J1 におけるホームアドバンテージの要因分析

J1 におけるホームアドバンテージの要因分析
福原 崇之1
1
はじめに
サッカーにおけるスタジアムの構造特性は、プレーヤーや観客の心理面への影響だけで
なくチームの経営や自治体の関与の仕方や、
「チームの質」への影響など多様な論点に関わ
る興味深い問題を与える。
2002 年に行われた日韓共催のワールドカップ(以下 W 杯)に際し、国際サッカー連盟(以
下 FIFA)の規定を満たすために、国内にある既存スタジアムの収容人数を増やすような改
修や巨大スタジアムの新設が、FIFA の意向を受けて 2002 年 FIFA ワールドカップ日本組
織委員会(JAWOC)の主導のもと行われた。W 杯の開催が国内に大きな経済波及効果をも
たらすこと2はよく知られている。しかし、開催自治体は W 杯終了後もスタジアムの管理運
営を行っていかねばならないために、大きすぎるスタジアムを有効に活用できないことに
よる収支の赤字化や、ホームゲームでは空席が目立つといった問題が一部で生じている。
スタジアムの収容人数をやみくもに増加させただけでは、スタジアムの維持管理にかかる
費用がかさんでしまい、必ずしもそのスタジアムをホームグラウンドとして使用するクラ
ブや地方自治体に対して利益とはならないのである。また開催自治体は、W 杯の開催を契
機にスタジアムのみならず道路や鉄道の整備をも進めていかざるを得ないため、その面で
も財政的負担は大きい3。
例えば、海外のプロサッカークラブ4では、イングランドの Manchester United のように
自前のスタジアムである Old Trafford に、クラブの歴史や獲得したトロフィーなどを展示
している博物館を併設し、スタジアムの見学のための観光ツアーなどを催行することによ
って、試合が行われていない時にも収入を得ることができるクラブもある。しかし、日本
のプロサッカーリーグでは、クラブが専用スタジアムを持っていること自体が尐なく、ス
タジアムは地方自治体が管理し、クラブは賃貸料を支払うことによってスタジアムを借り、
試合を行っているのが普通である。そのため、クラブが独自に博物館などを建設すること
ができず、試合が行われていない時にクラブが収入を得ることは難しい。そもそもホーム
スタジアムの建設には多額の建設費用がかかるために、クラブだけでは建設することが難
1
青山学院大学経済学部 [email protected]
上條[2002]によると、電通総研と社会工学研究所の推計では、2002 年 W 杯において日本代表がベスト 8
に進出したと仮定すると、その経済波及効果は全体で 8478 億円になる。しかし原田[2002]は、開催自治体
が得るメリットはそれほど大きくないとも述べている。川口[2004]では、地域波及効果の測定結果の検証
方法について検討を加えている。
3 中村[2002] p.36
4 原田・小笠原編[2008]によると、クラブとは、チームを含んだ経済組織としてのスポーツリーグを構成
する「経済主体」と定義されている。
2
1
しく、当該地域の地方自治体などによる援助が不可欠である。
サッカークラブ/チームを経営する主体が、経営の安定化のために第一に求めるべきもの
は勝利である。ファンは彼らの応援するチームの勝利を期待してスタジアムに観戦に訪れ
る。これはクラブにとって入場料収入の源泉であり、クラブが勝利を重ねることで観戦す
るファンが増えチケット収入が増加する。そして、そのことによって関連グッズ販売によ
る収入も増加してゆく。また、勝利を重ねることでリーグを構成するディヴィジョンの上
位へと昇格して、テレビや新聞といったメディアへの露出が増えるに従い、さらにファン
が増え、入場料収入の増加5に加えて、スポンサー収入も増加してゆくのである。
一方、サッカークラブを抱える自治体がスタジアムのようなスポーツ施設を建設する目
的は、地域に対する社会福祉の増進と経済効果の波及である。福祉の増進は、「施設の稼働
率の増加」
、「利用人数の増加」
、「利用者の満足度(CS)向上」、「維持コストの軽減」で測
られる6。
「維持コストの軽減」と「施設の稼働率の増加」に関しては、地方自治法7によっ
て鹿島アントラーズ FC が県立カシマサッカースタジアムの管理・運営業務を行う指定管理
者に決定したのをはじめとして、民間による公共施設の運営が行われるようになってきて
おり、民間の効率的な手法を導入することによって経費削減やサービスの向上、さまざま
なイベントの企画による施設の稼働率の上昇などが期待されている。こうした動きが「利
用者の満足度向上」につながってゆくだろう。
当該地域に対する経済効果の波及については、生方[1994]や、ジンバリスト[2007]による
と、プロスポーツチームの誘致や新スタジアムの建設による直接的な経済効果は大きくは
ない8とされている。これらの分析は、ただ単にチームを誘致し、新スタジアムを建設する
だけでは、当該自治体やチームには新たな利益をもたらさないということを示唆している。
新たな利益を得るためには、クラブが勝利を重ね観戦者を増加させ、より多くのチケット
や飲食物を販売し、法人による広告収入を得るなどしなくてはならない。クラブのこのよ
うな努力によって、当該自治体は経済効果を得ると同時に、地域のイメージを高める宣伝
効果を得て、地域に対する住民の帰属意識を高めることができる。クラブと自治体の両者
にとって、クラブの勝利は重要な要素となるのである。
このようなクラブ/チーム経営の地域福祉や地域経済への効果という論点の中で、戦略的
論点は、勝利の要因とは何か、特にサッカー専用スタジアムはホームチームの勝利に影響
を及ぼすのか、などである。本稿ではこれらの論点について特に注目してゆく。従来の地
5
J リーグ公式サイトから得られる J1 と J2 のそれぞれのカテゴリーにおけるクラブ/チーム平均の入場料
収入の推移を示したグラフ(http://www.j-league.or.jp/aboutj/jclub/2005-6/pdf/dclub_010.pdf)によると、
J1 と J2 のクラブ/チームとの間の入場料収入は 1999 年度から 2006 年度にかけて、最小で 1.8 倍から最大
で 4.5 倍の格差が存在する。
6 広瀬[2005]p.153
7
法令データ提供システム
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/strsearch.cgi
8
生方[1994]では、鹿島アントラーズの例を挙げ、経済的な効果よりも、アントラーズの誘致によって町
の一体感や、郷土を愛する気運が生まれるなどの心理的効果が大きいと主張している。また、ジンバリス
ト[2007]では、新スタジアムの建設による悪影響さえ指摘する調査もあるとしている。
2
域経済学的研究では、大野編[2000]などにみられるように、スタジアムを含む社会資本の評
価をもっぱら費用便益分析の面から示してきた。しかし、本稿の方法は、スタジアムの評
価とその存在意義を、ホームチームの勝利に貢献するハードであるという新たな観点から
提示している点が異なる。本稿では、「ホームアドバンテージ」の要因に焦点をあてて分析
を行う。その理由は以下である。日本の J リーグ・ディヴィジョン1(以下 J1)における
ホームアドバンテージの存在は、福原[2007]によってすでに確認されたが、ホームアドバン
テージによってホームチームがより多く勝利するならば、ファンはまた観戦に訪れようと
考えるだろう。このことはチームの人気を高めるとともにホームゲームの入場料収入を増
加させ9、多くのスポンサー収入を得ることができるようになりチームの経営を安定化させ
ると考えられるためである10。ホームアドバンテージの存在は、このように経営の安定化に
寄与するという点でも重要である。そしてその分析結果が、地方自治体のスタジアム建設
に際してどのような含意を与えるのかも検討される。
まず、第 2 節において先行研究において言及されているホームアドバンテージに影響を
与える要因と計量分析における推計モデルと説明変数を紹介し、さらに現実のサッカーリ
ーグの状況を鑑みて本稿の計量分析で用いる要因を挙げる。そして、そこで挙げられてい
るホームアドバンテージに影響する要因が、果たして J1 では勝利の要因となっているのか
という点を確かめるため、第3節では順序プロビットモデルを用いて要因分析を行う。説
明変数については、先行研究で示されているものに加えて、先行研究では示されていない
スタジアムの構造特性や、ファンの熱狂度という要因を導入した。第4節では分析の結論
とその含意を述べる。
2
先行研究
ホームアドバンテージに関する代表的定義は、Schwartz and Barsky[1977, p.643]に見ら
れる。ホームアドバンテージとは、リーグ戦によって運営されている組織されたスポーツ
リーグにおいて「すべての勝利のうち、ホームゲームでの勝率が 50%を超える」という状
況のこととされている。また、ホームアドバンテージに関する事例研究は以下のようなも
のがある。
Schwartz and Barsky[1977、pp.642-644]は、ホームアドバンテージの存在を確認するた
め、
アメリカの 1971 年シーズンの野球のアメリカンリーグおよびナショナルリーグの 1880
試合、1971 年シーズンのアメリカンフットボールのアメリカンフットボールカンファレン
9
J リーグでは、ホームクラブがホームゲームにおける収入を受領すると J リーグ規約第 75 条に定められ
ている。
10 広瀬[2005]では、CS(顧客満足)の立場から、J リーグのアルビレックス新潟の例を挙げ、安定的な収
益を上げるために、負けてもファンに価値や満足を感じてもらえるようなエンターテイメント的要素を創
出する必要があると述べている。
3
ス(AFC)とナショナルフットボールカンファレンス(NFC)の 182 試合、1971 年シーズンの
アメリカンフットボールの大学リーグの 910 試合、1971-1972 年シーズンのアイスホッケ
ーリーグの 542 試合、そして 1952 年から 1966 年にかけてのプロバスケットボールの有力
な 5 チームの 1485 試合のデータを検証した。その結果、ホームアドバンテージはどのリー
グにおいてもみられ、野球では 53%、フットボールでは 58%、ホッケーとバスケットでは
64%であったことを示している。ホームアドバンテージの度合いは種目によって異なるが、
彼らは特にインドアスポーツのホッケーとバスケットで顕著であることを明らかにしてい
る。また、攻守の切り替えが明確な野球では、特に攻撃面のアクションでホームアドバン
テージが発揮されるとしている。そして、ホームアドバンテージの要因として以下の 3 つ
の要因を挙げている。①ホームグラウンドやプレイエリアについて詳しい知識があること、
②ビジターチームがホームチームに比べて疲労していること、③ホームアドバンテージは
観客のサポートと関係があること、である。これらの要因のうち、ビジターチームがホー
ムチームに比べて疲労しているということに関しては否定的な検証結果となった。他方、
ホームアドバンテージは観客のサポートと関係があるという要因については、アメリカン
フットボールリーグ NFL11では(ファンとしての)観客の規模とホームアドバンテージの
間に予想された関係があることが明らかとなり、ホームアドバンテージは主に社会的サポ
ートに依存していることが示された。チームパフォーマンスと観客のサポートは結びつい
ており、ホームチームが良いパフォーマンスをしたときにホームの観客が喜び、そのパフ
ォーマンスが繰り返されることで、ホームアドバンテージが作られていくと彼らは考察し
ている。
これらの要因に加えて Thomas, Chesneau and Duret[1998]と Pollard[1986]では、多く
の観客の圧力により審判が無意識のうちにアウェイチームよりホームチームに有利な判定
を下しやすくなること、またアウェイチームの監督はホームチームの監督よりも守備的な
戦術を選択しやすい傾向があることを挙げている。
しかし、プロスポーツリーグに一般的に存在するとされるホームアドバンテージの要因
については諸説が存在する。まず①については、Pollard[1986]により、サッカーのピッチ
の大きさの差異と、ピッチに人工芝を使っているか天然の芝を使っているかという点では
ホームアドバンテージに差は見られないとしているし、Schwartz and Barsky[1977]の研究
でも、コートの大きさに差がないバスケットボールでホームアドバンテージが顕著に見ら
れることから、この要因については否定されている。また、②についても、Pollard[1986]
などでは重要な要因でないという結果が出ている。
③については Agnew and Carron[1994]は、アイスホッケーのメジャージュニア A を例
にとり、観客密度はホームアドバンテージに影響を与えるのかという点について分析して
11
National Football League。アメリカの国技であるアメリカンフットボールのプロリーグであり、現在
32 クラブ/チームが参加している。参加クラブ/チームは、アメリカン、ナショナルの 2 つのカンファレン
スに分かれ、さらに北、東、西、南の 4 つの地区(ディヴィジョン)に 4 クラブ/チームずつ振り分けてレ
ギュラーシーズンが行われる。アメリカで最も人気のあるプロリーグとされている。
4
いる。観客数、観客密度とホームアドバンテージとの相関性は、前出の Schwartz and
Barsky[1977]で示唆されているが、Agnew and Carron[1994]は、独立変数に観客数、観客
密度、時間(前期・後期に分類)
、対戦相手のディヴィジョンをとり、従属変数に勝ち点(勝
ち 2、分け 1、負け 0)をとって回帰分析を行っている。その結果として、観客密度の上昇
はホームアドバンテージを上昇させることが明らかになるとともに、観客数はホームアド
バンテージとは関係がないことが示された。
しかし、Pollard[1986]は、イングランドのサッカーリーグについて、観客密度のそれぞ
れ異なるディヴィジョンごとにホームアドバンテージを調査したところ、差がみられない
と論じている。Courneya and Carron[1992]でも、観客の絶対数はホームアドバンテージの
重要な要因ではないという結果を得ている。さらにホームアドバンテージはメジャーなチ
ームスポーツに存在していること、ホームアドバンテージの大きさはスポーツによって異
なることを確認した結果を得ている。また、ホームアドバンテージの度合いは、大学スポ
ーツとプロスポーツ間で差が無いこと、それぞれのスポーツにおけるホームアドバンテー
ジの大きさは時間的にみて比較的安定しているということも明らかにしている。日本にお
ける観客数と観客密度がホームアドバンテージに与える影響を回帰分析した原田ら[1996]
によるプロ野球と J リーグについての研究でも、ホームアドバンテージと観衆要因(観客
数、観客密度)との間に相関は認められなかった。
これらの先行研究では、ホームアドバンテージの要因のひとつとされる観客のサポート
においては、単に観客の絶対数や観客密度という形でしか分析が行われておらず、サポー
ターの熱狂度12についての考察や分析が行われていなかった。実際のサッカーチームではチ
ームごとにサポーターの熱狂度が異なり、そのためにそれぞれのチームのサポーターの応
援がどれだけ選手に届き、チームのホームアドバンテージを生み出す土壌を作っていくの
かも当然異なるものになるし、ホームアドバンテージの強弱にも影響を与えるだろうと考
えられる。そして同じ応援をしていても、その応援がピッチで実際に試合をしている選手
にどれだけ届くのかはスタジアムの構造によって異なる。すなわち、サッカー専用スタジ
アムのようなピッチと観客席が非常に近いスタジアムと、陸上のトラックを併設した多目
的スタジアムのようにピッチと観客席の間に陸上のトラックが存在し、そのためにピッチ
と観客席が離れているスタジアムでは声の届き方が異なるために、おのずと観客の応援が
ホームチームに与える効果は異なってくると予想される。この点に関しては、アメリカの
メジャーリーグ(以下 MLB)のスタジアムについての研究が Zeller and Jurkovac[1988] で
行われている。彼らの研究によると、アメリカの MLB ではドーム型球場をホームスタジア
ムに持つチームのほうが、音が球場内にこもるために、屋根を持たないスタジアムで試合
を行っているチームよりも強いホームアドバンテージがみられるという結論が得られてい
12
サポーターの熱狂度とは、あるクラブ/チームのサポーターがクラブ/チームの応援のため、1シーズン
にスタジアムに観戦に訪れる回数の多寡で表現されると本稿では定義する。この概念は、スタジアムの観
客数や観客密度といった、クラブ/チームの人気を表す概念とは異なる概念である。
5
る13。またこれまでの先行研究では、アウェイチームの移動要因あるいは疲労要因としてホ
ームアドバンテージに正の効果をもたらすと仮定され分析されてきたアウェイチームのス
タジアムとホームチームのそれとの距離を、本稿ではサポーターの熱狂度に関連付けて分
析を行う。
最後に、先行研究ではチーム同士の潜在的に持っている戦力の差というものが分析に取
り込まれていない。例えば Agnew and Carron[1994] では同一のディヴィジョン内のチー
ム間の対戦と、異なるディヴィジョンに属するチーム同士の対戦をコード化して回帰分析
を行っているが、このことは同一のディヴィジョンに属するチームの持つ潜在的な戦力が
全て等しいと仮定していることを意味する。しかし、現実のサッカー界ではイタリアのセ
リエ A、イングランドのプレミアリーグ、スペインのリーガエスパニョーラ・プリメラディ
ヴィジョンといった欧州 3 大リーグや日本の J1 などで一般的にみられるように、同一のデ
ィヴィジョンに属しているチームの中にも優勝を狙う戦力を持っているチームと、残留を
目指して戦うチームでは戦力の差が厳然として存在している。
本稿の分析では、先行研究と以上のような考察をふまえた上で、ホームアドバンテージ
の要因として、これまでの計量分析において一般的に用いられてきた説明変数に加えて、
これまでに用いられることのなかったいくつかの変数を導入して分析を行う。それらの変
数とは第 1 に観客の熱狂度である。そしてそれを間接的に示す指標として観客の平均観戦
頻度と、試合を行うチームのホームスタジアム間の距離を時間で代替したデータを用いる。
第 2 にスタジアムがサッカー専用であるか多目的スタジアムであるかといった要因である。
施設が勝利にどれだけ寄与しているのかを推定するため、それらの区別にダミー変数を用
いる。最後にもともとの戦力の差が、試合結果にどれだけ影響を及ぼすのかについて分析
する。そのために、戦力の大きさを示す指標として、チームの営業費用やチームのシーズ
ン中の起用選手数などのデータを用いて分析を行う。
3
順序プロビットモデルによる要因分析
3-1
勝利の要因
要因分析を行うにあたり、まずサッカークラブのホームゲームにおける勝利の要因につ
いて議論する必要がある。本稿では、勝敗に影響を与える要因を大きく 3 つの要素に分け
る。第 1 にスタジアムの属性、第 2 に観客の属性、第 3 にチームの属性である。
スタジアムの属性とは、スタジアムの構造と規模と立地などである。具体的には、スタ
ジアムがサッカー専用スタジアムであるか否か14(構造)
、収容人数(規模)
、スタジアムが
13
サッカーにおいてこうした研究が行われてこなかったのは、イングランドではほとんどのクラブが、サ
ッカー専用スタジアムをホームスタジアムとして持っており、スタジアムの構造に大きな差異がないため
であると考えられる。
14 J リーグ規約第 4 章第 1 節によると、ホームスタジアムは収容人数などの制約はあるが、サッカー専用
6
醸し出す熱気を代替的に示す観客密度、そして対戦相手のチームのホームスタジアムとの
間の距離(立地)に大別される。スタジアムがサッカー専用のものであれば、ホームチー
ムの選手の立場からはサポーターの声援が届きやすいと考えられるし、逆にアウェイチー
ムの選手にとっては、ホームチームのサポーターの存在そのものや、彼らによる野次・ブ
ーイングなどが心理的圧迫となるだろう。同様のことがスタジアムの規模についてもいえ
る。また対戦相手のチームのホームスタジアムとの間の距離が離れれば離れるほど、アウ
ェイチームのファンはスタジアムに来ることが難しくなり、スタジアムの雰囲気はホーム
チームに有利なものとなるだろう。
観客の属性とは、そのチームがどれだけのファンを有するか、またそのファンはどれだ
け熱狂的であるかである。具体的には、ホーム主催試合ごとの観客の動員実績と観戦頻度
で代替的に測ることができる。観客の動員実績はそのチームの人気を、観戦頻度はそのチ
ームがいかに熱狂的なサポーターを有しているかを示す。
チームの属性とは、どれだけの選手層を有しているか、資金的に豊かであるか否か、つ
まり、どれだけの資金を選手・スタッフの人件費に投入しているかを示している。具体的
には、シーズンを通して主力としてゲームに出場した選手の総数と、チームが当該シーズ
ンに費やした営業費用の多寡によって示される。
3-2
要因分析の方法と推計モデル
これらの属性が試合の結果に与える影響を考察するため、本稿では日本のプロサッカー
リーグである J1 と J リーグ・ディヴィジョン 2(以下 J2)に所属していたクラブについて、
2005 年から 2007 年シーズンまでの 3 シーズンに渡るデータを用いて、ホームゲームの勝
因に関する順序プロビット分析15を行った。
順序プロビット分析とは、被説明変数が順序付けられた複数のカテゴリーに属し、その
中のどれに対象となる分析対象が属するのかを判定する分析方法である。日本に限らずプ
ロサッカーのリーグ戦では各試合の結果を、勝ち=3、引き分け=1、負け=0 という勝ち点
に換算し、その合計の多寡によってシーズンの順位を決定するのが一般的である。そのた
めサッカーの試合結果が、上に挙げたようなさまざまな属性に含まれる要因に応じて決め
られる〔負け=0、引き分け=1、勝ち=2〕にランク付けされたカテゴリーであると考え、そ
の判別に順序プロビット分析を用いたのである。
推計モデルは以下の 2 通りである。
推計モデル1
である必要は無い。
15 順序プロビット分析については、縄田[1997]を参照した。
7
チーム j に対するチーム i のホーム試合結果 RESULTij がとる値を決める仮想的因子
RESULTij があり、
RESULTij   1   2 SENYOU i   3 SENYOU j
  4 CAPAi   5 CAPA j
  6 COSTi   7 COST j
(1-1)
  8 SQUDi   9 SQUD j
  10 FREQ i   11 FREQ j
  12 AUDij   13 DENS ij   14TIMEij   ij
で表すことができるとする。 RESULTij は直接観測することは出来ないが、その値によっ
て、
0 RESULTij  0

RESULTij  10  RESULTij  


2  RESULTij
(1-2)
となる。 は未知の正の値をとるパラメーターでありデータから推定する。また、誤差項  ij
は正規分布をとると仮定する。
ここで変数名は以下の通りである。
RESULTij:チーム j に対するチーム i のホーム試合結果
(勝ち=2、引き分け=1、負け=0)
SENYOUi:チーム i のホームスタジアムの構造(サッカー専用=1、多目的=0)
CAPAi:チーム i のホームスタジアムの収容人数
COSTi:チーム i のホームチームの営業費用
SQUDi:チーム i の当該シーズンで起用された主力選手の総数
FREQi:チーム i のホームチーム・ファンの観戦頻度
AUDij:チーム j に対するチーム i のホーム試合観客数
DENSij:チーム j に対するチーム i のホーム試合観客密度、
TIMEij:チーム i とチーム j のホームスタジアム間の時間距離
8
本稿の分析においては、ホームスタジアムの構造の分類を 2 つに大別した。ピッチと観
客席の間に陸上競技のトラックが無いスタジアムをサッカー専用スタジアムとし、陸上競
技のトラックがあるスタジアムを多目的スタジアムと定義した。また主力選手とは、J1 の
場合ではシーズンの全 34 試合中 30 試合に出場した選手を指し、J2 の場合ではシーズンご
とに総試合数が異なるため、2005 年シーズンでは全 44 試合中 40 試合に出場した選手、2006
年と 2007 年シーズンでは全 48 試合中 45 試合に出場した選手と定義した。そして観客密度
は、Pollard[1986]などに倣い、スタジアムの収容人数に対する実際の観客数の割合で表し
た。
この推計モデル 1 の各変数の係数について期待される符号条件は、以下の表 1-1 に要約
されている。
表 1-1 期待符号条件:推計モデル 1
説明変数
符号条件
SENYOUi
β 2>0
SENYOUj
β 3<0
CAPAi
β 4>0
CAPAj
β 5<0
COSTi
β 6>0
COSTj
β 7<0
SQUDi
β 8>0
SQUDj
β 9<0
FREQi
β
10
FREQj
β
11
AUDij
β
12
DENSij
β
13
TIMEij
β
14
>0
<0
>0
>0
>0
推計モデル 2
試合結果は両チームの相対的戦力の影響を受けると考えるのが自然であろう。それを推
計モデルで表現すれば以下のようになる。
9
RESULTij   1   2 SENYOU i   3 SENYOU j
  4 (CAPAi / CAPA j )
  5 (COSTi / COST j )
  6 ( SQUDi / SQUD j )
(1-3)
  7 ( FREQ i / FREQ j )
  8 AUDij   9 DENS ij   10TIMEij   ij
ここで RESULTij と RESULTij は(1-2)式の関係にあり、誤差項  ij は同様に正規分布であ

ると仮定する。
表 1-1 から類推されるようにこの推計モデルの各係数の符号条件は以下の表 1-2 に要約さ
れる。
表 1-2 期待符号条件:推計モデル 2
説明変数
符号条件
SENYOUi
ψ 2>0
SENYOUj
ψ 3<0
CAPAi/ CAPAj
ψ 4 >0
COSTi/ COSTj
ψ >50
SQUDi/ SQUDj
ψ 6>0
FREQi/ FREQj
ψ 7>0
AUDij
ψ 8>0
DENSEij
ψ 9>0
TIMEij
ψ 10>0
なぜこのような符号条件が予想されるのか。先に述べた勝利の要因である属性別に分類
して検討してゆく。
スタジアム属性
まず、スタジアムの属性である専用スタジアムダミー(SENYOU)と収容人数(CAPA)に関
しては、専用スタジアムの方がピッチと観客席の距離が近く、サポーターによる応援や、
10
アウェイチームに対する野次などが多目的スタジアムに比べて選手には良く聞こえると考
えられ、それらがホームチームのパフォーマンスに良い影響を与え、対戦相手のそれには
悪い影響を与えるだろう。また、規模の大きなホームスタジアムは対戦相手に畏怖を与え
ることができるために勝利の可能性を高める要因として働くと考えられる。時間距離
(TIME)に関しては、本稿では実際の J リーグの試合が土曜日の 13 時ないし 15 時にキ
ックオフとなることが多いことを鑑み、Yahoo!JAPAN 路線情報を用いて、試合が開催され
るホームスタジアムの最寄り駅に 14 時に到着するよう到着時刻を設定し、アウェイチーム
の本拠地のスタジアムの最寄りの鉄道駅を出発駅として、土曜日の時刻表を用いて両者を
結ぶ最短所要時間を算出し、時間距離として用いている。スタジアム間の距離が遠くなる
ほど、アウェイのチームを応援する観客は訪れにくくなり、ホームチームのファンの割合
が増加する。このことは、ホームチームが勝利する可能性に正の影響を与えるものと考え
られる。そのため時間距離を距離の代理変数として用いる。
観客属性
次に、観客の属性についての変数である観客数(AUD)、観客密度(DENSE)およびホーム
チームのファンの観戦頻度(FREQ)については、より多くの観客がスタジアムに観戦に訪れ、
観客密度が高まることや、熱狂的な観客の声援を受けるなどして、ホームチームの選手の
気分が高揚することによって勝利する可能性がより高まると考えられる。
チーム属性
最後にチームの属性を検討する。ホームチームの当該シーズンで主力として起用された
選手の総数(SQUD)その値が大きいならば、チームの選手層の厚さと、レギュラークラスの
選手が多数存在し、チームの戦術が確たるものとなっており、選手間の連携も高まってい
るものと考えられる。逆に、この値が小さい場合は、選手層そのものが薄く、中心となる
選手が尐ないか、プレーにおけるチームとしての戦術が確立出来なかったことによって、
試合ごとにさまざまな選手が起用されたと考えられる。しかし、チームの規模や予算が非
常に小さく、在籍する選手が尐ない場合には、これらの値の高さがチーム力の高さを示し
ていないということにも留意しておく必要がある。
加えてホームチームの営業費用(COST)がある。営業費用は、事業費、選手・チームスタ
ッフ人件費および一般管理費の合計で表される。特に、選手と監督やコーチ他チームスタ
ッフの人件費の比重は大きく、実際に J1 を例に取ると平均して営業費用の半分を占めてい
る。そのため、営業費用を多くかけているチームほど質が高い選手、すなわち高い年俸の
選手が多く在籍し、優秀な監督やコーチを有している可能性が高いと考えられるし、ある
いは在籍選手数自体が多く、そのことが選手層の厚さとなって他チームに対して優位性を
発揮し、より勝利に近づくと考えられる。
11
3-2
データ
分析で用いるデータの出所は、ホームゲームの結果や観戦者数、スタジアムに関するデ
ータに関しては J リーグ公式サイト16、日本フットボールリーグオフィシャル Web サイト17、
J’s GOAL18、日本ラグビーフットボール公式サイト19ならびに『J リーグスタジアム観戦者
調査報告書』20を用い、距離情報に関しては前述の通り Yahoo!JAPAN 路線情報21によった。
対象となるデータの期間は、2005 年シーズンから 2007 年シーズンの 3 シーズンをシー
ズンごとに分けたものを用い、さらにそれらを J1 と J2 に分けて、それぞれのチームのホ
ームゲームの結果を用いて推定を行った。
まずデータの段階で読み取れる特徴を整理しておこう。表 1-3 は基本統計である。ホーム
スタジアムがサッカー専用スタジアムか多目的スタジアムかにより平均観客収容数に差が
ある。専用スタジアムのほうが 3000 人ほど多目的スタジアムを上回っている。先に指摘し
たように専用スタジアムが観客と選手の物理的距離が近くホームゲームでの選手へのサポ
ートが勝利にプラスに作用するだけでなく、観客数の多さもそのような効果を期待させる
ような要因になるかもしれない。
ディヴィジョン別に比較すると観客収容者数(CAPA)、営業費用(COST)、入場者数(AUD)
のいずれも J1 が J2 を上回っている。本稿で導入された変数の差が興味深い。主力選手起
用者数と観客密度(DENSE)でも J1 がやはり J2 を上回っている。しかし、ホームスタジ
アム間の時間距離(TIME)が J2 は J1 よりも長く(J2 はホームスタジアムが地方にあるチー
ムが多いため)観客がアウェイのスタジアムに移動することは大変であるが、その分ホー
ムスタジアムの観戦頻度(FREQ)は J1 よりも高くなっているように思われる。
表 1-3 説明変数の基本統計
ホームスタジアム観客収容者数
SENYOU
16
17
18
19
20
21
平均
中央値
最大値
最小値
観測数
1(専用)
30,907
24,490
63,700
15,046
17
0(多目的)
27,424
20,378
72,370
10,050
14
J リーグ公式サイト http://www.j-league.or.jp/
日本フットボールリーグオフィシャル Web サイト http://www.jfl-info.net/index.html
J’s GOAL http://www.jsgoal.jp/
ラグビーフットボール協会ホームページ http://www.rugby-japan.jp/index.html
社団法人日本プロサッカーリーグ[2006]
Yahoo!JAPAN 路線情報 http://transit.yahoo.co.jp/
2009 年 3 月現在
12
2005 年シーズン
CAPA
COST
SQUD
FREQ
AUD
DENSE
TIME
平均
中央値
最大値
最小値
観測数
J1
37,237
40,000
72,370
15,046
305
J2
20,205
20,242
72,370
7,500
262
J1
3,142
3,072
5,448
1,681
305
J2
944
726
1,948
301
262
J1
5
4
9
2
305
J2
3
3
5
0
262
J1
12
11
20
7
305
J2
14
13
20
10
262
J1
18,768
15,700
55,476
3,267
305
J2
7,523
6,343
20,841
1,344
262
J1
54
52
166
7
305
J2
38
34
97
6
262
J1
188
188
421
0
305
J2
296
247
941
40
262
平均
中央値
最大値
最小値
観測数
J1
34,524
25,000
72,370
15,000
305
J2
22,796
20,005
72,370
9,038
310
J1
3,064
2,765
6,855
1,102
305
J2
1,321
855
3,462
338
310
J1
5
5
7
2
305
J2
2
2
4
0
310
J1
12
12
17
8
305
J2
15
16
20
10
310
J1
18,302
15,069
62,241
3,670
305
J2
6,423
5,319
18,648
1,019
310
J1
57
54
265
11
305
J2
31
27
95
5
310
J1
197
192
421
0
305
J2
273
249
941
40
310
2006 年シーズン
CAPA
COST
SQUD
FREQ
AUD
DENSE
TIME
13
2007 年シーズン
CAPA
COST
SQUD
FREQ
AUD
DENSE
TIME
3-3
3-3-1
平均
中央値
最大値
最小値
観測数
J1
34,249
25,000
72,370
15,046
305
J2
22,904
20,279
50,339
7,500
308
J1
3,255
3,096
7,744
1,506
305
J2
1,207
970
2,662
337
308
J1
6
5
9
2
305
J2
2
2
4
0
308
J1
12
12
17
8
305
J2
13
14
17
9
308
J1
19,091
15,346
62,123
4,114
305
J2
6,572
4,939
32,599
958
308
J1
61
62
208
11
305
J2
30
25
97
4
308
J1
186
179
421
0
305
J2
284
258
941
40
308
分析結果
順序プロビット分析結果
推計モデル 1 と推計モデル 2 で得られた結果は、以下の表-1-4 と表 1-5 にそれぞれ示さ
れている。
係数の符号条件と有意性(P値)によって個別の説明変数の妥当性、LR統計P値によ
って係数全体の非ゼロ性、閾値の整合性(閾値1<閾値 2)と有意性(P値)、擬似決定係
数、適合度によって推計モデル全体の説明力・妥当性が判断される。推計モデル 1(表 1-4)
の説明変数で期待された符号条件を満たし有意性が高いのは COST と SQUD である。他
方閾値のポイントを加味すると 2005 シーズンの J2 の結果が注目されるが、そのときでも
他の説明変数の係数の信頼性は確保されていない。同様のことは推計モデル 2(表 3-5)に
ついてもいえる。しかし COST と SQUD、そして閾値のポイントでみると 2006 年シーズ
ンの J1、2007 年シーズンの J1 が注目される結果となった。また 2005 年シーズンの J2 に
関するそれら個別係数の結果は期待されたものであるが、閾値の有意性が確保されなかっ
た。
14
表 1-4
J リーグのホーム試合結果の要因分析:推計モデル 1
2005 シーズン
J1
SENYOUI
P値
SENYOUJ
P値
CAPAI
P値
CAPAJ
P値
COSTI
P値
COSTJ
P値
SQUDI
P値
SQUDJ
P値
FREQI
P値
FREQJ
P値
AUDIJ
P値
DENSEIJ
P値
TIMEIJ
P値
閾値1
P値
2006 シーズン
J2
J1
2007 シーズン
J2
J1
-0.181687
-0.235249
-0.274885
0.179967
0.050055
-0.050005
J2
0.222
0.257
0.077
0.349
0.747
0.82
0.192129
-0.165592
0.027335
-0.878724
-0.081241
-0.147533
0.266
0.421
0.866
0
0.619
0.509
-7.68E-06
-5.80E-05
-1.71E-05
-1.41E-05
-2.27E-05
-1.83E-05
0.475
0.106
0.126
0.38
0.026
0.272
-7.08E-06
-1.77E-05
-3.34E-07
3.93E-06
4.70E-06
4.48E-06
0.108
0.17
0.947
0.637
0.379
0.597
-2.92E-05
0.000849
0.000421
0.000253
3.19E-05
0.000656
0.723
0
0
0.031
0.685
0
-9.35E-05
-0.000432
-0.000141
0.000144
-0.000286
-0.000296
0.266
0.013
0.059
0.264
0
0.098
0.084137
0.057818
0.168263
-0.007271
0.113541
-0.015834
0.023
0.352
0.002
0.941
0.005
0.8
-0.05443
-0.197899
-0.152256
0.040252
-0.074517
-0.050623
0.157
0.002
0.008
0.697
0.079
0.411
0.008767
-0.041899
-0.009428
0.0295
0.004228
0.090591
0.754
0.13
0.801
0.405
0.905
0.023
-0.020255
0.036221
0.000209
0.023251
0.02341
-0.014053
0.516
0.192
0.996
0.506
0.526
0.739
8.92E-06
0.000164
1.50E-05
1.21E-05
2.53E-05
8.05E-05
0.629
0.105
0.463
0.854
0.154
0.095
-0.000892
-0.041477
-0.00261
-0.006568
-0.005966
-0.024127
0.909
0.039
0.74
0.64
0.33
0.052
-0.000284
-0.000764
0.001773
0.000331
0.000568
-0.000234
0.738
0.074
0.052
0.471
0.533
0.595
-1.330284
-2.874571
0.084732
0.193404
-1.110427
0.158049
0.079
0.002
0.921
0.836
0.263
0.873
-0.577389
-2.027573
0.644736
0.885582
-0.497896
0.845851
P値
0.446
0.032
0.448
0.344
0.616
0.392
擬似決定係数
0.033
0.093
0.081
0.071
0.092
0.071
LR統計P値
0.055
0
0
0
0
0
44.9
48.9
54.1
52.9
57.7
52.4
44.8
67.8
53.9
56.1
65.1
61.4
閾値 2
適合度(%)
計
0
1
0
0
0
0
0
0
2
75.8
69.7
76.4
79.6
79.5
75
標本数
306
264
306
312
306
312
観察数
305
262
305
310
305
307
注:擬似決定係数は Mcfadden R-squared, 適合度は Prediction evaluation の値
である。
15
表 1-5
J リーグのホーム試合結果の要因分析:推計モデル 2
2005 シーズン
J1
SENYOUI
2006 シーズン
J2
J1
J2
2007 シーズン
J1
J2
-0.182111
-0.22118
-0.230658
0.361275
0.137802
0.170034
0.199
0.228
0.125
0.058
0.355
0.392
0.245249
0.112814
0.134776
-0.517657
0.018394
-0.177285
0.091
0.557
0.387
0.007
0.907
0.356
0.160119
0.280589
-0.043701
-0.066143
-0.103578
0.104637
0.08
0.453
0.698
0.694
0.33
0.502
-0.030656
0.435674
0.650744
0.118294
0.585214
0.164869
0.821
0
0
0.091
0.001
0.019
0.177226
0.151245
0.525739
-0.015305
0.320349
0.134643
0.044
0.085
0
0.873
0.007
0.132
0.311675
-0.554859
0.211386
-0.134036
0.075742
0.244077
0.113
0.026
0.428
0.661
0.748
0.413
-1.77E-05
-1.13E-05
2.56E-06
-3.38E-05
-1.54E-05
3.02E-05
0.045
0.853
0.807
0.44
0.085
0.343
0.00705
-0.001314
0.004182
0.003388
0.003736
-0.006543
0.078
0.913
0.36
0.691
0.298
0.378
5.60E-05
-0.000864
0.00136
-0.000206
0.000851
-0.000497
0.941
0.037
0.103
0.658
0.278
0.222
0.335635
-0.382766
1.543624
-0.906076
0.757895
0.165714
0.373
0.466
0.002
0.07
0.061
0.728
1.078323
0.456104
2.092027
-0.190765
1.357081
0.844844
P値
0.005
0.385
0
0.701
0.001
0.076
擬似決定係数
0.023
0.06
0.068
0.063
0.08
0.061
LR統計P値
0.092
0
0
0
0
0
計
46.2
47.5
52.5
50
54.1
51.1
0
45.8
73.3
53.9
53.2
65.1
67.4
1
0
0
0
0
0
0
2
78.2
62.2
72.9
76.1
71.2
67.5
標本数
306
264
306
312
306
312
観察数
305
240
305
262
305
284
P値
SENYOUJ
P値
CAPAI/CAPAJ
P値
COSTI/COSTJ
P値
SQUDI/SQUDJ
P値
FREQI/FREQJ
P値
AUDIJ
P値
DENSEIJ
P値
TIMEIJ
P値
閾値1
P値
閾値 2
適合度(%)
注:擬似決定係数は Mcfadden R-squared, 適合度は Prediction evaluation の値である。
16
3-3-2
相関関係の含意
こうした結果は説明変数化における多重共線関係の存在をうかがわせる。付表 1-1 と付表
1-2 はそれぞれ J1 と J2 のデータにおける説明変数間の相関係数を求めたものである。この
表で対戦相手の変数との相関はいずれも低い。それはシリーズ内の短期では彼我の条件が
所与であるため予想された特徴である。チームにおける変数間の相関係数をまとめた表 3-6
と表 3-7 に注目すると幾つかの特徴がある。
まず全体的な点についていえば符号条件を無視すれば度合いは低いものの変数間には結
構相関があるということである。つまり推計結果には多分に多重共線の影響があったとい
うことを推測させるのである。
CAPA と COST にはリーグとシーズンを問わずプラスの相関がある。大きなスタジアム
は運営費用が高いであろうということを反映しているようだ。また CAPA と AUD も比較
的高い相関にあるが、大きなスタジアムであれば入場観客数も大きくなることから予想さ
れるが DENSE は逆相関になる。一般にそれは DENSE=AUD/CAPA の定義から予想され
たことである。CAPA と FREQ はプラスの相関関係になっているがこれは間接的な相関の
結果と思われる。表の CAPA と AUD の相関、AUD と FREQ の相関をたどることからわ
かる。
COST と FREQ、AUD、DENSE との相関も比較的高い。観客、接客対策の費用も無視
できないということを示唆しているようだ。SQUD と CAPA、 COST、 FREQ、 AUD 、
DENSE との相関の度合いもまた無視し得ない場合がある。TIME のケースはおもしろい。
FREQ 、AUD、 DENSE が低いながらも逆相関だというのは時間距離が観客行動や心理
にネガティブに作用するとする見方を暗示しているように見えるからだ。
以上のような相関分析から多重共線を回避する推計としてどの説明変数を採用するのが
適切なのだろうか。全変数を採用した順序プロビット分析結果の統計的計量分析的判断と
この相関分析の検討の結果を踏まえると COST と SQUD の2変数に絞って分析するのが
効果的と思われる。だが、これらの要因が有意にホームゲームの勝利に影響を与えている
としてもスタジアムの要因や観客の要因の影響が無視できるとは限らない。間接的に相関
しあっているからである。しかしその関係は符号条件や強弱の点であまり信頼できる安定
した関係ではない。
17
表 1-6 説明変数間の相関係数:J1
2005 年シーズン
CAPAI
COSTI
SQUDI
FREQI
AUDIJ
DENSEIJ
CAPAI
1
COSTI
0.18
1
SQUDI
-0.12
-0.13
1
FREQI
0.17
0.35
0.12
1
AUDIJ
0.51
0.31
-0.15
0.38
1
DENSEIJ
-0.32
0.24
-0.1
0.21
0.59
1
TIMEIJ
-0.01
-0.21
0.03
-0.2
-0.07
-0.09
SQUDI
FREQI
TIMEIJ
1
2006 年シーズン
CAPAI
COSTI
AUDIJ
DENSEIJ
CAPAI
1
COSTI
0.5
1
SQUDI
-0.19
-0.27
1
FREQI
0.24
0.39
0.17
1
AUDIJ
0.57
0.57
-0.02
0.43
1
DENSEIJ
-0.29
0.15
0.13
0.22
0.55
1
0
-0.17
0.14
-0.16
-0.12
-0.15
TIMEIJ
TIMEIJ
1
2007 年シーズン
CAPAI
COSTI
SQUDI
FREQI
AUDIJ
DENSEIJ
CAPAI
1
COSTI
0.4
1
SQUDI
0.22
0.44
1
FREQI
0.1
0.23
-0.32
1
AUDIJ
0.57
0.59
0.18
0.36
1
DENSEIJ
-0.39
0.16
-0.01
0.2
0.43
1
TIMEIJ
-0.07
-0.15
0.03
-0.29
-0.17
-0.16
18
TIMEIJ
1
表 1-7 説明変数間の相関係数:J2
2005 年シーズン
CAPAI
COSTI
SQUDI
FREQI
AUDIJ
DENSEIJ
CAPAI
1
COSTI
0.2
1
SQUDI
0.05
-0.17
1
FREQI
0.21
0.41
-0.08
1
AUDIJ
0.41
0.66
-0.14
0.38
1
DENSEIJ
-0.13
0.57
-0.21
0.28
0.83
1
TIMEIJ
0.13
-0.11
0.16
0.01
-0.18
-0.27
SQUDI
FREQI
TIMEIJ
1
2006 年シーズン
CAPAI
COSTI
AUDIJ
DENSEIJ
CAPAI
1
COSTI
0.36
1
SQUDI
-0.23
0.02
1
FREQI
-0.21
0.39
-0.22
1
AUDIJ
0.2
0.36
0.17
0.08
1
DENSEIJ
-0.32
0.27
0.24
0.32
0.81
1
TIMEIJ
-0.02
-0.23
-0.1
-0.23
-0.15
-0.22
TIMEIJ
1
2007 年シーズン
CAPAI
COSTI
SQUDI
FREQI
AUDIJ
DENSEIJ
CAPAI
1
COSTI
0.49
1
SQUDI
-0.05
0.18
1
FREQI
-0.21
-0.36
0.06
1
AUDIJ
0.35
0.44
0.21
0.2
1
DENSEIJ
-0.18
0.3
0.22
0.33
0.8
1
TIMEIJ
-0.02
-0.21
-0.25
-0.02
-0.14
-0.17
19
TIMEIJ
1
3-3-3
2 変数推計モデル分析
この段階では、相手チームよりもコストをかけ、有力選手を多用できるチームの勝利の
確率は高くなる、という通説の含意が導かれたといえよう。これは資金力と選手力が勝利
に対して有意な影響を与えるということだが、推計モデルの説明変数をこの 2 変数に限定
した結果が表 1-8 と表 1-9 である。符号条件とP値はかなり改善される。しかし閾値のポイ
ントをみれば推計モデル 2 が推計モデル 1 を上回る結果を示している。
表 1-8 J リーグのホーム試合結果の要因分析結果:2変数推計モデル 1
2005 シーズン
2006 シーズン
2007 シーズン
J1
J2
J1
J2
J1
J2
-5.32E-06
0.00051
0.000315
0.000238
2.74E-05
0.000444
0.939
0.001
0
0.001
0.629
0
-0.00012
-0.000479
-0.000147
-0.000166
-0.000248
-0.000283
0.087
0.001
0.01
0.016
0
0.003
0.094511
0.100619
0.168111
-0.022873
0.093494
0.013711
0.007
0.045
0.001
0.784
0.008
0.805
-0.064125
-0.157813
-0.124355
0.076991
-0.071663
-0.056729
0.059
0.002
0.014
0.374
0.043
0.313
-0.744889
-0.613596
0.240314
-0.29524
-1.003879
-0.39926
0.089
0.06
0.628
0.112
0.001
0.095
-0.007465
0.200891
0.793254
0.35092
-0.410694
0.270826
P値
0.986
0.537
0.111
0.059
0.185
0.256
擬似決定係数
0.021
0.059
0.063
0.029
0.072
0.055
LR統計P値
0.008
0
0
0.001
0
0
44.8
48.1
49.7
47.1
56.5
50
0
41.7
59.8
36.3
38.4
57.8
55.4
1
0
0
0
0
0
0
2
77.6
75
79.9
79
82.7
73.5
標本数
306
264
306
312
306
312
観察数
306
264
306
312
306
312
COSTI
P値
COSTJ
P値
SQUDI
P値
SQUDJ
P値
閾値1
P値
閾値 2
適合度(%)
計
注:擬似決定係数は Mcfadden R-squared, 適合度は Prediction evaluation の値である。
20
表 1-9 J リーグのホーム試合結果の要因分析結果:2 変数推計モデル 2
2005 シーズン
2006 シーズン
2007 シーズン
J1
J2
J1
J2
J1
J2
-0.007946
0.3055
0.594831
0.236113
0.425651
0.219371
0.952
0
0
0
0.004
0
0.193885
0.161099
0.494344
-0.070729
0.295493
0.13087
0.022
0.016
0
0.392
0.003
0.103
-0.266626
0.20761
0.775173
-0.277785
0.435285
0.015476
0.17
0.205
0.001
0.055
0.006
0.902
0.458168
1.023359
1.321876
0.411005
1.01651
0.671997
P値
0.019
0
0
0.005
0
0
擬似決定係数
0.008
0.037
0.057
0.043
0.06
0.045
LR統計P値
0.072
0
0
0
0
0
43.1
39.7
50.7
49.2
51.6
50
0
24
66.3
44.1
50
64.2
64.2
1
0
0
0
0
0
0
2
87.2
47
76.4
76.3
66.2
66.9
標本数
306
264
306
312
306
312
観察数
306
242
306
264
306
288
COSTI/COSTJ
P値
SQUDI/SQUDJ
P値
閾値1
P値
閾値 2
適合度(%)
計
注:擬似決定係数は Mcfadden R-squared, 適合度は Prediction evaluation の値である。
限界効果の推計
2 変数推計モデル 2 の分析結果のうち 2005 シーズンの J2、2006 シーズンと 2007 シー
ズンの J1 の例がある程度信頼できるものである。確認されたのは チームの資金力
(costi/costj)とチームの選手力(squdi/squdj)がホームゲームの勝敗に対して有意な影響
が認められるということである。それでは対戦相手チームに対してそれらを相対的に引き
上げたら勝敗確率はどの程度変化するのであろうか。それぞれの変数の平均値における限
界効果を表 1-10 にまとめている。
分析結果によると、資金力や選手力の強化がいずれのディヴィジョンでも敗北の確率を
減らし、勝利の確率を高める。その程度は J1 では 10%~20%にもなる。その効果の程度
は J1 が J2 を上回っている。また、J1 では引き分けの確率も減らせるものの、J2 では負
けの確率が減っても引き分けの確率が増えるという特徴がある。さらに選手力の強化の効
果よりも資金力の強化がホームゲームの勝利により効果的であるという結果になっている。
21
資金力は選手対策だけでなく多面的なチーム力の強化策を展開できることを反映している
ような結果である。
表 1-10 ホームゲーム勝敗の限界効果
2005 シーズン:J2
2006 シーズン:J1
2007 シーズン:J1
costi/costj
squdi/squdj
costi/costj
squdi/squdj
costi/costj
squdi/squdj
負
-0.109
-0.057
-0.201
-0.167
-0.147
-0.102
引分
0.003
0.001
-0.016
-0.014
-0.005
-0.004
勝
0.106
0.056
0.217
0.18
0.153
0.106
注:表 3-9 の推計結果をベースにして説明変数の平均値で計算。
3-4
専用スタジアム問題
ここでの分析結果で特に注目すべきは、専用スタジアムの存在はホームゲームの勝利に
対して直接的に有意な要因ではないという結果である。専用スタジアムは、観客の側から
は、観客席とピッチとの距離が離れている多目的スタジアムと比べてピッチが良く見え、
試合の雰囲気や醍醐味をより味わえるなどのメリットがあるが、それが試合に勝利するこ
との決定的な要因にならないのであれば、スタジアムを新設あるいは改築する際に、その
資金を提供する地方自治体はスタジアムをサッカー専用のものとするよりも、多目的スタ
ジアムとして建設し、スタジアムの稼働率を高め、収入を得るチャンスを拡大し、地域に
対する社会福祉を増進させるほうが合理的であり、より多くの住民の同意を得られるだろ
う。さらに、推計モデル 1 で収容人数の係数の符号が多くの場合有意に負であり、観客に
関する係数も多く棄却されていることから、スタジアムの建設に資金を提供する地方自治
体は、必要以上に大きなスタジアムを作る必要は無く、その地域の人口や集客能力にあっ
た大きさのスタジアムを建設すれば良いことになる。またスタジアムの新設が難しい場合
には、自治体は既存の遊休施設を利用することを検討するべきである。
4
結論
ホームアドバンテージは、ホームスタジアムの存在によって生み出されるものであり、
ホームスタジアムの存在が勝利をもたらし、勝利がチームに収入をもたらすために、クラ
ブにとっても、ホームスタジアムを維持することは重要な要因である。そのため、どのよ
うなスタジアムを維持するべきかを、スタジアムの属性の面に導入し、そしてこれまでの
先行研究で分析されてこなかった観客の要因を含んだ観客の属性とチームの強さを含んだ
22
チームの属性の三つの属性に大別してホームアドバンテージの分析を行った。
第 3 節の計量分析から、
説明変数の中で期待された符号条件を満たし有意性が高いのは、
費用と主力選手の数であることが明らかとなった。さらにこの二つの変数に着目した 2 変
数推計モデルから、アウェイチームと比較して相対的にホームチームの営業費用が高まる
ほど、また、軸となる選手を数多く固定して起用しているチームであればあるほど、ホー
ムゲームにおける勝利の可能性は高くなることが示された。また同時に、必ずしも専用ス
タジアムを作る必要は無いことも示唆された。そのため、専用スタジアムは観客の立場か
らすると、試合が観戦しやすいなどのメリットはあるものの、資金に余裕の無い地方自治
体は、当該地域のプロサッカークラブのためにあえて専用スタジアムを新設したり、収容
人数を大規模化する必要は無い。むしろ、自治体は既存のスタジアムを多目的スタジアム
化することで、サッカーだけでなくさまざまなイベントの開催によって収入を得ることを
可能にし、また既存のスタジアムの改修などで、スタジアム建設にかかる費用を抑える方
が望ましいことを示唆している。そして、このような政策を採ることにより、用途の限ら
れたサッカー専用スタジアムを建設するよりも、施設の稼働率の増加や、利用人数の増加
を通じて利用者の満足度を向上させ、結果として地域に対する社会福祉を増進させるので
ある。そしてホームスタジアムの存在自体が重要であり、それがサッカー専用スタジアム
である必要はないという結果は、現在 J リーグ入りを目指すために全国各地にプロクラブ
が設立されている動きの背景を説明するものである。
23
付表
付表 1-1 説明変数間の相関係数:J1
2005 年 J1
CAPAI
CAPAJ
COSTI
COSTJ
SQUDI
SQUDJ
FREQI
FREQJ
AUDIJ
DENSEIJ
TIMEIJ
CAPAI
1
CAPAJ
0.03
1
COSTI
0.18
-0.02
1
COSTJ
0.09
0.32
-0.06
1
SQUDI
-0.12
0.01
-0.13
0
1
SQUDJ
0
-0.12
0.01
-0.13
-0.06
1
FREQI
0.17
-0.02
0.35
-0.02
0.12
-0.01
1
FREQJ
0.04
0.29
-0.02
0.34
-0.01
0.11
-0.06
1
AUDIJ
0.51
0.1
0.31
0.28
-0.15
0.07
0.38
0.15
1
DENSEIJ
-0.32
0.08
0.24
0.25
-0.1
0.08
0.21
0.12
0.59
1
TIMEIJ
-0.01
0.02
-0.21
-0.2
0.03
-0.01
-0.2
-0.22
-0.07
-0.09
1
CAPAI
CAPAJ
COSTI
COSTJ
SQUDI
SQUDJ
FREQI
FREQJ
AUDIJ
DENSEIJ
TIMEIJ
2006 年 J1
CAPAI
1
CAPAJ
0
1
COSTI
0.5
-0.03
1
COSTJ
0.05
0.53
-0.06
1
SQUDI
-0.19
0.02
-0.27
0.01
1
SQUDJ
-0.02
-0.3
0.02
-0.27
-0.06
1
FREQI
0.24
-0.02
0.39
-0.02
0.17
-0.01
1
FREQJ
0.01
0.26
-0.02
0.39
-0.01
0.17
-0.06
1
AUDIJ
0.57
0.07
0.57
0.22
-0.02
-0.02
0.43
0.1
1
-0.29
0.12
0.15
0.23
0.13
-0.03
0.22
0.12
0.55
1
0
0.03
-0.17
-0.12
0.14
0.13
-0.16
-0.16
-0.12
-0.15
DENSEIJ
TIMEIJ
24
1
2007 年 J1
CAPAI
CAPAJ
COSTI
COSTJ
SQUDI
SQUDJ
FREQI
FREQJ
AUDIJ
DENSEIJ
TIMEIJ
CAPAI
1
CAPAJ
0.06
1
COSTI
0.4
-0.04
1
COSTJ
0.13
0.61
-0.06
1
SQUDI
0.22
-0.03
0.44
-0.03
1
SQUDJ
0.03
0.46
-0.03
0.43
-0.06
1
FREQI
0.1
0
0.23
-0.01
-0.32
0.02
1
FREQJ
0.11
0.08
-0.01
0.23
0.02
-0.32
-0.06
1
AUDIJ
0.57
0.1
0.59
0.26
0.18
0.09
0.36
0.13
1
DENSEIJ
-0.39
0.08
0.16
0.2
-0.01
0.11
0.2
0.04
0.43
1
TIMEIJ
-0.07
0.05
-0.15
-0.17
0.03
-0.02
-0.29
-0.31
-0.17
-0.16
1
AUDIJ
DENSEIJ
TIMEIJ
付表 1-2 説明変数間の相関係数:J2
2005 年 J2
CAPAI
CAPAJ
COSTI
COSTJ
SQUDI
SQUDJ
FREQI
FREQJ
CAPAI
1
CAPAJ
0
1
COSTI
0.2
-0.03
1
COSTJ
0
0.3
-0.09
1
SQUDI
0.05
0.01
-0.17
0.02
1
SQUDJ
-0.07
-0.11
0.02
-0.17
-0.09
1
FREQI
0.21
-0.04
0.41
-0.04
-0.08
0.01
1
FREQJ
0.02
0.44
-0.03
0.41
0
-0.08
-0.09
1
AUDIJ
0.41
-0.07
0.66
-0.01
-0.14
-0.04
0.38
-0.01
1
-0.13
-0.04
0.57
0.03
-0.21
-0.02
0.28
0.01
0.83
1
0.13
0.13
-0.11
-0.15
0.16
0.2
0.01
0.03
-0.18
-0.27
DENSEIJ
TIMEIJ
25
1
2006 年 J2
CAPAI
CAPAJ
COSTI
COSTJ
SQUDI
SQUDJ
FREQI
FREQJ
AUDIJ
DENSEIJ
TIMEIJ
CAPAI
1
CAPAJ
-0.02
1
COSTI
0.36
-0.04
1
COSTJ
-0.02
0.44
-0.08
1
SQUDI
-0.23
0.02
0.02
0
1
SQUDJ
-0.35
0.04
-0.02
0
0.84
1
FREQI
-0.21
0.02
0.39
-0.04
-0.22
-0.11
1
FREQJ
0
-0.27
-0.03
0.39
0.02
0.01
-0.09
1
AUDIJ
0.2
0.07
0.36
0.13
0.17
0
0.08
0.08
1
DENSEIJ
-0.32
0.08
0.27
0.15
0.24
0.2
0.32
0.08
0.81
1
TIMEIJ
-0.02
0.02
-0.23
-0.21
-0.1
-0.16
-0.23
-0.15
-0.15
-0.22
1
CAPAI
CAPAJ
COSTI
COSTJ
SQUDI
SQUDJ
FREQI
FREQJ
AUDIJ
DENSEIJ
TIMEIJ
2007 年 J2
CAPAI
1
CAPAJ
0.01
1
COSTI
0.49
-0.06
1
COSTJ
0.01
0.7
-0.08
1
SQUDI
-0.05
0
0.18
-0.02
1
SQUDJ
0.02
-0.03
-0.01
0.18
-0.09
1
FREQI
-0.21
0.02
-0.36
0.03
0.06
-0.02
1
FREQJ
-0.01
-0.3
0.03
-0.39
0
0.07
-0.08
1
AUDIJ
0.35
0.08
0.44
0.08
0.21
0
0.2
-0.03
1
DENSEIJ
-0.18
0.08
0.3
0.09
0.22
0
0.33
-0.03
0.8
1
TIMEIJ
-0.02
-0.07
-0.21
-0.21
-0.25
-0.18
-0.02
-0.06
-0.14
-0.17
26
1
参考文献
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社団法人日本プロサッカーリーグ[2006]『2006
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http://www.j-league.or.jp/aboutj/katsudo/2006kansensha.pdf
日本フットボールリーグオフィシャル Web サイト http://www.jfl-info.net/
法令データ提供システム http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/strsearch.cgi
Yahoo!JAPAN 路線情報 http://transit.yahoo.co.jp/
ラグビーフットボール協会ホームページ http://www.rugby-japan.jp/index.html
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