無線LAN/デジタルTV用 ローパワー受信機 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 教授 岡田 実 1 研究背景 • 広帯域デジタル無線伝送 – W-LAN – 地上デジタルテレビ放送 – Zig-Bee, BlueTooth, etc. • 信頼性の高い通信必要 – 複雑な信号処理アルゴリズムが必要 => 消費電力の増大 • 消費電力 – 携帯端末では電池サイズが厳しく制限 2 マルチパスフェージング伝搬路 周辺の什器、壁、床な どにより反射された複 数の波が合成されて受 信される Q-ch 送信信号ベクトル I-ch Q-ch 受信信号ベクトル I-ch マルチパスフェージング伝搬路により 受信信号の振幅・位相が変動する 3 符号間干渉 (Inter-Symbol Interference: ISI) インパルス応答 インパルス 時間 時間 受信波形 送信波形 時間 時間 • 受信シンボルに先行シンボルが重なり干渉となる. 4 マルチパスフェージング対策 • 振幅変動による伝送特性の劣化 –ダイバーシチ 方式 • 遅延広がりによる符号間干渉 –OFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplex) 5 ダイバーシチ技術 送信信号 合成 受信信号 ・ 複数の通信路で同一の情報を送ることにより 通信の信頼性を高める 6 OFDM Orthogonal Frequency Division Multiplex インパルス インパルス応答 時間 時間 受信波形 周波数 周波数 時間 時間 • 符号間干渉が減少する 7 従来型のESPARアンテナを用いた OFDMダイバーシチ受信機 ESPAR antenna RF Front-end FFT QAM Demod VC 受信信号の 品質を検出 受信信号品質が高くなるようにVCのリアクタンスを制御する 8 ESPAR Antennaの動作原理 Electrically Steerable Passive Array Radiator メイン素子近傍に variable capasitor (VC) 終端されたサ ブ素子を配置 X 受信信号VはEM、ESの合成 になっている。ここで係数α はサブ素子終端リアクタンス Xにより変化する。 VC V = EM + αES EM ES メイン素子における電界 サブ素子における電界 9 周波数選択性フェージング インパルス応答 インパルス 時間 時間 freq freq フェージングにより生じる振幅、位相変動が周波数毎に異なる 10 従来型ダイバーシチの動作 V = EM + ES EM ES freq freq freq V = EM − ES freq 11 従来のOFDMダイバーシチ #1 L DFT #2 L DFT MRC freq #M L DFT freq Post-DFT Combining 受信部、復調部が複数必要 → ハードウェア規模、消費電力の問題 12 従来技術とその問題点 DFT後合成ダイバーシチ RFチューナ、FFTが必要であり 消費電力の増大を招く DFT前合成ダイバーシチ 周波数選択性フェージング通信路では ダイバーシチ効果が小さい 伝搬路状況の変動に対する追従性 13 本発明によるESPARアンテナを用いた OFDMダイバーシチ受信機 ESPAR antenna VC RF Front-end FFT Frequency Domain Equalizer Oscillator f = carrier spacing 単一のRFチューナ フィードバック不要 14 本発明によるESPARアンテナを用いた OFDMダイバーシチ受信機 ESPAR antenna VC RF Front-end FFT Frequency Domain Equalizer Oscillator f = carrier spacing 単一のRFチューナ フィードバック不要 15 提案するダイバーシチの原理 3 4 2 5 1 6 7 E M Freq. shift due to VC freq + Freq. Domain Equalizer freq 連立方程式を解く ES e j 2 πf s t freq r1 = h11 s1 r2 = h12 s 2 + h21 s1 ESPAR antenna output freq hik : i番目のアンテナの k番目のサブキャリアの フェージング変動 s k : k番目のサブキャリアの 送信信号 rk : k番目のサブキャリアの 受信信号 M r7 = h17 s7 + h26 s6 r8 = + h27 s7 16 提案するダイバーシチの動作 EM freq freq ES いずれのサブチャネルも同相合成 することが可能 freq ダイバーシチ効果大 17 BER特性 ・52-carrier OFDM ・ QPSK/uncoded ・ Two-Ray Rayleigh Fading Channel 18 新技術の特徴・従来技術との比較 従来はダイバーシチ効果を得るため、RF回路 およびDFT回路を複数有するDFT後合成ダイ バーシチが用いられてきたが、消費電力の点で 問題があった。本技術を用いることで、1組のRF 回路およびDFTでダイバーシチ効果を得ること ができ、消費電力削減効果が期待できる。 19 想定される用途 • 消費電力の制限が厳しい携帯端末や携帯 ゲーム機での無線LANの性能改善。 • 上記以外に、地上デジタル放送の携帯受信に ついても効果的である。 • 地上デジタル放送車載受信機のアンテナ配 線が削減できる。このことによる実装コストの 削減効果も期待できる。 20 想定される業界 • 利用者・対象 無線LAN 地上デジタル放送受信機 • 市場規模 無線LAN 搭載携帯端末 (ex. DS出荷台数累計 1億台) ワンセグ携帯 (8190万台 (2010/4)) 地上デジタル放送車載受信機 (459万台(2010/4)) http://www.jeita.or.jp/japanese/stat/digital/2010/05.html 21 実用化に向けた課題 • 現在、無線LANベースバンド信号処理につい て実装が可能なところまで開発済み。 • 今後、地上デジタル放送への拡張について検 討を行う。 • 実用化に向けて、ESPARアンテナの形状や 制御回路に関する検討が必要。 22 企業への期待 • ベースバンドデジタル信号処理部に関しては 実装に向けた検討まで対応可能。 • RF回路実装技術を持つ、企業との共同研究 を希望する。 • 無線LANや地上デジタルテレビ放送受信機を 開発中の企業には、本技術の導入が有効と 思われる。 23 産学連携の経歴 2000年ー現在 大学発ベンチャー シンセシス 主幹研究員 共同研究多数あり。 NTT、シャープ、豊田中央研究所、富士通研究所 、三菱電機、ルネサステクノロジ、フィリップス、etc 本技術に関する知的財産権 発明の名称:無線受信装置と そのチャネル等化方法 出願日 :2009/8/31 出願番号 :特願2009-187714 発明者 :岡田 実、塚本 悟司 出願人 :奈良先端科学技術 大学院大学 お問い合わせ先 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 産官学連携推進本部 TEL:0743-72-5930 FAX: 0743-72-5194 e-mail:[email protected] 24
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