総合周産期母子医療センター 1 1.BFH (Baby Friendly hospital Initiative) 「赤ちゃんにやさしい病院」認定 総合周産期母子医療センター 2 WHOとユニセフは、「母乳育児の保 護、促進、そして支援」するために、 産科施設は特別な役割を持ってい る。」 という共同声明を発表し、 産科施設を母乳推進の中心にすべ く、「赤ちゃんにやさしい病院運動」 を展開しています。 そして、「母乳育児を成功させるため の10カ条」を長期にわたって尊守し、 実践する産科施設を「赤ちゃんにや さしい病院」Baby Friendly Hospital (BFH)として認定することになり、 2008年当院は、「赤ちゃんにやさしい 病院」として認定されました。 今回、各部門の皆様に母乳育児支 援とBFHについてのご理解とご協力 を引き続きお願い致したく、研修会を 企画いたしました。どうぞよろしくお 願いします。 2.世界の母乳育児の歴史 総合周産期母子医療センター 4 1950年から1960年代にかけて、世界 的に母乳育児率の低下が見られ、それ に伴って発展途上国における乳幼児の 死亡率が上昇した。 人工乳の世界的大流行 発展途上国での誤った与え方 感染症罹患上昇 乳幼児死亡率の上昇 1981年WHO「母乳代用の販売流通に関する国際基準」(WHOコード) 1990年「イノチェンティ宣言」 総合周産期母子医療センター 参考資料:助産師雑誌 2004Vol.58 5 1990年WHO/UNICEF「イノチェンティ宣言」 *生後4から6ヶ月は完全に母乳だけで育てること *それ以降は適切な栄養を補いながら母乳栄養を 2年かそれ以上続けることを奨励 *母乳育児に対する社会の意識を高めること *女性自身が自信を持って母乳育児を選び取る事が できるように適切な情報を提供すること *政府などの権威ある機関が母乳育児を保護する 必要性があること 総合周産期母子医療センター 参考資料:助産師雑誌 2004Vol.58 6 同時にWHO/UNICEFでは1991年より、産科施設 を母乳育児推進の中心にするべく、 “Baby Friendly hospital Initiative” 「赤ちゃんにやさしい病院運動」 (BFH)を展開していく。 「WHOコード」を厳守し、「赤ちゃんに優しい病院推進 運動のための世界基準=10か条」を実践している産 科施設を“Baby Friendly hospital Initiative” 「赤ちゃ んにやさしい病院」(BFH)に認定した。 それにより、その地域の母乳率が上昇し、乳児の健 康状態が改善されたことが報告されている。 総合周産期母子医療センター 参考資料:助産師雑誌 2004Vol.58 7 日本では・・・ 厚生労働省が「すこやか親子21」の中で「1ヶ月での母乳 率の増加」という目標を掲げている。 平成17年、乳幼児栄養調査が発表され、それにもとづいて現在厚生労働 省において「授乳・離乳支援ガイド」が作成された。 少子化 虐待 いじめ 先進国においても、母乳育児は感染症の罹患率や乳 幼児突然死症候群を減少させ、同時に母親にとって も健康上の利点が多い。さらに医療費の節約や育児 不安の軽減など、社会的な利益も大きい。 日本においては、母乳育児は個人的なもの、 産科施設で支援すべきものと思われがちな 傾向があるが、社会的・政策的な支援の必 要性を表明したという点においてこの「運 動戦略」の意義は大きい。 総合周産期母子医療センター 参考資料:助産師雑誌 2004Vol.58 8 3.母乳の素晴らしさ 総合周産期母子医療センター 9 母乳育児することの利点! 感染防御 社会に対する 利点 アレルギーから赤ちゃんを 守る 母乳はすばらしい 母親に対するその他利点 赤ちゃんに対 するその他の 利点 母親に対する健 康上の利点 参照資料:UNICEF/WHO母乳育 総合周産期母子医療センター 児支援ガイド【監訳 橋本武夫】 10 感染防御 • 下痢や消化器感染症、呼吸器感染症にかか りにくい • ビフィズス因子が赤ちゃんの腸管の中で特別 な細菌の繁殖を助け、有害な細菌の成長を 阻止する • リンパ球・マクロファージという生きた細胞が 病気から守る • 成長因子が免疫系、中枢神経系などの器官 の発達を促す • 消化酵素が豊富 など 参照資料:UNICEF/WHO母乳育 総合周産期母子医療センター 児支援ガイド【監訳 橋本武夫】 11 母乳について・・・ 母乳と人工乳の違いは? 1.母乳は分泌型 IgA、ラクトフェリン などの乳清タンパクを多く含む 2.母乳中には多くの細胞が含まれ、 免疫防御に役立っている 母乳は免疫学的にすぐれている 総合周産期母子医療センター 新生児科:長友太郎 「母乳について」勉強会 資料 12 赤ちゃんに対する他の利点 •突然死(SIDS)の発生率が低い •小児糖尿病、小児がん、中耳炎の危険が少 ない •ワクチンに対する反応がよく、病気と戦う能 力が早くつく •歯列矯正や歯の問題が少ない •精神的、感情的、社会的発達がよくなる •より高い知能との関連がある(Lucas) 参照資料:UNICEF/WHO母乳育 総合周産期母子医療センター 児支援ガイド【監訳 橋本武夫】 13 母親に対する健康上の利点 •授乳中に分泌されるオキシトシンによって、 子宮の収縮が起こり、分娩後の出血を少なく する •カロリー摂取が制限されても母乳を作り出す ことができる •頻繁に授乳することで月経の再開が遅れ、 次の妊娠を防ぐのに役立つ •乳がんと卵巣がんの罹患率がより低くなる 参照資料:UNICEF/WHO母乳育 総合周産期母子医療センター 児支援ガイド【監訳 橋本武夫】 14 母親に対するその他の利点 •産褥うつ病の減少 •授乳に必要な仕事量が減る(いつでもすぐ母 乳はできる) •身体的回復が早い •情緒的な絆ができ、こどもの虐待や育児拒 否が少なくなる •旅行時も便利 •災害時にも便利 参照資料:UNICEF/WHO母乳育 児支援ガイド【監訳 橋本武夫】 総合周産期母子医療センター 15 社会に対する利点 •経済的である •余分な燃料や水を使わなくてすむーエコロ ジー •病気に対し強くなるため、将来的に入院など 費用が減る、より母子ともに健康 ぜひ素晴らしい母乳で 育ててね!! 総合周産期母子医療センター 参照資料:UNICEF/WHO母乳育 児支援ガイド【監訳 橋本武夫】 16 母乳育児を勧めること・・・赤ちゃんをじっとみつめること・・ 育児の喜びを享受することが自然にできる 喜び!! かわいい! ママと赤ちゃんに たくさんの利点! うれしい! 幸せ! 楽しい! 育児の喜びは赤ちゃんの喜び! 総合周産期母子医療センター 母乳の会ワークショップ 研修会資料 17 4.母乳育児成功のための 10か条 総合周産期母子医療センター 18 母乳育児成功のための10ヵ条と は? 1.母乳育児の方針を文書にして全ての人に定期的に知らせる。 2.この方針を実施するうえで必要な知識と技術について、 医療に関わる全ての人を訓練する。 3.全ての妊婦に母乳育児の利点やその方法を知らせる。 4.母親を助けて出産後30分以内に母乳育児を始めさせる。 5.母親に母乳育児の指導をし、もし赤ちゃんを別室に収容す る必要がある場合でも母親に母乳の分泌を維持する方法 を教える。 母乳育児成功のための10ヵ条と は? 6.医学的に必要でない限り、赤ちゃんに母乳以外の栄養や水 分を与えない。 7.一日中24時間、母親と赤ちゃんを同室にする。 8.赤ちゃんが欲しがるときはいつでも母乳を与える。 9.母乳育児中の赤ちゃんにゴムの乳首やおしゃぶりなどを与 えない。 10.母乳育児支援グループを育成し、親が病院や診療所を退 院するときにそれらを紹介する。 BFHでの出産の勧め • 生まれてくる新しい命と母になられた方に母 乳育児の恩恵をできるだけ多くの方に享受で きればと願っております。 • また、母乳育児の推進に一緒に協力いただ けるスタッフを助産師のスタッフを募集してい ます。 総合周産期母子医療センター 21
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