航空機の歴史的考察と未来予測

2015 年度秋学期航空操縦学専攻卒業研究前刷
航空機の歴史的考察と未来予測
指導教員 利根川教授
研究者 2BEO1107 玉田凌太
1.
緒言
この戦争において航空機の有用性が認められたこ
本研究は、現在までの航空機の発展の歴史を振
とが 110 年という短い期間で急速な発展を遂げた
り返り、その変遷を研究することで、これからの
大きな要因となっている。第二次世界大戦時にジ
航空機がどのような発展を遂げていくかを予測す
ェットエンジンが発明され、航空機はさらに大型
ることを目標とした。この研究を通して、将来航
化、高速化した。しかし、現在では飛行高度や飛
空機を運航する際に航空機の特性をよく理解する
行高度は効率の良い範囲が発見され、機体の大型
のみでなく、その航空機の開発に至った背景や問
化、高速化は頭打ちの状態となっている。これか
題点も理解することでより安全への意識が高めら
らの航空機は性能に大きな進歩は見られないだろ
れると考える。1年間の研究でより多くの航空機
う。現在の旅客機にはコンピュータが搭載されて
の性能や特徴をまとめ、旅客機などの航空機の用
いる。これからの技術開発は、このコンピュータ
途による発展の違いや共通点等を見つけ出し、未
の性能の向上に重きをおいて、開発がすすめられ
来の航空機の特徴について考察した。
ていくだろう。
2.
研究方法
本研究では、航空機が発明されるまで歴史を調
3.2
航空機の未来予測
現在、世界では一日に 50 万以上のフライトが
査し、なぜ航空機が発明されるに至ったかの経緯
緻密なスケジュールの下運航されている。この膨
を調べた。航空機のこれまでの発展を調査し、共
大な数の航空機の運航の大きな支えとなっている
通点や相違点などを見つけた。航空機に用いられ
ものが、コンピュータである。最新の航空機に
ている技術が他の分野に応用されたことによって
は、フライ・バイ・ワイヤ方式が採用されてい
与えた影響について調査した。これらの調査によ
る。この方式は、パイロットと動翼の間にコンピ
り、これからの航空機に求められる性能や技術、
ュータが介在し、パイロットの操縦を補助する役
また問題点について考察した。
割を担っている。現在の旅客機のフライトの多く
の時間、このコンピュータを用いた自動操縦で運
3.
研究結果・成果
3.1 航空機の性能
航空機の性能を表にまとめ、その発展の特徴を
航している。
旅客機のコックピットは様変わりした。第二次
大戦が終結した直後では、コックピットには機
研究した。航空機は初飛行が成功してから現在ま
長、副操縦士、航空機関士、航空通信士、航空士
での約 110 年で 2 度の世界大戦を経験している。
の 5 人で運航をしていた。しかし現在では機長と
2015 年度秋学期航空操縦学専攻卒業研究前刷
副操縦士の 2 人で事足りてしまう。コンピュータ
どんなに注目して見ているつもりでも、我々人間
の更なる発展と精度向上により、未来の航空機で
は、その仕事がどんなに大変な仕事であるかをし
は、機長のみで運航する可能性も決して否定でき
ばしば認識することができない。
ないであろう。
自動化の進む現在の航空機のコックピットは深
コンピュータによる自動化が進むことでパイロ
刻なコミュニケーション不足の状態にある。現在
ットの負担は軽減され、安全性の向上が期待され
の航空機のコックピットには機長と副操縦士の 2
たが、実際には期待通りの結果にはたどりつか
名が存在するが、コックピットにはまだ十分に認
ず、いまだに悲惨な航空機事故は起き続けてい
識されていない存在がもう一つある。それは、コ
る。現在のパイロットは乗務中の多くの時間を計
ンピュータである。人間とコンピュータがコミュ
器類の監視に割いている。これは、人間が最も苦
ニケーションをとることは、一昔前には考えられ
手とする仕事である。人間の最も苦手とする仕事
ないようなことであった。しかし、技術の進歩の
は、変化に乏しい状況を監視し続けることであ
おかげで、コンピュータと人間がコミュニケーシ
る。変化に乏しい状況の監視は、人間が受ける刺
ョンを図ることは不可能ではなくなった。機長と
激が少なすぎるために、仕事の効率が下がってい
副操縦士の間で現在も盛んに行われるコミュニケ
る状態にある。つまり、過度な運航システムの自
ーション(インテンション)は、安全運航には欠か
動化は、人間であるパイロットが最も苦手とす
せないものだ。従来の、機長(人)と副操縦士(人)の
る、モニタリングという仕事を増やしてしまう危
間で行われていたインテンションを、人間とコン
険性を含んでいることに注意しなければならな
ピュータの間でも行えば、状況認識能力は高ま
い。
り、近年多くの航空インシデントの原因である、
「異常があるにもかかわらず、全く気が付かな
4.
結論
い」状態を打破できるのではないか。
航空機の自動化は、パイロットの負担を軽減さ
せた。しかし、ここにはパイロットの状況認識能
5.
参考文献
力を阻害している負の要因も含まれている。計器
[1]
内藤子生、飛行力学の実際、社団法人日本航
監視を行うパイロットは、外部から受ける刺激が
空技術協会、昭和 45 年
少なく、能力が低下した状態にある。そのため、
[2]
状況認識を欠き、機体が異常な状態にあってもそ
メーション・バカ、青土社、2015 年
れに気づかないことがあるのだ。
[3]
1986 年~1992 年までに発生した航空インシデ
ニコラス・G・カー著、篠儀直子訳、オート
稲垣敏之、自動化による安全性の向上:ヒュ
ーマンファクタの視点からの考察、平成 20 年
ントにおける状況認識の失敗 169 例を調べた研究
[4]
によれば、そのうちの約 80%が、
「異常があるに
of situation awareness errors,” Proc. 8th int’l
もかかわらず、全く気が付かない」という状況認
Symp. Aviation Psychology, 1995
識の失敗が原因であった。
コンピュータは寡黙である。コンピュータは、
どんなに骨の折れる仕事でも、寡黙にこなしてし
まう。そのため、コンピュータが仕事をする様を
D.G.Jones and M.R.Endsley, “Investigation