アイスランドのエネルギー戦略 ~地熱を核にして~ NPO市民環境プロジェクト 三津野 真澄 (1)アイスランドの概要(特に地質的特性) (2)アイスランド視察の日程 (3)アイスランドでの地熱利用について (4)地熱以外での視察の報告 (5)アイスランドの風景、地形地質など (6)日本の地熱利用について (1)アイスランドの概要 ~特に地質的特性~ 人口32万人 面積10.3万平方km(北海道の1.3倍) プレートが誕生し両側に 分かれる地 マグマが地下から上昇 するため、地熱に恵まれ 火山が多い メキシコ湾流の影響で、 西岸海洋性気候 (イメージより寒くない) 豊かな水資源と火山 (2)アイスランド訪問の日程 月/日 行動内容 宿泊地 8月5日(水) 中部国際空港(9:30) → アイスランド レイキャビク 8月6日(木) ①アイスランド国産業省「エネルギー局」訪問 ②熱水貯蔵施設「ペルトラン」訪問 ③「レイキャビク・エナジー」訪問 レイキャビク 8月7日(金) ①国連大学「地熱トレーニングプログラム」訪問 ②「アイスランド自然協会」訪問 ③レイキャビク湾の自然観察(乗船) ④市内散策(市庁舎、国会議事堂、ホフンの家) レイキャビク 8月8日(土) 地熱地帯訪問 (シングヴェトリル国立公園、プレート境界、ゲイ シール、グトルフォスの滝、地熱発電所など) レイキャビク 8月9日(日) レイキャビク → スカフタフェットル国立公園 スカフタ フェットル 8月10日(月) ヴァクナヨークトル氷河トレッキング、氷河湖ボート 乗船 → ヴィーク ヴィーク 8月11日(火) ヴィーク → ブルーラグーン → レイキャビク レイキャビク 8月12日(水) アイスランド → ヘルシンキ → (泊) 機内 8月13日(木) 中部国際空港着(8:50) (3)アイスランドでの地熱利用について 2日目:8月6日(木)10:00~11:20 アイスランド政府産業省・エネルギー局 訪問 (上)アイスランド政府産業省 (左)温水パイプによる暖房設備 ・エネルギー局:エネルギー資源の研究、発電所の建設、操業、 送電線、電力取引等に関する許認可機関、 エネルギーマスタープランを環境省と協力して作成した 2日目:8月6日(木)13:20~14:20 レイキャビク・エナジー訪問 レイキャビク市に対し、 水道、熱水、電気の供給 下水道の処理 地熱発電の仕組み 図中で赤色が地下の高温域。ここに地熱 発電所が建設されている。 1次エネルギー利用の割合: 水力と地熱が全体の9割近く 暖房エネルギーの9割が 地熱 地熱エネルギー利用の内訳 温室 発電 暖房 産業 融雪 プール 養殖 レイキャビック市における 暖房起源のCO2排出量 可能にした理由 ・政策 ・長期的に低コスト ・前向きな考え方 ・石油危機 2日目:8月6日(木)12:10~13:00 ペルトラン(温水貯蔵施設)見学 内部は美術館とレストラン 地熱による暖房が始まる60年前までは、石油 暖房により市内は黒煙に覆われていたが、現 在は非常に空気がきれい ヘトリスヘイジ地熱発電所 熱水の利用 3日目:8月7日(金)9:30~10:50 「国連大学・ 地熱トレーニングプログラム」訪問 ・アイスランド共和国が 実施するプログラム ・地熱資源開発に係る人 材育成を行う。 ・アイスランド側のスタッフが対象国に出向いて学生を面 接し、人材を誘致している。 ・現在、最も学生数が多い国は中国、次いでケニア、エル サルバドル、フィリピン、 インドネシア。 ・期間は6か月間。 ブルーラグーン (5)アイスランドの地形・地質や風景など 大西洋中央海嶺: 引き裂かれる大地 ヴァトナヨークトル氷河 1年に10~15mも後退 レイキャビク市内風景(1) レイキャビク市内風景(2) 国立コンサートホールHarpaアルパ 補足事項 【エネルギー局】 ・アイスランドでは1970年代の石油危機の際にエネルギー政策の 意識を変える必要に迫られ、水力と地熱にシフトした。それから40 年が経過し、エネルギーの8割以上を地熱と水力でまかなうまでに 至った。 ・日本も東日本大震災を受けて、新しい方法を検討していけばよい。 ・原子力発電は1950年代に検討したが、現在は必要ないと考えて いる。 【レイキャビック・エナジー社】 ・レイキャビク市への温水パイプラインの建設は1939年に開始し、 総延長は32km。毎秒560リットルを輸送し、景観配慮のため基 本は地下埋設。 【商工省】 ・アイスランドの収入 1位:アルミニウム工場、2位:観光、3位:漁 業 ・電気が余っているため、アルミニウムなどの工場誘致ではなく、海 底ケーブルによる電気輸出を計画している。 ・発電量を増加させることは可能なので、農業用温室を増やし電気 自動車への切り替えなどを考えている。 【環境省】 ・国土の20%が自然保護地域、地熱発電所はなるべく公園の外に 建設し、送電線も景観を配慮し、基本は地下埋設。 ・地熱発電所はデザイン性も考え、現在は観光地として成立してい る。 (6)日本での地熱利用を考える 国内最大の地熱発電所である九州電力 八丁原発電所=大分県九重町 東北水力地熱株式会社 松川発電所=岩手県八幡平市 報告は以上です。ありがとうございました。 アイスランドはとっても面白い国でした。 みなさんも、ぜひぜひ!
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