企業型確定拠出年金 マッチング拠出の手引き

企業型確定拠出年金
マッチング拠出の手引き
株式会社北陸銀行
はじめに
1 . 確 定 拠 出 年 金 は、そ の 制 度にラインナップされた いくつ か の 運 用 商 品 の な か から、加 入 者 が 自 分 で 運 用 商 品を選 ん で 運 用
し、老 後に一 時 金や 年 金 で そ の 資 産を受 け 取る制 度 で す 。ここで は確 定 拠 出 年 金 制 度 のことをDC制 度( D e fi n e d C o n t r i b u t i o n )、確 定 拠 出 年 金 法 のことをDC法と表 記します 。DC制 度には自 営 業 者 などの 個 人 が 掛 金を拠 出 する個 人 型DC
と、企 業 が 掛 金を拠 出 する企 業 型DCが あります 。
企 業 型DCには以 下 の 三 点 の 特 徴 が あります 。
<自 分 で 運 用 する>
・ 企 業 が 掛 金を出した 時 点 で 資 産 は従 業 員 で ある加 入 者 の も のになる。
( 3 年 未 満 退 職 時に会 社に資 産 の 一 部を返 還 する例 外 規 定を設 けることが 可 能 )
・ 自 分 で 資 産 運 用 するの で 、利 益 が 出ることも あ れば 、資 産 が 元 本 割 れすることも ある。
・ 平 成 2 3 年 8 月の 法 改 正により、従 業 員 も 掛 金を拠 出 することが 認 められた 。
<受 取 は6 0 歳 以 降>
・ 受 け 取りは原 則 6 0 歳 以 降( 例 外 あり)。
<資 産 の 持 ち運びが できる>
・ 6 0 歳 前 退 職 の 場 合 、状 況に応じて 、個 人 型DCや 転 職 先 企 業 のDC制 度に資 産を移して 運 用を続 ける。
2 . アメリカにお い て 個 人 積 立 から発 展した 4 0 1 ( k )プランも 拠 出 型 の 年 金 で 、この 制 度を日 本 のDC制 度 の 参 考にしたことか
らDC制 度を日 本 版 4 0 1 ( k )と表 現 することも あります が 、4 0 1 ( k )プランも 、一 人 一 人 の 老 後 資 産を、勤 労 所 得 の ある現
役 世 代 のうちに意 識を持って 運 用 するも の で す 。ここで 説 明 するマッチング拠 出 は、個 人 が 拠 出した 掛 金に、企 業 が 一 定 割
合 拠 出 する形 でアメリカの 4 0 1( k )プランにお い て 認 められて い た 制 度 で 、日 本 でもDC制 度 が 施 行された 時 から導 入 が
求 められ 、施 行 1 0 年 目にしてようやく制 度 設 計 の な か の 選 択 肢として 認 められました 。
3 . マッチング拠 出 制 度 は、自 分 が 意 識して 老 後 の ため の 資 産を運 用 するというDC法 の 目 的を理 解 い ただ い て いる方には大
きなメリットとなる制 度 で す 。この 資 料 は、現 在DC制 度 導 入をご検 討 の 事 業 主 様 の ほか 、す でに制 度をご導 入 い ただき、従
業 員 の 福 利 厚 生 の 充 実をお 考えの 事 業 主 様にもご参 照 い ただき、DC制 度 の 運 用にお 役 立 て い ただけ れば 幸 い で す 。
な お 、DC法 で はマッチング拠 出による加 入 者 が 拠 出 する掛 金につ い て「 企 業 型 年 金 加 入 者 掛 金 」と表 現されて おり、この 資
料 で は従 来 の 事 業 主 拠 出による「 事 業 主 掛 金 」に対 応して「 加 入 者 掛 金 」と表 現して いる部 分 が あります 。
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Ⅰ.
マッチング拠出を導入するには
1 . 企 業 型DCにつ い て 認 められた 制 度
マッチング拠 出 は企 業 型DCにつ い て の み 行えます(DC法 第 3 条 で 企 業 型DCの み 規 定されて います )。
個 人 型DCで 、個 人 の 拠 出 分に対して 事 業 主 が マッチング拠 出 することがアメリカの 4 0 1 ( k )プランで は認 められて います
が 、日 本 のDC法 で は認 められて いませ ん 。
2.当局への申請
マッチング拠 出を実 施 するためには、企 業 型DC規 約にマッチング拠 出( 加 入 者 拠 出 )が できる旨を定 め 、厚 生 労 働 省 の 管 轄
厚 生 局 からそ の 規 約 の 承 認を受 ける必 要 が あります(DC法 第 3 条 第 3 項 第 7 号 の 2 )。新 たにDC制 度を導 入 するため の 申
請 は概 ね 、施 行 日 の 2 か 月半 前まで 行うこととされ 、3 か 月半 前までに事 前 相 談を行う必 要 が あります 。
既にDC制 度 導 入 済 の 場 合 は、そ の 規 約をマッチング拠 出 が できるように変 更し、そ の 変 更につ い て 厚 生 局より承 認を受 け
ることで 実 施 が 可 能となります 。変 更 の 申 請につ い て は変 更 日 の 2 か 月半 前まで 行うこととされて います 。
申 請に先 立って マッチング拠 出 が できるようにすることにつ い て 、労 使 合 意 が 必 要となります 。マッチング拠 出 も 、確 定 拠 出
年 金 規 約 の 制 定 あるい は変 更にか かることな の で 、労 働 者 側 へ の 説 明と合 意 が 必 要となるも の で す 。
T−5 月
T−4 月
従業員説明
労使合意の目処
新規施行の事前
相談期限の目処
T−3 月
T−2 月
T−1 月
T
制度施行
制度施行
事務説明等
もしくは
もしくは
制度変更日
規約変更申請期限
T+1 月
(マッチング)
初回
掛金拠出月
Ⅱ.
拠出限度額
企 業 型DC制 度には月額 5 5 , 0 0 0 円 の 拠 出 限 度 額 が 設 けられて います( 厚 生 年 金 基 金・確 定 給 付 企 業 年 金を併 用して いる場
合 は月額 2 7 , 5 0 0 円 )。事 業 主 はこの 限 度 額を超えて 掛 金を拠 出 することが できませ ん 。マッチング拠 出における加 入 者 掛 金
につ い ても 拠 出 限 度 額 が 設 定され 、以 下 の 二 つ の 条 件を満 たす 必 要 が あります 。
ⅰ. 事 業 主 掛 金 月額と加 入 者 掛 金 月額 は合 計 で 全 体 の 拠 出 限 度 額( 5 5 , 0 0 0 円 もしくは2 7 , 5 0 0 円 )を超えることが でき
ませ ん(DC法 第 2 0 条 )。マッチング拠 出 制 度 が 採 用され 、加 入 者 掛 金 が 加 わっても 従 来 の 拠 出 限 度 額を超 過 できませ
ん 。掛 金 の 内 訳 の な か で は事 業 主 掛 金 が 優 先され 、拠 出 限 度 額との 差 額 が 加 入 者 拠 出 限 度 額となります 。
ⅱ. 事 業 主 掛 金を加 入 者 掛 金 が 超えることはできませ ん (DC法 第 4 条 第 1 項 第 3 号 の 2 )。これは企 業 年 金 は事 業 主 が 主 た
る掛 金 拠 出 者という考えから来るも の で 、確 定 給 付 型 企 業 年 金 で 加 入 者 掛 金を設 定 する場 合 も 同 種 の 規 定 が 設 けられ
て います 。
以 上をまとめると事 業 主 掛 金 が 拠 出 限 度 額 の 半 分となるまで は「 加 入 者 掛 金 枠=事 業 主 掛 金 額 」、事 業 主 掛 金 が 拠 出 限 度 額 の
半 分を超える場 合 「 加 入 者 掛 金 枠=拠 出 限 度 額−事 業 主 掛 金 額 」となります 。
【 掛 金 限 度( 月 額 )のイメージ 】
事業主掛金が拠出限度額の
1 / 2を超えて いる場 合
事業主掛金額
拠出限度額
加入者掛金限度額
(拠出限度額ー事業主掛金額)
事業主掛金が拠出限度額の
1/2以下の場合
※
※ 拠 出 限 度 額( 法 令 で 決 められた 拠 出 額 の 限 度 )
・ 他の企業年金がない場合 55,000円
・ 他 の 企 業 年 金 が ある場 合 2 7 , 5 0 0 円
2
加入者掛金限度額
(事業主掛金以内の額)
事業主掛金額
Ⅲ.
加入者掛金の決め方
1 . 加 入 者 掛 金を拠 出 できる人
企 業 型DCで は加 入 者となる資 格につ い て 、不 当に差 別 的 で な い 範 囲 で 資 格 要 件を定 めることが できます が 、加 入 者 資 格を
得 た 者につ い て は全 て 、マッチング拠 出 利 用 可 能 で なければならな いとされて います 。またマッチング拠 出 の 額 の 決 定や 変
更 方 法を一 定 の 資 格によって 差をつけることもできませ ん 。
2.加入者掛金額の決定
加 入 者 掛 金 は、加 入 者 が 自 分 で 任 意に決 定します(DC法 第 1 9 条 第 3 項・第 4 項 第 3 号 の 2 )。掛 金 拠 出をするしな いにつ い
ても 、事 業 主 が 加 入 者 掛 金 拠 出を強 制 することはできませ ん 。掛 金を掛 け 込 み た い 加 入 者 は、事 業 主に申し出ることで 加 入
者 掛 金 の 掛 け 込 みを開 始します 。掛 金 額 は、拠 出 限 度 額 の ル ー ルと、企 業 毎に定 められて いるDC規 約 の 範 囲 内 で 加 入 者 が
決 めます 。事 業 主 が 加 入 者 掛 金 額を全 員 一 律 で 定 めることはできませ ん 。
具 体 的に加 入 者 掛 金 額 の 設 定につ い て は以 下 の 制 限 が あります 。
(「 0 円 」と「 ● ● ● 円 」という組 み 合 わ せ は不 可 )
ⅰ. 規 約 で 少 なくとも 2 つ 以 上 の 選 択 肢( 複 数 の 具 体 的 な 額 )を設 定 する。
( ただし総 務 担 当 者 の 事 務 負 担 が 増 加します )
ⅱ. 法 令 の 範 囲 で1円 単 位 で 自 由に拠 出 額を認 めさせることは可 能 。
ⅲ. 規 約に定 める場 合
・ 1,000円単位の任意の額で拠出限度内の金額
・ 5 , 0 0 0 円 、1 0 , 0 0 0 円 、2 0 , 0 0 0 円 、2 5 , 5 0 0 円 の い ず れか
といった 掛 金 額 設 定 はどちらも 可 能 で す 。
ただし、
「 事 業 主 掛 金 額 の ○ % 」といった 率 で 定 めることは、事 業 主 掛 金 の 変 動により加 入 者 掛 金 額 が 変 動 する可 能 性 が
あり、同 意を加 入 者 からそ の 都 度 取 得 することは困 難 で あるとして 認 められませ ん 。
加 入 者 掛 金 の 選 択 肢 は加 入 者にとって 自 由 度 が 高 いことが 望ましく、加 入 者 が 選 択 可 能 で ある最 大 の 範 囲 が 加 入 者に
選 択 可 能となるよう努 めるべきと示されて います 。
※ ボ ー ナス月だけ 増 額して 翌 月から減 額 するとか 、ボ ー ナス月にまとまった 複 数 月分 の 掛 金 拠 出を行う、といったことはできませ
ん 。また 、拠 出 限 度 額 は月単 位 で 考 えます の で 、
「 年 間 の 拠 出 限 度 額を超えな い 範 囲 でボ ー ナス月に1 0 万 円 分 一 括して 拠 出 」と
いうようなやり方 も 認 められませ ん 。
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Ⅳ.
加入者掛金の変更
1.加入者掛金の変更
貯 蓄と年 金 の 違 いを明 確 化 する趣 旨 から、加 入 者 掛 金 は頻 繁に変 更 できず 、変 更 は原 則 年 1 回に限られます 。個 人 型DCに
も 同 種 の 規 定 が あります 。
ただし、以 下 の 4 事 例につ い て は変 更 回 数に含まれな いとされて います 。これは事 業 主 の 掛 金 額 変 更に伴 い 、や むを得 ず 加
入 者 掛 金 額 変 更を行 わざるを得 な い 場 合 で す 。法 令 上 の 拠 出 限 度 額を超 過しな い ため の 措 置 で 、年 1 回 のカウントに含ま
れず 掛 金 額を自 動 的に見 直 せます 。
ⅰ. 事 業 主 の 掛 金 額 が 増 加した 場 合( 昇 進・年 収 の 増 加 などに反 映して 掛 金 額 が 改 定される規 約 の 場 合 など)に、加 入 者 掛 金
額との 合 計 が 法 令 の 拠 出 限 度 額を超 過 する場 合 、事 業 主 掛 金 額 が 優 先され 、加 入 者 掛 金 額 が 減 額されます 。事 業 主 掛 金
額 が 拠 出 限 度 額 の 半 分を超 過して いる場 合に発 生します 。
ⅱ. 事 業 主 の 掛 金 額 が 減 少した 場 合に、加 入 者 掛 金 額を下 回ってしまった 場 合 。事 業 主 掛 金 額 が 拠 出 限 度 額 の 半 分 以 下 の 場
合 、事 業 主 掛 金 額を加 入 者 掛 金 額 は超 過 できな い の で 自 動 的に加 入 者 掛 金 額 は減 額されます 。
※ i 、ii で 加 入 者 掛 金 額を減 額した 後 、仮に再 度 事 業 主 掛 金 の 変 更 等 で 加 入 者 掛 金 粋に余 裕 が 出 たとしても 、自 動 的に掛 金を増 額
することはできませ ん 。この 場 合 、加 入 者 本 人 の 手 続きが 必 要 で す 。原 則 、加 入 者 掛 金 額 の 変 更 は加 入 者 自 身 の 意 思を確 認 せ ず
に行えませ ん 。
ⅲ. 加 入 者 掛 金 の 額 の 決 定 方 法 が 変 更され 、加 入 者 掛 金 の 額をや むを得 ず 変 更 する場 合 。5 0 0 円 単 位 で 認 めて い た 加 入 者
掛 金 額 が 1 , 0 0 0 円 単 位に改 められたためや むを得 ず 端 数を修 正 する場 合 などがこれに該 当します 。
ⅳ.加 入 者 掛 金 額を全 額 停 止 する( ゼロにする)場 合と、加 入 者 掛 金 額をゼロから戻 す 場 合 。や むを得 な い 緊 急 避 難 的 な 対
応を認 めるも の で す 。家 庭 の 生 活 費に余 裕 が なくなったためマッチング拠 出を継 続 できな い 場 合 、欠 勤 等 の 理 由 で 給 与
額 が 著しく下 がる場 合 、産 休・育 休 で 休 職 する場 合 など、加 入 者 掛 金 拠 出を続 けるの が 困 難 な 場 合 、申 出 で マッチング拠
出を中 断 できます 。こうした 加 入 者 が マッチング拠 出を継 続 できる場 合につ い て 再 開 の 手 続きをすることは年 1 回 の 変
更には該 当しませ ん 。
2.加入者掛金の管理
こうした 年 1 回 の 変 更につ い て 管 理 するために、そ の 規 約 の 事 業 年 度と暦 年を定 める必 要 が あります 。加 入 者 掛 金 の 拠 出 開
始や 拠 出 額 変 更につ い て は、申 出 受 付 時 期を規 約に定 める必 要 が あります 。
制 度 導 入 後に、マッチング拠 出をする加 入 者を募 集 するには「 3 月に募 集し4 月から1 年 間 適 用 する」と規 定 することが 可 能
で す 。加 入 者 掛 金 額を全 額 停 止 する場 合 、加 入 者 のや むを得 な い 事 情 で ある場 合 が 多 いと思 われるため 、原 則 随 時 受 付 で
きるとされて います 。
Ⅴ.
掛金の拠出と管理方法
1.掛金の拠出
加 入 者 掛 金 は、事 業 主 掛 金と合 算して 、資 産 管 理 機 関に入 金されます 。事 業 主 掛 金 の 拠 出と同 様に、翌 月末までに納 付 する
ことになります(DC法 第 2 1 条 の 2 )。
事 業 主 が 給 与 から源 泉 徴 収して 納 付 処 理を行うことが でき(DC法 第 2 1 条 の 3 第 1 項 )、控 除 額を加 入 者に通 知 するために
(DC法 第 21条 の 3 第 2 項 )毎 月の 給与 明 細にそ の 額を表 記 する必 要 が あります。年 末 調 整 も 事 業主が 行う必 要 があります 。
2.拠出履歴の管理
加 入 者 拠 出 の 履 歴 は個 人 情 報 で あり、個 人 情 報 保 護 法にもとづ い て 北 陸 銀 行 が 再 委 託して いる記 録 関 連 運 営 管 理 機 関( 日
本インベスターソリューションアンドテクノロジー 社 、もしくは損 保ジャパンDC証 券 )が 管 理を行 います 。資 産 運 用にお い て
は、事 業 主 掛 金 額と加 入 者 掛 金 額 は一 体 で 管 理・運 用され 、
「 事 業 主 掛 金 額 は投 資 信 託 、加 入 者 掛 金 額 は定 期 預 金 」といった
運 用 指 図 はできませ ん 。ただし、そ れ ぞ れ の 掛 金 相 当 額を、そうした 割 合 で 運 用 指 図 することは可 能 で す 。定 期 的に加 入 者
に届 けられる「 お 取 引 状 況 の お 知らせ 」などには事 業 主 拠 出 分 の 資 産と一 体 で 表 記されて います 。
また 、脱 退 一 時 金 の 受 け 取りに際しても 、加 入 者 掛 金 額と事 業 主 掛 金 額 は分 別 管 理されませ ん 。この ため 、脱 退 一 時 金 の 受
取 要 件 額( 例えば 5 0 万 円 ∼ 金 額 以 外にも 充 足 する要 件 あり)につ い て は個 人 別 管 理 資 産 額 の 全 額 で 判 断します 。
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Ⅵ.
税制
マッチング拠 出を行った 加 入 者 掛 金 は、以 下 の 税 制メリットを受 けることが できます 。
1.所得控除
掛 金 の 拠 出 時 点 で 、加 入 者 拠 出 金 の 全 額 が 所 得 控 除 の 対 象になります 。
( 所 得 税 法 第 7 5 条 第 2 項 第 2 号 、地 方 税 法 第 3 1 4 条 の 2 第 1 項 第 4 号ロ)
マッチング拠 出 掛 金 は個 人 型DC同 様 、小 規 模 企 業 共 済 等 掛 金 控 除 の 対 象 で あり、これは会 社 員にとって は他 の 制 度にな い
大きなメリットで す 。掛 金 の 拠 出と管 理 方 法 の 項 目にも 記 載して います が 、事 業 主 が 年 末 調 整を行う必 要 が あります 。
2.運用益への課税
運 用 益 は従 来 の 個 人 別 管 理 資 産 額 の 運 用 益 の 取 扱 いと同 様 、利 息・収 益 分 配 金・売 却 益 等 の 運 用 益 の 全 額 が 非 課 税になり
ます 。
3.給付時の課税
給 付 時 は、加 入 者 掛 金と事 業 主 掛 金 の 分 別 は行 われず 、従 来 のDC制 度 の 税 制と同じ扱 いとなります 。老 齢 給 付 金 の 一 時 金
受 取 時 は退 職 所 得 控 除 の 対 象となり、年 金 受 取 時 は雑 所 得( 公 的 年 金 等 控 除 )となります 。
4 . 社 会 保 険 料 算 定 基 礎には含まれる事 業 主 掛 金 は本 人に支 払 われる給 与 等 で はな い ため 、社 会 保 険 料 の 算 定 基 礎には含ま
れませ ん 。いっぽう加 入 者 掛 金 は、社 会 保 険 料 の 算 定 基 礎 からは除 外されませ ん 。この ため 、マッチング拠 出による社 会 保
険 料 負 担 減( 加 入 者・事 業 主とも )メリットは無 いことになります 。
Ⅶ.
マッチング拠出導入にあたっての実務
1.当局への申請準備
DC制 度を導 入 済 み の 企 業 が マッチング拠 出をスタートするには規 約 変 更 申 請 が 必 要 で す 。所 轄 厚 生 局に対して はある程
度 余 裕をもった 提 出( 通 常 変 更 日 の 2 か 月以 上 前 )を行うことが 必 要 で す 。
2.社内での導入準備
まず 給 与 天 引きを行 い 、税 金 計 算をして 給 与 支 給を行 い 、給 与 明 細に記 載 する仕 組 み が 必 要 で す 。給 与 計 算に自 社 独 自 の
システムを導 入 なさって いる場 合 は、そ の バ ージョンアップコスト、そ れに要 する期 間 等をご検 討 い ただく必 要 が あります 。
3 . 人 事・総 務 の 事 務フロー
加 入 者 拠 出 の 申 出 受 付 、 加 入 者 拠 出 の 掛 金 額 届 出 受 付 、加 入 者 拠 出 掛 金 額 の 変 更 申 出と中 断 申 出 受 付 、拠 出 限 度 額 の
チェック、運 営 管 理 機 関 へ の 加 入 者 拠 出 者と拠 出 額 の 登 録 事 務 などが 生じることになります 。
4.加入者説明
加 入 者に対して の 事 前 説 明 も 必 要となります 。マッチング拠 出 の 効 果を加 入 者に理 解 い ただく必 要 が あり、またDC制 度 自
体 の 制 限( 例えば 6 0 歳 前 の 給 付 が 原 則 不 可 能 など)も 理 解 のうえ手 続きを取ってもらう必 要 が あります 。資 産 運 用 の 事 業
主 責 任 が 強 化されたことも 合 わ せ て 考えると、制 度 面 、運 用 面を改 めて 従 業 員に周 知 するため 、マッチング拠 出 の 説 明に合
わ せ て 継 続 教 育を同 時に実 施 することが 効 率 的 で す 。
5.掛金管理等
誤 入 金 等につ い て 、未 入 金 の 場 合 、該 当 月の 本 人 拠 出 掛 金 が な かったも のと見 なされます 。また 、過 入 金 の 場 合には、速や
かに還 付を求 める必 要 が あります 。
5
最 後に、DC制 度 が 施 行されて 1 0 年を迎え、制 度にマッチング拠 出という大きな 制 度 設 計 上 のメリットが 加 わりました 。企 業にと
って 事 務 のコストは増えます が 、実 質 的 な 負 担 は従 業 員 自 身 が 拠 出 することになります 。特に老 後 資 産 の 構 築に意 識 の ある加 入
者にとって は資 産 形 成 上 の 大きなメリットとなる制 度といえます 。
公 的 年 金や 、厚 生 年 金 基 金 など確 定 給 付 型 企 業 年 金 で 老 後 所 得を賄うことに限 界 が 見えてきた 今 、
「じぶ ん 年 金 」として のDC制
度 が 注 目されて います 。DC制 度 導 入 、およびマッチング拠 出 制 度 組み入 れにつ い て はお 気 軽 に、北 陸 銀 行までご相 談ください 。
・ 公 的 年 金 の 支 給 開 始 年 齢 が 6 0 歳 から6 5 歳に延 び、今 後さらに延 びる可 能 性 が あります 。
・ DC制 度 は、少 子 高 齢 化 社 会に対 応し、国 民 が 高 齢 期 の 所 得を確 保 するため自 主 的 な 努 力をするという
主 旨 で 導 入された 制 度 で す 。
・ 平 成 2 4 年 1 月から施 行されたマッチング拠 出 制 度( 加 入 者 が 自ら救 出 できる制 度 )を導 入 すると、
より充 実した 高 齢 期 所 得 の 確 保 が 可 能になります 。
確定拠出年金
60歳以降
加入者等が運用
80歳
(男性)
※2
加入
一時金もしくは
つなぎ年金で受け取り※1
事業主+加入者が拠出
厚生年金
事業主+加入者が拠出
86歳
(女性)
※2
厚生年金等の受け取り
年金積立金管理運用独立行政法人が運用
65歳以降
生年月日で異なる※3
支給年齢が延びる可能性、
もしくは給付額が減る可能性
※ 1 年 金 支 給 期 間 は、5 年 から2 0 年まで の 期 間を選 択 する。一 時 金 の 受 け 取りも 可 能 。
※ 2 男 性 、女 性 の 寿 命 は、厚 生 労 働 省 の 平 成 2 5 年 度 簡 易 生 命 表による。
※ 3 厚 生 年 金 の 受 給 開 始 年 齢( 男 性 の 場 合 )が 6 5 歳になるの は昭 和 3 6 年 4 月2 日 以 降に生まれた 人 。
※ 今 、ご導 入 い ただ い て いる制 度にマッチング拠 出 制 度を導 入 することにつ い て の 手 数 料 はい ただきませ ん が 、新 たにDC制 度を導 入
い ただく場 合 は、規 定 の 手 数 料をい ただきます 。
※ 法 務・会 計・税 務・社 会 保 険 の 取り扱 いにつ い て は、そ れ ぞ れ 弁 護 士 、公 認 会 計 士 、税 理 士 、社 会 保 険 労 務 士 などの 専 門 家に別 途ご相 談
ください 。
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