11 November 2002 Vol.8(年4回発行) 商いまんでがん モリエ米店 特集 今どき 消費者事情 独身OL編 その2 商いインフォメーション / 新着ビデオ・ブック等情報 Q&A相談事例紹介 モリエ米店 代表者 森江 一彰 氏 会 社 概 要 〒765-0011 善通寺市上吉田町3−2−20 TEL 0877-62-0468 FAX 020-4668-1793 URL http://www.alulu.com/morie/ http://www.tanoshii.net e-mail [email protected] 事業内容:有機米・カルゲン米特約・自然食品等販売 独自商品たち produced by モリエ米店 安全性は おいしいことの裏づけ ご夫婦で頑張る森江さん てしまう。紙製だと余分な水分を逃してくれるので、におい が残らず、おいしさがそのままだという。 また、紙だと環境にもやさしい。さらに、ごみの減量化の 癒しの郷「善通寺さん」のお膝元に、 「体にやさしい」お ために「My袋」を推奨している。顧客ごとの専用袋を当店 米屋さんがある。10坪弱のこじんまりとした店舗だが、 「ミ で保管してそれで納入する。一つの袋を何度か使うわけだ。 ステリアスで、ロマンティックな日本のお米」に魅せられた 顧客には1回30円バックのしくみ。 店主が、食にこだわりを持つお客様に食の楽しさを提案す 保管に手間は掛かるが、小売業もお客様とともに環境問 るお店である。 題を認識しなければ…というのが店主の考え。 店主森江一彰氏のこだわりは「安全性に裏打ちされたお いしいお米」の提供である。当店は石川県のカルゲン農法 で栽培された「カルゲン米」ほか有機栽培米を中心に安全 性の高い、体がよろこぶお米や自然食品を取り扱っている。 こうした商品はなかなか安定した仕入が難しく、コスト高 にもなるが、 「おいしくてしかも安全性の高いもの」を求め る店主の産地訪問や交流会参加などで、様々なつながりが 作られていくようだ。 自然食品には当店企画の独自商品もいくつかあり、他店 との差別化を図っている。これは試食をしていただくことで、 徐々に購入者を増やしていっている。 「おいしい」こだわりには米袋に対する気配りも必要、と クラフト紙のものを使っている。精米してすぐの米は熱を持っ ており、すぐ袋詰すると結露になり、それが米に匂いをつけ 1 商い情報かがわ 2002年11月号 楽しいPOPで情報提供 地域とともに インターネットも活用 森江氏には、まちの商店とは、その街のまつりの要員や地 情報提供という点ではインターネットも活用している。3 域の世話人的な役割の担い手だ、という意識がある。 年ほど前から「アルルモール」に参加し、この 4 月には独 地域への貢献を通じて、地域文化の担い手であれ、と自 自のHPも開設した。店主のこだわりがしっかり伝わる内容 らに言い聞かせているという。 である。 商いの上でも、配達で各家庭を廻るが、高齢化した顧客 独自商品もあり、次第に反応が現れている段階らしい。 には「お米が必要。プラス誰かに話がしたい」というニーズ があることを充分認識している。そこで、話し相手になるだ けに止まらず、そうしたお客様のことを自店の情報誌「モリ たゆまぬ努力、 仲間との勉強会 エ新聞」の中で紹介するなど、顧客同士のコミュニケーショ ンの仲立ちになったりしている。 「モリエ新聞」は月刊の情報誌で、配達時や店頭でお客様 に配布する。お客様の声やアイデア、新商品情報などが掲 載されてなかなか楽しく、これが店とお客様をつなぐコミュ ニケーションツールとなっている。 地域柄、農家が多く、どうしても新米の時期には購入が途 切れることが多いが、その間にもこれを配布することによっ て、また、お客様が戻ってくださる大切なツールでもある。 取材の最後に森江氏が、照れたように教えてくれた。 「異 業種交流会に参加してるんです。」地元善通寺市とお隣丸 亀市の経営者達の集まりで、 「楽商会(らくしょうかい)」と いう。メンバー相互で店舗診断を行うなど、お互いに良い店 づくりを行っていこうとする会だという。業種は違ってもお 客様のための店づくりは通じるものがあって勉強になるこ とが多いとか。 常にお客様のために何か良いものをとり入れようとする その姿勢こそが、この時代に生き残っていく秘訣かもしれ ない、そんなことを思わせてくれる一言だった。 (商業支援アドバイザー 黒田 英津子) お客様とのコミュニケーションツール 「モリエ新聞」 自然食品いろいろ ア ド バ イ ザ ー の ひ と こ と 新食管法の施行により米の流通は大きく様変わりをした。いわゆる「まちのお米屋さん」は大変な競争にさらされている。 価格競争はスーパーマーケットだけが相手ではなく、生産農家との競合もある。また、有職主婦の増加した現在はテイクアウト食品、 外食産業との業態間競争も厳しい。 これらの競争の中で生き残りを図るためには「おいしく、楽しい」食の提案力が不可欠であろう。当店主はその認識をしっかりお持 ちである。 また、店内 POP、情報誌、HP 等様々なツールを活用しての情報提供がその下支えをする。常に新鮮な情報を提供しつづけること が肝要であろう。 2 今どき 消費者事情 黒 田 商業支援アドバイザー 英 津 子 当サポートセンターでは香川県内在住の消費者にグループインタビューを行い、その購買行 動や消費の特性から、消費者層の姿を浮き彫りにし、ニーズを探り出す手がかりをつかむ試み を行うこととしました。前号に引き続いて、消費のリーダー的存在である、独身 OLについてご 紹介します。 独身OL編 その2 グループメンバーは6名。 彼女たちのテーマ別(食べる・買う・遊ぶ・学ぶ)および時間帯別のお金の使い方と その金額等により、今時 OLの価値観が見えてきました。前号の〈食べる〉に引き続き、 今回は〈買う〉〈遊ぶ〉〈学ぶ〉について掲載します。 1. 年 令 :20代半ば 2. 職 業 :事務職系 (仕事の上では中堅どころ) 3. 勤 務 場 所 :高松市内 4. 住 所 :高松市内および隣接町 5. 自由になるお金 :6∼15万円/月 (貯蓄を含む) 6. 家計費負担 :3万円 買 う “買い物を楽しむこともあるが、 今欲しいものは特にない” モノへの欲求希薄型 「欲しいものがあってもバーゲンを待って買う」 価格志向派(あるいは欲求希薄型といってもいい かもしれない)と「欲しいものは欲しいときに価格 にこだわらずに買う」欲求追求型がある。買い物を 楽しむ層と買い物自体にあまり楽しみを感じていな い層に分かれるようだ。 3 商い情報かがわ 2002年11月号 好きな店 A B C D E F さ さ さ さ さ さ ん ん ん ん ん ん 天満屋 天満屋 三越 三越 リブ・ラブ(家具店) 大黒ドラッグ 「土・日には買い物に行かない。会社を休んだ日(有給休暇)に買い物もする。」と いう意見があった。これは友人など親しい人と共通の休日には買い物よりも楽しい時間 の過ごし方があるということだ。基本的には 休日に「買い物に出かける」ことが少ない。 買い物をしないわけではないのだが、 「わざ わざ」あるいは「とりたてて」買い物をする という意識は薄いようである。「買い物にわ 高松にあったらいいと思う店・サービス ●おしゃれな家具やシンプルな雑貨のお店 ●遊園地 ●夜遅くまで開いているカフェ ●ハーゲンダッツアイスクリーム店 ●夜遅くまで開いているマッサージ ざわざは行かない。昼休み時間 か会社の帰りに立ち寄るのが普 通。」というひとりのメンバーの 言葉が彼女たちの意識を代表し ているのかもしれない。 好きな店は百貨店が 4 名。3 分の 2を占めた。ファッション衣 料においても専門店を回って比 較検討をする、いわゆる買回りを 楽しむことが少ないようだ。 遊 ぶ 最近 6ヶ月で一番金額の多かった支出は6 名中 5 名が旅行であった。休日の過ごし方 を見ると、ゴルフ、スキー、テニス等活動派が多い。 前号で紹介したアフター5の過ごし方では全員が「飲 み会」 (親しい友人等との会食)と答えている。 費やす時間と金額について適宜振り分けて、自分 の楽しみ、快適な時間の過ごし方を確保しているよう に見受けられる。 学 ぶ 6ヶ月以内に一番金額の多かった支出 A B C D E F さ さ さ さ さ さ ん ん ん ん ん ん 旅行 カメラ 旅行 旅行 旅行 旅行 生涯学習 ∼多様性と意欲∼ 生涯教育の時代といわれているが、彼女たちの中でも5 名が何らか投資をして学ぶ意 欲を持っている。特に資格取得を目指して、通学したり通信教育を受けている人が2 名い ることには注目したい。一方、従来のいわゆる「おけいこ事」が1 名。これを少ないと見 るか、やはりまだ根強いと見るかはここでは判断のしようがないが、学ぶ内容の多様性が 出てきていることには違いないようである。 次回では、さらに街角等で他のOLの方たちの話を参考にしながら、彼女たちの消費行動を明らかにしてみたい。 4 平成15 年度 商店街競争力強化助成金の ご相談を受け付けています。 事業実施年度内の完了が要件となっています。平成15年度に実施するためのご相談を当財団でお受け していますので、お気軽にお越しください。 (本年度より助成金額の下限が50万円(∼1,000万円まで)となり、利用しやすくなっています。) [制度の概要] 商店街、商工会、商工会議所等が行う商店街の競争力強化及び中小商業の活性化を図るための以下の事業に対し て、助成しています。 [助成対象事業] ア.商店街等の競争力を強化するための基本構想策定事業 (例 .商圏・競合商業集積の調査・分析、消費者ニーズ調査、立地の変化等を調査し、今後の商店街等のあり方を研 究した中長期的な構想) イ.高齢者や障害者が利用しやすいまちづくりのための事業 (例 .高齢者向け商品開発のためのニーズ調査、高齢者用品の仕入先等の調査、FAX受・発注システムの開発・実 験事業等) ウ.環境の整備・保全又は資源の再利用の促進を図るための事業 (例 .リサイクルシステム構築のための研究会の開催及びその成果の普及、空き缶回収機・ペットボトル回収機の設 置、環境負荷の低い商品・再生品の開発等) エ.商店街等の魅力を高めるために必要な業種・業態の適正配置を図る事業(以下「テナント・ミックス管理事業」 という。) エ.商店街等の魅力を高めるために必要な業種・業態の適正配置を図る事業(以下「テナント・ミックス管理事業」という。) (例 .商店街の魅力を高めるために必要な業種・業態のテナントを空き店舗に入居させる際の家賃助成等) オ.商店街等の創意工夫を活かし、個性の創出・発展を図るための事業 (例 .商店街のイメージアップ・集客力を高めるためのキャンペーン事業、商店街オリジナル商品、統一ブランド及び ブランド商品の開発等) [助成率] 前記の助成対象事業に該当する個別案件の事業内容の性格に応じて決まります。 ア 計画策定、システム構築、実験事業、テナント・ミックス管理事業 4分の 3以内 イ 調査事業 5分の 3以内 ウ 上記ア及びイ以外の事業 2分の 1以内 問い合わせ先 商い情報かがわ 2002年11月号 (財)かがわ産業支援財団 企業振興部 資金助成課 TEL:087-868-9902 かがわ新事業サポートセンターでは、 経験豊富なコーディネーターや商業支援アドバイザー等が繰り返 しご相談に応じています。 業種を問わず、販路開拓や経営改善、店舗レイアウト・デザイン、新事業展開など、幅広い分野にわた り適切なアドバイスや問題解決の支援をしています。 一人で考えるよりアドバイザーと一緒に考えて、ご自分の事業プランをより深めていきましょう。 ●相談会(窓口相談)● 相談会を原則として第2・第4水曜日に開催しています。 予約制となっていますので、 まずはお電話か、下記のHPよりご相談の申し込みを! ●ご相談のシステム● お申し込み方法 窓口相談 専門家派遣 電話またはFAXにてお気軽に当センター 月2回の相談会(予約制)。 までお申し込みください。 相談内容に応じて専門のコーディネータ 題に応じて専門家が経営計画立案など ーが対応します。 の具体的な支援を行います。 (経費の一 T EL(087)840-0391 FAX(087)869-3710 さらに、ステップアップを図るために、課 (無料) 部をご負担いただきます。) ご希望が あれば インターネットから メール相談 http://かがわ新事業.jp.io (またはhttp://tech.asp.ad.jp) 当センターに来所できない方も、 オフィスやご自宅から相談の申 込み等ができます。 ● コーディネーターおよび商業支援アドバイザーの紹介 ● 総合コーディネーター 永峰 茂氏 香川大学経済学部講師 専門/マーケティング分野 池田 清一郎氏 専門コーディネーター 桂 勤氏 (有)創造本舗桂代表取締役 専門/環境技術分野 松田 利夫氏 商業支援アドバイザー 井上 秀美氏 井上商環境設計(株)代表取締役 専門/店舗施設関連 日下 康孝氏 (株)池田経営コンサルタント事務所 代表取締役 専門/経営全般 山梨学院大学経営情報学部教授 専門/情報関連分野 奥谷 康一氏 香川 眞二氏 大地 康弘氏 (有)エムテック代表取締役 専門/商品開発分野 香川大学名誉教授 専門/海洋天然物・糖質・微生物学 グッドデザインスタジオ(有) 代表取締役 専門/店舗施設・レイアウト関連 産学官総合コーディネーター 加藤 俊作氏 高温高圧流体技術研究所研究参与 専門/化学・海洋資源・環境分野 春田 敬司氏 (有)ジャストブレイン代表取締役 専門/経営計画・ビジネスプラン作成 宮本 吉朗氏 (株)イノベイト代表取締役 専門/情報、マーケティング 登内 芳也氏 バイヤーズ(株)代表取締役 専門/電子商取引・マーケティング・ 一般消費財流通分野 (株)デザインセンター代表取締役 専門/店舗施設・レイアウト関連 藤本 誠氏 藤本デザイン研究室代表 専門/グラフィックデザイン関連 山本 雅美氏 PLANNING ROOM代表 専門/グラフィックデザイン関連 高木 不二麿氏 高木経営研究所所長 専門/経営全般 川野 洋巳氏 (有)四国ビジネスラボラトリ 代表取締役 専門/経営全般 香西 俊範氏 (有)流通経営研究所代表取締役 専門/経営全般 山下 益明氏 (株)ビッグバン代表取締役 専門/経営全般 黒田 英津子氏 る:キューブ 代表 専門/経営全般 DO IT!シリーズ 「近代ホーム」 お客様が応援する工務店! 住宅不況時代に顧客が殺到する工務店がある。人が健康に暮 株式会社ブロックス らせる住宅を追求し、顧客満足を第一に考えた企業姿勢が評判に (2002-031) なり紹介客が増え続けている。その実態を紹介している。 峰竜太のベンチャースピリッ 中小企業事業団 ツ白書「夢を持ち続ける女 (V2002-032) 性起業家たち」Vol.3 日本における女性経営者は63,000 人。今後ますます増える勢い である。今回は結婚・育児・家事のハンディキャップを乗り越えて 成長する3人の女性経営者の話を聞いている。 コーチングは本を読んだだけではなかなか理解できないとも言われ 「部下を伸ばすコーチング」 PHP研究所 る。このシリーズでは営業マンを育てるコーチングがわかりやすく映 第1∼3巻 (2002-022∼024) 像で見せている。 「クチコミュニティ・マー 朝日新聞社 ケティング」 著者/日野佳恵子 (E14R-85) 営業マンゼロで女性会員6万人の会社を育てた著者(主婦) が、お客様の口コミで会社を伸ばす方法を具体的な実例ととも に紹介している。女性起業家だけでなく男性経営者も必読の本。 「実践 コーチングマニュ ダイヤモンド社 アル」 著者/伊東明 (A14R-86) ビジネスの要(かなめ)は人である…。人を育て、人を動かし、戦力にす るための実践的なスキルがコーチングである。この本は、その基本ポイン トの説明やQ&Aを通じて実践的に活用できるマニュアルとなっている。 著者/志村和次郎 「成功する起業・新事業 日本実業出版社 (A14R-83) 計画の立て方・進め方」 「Just 10月号」 船井メディア 講演: 藤島博文・船井幸雄・渡邊延朗・ 小山政彦 日本画家の藤島氏がよい絵画と教育の基本、 メディ ア・プロデューサーの渡邊氏がフォトンベルト、船井氏 小山氏が粗利アップについて語る。 (2002-048∼050) がしつけの重要性、 「 会 社を良くする節 税 、(株)FPステーシ 講演:天野隆 (2002-51) 会社をダメにする節税」 ョン 節税の4種類を述べ、よい節税と悪い節税、そのケー ススタディを解説している。 「 月 別 イ ベ ント計 画 で わが店 の 客 数と来 店 頻 (株)商業界 度はこう高まった」 ビジュアルマーチャンダイジングとセールスプロモーショ ンの重要性を気さくな語り口で解説している。 DO IT! シリーズ 「近代ホーム」 お客様が応援する工務店! 7 ビジネスプランは起業家の熱意、経営センス、計数 感覚の表現である。初めての人にもわかりやすい手順 で作り方を説明している。 商い情報かがわ 2002年11月号 講演:榎原寛 (2002-31) 「実践 コーチング マニュアル」 「Just 10月号」 相談者 / 惣菜専門店開業希望者 回答者 / 商業支援アドバイザー 川野 洋巳 市の中心部に近い商店街で、主人が食料品店を経営しています。最近デパートの地下食料品売り場 の惣菜が何かと話題ですが、店の材料を使って私が作る簡単な惣菜がよく売れるため、食料品店をや めて惣菜専門店に店をかえようかと思います。開業に際してのアドバイスをお願いします。 相談者は50 代の主婦の方ですが、自分の得意な分野で事業を始めたいという意欲は大変すばらしいと思い ます。ただし、やる気はあっても勢いにまかせて開業するだけでは、結果的に失敗する危険性も大きいので注 意が必要です。 ●最初に、店のコンセプトを明確にしておく 「コンセプトなんて、何やら難しいカタカナ用語を…」と思われるかも知れませんが、一般的には「概念」 と訳されます。専門店におけるコンセプトとは、 「お店の基本的な考え方、方針」のことです。これがはっきり していないと、どんな消費者をお得意様にしたいか、取り扱い商品の品揃えはどうするか、商品陳列の方法、 販売や広告の仕方…など、細かい部分が決まりません。行き当たりばったりで営業していては、消費者の店 に対する信頼感も獲得できないといえます。 ●一番売りたい消費者像を考えてみる 相談者の考える出店場所は住宅街から近く、日頃から自分や家族の健康に気を使う人、つまり健康食品・ 手作り志向の強い人が多いエリアのようです。そこで「健康」をキーワードに、材料や調味料、調理方法等 を検討してみてください。 ●店内照明で商品をおいしそうに演出する 照明ひとつで商品の品質や印象を引き立てることが可能です。惣菜店の場合は、食品が活き活きと見え る自然光に近い照明を常に点けておき、時間帯や季節に応じてクリップライトや間接照明で店内のイメージ 作りをするのも一案でしょう。 ● 1食パック、量り売り、お弁当、食事… 昔ながらの1 食パック売りだけでなく、バイキング形式で好きな惣菜を選べるようにする量り売りや、炊き立 ての白米を詰めて「自分仕様のお弁当」にするのが若者にも受けています。商店街という土地柄、店のそ ばにパラソルとベンチを置いてみれば、その場で食べたいお客様には好評かもしれません。 以上は住宅街が近い惣菜店のケースですが、オフィス街が近い場合は会社員を消費者像として設定したり、 飲食店激戦区に開業する場合は価格訴求を行う必要性が出てきます。まずは出店場所、売りたい消費者像、 どんな店にするかをしっかりと考え、計画を立てていくことから始めてみてください。 8 アメリカ商業施設の新潮流(Ⅰ) (Ⅰ) 永 峰 かがわ新事業サポートセンター 総合コーディネーター 茂 ●都市形成とダウンタウンの盛衰 アメリカの都市は18世紀後半から19世紀前半にかけて大陸全土で形成され、19世紀後半に公共的な交通機関が導入さ れることで都市の形成はほぼ完了した。 交通機関の停車駅やその周辺は都市の人々の買物や交流の中心地域となり、 「ダウンタウン」が形成されていった。 また、都市への人口集中はやがて都市周辺に新しく計画的な郊外地域開発を生み、住宅開発を中心に各種社会資本が整 備されていった。当然、生活にとって欠くことのできない商業機能として、計画的な「ショッピングセンター」が建設され、 商業施設の代表的な形態として現在に到っている。 アメリカのショッピングセンターの第 1 号は、1948 年にオハイオ州コロンバスに開発された「タウンアンドカントリー」 とされている。 以来半世紀余、巨大な郊外地域開発を背景にショッピングセンターは増加を続け、2000 年現在、全米 45,025ヶ所を数 えるに到っている。 各都市の郊外地域は人口増加の 80%を吸収する新興ゾーンだけに、ショッピングセンターの増殖とは裏腹にダウンタウ ン商店街は急速なゴーストタウン化の進行で崩壊していった。勿論、この間に商店街のモール化による再生などテコ入れの 努力はなされたが、全米 2,000ヶ所にのぼる再開発事業で成功した事例はみあたらない。 その後、商店街のみの再開発では効果がないとの判断から、都市再開発の一環として商業街区の活性化が図られること により、ようやく商業施設の復権がみられるようになった。 ダウンタウンの盛衰にみられるように、都市の形成発展と商業施設の生成発展とは密接な関係にあるが、20 世紀後半の 人々の価値観の変化は商業施設に新たな胎動をみせ始めた。 以下、アメリカ商業施設の新しい動向を紹介することで、21世紀のわが国の商業施設開発へのヒントを探ってみたい。 ●求められる界隈性・人間臭ある街並 80年代ブラックマンディを経験しバリューシフトをおこした消費者の購買行動を受けて、90年代前半はさまざまな業態が 誕生するなど流通企業の再設計期を迎えた。 既存流通業態の衰退に変わって登場した新業態(カテゴリーキラー)の受け皿として「パワーセンター」 「アウトレットセン ター」など新形態のショッピングセンターが派生して出現、ディスカウント時代の商業施設としてわが国でも紹介された。 90年代中期以降、 「価格」から「価値」への価値観の変化は新たなエンターテイメント嗜好を生み、アメリカ商業にポストディ スカウント時代を開幕させた。 このため、いままでの都市再開発とは異なった視点での新しい商業施設創設の動きが始まった。これまでの「モール」に代 表される人工的な商業施設に対するある種の揺り戻し現象ともいうべきもので、その胎動は街づくりの新しいムーブメント として全米の商業施設の新設に伝播されていった。 「オープンエアでヒューマンな商店街指向」とでもいうべき欲求であり、 「モールラット」と呼ばれモールの中を走りまわって 育った世代が「人工的なモール」へのアンチな姿として求め始めた新しいニーズの産物である。 所謂、オープンエア感覚の街並で往年のダウンタウンの商店街がもっていたやや不良ぽい界隈性や人肌感覚への希求で あり、これまでの人工的な快適性へのアンチ現象ともいうべき傾向である。 今回は、ポストディスカウント時代の商業施設「エンターテイメント性」の先駆事例として、ロサンゼルスの「アーバン・エ ンターテイメント・センター」を紹介してみたい。 人工的に再現 人工的に 再現された「繁華街 繁華街」 ●人工的に再現された「繁華街」 本年、第3期開発計画の着工を迎えている「アーバン・エンターテイメント・センター」の第1期開発計画の施設は1995 年11月に開業された。 これまでのショッピングセンターが物販中心で構成されていたのとは異なり、都市形成のなかで消失したダウンタウンを「郊 外における繁華街」として再生しようとする試みであり、物販をもたない異色の商業施設として開設された。 9 商い情報かがわ 2002年11月号 第1期施設は「エドワード」 の30スクリーンを持つシネ マコンプレックス(シネコン) と「 ゲ ー ム ワ ー クス 」の ア ミューズメント、それに飲食 街という3本柱で開業された。 商圏(半径16キロ)内に平 均世帯所得55,000ドルの人々 にぎわいを演出するモロッコ風キオスク が居住しており、 しかもオフィ スゾーンと住宅ゾーンの中間 という好立地にめぐまれ、1997年に年間500万人が来訪したのを始め、エドワードシネマ は年間200万人を集客するなど、 シネコンでは全米最大の売り上げを記録している。 年間200万人を集客する 「エドワードシネマ」 こうした大盛況を受け、エンターテイメント施設のみの集客に、物販と飲食機能を加え た第2期開発計画の施設が1998年7月にオープンした。 施設のテーマは「アルハンブラ」の町をイメージしており、全体デザインは「モロッコ& 地中海様式」で統一、 「心地よさ」 「界隈性」 「ピープルウォッチ」などをコンセプトとして 構成されている。 1999年には1,200万人が来訪し、顧客の平均滞在時間も2時間におよぶなど、新し い施設としての魅力の高さが立証された。 代表的なテナントとして、アミューズメントと飲食の複合業態「デイブ& バスターズ」、全米NO1の人気レストラン「チーズケーキファクトリー」を 始め、ユニークな物販がモロッコ風の街並を形成している。 シネコンにアミューズメントや飲食を加えた、エンターテイメント施設の みの集客をベースに物販機能を成立させた当施設の成功は、新しい商業 施設成立のメカニズムを確立したものといえる。 現在、さらに10階建ての大観覧車や回転木馬を導入、 「ノスタルジア」 をテーマとする第3期開発計画がスタートしている。 また、第4期開発計画ではデパート 全米レストラン人気NO1、 「チーズケーキファクトリー」 がテナントとして誘置されることで、 リー ジョナル型のショッピングセンターとし て完結する予定となっている。 ショッピングセンター時代の到来によって崩壊したダウンタウンの繁華街 が持っていた「界隈性」が包含している「息抜き」や「解放感」というやや不 良ぽい街区は、アメリカ社会からその姿を消してしまっていた。 いま、 こうした人間本来の欲求に根ざした商業施設が計画的に復現されつ つあるだけに、アメリカ商業施設の新業態として特筆される。以上のようなア メリカ商業施設の新しい潮流は、わが国の商店街が従来もってきた街の魅力 をあらためて示してくれているわけで「界隈性」という魅力を再認識したい ものである。 楽しい水遊び・街角演出 アミューズメントと飲食の複合業態「デイブ&バスターズ」 ユニークなテナントが軒を並べる地中海様式の街区 10 経営者の久米さんご夫妻 宇多津町浜6番丁86番地2 -15 Tel 0877- 49 - 2582 営業時間:11:00∼21:00 定休日:水曜日 大きな看板が目だちます 宇多津 郵便局 ● N JR宇多津駅を降りますと、時計台のある公園の向こうにお店の大き な看板が見えます。 「塩がま屋」。 この付近はもともと塩田であったのが、瀬戸大橋工事の前に区画整 ★ J R 宇 多 津 駅 理された土地です。経営者の久米さんはこのあたりの塩田の所有者で した。塩田の仕事がなくなったあと会社勤務、そして坂出で喫茶店開業。 ところが昨年まで宇多津駅前のマンションのモデルルームとして貸 ● ホテル サンルート 瀬戸大橋 県 道 33 号 線 塩がま屋 していた建物が契約終了で手元に返ってきました。そこでこの立地を 雰囲気のある座敷 生かした商売はできないかと考えた末、讃岐の国はやはり「うどん」。そこで今のお店を開いたと いうのがいきさつとのことです。オープンは昨年秋 11月30日。店名は塩田ゆかりの「塩がま屋」。 現在ご主人は別の会社を経営されており、このお店は奥さんと息子さんとで経営されています。お店の入り口には 塩田で使った用品がさりげなく置かれ、店内は座敷席が 35 席、椅子席が約 50 席という広さ。和陶器や日本一の漆塗 りのひょうたんも置かれており、上品なムードのあるお店が出来上がっています。 オープンしたときにはあれもこれもと欲張ったメニューにしてしまい、対応が大変だったとか。その後メニューの絞込 みを行い、今では当店好評の品々が評判を呼んでいます。夏はぶっかけうどん、梅とろろ、かき揚げ…。冬は味噌煮込み うどん、天ざる…。ランチタイムの日替わりメニューが大人気で、月曜から日曜まで4種類の日替わりが次々と登場。価格 帯も600円から950円と多彩。セットの中の料理をお客様のご要望で他の料理と変更することを気さくにお受けして いるとのこと。まさに顧客中心の営業をされています。このため毎日来店されるお客様も多く、接待で利用されること も多いとか。 ちょうどお店に来られたご主人の久米光治さんと店主の和子さん とお話をしていますと、まさにこの店のほんわかとした心地よい雰 囲気に浸ってしまい、時間を忘れてしまいました。これまで積極的 な宣伝活動はされてこなかったとのことで、これからは情報発信を していく予定とのこと。今の雰囲気を大切にして成長していただく ことを期待します。 塩田の道具類の展示 (商業支援アドバイザー 香西 俊範) 日本一の漆塗りのひょうたん http://www.kagawa-isf.jp/ こちらのアドレスでホームページ上でも「商い情報かがわ」が見られます。 http://かがわ新事業.jp.io (ortech.asp.ad.jp )
© Copyright 2024 Paperzz