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2000年度スポーツ産業論レポート
テーマ「地域密着について考える」
メンバー
2199003k
経済学部2年
青山
81090
商学部3年
北
61133
商学部4年
下田
潤
裕一
真人
2001年2月9日
1
目次
はじめに
………………
3
………………
4
湘南シーレックス(担当 北)
………………
6
NFLにおける地域密着について (担当 下田)
………………
8
ソフトボールと地域 (担当 下田)
………………
17
まとめ
……………… 19
作業スケジュール・作業分担
………………
コメントについての回答
……………… 20
全体感想
……………… 22
地域密着について Jリーグの立場から
(担当 青山)
20
2
はじめに(文責 商3 81090
北 裕一)
21世紀に入り、私たちのごく身近にあるスポーツクラブもさらに多様な変化を見せて
いる。そして、そのスポーツクラブの運営の仕方というものもバラエティに富んだものに
なってきた。一昔前であれば、主に企業が金を出してチームを持ち、主たる目的としては
企業のイメージの向上のための社内部活動としての存在の仕方がごく一般的な形であった。
もしくは、以前からプロ化されているスポーツとしてプロ野球や大相撲やゴルフなどがあ
った。個人競技の種目であるスポーツはここでは取り上げないが、プロ野球の球団名にも
企業名が入り、球団として別個の団体ではあるがいわゆる企業の持ち物的な色合いが濃か
った。
その流れの中で、ある種異質な存在形態を目標として1993年に開幕したのが J リー
グであった。J リーグのクラブチームのコンセプトは、まず地域に根ざしているものでなけ
ればならないこと、ホームタウンをもち地域に支えられながらチームを存続させていくこ
とであった。そして J リーグは最初に起こったブームにものりある程度市民権を得るもの
となった。だが、J リーグクラブの経営は企業が母体となっていないため経営がくるしくな
れば、すぐにチームの運営に響いてしまう。実際に J リーグの中で企業として利益を出し
ているクラブは少ないのである。比較的人気があってスタジアムにもお客さんがたくさん
くる鹿島アントラーズや浦和レッズも経営的には赤字なのである。チームの強さと、経営
のよしあしとはまったく無関係といってもよいのである。このように経営的にはそれほど
うまくいっているとはいいがたいものだが、J リーグクラブがスポーツクラブ全体について
も新たな存在形態を示すものとなった。つまり、企業の力には頼らずに地域住民の力でス
ポーツクラブを運営しようという動きが強まってきた。実際 J リーグにおいても横浜フリ
ューゲルスが、親企業である佐藤工業の経営不振によってチームが存在していけなくなっ
てしまい、結局横浜マリノスに吸収合併されてしまうという苦い経験をしている。一企業
の経営状態によって、ひとつのクラブチームが消えてしまったのである。このような事態
を避けるために地域が主体となってチームを運営していこうというのである。
しかし、日本では地域がスポーツクラブを運営していくという歴史は始まったばかりで、
実際住民がどのようにしてチーム運営に参加すればよいかがはっきりと示されていないの
が現状である。海外に目を向ければ、ヨーロッパでは主にサッカークラブについては、地
域住民がクラブの株を所有したり、クラブ会員となってチームにお金を出したりしている
というところがあり、経営的にとてもうまくいっているものも数多くある。サッカーのプ
ロリーグが100年以上続いているという背景もあるが、企業主導型のチーム経営ではな
くクラブが独立して経営していくことができる地盤が出来上がっているのである。そこで
これからいくつかの事例を取り上げて、それがどのようなコンセプトの下でクラブ経営を
しているのか、地域とはどのような結びつきがあるのか、そして実際軌道に乗っているの
かを調べていきたい。
3
地域密着とは?
∼サッカーにおける場合∼
2199003k
青山 潤
J リーグが異常なまでの盛り上がりを見せ、開幕してから早10年近くが経とうと
している。サッカーバブルとまで言われた過剰な人気もはじけ、我が国でもいよいよサ
ッカーというものを、一つの「文化」として捉えられ始めてきている頃ではないだろう
か。
ではサッカーが今日の日本において、プロ野球や大相撲などとともに「文化」とし
て、我々の生活の中に入り込んでくるには、果てはなくてはならないものとして、我々
の日常生活に組み込まれるには、今何が必要なのであろうか。以下では、地域密着とい
う観点を踏まえつつ、その点について述べていきたいと思う。
まず J リーグの理念とはどんなものであろうか。J リーグの公式 HP を見ると次の
ように書いてある。「J リーグは、『地域に根差したスポーツクラブ』ができることで、
人々がともにスポー ツに親しみ、世代を超えた交流を広げ、豊かな人生を過ごしてい
けるものと考えています。『J リーグ百年構想』は、スポーツを核とした地域交流の場
づくりであり、またこの理念をより多くの人と共有し、実現していこうという活動その
ものでもありま す。 J リーグはこれからもこの理念を多くの人と共有しながら、全国
各地に誰もが気軽に行けるスポーツクラブをつくっていきます。
」
(波線筆者)
私なりに解釈すると、J リーグはより多くの人がスポーツ(サッカーだけではなく)
という交流を通じ、あらゆる地域社会において「豊かな社会」を創ろうとしている、と
いうことなのだろう。では実際にその崇高な理念に基づいた活動を行い、そしてその成
果というものはあがっているのだろうか。次のグラフを見ていただきたい。
97
92
Exper
i
enceofSoccer
0%
20%
40%
60%
80%
100%
4
これは、Jリーグの試合を観戦にきた人たちのサッカー経験につて調べたものである
が(左側があると答えた%)、Jリーグが開幕したのが93年(36.6%)から4年
経った97年(35.8%)でその数字にはほとんど変わりがない。Jリーグが理念と
して掲げている、「スポーツを核した地域交流の場づくり」というものは一体どれほど
進んでいるのだろうか。この数字から見る限りはなはだ疑問である。ある資料によると
その熱狂的な応援で有名なスコットランドのグラスゴーレンジャーズのサポーターは
七割がサッカー経験者であるらしい。
ここにこそサッカーが「文化」として受け入れられるための課題があるのではないだ
ろうか。つまり、いくらJのクラブが地域密着を声高に叫び、イベントなどに参加し地
元住民との交流を図ったり、観客動員を増やすために様々な手をうったところで(確か
にそれはそれで大変重要なことではあるが)
、それは一過性なものに過ぎず、何度も言
うように「文化」として我々の生活に密着したものになるには、結局のところ競技人口
の増加ということのほうが遥かに重要な問題なのではないのだろうか。
では、競技人口を増やすには一体どうしたらよいのだろうか。まず第一に、
「施設の
充実」であろう。文部省の統計によると、球技場の数は昭和60年で 1,851、平成8年
で 2,854 である。陸上競技場の増加分も含めても、10年間で1800あまりしか増え
てない。一県あたりにすると、40弱、一年間あたり4つほどである。国土の狭さを考
慮してもこの程度しかスポーツする場がないというのは、先進国において日本だけなの
ではないか。
昨年九月に文部省は「スポーツ振興基本計画」というものを発表した。ようやくス
ポーツの重要性に気がついたのだろう。しかし内容をみると、いわゆるトップダウン的
な、行政サイドからしかみていないものでしかないと思われる。今一番必要とされてい
るのは、行政・企業・市民が三位一体となってスポーツの発展・振興を目指すことでは
ないだろうか。そしてここにこそJリーグが関わってこなければならない所ではないか。
理念として、地域に密着したスポーツクラブの創立をあげるならば、行政が本格的
に動く今こそ、その理想にむかって動きださなければならない時ではないか。そしてそ
れがサッカー、ひいてはスポーツというものを確固たる「文化」として定着させるため
の、一番の近道のように思われるのである。
5
湘南シーレックスについて(文責 商3 81090 北 裕一)
湘南シーレックスはプロ野球の世界ではじめて、地域密着をベースにしたチームである。
2軍チームの中でもホームタウンを別に持っているチームはあるが、チーム名を変えて、
独立採算でやっていくチームはまだ湘南シーレックスだけである。球団のコンセプトとし
ては「ファームをフランチャイズのあるひとつの独立したプロ野球チームとして考え、今
まで以上に地域密着したチーム作りを図る」という目的でチーム名をあえて変更した。そ
してフランチャイズも一軍と同じ横浜ではなくて湘南を選んだ理由としては、湘南という
ある程度全国ブランドとして名も知れていて、高感度も高く、広範囲の地域をチーム名に
入れることで自分たちの町のチームという意識を神奈川県内のファンにも浸透させたいと
いうねらいがあるようである。そしてユニフォームも一軍のユニフォームのデザインとは
違って、白を基調として湘南の海と自然をイメージにした緑がかった青の「湘南の青」の
胸文字やラインが入る。
そこでこの横浜ベイスターズの二軍が独立して名称も変わった経緯だが、1992年に
まずほかの球団に先駆けて球団の前身である「横浜大洋ホエールズ」という名称の中の企
業名をはずした。そして1997年にはその二軍にフランチャイズ制を導入し、本拠地も
横須賀スタジアムに移転させた。プロ野球12球団で見ると、この球団は早くから地域密
着の考え方が強かったのがうかがえる。最終的には2000年に横浜ベイスターズのファ
ームが独立して、今の「湘南シーレックス」としてスタートしたのである。では、なぜ独
立という道を選んだのだろうか。第一の目的は、長年赤字の続いていたファームの経営を
1軍、2軍と社内分割することで活性化できないかということである。2軍の経営はどこ
の球団を見てもたいてい赤字であり、1軍の経営を圧迫するものであった。第2の目的は、
チーム名をも1軍とは異なるものとしイメージのよい「湘南」という地域名を入れること
で、更なる広域集客を狙うものである。
現在の具体的な地域密着に対しての取り組みだが、まずキャラクタービジネスに力を注
いでいる。球団のマスコットキャラクターを11種類設定して、グッズの制作、販売をし、
さらにそれを主に神奈川県内の企業を対象にタイアップ企画を進めていくことで、約50
00万円の収益アップを目指している。具体的なタイアップの内容としては、バスにシー
レックスのマスコットキャラクターをペイントしたり、アサヒ飲料からはシーレックスの
印刷物の入ったスポーツドリンクを地域限定で発売したり、湘南銀行では預金通帳の表紙
に、シーレックスのマスコットキャラクターの絵が入ったものを用意したりして、まだ始ま
ったばかりではあるが、こうした形になる動きも見られている。さらに、地方自治体に対
しては認知度の更なる向上のためにキャラクターなどの商標使用を当面の間は無償とする
ことにしている。試合の開催に関しても、ホームゲームが50試合ある中で、30試合を横
須賀スタジアム、残りを神奈川県内の各地で行い、さらに新しいファンの開拓のために東北
や北海道でも試合を行うものとしている。
6
今後の展望としては、まずユース、ジュニアチームを作り、下部組織を充実させていこ
うというものがある。チーム運営の形態は、アメリカのメジャーリーグのマイナー経営の
ように1軍2軍独立採算というものではなく、サッカーの J リーグのクラブチームが理想
とするようなものを目指している。さらに、アマチュアとの交流も盛んにしていこうとい
う考えがある。イースタンリーグと平行して積極的にアマチュアの強豪チームと交流し、
将来的には「神奈川選手権」みたいな大会を開催できればという計画もされている。
湘南シーレックスは発足して1年足らずしか経っていないために、この時点で成功して
いる、失敗しているなどという評価をするのは難しい。J リーグも発足し何年かは地域密着
の理念の下に成功を収めていたかに見えたが、現在は多くの問題を抱えて頭を痛めている。
だが、このように地域に愛されるようなチーム作りを目指し、さらにそれで採算をあわせ
ていこうという動きは日本の中にあって画期的な発想であるように思う。海外にはこのよ
うな手法で成功を収めている例が数多く存在している。そのような例を参考にして、湘南
シーレックスがある程度軌道に乗っていってくれれば、ほかの球団もこれに追随してくる
ことだろう。ただし比較的チーム数の多い東京圏、大阪圏でこれを行うとファンが分散し
て、勝ち組み、負け組みが出てしまうかもしれないので注意が必要だ。
(参考文献
ホームページ「シーレックスって何や」等レポートに添付済み
アドレスは添付したものを参照してください)
7
NFL における地域密着(担当;下田真人
商学部
4年
学籍番号 61133)
ここでは、アメリカ4大プロ・スポーツのひとつであり、アメリカンフットボールの世界
最高のリーグでもある National Football League(NFL)を題材に、プロチーム・プロリーグ
の立場から見た、プロ・スポーツにおける地域密着を考えていきたい。
1. NFL の現状
1−1
NFL の価値∼NFL はビジネスとして成功しているのか
現在 NFL はアメリカ 4 大プロスポーツの中でも、最もビジネスとして成功しているとい
われている。それは、以下のデータから裏付けられることだと考えている。
1表1−1
リーグ
NFL
MLB
NBA
NHL
競技別平均価値&平均収入
チーム価値(億ドル)
経営収入(億ドル)
385
20
233
1.9
183
−5.7
135
−1.5
1998-1999/Forbes
2表1−2
チーム資産価値(4大スポーツ中)
チーム
団体
チーム価値(億㌦)
経営収入(億㌦)
NFL
663
56.7
ダラス・カウボーイズ
NFL
607
48.8
ワシントン・レッドスキンズ
NFL
502
41.2
タンパベイ・バッカニアーズ
MLB
491
23
ニューヨーク・ヤンキース
NFL
488
18.8
キャロライナ・パンサーズ
NFL
460
13.5
ニューイングランド・ペイトリオッツ
NFL
446
32.9
マイアミ・ドルフィンズ
NFL
427
5
デンヴァー・ブロンコス
NFL
419
29.3
ジャクソンヴィル・ジャグワーズ
NFL
408
33.2
ボルティモア・レイヴァンズ
NFL
399
6.4
シアトル・シーホークス
NFL
397
15.5
ピッツバーグ・スティーラーズ
NFL
394
3.4
シンシナティ・ベンガルズ
NFL
390
33.2
セントルイス・ラムズ
NFL
376
25.2
ニューヨーク・ジャイアンツ
NFL
371
12.7
サンフランシスコ・49ers
NFL
369
4.1
テネシー・タイタンズ
NFL
363
12.1
ニューヨーク・ジェッツ
MLB
359
19
クリーヴランド・インディアンズ
1998-1999/Forbes
1
2
『NFL2000 TV 観戦ガイドブック』26 ページ ベースボールマガジン社(2000)
『NFL2000 TV 観戦ガイドブック』26 ページ ベースボールマガジン社(2000)
8
経営収入に至っても、MLB の 10 倍を稼ぎ出し、チーム資産価値においては、他のスポ
ーツの追随を許していないという状況が一目瞭然であり、NFL の価値がいかに評価されて
いるのかがわかる。
1−2 NFL と地域
さて、このようにビジネスとして大変に成功しているといえる NFL であるが、その成功
の要因として私は NFL が地域というものに非常に力点をおいた運営をしていることがあげ
られるのではと考えている。
周知のとおり、まず NFL は他のアメリカ 4 大プロスポーツ同様、明確なフランチャイズ
制が存在し、レギュラーシーズンはホーム&アウェイで実施されている。そして、NFL の
各チームは、そのチーム組織の中において、フロントオフィスを率いる GM(ゼネラル・マネ
ージャー)の下に、コミュニティーリレーションディレクターを置き、さまざまなイベント
を開催して地元のファンを確保していく努力を行っている。
そういった、さまざまな要因が合わさって、現在の NFL 各チームは、それぞれがフラン
チャイズを置く地域と大変密接で、よい関係を築いていることは事実であろう。
しかしながら、
私は NFL が他のスポーツに比べてビジネスとして成功している背景には、
そのように地域と密着してよい関係を築いているという事実を、いかにチームにとって、
またリーグにとっての利益につなげていくか、という点について、大変秀逸な手法を使っ
ているからではないか、と考えている。
よって、次節以降においては、地域密着というものを、プロチームとして、プロリーグ
として、いかに自分たちの利益につなげていくか、という点に着目して、現在の NFL がど
のような取り組みを行っているかを、具体的に述べていきたい。
2. NFL で行われている取り組み
2−1
NFL チームの収益構造
チームが現在どれだけの資産的価値を持っているかを、アメリカのフィナンシャル・ワー
ルド誌が、チケット・メディア・スタジアムから受け取る収入と選手費用およびその他のチ
ーム運営費用からなる支出を決定要因として過去 3 年間のデータから試算したものをフラ
ンチャイズ・バリューという。表2−1は、1994 年シーズンにおける NFL28 チームのフラ
ンチャイズ・バリューである。
3表2−1
フランチャイズ・バリュー一覧
(1994 年シーズン/米フィナンシャル・ワールド誌調べ)
フランチャイズ名
ダラス・カウボーイズ
3
チケット
メディア
スタジアム 総
選手 運営 運営 フランチャイズ
収入
収入
収入
収入 費用 費用 収入 バリュー
17.0
40.9
37.3
98.2 35.8 66.0 32.3
238
『Touchdown NFL』(タッチダウン社)39 ページ
1996 年 5 月増刊号 304 No.36
9
マイアミ・ドルフィンズ
サンフランシスコ・49 ナーズ
フィラデルフィア・イーグルス
バッファロー・ビルズ
カンザシシティ・チーフス
ニューオリンズ・セインツ
ニューヨーク・ジャイアンツ
クリーブランド・ブラウンズ
シカゴ・ベアーズ
ヒューストン・オイラーズ
アトランタ・ファルコンズ
アリゾナ・カージナルス
ミネソタ・バイキングス
グリーンベイ・パッカーズ
サンディエゴチャージャーズ
ロサンゼルス・ラムズ
シアトル・シーホークス
ワシントン・レッドスキンズ
タンパベイ・バッカニアーズ
NE・ペイトリオッツ
デンバー・ブロンコス
ニューヨーク・ジェッツ
ロサンゼルス・レイダース
ピッツバーグスティーラーズ
デトロイト・ライオンズ
シンシナチ・ベンガルス
インディアナポリス・コルツ
リーグ平均
15.8
18.6
18.6
17.9
17.3
13.0
18.2
15.3
15.3
12.5
12.9
14.0
14.8
14.2
15.5
11.5
12.6
14.4
11.7
15.4
17.7
13.7
14.5
14.8
15.7
13.1
11.8
14.9
38.6
40.8
39.3
38.0
38.4
37.8
39.7
38.2
41.3
38.5
38.1
38.0
37.8
38.0
37.9
39.1
38.9
40.1
37.5
38.0
39.5
38.0
39.2
37.9
37.9
37.4
37.2
38.6
15.4
7.7
8.3
4.8
6.2
6.0
6.1
8.0
6.0
4.5
0.0
5.2
3.2
4.1
4.5
4.3
2.9
1.1
4.5
4.5
0.0
2.0
1.0
2.0
0.0
1.0
0.5
5.4
72.3
69.6
68.7
63.3
64.4
62.6
66.5
64.0
65.1
58.1
57.6
59.7
58.3
59.0
60.3
57.4
56.9
58.1
56.2
60.5
59.9
56.2
57.3
57.2
56.1
54.0
52.0
61.8
36.2
37.3
38.5
38.2
42.8
41.9
38.9
35.0
36.7
41.2
39.9
46.1
38.8
37.5
40.5
38.7
45.6
47.2
35.7
44.2
35.6
39.3
41.6
35.5
43.4
35.9
41.5
39.6
59.0
60.4
60.3
59.6
61.0
61.1
58.5
58.0
56.0
55.2
55.5
63.1
56.6
54.0
59.2
59.2
63.6
64.0
54.6
65.9
52.1
58.0
58.6
53.1
60.5
52.9
55.8
58.6
13.2
9.2
8.4
3.7
3.4
1.5
8.0
6.0
9.1
2.8
2.1
-3.4
1.8
5.0
1.1
-1.8
-6.6
-6.0
1.6
-5.4
7.8
-1.8
-1.3
3.1
-4.1
1.1
-3.8
3.1
186
186
182
172
172
171
168
163
161
158
156
155
154
154
153
153
152
151
151
151
150
149
145
144
141
137
134
160
この表から見て取れることとしては、
チームごとに大きな差が生じていない要素;チケット収入・メディア収入、
選手費用・運営費用
チームごとの差が大きく出ている要素;スタジアム収入
と、いうことがわかる。つまり、各チームの間のフランチャイズ・バリューの差は、このス
タジアム収入という要素の差によって、生じているということになる。
では、なぜスタジアム収入だけに、このような大きな差が生まれてしまうのだろうか?
2−2
レベニュー・シェアリング
NFL は、
“パリティ”、つまり全てのチームが対等の条件で戦い、どの試合も接戦となり、
それを見るファンがプロ・フットボールを十分楽しめることを理想としており、その理想の
実現のために、
「チームごとではなく、リーグ全体の利益を考える」という、通称“リーグ・
シンク”と呼ばれる考え方に基づいて、さまざまな政策が実施している。その政策の中に、
「ウェイバー制度」などと並んで存在するのが、
「レベニュー・シェアリング」である。
10
レベニュー・シェアリングというのは、収益をリーグが統括した上で、加盟チームに均等
に分配する方式のことであり、具体的には、1962 年以降、それまで個々のチームが取り扱
ってきたテレビ放映の契約を、リーグが一括してテレビ局と交渉し、その収益金を加盟チ
ームに均等に分配するようになり、翌 1963 年からはライセンス・スポンサーシップについ
ても同様の分配方式が実施されている。また、試合における入場収益(チケット代)は、
ゲームに対する出費を差し引いたあと、ホーム・チームとビジター・チームに 6 対 4 の割合
で分配される。
以上のことにより、チケット収入とメディア収入は、各チーム間で均衡するのである。
しかしながら、試合を開催する際に入る収入を、チケット代以外からあげる手法が登場
してきているのだ。そして、そのような収入はスタジアム収入という扱いとなり、リーグ
のレベニュー・シェアリングの対象ではないため、全て当該チームもしくはスタジアムの収
益となるのである。
そして、そのことが次項で取り上げる“スタジアム・ルネッサンス”と呼ばれる現象を引
き起こし、NFL チームと地域の新たな関係構築への力となっているのである。
※フランチャイズ・バリューの要素において、選手費用が均等化することの理由については、
本レポートの趣旨とは関連がないので、参考までに記すと、その理由は、
「サラリー=キャ
ップ制」が厳密に施行されているためであるといえる。NFL においては完全フリー・エージ
ェント制が実施されているが、それとセットになって存在しているのがサラリー・キャップ
制である。リーグの総収入をもとに毎年計算されるものであり、選手の年俸高騰化による、
リーグ経営の悪化を防止することが目的とされている。
2−3
スタジアム・ルネッサンス
ここ数年、NFL においては新スタジアムの建設が相次いでいる。1992 年から 2002 年の
間に、全 31 チーム中 18 チームが本拠地スタジアムを新築、もしくは改築する。このよう
な現象は、チーム財政を改善させたい各チームが、好条件・高収益のスタジアムを求めて、
私的にスタジアムを新築したり、本拠地移転の可能性をにおわせながら地域自治体への新
スタジアム建設要望を行うことが頻発したことにより起こった。こういった現象を称して
「スタジアム・ルネッサンス」と呼ばれるようになったのである。
そして、これがチームと地域社会の新たな関係を生む原動力となっている。以下で、そ
の具体例を紹介する。
2−3−1
地方自治体にスタジアム建設に対する税金投入
地方自治体が持つ公営スタジアムの場合、新築・改築のための資金源は税金である。アメ
リカではスタジアム建設に税金を導入するかどうかを、実際に住民投票で見た上で、建設
に乗り出すかどうか決定している。
地方自治体による新スタジアム建設を条件にシンシナティ残留を発表していたベンガル
11
ズの場合は、住民投票が行われ、市民が税金投入に賛成。その結果を受けて、ベンガルズ
と MLB のシンシナティ・レッズの新本拠ポール=ブラウン・スタジアムが建設された。また、
ベンガルズ同様、新スタジアム建設がバッカニアーズ残留の条件だったタンパベイでも、
5%のレンタカー税で 65000 人収容、1 億 6800 万ドルのレイモンド・ジェームズ・スタジア
ムを建設した。一方、タイタンズが移転したナッシュビルでも、水道税導入によって、新
スタジアムを建設した。さらに、サンフランシスコでは、49 ナーズと地域社会のためのス
タジアムとショッピングセンターを一体化した新本拠地の資金調達計画が、住民投票で可
決された。
2−3−2
パーマネント・シート・ライセンシング(PSL)
パーマネント・シート・ライセンシング、頭文字をとって PSL は直訳すれば「恒久的な座
席権」となるが、シーズン・チケットを買う前の、チケット購入権利のことを指す。つまり、
チケット購入の予約券・整理券が販売されているということになる。
予約券を購入しなければならないということは不思議なことではあるが、この収益によ
って新スタジアム建設のための費用を捻出するのであり、定着しつつあるのである。リー
グも、新時代の資金獲得術として期待を寄せている。
その典型的ケースが、1995 年に NFL にエクスパンションで新規加入したカロライナ・パ
ンサーズである。PSL の料金は座席のロケーションに応じて 700 ドルから 540 ドルまで設
定された。実際のチケットではなく、ただの予約券であることを考えると、決して安くは
ないはずであるが、発売から 4 日間で 41632 席の PSL を売上、その上 800 席以上用意して
いた高額クラブシートと、104 個あったスイートの PSL は完売してしまったのである。し
かも、スイートは後に 31 個が追加発売されたほどである。
結局、PSL 販売によって 1 億ドル以上が集められ、新スタジアム建設費用として見積も
られた 1 億 6000 万ドルの実に 62.5%を、まだ存在すらしていないシートを売ることで捻
出することに成功したのである。
なお、PSL の価値は資金集めだけにはとどまらず、これを売り出すことが地元のサポー
トを見る最良のバロメーターとなる。前述のカロライナの場合は、まだスタジアムどころ
か、新チームの概要すら見えない段階で、7 万 2000 人収容のスタジアムの 60%近くが埋ま
った計算となり、地元の熱狂的な支援が実感できるのである。
2−3−3
スタジアム収益とは∼ラグジュアリー・スイート
ラグジュアリー・スイートというのは、PSL と並んで重要なキーワードである。一般のフ
ァンにはなじみのないスポットであるが、スタジアムのスタンド中段あたりにある鏡張り
の豪華な個室のことであり、バーなどが設けられていて、アルコールや食事などを楽しみ
ながら観戦できるものである。値段はかなりの高額であり、企業が接待用に借りたり、個
人が友人と共同で借りるなどして利用されている。
なぜ、ラグジュアリー・スイートが注目されているかというと、スイートからあがる収益
は、リーグのレベニューシェアリングに含まれるチケット代を除けば全て(個室レンタル
12
料など)チームの懐に入るからである。
したがって、NFL の各チームが新スタジアムを求めるのは、新しいスタジアムにするこ
とで多くの一般観客を呼び込むことで入場料による収益増加を図っているだけではなく、
このラグジュアリー・スイートを大量に設置した新スタジアムを獲得することで、スイート
から上がる収益を丸儲けしようという意図があるのである。
この利点を最も活用しているのが、表 2−1 で約 3700 万ドルというリーグ平均の 7 倍近
いスタジアム収益を上げていた、ダラス・カウボーイズである。ダラス・カウボーイズは、
チケットを全体的に価格上昇させるとともに、68 個のスイートを増設することで、スタジ
アム収入を一気に増加させることに成功した。現在、ダラス・カウボーイズのホーム・スタ
ジアムであるテキサス・スタジアムには 280 室ものラグジュアリー・スイートがある。
2−3−4
スタジアム・ルネッサンスが持つ意味
スタジアム・ルネッサンスは、チームの財務改善に躍起になるチームのなりふりかまわぬ
行動という印象が強いかもしれないが、実はもっと大きな意味を持っていると考えられる。
それは、地域との強いつながり・支援を背景として、チームと地域の自治体のパートナー
シップが、またファンの支援が、チームが新しい資金調達法を想像することを可能にさせ、
そのことが、以後のチームと地域社会の関係の活性化と安定をもたらしているのである。
チーム側も、調達した資金によってチーム強化やスタジアム設備の改善など、サービス
の向上に務めることで、地域社会に対しても還元がなされており、まさにチームと地域社
会はお互いによい意味で依存しあう好ましい関係にあるといえるのではないだろうか。
<参考資料>
41997
年 1 月のスーパー・ボウルウィーク中に行われた、ポール・タグリアブ−NFL コミッ
ショナーによる公式会見において、PSL に対するリーグの見解を述べているので、抜粋し
て紹介する。
「…我々はスタジアムの資金を捻出する方法を探しているのです。カロライナが使用し
た PSL が非常に賢明な方法で、そこの自治体はこれによって公的資金の活用を最小限に留
めることができました。もちろん、公的資金をどれだけ活用するかは個々の自治体の選択
によるものですが…」
2−4
NFL とテレビ∼ブラックアウト
NFL はそのリーグ収益のうちの大部分をテレビ放映権料を中心としたメディア収入に依
存している。また、現在のような巨大な組織に成長できたことも、歴史的に見てもメディ
アの力があってこそであったであり、まさに運命共同体的様相を呈しているほどである。
そのため、リーグの施策はどうしてもメディアを優遇する政策に偏りがちになってしまう
のであるが、そのようなメディア優遇とは全く反する興味深い政策を、NFL は実施してい
4
『Touchdown』(タッチダウン社)66∼68 ページ
1997 年4月号
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たりもするのである。
それは「ブラック・アウト」と呼ばれるものであるが、試合開始 48 時間前までに入場券
が売り切れていない場合は、スタジアムを中心とした半径 100 マイル以内の地域では、テ
レビ放送が行われない、とする政策である。それによって、地元のファンをスタジアムに
ひきつけようとしているのである。
ここにおいて、やはり NFL はその収益の大半をテレビに依存していたとしても、プロ・
フットボールの発展のためには、地元のファンによるスタジアムへの集客ということこそ
が基本であるという姿勢を堅持しているのだ、ということが言えるだろうと思う。メディ
アを媒介とした地元ファンとの薄いつながりではなく、スタジアムという場でのより緊密
な関係を維持するために、あえてメディアとの関係にとって都合の悪いような政策も、現
実に実施し、地域との関係を守ろうとしているのである。
3.NFL 唯一の市民球団∼グリーンベイ・パッカーズ
NFL は基本的に単独のオーナーがチームを所有することを原則としているが、特例とし
て、単独のオーナーが存在せず、株式を通じて民間に所有されているチームがある。それ
が、グリーンベイ・パッカーズであり、NFL 唯一の市民球団と呼ばれているのである。
スポーツと地域密着をテーマとする際に、こういった市民が所有するシステムこそ地域
密着スポーツである、という一般的によく聞かれる見方もあるので、今まで述べてきたよ
うな、地域とチームとのあり方と比較する意味もこめて、取り上げたい。
パッカーズが市民所有のチームになった、きっかけは 1950 年、チーム存続の危機に瀕し
たパッカーズが 1 株 25 ドルの株式を販売し、11 万 8000 ドルの資金を調達してチームを存
続させたことである。当時販売された株式は今も 25 ドルのままである。営利を目的として
いないため、株式には利子も配当もなく、チケット優遇などのいかなる特権もない。とこ
ろが、1997 年から 1998 年にかけて、パッカーズが再び株を 1 株 200 ドルで売り出したと
ころ、注文が殺到し、新たに 10 万人を超える株主が誕生した。 今回の株式公開によって、
パッカーズは 2400 万ドルの資金を集めることに成功し、ホーム・フィールドや、チームト
レーニング施設の向上に使われるともことであり、あまった資金を新スタジアム建設のた
めにプールするそうである。
グリーンベイの地元ファンの熱狂振りは有名である。チケットは 60 年代から全て完売。
シーズン・チケットに関しても、現在ウェイティング・リスト(空席待ちリスト)には 2 万
5682 名のファンが名を連ねているが、これはチケット数に直すと 7 万 5000 枚、つまり、
ホーム・スタジアム(収容人員 5 万 9543 名)をもうひとついっぱいにしても入りきれない
のである。しかも、現在のシーズン・チケット保有者は、熱心なためその権利を手放す人は
ほとんどいないため、地元新聞の調べによると、そのリストの中から、毎年新しく実際に
シーズン・チケットを手に入れることができるのは 5 人程度であるため、このままでは今か
らウェイティング・リストに名を連ねても、実際にシーズン・チケットが手に入るのは 5172
14
年後という、とんでもない数字が出てくるのである。
このように、熱狂的な地元の声援に支えられている市民球団パッカーズであるが、それ
でも、その経営は決して楽観できるものではないし、また、そういったグリーンベイのよ
うな市民球団方式が地域と密着している NFL の発展を考える上で一般的にベストなやり方
ではないようである。その点に関して、NFL コミッショナーのポール・タグリアブ−が、
1997 年 1 月のスーパー・ボウルウィーク中に行われた公式会見で、
意見を述べているので、
抜粋する。
5「…グリーンベイのケースについて忘れてはならない事実は、我々のリーグ構造です。
パッカーズがパッカーズ足りうるのは、我々がテレビの収益金を、毎週リーグ内で均等分
配しているからです。このチーム、地域、そして米国で最小の州の 1 つである数万人の住
民たちは、我々がテレビ収益を均等分配していることで多大きく助けられているのです…」
「…確かに形からいえば、パッカーズは公共所有のチームということができます。しかし、
私の意見ではパッカーズの形式や要素を他の共同体で模倣することは簡単ではないと思っ
ています…」
「…公共所有のチームには、現在の運営にかかる費用は高すぎます。特にスタジアムの建
設費用は多くの共同体にとって大きなチャレンジになっているのが現状です…」
「…彼ら(=グリーンベイ・パッカーズ)が 80 年の歳月を費やしてやってきた事業を一朝
一夕に真似しようとするのは、難しいといわざるをえないでしょう…」
以上の話から言えることは、地域密着型のチームの代表として捉えられている市民所有
の球団であるグリーンベイ・パッカーズであるが、現状においてはその運営はもはや市民
の力だけでは支えきることはできず、地域との密着を活用して営利を追及しているリーグ
内の他のチームがあげた収益を、レベニュー・シェアリングによって配分してもらっている
おかげで、チームの円滑な運営が図れているのであり、グリーンベイのような市民所有の
球団であることが、あらゆる状況で地域社会に確実に利益をもたらすシステムであるとは
いえないし、ましてやリーグの存続という面から考えれば、そのシステムの有効性はきわ
めて低いといわざるをえないようである。
3.結論
NFL がその基本政策であるレベニュー・シェアリングから、スタジアム収入を除外してい
たのは、リーグにとっても大変好都合な結果をもたらした。結果として、各チームと地域
社会は、より一層その関係が活性化し安定したのである。また、チームとしても、地域社
会からより多くのものをえることができるようになり、また、より一層地域社会への還元
ができるようになったのである。そのような地域社会との関わり方は、いわゆる市民所有
という関わり方と比較しても、チームが多くの収益を生み出すことで、地域とチームとの
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かかわりをより一層安定的で活発なものにしているともいえる。そして、NFL もそのよう
なチームと地域社会の良好な関係をこれからも維持すべく、さまざまな政策を行ってきて
おり、そのことが、NFL がアメリカ 4 大プロ・スポーツの中でも、一歩抜きん出た存在とし
て君臨し続けることができた、重要な要因になっているだろうし、これからもそうありつ
づけるであろう。
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ソフトボールと地域 (担当:下田真人
学籍番号 61133 商学部 4 年)
近年、日本の団体球技の国際競技力の低下が著しい。そのような中で、国際的競争力を
向上させてきているものとしてあげられるのは、サッカーとソフトボールの 2 つなのでは
ないかと思っている。
サッカーは、J リーグを中心として、地域密着を志向することにより成功しているといわ
れている。では、もう一方のソフトボールにとって、地域とはどういうものなのであろう
か、ということについて調べてみた。
Ⅰ.ソフトボール界として
6日本ソフトボール協会のホームページ内に、
日本ソフトボール協会の事業として、
「ソフ
トボールに関する地域グループの育成強化」が挙げられているように、ソフトボール界と
しても、地域振興というものがやはり重要視されているようである。
そして、その地域振興活動は、各市町村のソフトボール協会と、それらを母体として成
立している都道府県ソフトボール協会が、それぞれ状況に応じて実施しているようである。
2.地域ソフトボール協会が重視している活動
ソフトボール協会関係者の方からお話を伺ったところによると、地域協会が、ソフトボ
ールの地域振興を図る上で、最も重要な活動となるのが、経験十分な指導者による技術指
導、いわゆる“ソフトボール教室”ともいうべきものを地域において展開し、ソフトボー
ルの魅力を啓蒙していくことだということである。
その際に問題として生じてくることとしては、参加者たちが持つ多種多様なニーズに対
して、きめ細かく適切に対応できる指導体制を確立していかなければならない、というこ
とである。例をあげると、
① 時間(日時・曜日など)の設定
② 指導内容(
「投球技術指導」など)の明確な表現とその理解
③ プレーする場所(多目的広場か競技場かなど)の設定
④ 指導者の指導能力(技術力や話術など)の度合い
⑤ 財政上の問題
などがあげられる。とりわけ、参加者がソフトボールの競技性を重視して取り組んでいる
のか、それとも体力増進の一環として取り組んでいるのかということなどは、大きな違い
となるため,的確に対応していかないと,普及・振興も十分に進展しないのである。
つまり、指導者の存在とその活動が地域振興においては重要な要素であり、そして、そ
の指導体制の確立に地域協会として取り組むことで、より一層の振興を実現していきたい
6
http://www.japan-sports.or.jp/softball/html/jsa/j1.htm
17
とのことである。
3.トップチームと地域
今,日本のスポーツ界は「企業スポーツ冬の時代」を迎えているため,J リーグのように
地域密着によって地域に支えられることで,安定したリーグ運営を実現していくという手
法が,注目されている。では,ソフトボールにおいては,どうなっているのだろうか。
ソフトボールのトップリーグは日本リーグである。日本リーグは,実業団チームによっ
て構成されているリーグであることにより,オリンピックで代表チームが華々しい活躍を
見せ,オリンピック後は日本リーグの集客力が何倍にも向上したにも関わらず,今年のオ
フにも廃部チームが出てくるなど,残念ながら「企業スポーツ冬の時代」の影響を大きく
受けてしまっている。
このような現状に対して,女子は3部制,男子は2部制を実施しているため,下部リー
グからチームを昇格させることによってチームを補充し,1部リーグの運営を維持してい
る。しかしながら,当然下部リーグにおいてそのひずみが生じるなどの問題も起こってい
るし,ましてや根本的な解決にはなっていない。
また,J リーグのような地域密着により地域にチームを支えてもらうというシステムへの
転換によって,この窮地を乗り越えるという改革に踏み込むことは無いようである。J リー
グ自体に発足当初の勢いがなくなっていることや,その転換への道のりがあまりに困難で
あることなどが理由のようであり,頭を抱えるような状況はしばらく続いていきそうであ
る。
4.まとめ
ソフトボールにおいては,各地域では地域協会が普及・振興策を実施しており,その中心
として技術指導の実施を重視している。また,その指導体制の確立を図っていくことによ
って,より一層の進行を実現していく構えである。一方,国内トップチームに関しては,
地域密着型に転換して現在を乗り切るという方向性はないようである。
18
さいごに(文責 商3
81090
北 裕一)
これまでいろいろな事例を取り上げて、
「地域密着」とは何なのかということを見てきた。
今までの日本の風潮としては企業主導型のスポーツであったのが、これからは地域住民が
支えるスポーツの形態に移りつつあるものも出てきた。しかし、日本においては歴史が浅
く、うまくいっていない事例が多い。原因として考えられるものとして、行政側の反応の
鈍さ、スポーツに対する対応の甘さが考えられると思う。海外の多くの国ではスポーツに
関する専門の政府機関があり、そこが軸となってくれて国内全体のスポーツ環境を整える
ことができるが、日本に関してはそのような専門省庁はなく、対応も各地方自治体に完全
に任せられている。あまりスポーツに力を入れていない地方自治体が多いために、地方に
根付くスポーツ経営という発想が今まで生まれてこなかったのだ。これからは民間にまか
せっきりではなくて、行政がリーダーシップを取って地域住民と一体となったスポーツ運
営をすることが求められている。そうすれば、海外で行われているクラブ経営を完全に日
本のものにできるのもそう先の話ではないだろう。
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作業スケジュール
10月 問題テーマ設定
11月
各自の研究内容決定
12月
資料集め、各自分析
1月
レポート作成 テーマについての最終ミーティング
作業分担
青山
北
潤
裕一
下田真人
J リーグについて
湘南シーレックスについて
NFL について
コメントについての回答
はたして日本の市民は地元だからといってそのクラブチームのついてきてくれるのでし
ょうか?たとえば大宮とか柏とかはあまり盛り上がっている気はしないのですが。
秋草
賢司
確かに首都圏にフランチャイズを置くチームは、ほかのチームとの競争や、地元のチー
ムという言葉の通用する商圏の狭さ、さらに地元出身者が少なく余り地元に対して愛着を
持っていない人が多いことなどから言って、難しい要素があるだろう。しかし、地方部で
はうまくチームが住民を盛り上げていくことができれば、上に挙げたような弊害も少なく
地域密着型クラブチームとして成功する例が増えていくだろう。
課題として行政のことを挙げているが、そのようないわゆる「お上」意識から変えてい
かなければ本当の地域密着は達成できないのではないか?結局「お上」を言い訳にしてい
るだけで、それを変えるだけの活動をしているとは思えないのだが。
須田
尚宏
確かに、行政の活動に対して、大きな影響を与えるだけの活動をしているところは少な
い。しかし、民間だけの活動ではうまくいかない場合が多いので、それを行政が少しでも
サポートするようになれば今まで以上にうまくいくケースが増えていくのだと思う。ただ、
頼りっきりでもいけないので、そこのバランスが重要なのではないか。
・ブラックアウトは地域とのつながりのためなのだろうか。
地元ファンにとっては自分のせいだけではないチケットが完売していないという理由に
よってテレビを見ることができなくなってしまうのに。
私はブラックアウトは、放映権とスポンサー料を釣り上げる方策だと思うのだが。
もっともそれでもスタジアムを埋められるのだからその以前の努力は大きいと思う
が。
田辺陽子
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ブラックアウトが、放映権とスポンサー料を釣り上げる方策であるというのは、あまり
にも一面的な見方でしかないと思います。実際には、ブラックアウトが起こりそうになっ
た場合は、スポンサー企業が売れ残りのチケットを買い上げて放映を行うというケースも
あり、テレビからの収入を考える上ではマイナスとも思えるやり方です。
しかしながら、リーグはスポーツの本来の魅力として、満員の大観衆とともに、選手た
ちがハイレベルなパフォーマンスを見せるということを意識し、また、スタジアムを通じ
てチームと地元地域が密接な関係を持ちつづけることができるように(テレビだけを通じ
た関係だと、地域性が薄れて、チーム支援の基盤を失いかねないうえ、リーグの浮沈を完
全にマスメディアに握らせてしまうのはリーグ運営上危険であるはず)
、ブラックアウトと
いう政策を実行していると私は考えています。
・年間シート席が5000年も取れないのはすごいですね。
一回だけのチケットはいくらですか?
平口慶幸
通常のレギュラーシーズンのチケット価格は資料がなくわかりませんが、昨年のスーパ
ーボウルですと、額面が 325 ドル、チケット代理店では 2100 ドル、ダフ値は 3000 ドルと
いわれています。
・NFLでのブラックアウト、日本でも見習ってほしいです。
そしたら選手のやる気も随分違うと思う。
桑原雅規
NFL のスタンスは、スタジアムが満員になるスポーツだからこそ、その大観衆の盛り上
がりを一つの魅力としてテレビで放映がされるという、健全なやり方であると思います。
マスメディアにこびへつらって、その運営の首根っこをメディアに抑えられることなく、
スタジアムを満員にすることができるスポーツであるというパワーを維持して、メディア
の都合だけに左右されることのない運営をしているのだと思います。
21
全体の感想
グループワークという形にあまりなれていなくて戸惑う点も多かった。しかし、得るも
の多かったような気がする。グループの人数が3人と比較的少ない人数ではあったが、逆
にフットワークが機敏になって、最初は不安だったが結果的にはよかったかもしれない。
自分たちの課題に関しては、ある意味答えを見つけるのが相当難しくて、最終的な提言が
できなかったのが心残りではあるが、レポート作成の段階で、ある程度のまとまりを見せ
たのはよい収穫だった。各自が持ち寄った資料やテーマをもとに話し合っていくうちに、
スポーツのあるべき形が、はっきりとはしないがなんとなくわかりかけたような気がした。
この講義を受けたことによって、今後のスポーツというものの考え方が少し変わった。
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