, e)
.
インスリンは少量持続静注法が原則であり,速効型インスリンを生理食塩水に溶解して
0.1 U/kg/hr の目安で点滴静注を開始する.血糖の低下が不十分もしくは過度な場合は点
滴の速度を調節する b〜e)
.血糖が 300 mg/dL に達したら,5%ブドウ糖を含むナトリウム含
有維持輸液の点滴静注を行う.血漿浸透圧が正常化し,意識状態が改善するまでは,血糖
値は 250〜300 mg/dL に維持する.その後は 200〜300 mg/dL を目標とする.
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高浸透圧高血糖症候群をきたす患者は高齢者が多く,大量輸液による肺水腫をきたしや
すい.また,脳浮腫,肺炎,消化管出血,腎不全,脳血管障害,心筋梗塞,肺動脈血栓症,
低カリウム血症などの電解質異常を合併することがあるので,治療中には意識状態,バイ
タルサイン,電解質の経時的なモニターを行う 17)
.
3
乳酸アシドーシス
乳酸アシドーシスは,予後不良であり,死亡率は約 50%に及ぶ g)
.ビグアナイド薬の副
作用として知られており,メトホルミンに関連した乳酸アシドーシスの罹患率は,人口 10
万人・年あたり 2.4〜10 人と報告されている.一方,メトホルミンを使用しない 2 型糖尿病
患者での罹患率は,人口 10 万人・年あたり 9.7 人と報告されており,両者に差はない 18, 19)
.
ただし,糖尿病では非糖尿病より頻度が高い 20)
.
日本では,糖尿病に合併した乳酸アシドーシスの 50 例が報告されているが 21)
,発症の誘
因として最も多かったのはアルコール多飲であり(18 例)
,ビグアナイド薬の使用は 3 例に
すぎなかった.血中メトホルミン濃度は,血中乳酸濃度と関連しないという報告も散見さ
れる 22, 23)
.ビグアナイド薬に関連した乳酸アシドーシスの大半が,投与禁忌や慎重投与と
なっている症例に投与された場合であり,発症時,臓器不全,悪性腫瘍,心血管疾患,感
染症などの重篤な合併症を併発している場合が多い g, h)
.
1)乳酸アシドーシスの病態
乳酸は,肝臓,腎臓で糖新生の過程で代謝される.しかし,酸素欠乏状態や糖尿病患者
では,肝臓,腎臓での乳酸代謝の過程は乳酸産生に傾く.ビグアナイド薬は糖新生を抑制
するため,肝,腎機能低下などにより血中乳酸値が上昇するといわれている i)
.
軽度の腎機能障害では,血中乳酸濃度は上昇しないとの報告があるが 24, 25)
,ビグアナイド
薬に関連した乳酸アシドーシスでは,実際,大半が腎機能障害を合併している j)
.
なお,メトホルミン使用に関して,以下が提唱されている(
「5.血糖降下薬による治療
(インスリンを除く)
」の項参照)
.
①血清クレアチニン値(酵素法)が男性 1.3 mg/dL,女性 1.2 mg/dL 以上の患者には投与
を推奨しない.
②過度のアルコール摂取,脱水,シックデイなどの患者への注意・指導が必要な状態で
は投与しない.
③高度の心血管・肺機能障害,外科手術前後の患者には投与しない.肝機能障害では慎
重に投与する.
④75 歳以上の高齢者ではより慎重に投与する.新規の患者への投与は推奨しない.
⑤ヨード造影剤投与前は投与を中止し(緊急検査時を除く)
,検査後 48 時間は投与を再開
しない.
2)乳酸アシドーシスの診断
臨床症状としては,過呼吸,消化器症状,意識障害を示し,しばしばショック状態とな
り致命的となる.診断基準は,血中の乳酸濃度≧5.0 mmol/L(45 mg/dL)
,血液 pH<7.35
と定義されることが多い k)
.同時に,重炭酸塩濃度の低下,アニオンギャップの上昇をきた
し,血中乳酸/ピルビン酸比の上昇も参考となる.
3)乳酸アシドーシスの治療
診断時,全身状態は不良であることが多い.急性循環不全の場合は,ショック状態の改
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糖尿病における急性代謝失調
善を図り,組織循環・酸素供給の確保を行う.病態に応じて,酸素投与,人工呼吸管理,
細胞外液補充,昇圧薬投与などを行う.基礎疾患を有する場合は原因疾患の治療を行う i, 3)
.
重炭酸塩の経静脈投与に関しては,治療効果を支持するエビデンスはない 26)
.
ビグアナイド薬に関連した乳酸アシドーシスでは,血液透析が有効であるとの報告があ
る 3)
.
4
低血糖
1)低血糖の予防
近年,国外の複数の臨床試験の結果から,厳格な血糖コントロールを行った強化療法群
での重症低血糖の頻度の増加が報告された 7, 8)
.また,わが国において救急搬送された約
6,000 人の臨床研究では,救急搬送患者の約 1%が重症低血糖による意識障害を認め,特徴
として,60%以上が 70 歳以上の高齢者で,CKD stage 3〜5 の腎機能障害を持ち,スルホニ
ル尿素薬を内服中であった 27)
.低血糖は,糖尿病治療においてしばしばみられる合併症で
あり,良好な血糖コントロールを実現するうえで大きな障害となるため,その予防や対策
は重要である.そのための手段として,シックデイを含む患者教育や血糖自己測定の習得
などが有効とされている 28)
.
2)低血糖の発現機序
脳,すなわち中枢神経系はエネルギー源をグルコースのみに依存しているため,その供
給不足は中枢神経の機能低下につながる.そのため,生体は,血糖の低下に反応して脳機
能を維持するため,多くの防御機能を持っている.
低血糖時には,インスリン拮抗ホルモンの分泌がみられ,主に肝臓に作用し,糖新生を
促がして血糖を上昇させるように働く.
低血糖とその症状には個人差があるため,各人の特徴となる症状の把握が重要である.
また,低血糖を繰り返している症例では,症状の発現と実際の血糖値の間に解離が出現す
ることもある(無自覚低血糖)
.
代表的な低血糖の症状として,
①交感神経症状:発汗,振戦,動悸,悪心,不安感,熱感,空腹感,頭痛などがアドレ
ナリン分泌により出現する交感神経症状であり,血糖値が 55 mg/dL 程度まで下がる
と出現する.中枢神経症状が出現する前の警告症状とされている.
②中枢神経症状:血糖値が 50 mg/dL 程度になるとグルコースの欠乏症状および精神症
状が現れる.すなわち,前者は眠気,脱力,めまい,疲労感,集中力低下,霧視,見
当識低下などであり,後者は不安感,抑うつ,攻撃的変化,不機嫌,周囲との不調和
などである.
③大脳機能低下:血糖値が 30 mg/dL 程度になると大脳機能低下が進行し,痙攣,意識
消失,一過性片麻痺,昏睡といった重篤な症状が出現し,放置すると死に至ることも
ある.
④その他:夜間睡眠中の低血糖では交感神経症状が現れにくく,悪夢や起床時の頭痛な
どがその発現を疑わせる症状として知られる.高齢者では,低血糖の際の交感神経症
状が現れにくく,中枢神経や精神症状が現れ,認知症と間違われることがある.また,
低血糖を繰り返した患者は,高齢になってからの認知機能低下が顕著であるという報
告がある 29)
.
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3)低血糖の診断と対応
動悸,発汗,脱力,意識レベルの低下などの低血糖症状があり,少なくとも血糖値が
70 mg/dL 以下の場合,低血糖と診断し対応する.
可能であれば,まず血糖自己測定器などで血糖値を確認する.経口摂取が可能な場合は
ブドウ糖を中心とした糖質を摂取させるが,ブドウ糖以外の糖類では効果発現が遅延する
こともある.α グルコシダーゼ阻害薬服用中の患者では必ずブドウ糖を摂取させる.経口
摂取が不可能な場合は,歯肉に糖質を塗りつける処置やグルカゴン 1 V 筋注などの処置を
行い,速やかに医療機関へ搬送する.意識が回復すれば炭水化物を経口摂取する.これら
の処置については,患者本人だけでなく家族などにもサポートできるように指導する必要
がある.医療機関で対応する際は,血糖値の確認とともにブドウ糖の静脈内投与を行い,
症状の回復と血糖値の上昇を確認する.投与量は,ブドウ糖として,経口では 5〜10 g,静
注では 10〜20 g を初期投与の目安とし,症状に応じて調節する.意識レベルが低下するよ
うな重症低血糖では,応急処置で低血糖症状がいったん回復しても低血糖の再発や遷延が
起きることもあるため,医療機関での治療を受けるとともに注意深い経過観察と再発予防
のための処置を要する.
4)無自覚低血糖と低血糖による後遺障害
血糖コントロールが不良の糖尿病患者や自律神経障害を伴う糖尿病患者ではアドレナリ
ン分泌の閾値が変化し,低血糖症状発症の閾値が変化する 30, 31)
.また低血糖を頻繁に起こす
患者ではインスリン拮抗ホルモン反応の低下と無自覚低血糖を引き起こす(hypoglycemiaassociated autonomic failure:HAAF)l, 32)
.その病態として,過去の低血糖が sympathoadrenergic system の反応を低下させ,それに続発する低血糖症状の発現低下が考えられており l)
,
予防と治療のためには低血糖を起こさないように慎重に血糖コントロールすることが重要
である.低血糖のない状態を約 3 週間維持すると,低血糖に対するアドレナリン反応が改
善し,自律神経症状も回復したという報告がある 33)
.
近年,無自覚低血糖と自動車の運転や危険な場所での作業,機器操作などの問題があり,
専門医は自動車免許取得や更新の際に診断書を求められることもある.
○低血糖による後遺障害
重篤な低血糖では,昏睡に至り,低血糖昏睡が 5 時間以上経過すると血糖が回復しても
さまざまな後遺症が残りうる.植物状態や死に至る可能性もある.また,低血糖を繰り返
した患者は,高齢になってからの認知機能低下が顕著であるという報告がある 29)
.なお,2
型糖尿病は認知機能低下と関連するといわれているが,HbA1c(NGSP)6.0%未満を目指す
強化療法と HbA1c(NGSP)7.0〜7.9%を目指す通常療法の間に,認知機能低下の抑制効果
に差がないことが報告されている 34)
.
5)薬剤性低血糖
○経口薬による低血糖
経口薬では,スルホニル尿素薬で低血糖を起こす傾向がある.特に長時間作用するクロ
ルプロパミドやグリベンクラミドは他の薬剤に比べ頻度が高く,注意を要する 35〜38)
.作用
時間の短いグリニド系薬は,スルホニル尿素薬に比べ低血糖を起こしにくいと考えられる
が,十分なエビデンスはない.これらのインスリン分泌を促進する薬剤は,高齢者,肝機
能や腎機能が低下した例では特に注意が必要である 27, 35, 38)
.α グルコシダーゼ阻害薬,イン
スリン抵抗性改善薬,ビグアナイド薬,GLP-1 受容体作動薬,DPP-4 阻害薬は,単独での
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糖尿病における急性代謝失調
低血糖はまれと考えられる.しかし,他剤との併用時には注意が必要である.糖尿病の戦
略研究である J-DOIT3 では,重篤な低血糖をほとんどきたすことなく,主に経口薬により
良好な血糖コントロールが得られている m)
.
GLP-1 受容体作動薬あるいは DPP-4 阻害薬 39)にスルホニル尿素薬を併用する際には,
高齢者(65 歳以上)
,腎機能低下者(血清クレアチニン 1.0 mg/dL 以上)では低血糖の頻度
が上昇するため,スルホニル尿素薬の使用量を減らすことが注意喚起されている.GLP-1
受容体作動薬あるいは DPP-4 阻害薬にスルホニル尿素薬を併用する場合は,グリメピリド
2 mg/日以下,グリベンクラミド 1.25 mg/日以下,グリクラジド 40 mg/日以下に減量する
ことが推奨されている(
「5.血糖降下薬による治療(インスリンを除く)
」の項参照)
.
○インスリンによる低血糖
近年の国外の複数の臨床試験の結果から,厳格な血糖コントロールを行った強化インス
リン療法群では,従来療法群に比べて重症低血糖の発症が多く認められ,約 3 倍の頻度で
あったが 7, 8)
,2 型糖尿病では,強化インスリン療法がすべての原因による死亡リスクを減少
させることはなかったとの報告もある 8)
.
超速効型インスリンアナログや持効型溶解インスリンアナログは,従来の速効型インス
リンや中間型インスリンに比べて低血糖の発現が少ないことが報告されている 4〜6)
.
一方,CSII では,頻回注射療法に比較し血糖コントロールがより改善するとともに低血
糖頻度が低いとされている 40, 41)
.
○その他の薬物による低血糖
シベンゾリンなどの抗不整脈薬やニューキノロン系抗菌薬,β 遮断薬,ACE 阻害薬など
での低血糖の報告がある n)
.また,メルカゾールなどの-SH 基を有する薬剤や,最近では健
康食品の α リポ酸により引き起こされたインスリン自己免疫症候群での低血糖の報告もあ
る o)
.
文
献
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19
糖尿病における急性代謝失調
アブストラクトテーブル
アブストラクトテーブル
論文コード
対
象
方
法
結
果
1)Gamba G et al, 1991
pH 7.15 未満の糖尿病ケトア 重炭酸塩を投与する群としない 重炭酸塩の投与の有無はアシ
RCT シドーシス患者(20 人)
群を二重盲検にて比較
ドーシスの補正に関して何ら影
響を及ぼさなかった
レベル❶
レ
ベル❶
2)Morris LR et al, 1986
pH 6.90〜7.14 の糖尿病ケト 重炭酸塩を投与する群としない 重炭酸塩の補充を行っても,血
RCT アシドーシス患者(21 人)
群とで,血糖の変動,血漿およ 糖,ケトン体,血漿および脳脊
び脳脊髄液の pH の変動を比較 髄液の pH 変動には何ら影響が
レベル❶
レ
ベル❶
なかった
3)Seidowsky A et al, 2009
フランス.メトホルミンに関連 予後因子の検討,血液透析の期 発症時の PT 活性値が最も死亡
症例集積 した乳酸アシドーシスを発症し 間の検討
と関連した.血中乳酸濃度も死
亡者で有意に高値であった.血
レベル❹
レ
ベル❹ た 2 型糖尿病患者(42 人)
液透析がメトホルミン除去には
有用である
4)Anderson JH Jr et al,
日本を含む 16 ヵ国.2 型糖尿
2000
病(722 人)
RCT
レベル❶
レ
ベル❶
速効型ヒトインスリン使用 vs 食後血糖値は超速効型で有意に
超速効型(リスプロ)インスリン 低下し,低血糖発現頻度も有意
使 用[6 ヵ 月 ][ク ロ ス オ ー に低かった
バー試験]
5)Anderson JH Jr et al,
日本を含む 16 ヵ国.1 型糖尿 速効型ヒトインスリン使用群 食後血糖値は超速効型で有意に
2000
病(1,008 人)
vs 超速効型(リスプロ)インス 低下し,低血糖発現頻度も有意
RCT
リン使用群
に低かった.特に夜間低血糖の
相対的な改善が認められた
レベル❶
レ
ベル❶
6)Rosenstock J et al, 2005 4 つの RCT のメタアナリシス HbA1c(NGSP)<7.0%を達成 低血糖頻度はグラルギン群で有
メタアナリシス
した際のインスリングラルギン 意に低下していた
とヒト NPH インスリンの比較
レベル❶
レ
ベル❶
7)DCCT Research Group,
米国.1 型糖尿病(1,441 人) 強化インスリン療法 vs 従来イ
1993
ンスリン療法[6.5 年間]
RCT
レベル❶+
レ
ベル❶+
強化療法は 1 型糖尿病で最小
血管合併症の発症・進展の抑制
に有効であったが低血糖頻度が
約 3 倍となった
8)Hemmingsen B et al, 2011 強化療法における 2 型糖尿病 強化インスリン療法 vs 従来イ 両群間で QOL の差は認めな
メタアナリシス の RCT( 14 試 験 , 28,614 ンスリン療法
かったが,強化療法では重症低
血糖の頻度が 3 倍となった
レベル❶+
レ
ベル❶+ 人)のメタアナリシス
9)Newton CA et al, 2004
糖尿病ケトアシドーシス患者 病型,病態の検討
症例集積 (138 人)
レベル❹
レ
ベル❹
糖尿病ケトアシドーシス患者の
21.7%は 2 型糖尿病であり,
人種としてはアフリカ系米国
人,ラテン系米国人が多かった
10)Wang ZH et al, 2008
1997〜2000 年の診療記録か 病型,病態の検討
症例集積 ら抽出した糖尿病ケトアシドー
レベル❹
レ
ベル❹ シス患者(25 人)
スウェーデンの住民を対象.糖
尿病ケトアシドーシスの発症頻
度は 5.9/105 人・年,糖尿病
ケトアシドーシスの 32%は 2
型糖尿病患者であった
11)Sheikh-Ali M et al, 2008 1996〜2006 年の診療記録か 病態の検討
症例集積 ら抽出した糖尿病ケトアシドー
レベル❹
レ
ベル❹ シス患者のデータ(466 人)
成人の 場合,血清 βOHB ≧
3.8mmol/L であれば(小児で
は 3.0mmol/L)糖尿病ケトア
シドーシスと診断される
12)Guo RX et al, 2008
2001〜2005 年に入院した糖 病態の検討
ケースコントロール研究 尿病ケトアシドーシス妊娠患者
レベル❸
レ
ベル❸ (90 人)を抽出し,非妊娠女性
の糖尿病患者(286 人)と比較
妊婦における糖尿病ケトアシ
ドーシスでは血糖値の上昇がさ
ほ ど で な く( 300mg/dL),
124mg/dL でもケトアシドー
シスを認めた
275
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対
象
方
法
結
果
13)Wiggam MI et al, 1997
糖尿病ケトアシドーシス患者 血糖が正常化するまでインスリ βヒドロキシ酪酸が正常になる
RCT (22 人)
ン治療を行い漸減する群と β までブドウ糖を補充しつつイン
ヒドロキシ酪酸が正常になるま スリン治療を継続する群のほう
レベル❶
レ
ベル❶
でブドウ糖を補充しつつインス がケトーシスからの回復が早
リン治療を継続する群の比較
かった
14)Fisher JN et al, 1983
糖尿病ケトアシドーシス患者 8.5mmol/hr( 6g/24hr)の リ リンを投与しても酸素状態や臨
RCT (30 人)
ンを投与する群としない群を比 床データに違いは認められな
較
かった
レベル❶
レ
ベル❶
15)Canarie MF et al, 2007
糖尿病ケトアシドーシス,高浸 病態の検討
症例集積 透圧高血糖症候群で入院した
レベル❹
レ
ベル❹ 10〜30 歳の患者を抽出
629 件の入院のうち 10 件が
高浸透圧高血糖症候群と診断さ
れていた.糖尿病ケトアシドー
シスと診断された患者の 33 件
が高浸透圧高血糖症候群と考え
られた.60%はアフリカ系米
国人
16)Fourtner SH et al, 2005 小児 2 型糖尿病患者(190 人) 病態の検討
症例集積 の病歴をレビュー
レベル❹
レ
ベル❹
190 人 の 患 者 の な か で 7 人
(3.7%)が高浸透圧高血糖症候
群を発症した.全員がアフリカ
系米国人であった
17)MacIsaac RJ et al, 2002 糖尿病ケトアシドーシス(312 高浸透圧高血糖症候群を後ろ向 高齢の高浸透圧高血糖症候群患
症例集積 人)
きに解析
者は予後が悪いことを確認した
レベル❹
レ
ベル❹
18)Brown JB et al, 1998
米 国 . 2 型 糖 尿 病( 41,426 2 型糖尿病患者の乳酸アシドー 発症頻度は 9.7 例(10 万人・
コホート研究 人・年)
シスの発症頻度を検討
年)でありメトホルミンに関連
した乳酸アシドーシスの発症頻
レベル❷
レ
ベル❷
度と差がない
19)Bodmer M et al, 2008
英国.2 型糖尿病(50,048 人) 乳酸アシドーシスの発症頻度と 6 例が乳酸アシドーシスを発症
ケースコントロール研究
使用していた経口糖尿病治療薬 し,全例が何らかの重篤な合併
の検討
症を有していた.スルホニル尿
レベル❸
レ
ベル❸
素薬とビグアナイド薬で発症頻
度は同程度であった
20)Scale T et al, 2011
英国.1 つの病院において乳酸 Cohen and Woods class A
症例集積 アシドーシス(149 人)のデー と B に分類.糖尿病の有無,
メトホルミンの有無と乳酸アシ
レベル❹
レ
ベル❹ タを解析
ドーシスとの関連を検討
乳酸アシドーシスは,糖尿病で
は非糖尿病より頻度が高かった
が,メトホルミンとの関連はな
かった
日本.乳酸アシドーシスを発症 病態の検討
21)河西浩一ほか, 1998
症例集積 した糖尿病患者(50 人)
レベル❹
レ
ベル❹
合併症を有する症例が多く,発
症の誘因としてアルコール多飲
が最多(18 人)であった.ビグ
アナイド薬使用は 3 人であっ
た.死亡例は血中乳酸濃度が高
値であった
フランス.メトホルミンに関連 血中メトホルミン濃度と乳酸濃 血中メトホルミン濃度は血中乳
22)Lalau JD et al, 1999
症例集積 した乳酸アシドーシス患者(49 度の関連と,これらの死亡との 酸濃度と関連しなかった.両者
関連を検討
とも死亡との関連はなかった
レベル❹
レ
ベル❹ 人)
126 の前向き症例研究,56 例
23)Salpeter SR et al, 2003
メタアナリシス の前向きコホート研究,12 例
レベル❸
レ
ベル❸ の後ろ向きコホート研究のメタ
アナリシス
メトホルミンとそれ以外の経口
糖尿病治療薬での乳酸アシドー
シスの発症率を比較,血中メト
ホルミン濃度と乳酸濃度の関連
を検討
メトホルミンとそれ以外の経口
糖尿病治療薬で乳酸アシドーシ
スの発症率は同程度であった.
血中メトホルミン濃度と乳酸濃
度には関連がなかった
276
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論文コード
対
19
象
方
糖尿病における急性代謝失調
法
結
果
24)Rachmani R et al, 2002 血中クレアチニン値が 130〜 メトホルミン中止群と投与継続
RCT 220μmol/L(1.5〜2.5mg/dL) 群で乳酸アシドーシスの発症を
レベル❶
レ
ベル❶ である,メトホルミン治療中の 4 年間観察
2 型糖尿病患者(393 人)
両群とも乳酸アシドーシスを発
症した症例はなかった.軽度の
腎機能障害では,乳酸アシドー
シスの発症には影響しない
25)Connolly V et al, 1996
腎機能正常なメトホルミン治療 血中乳酸濃度に差があるかを検
ケースコントロール研究 中の 2 型糖尿病(25 人)
,腎機 討
レベル❸
レ
ベル❸ 能障害のあるメトホルミン治療
中の 2 型糖尿病(17 人)
,健常
者(34 人)
糖尿病群では,健常者より有意
に血中乳酸濃度が高値であっ
た.腎機能障害の有無では,血
中乳酸濃度に差を認めなかった
26)Luft D et al, 1978
ビグアナイド薬に関連した乳酸 重炭酸塩を投与された 216 人 重炭酸塩を投与しても,死亡率
症例集積 アシドーシスを発症した患者 の予後を検討した
は低下しなかった
レベル❹
レ
ベル❹ (330 人)
27)Haneda M et al, 2009
日本.意識障害で救急搬送され 意識障害で救急搬送された患者 57 人(0.9%)が重症低血糖で,
横断研究 た患者(6,276 人)
の特徴
70 歳以上が 60%以上を占め
ていた.そのうちスルホニル尿
レベル❹
レ
ベル❹
素薬によるものが 60%を占め,
CKD stage 3〜5 の患者が大
部分を占めていた
28)Pieber TR et al, 1995
米国.1 型糖尿病(205 人)
前後比較試験
レベル❸
レ
ベル❸
5 日間の教育プログラムを受け 血糖コントロールは改善し,重
たあと,平均 3 年後の患者の 篤な低血糖頻度も減少した
コントロールや低血糖頻度の比
較
29)Whitmer RA et al, 2009
米国.平均 65 歳の 2 型糖尿 低血糖と認知症の関連について 平均 65 歳の 2 型糖尿病患者
コホート研究 病(16,670 人)
の検討
での重症低血糖の既往は認知症
のリスクと関連する
レベル❷
レ
ベル❷
30)香野修介ほか, 1998
日本.糖尿病(26 人)
,インス 人工膵臓を用いて低血糖を惹起 低血糖閾値は長時間の持続的高
ケースコントロール研究 リノーマ(1 人)
,健常者(9 人) した際の各種拮抗ホルモン,低 血糖により上昇し,血糖コント
血糖症状の発現を点数化してそ ロール状態と平行するが,低血
レベル❸
レ
ベル❸
の閾値を評価する
糖の既往により低下する
31)Levy CJ et al, 1998
米国.糖尿病(1 型 10 人,2 型 段階的低血糖高インスリンクラ 低血糖閾値は血糖コントロール
ケースコントロール研究 11 人),コントロール群(18 ンプ試験を行い,血糖低下に伴 レベルに比例する
うインスリン拮抗ホルモンの分
レベル❸
レ
ベル❸ 人)
泌と症状について分析し,血糖
コントロール状態と比較する
32)Boyle PJ et al, 1995
米国.1 型糖尿病(24 人)およ 脳のブドウ糖摂取率を血糖値か 脳のブドウ糖摂取は血糖レベル
ケースコントロール研究 び健常者 15 人
ら計算し,血糖の変動による差 が低い例で変化せず,拮抗ホル
を調べた
モンの反応も低下していた
レベル❸
レ
ベル❸
33)Cranston I et al, 1994
米国.1 型糖尿病(12 人)
前後比較試験
レベル❸
レ
ベル❸
無自覚低血糖の症例に対して低 平均 4.1 ヵ月後の経過で拮抗ホ
血糖を回避するようにコント ルモンの反応は改善し,低血糖
ロールした前後での症状や拮抗 症状の自覚も回復した
ホルモンの反応を確認
34)Launer LJ et al
米国.ACCORD study に参加 強化インスリン療法 vs 従来イ 認知機能低下の抑制効果に有意
(ACCORD MIND),2011
した 2 型糖尿病(2,977 人)
ンスリン療法[40 ヵ月]
差を認めなかった
RCT
レベル❶
レ
ベル❶
35)Shorr RI et al, 1996
65 歳以上でスルホニル尿素薬 経口血糖降下薬中での低血糖頻 スルホニル尿素薬のなかでもク
コホート研究 単独療法患者(13,963 人)
度の比較
ロルプロパミドやグリベンクラ
ミドでの低血糖頻度が多い
レベル❸
レ
ベル❸
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科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013,南江堂,2013
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© The Japan Diabetes Society, 2013
論文コード
対
象
方
法
結
果
36)van Staa T et al, 1997
英国.スルホニル尿素薬使用者 スルホニル尿素薬服用中の患者 グリベンクラミド使用者におけ
コホート研究 (33,243 人)
での低血糖頻度の比較
るリスクは,他のタイプのスル
ホニル尿素薬使用者より高かっ
レベル❸
レ
ベル❸
た
37)Holstein A et al, 2001
population-based ス タ デ ィ グリメピリドとグリベンクラミ グリメピリド(0.86/1000 人・
コホート研究 (20 万人)
ドの低血糖の比較
年)はグリベンクラミド(5.6/
1000 人・年)に比べて低血糖
レベル❷
レ
ベル❷
の頻度が低い
38)Gangji AS et al, 2007
インスリン分泌促進薬を投与し グリベンクラミドと他のインス グリベンクラミドによる低血糖
メタアナリシス た 2 型 糖 尿 病 の RCT(21 試 リン分泌促進薬の低血糖の比較 のリスクは他のインスリン分泌
促進薬(オッズ比 1.52)やスル
レベル❶
レ
ベル❶ 験,7,047 人)のメタアナリシ
ス
ホニル尿素薬(オッズ比 1.83)
に比べ高い
39)Monami M et al, 2010
4 つの RCT のメタアナリシス DPP-4 阻害薬とスルホニル尿 DPP-4 阻害薬単独ではスルホ
メタアナリシス
素薬との低血糖頻度の比較検討 ニル尿素薬と比較し低血糖頻度
は有意に低かったが,併用した
レベル❶
レ
ベル❶
際には有意差はなかった
40)Jeitler K et al, 2008
22 の RCT(1 型 17,2 型 2, 1 型,2 型および小児糖尿病に 成人および思春期の 1 型糖尿
メタアナリシス 小児 3)のメタアナリシス
おける頻回注射と CSII の比較 病において CSII 群で有意な血
糖コントロールの改善ととも
レベル❶
レ
ベル❶
に,成人において低血糖頻度が
低かった
41)Pickup JC et al, 2008
1996〜2006 年の RCT と前 1 型糖尿病における頻回注射療 重篤な低血糖は CSII 群におい
メタアナリシス 後比較研究(計 22 個)のメタア 法と CSII による比較検討
て有意に低かった
レベル❸
レ
ベル❸ ナリシス
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科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013,南江堂,2013