本編を読む(原稿85p)

成田空港と千葉県経済の飛躍的発展のために
〜新 たな時 代 を迎 えた成 田 空 港 をビジネスチャンスに活かせ〜
2011 年 9月
株式会社 千葉銀行
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目
次
I. 成 田 空 港 と 千 葉 県 経 済 の 飛 躍 的 発 展 の た め の 提 言 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
1 . 成 田 空 港 を 取 り 巻 く 環 境 変 化 と 成 田 空 港 の 強 み ・ 課 題 ( 概 要 ) ・・・・・・ 1
(1 ) 成 田 空 港 を 取 り 巻 く 機 会 ( チ ャ ン ス ) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
(2 ) 成 田 空 港 に と っ て の 脅 威 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
(3 ) 成 田 空 港 の 強 み ・ 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
2 . 成 田 空 港 と 千 葉 県 経 済 の 飛 躍 的 発 展 に 向 け た 提 言 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
(1 ) ユ ー ザ ー の 目 線 に た っ た 成 田 空 港 の 機 能 強 化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
(2 ) 人 流 ・ 物 流 の 増 加 を 地 域 活 性 化 に つ な げ る 仕 組 み づ く り ・・・・・・・・・ 7
(3 ) 官 民 一 体 と な っ た 広 域 的 な 支 援 組 織 の 確 立 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
II. 近 年 の 成 田 空 港 を 取 り 巻 く 環 境 変 化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
1 . 成 田 空 港 を 活 か し た ビ ジ ネ ス チ ャ ン ス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
(1 ) 成 田 空 港 の 航 空 機 発 着 枠 30 万 回 の 地 元 合 意 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
(2 ) ア ジ ア の 人 口 増 加 と 訪 日 外 国 人 3,000 万 人 プ ロ グ ラ ム の 推 進 ・・・・ 13
(3 ) L C C に よ る 新 た な 航 空 需 要 の 創 出 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
【 参 考 ① 】 ス カ イ マ ー ク の 動 向 ( 成 田 シ ャ ト ル 構 想 ) ・・・・・・・・・・・・・・・ 19
(4 ) 総 合 特 区 制 度 の 活 用 に よ る 地 域 活 性 化 の 可 能 性 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
2 . 成 田 空 港 に と っ て の 脅 威 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23
(1 ) 羽 田 空 港 の 再 国 際 化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23
【 参 考 ② 】 羽 田 空 港 の 再 国 際 化 を 地 域 活 性 化 に 活 用 す る 木 更 津 市 の 取 組 30
(2 ) 地 方 空 港 か ら 海 外 空 港 へ の 直 行 便 増 加 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32
(3 ) ア ジ ア 主 要 空 港 と の ハ ブ 空 港 争 い の 激 化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
(4 ) 東 日 本 大 震 災 ・ 放 射 能 汚 染 に よ る 風 評 被 害 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38
III. 成 田 空 港 の 強 み ・ 課 題 の 整 理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43
1 . 成 田 空 港 の 強 み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44
(1 ) 全 世 界 に 広 が る 豊 富 な 国 際 線 ネ ッ ト ワ ー ク ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44
(2 ) 空 港 周 辺 地 域 に お け る 産 業 集 積 ( 物 流 関 連 施 設 ・ ホ テ ル ) ・・・・・・ 49
(3 ) 成 田 空 港 内 の 強 い 雇 用 吸 収 力 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53
(4 ) 災 害 リ ス ク ( 地 震 ・ 津 波 ) が 少 な い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54
2 . 成 田 空 港 の 課 題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55
(1 ) 東 京 都 西 部 や 神 奈 川 県 ・ 羽 田 空 港 ま で の ア ク セ ス 利 便 性 が 悪 い ・・ 55
(2 ) 国 内 定 期 便 が 少 な い ( 8 都 市 9 路 線 29 便 / 日 ) ・・・・・・・・・・・・・・・ 61
(3 ) 厳 し い セ キ ュ リ テ ィ チ ェ ッ ク ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 62
(4 ) 輸 出 額 の 国 内 シ ェ ア が 縮 小 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63
(5 ) 周 辺 地 域 へ の 経 済 波 及 効 果 が 限 定 的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66
(6 ) 成 田 空 港 を バ ッ ク ア ッ プ す る 経 済 界 の 広 域 的 な 支 援 組 織 が な い ・・ 70
【 参 考 ③ 】 成 田 空 港 の 概 況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 71
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■ はじめに
成 田 空 港 は 、 1978 年 5 月 の 供 用 開 始 前 か ら こ れ ま で 幾 多 の 困 難 を 乗 り
越 え 、 発 展 を 続 け て き た が 、 2,500m B 滑 走 路 の 供 用 開 始 ( 09 年 10 月 )
を 受 け て 、 10 年 3 月 に 航 空 機 年 間 発 着 枠 を 20 万 回 か ら 22 万 回 に 引 き 上
げ た 。 さ ら に 、 10 年 10 月 に 空 港 周 辺 9 市 町 、 千 葉 県 、 成 田 国 際 空 港 ㈱ 、
国 土 交 通 省 の 4 者 に よ り 、こ れ を 30 万 回 に す る こ と に 合 意 し た こ と に よ
り、成田空港は、新たなステージを迎えた。
一 方 、足 許 で は 、羽 田 空 港 の D 滑 走 路 供 用 開 始 と 再 国 際 化( 10 年 10 月 )
や ア ジ ア 主 要 空 港 と の ハ ブ 空 港 争 い な ど 競 争 激 化 に 加 え て 、 11 年 3 月 に
発生した東日本大震災と福島第一原発事故に伴う放射能汚染による風評
被害から訪日外国人を中心に航空旅客数が大幅減少するなどの影響が続
いている。
このように成田空港は、これまでの歴史にはなかった大きな環境変化
に 直 面 し て い る 。国 土 交 通 省 の「 成 長 戦 略( 10 年 5 月 )」に よ れ ば 、首 都
圏 空 港 ( 成 田 空 港 + 羽 田 空 港 ) の 容 量 は 、 成 田 空 港 の 発 着 枠 30 万 回 と 羽
田 空 港 の 再 国 際 化 ・ 再 拡 張 後 の 発 着 枠 44.7 万 回 で 「 向 こ う 10 年 間 は 航
空需要を上回る供給が可能」としている。
この時間軸のなかで、成田空港及び空港周辺地域を含めた千葉県が、
成田空港を取り巻く大きな環境変化に対応し、飛躍的な発展を遂げるた
めには、成田空港の世界に広がる国際線ネットワークや空港周辺地域の
産 業 集 積 ( 物 流 ・ ホ テ ル )、 災 害 リ ス ク の 少 な さ な ど 成 田 空 港 と 空 港 周 辺
地域の強みを最大限活用し、空港機能・魅力の一層の拡大や利用促進及
び空港を活用した地域活性化につなげる取り組みを、成田空港や地元自
治体、県内経済界などが一丸となって強く推進していくことが必要であ
る。
世 界 の 人 口 は 、10 年 の 69 億 900 万 人 か ら 50 年 に は 91 億 5,000 万 人 と
な り 、 40 年 間 で 22 億 4,100 万 人 増 加 す る 見 通 し に あ る ( 総 務 省 推 計 )。
こ の う ち ア ジ ア の 人 口 増 加 は 10 億 6,400 万 人 と 全 体 の 半 分 を 占 め て い る 。
また、IMFの推計によれば、今後も世界経済やアジア経済は高い成長
が見込まれている。このように経済成長や人口増加の著しいアジアの成
長活力をユーザーの目線にたった成田空港の機能強化や人流・物流の増
加を地域活性化につなげる仕組みづくりなどにより取り込み、日本経済
はもとより、成田空港と千葉県経済の飛躍的発展のバネとしたいもので
ある。
本調査では、上記のような点を踏まえ、成田空港を取り巻く環境変化
や成田空港の強み・課題を整理し、成田空港と空港周辺地域及び千葉県
経済が飛躍的発展を遂げるための提言を行った。
本 調 査 が 、成 田 空 港 と 空 港 周 辺 地 域 及 び 千 葉 県 経 済 の 今 後 の 発 展 性 を 考
えるうえで何かの参考になれば幸いである。
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I. 成 田 空 港 と 千 葉 県 経 済 の 飛 躍 的 発 展 の た め の 提 言
1.成田空港を取り巻く環境変化と成田空港の強み・課題(概要)
成 田 空 港 及 び 空 港 周 辺 地 域 を 含 め た 千 葉 県 が 、成 田 空 港 を 取 り 巻 く 環 境 変 化
に 対 応 し て 、こ れ か ら 飛 躍 的 な 発 展 を 遂 げ る た め に は 、成 田 空 港 の 強 み や 課 題 を
十 分 踏 ま え て 、環 境 変 化 や 時 代 の 流 れ に 即 応 で き る 体 制・仕 組 み づ く り や 空 港 機
能 の 強 化 な ど を 進 め る こ と が 必 要 不 可 欠 で あ る 。そ こ で 、成 田 空 港 と 空 港 周 辺 地
域及び千葉県経済が飛躍的発展を遂げるための提言を行うにあたり、まずは、
成 田 空 港 を 取 り 巻 く 環 境 変 化 や 成 田 空 港 の 強 み ・課 題 を 整 理 し た (図 表 1 )
。
以 下 は そ の 概 要 で あ る ( 詳 細 は 第 Ⅱ 章 ・ Ⅲ 章 を 参 照 )。
(1 ) 成 田 空 港 を 取 り 巻 く 機 会 ( チ ャ ン ス )
成 田 空 港 の 航 空 機 年 間 発 着 枠 は 、 02 年 の 暫 定 平 行 滑 走 路 ( 2,180m ) の 供 用
開 始 や 09 年 の 同 滑 走 路 の 2,500m 化 な ど を 背 景 に 発 着 枠 拡 大 の 道 を 辿 り 、 11
年 9 月 初 現 在 22 万 回 ( う ち 国 内 線 は 2 万 回 ) と な っ て い る 。 さ ら に 、 10 年 7
月 に 開 通 し た 成 田 ス カ イ ア ク セ ス に よ り 成 田 空 港 − 日 暮 里 間 が 最 短 36 分 ( 従
来 は 51 分 ) で 結 ば れ た こ と や 、 10 年 10 月 13 日 、 空 港 周 辺 9 市 町 や 千 葉 県 、
成田国際空港㈱、国土交通省から構成された「成田空港に関する四者協議会」
が 成 田 空 港 の 年 間 発 着 枠 30 万 回 へ の 容 量 拡 大 に 合 意 し た こ と で 、 成 田 空 港 は
新たなステージに入った。
発 着 枠 増 加 を 国 際 線 ・ 国 内 線 別 に み る と 、 国 際 線 は 現 在 の 20.0 万 回 か ら 14
年 度 に は 27.0 万 回 、 国 内 線 も 同 2.0 万 回 か ら 3.0 万 回 に そ れ ぞ れ 容 量 が 拡 大
す る 見 込 み で あ り 、成 田 国 際 空 港 ㈱ は 、容 量 拡 大 に 向 け て 新 た な 誘 導 路 や エ プ
ロン等の整備を中期経営計画に則って着々と進めている。
世界の人口動向に目を転じると、今後のアジアにおける人口増加は世界の人
口 増 加 の 約 半 分 を 占 め る と 見 込 ま れ て い る ほ か 、I M F の 推 計 に よ る と 、ア ジ
ア 途 上 国( 中 国 等 )で は 、少 な く と も 今 後 4 〜 5 年 の 間 は 高 い 経 済 成 長 率 が 期
待 で き る 。こ の こ と は 、ア ジ ア 路 線 が 全 体 の 約 6 割 を 占 め る 成 田 空 港 に と っ て
大きな追い風となる。
観 光 庁 で は 、03 年 度 か ら 、訪 日 外 国 人 旅 行 者 数 を 将 来 的 に 3,000 万 人 に す る
こ と を 目 標 と し た 「 訪 日 外 国 人 3,000 万 人 プ ロ グ ラ ム 」 を 推 進 し 、 第 一 期 が 終
わ る 13 年 度 ま で に 1,500 万 人 を 達 成 す る と い う 目 標 を 掲 げ て い る 。 訪 日 外 国
人 の 最 近 の 動 き を み る と 、 03 年 度 の 521 万 人 か ら 07 年 度 に は 835 万 人 ( 03 年
度 比 + 60.3% ) に 増 加 し 、 そ の 後 は 、 08 年 9 月 の リ ー マ ン シ ョ ッ ク を 挟 ん で 、
10 年 度 は 861 万 人 と 伸 び 悩 ん で い る 。
上記の目標を達成し、首都圏空港の航空需要を拡大するためには、近年急成
長 し て い る 格 安 航 空 会 社 ( L C C ) や 11 年 6 月 に 創 設 さ れ た 総 合 特 区 制 度 な
どを積極的に活用するべきと考える。
わが国のLCCのマーケットは、今後、欧米並みの3〜4割まで拡大する可
能 性 を 秘 め て い る 。L C C に よ る 新 た な 航 空 需 要 の 創 造 に 期 待 が 高 ま っ て お り 、
空港機能の強化対策のなかでLCC対応の重要性が増している。
また、総合特区制度(国際戦略総合特区・地域活性化総合特区)では、千葉
県 や 成 田 市 が「 成 田 空 港 の 周 辺 地 域 へ の 自 由 貿 易 地 域( 総 合 保 税 地 域 + 税 制 優
遇 )指 定 」や「 国 際 カ ン フ ァ レ ン ス セ ン タ ー の 設 置 」の 申 請 を 検 討 し て い る が 、
こ う し た 特 区 の 活 用 に よ る 人 流・物 流 の 地 域 内 へ の 囲 い 込 み も 今 後 は 重 要 な 地
域活性化のテーマとなる。
1
(2 ) 成 田 空 港 に と っ て の 脅 威
羽 田 空 港 で は 、 10 年 10 月 に 国 際 線 旅 客 タ ー ミ ナ ル ビ ル 及 び D 滑 走 路 が 供 用
開 始 と な り 、国 際 線 が 8 か 国 1 地 域 16 都 市 に 就 航 し て い る( 11 年 9 月 初 現 在 )。
さ ら に 、13 年 度 を 目 途 に タ ー ミ ナ ル ビ ル や エ プ ロ ン な ど を 再 拡 張 し 、国 際 線 を
現 在 の 6.0 万 回( う ち 深 夜 早 朝 3.0 万 回 )か ら 9.0 万 回( 同 )、国 内 線 は 同 31.1
万 回 ( 同 1.0 万 回 ) か ら 35.7 万 回 ( 同 ) に そ れ ぞ れ 容 量 を 拡 大 す る 計 画 を 進
めている。
この結果、首都圏空港(成田空港+羽田空港)の国際線における年間発着枠
は 、 羽 田 空 港 の 再 国 際 化 以 前 ( 20 万 回 ) か ら 比 べ る と 、 13〜 14 年 度 に は 36 万
回 と 1.8 倍 に 増 加 す る 見 通 し と な っ て い る 。
も っ と も 、02 年 4 月 に 成 田 空 港 の 暫 定 平 行 滑 走 路 が 供 用 開 始 と な っ た 際 、航
空 機 発 着 枠 が 約 1.5 倍 と な っ た に も か か わ ら ず 、そ の 後 の 航 空 旅 客 数 の 伸 び は
供 用 開 始 前 比 + 1 〜 3 割 程 度 に 留 ま っ て い た こ と か ら み て も 、航 空 需 要 が 発 着
枠 に 比 例 し て 伸 び る と は 限 ら ず 、航 空 旅 客 数 は 基 本 的 に は 需 要 動 向 に 依 存 す る 。
従 っ て 、首 都 圏 空 港 全 体 と し て は 、L C C な ど に よ る 新 た な 航 空 需 要 や 首 都 圏
の 魅 力 が 飛 躍 的 に 上 向 か な い 限 り 、供 給 過 剰 に な る と 考 え て い た ほ う が 賢 明 で
ある。
今回の調査では、成田空港と羽田空港へのアクセス時間を東京圏の市区町村
単 位 で 比 較 し 、東 京 圏 の 人 口( 10 年 )を 、① 成 田 空 港 へ の ア ク セ ス 時 間 が 短 い
( 10 分 超 ) グ ル ー プ 、 ② 羽 田 空 港 へ の ア ク セ ス 時 間 が 短 い ( 10 分 超 ) グ ル ー
プ 、③ 成 田 空 港 と 羽 田 空 港 へ の ア ク セ ス 時 間 に 大 差 が な い( 10 分 以 内 )グ ル ー
プ に 分 類 し た 。そ の 結 果 、羽 田 空 港 へ の ア ク セ ス 時 間 が 短 い グ ル ー プ の 人 口 は
2,147 万 人 ( 東 京 圏 に 占 め る 構 成 比 : 60.3% ) と 、 成 田 空 港 へ の ア ク セ ス 時 間
が 短 い グ ル ー プ ( 294 万 人 、 同 8.3% ) の 7 倍 以 上 で あ る こ と が 分 か っ た 。 羽
田 空 港 へ の ア ク セ ス 利 便 性 が 成 田 空 港 よ り 良 い 地 域 に 居 住 し て い る 人 は 、羽 田
空 港 の 再 国 際 化 や 容 量 拡 大 を 当 然 な が ら 歓 迎 す る だ ろ う し 、成 田 空 港 に こ れ を
上 回 る 魅 力 が な い 限 り 、こ れ ら の 地 域 の 住 民 の 国 際 航 空 需 要 の 一 部 は 成 田 空 港
から羽田空港にシフトすると考えられる。
11 年 3 月 に 起 こ っ た 東 日 本 大 震 災 ・ 放 射 能 汚 染 に よ る 風 評 被 害 に よ り 、3 〜
5 月 の 訪 日 外 国 人 が 前 年 比 ▲ 5 〜 7 割 減 少 し 、7 月 も ▲ 5 割 と 二 桁 の マ イ ナ ス
が 続 く な ど 、今 後 の 国 際 航 空 需 要 は 不 透 明 感 を 強 め て い る 。こ う し た な か 、羽
田 空 港 を 利 用 し た 国 際 航 空 旅 客 数 を み る と 、6 月 に は 56 万 人 と 震 災 前( 2 月 :
57 万 人 )の 水 準 に 戻 っ た こ と は 、羽 田 空 港 の 国 際 線 に 対 す る 需 要 の 高 さ を 物 語
っ て い る ( 成 田 空 港 の 6 月 の 国 際 航 空 旅 客 数 : 149 万 人 、 2 月 比 ▲ 2 割 )。
さらには、世界的レベルでオープンスカイ政策が急速に進展していることも
あ っ て 、地 方 空 港 か ら 海 外 空 港 へ の 直 行 便 が 増 加 し て お り 、と り わ け 、北 海 道
や 九 州 な ど 国 際 空 港 か ら 距 離 的 に 遠 い 地 域 で は 、地 方 空 港 の 国 際 定 期 便 を 利 用
し た 人 や モ ノ の 流 れ が 加 速 し て い る 。ま た 、ア ジ ア 主 要 空 港 と の ハ ブ 空 港 争 い
が 過 熱 す る な か で 、世 界 の 空 港 の 国 際 線 ラ ン キ ン グ に お け る 成 田 空 港 の 順 位 が
年 を お っ て 下 が っ て い る( 09 年 の 成 田 空 港 の 順 位 : 航 空 旅 客 数 8 位 、航 空 貨 物
取扱量4位)ことも懸念される。
2
(3 ) 成 田 空 港 の 強 み ・ 課 題
今回の調査で分かった「成田空港の強み」としては、①全世界に広がる豊富
な国際線ネットワークや、②空港周辺地域における産業集積(物流関連施設、
ホ テ ル )、 ③ 空 港 内 の 高 い 雇 用 吸 収 力 、 ④ 災 害 リ ス ク ( 地 震 ・ 津 波 ) が 少 な い
ことなどがあげられる。
一 方 、「 成 田 空 港 の 課 題 」は 、① 東 京 都 西 部 や 神 奈 川 県・羽 田 空 港 へ の ア ク セ
ス 利 便 性 が 悪 い こ と 、② 国 内 定 期 便 が 少 な い( 8 都 市 9 路 線 29 便 / 日 )こ と 、
③ 厳 し い セ キ ュ リ テ ィ チ ェ ッ ク で 空 港 内 の 商 業・サ ー ビ ス 施 設 が 販 売 機 会 を 喪
失 し て い る こ と 、④ 輸 出 額 の 国 内 シ ェ ア が 縮 小 し て い る こ と 、⑤ 周 辺 地 域 へ の
経 済 波 及 効 果 が 限 定 的 で あ る こ と 、⑥ 成 田 空 港 を バ ッ ク ア ッ プ す る 経 済 界 の 広
域的な支援組織がないこと、などが考えられる。
前 述 の 通 り 、成 田 空 港 及 び 空 港 周 辺 地 域 を 含 め た 千 葉 県 は 、発 着 枠 30 万 回 の
地 元 合 意 と い う ビ ッ グ チ ャ ン ス に 遭 遇 し て い る 一 方 で 、羽 田 空 港 の 再 国 際 化 の
ほ か 複 数 の 脅 威 が 顕 在 化 し て い る 。こ の よ う な 状 況 下 、成 田 空 港 を 取 り 巻 く 機
会( チ ャ ン ス )を 空 港 機 能 の 拡 大 や 利 用 促 進 及 び 空 港 を 活 用 し た 地 域 活 性 化 に
つ な げ て い く た め に は 、成 田 空 港 や 地 元 自 治 体 、県 内 経 済 界 な ど が 一 丸 と な っ
て 、成 田 空 港 の 強 み を 最 大 限 活 用 す る と と も に 、成 田 空 港 を 取 り 巻 く 脅 威 や 課
題 を で き る だ け 早 く 克 服 し 、成 田 空 港 及 び 周 辺 地 域 の 競 争 力 を こ れ ま で 以 上 に
高めていく取り組みが必要不可欠である。
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図表 1 成田空港を取り巻く環境変化と成田空港の強み・課題の整理と提言
成田空港を取り巻く環境変化
( 新たな時代の到来 )
成田空港の強み・課題
【機会(チャンス)】
【成田空港の強み】
成田空港の航空機発着枠30万回の地元合意
全世界に広がる豊富な国際線ネットワーク
アジアの人口増加と
訪日外国人3,000万人プログラムの推進
空港周辺地域における産業集積
(物流関連施設・ホテル)
LCCによる新たな航空需要の創出
空港内の高い雇用吸収力
総合特区制度の活用による地域活性化の可能性
災害リスク(地震・津波)が少ない
【脅
威】
【成田空港の課題】
羽田空港の再国際化
東京都西部や神奈川県・羽田空港への
アクセス利便性が悪い
地方空港から海外空港への直行便増加
国内定期便が少ない(8都市9路線29便/日)
アジア主要空港とのハブ空港争いの激化
厳しいセキュリティチェック
東日本大震災・放射能汚染による風評被害
輸出額の国内シェアが縮小
周辺地域への経済波及効果が限定的
成田空港をバックアップする
経済界の広域的な支援組織がない
( 新たな時代を迎えた成田空港をビジネスチャンスに活かすために)
成田空港と千葉県経済の飛躍的発展に向けた提言
1
ユーザーの目線にたった成田空港の機能強化
① 多様な航空需要への対応強化
② 国内線の拡充による内際乗り継ぎの利便性向上
③ 運用時間の延長
④ セキュリティチェックの段階的緩和
2
人流・物流の増加を地域活性化につなげる仕組みづくり
① 総合特区を活用した企業誘致の促進
② 複合施設(MICE等)の整備
③ 健康・美容ツーリズムの振興
④ 圏央道の早期開通
3
官民一体となった広域的な支援組織の確立
実
行
航空機発着回数30万回の達成による成田空港及び千葉県経済の飛躍的な発展
4
2.成田空港と千葉県経済の飛躍的発展に向けた提言
成 田 空 港 の 発 着 枠 が 30 万 回 に 拡 大 す る と い う こ れ ま で に な い ビ ッ グ チ ャ ン
スを千葉県経済や成田空港周辺地域が飛躍的な発展を遂げるための原動力に
変 え て い く た め に は 、ま ず は 、① ユ ー ザ ー の 目 線 に た っ た 成 田 空 港 の 機 能 強 化
が 必 要 で あ り 、次 に 、② 人 流・物 流 の 増 加 を 地 域 活 性 化 に つ な げ る 仕 組 み づ く
り が 求 め ら れ る 。そ し て 、こ れ ら を 確 実 に 推 進 し て い く た め に 、③ 官 民 一 体 と
なった広域的な支援組織の確立が必要不可欠と考える。
具体的な方策については以下に提言する。
(1 ) ユ ー ザ ー の 目 線 に た っ た 成 田 空 港 の 機 能 強 化
① 多様な航空需要への対応強化
2011 年 3 月 末 現 在 の 国 内 の 航 空 旅 客 数 に 占 め る L C C の シ ェ ア は 約 1 割 と
な っ て お り 、先 行 し て い る 世 界 各 地 域 の 同 シ ェ ア( ア メ リ カ : 約 30% 、ヨ ー ロ
ッ パ : 約 35% )と 比 較 す る と 低 位 に 留 ま っ て い る 。も っ と も 、世 界 的 な L C C
利 用 ニ ー ズ の 強 さ の ほ か 、日 本 の 航 空 会 社 の 最 大 手 で あ る J A L や A N A が 相
次 い で L C C へ の 参 入 を 表 明 し て い る こ と か ら み て 、将 来 的 に は 、日 本 の L C
C の マ ー ケ ッ ト も 欧 米 並 み の 30 〜 40 % の シ ェ ア に な る ま で 拡 大 し て い く 可 能
性がある。
日 本 は 、本 格 的 な 人 口 減 少 社 会 を 迎 え て い る が 、人 口 減 少 は 、将 来 の 航 空 需
要 に 対 し て 強 い 下 押 し 圧 力 と し て 働 く 可 能 性 が 高 い 。こ の よ う な 状 況 下 、L C
C の 価 格 優 位 性 は 、既 存 の フ ル サ ー ビ ス の 航 空 機 を は じ め 、新 幹 線 な ど の 公 共
交 通 か ら の 顧 客 シ フ ト や 新 た な 観 光 需 要 の 創 出 な ど が 期 待 で き る こ と か ら 、国
内の航空需要低減に歯止めをかけるためにもLCCのシェア拡大が欠かせな
いものになってくると考えられる。
11 年 秋 か ら は 、ス カ イ マ ー ク が 成 田 空 港 を 拠 点 に 新 千 歳 、旭 川 、福 岡 、沖 縄
路線の就航を開始するほか、エアアジア・ジャパン(ANAが出資)やジェッ
ト ス タ ー ・ ジ ャ パ ン ( J A L が 出 資 ) も 12 年 中 に 成 田 空 港 を 拠 点 と し た L C
C の 就 航 を 表 明 し て い る 。こ う し た 動 き を 追 い 風 と と ら え 、L C C の 導 入 が 成
田 空 港 に お い て さ ら に 加 速 す る よ う 、L C C 向 け の 専 用 タ ー ミ ナ ル の 設 置 や 着
陸料の低減などスピーディに取り組んでもらいたい。
ま た 、成 田 空 港 で は 、こ れ ま で 発 着 枠 の 余 裕 の な さ か ら 外 国 人 V I P 向 け の
ビ ジ ネ ス ジ ェ ッ ト へ の 対 応 注 1 に 遅 れ が み ら れ た が 、今 後 の 発 着 枠 増 加 を 活 用 す
る と と も に 、F B O 注 2 の 設 置 や 駐 機 期 間 の 制 限 撤 廃 な ど ビ ジ ネ ス ジ ェ ッ ト が 就
航しやすい環境整備を急ぐ必要がある。
② 国内線の拡充による内際乗り継ぎ利便性の向上
成 田 空 港 の 国 内 定 期 便 ( 2011 年 9 月 初 現 在 ) は 、 8 都 市 9 路 線 に 29 便 / 日
と な っ て お り 、関 西 国 際 空 港( 11 都 市 11 路 線 に 43 便 / 日 )や 中 部 国 際 空 港( 17
都 市 17 路 線 に 74 便 / 日 ) と 比 べ て も 低 水 準 と な っ て い る 。
一 方 、全 国 の 地 方 空 港 で は 、仁 川 国 際 空 港( ソ ウ ル )ま た は 浦 東 国 際 空 港( 上
海 )へ の 国 際 定 期 便 の 就 航 が 増 え て お り 、地 方 空 港 か ら 直 接 人 や 物 が 海 外 に 流
(注1) 成田空港は、ビジネスジェットを受け入れるため、11 年度中に専用ターミナルを設置し、駐
機場も 11 から 18 に増設する。
(注2) Fixed base operator の略。空港内または空港隣接地を拠点として、航空機及び運航
業者などに対して関連サービス(航空機の保守、格納庫の提供、チャーター便や空
のタクシー便の運航、地上における乗客や手荷物および貨物の運搬など)を提供す
る事業者のこと。
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れ る 動 き が 加 速 し て い る 。こ の な か に は 、成 田 空 港 へ の ア ク セ ス の 悪 さ な ど か
ら 、仁 川 国 際 空 港 な ど を 経 由 し て 欧 米 へ 渡 航 す る 航 空 旅 客 も 含 ま れ て お り 、成
田空港は国内定期便が乏しいが故にこれらの航空旅客の海外渡航需要を取り
込 む 機 会 を 喪 失 し て い る 。こ れ ら の 需 要 を 成 田 空 港 が 再 び 取 り 込 み 、将 来 に 渡
って安定的な航空需要を確保していくためには、
こ れ か ら 30 万 回 に 増 加 す る 発
着 枠 を 活 用 し て 、国 際 線 ネ ッ ト ワ ー ク の さ ら な る 強 化 と 国 内 定 期 便 の 充 実 を 並
行 し て 進 め て い く 必 要 が あ る も の と 考 え る 。そ の 際 、地 方 空 港 と 国 際 定 期 便 を
結 ぶ ア ジ ア の 航 空 会 社 の 割 安 な 航 空 料 金 に 対 抗 す る た め 、L C C を う ま く 活 用
するなどコスト面への配慮も怠れない。
③ 運用時間の延長
成 田 空 港 の 運 用 時 間 は 、 近 隣 住 民 の 騒 音 対 策 と し て 6: 00〜 23: 00 ま で と な
っ て い る 。 ま た 、 23: 00〜 6 :00 ま で は 運 用 時 間 外 ( カ ー ヒ ュ ー タ イ ム ) と し
て お り 、震 災 な ど の 緊 急 時 を 除 き 一 切 航 空 機 の 発 着 が で き な い こ と と さ れ て い
る 。深 夜 早 朝 時 間 帯 に も 貨 物 な ど の 需 要 は あ る も の の 、成 田 空 港 で は 対 応 で き
ず 航 空 需 要 を 取 り 込 む 機 会 を 喪 失 し て い る 状 況 に あ る 。ま た 、今 後 も 非 効 率 な
運 用 時 間 が 続 け ば 、神 戸 港 が 阪 神・淡 路 大 震 災 を き っ か け に ト ラ ン シ ッ プ 貨 物
需 要 を 釜 山 港( 韓 国 )に 奪 わ れ た よ う に 、成 田 空 港 の ト ラ ン ジ ッ ト 貨 物 需 要 が
アジアの主要空港にシフトする可能性もある。
こ の 点 に 関 し て は 、 2009 年 12 月 に 成 田 空 港 周 辺 9 市 町 の 首 長 か ら 構 成 さ れ
る 成 田 空 港 圏 自 治 体 連 絡 協 議 会 か ら N A A に 対 し 、「 深 夜 ・ 早 朝 時 間 帯 の 規 制
の 見 直 し 」の 要 望 が 提 案 さ れ た 。ま た 、11 年 8 月 に は 千 葉 県 経 営 者 協 会 か ら も
「 運 用 時 間 延 長 」の 要 望 が 千 葉 県 に 提 出 さ れ る な ど 、運 用 時 間 帯 の 制 限 緩 和 に
関 す る 各 界 か ら の 期 待 は 大 き い も の が あ る 。空 港 周 辺 地 域 へ の 影 響 な ど を 十 分
に 検 討 し 、地 元 住 民 や 関 係 自 治 体 と の 合 意 の も と で 必 要 な 措 置 を 講 じ 、で き る
だけ早く運用時間の延長を実現することが望まれる。
具体的な緩和策としては、成田空港を頻繁に利用している国際ビジネスマン
に よ る と 、「 海 外 出 張 の 出 発 の 時 間 帯 で 最 も 好 ま し い の は 当 日 の 仕 事 を 終 え た
あ と の 23: 00〜 24: 00」 と の 声 も 聞 か れ る こ と か ら 、 例 え ば 、 24: 00 ま で の
運 用 な ど 深 夜 便 の 緩 和 を 優 先 す れ ば 、こ う し た ニ ー ズ に 応 え ら れ る こ と に な る 。
④ セキュリティチェックの段階的緩和
成田空港のセキュリティチェックは、日本国内の空港では唯一の検問が実施
さ れ る な ど 、厳 し い 警 備 体 制 が 敷 か れ て い る 。セ キ ュ リ テ ィ チ ェ ッ ク を 行 う 検
問 所 は 、成 田 空 港 駅 や 空 港 第 2 ビ ル 駅 、東 成 田 駅 の 出 口 改 札 と 、空 港 施 設 に 入
る 全 て の 道 路 上 に 設 置 さ れ て お り 、成 田 空 港 の 利 用 客 の な か に は 、検 問 の た び
に ネ ガ テ ィ ブ な 気 持 ち に な る の で 、セ キ ュ リ テ ィ チ ェ ッ ク の 是 非 を 検 討 し て 欲
しいといった声も少なくない。
羽田空港の国際線ターミナルには、江戸の町並みを再現した商業スペースな
ど が 家 族 連 れ や 高 齢 者 に 好 評 で 、夏 休 み 期 間 中 な ど 季 節 に よ っ て は 航 空 利 用 客
を 上 回 る 観 光 客 が 来 場 し て い る 。一 方 、成 田 空 港 は 、都 心 か ら 遠 い こ と に 加 え
て 、 厳 し い セ キ ュ リ テ ィ チ ェ ッ ク が あ る こ と が 、「 成 田 空 港 に 行 っ て み よ う 」
と い う 消 費 者 行 動 を 阻 害 し て い る 側 面 が あ る 。こ の た め 、成 田 空 港 の 制 限 エ リ
ア 外 の 商 業 ・サ ー ビ ス 施 設 の 魅 力 を 向 上 さ せ る 取 り 組 み と と も に 、段 階 的 な セ
キュリティチェックの緩和も検討していく必要性があると考えられる。
これからは、テロなどの脅威に十分配慮しつつ、例えば、①大きな武器など
を 持 ち 込 む こ と が 困 難 な 電 車 に よ る 来 場 者 へ の チ ェ ッ ク を 緩 和 す る こ と や 、②
警 察 官 に よ る 警 備 か ら「 警 備 員 」に 人 員 配 置 を 変 換 す る こ と 、③ モ ニ タ ー な ど
6
の 機 械 に よ る チ ェ ッ ク に 切 り 替 え る こ と 、な ど 利 用 者 の 精 神 的 な 負 担 を 軽 減 で
きるような措置を期待したい。
こうした対応により、成田空港が今まで以上に開かれた空港になり、商業・
サ ー ビ ス 部 門 の 競 争 力 が 高 ま る こ と は 、空 港 利 用 料 や 航 空 機 着 陸 料 な ど を 低 減
す る た め の 原 資 を 生 み 出 し 、L C C な ど の 誘 致 に つ な げ ら れ る な ど 好 循 環 が 生
まれる可能性が高い。
(2 ) 人 流 ・ 物 流 の 増 加 を 地 域 活 性 化 に つ な げ る 仕 組 み づ く り
① 総合特区を活用した企業誘致の促進
成 田 空 港 周 辺 に は 、 南 部 工 業 団 地 ( 芝 山 町 ) な ど に 42 社 45 か 所 の フ ォ ワ ー
ダ ー が 立 地 す る 国 内 最 大 級 の 物 流 拠 点 の ほ か 、県 内 最 大 の ホ テ ル 群 の 集 積 が あ
る 。ま た 、成 田 空 港 内 の 従 業 員 数 は 、成 田 市 内 の 全 従 業 者 数 の 約 6 割 に 相 当 し 、
その雇用吸収力は成田市以外の周辺地域にも広く及んでいる。
こうした空港・物流・ホテル産業の大きな集積に対して、成田市周辺地域に
お け る 空 港 の 活 用 を 意 図 し た 製 造 業 の 集 積 は 、関 西 国 際 空 港 な ど の 周 辺 地 域 と
比 べ て も 低 位 で あ り 、 最 近 の 工 場 立 地 動 向 ( 10 年 ) を み て も 、 千 葉 県 は 21 件
と 茨 城 県( 39 件 )の 半 分 程 度 に 留 ま っ て い る 。ま た 、わ が 国 の 国 際 航 空 貨 物 の
輸 出 額 の 約 6 割 を 占 め る 機 械 製 造 業 の 集 積 が 首 都 圏( 特 に 千 葉 県 )に お い て 少
な い こ と も あ っ て 、成 田 空 港 の 輸 出 額 シ ェ ア は 近 年 漸 減 傾 向 と な っ て い る 。成
田 空 港 の 利 用 促 進 を 図 る う え で は 、空 港 を 利 用 す る 機 会 の 多 い 機 械 製 造 業 な ど
の企業誘致は欠かせない取り組みといえる。
総 合 特 区 に は 、「 国 際 戦 略 総 合 特 区 」と「 地 域 活 性 化 総 合 特 区 」が あ る が 、何
れ も 成 田 空 港 を 抱 え る 千 葉 県 に と っ て は 、飛 躍 的 な 地 域 活 性 化 を 目 指 す う え で
ま た と な い 好 機 と い え る 。こ の 機 会 に 、千 葉 県 や 成 田 市 が 昨 年 提 案 し た「 成 田
空 港 の 周 辺 地 域 へ の 自 由 貿 易 地 域( 総 合 保 税 地 域 + 税 制 優 遇 )指 定 」に よ る 機
械 製 造 業 な ど の 誘 致 や「 国 際 ビ ジ ネ ス カ ン フ ァ レ ン ス セ ン タ ー の 設 置 」、「 医 療
系大学・病院(既存病院含む)への支援」などを強く推し進めるべきである。
成 田 市 で は 、医 療 系 の 大 学 の 誘 致 を 推 進 し て い る が 、こ れ を 実 現 す る こ と が で
き れ ば 、国 際 会 議 な ど の M I C E 需 要 を 取 り 込 む こ と や メ デ ィ カ ル ツ ー リ ズ ム
の推進など新たな需要創造につなげることも大いに期待できる。
② 複合施設(MICE等)の整備
最近の国際会議の開催件数をみると、国際空港が立地している千葉県と大阪
府、愛知県のなかでは、千葉県が最も少ない。とりわけ、成田市における開催
件 数 は 、毎 年 1 〜 5 件 程 度 と な っ て お り 、空 港 や 県 内 最 大 の ホ テ ル イ ン フ ラ を
活用した国際会議の誘致実績は低水準に留まっている。
現 在 、 千 葉 県 で は 、 成 田 周 辺 地 域 へ の 複 合 施 設 ( M I C E 注 3 + カ ジ ノ )の 立
地 可 能 性等 に つ いて 調 査 して い る が、立 地が実 現 す れば 、当然、M ICE 需 要
に よ る イ ン バ ウ ン ド の 地 域 内 へ の 入 込 み 増 加 が 期 待 で き る ほ か 、カ ジ ノ は 、先
行 す る マ カ オ や シ ン ガ ポ ー ル 、韓 国 等 の ア ジ ア 近 隣 国 の 発 展 ぶ り を み て も 、観
光振興の起爆剤となる可能性がある。
MICE需要への対応は、既に東京都がかなり先行しているうえ、東京都大
田区では羽田空港の再国際化を睨んで複合施設の建設計画を進めているなど
ラ イ バ ル 的 な 動 き も み ら れ る こ と か ら 、本 県 に お い て も 真 剣 か つ ス ピ ー デ ィ な
対応が求められる。
(注3)MICEとは、Meeting(会議・研修・セミナー)
、Incentive tour(報奨・招待旅行), Convention
(大会・学会・国際会議)、Exhibition(展示会)の頭文字をとった造語。ビジネストラベル
の一形態を指す。
7
③ 健康・美容ツーリズムの振興
成田空港を利用した外国人の大半は、千葉県を素通りして東京都を訪れてお
り 、空 港 周 辺 地 域 を 含 め た 千 葉 県 へ の 観 光 入 込 み は 低 水 準 と な っ て い る 。例 え
ば、浅草の浅草寺を訪れる外国人は成田山新勝寺を訪れる外国人の約6倍
の 水 準 とな っ て いる 。今後、こ うした 状 況 から 脱 却 し、外 国人観 光 客 を県 内 に
取 り 込 む た め に は 、外 国 人 観 光 客 に 対 す る 県 内 の 中 核 的 な 観 光 イ ン フ ラ の 認 知
度を高められるよう情報発信力の強化が必要である。
もっとも、これまでの観光振興の取り組みを見る限り、本県の観光資源の海
外への情報発信による観光入込み増加には限度がある。これからは、例えば、
千 葉 県 が 12 年 秋 に 開 催 を 予 定 し て い る 「 ち ば ア ク ア ラ イ ン マ ラ ソ ン 」 の よ う
な 千 葉 県 独 自( 千 葉 県 に し か な い )の 新 た な 観 光 資 源・メ ニ ュ ー の 創 出 が 必 要
である。
現在、木更津市では、羽田空港の再国際化に伴うインバウンドの増加を活用
した地域活性化策として「へルスケアツアー」を推進している。千葉県には、
国 内 有 数 の 規 模 を 誇 る 亀 田 病 院( 鴨 川 市 )な ど の 医 療 施 設 や 、木 更 津 市 の 温 浴
施 設 や 勝 浦 市 の タ ラ ソ テ ラ ピ ー 施 設 な ど ス パ 関 連 施 設 や 温 泉 、ゴ ル フ 場 な ど の
スポーツ施設など「健康」に関連する施設が多い。また、千葉県は、新鮮な海
の 幸・山 の 幸 に も 恵 ま れ て お り 、体 を 内 側 か ら き れ い に す る ヘ ル シ ー メ ニ ュ ー
の提供も可能である。さらに、日本のエステティックサロンの業界団体では、
サ ロ ン の 認 証 制 度 を 立 ち 上 げ て い る ほ か 、エ ス テ ィ テ ィ シ ャ ン の 資 格 制 度 も 確
立 し て お り 、施 術 面 に 優 れ て い る 。こ れ ら の 健 康 に 関 す る イ ン フ ラ や 食 材 、エ
ス テ テ ィ ッ ク の 技 術 な ど を 活 用 し て 、千 葉 県 に 行 け ば 、健 康 で 美 し く な れ る と
いった「健康・美容ツーリズム」を推進してはどうだろうか。三方を海に囲ま
れ 、美 し い 里 山 の 風 景 が あ り 、温 暖 な 気 候 や 新 鮮 な 食 材 に 恵 ま れ た 千 葉 県 に は 、
そ の ポ テ ン シ ャ ル に あ ふ れ て い る 。ま た 、ア ジ ア 諸 国 に お け る 日 本 の ブ ラ ン ド
力 の 強 さを 考 え れば 、アジア の 女 性を 中 心 とし た「健康 で 美 しく な り たい 」と
いうニーズを県内に取り込める可能性は十分あると考える。
④ 圏央道の早期開通
圏 央 道 の 整 備 状 況 を み る と 、千 葉 県 内 で は 、2012 年 度 に 木 更 津 東 I C 〜 東 金
I C・J C T 間 が 開 通 予 定 と な っ て い る が 、大 栄 J C T 〜 松 尾 横 芝 I C 間( 18.5
km)は道路設計実施中であり、いまだ開通目標年度が定められていない。
一 方 、成 田 空 港 か ら 茨 城 県 ・ 埼 玉 県 方 面 を み る と 大 栄 J C T 〜 稲 敷 I C が 12
年 度 、つ く ば 中 央 I C 〜 久 喜 白 岡 I C 及 び 白 岡 菖 蒲 I C 〜 桶 川 北 本 I C が そ れ
ぞ れ 14 年 度 以 降 に 開 通 予 定 で 全 通 が 目 前 に 迫 っ て い る 。
こうした交通アクセスの飛躍的な向上により、埼玉県久喜市と成田空港間の
車 両 に よ る 移 動 時 間 は 70 分 ( 従 来 比 ▲ 50 分 、 東 京 税 関 調 べ ) に 短 縮 さ れ る こ
と か ら 、東 京 税 関 で は 、埼 玉 県 に お け る「 イ ン ラ ン ド デ ポ 注 4 」の 新 た な 立 地 に
よる物流効率化の可能性を検討し始めている。千葉県の圏央道周辺の内陸部
( 木 更 津 や 茂 原 な ど )に お い て は 、圏 央 道 が 全 通 と な れ ば 、ア ク ア ラ イ ン の 活
用 に よ り 、成 田 空 港・羽 田 空 港 の 両 港 に 対 し て ア ク セ ス 利 便 性 が 格 段 に 向 上 し 、
イ ン ラ ン ド デ ポ も 含 め て 企 業 立 地 の 可 能 性 が 十 分 あ る に も か か わ ら ず 、大 栄 J
CT〜松尾横芝IC間の開通が大幅に遅れていることが大きなボトルネック
と な っ て い る 。千 葉 県 及 び 道 路 関 係 者 に は 、圏 央 道 の 早 期 開 通 が 企 業 誘 致 の 最
優先課題であることを再認識のうえ建設促進に向けた一層の取り組みを期待
したい。
(注4) 空港や港湾などから離れた内陸部に設けた土地や建物に対し、税関長が保税蔵置場として許
可した場所。保税上屋(内陸通関拠点)のこと。
8
(3 ) 官 民 一 体 と な っ た 広 域 的 な 支 援 組 織 の 確 立
今後は、オープンスカイ(航空自由化)政策の進展のもと、国際空港や空港
会 社 の さ ら な る 競 争 激 化 が 見 込 ま れ て い る 。こ う し た な か 、空 港 機 能 の 拡 大 や
利用促進及び空港を活用した地域活性化に向けて、前述の(1)と(2)で提
言した活性化策を確実に推進していくためには、空港や地元自治体をはじめ、
県 内 経 済 界 が 一 体 と な っ て 取 組 む こ と が 必 要 で あ り 、と り わ け 、官 民 一 丸 と な
った広域的な支援組織の確立が急がれる。
政 府 は 、11 年 6 月 に 総 合 特 区 制 度 を 立 ち 上 げ た が 、特 区 と し て 地 域 が 指 定 さ
れ る た め に は 、地 元 経 済 界 な ど に よ る「 地 域 協 議 会 」の 設 立 が 必 要 条 件 と な っ
ている。このため、まずは、この総合特区の指定を目指して、早期に協議会を
立 ち 上 げ る と と も に 、同 協 議 会 の 活 動 を ベ ー ス に 、官 民 一 体 と な っ た バックアッ
プに よ り 、 今 後 の 飛 躍 的 な 取 り 組 み に つ な げ て い く 必 要 が あ る と 考 え る か ら で
ある。
なぜなら、成田空港には、関西国際空港の「関西国際空港全体構想促進協議
会 」や中部 国 際 空港 の「中部 国 際 空港 利 用 促進 協 議 会」の ような 空 港 の利 用 促
進 に 向 け た 国 内 外 へ の プ ロ モ ー シ ョ ン や 各 種 キ ャ ン ペ ー ン 、広 報 活 動 、国 際 交
流 イ ベ ン ト の 支 援 な ど を 行 う 広 域 的 な 経 済 界 の 支 援 組 織 が な い 。こ の 背 景 に は 、
開 港 ま で の 歴 史 的 経 緯 や 騒 音 区 域 の 居 住 者 に 対 す る 配 慮 な ど か ら 、県 内 の 経 済
界 が 前 面 に た っ て 同 港 の 支 援 を 行 う こ と が 憚 ら れ て き た 側 面 も 否 め な い 。こ れ
ら を 推 進 す る た め に は 、地 元 住 民 や 県・市 町 村 と 経 済 界 と の 話 し 合 い の 場 を 通 じ
て 相 互 の 共 通 理 解 を 深 め る こ と が 前 提 で あ る が 、千 葉 県 経 済 の 飛 躍 的 発 展 の た
めに早期の支援組織の確立を急ぐべきである。
9
II. 近 年 の 成 田 空 港 を 取 り 巻 く 環 境 変 化
1.成田空港を活かしたビジネスチャンス
(1 ) 成 田 空 港 の 航 空 機 発 着 枠 30 万 回 の 地 元 合 意
① 航 空 機 発 着 枠 30 万 回 合 意 に 至 る 経 緯
2010 年 10 月 13 日 に 開 か れ た 空 港 周 辺 9 市 町 、千 葉 県 、成 田 国 際 空 港 ㈱ 、国
土 交 通 省 の 4 者 で 構 成 さ れ る「 成 田 空 港 に 関 す る 四 者 協 議 会 」に お い て 、成 田
空 港 の 航 空 機 年 間 発 着 枠 30 万 回 へ の 容 量 拡 大 が 合 意 に 至 っ た 。
こ の 合 意 に 至 る ま で の 経 緯 を 概 観 す る と 、「 成 田 国 際 空 港 都 市 づ く り 推 進 会
議 ( 08 年 1 月 設 置 )」 か ら 成 田 国 際 空 港 ㈱ ( N A A ) に 対 し て 、 成 田 空 港 の ポ
テ ン シ ャ ル に 関 す る 説 明 の 要 請 が あ っ た こ と を 受 け て 、N A A が 、08 年 3 月 に
現 在 の 運 用 時 間( 6 〜 23 時 )の ま ま で も 環 境 ・ 施 設 ・ 運 用 面 の 制 約 が 解 消 さ れ
れ ば 最 大 30 万 回 ま で の 拡 大 は 可 能 と 同 推 進 会 議 で 説 明 し た こ と が 端 緒 と な っ
て い る ( 図 表 2 )。
09 年 1 月 に は 、四 者 協 議 会 に お い て「 成 田 空 港 の 容 量 拡 大 に 当 た っ て の 確 認
書 」が 締 結 さ れ る と と も に 、30 万 回 時 の 予 測 騒 音 コ ン タ ー や 環 境 対 策 等 の 基 本
的 な 考 え 方 を 地 域 へ 丁 寧 に 説 明 す る こ と を 条 件 に 30 万 回 の 容 量 拡 大 が 了 承 さ
れた。その後、NAAによる空港周辺市町の議会、住民団体、地域住民に対す
る 100 回 以 上 の 説 明 や 成 田 市 ・ 芝 山 町 の 首 長 か ら の 騒 音 直 下 対 策 に 関 す る 提 案
をNAAが受け入れたことなどから相互の信頼関係が深まり容量拡大の合意
に至ったものである。
こ の 間 、 09 年 10 月 の 前 原 元 国 土 交 通 相 の 羽 田 空 港 を 「 ハ ブ 空 港 」 と す る 旨
の 発 言 を 受 け て 、成 田 空 港 の 周 辺 市 町 村 を は じ め 千 葉 県 が 成 田 空 港 の 存 在 感 低
下に危機感を強めたことも合意に至る大きな背景としてあるものとみられる。
図表 2 成田空港の航空機発着枠 30 万回の地元合意に至るまでの経緯
①第1回成田国際空港都市づくり推進会議/2008年1月30日
・第2回推進会議でNAAに対し容量拡大について説明を要請(2月25日)
②発着回数30万回ポテンシャルを説明/2008年3月25日
・第3回推進会議でNAAから「成田空港の容量拡大と方向性について」を30万回と説明
③地域と容量拡大の検討について合意/2009年1月23日
・四者協議会(国・県・市町・NAA)で「成田空港の更なる容量拡大の検討に当たっての確認書」を締結
④空港施設面からの課題等について説明/2009年7月29日
(1)空港容量拡大に向けた検討状況について
(2)空港施設面からの課題について
(3)環境対策・地域共生策の方向性について
⑤地域への説明/2009年12月25日
(1)飛行コースについて(航空局)
(2)30万回時における予測騒音コンターについて(NAA)
(3)環境対策・地域共生策の基本的な考え方について(NAA)
(4)空港容量拡大に向けた施設整備について(NAA)
⑥地域からの提案(成田・芝山の首長、議長、地元選出県議)/2010年7月13日
(1)騒音法第1種区域および谷間区域の住宅防音工事内容の拡充
(2)住宅防音工事助成家屋および空調施設に係る維持管理費の補助制度の充実
(3)騒音地域の固定資産に係る補助制度の充実
(4)上記施策実現のための財源確保
⑦容量拡大(30万回)について合意/2010年10月13日
・四者協議会で「容量拡大(30万回)に係る確認書」を締結
(出所)成田国際空港㈱「NARITA AIRPORT 2010」
10
② 首都圏空港の発着枠拡大への取組状況
成 田 空 港 は 、航 空 機 年 間 発 着 枠 30 万 回 の 地 元 合 意 、羽 田 空 港 は 、国 際 線 タ ー
ミ ナ ル 及 び D 滑 走 路 の 供 用 開 始 ( 10 年 10 月 ) に よ り 、 そ れ ぞ れ 発 着 枠 の 更 な
る拡大に向けて着々と準備を進めている。
首 都 圏 空 港 の 年 間 発 着 枠( 2011 年 8 月 末 現 在 )は 、国 際 線 は 成 田 空 港 が 20.0
万 回 、 羽 田 空 港 が 6.0 万 回 ( う ち 昼 間 時 間 帯 3.0 万 回 、 深 夜 早 朝 時 間 帯 3.0 万
回 ) の 計 26.0 万 回 と な っ て い る ( 図 表 3 )。 一 方 、 国 内 線 は 、 成 田 空 港 が 2.0
万 回 、 羽 田 空 港 が 31.1 万 回 ( う ち 昼 間 時 間 帯 30.1 万 回 、 深 夜 早 朝 時 間 帯 1.0
万 回 ) の 計 33.1 万 回 と な っ て い る 。
最 終 的 に は 、国 際 線 は 、成 田 空 港 が 27.0 万 回 、羽 田 空 港 が 9.0 万 回( う ち 昼
間 時 間 帯 6.0 万 回 、 深 夜 早 朝 時 間 帯 3.0 万 回 ) の 計 36.0 万 回 と な る 見 通 し 。
ま た 、 国 内 線 も 成 田 空 港 が 3.0 万 回 、 羽 田 空 港 が 35.7 万 回 ( う ち 昼 間 時 間 帯
34.7 万 回 、 深 夜 早 朝 時 間 帯 1.0 万 回 ) の 計 38.7 万 回 に 拡 張 さ れ る 計 画 と な っ
て い る 。 最 終 形 の 供 用 開 始 は 、 成 田 空 港 が 14 年 度 中 、 羽 田 空 港 が 13 年 度 中 を
予定している。
上記の発着枠最終形を実現するためには、両港とも空港機能の拡充が必要不
可 欠 で あ り 、設 備 投 資 を 順 次 進 め て い る 。成 田 空 港 は 、空 港 機 能 の 拡 充 に 向 け
た投資として「B滑走路西側誘導路整備」など、利便性向上及び空港の安全・
安 定 運 用 の 投 資 と し て 「 A 380 ア ッ パ ー デ ッ キ 対 応 搭 乗 橋 整 備 」 な ど を 進 め て
い る 。ま た 、羽 田 空 港 で は「 タ ー ミ ナ ル ビ ル 本 館 部 分 一 部 改 修 及 び 増 築 」や「 サ
テ ラ イ ト 部 増 築 」、「 ホ テ ル の 新 設 」 な ど を 進 め る 、 と し て い る ( 図 表 4 、 5 、
6 )。
40
(万回)
図 表 3 首 都 圏 空 港 の年 間 発 着 枠
36.0
35
3.0
30
6.0
26.0
25
20
20.0
33.1
32.3
1.0
1.0
3.0
3.0
15
10
38.7
34.7
30.3
30.1
2.0
2.0
27.0
20.0
20.0
5
0
3.0
平成22年3月 平成22年10月 最終形(注2)
平成22年3月 平成22年10月 最終形(注2)
国際線
国内線
成田空港
羽田空港 昼間
羽田空港 深夜早朝
(注)1.出所:各種資料よりちばぎん総合研究所が作成。
2.最終形は、羽田は2013年度中、成田は2014年度中。
11
図表 4 年間発着枠拡大に向けた取り組み(成田国際空港㈱、東京国際空港ターミナル㈱)
設備投資主体
成田国際空港㈱
東京国際空港ターミナル㈱
【空港機能の拡充に向けた投資】
○B滑走路西側誘導路整備
○ターミナルビル本館部分一部改修及び増築
(チェックインロビー、CIQ検査場、保安検査場、
手荷物受取場、内際乗り継ぎ施設等の拡充)
○横堀地区エプロン。誘導路整備
設備投資内容 【利便性向上及び空港の安全・安定運用の投資】
○A380アッパーデッキ対応搭乗橋整備
○整備地区エプロン改修
○サテライト部(8固定スポット分)増築、立体駐
車場増築
○ホテルの新設
○パイプライン緊急遮断弁更新等
供用開始の時期
2014年度末(見込み)
2013年度末(見込み)
(出所)成田国際空港㈱及び東京国際空港ターミナル㈱
図表 5 成田国際空港㈱の 2010〜2012 年度の設備投資計画
(出所)成田国際空港㈱「Narita エボリューションプラン」
図表 6 羽田空港のターミナル拡張イメージ
(出所)国土交通省
12
(2 ) ア ジ ア の 人 口 増 加 と 訪 日 外 国 人 3,000 万 人 プ ロ グ ラ ム の 推 進
① アジアにおける経済成長と人口見通し
成 田 空 港 の 週 間 出 発 国 際 便 数 の 構 成 比( 2011 年 )は 、ア ジ ア が 59.0%( う ち
中 国 が 31.9% )と 半 数 以 上 を 占 め て い る 。従 っ て 、今 後 と も ア ジ ア 圏 の 人 口 増
加や経済成長が成田空港の航空需要に与える影響は大きいとみるべきだろう。
世 界 の 人 口 の 今 後 の 推 移 を み る と 、 10 年 の 69 億 900 万 人 か ら 50 年 に は 91
億 5,000 万 人( 10 年 比 + 22 億 4,100 万 人 )に 増 加 す る 見 通 し と な っ て い る( 総
務 省 推 計 、 図 表 7 )。 そ の う ち ア ジ ア に お け る 人 口 増 加 は 同 + 10 億 6,400 万 人
と 世 界 の 人 口 増 加 の 約 半 分 を 占 め て お り 、 今 後 、 ア ジ ア で 増 加 す る 人 口 は 、 10
年 時 点 の 南 北 ア メ リ カ の 人 口 ( 9 億 4,000 万 人 ) を 上 回 る 規 模 と な っ て い る 。
ま た 、ア ジ ア 途 上 国( 中 国 、ベ ト ナ ム 、マ レ ー シ ア 、イ ン ド 、イ ン ド ネ シ ア )
に お け る 経 済 成 長 予 測( I M F 調 べ )を み る と 、16 年 に か け て 8 % 台 半 ば の 高
い 成 長 率 が 見 込 ま れ て い る ( 図 表 8 )。
こうしたアジアの人口増加や経済成長は、今後の成田空港の航空旅客数にプ
ラスの影響を与える可能性が高い。
図 表 7 世 界 人 口 の推 移
10,000
9,000
(百万人)
推計値
アジア
アジア
ヨーロッパ
ヨーロッパ
北アメリカ
北アメリカ
アフリカ
アフリカ
南アメリカ
南アメリカ
オセアニア
オセアニア
8,000
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
10億人増加
※2010年南北アメリカ
人口:約10億人
2010年
42億人
2,000
2050年
52億人
1,000
0
50 55
(年)
60 65
70
75 80
85
90
95
00
05 10
15
20 25
30
35 40
45
(注)総務省「世界の統計2010」
図 表 8 世 界 の経 済 成 長 予 測
(単位:%)
1993-2002年
(平均)
2005年
2010年
世
界
3.3
4.6
日
本
0.8
1.9
アジア途上国
7.1
9.5
中
国
9.8
11.3
ベ ト ナ ム
7.5
8.4
マレーシア
5.8
5.3
イ ン ド
5.8
9.2
インドネシア
3.4
5.7
香
港
3.0
7.1
台
湾
5.0
4.7
韓
国
6.1
4.0
タ
イ
3.6
4.6
(出所)IMF「World Economic Outlook(April
13
5.0
3.9
9.5
10.3
6.8
7.2
10.4
6.1
6.8
10.8
6.1
7.8
2011)」
2011年
4.4
1.4
8.4
9.6
6.3
5.5
8.2
6.2
5.4
5.4
4.5
4.0
2012年
4.5
2.1
8.4
9.5
6.8
5.2
7.8
6.5
4.2
5.2
4.2
4.5
2016年
4.7
1.2
8.6
9.5
7.5
5.0
8.1
7.0
4.3
4.9
4.0
5.0
50
② 成田空港の航空旅客数は世界の航空需要を上回る見通し
今 回 調 査 で は 、 世 界 の 人 口 推 計 を ベ ー ス に し て 、 成 田 空 港 の 2030 年 度 ま で
の 航 空 旅客 数 の 推計 を 行 った 。日本の 人 口 は、国 立社会 保 障・人 口 問 題研 究 所
の 推 計 に よ る と 、 30 年 度 ま で に 10 年 度 比 約 1 割 減 少 し て い く こ と が 見 込 ま れ
て い る が 、今 回 は 、こ の 減 少 率 に 加 え て 、今 後 L C C の 普 及 に 伴 い 新 た な 航 空
需 要( 新 幹 線 な ど 他 の 交 通 機 関 か ら の シ フ ト や 新 た な 旅 行 需 要 の 増 加 な ど )が
年 率 0.5% 程 度 生 じ る も の と 仮 定 し て 算 出 し た 。
そ の 結 果 、 成 田 空 港 の 航 空 旅 客 数 は 、 10 年 度 実 績 の 3,252 万 人 か ら 30 年 度
に は 3,480 万 人( 10 年 比 + 7 % 、同 + 228 万 人 )に 増 加 す る 見 通 し と な っ た( 図
表 9 )。 こ の 増 加 率 ( 同 + 7 % ) は 、 A C I な ど の 航 空 関 連 団 体 の 全 世 界 の 航
空 需 要 予 測 ( 約 20 年 間 で 4.1〜 5.1% 増 加 、 図 表 10) よ り や や 高 く な っ て い る
が 、こ れ は 、成 田 空 港 の 就 航 先 は 経 済 成 長 と 人 口 増 加 が 著 し い 国 々 を 結 ぶ ア ジ
ア路線が多いことなどを映じたものである。
も っ と も 、 成 田 空 港 の 航 空 機 発 着 枠 が 14 年 度 に 予 定 通 り 約 1.4 倍 ( 従 来 :
22 万 回 → 30 万 回 ) に 増 加 し た と し て も 、 航 空 需 要 が こ れ に 比 例 し て 伸 び る と
は 限 ら な い 。過 去 の 例 を み て も 、02 年 4 月 に 暫 定 平 行 滑 走 路 が 供 用 開 始 と な り 、
航 空 機 発 着 枠 が 約 1.5 倍 と な っ た 際 に も 、そ の 後 の 航 空 旅 客 数 の 伸 び は 従 前 比
1 〜 3 割 程 度 に 留 ま っ て い た ( 図 表 11)。
現 在 、観 光 庁 で は 訪 日 外 国 人 旅 行 者 数 を 将 来 的 に 3,000 万 人 に す る こ と を 目
標 と し た 「 訪 日 外 国 人 3,000 万 人 プ ロ グ ラ ム 」 を 推 進 し て お り 、 そ の 第 一 期 目
標 と し て 13 年 度 ま で に 1,500 万 人 達 成 の 目 標 を 掲 げ て い る 。
こ の 第 一 期 目 標 の 1,500 万 人 の 外 国 人 が 来 日 し た と 仮 定 し た 際 の 成 田 空 港 の
航 空 旅 客 数 を 推 計 す る と 、 3,954 万 人 ( 10 年 度 比 + 21.6% 、 同 + 702 万 人 ) と
な っ た ( 図 表 12)。
今 回 の 推 計 で は 、ア ジ ア 等 の 経 済 成 長 に 伴 う 航 空 需 要 の 伸 び と い う プ ラ ス 要
因 は 考 慮 し て い な い も の の 、国 内 に お け る 人 口 減 少 や 製 造 業 の 海 外 移 転 に 伴 う
航 空 貨 物 需 要( 実 需 )の 落 ち 込 み 、放 射 能 汚 染 に 伴 う 外 国 人 の 風 評 被 害 な ど の
マ イ ナ ス 要 因 が 想 像 以 上 に 強 い 下 押 し 圧 力 と し て 働 く 可 能 性 も あ り 、今 後 の 航
空需要の行方はこれらの様々な要因が交錯して、不透明な状況となっている。
こ の た め 、 航 空 機 発 着 枠 30 万 回 を フ ル 活 用 し た 航 空 需 要 を 継 続 的 に 確 保 し
て い く た め に は 、「 訪 日 外 国 人 3,000 万 人 プ ロ グ ラ ム 」 の 官 民 一 丸 と な っ た 推
進 を は じ め 、産 業 空 洞 化 に 歯 止 め を か け る 企 業 誘 致 、一 刻 も 早 い 放 射 能 汚 染 問
題の収束などの取組みが必要不可欠といえる。
図表 9 成田空港の航空旅客数の推計
00年度
10年度
10年度比
20年度
増加率
航空旅客数
国
際
(単位:千人、%)
30年度
増加数
10年度比
増減率
増減数
30,258
32,521
34,072
4.8
1,552
34,803
7.0
2,282
線
29,459
30,829
32,358
5.0
1,529
33,113
7.4
2,284
日
本
人
18,391
16,699
16,921
1.3
223
16,680
▲ 0.1
▲ 19
外
国
人
5,982
8,420
9,199
9.2
779
9,792
16.3
1,372
通過 者 (注 3 )
5,086
5,710
6,238
9.2
528
6,641
16.3
931
国内線(注3)
799
1,691
1,714
1.3
23
1,690
▲ 0.1
▲2
(注)1.出所:成田国際空港㈱及び総務省、国立社会保障・人口問題研究所のデータをもとにちばぎん総合研究所が推計。
2.日本人の人口推計は出生中位推計。
3.通過者は外国人、国内線は日本人として算出。
4.LCCによる需要増加は国立社会保障・人口社会問題研究所の人口推計及び(財)日本航空機開発協会の航空旅客予測
(2011-2030年にかけて+2.7%増加)を参考に年率+0.5%増加とした。
5.アジア等の経済成長に伴う航空需要の伸びは考慮していない。
14
図 表 10 世 界 の航 空 需 要 予 測
期間
ACI
ICAO
20092029年
20052025年
全世界
旅客伸び率
RPK(%) うち
アジア・太平洋
貨物伸び率
全世界
RTK(%)
(注)1.出所:成田国際空港㈱
2.対象は米国航空会社。
3.中東含む。
FAA
(注2)
20102031年
ボーイング エアバス
20102030年
20092029年
4.1
4.6
4.8
5.1
4.8
6.3
5.8
(注3)
5.1
6.7
5.8
4.8
-
5.4
5.6
5.9
図表 11 成田空港の暫定平行滑走路供用開始前後の航空機発着回数・航空旅客数(01 年度=100)
160
(01年度=100)
146
150
137
140
133
145
126
130
129
150
121
109
02
03
148
145
148
129
128
120
110
148
119
120
08
09
118
100
100
90
01
(年度)
04
05
航空機発着回数
06
07
10
航空旅客数
(出所)成田国際空港㈱のデータを元にちばぎん総合研究所が作成。
図表 12 成田空港の航空旅客数の推計(訪日外国人 3,000 万人プログラム第一期目標達成時)
(単位:千人、%)
00年度
航空旅客数
国
際
訪日外国人
1,500万人
達成時(注2)
10年度
10年度比
増加率
増加数
30,258
32,521
39,543
21.6
7,022
線
29,459
30,829
37,829
5.0
7,000
日
本
人
18,391
16,699
16,921
1.3
223
外
国
人
5,982
8,420
14,669
74.2
6,249
通過者( 注 3 )
5,086
5,710
6,238
9.2
528
国内線(注3)
799
1,691
1,714
1.3
23
(注)1.出所:成田国際空港㈱及び総務省、観光庁、国立社会保障・人口問題研究所のデータをもとにちばぎん総合研究所が推計。
2.観光庁は「訪日外国人3,000万人プログラム」を推進しており、第一期の目標として2013年度までに1,500万人を目指している。
3.日本人及び通過者、国内線は2020年度の推計値。
4.その他の条件は図表9と同じ。
15
(3 ) L C C に よ る 新 た な 航 空 需 要 の 創 出
① LCCの運航状況
2011 年 7 月 末 現 在 の わ が 国 の ロ ー コ ス ト キ ャ リ ア ( L C C 注 5 ) の 運 航 状 況
をみると、国内線は、国内資本4社(スカイマーク、ソラシド エア〔旧スカ
イ ネ ッ ト ア ジ ア 航 空 〕、ス タ ー フ ラ イ ヤ ー 、A I R D O )が 就 航 し て い る( 図
表 13)。路 線 別 に は 、ス タ ー フ ラ イ ヤ ー に よ る 羽 田 ⇔ 北 九 州 路 線( 12 往 復 / 日 )
や A I R D O に よ る 羽 田 ⇔ 札 幌 路 線 ( 11 往 復 / 日 )、 ス カ イ マ ー ク に よ る 羽
田 ⇔ 福 岡 路 線 ( 10 往 復 / 日 ) な ど 43 路 線 147 往 復 / 日 ( う ち 羽 田 空 港 が 拠 点
と な っ て い る の は 22 路 線 106 往 復 / 日 ) が 運 航 し て い る 。
一方、国際線は、チェジュ航空(韓国)やジェットスター航空(オーストラ
リ ア ) な ど 外 国 の エ ア ラ イ ン が 19 路 線 20 往 復 / 日 ( う ち 成 田 空 港 が 拠 点 と な
っているのは、4路線4往復/日)の運航を行っている。
② LCCの国内シェア
L C C に よ る 航 空 旅 客 数 の 国 内 シ ェ ア ( 2010 年 度 ) は 13.2% と な っ て お り 、
世 界 各 地 域 の L C C の シ ェ ア ( ア メ リ カ : 約 30% 、 ヨ ー ロ ッ パ : 約 35% ) と
比 較 す る と 低 位 に 留 ま っ て い る ( 図 表 14)。
日 本 に お け る L C C の 普 及 が 遅 れ て い る 背 景 と し て は 、①セカンダリー空 港( 都
市 圏 の 基 幹 空 港 (プライマリー空 港 )を 補 完 す る 空 港 )が 少 な い こ と 、②欧 米 ・ ア
ジ ア 各 国 と 比 較 し て 空 港 関 連 の 公 租 公 課 注 6 が 高 い こ と 、な ど が あ げ ら れ る 。
(注5)日本語では「格安航空会社」と訳される。略称は「LCC」。LCCの明確な定義はないが、
一般的には、経営や航空機運用の効率化によって低い運航コストを実現し、低価格かつサービス
が簡素化された航空輸送サービスを提供する航空会社のことを指す。主に中距離路線を中心にし
た効率運航をしているが、最近では長距離路線を目指す動きも出ている。アメリカのサウスウエ
スト航空、アイルランドのライアンエア、マレーシアのエアアジアなどが有名である。
日本のLCCについて、本稿では、複数のホームページ等でLCCとして紹介されている「ス
カイマーク」、「ソラシド エア〔旧スカイネットアジア航空〕」、「スターフライヤー」、「AIR
DO」の4社もLCCとして定義した。
LCCと既存航空の主な違いは以下の通り。
LCC(格安航空会社)
運賃
・低運賃
・基本的に払い戻し不可
フルサービスエアライン
・普通料金は割高
・基本的に払い戻し可能
マイレージサービス ・基本的になし
・あり
・主に近距離の二都市間を直行便で運航
・空港滞在時間を短縮し、機材回転率を向上
・短距離〜中長距離まで多種多様
・インターネットによる販売がほとんど
・インターネットによる販売と代理店販売を併用
・基本的にエコノミーのみ
(1クラスで自由席制も多い)
・エコノミー、ビジネスクラス制またはファーストク
ラスも含めた3クラス制
・小型の単一機材を使用
・大型機〜小型機まで多種多様
利用空港
・主要空港の周辺に位置する空港や低利用空
港を指向
・主要空港を指向
職員
・業務の外部委託や契約社員を積極的に活用
-
運航形態
航空券販売
サービス
航空機の種類
(出所)国土交通省
(注6)航空会社が負担する公租公課には、着陸料、停留料、保安料、航行援助施設利用料、航空機
燃料税がある。航空会社から徴収したこれらの公租公課は 2010 年度航空局予算では 2,891 億
円に上り、集められた公租公課は空港整備特別会計でプールされ、国内の空港や航空管制を
整備・維持するために使用されている。
16
図 表 13 LC C就 航 路 線 一 覧 (2011 年 7月 ダイヤ)
≪国内線≫
国名
≪国際線≫
航空会社名
路線
就航便数
(往復/日)
国名
路線
航空会社名
羽田 ⇔ 札幌
9
羽田 ⇔ 神戸
5
チェジュ航空
羽田 ⇔ 福岡
10
羽田 ⇔ 那覇
5
羽田 ⇔ 鹿児島
4
韓国
羽田 ⇔ 熊本
3
エアプサン
羽田 ⇔ 北九州
1
羽田 ⇔ 長崎
3
羽田 ⇔ 旭川
2
ジンエアー
茨城 ⇔ 神戸
1
イースター航空
スカイマーク
茨城 ⇔ 札幌
2
シンガポール ジェットスター・アジア航空
中部 ⇔ 那覇
3
マレーシア
エアアジアX
中部 ⇔ 札幌
2
神戸 ⇔ 那覇
2
フィリピン セブ・パシフィック航空
神戸 ⇔ 札幌
2
オーストラリア ジェットスター航空
神戸 ⇔ 長崎
4
神戸 ⇔ 熊本
2
神戸 ⇔ 鹿児島
2
中国
春秋航空
旭川 ⇔ 札幌
2
福岡 ⇔ 那覇
3
鹿児島 ⇔ 奄美
1
日本
羽田 ⇔ 宮崎
7
羽田 ⇔ 熊本
4
羽田 ⇔ 長崎
4
羽田 ⇔ 鹿児島
4
スカイネット・アジア航空 羽田 ⇔ 大分
3
宮崎 ⇔ 那覇
1
熊本 ⇔ 那覇
1
長崎 ⇔ 那覇
1
鹿児島 ⇔ 那覇
2
羽田 ⇔ 北九州
12
スターフライヤー
羽田 ⇔ 福岡
5
羽田 ⇔ 関西
4
羽田 ⇔ 札幌
11
羽田 ⇔ 旭川
3
羽田 ⇔ 女満別
2
3
羽田 ⇔ とかち帯広
羽田 ⇔ 函館
2
AIR DO
札幌 ⇔ 仙台
4
札幌 ⇔ 福島
2
札幌 ⇔ 新潟
2
札幌 ⇔ 富山
1
札幌 ⇔ 小松
1
(注)1.出所)各社ホームページからちばぎん総合研究所が作成。
関西
関西
関西
名古屋
北九州
成田
関西
福岡
新千歳
成田
新千歳
関西
羽田
関西
成田
成田
関西
茨城
高松
⇔ 仁川
⇔ 金浦
⇔ 済州
⇔ 金浦
⇔ 仁川
⇔ 釜山
⇔ 釜山
⇔ 釜山
⇔ 仁川
⇔ 仁川
⇔ 仁川
⇔ シンガポール
⇔ クアラルンプール
⇔ マニラ
⇔ ゴールドコースト
⇔ ケアンズ
⇔ ゴールドコースト
⇔ 上海
⇔ 上海
就航便数
(往復/日)
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
1
1
1
1
1
2.グレーの網掛け成田空港が拠点の路線、薄い網掛けは羽田空港が拠点の路線。
世界のLCC各社は、セカンダリー空港の着陸料等の割安さを利用して、事
業 の 拡 大 を 図 っ て き た 。 例 え ば 、 成 田 空 港 の 着 陸 料 ( B 767 ク ラ ス : 定 員 300
人 ) は 1 機 当 た り 24〜 25 万 円 程 度 で あ る が 、 ヒ ー ス ロ ー 空 港 ( ロ ン ド ン ) は
同 5 万 円 程 度 、同 空 港 周 辺 の セ カ ン ダ リ ー 空 港 に 至 っ て は 同 5 千 円 程 度 と 破 格
の 安 さ と な っ て い る ( 航 空 会 社 関 係 者 )。 ま た 、 日 本 の 一 般 国 内 航 空 機 の 燃 料
税 は 18 円 / ℓ( 11 年 4 月 1 日 に 26 円 / ℓ か ら 引 き 下 げ ら れ た )で あ る が 、シ ン
ガ ポ ー ル は 約 3 円 / ℓ、ア メ リ カ で は 1 〜 2 円 / ℓ と 日 本 と の 格 差 は 大 き い 。こ
うした日本の公租公課の高さが日本国内におけるLCCの参入の大きな障壁
となっている。
日 本 の 空 港 関 連 の 公 租 公 課 の 水 準 が 世 界 と 比 べ て 高 い の は 、空 港 整 備 特 別 会
計 の な か で こ れ ら の 資 金 が プ ー ル さ れ 、地 方 空 港 を 整 備 し 続 け て き た こ と が あ
る が 、今 後 は 、 新 た に 整 備 さ れ る 空 港 は な い と み ら れ る こ と か ら 、日 本 の 空 港
関 連 の 公 租 公 課 は 中 長 期 的 に は 低 減 し て い く と み ら れ て い る(航 空 会 社 関 係 者 )
。
17
L C C 業 界 で は 、日 本 の L C C の マ ー ケ ッ ト は 欧 米 並 み の 30〜 40% の シ ェ ア
に な る ま で は 、拡 大 し て い く と み る 向 き が 多 い 。ま た 、国 内 路 線 及 び 利 益 率 の
高 い 欧 米 路 線 を 中 心 に 路 線 を 拡 大 す る な ど 、近 距 離 ア ジ ア 路 線 を 中 心 に 参 入 し
て い る 外 資 キ ャ リ ア と は 領 域 を 棲 み 分 け て い く ( L C C 関 係 者 )、 向 き も み ら
れる。
図 表 14 国 内 定 期 航 空 会 社 別 運 送 旅 客 数
(単位:人、%)
前年度比
前年度比
増減率(%) 増減数(人)
2008年度
2009年度
2010年度
83,208,969
75,799,126
72,514,519
7,452,745
8,066,213
9,599,802
19.0
1,533,589
13.2
スカイマーク
3,071,758
3,198,804
4,358,911
36.3
1,160,107
6.0
北海道国際航空
1,984,891
2,302,773
2,511,236
9.1
208,463
3.5
スカイネットアジア
1,326,556
1,485,331
1,635,249
10.1
149,918
2.3
スターフライヤー
1,069,540
1,079,305
1,094,406
1.4
15,101
1.5
日本航空
34,226,902
30,646,439
26,148,381
▲ 14.7 ▲ 4,498,058
36.1
全日本空輸
41,510,507
37,954,970
38,246,715
0.8
291,745
52.7
日本トランスオーシャン航空
2,631,169
2,384,930
2,238,712
▲ 6.1
▲ 146,218
3.1
日本エアコミューター
1,701,658
1,600,669
1,734,286
8.3
133,617
2.4
ジャルエクスプレス
1,635,128
1,658,124
1,180,652
▲ 28.8
▲ 477,472
1.6
合
計
LCC計
新中央航空
▲ 4.3 ▲ 3,284,607
構成比
100.0
57,879
58,508
63,555
8.6
5,047
0.1
オリエンタルエアブリッジ
171,013
169,955
170,644
0.4
689
0.2
北海道エアシステム
167,574
153,745
181,266
17.9
27,521
0.2
琉球エアコミューター
265,505
261,757
276,814
5.8
15,057
0.4
ジェイ・エア
497,540
472,226
1,500,018
217.6
1,027,792
2.1
68,983
69,935
59,739
▲ 14.6
▲ 10,196
0.1
254,179
282,822
405,904
43.5
123,082
0.6
16,860
17,621
17,242
▲ 2.2
▲ 379
0.0
0
67,425
290,591
331.0
223,166
0.4
2,705
0
0
-
-
0.0
0
0
-
-
0.0
天草エアライン
アイベックスエアラインズ
東邦航空
フジドリームエアラインズ
旭伸航空
エアトランセ
1,367
(出所)国土交通省「航空輸送統計調査年報」
18
【参考①】スカイマークの動向(成田シャトル構想)
2011 年 3 月 期 決 算 に お け る 売 上 高 は 580 億 円 ( 前 期 比 + 40.0% )、 経 常 利 益
は 110 億 円 ( 同 + 3.7 倍 )、 売 上 高 経 常 利 益 率 は 18.9% と 業 況 は 大 幅 好 転 し て
い る 。ま た 、12 年 3 月 期 決 算 で は 、売 上 高 800 億 円 、経 常 利 益 140 億 円 と 更 な
る 成 長 を 見 込 ん で い る ( 図 表 15)。
現 在 の 国 内 線 の 就 航 路 線 ( 11 年 5 月 1 日 現 在 ) は 、 羽 田 ⇔ 福 岡 ( 10 往 復 /
日 ) や 羽 田 ⇔ 札 幌 ( 9 往 復 / 日 ) を は じ め 20 路 線 62 往 復 / 日 と な っ て お り 、
運 航 実 績 は 、09 年 度 の 22,654 便 か ら 10 年 度 に は 32,107 便( 前 年 度 比 + 41.7% )
に大幅増加した。
11 年 秋 か ら は 、成 田 空 港 を 拠 点 に 新 千 歳 、旭 川 、福 岡 、沖 縄 の 路 線 の 就 航 を
開 始 す る( 図 表 16)。11 年 10 月 30 日 〜 11 月 30 日 ま で の「 成 田 ‑旭 川 線 」、「 成
田 ‑札 幌( 新 千 歳 )線 」の 搭 乗 分 に お い て 、W E B サ イ ト 限 定 販 売 の 航 空 運 賃 を
980 円 に 設 定 し た ほ か 、期 間 中 の 日 曜 日 を ハ ッ ピ ー サ ン デ ー キ ャ ン ペ ー ン と し
て 、大 人 普 通 運 賃 を 10,000 円 と す る な ど 格 安 メ ニ ュ ー の 提 供 を 予 定 し て い る 。
こ れ ら の 成 田 空 港 か ら 発 着 す る 新 路 線 は 「 成 田 シ ャ ト ル 」 と 位 置 づ け 、 12
年度以降も、成田空港を拠点に国内線の拡大に注力していく、としている。
ま た 、 14 年 秋 に は 「 エ ア バ ス 380( 2 機 )」 を 新 た に 導 入 し 、 成 田 空 港 を 拠
点 に ロ ン ド ン 、 パ リ 、 ド イ ツ 便 の 就 航 を 開 始 す る 予 定 ( エ ア バ ス 380 は 18 年
に は 8 機 体 制 と な る 見 込 み )。 こ れ ら の 航 空 機 の 導 入 に 伴 い 国 際 線 を 需 要 の 多
い北米便などにも広げていく方針。
図 表 15 スカイマ ーク㈱の決 算 推 移
実績
2008年
3月期
売
上
高
50,373
2009年
3月期
(単位:百万円、%)
見込み
2010年 2011年 2012年
3月期 3月期
3月期
42,316
41,458
58,023
80,000
営 業 利 益
3,224 ▲ 2,543
3,143
11,195
14,100
経 常 利 益
2,749 ▲ 2,389
2,956
10,968
14,000
当期純利益
2,627 ▲ 2,040
2,627
6,325
7,700
7.1
18.9
17.5
売 上 高
5.5
▲ 5.6
経常利益率
(出所)スカイマーク㈱ホームページ
図 表 16 成 田 シ ャトル構 想 の概 要
旭川線
運航開始日
運航便数
︵
運
賃
種
別
︶
円
札幌(新千歳)線
那覇線
福岡線
2011年10月30日 2011年10月30日 2011年12月8日
2往復/日
1往復/日
2往復/日
2012年2月1日
2往復/日
大人普通運賃
13,800
12,800
16,800
13,800
前割3
9,800
9,800
12,800
9,800
前割7
7,800
7,800
10,800
7,800
前割10
5,800
5,800
9,800
5,800
前割21
3,800
3,800
5,800
3,800
980
980
980
980
スカイバーゲン
(注)1.出所:スカイマーク㈱プレスリリース
2.スカイバーゲンは28,800席を提供する予定。
19
(4 ) 総 合 特 区 制 度 の 活 用 に よ る 地 域 活 性 化 の 可 能 性
国 は 、 2011 年 6 月 22 日 に 総 合 特 区 制 度 注 7 を 制 定 し 、 同 8 月 15 日 か ら 指 定
申 請 の 受 付 を 開 始 し た ( 第 1 回 締 切 は 9 月 30 日 、 制 度 の 概 要 は 図 表 17)。
総合特区の指定に向けたプロセスは、民間企業、民間団体、NPO等からの
「 規 制 緩 和 を し て ほ し い 」な ど の 要 望 が 出 発 点 と な り 、地 域 に お け る「 地 域 協
議 会 」を 設 立・協 議 の う え 、自 治 体 が 窓 口 と な っ て 国 に 申 請 を 行 う( 図 表 18)。
従 っ て 、仁 川 国 際 空 港 周 辺 の 経 済 特 区 の よ う に 予 め 税 制 優 遇 や 規 制 緩 和 を 実 施
する特定のエリアを設定して、企業立地を促進しようというものではない。
国は、
「 総 合 特 区 制 度 」の 制 度 設 計 を 行 う た め 、規 制 の 特 例 措 置 や 税 制・財 政 ・
金 融 上 の 支 援 措 置 等 に つ い て 、 10 年 7 〜 9 月 に か け て 新 た な 提 案 ( ア イ デ ア )
の 募 集 を 実 施 し た 。 そ の 結 果 、 延 べ 278 団 体 よ り 計 450 件 ( 地 方 公 共 団 体 152
団 体 / 327 件 、 企 業 ・ 団 体 等 126 団 体 / 145 件 、 連 名 の 提 案 が あ る た め 合 計 は
一致しない)の提案があった。
成田空港に関する提案では、千葉県が「成田グローバルビジネス・ワンスト
ッ プ エ ア ポ ー ト 戦 略 特 区 」、 成 田 市 が 「 日 本 の フ ァ ー ス ト シ ー ン
ラストシ
ーン を演じるまち〜和のもてなし「成田」から〜」というプロジェクト名で
提 案 し て い る ( 図 表 19)。
千 葉 県 と 成 田 市 の 提 案 内 容 を み る と 、千 葉 県 か ら は 、「 出 国 審 査 の 特 例 」な ど
空 港 機 能 の 拡 充 に 関 す る 措 置 に 加 え 、「 総 合 保 税 地 域 の 設 定 拡 大 」 や 「 国 際 ビ
ジ ネ ス カ ン フ ァ レ ン ス セ ン タ ー の 設 置 」、「 カ ジ ノ 法 制 の 早 期 実 現 」な ど こ れ ま
で に な い 特 例 ・ 支 援 措 置 が 提 案 さ れ て い る 。 ま た 、 成 田 市 の 提 案 で も 、「 成 田
空港の周辺地域への自由貿易地域(総合保税地域+税制優遇)指定」や「外国
人 医 師 ・ 看 護 士 に よ る 医 療 行 為 等 の 規 制 緩 和 」、「 医 療 滞 在 ビ ザ の 適 用 」 な ど 、
成田空港及び空港周辺地域の活性化に有益とみられるメニューが並んでいる。
10 年 度 の 提 案 は ア イ デ ア の 段 階 で あ り 、千 葉 県 及 び 成 田 市 は 、今 後 、提 案 の
内 容 を 具 体 的 に 詰 め て い き た い 、と し て い る 。そ の 際 、ボ ト ル ネ ッ ク と な る 可
能 性 が あ る の は「 地 域 協 議 会 に よ る 合 意 を 得 る 」と い う 申 請 の 前 提 条 件 で あ る 。
前 述 の 通 り 、当 制 度 の ス キ ー ム は 、民 間 の 発 意 が 出 発 点 で あ り 、地 域 協 議 会 の
設 置・協 議 が 事 実 上 必 要 条 件 と さ れ て い る 。成 田 空 港 に は 、成 田 空 港 の 利 用 促
進や地域活性化といった観点による民間ベースの協議会がこれまでなかった
こ と か ら、組 織づく り か ら始 め な けれ ば な らず 、既に、協 議会を 立 ち 上げ て い
る関西国際空港や中部国際空港と比べ、出遅れ感は否めない。
(注7)総合特区制度のメリットは、従来の構造改革特区が規制の特例措置のみであったのに対し、総
合特区では財政支援や減税など幅広い支援措置があること。また、許認可等の制約のみではなく、
国の関係機関の業務の改善、国の制度、事務手続きの見直し、新たな施策体系の提案等、幅広く
特例措置を提案できること。総合特区には以下の2パターンが示されている。
対象
地域
目的
国際戦略総合特区
国際レベルでの競争優位性を持ちうる
大都市等の限定された地域
※予算措置上は、2011 年度は5か所程
度を積算
わが国全体の成長を牽引
20
地域活性化総合特区
限定なし
※予算措置上は、2011 年度は 20〜
30 か所程度を積算
地域の特色ある産業の育成や地域
的・社会的課題の解決
図 表 17 「総 合 特 区 制 度 」の概 要
総
合特
総
特区
区制制度度
総合特区制度とは・・・
総合特区制度とは・・・
新成長戦略を実現するための政策課題解決の突破口
新成長戦略を実現するための政策課題解決の突破口
先駆的取組を行う実現可能性の高い区域に国と地域の政策資源を集中
○地域の包括的・戦略的なチャレンジを、オーダーメードで総合的(規制・制度の特例、税
制・財政・金融措置)に支援
○総合特区ごとに配置される「国と地方の協議会」で国と地域の協同プロジェクトとして推進
2つのパターンの「総合特区」
2つのパターンの「総合特区」
①国際戦略総合特区
①国際戦略総合特区
①国際戦略総合特区
わが国の経済成長のエンジンとなる産業・
機能の集積拠点
わが国の経済成長のエンジンとなる産業・
(環境・次世代エネルギー/バイオ・ライフ
機能の集積拠点
サイエンス/農業/アジア拠点/研究開発/
(環境・次世代エネルギー/バイオ・ライフサイエンス
国際物流/国際港湾/コンベンション
/農業/アジア拠点/研究開発/国際物流/国際港湾/
コンベンション)
②地域活性化総合特区
②地域活性化総合特区
②地域活性化総合特区
地域資源を最大限活用した地域活性化の
取組による地域力の向上
地域資源を最大限活用した地域活性化の
(防災・減災、環境・次世代エネルギー/観
取組による地域力の向上
光・文化/教育・子育て/農業・六次産業/
(防災・減災、環境・次世代エネルギー/観光・文化/
金融・ソーシャルビジネス/バイオマス/医
教育・子育て/農業・六次産業/金融・ソーシャルビジ
療・介護/物流・交通
ネス/バイオマス/医療・介護/物流・交通)
特例措置・支援措置
(1)規制・制度の特例措置
○全国的な展開に踏み切れない規制の特例も、自己責任の下、区域限定で実施
○個別の法令等の特例措置に加え、地方公共団体の事務に関し、政省令で定めている
事項を条例で定められるようにする
(2)税制上の支援措置
①国際戦略総合特区/国際競争力強化のための法人税の軽減
②地域活性化総合特区/地域戦略を担う事業者に対する個人出資に係る所得控除
(3)財政上の支援措置
関係府庁の予算を重点的に活用。
総合特区推進調整費により機動的に補完(H23年度予算:151億円)
(4)金融上の支援措置
利子補給制度(0.7%以内、5年間)の創設(H23年度予算:1.5億円)
(出所)首相官邸ホームページの資料をもとにちばぎん総合研究所が作成。
図 表 18 総 合 特 区 指 定 に向 けたプロセス
地域における「地域協議会」の設置
民間企業
民間団体
NPO
規制・制度改革、支援制度の提案
都道府県・
市町村
総合特区の指定申請書
総合特区受付窓口(地域活性化統合事務局)
総合特区の指定
(総合特区推進本部の意見に基づき内閣総理大臣が指定)
(出所)首相官邸ホームページ
21
図 表 19 総 合 特 区 に係 る空 港 周 辺 地 域 の提 案 の概 要
提案主体名
(特区の種類)
千葉県(国際戦略総合特区)
成田市(地域活性化総合特区)
提
案
プロジェクト名
成田グローバルビジネス・
ワンストップエアポート戦略特区
日本の ファーストシーン ラストシーン を
演じるまち〜和のもてなし「成田」から〜
地元理解を前提に、発着容量30万回化・更なるアクセス改善
による"World Sky Gate̲Narita″空港の基本機能の強化に加
目 指 す 地 域 え、国際ビジネスセンター・カンファレンス機能やエアラインの
の 戦 略 ・ 方 向 運航を支援するトレーニングセンター、機内食、航空機整備等
性
の航空関連企業の誘致など、ハブ空港として不可欠な空港支
援機能を整備する。
(1) "World Sky Gate̲Narita″の機能向上(2010年〜)
(2) 国際ビジネスセンター・カンファレンス機能の整備(〃)
取 組 ・ 事 業
(3) 航空関連産業の誘致(〃)
空港と地域は、「人」「産業」「自然」の3つの要素で結びつき、
支えあう関係を築くことを目標に、日本の空の玄関「成田」の
役割を果たすとともに、国際観光都市として、国際性と歴史性
が調和したまちづくりを推進する。
(1) 賑わい拠点づくりに向けた取組(2011年〜)
(2) 国道295号周辺における各種取組(〃)
(3) 圏央道IC周辺における各種取組(〃)
(4) 空港観光圏づくりに向けた取組(〃)
(1) 成田空港の発着枠30万回化(2008年〜)
(1) 空港周辺地域活性化推進事業(2013年〜)
(2) 成田空港緊急プロジェクト会議の設置・運営(2009〜2010 (2) 企業誘致事業(継続)
(3) 成田国際物流複合基地(1991〜2011年)
(3) 観光循環バス運行事業(〃)
(4) 千葉県物流戦略の推進(2007〜2011年)
(4) 花の回廊事業(〃)
地域が独自で (5) 格安航空会社(LCC)やビジネスジェットの受入れ環境の (5) 観光活性化事業(〃)
行う(行っ てき
整備(2010〜2012年)
(6) 観光PR事業(〃)
た)取組・事業
(6) 成田スカイアクセスの整備(2004〜2010年)
(7) 成田ブランド構築事業(2010年〜)
(7) 空港関連道路の整備
(8) ラストイン成田推進事業(〃)
(8) 東京湾アクアラインの料金引き下げの社会実験
(9) 工業導入促進調査
(1) 都市再生緊急整備地域の指定及び民間都市再生事業の
(1) 出国審査の特例
認定要件緩和
(2) 寄港地上陸許可手続きの簡素化
(2) 成田空港周辺地域への自由貿易地域(総合保税地域+
(3) 出入国審査時の優先レーン導入
税制優遇)指定
(4) 乗継外国人旅客の出入国審査における専用手続きレー
ンの設置
(3) 到着旅客に対する免税品の販売許可
(5) 外国貨物の蔵入承認を受けずに蔵置できる期間の延長 (4) 農振農用地区域除外用件及び、農地転用許可基準の緩
和、手続き簡素化
(6) 輸出貨物の車上通関時における「車上扱い願書」提出の
不要化・包括化
(5) 空港外免税品の許可要件緩和、手続き簡素化
(7) 成田空港周辺地域保税倉庫における輸入植物・輸入肉 (6) 地域内宿泊施設に対する旅行業法の特例の適用
規 制 の
の検疫可能化
(7) トランジット旅客、国際コンベンション関係者等の出入国
特例措置
手続きの簡素化
(8) ULDに係る手続きの緩和
(9) 航空貨物に対する自動通関システムの導入
(8) 通訳案内制度の適用
(10) 国際ビジネスカンファレンス機能の充実
(9) 外国人医師・看護士による医療行為等の規制緩和
(11) 「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」の (10) 「医療滞在ビザ」の適用
弾力的な運用による物流施設の誘致促進
(11) 「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」の
弾力的な運用による物流施設の誘致促進
(12) 高度かつ専門的な海外の人材の確保のための規制緩和
(13) みなし再入国許可制度の前倒し実施
(12) 物流版ハイウェイオアシスの実現
(14) 高度外国人人材の配偶者への就労許可
(15) 外国法事務弁護士事務所の複数箇所設置
取
(1) 空港関連企業等の法人税の引下げ
(1) 民間都市再生事業の運用充実(減免措置の拡充)
組
(2) ビジネスセンター、カンファレンスセンター等の運営・使用 (2) 立地企業(既存企業含む)に対する優遇税制
に
に係る税の減免
必
要 税 制 上 の (3) 無期限の欠損金繰越期間の導入
(3) 外国人観光客に対応するスタッフ雇用、設備投資を行っ
な 支援措置
た企業への優遇税制
支
(4) 総合保税地域の設定拡大
(4) 医療系大学・病院(既存病院含む)に対する優遇措置
援
(5) 共同荷捌き施設の運営する物流事業者等への優遇税制
措
(1) CIQの施設面・人員面の改善
(1) 賑わいの拠点づくりへの支援(基盤整備)
置
(2) 国際ビジネス・カンファレンスセンターの設置
(2) 観光ターミナル、コンベンション施設等への支援
(3) 空港関連等の貸工場等に対する補助制度の拡充
(3) 外国人観光客の回遊を促進する循環バス運行や観光ナ
ビ端末提供等への支援
(4) 医療系大学・病院(既存病院含む)への支援
財政上の
支援措置
(5) 海外プロモーションや医療言語人材の育成などの受入れ
推進体制への支援
(6) 圏央道ICへの専用ランプの設置にあたっての支援
(7) 外国人観光客への観光案内に対する支援
(8) 観光圏整備に関する補助の拡大
(1) 民間都市再生事業の運用充実(出資・貸付等支援の拡
(2) 立地企業(既存企業含む)に対する金融支援
(3) 外国人観光客に対応するスタッフ雇用、設備投資を行っ
た企業への金融支援
金融上の
支援措置
(4) 医療系大学・病院(既存病院含む)への金融支援
(5) 地域内宿泊施設に対する宿泊施設の整備に係る貸付制
度の適用
(6) 共同荷捌き施設の運営する物流事業者等への金融支援
そ の 他 の (1) 税関管轄区域の見直し
支
援 (2) カジノ法制の早期実現
(出所)首相官邸ホームページの資料をもとにちばぎん総合研究所が作成。
22
2.成田空港にとっての脅威
(1 ) 羽 田 空 港 の 再 国 際 化
① 羽田空港の運用実績
羽 田 空 港 の 運 用 実 績 を 時 系 列 で み る と 、国 内 線 の 航 空 旅 客 数 は 、1993 年 度 の
416 万 人 か ら 右 肩 上 が り の 増 加 を 続 け 、 02 年 度 に は 618 万 人 ( 93 年 度 比 +
48.5% ) と な っ た ( 図 表 20)。 そ の 後 、 02〜 03 年 度 に 流 行 し た S A R S ( 重 症
急 性 呼 吸 器 症 候 群 ) や 03 年 3 月 の イ ラ ク 戦 争 な ど の 影 響 も あ っ て 620 万 人 を
挟 ん だ 水 準 で 推 移 し た あ と 、 06 年 度 か ら 07 年 度 に か け て は 、 戦 後 最 長 と な っ
た 景 気 回 復 を 映 じ て 650 万 人 台 前 半 ま で 水 準 を 切 り 上 げ た 。そ の 後 、08 年 9 月
に 起 こ っ た リ ー マ ン シ ョ ッ ク に よ る 景 気 低 迷 の 影 響 で 10 年 度 の 586 万 人 ( 07
年 度 比 ▲ 9.7% ) ま で 減 少 傾 向 を 辿 っ た 。
一方、国際線の航空旅客数の動きをみると、成田空港の暫定平行滑走路が供
用 開 始 ( 02 年 4 月 ) と な る 前 の 01 年 度 ま で は 7 〜 10 万 人 程 度 の 水 準 で 推 移 し
て い た が 、 同 滑 走 路 が 供 用 開 始 と な っ た 02 年 度 に は 1 万 人 に 水 準 を 切 り 下 げ
た 。そ の 後 は 、国 際 航 空 需 要 の 高 ま り を 背 景 に 右 肩 上 が り の 増 加 を 続 け 、09 年
度 に は 28 万 人 ま で 増 加 し た 。 な お 、 こ の 間 の 羽 田 空 港 の 国 際 線 の 運 用 は 、「 内
際分離の原則」を踏まえ、全便がチャーター便の扱いとなっていた。
10 年 10 月 に は 、 国 際 線 タ ー ミ ナ ル が 供 用 開 始 と な り 、 国 際 定 期 便 の 就 航 が
始 ま り 、 10 年 度 に は 48 万 人 ( 前 年 度 比 + 76.3% ) に 増 加 し た 。 国 際 定 期 便 の
就 航 状 況 ( 11 年 9 月 1 日 現 在 ) を み る と 、 昼 間 時 間 帯 ( 6 時 〜 23 時 ) に は 2
か 国 1 地 域 5 都 市 32 往 復 / 日 、 深 夜 早 朝 時 間 帯 ( 22 時 〜 7 時 ) に は 6 か 国 11
都 市 19 往 復 / 日 、 合 計 8 か 国 1 地 域 16 都 市 51 往 復 / 日 が 就 航 し て い る ( 図
表 21)。
図 表 20 羽 田 空 港 の航 空 旅 客 数 の推 移
700
(万人)
国内線
国際線
600
500
8
7
8
9
8
9
9
10
10
1
4
8
13
16 20
24
28
48
400
623 653 650 632 593
586
585 618 620 616
557
542
514
486
445 463
200 416 430
300
100
0
93 94
(年度)
95
96
97
98
99
00
01
(出所)日本空港ビルディング㈱
23
02
03
04
05
06
07
08
09
10
図 表 21 羽 田 空 港 の国 際 定 期 便 一 覧
国名
都市名/空港名
便数
上海/虹橋
4往復
昼
中国
北京
4往復
間
香港
4往復
時
台湾
台北/松山
8往復
間 ア
ソウル/仁川
2往復
帯 ジ
韓国
ソウル/金浦
12往復
ア
クアラルンプール
1往復
マレーシア
コタキナバル
1往復
深
シンガポール
シンガポール
4往復
夜
タイ
バンコク
3往復
早
サンフランシスコ
1往復
朝
デトロイト
1往復
北
時
アメリカ
ニューヨーク/ジョン・F.ケネディ 1往復
米
間
ホノルル
3往復
帯
ロサンゼルス
2往復
E
フランス
パリ/シャルル・ド・ゴール
1往復
U
イギリス
ロンドン/ヒースロー
1往復
(注)1.出所:日本空港ビルディング㈱
2.2011年9月1日現在。
3.昼間時間帯は6時〜23時、深夜早朝時間帯は22時〜7時。
② 羽田空港の再国際化の成田空港への影響(考察)
羽 田 空 港 の 航 空 旅 客 数 は 、再 国 際 化( 2010 年 10 月 21 日 )に よ り 10 年 10 月
の 28 万 人 か ら 11 月 に は 56 万 人 ( 前 年 同 月 比 + 130.4% ) に 増 加 し 、 そ の 後 も
3 月 ま で は 50 万 人 台 後 半 で 横 ば い 推 移 し た ( 図 表 22)。 そ の 後 、 3 月 11 日 に
起 き た 東 日 本 大 震 災 の 影 響 に よ り 4 月 に は 43 万 人 に 水 準 を 切 り 下 げ あ と 、 5
月 ( 50 万 人 )、 6 月 ( 56 万 人 ) と 急 速 に 回 復 し た 。 こ れ は 、 羽 田 空 港 の 利 用 客
の 多 く が ビ ジ ネ ス マ ン で あ る こ と か ら み て 、仕 事 上 利 用 せ ざ る を 得 な い ユ ー ザ
ーが戻ってきた可能性がある。
こ の 間 の 成 田 空 港 の 動 き を み る と 10 年 10 月 の 226 万 人 か ら 11 月 に は 193
万 人( 前 年 同 月 比 ▲ 4.8% )に 落 ち 込 み 、そ の 後 、12 月 か ら 11 年 2 月 に か け て
180 万 人 半 ば ( 同 ▲ 1 割 程 度 ) の 水 準 で 推 移 し た ( 図 表 23)。 そ の 後 、 震 災 が
起 こ る と 3 月 は 169 万 人 ( 同 ▲ 30.3% )、 4 月 は 122 万 人 ( 同 ▲ 41.5% ) と 大
幅 減 少 し 、5 月 か ら 6 月 に か け て も 同 ▲ 3 割 程 度 の 低 水 準 が 続 き 、震 災 の 影 響
が色濃く残っている。
東 京 入 国 管 理 局 に よ る と 、成 田 空 港 の 11 年 夏 季( 7 月 14 日 〜 8 月 31 日 )の
日 本 人 の 出 入 国 者 数 ( 速 報 値 ) は 、 約 325 万 700 人 で 前 年 同 期 比 ▲ 18.9% 減 少
し た 。 こ の 間 、 羽 田 空 港 の 出 入 国 者 数 は 約 107 万 5,300 人 ( 同 + 54.4% ) と 同
約 58 万 人 増 加 し て い る 。 同 局 で は 、 成 田 空 港 で 減 少 し た 出 入 国 者 数 ( 約 76 万
人)の約8割が羽田空港に流れた可能性がある、としている。
また、羽田空港の再国際化が成田空港の航空旅客数に与えたインパクトにつ
い て 、東 日 本 大 震 災 と 羽 田 空 港 再 国 際 化 の 影 響 を 明 確 に 色 分 け は で き な い( 国
土 交 通 省 首 都 圏 空 港 課 ) も の の 、 成 田 空 港 の 航 空 旅 客 数 は 10 年 12 月 か ら 震 災
が 起 こ る ま で は 同 ▲ 1 割 程 度 で 推 移 し て い る こ と か ら み て 、今 後 も 、成 田 空 港
の 航 空 需 要 が 、羽 田 空 港 の 供 給 能 力 の 増 加 に あ わ せ て シ フ ト す る 可 能 性 が あ る 。
24
図表 22 羽田空港の航空旅客数の推移(再国際化の前後)
130.4
70
(万人)
60
125.6
30
50
30
28
40
140
(%)
120
109.9
100
134.3
124.4
28
91.0
30
80.4
24
28
80
66.6
30
60
21
14
20
14
25.5 15.6
10
14
0
40
29
28
30
27
26
22
26
28
5月
6月
20
14
0
9月 10月 11月 12月 1月
2月
(2010年)
(2011年)
入国者(左軸)
出国者(左軸)
3月
4月
前年同月比(右軸)
(出所)法務省「出入国管理統計」
図表 23 成田空港の航空旅客数の推移(羽田空港再国際化の前後)
250
(万人)
200
120
150
100
(%)
80
112
97
93
91
95
60
91
100
50
60
122
0
-50
2.5
114
2.8
96
91
94
89
78
62
64
74
75
75
40
20
0
▲ 4.8
▲ 10.2▲ 7.5 ▲ 8.4
-100
▲ 41.5
▲ 33.0 ▲ 29.7 ▲ 20
▲ 40
▲ 30.3
▲ 60
-150
9月 10月 11月 12月 1月
2月
(2010年)
(2011年)
入国者(左軸)
出国者(左軸)
(出所)法務省「出入国管理統計」
25
3月
4月
5月
前年同月比(右軸)
6月
③ 航空機の性能アップにより羽田空港の優位性が高まる可能性(考察)
全日本空輸㈱では、米ボーイング社の最新鋭中型旅客機「787」を世界で
初 め て 導 入 し 、2012 年 1 月 に は 、羽 田 空 港 と フ ラ ン ク フ ル ト( ド イ ツ )を 結 ぶ
定 期 路 線 を 就 航 す る 、 と し て い る ( 図 表 24)。
同旅客機は、機体や翼に炭素繊維の複合材料を使用することでこれまでにな
い 軽 量 化 を 実 現 し 、中 型 機 な が ら 大 型 機 並 み の 航 続 が 可 能 で 、燃 費 も 従 来 機 よ
り 20% 向 上 し て い る 。
こ の 中 型 旅 客 機「 787」を 活 用 す れ ば 、滑 走 路 の 長 さ が 2,500m と 短 い 羽 田 空
港 の D 滑 走 路 で も 長 距 離 国 際 便 ( 飛 行 距 離 が 1 万 km を 超 え る も の ) の 運 用 が
可 能 と な る 。こ の た め 、一 日 の 仕 事 を 終 え て か ら 海 外 出 張 を す る よ う な 国 際 的
な ビ ジ ネ ス マ ン の ニ ー ズ が 高 い 深 夜 発 の 欧 米 便 が 、都 心 か ら の ア ク セ ス 利 便 性
に優れた羽田空港で今後増えていく可能性も考えられる。
ま た 、 同 旅 客 機 に よ る 新 た な 国 内 路 線 と し て は 、 11 年 11 月 1 日 か ら 羽 田 −
岡 山 線 、羽 田 − 広 島 線 の 就 航 が 決 ま っ て い る 。広 島 や 岡 山 方 面 は 、航 空 産 業 に
と っ て 、新 幹 線 と の 競 合 が 激 し い 地 域 と い わ れ て い る が 、低 燃 費 の 同 旅 客 機 の
投 入 で 対 新 幹 線 の 価 格 競 争 力 が 高 ま り 、成 田 空 港 の 国 内 線 需 要( 成 田 − 広 島 線
など)が羽田空港にシフトする可能性もある。
図表 24 全日本空輸㈱によるボーイング787の就航スケジュール
2011年10月26・27日
世界初の営業飛行 成田=香港
2011年10月28・29日
成田空港発着遊覧フライト
2011年11月1日
初の国内線定期便就航 羽田=岡山線
同日 羽田=広島線も就航
2011年12月
初の国際線定期便 羽田=北京線
2012年1月
初の国際線長距離路線就航 羽田=フランクフルト線
2011年度内
国内線定期便就航 羽田=伊丹・山口宇部・松山
(出所)全日本空輸㈱プレスリリース。
26
④ 国際線旅客ターミナルの概要
2010 年 10 月 21 日 、 羽 田 空 港 の 国 際 線 旅 客 タ ー ミ ナ ル が 供 用 開 始 と な っ た 。
国 際 線 旅 客 タ ー ミ ナ ル ビ ル は 、 地 上 5 階 建 で 延 床 面 積 は 約 154,000 ㎡ ( 出 発
ロ ビ ー : 約 10,000 ㎡ 、 到 着 ロ ビ ー : 約 5,000 ㎡ )、 国 際 線 駐 車 場 の 収 容 台 数 は
約 2,300 台 と な っ て い る ( 図 表 25、 26)。
国 際 線 旅 客 タ ー ミ ナ ル ビ ル で は 、世 界 で 初 め て 段 差 が な い「 ス テ ッ プ レ ス 搭
乗 橋 」を 導 入 す る な ど ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン を 随 所 に 施 し て お り 、11 年 1 月 に
は 、 バ リ ア フ リ ー 化 の 推 進 に 多 大 な 貢 献 が 認 め ら れ た と し て 、「 第 4 回 国 土 交
通省バリアフリー化推進功労者大臣表彰」を受賞した。
商 業 施 設 は 、旅 客 タ ー ミ ナ ル 内 に 総 面 積 約 10,000 ㎡ / 1 05 店 舗 の シ ョ ッ プ ・
レストランがオープンしている。とりわけ、4階・5階のスペースでは、単な
る商業空間だけでなく、4階の「江戸小町」では、江戸の町並みを本格的に再
現 し 、日 本 の 伝 統 文 化 や 文 化 を 体 感 で き る コ ン セ プ ト と な っ て い る 。ま た 、5
階 の 「 TOKYO POP TOWN」 で は 、 ア ニ メ や キ ャ ラ ク タ ー シ ョ ッ プ の ほ か 、 ス ロ
ットカーレーシングコースや空港では初めてとなる最新型のプラネタリウム
を導入するなど、現代から未来の東京・日本の文化の発信拠点となっている。
さ ら に 、 5 階 に は 270 度 視 界 が 開 け た 展 望 デ ッ キ が 広 が っ て お り 、 デ ー ト ス ポ
ットとしても最高のロケーションとなっている。
オ ー プ ン 当 初 は 、新 た な 観 光 ス ポ ッ ト と し て 航 空 旅 客 以 外 の 観 光 客 の 来 場 が
5 〜 6 万 人 / 日 に 達 し た 。11 年 8 月 下 旬 に は 、オ ー プ ン 当 時 の 熱 狂 ぶ り は ひ と
段 落 し た も の の 、 1 日 の 航 空 旅 客 ( 平 均 2 万 人 程 度 ) 程 度 の 1.6 万 人 ( イ ベ ン
ト開催時はもっと多い)の観光客が来訪している。
来 場 者 の 反 応 と し て は 、江 戸 の 町 並 み が 高 齢 者 に 好 評 で あ る ほ か 、若 い カ ッ
プルや家族連れなど幅広い客層がショッピングや飲食を楽しんでいる。
図表 25 羽田空港国際線ターミナルの概要
旅客ターミナルビル
建築面積
延床面積
階層
出発ロビー
到着ロビー
固定
スポット数
約54,000㎡ 一
飲食店
般
約154,000㎡ エ
物販店
リ
ア
地上5階建
サービス店
約10,000㎡ 保
安
約5,000㎡ エ
リ
10(他オープン ア
スポット10)
供給処理施設
商業施設
22店舗
(1,670㎡)
延床面積
約67,000㎡
26店舗
(1,900㎡)
階層
6層7階建
26店舗
(1,360㎡)
収容台数
約2,300台
飲食店
24店舗
(3,800㎡)
物販店
4店舗
(430㎡)
サービス店
3店舗
(840㎡)
(出所)東京国際空港ターミナル㈱
27
延床面積
約5,000㎡
国際線駐車場
図 表 26 国 際 線 旅 客 タ ーミ ナル全 体 図
(出所)東京国際空港ターミナル㈱
28
⑤ 首都圏空港の今後の方向性(国土交通省成長戦略から)
首都圏空港の航空機発着枠は、成田空港・羽田空港ともに抜本的な容量拡大
策 を 講 じ て い く こ と か ら 、 最 終 形 と し て は 、 両 港 合 計 で 約 59 万 回 ( 2010 年 10
月 現 在 ) か ら 約 75 万 回 に 3 割 程 度 拡 大 す る 見 込 み と な っ て い る 。
新たな時代を迎える首都圏空港について、両港の今後の方向性を国土交通省
の 成 長 戦 略 会 議 報 告「 航 空 分 野 」
( 10 年 5 月 17 日 策 定 )で み る と 、成 田 空 港 は 、
こ れ ま で 通 り 、旺 盛 な 首 都 圏 の 国 際 航 空 需 要 に 対 応 す る「 国 際 線 の メ イ ン 空 港 」
の 位 置 づ け で あ り 、今 後 の 増 枠 分 を 活 用 し て 、さ ら な る 国 際 航 空 ネ ッ ト ワ ー ク
の 強 化 を 図 る と と も に 、国 内 フ ィ ー ダ ー 路 線( ロ ー カ ル 都 市 へ の 接 続 路 線 )の
拡 充 、L C C や ビ ジ ネ ス ジ ェ ッ ト の 受 入 れ 等 機 能 強 化 に よ り 、ア ジ ア 有 数 の ハ
ブ 空 港 と し て の 地 位 を 確 立 し て い く 、 と し て い る ( 図 表 27)。
一 方 、 羽 田 空 港 は 、 国 際 線 旅 客 タ ー ミ ナ ル ビ ル の 拡 充 な ど に よ り 、「 24 時 間
国際拠点空港化」を進める。国際線は、欧米や長距離アジア(マレーシア、シ
ン ガ ポ ー ル 等 )な ど 高 い 需 要 が 見 込 ま れ る ビ ジ ネ ス 路 線 を 中 心 に 拡 大 し て い く
方 針 で 、日 本 最 大 の 国 内 線 ネ ッ ト ワ ー ク を 活 用 し て 内・ 際 ハ ブ 機 能 を 強 化 し て
いく、としている。
これらの実現に向けて両港の機能強化を進めて、首都圏空港として一体的に
運 用 す る こ と で 、ビ ジ ネ ス・観 光 両 面 に お け る 都 市 間 の 競 争 力 を 強 化 し 、わ が
国にヒト・モノ・カネを呼び込む原動力となることが期待されている。
なお、首都圏空港のさらなる拡張の可能性については、羽田空港の5本目の
滑 走 路 は 、国 土 交 通 省 で 正 式 な 調 査 や 方 向 性 に つ い て は 公 表 さ れ て い な い も の
の、自民党国家戦略本部(本部長・谷垣禎一総裁)が羽田空港の5本目の滑走
路 建 設 な ど 国 際 空 港 の 機 能 強 化 を 図 る 必 要 性 を 提 言 す る な ど 、わ が 国 の 空 港 機
能 を 拡 充 す る た め の 検 討 事 項 の 一 つ と し て 考 え て い る 向 き も み ら れ る 。し か し
な が ら 、羽 田 空 港 の こ れ 以 上 の 滑 走 路 増 設 は 、漁 業 補 償 交 渉 の 難 し さ や 過 大 な
事 業 費 ( 羽 田 空 港 D 滑 走 路 の 総 事 業 費 : 約 7,200 億 円 )、 津 波 な ど の 災 害 リ ス
ク な ど を 考 え る と か な り ハ ー ド ル が 高 い も の と み ら れ る 。従 っ て 、今 後 の 国 際
航 空 需 要 が 高 ま り を 受 け て 、首 都 圏 空 港 の さ ら な る 拡 張 が 必 要 と な っ た 際 に は 、
成田空港の拡張を優先的に検討するべきと考える。
図表 27 成田空港・羽田空港の今後の方向性(イメージ)
成田空港の今後の方向性(イメージ)
○旺盛な首都圏の国際航空需要に対応する国際線のメイン空港
○更なる国際航空ネットワークの強化(増枠分の活用)
○アジア有数のハブ空港としての地位確立
(国内フィーダー、LCCやビジネスジェットの受入れ等機能強化)
羽田空港の今後の方向性(イメージ)
○24時間国際拠点空港化(国際線旅客ターミナルの拡充)
○欧米や長距離アジア(注2)も含む高需要・ビジネス路線を展開
○国際線ネットワークを活かして内・際ハブ機能を強化
(注)1.出所:国土交通省の資料よりちばぎん総合研究所が作成。
2.マレーシア、シンガポール、インド、ベトナム等。
29
【参考②】羽田空港の再国際化を地域活性化に活用する木更津市の取組
木 更 津 市 で は 、 2009 年 7 月 に 「 東 京 湾 ア ク ア ラ イ ン 活 用 戦 略 本 部 ( 本 部 長 :
水 越 市 長 )」を 立 ち 上 げ 、ア ク ア ラ イ ン を 活 用 し た 地 域 づ く り を 推 進 し て い る 。
取 り 組 み の 柱 と な る 視 点 は 、「 企 業 誘 致 」、「 観 光 振 興 」、「 移 住 ・ 定 住 促 進 」 の
3 点 を あ げ て い る 。 10 年 10 月 に 羽 田 空 港 が 再 国 際 化 し た こ と は 、 羽 田 空 港 か
ら ア ク ア ラ イ ン 経 由 で 20 分 に 位 置 し て い る 木 更 津 市 に と っ て 、 企 業 誘 致 や 観
光振興を図る絶好のチャンスと認識している。
(企業誘致活動について)
最 近 の 企 業 誘 致 活 動 と し て 、09〜 10 年 度 に は 、担 当 部 署 の 職 員 3 人 が 東 京 都
大 田 区 や 川 崎 市 な ど の 企 業 を 飛 び 込 み 訪 問 し て 、企 業 誘 致 活 動 を 行 っ た( 2 年
で 計 300 社 を 訪 問 )。 10 年 度 に は 、 主 に 羽 田 空 港 関 連 の 企 業 ニ ー ズ を 把 握 す る
ために、アンケート調査(①羽田空港関連産業企業立地動向調査〔調査実施:
10 年 11 月 〜 12 月 〕、 ② 羽 田 空 港 の 国 際 化 を 踏 ま え た 物 流 関 連 施 設 の 立 地 動 向
調 査 〔 同 : 10 年 10 月 〕) を 実 施 し た 。
①の調査は、対岸(東京都中央区、港区、大田区、横浜市、川崎市など)の
企 業 2,000 社 を 対 象 に 実 施 し 、 504 社 か ら 回 答 を 得 た 。 そ の う ち 、 木 更 津 市 へ
の 立 地 に 興 味 が あ る と 回 答 し た 企 業 は 39 社 ( 運 輸 ・ 通 信 業 16 社 、 製 造 業 11
社 、 サ ー ビ ス 業 3 社 、 卸 売 業 等 9 社 )、 う ち 今 後 事 業 所 等 の 新 設 ・ 増 設 ・ 移 転
計 画 が あ る 企 業 は 8 社 で あ っ た 。② の 調 査 は 、社 団 法 人 航 空 貨 物 運 送 協 会 に 加
盟 し て い る 企 業 96 社 を 対 象 に 実 施 し 、 43 社 か ら 回 答 を 得 た 。 そ の う ち 、 木 更
津市への立地に興味がある企業は4社(所在地:東京都2社、千葉県2社)で
あ っ た 。 11 年 度 は 、 こ れ ら の 木 更 津 へ の 立 地 に 興 味 が あ る 企 業 ( 合 計 43 社 )
を 対 象 に 担 当 部 署 の 職 員 が 直 接 訪 問 し 、企 業 と の 親 密 な 関 係 を 築 く な か で 、木
更津市への誘致を推進していく方針。
なお、木更津市の企業立地優遇制度としては、一定の条件(1 億円以上の投
資 、 常 用 雇 用 者 が 20 人 以 上 ) を 満 た し た 企 業 が 市 内 に 立 地 し た 場 合 、 固 定 資
産 税 収 納 額 に 法 人 税 収 納 額 の 1 / 2 を 加 え た 額 を 3 年 間 補 助 す る( か ず さ ア カ
デミアパークに立地する中小企業は5年間)という立地奨励金制度がある。
(観光振興について)
① 最近の観光振興策とインバウンドの宿泊実績
木更津市は、東京湾アクアラインの接岸地としてアクセス利便性に優れてい
な が ら 、観 光 客 の 多 く が 高 速 道 路 で 木 更 津 市 を 素 通 り し 、南 房 総 に 向 か う ジ レ
ン マ を 抱 え て い た 。こ う し た 状 況 に 歯 止 め を か け る た め の 主 な 観 光 振 興 策 と し
て は 、① か ず さ ア カ デ ミ ア パ ー ク を 活 用 し た 国 際 会 議 の 開 催 促 進 、②「 恋 人 の
聖 地 注 8 」に 認 定 さ れ た 中 ノ 島 大 橋 の 活 用 ・ P R 、③ 羽 田 空 港 ・ 成 田 空 港 を 活 用
し た イ ン バ ウ ン ド の 誘 致 な ど を 実 施 し て き た 。特 に 、イ ン バ ウ ン ド の 誘 致 は 水
越 市 長 の 公 約 で あ り 、 市 長 は 04 年 度 か ら 自 ら が 中 国 に 出 か け て ト ッ プ セ ー ル
ス に よ る 誘 致 活 動 に 取 り 組 ん で き た 。そ の 成 果 も あ っ て 、外 国 人 の 市 内 宿 泊 者
数 は 、04 年 度 の 7,585 人 か ら 09 年 度 に は 31,500 人( う ち 中 国 人 は 27,800 人 )
に 増 加 し た ( 10 年 度 は 3 月 の 震 災 に よ る 落 ち 込 み に よ り 29,500 人 ( 同 25,000
人 ) に 減 少 )。 外 国 人 の 宿 泊 者 数 は 、 中 国 人 の 宿 泊 に 特 化 し た ホ テ ル が 市 内 に
立地していることもあって県内5位の水準となっている。
(注8) NPO法人地域活性化支援センターが展開する「恋人の聖地プロジェクト(06 年4月開始)
」
に認定されたもの。千葉県では「千葉ポートタワー(千葉市中央区)」
、「京成バラ園(八千代
市)
」、
「石のまち金谷(富津市)
」が認定されている。
30
② ヘルスケアツアーの実施について
10 年 度 に は 、羽 田 空 港 の 再 国 際 化 に よ る 外 国 人 の 交 流 人 口 増 加 を 市 内 観 光 に
取 り 込 む た め に 、中 国 人 富 裕 層 を 対 象 に し た 滞 在 型 観 光 推 進 事 業 と し て「 東 京
湾 ア ク ア ラ イ ン を 活 用 し た ヘ ル ス ケ ア ツ ア ー( 中 国 人 向 け の モ ニ タ ー ツ ア ー )」
を 木 更 津 市 が 開 催 し た 。同 ツ ア ー は 、中 国 沿 岸 部 7 都 市 に あ る 旅 行 会 社 の 社 長
ク ラ ス を 対 象 に 、10 年 11 月 か ら 12 月 に か け て 実 施 し 、延 べ 10 社 10 名 が 参 加
した。3泊4日のツアー内容は以下の通り。
1日目
2日目
3日目
4日目
①
②
③
④
①
②
③
④
①
②
③
④
⑤
⑥
①
②
項目等
羽田空港又は成田空港到着
海ほたる見学
オークラアカデミアパークホテル着
木更津市長による歓迎式
ホテル併設クリニックで人間ドッグ検診
ホテルでの食生活改善メニューの提供
ホテル併設のスポーツ施設で健康体操体験
観光スポット等のPRなど
ゴルフクラブ視察
周辺観光施設視察(マザー牧場)
木更津の伝統文化「花柳界体験」
ショッピング(ららぽーと)
周辺観光施設施策(東京ドイツ村)
温泉・スパ施設を利用した健康増進の体験
モデルツアーに関する全体ヒアリング等
羽田空港又は成田空港発
内容等
記念品贈呈・記念撮影等
医師より結果説明(全体結果は後送)
地元の新鮮な野菜・鮮魚を活用
ピラティス体験
木更津・鹿野山ゴルフクラブ
参加者からの依頼で急遽実施
龍宮城スパホテル三日月
同時にアンケート回収
参 加 者 の 反 応 を ア ン ケ ー ト 調 査 で み る と 、各 ツ ア ー 項 目 に つ い て 「と て も 満
足 」や「満 足 」と の 回 答 が 多 か っ た 。と り わ け 、ホ テ ル や 病 院 の 施 設 や サ ー ビ ス
内 容 の 満 足 度 が 高 く 、料 理 も 、オ ー ク ラ ア カ デ ミ ア パ ー ク ホ テ ル の メ タ ボ リ ッ
ク ヘ ル ス ラ ン チ は 、胃 に 優 し い と 好 評 で あ っ た ほ か 、 龍 宮 城 ス パ ホ テ ル 三 日 月
のビュッフェも寿司やてんぷらを目の前で作ってくれることが人気であった。
医 療 観 光 に つ い て は 、既 に 、「徳 島 で の 糖 尿 病 治 療 」や 「大 阪 で の P E T 検 診
(血 液 検 査 か ら 癌 か ど う か を 判 断 で き る 検 査 )
」な ど 日 本 各 地 か ら 中 国 へ の 売 り
込 み が あ る 。特 に 、P E T 検 診 は 人 気 が 高 い が 高 額 で あ る こ と が ネ ッ ク な っ て
お り 、料 金 設 定 を で き る だ け 抑 え な い と プ ラ ン 化 し に く い 、と い う 声 が 参 加 者
か ら 聞 か れ た 。ま た 、人 間 ド ッ グ で 異 常 を 発 見 し た 際 の 対 応 や 、医 療 言 語 が 理
解できる通訳の確保などが今後の課題となっている。このように医療観光は、
課 題 も 少 な く な い が 、羽 田 空 港 が 再 国 際 化 さ れ た こ と も あ っ て 中 国 人 富 裕 者 層
を 中 心 に ニ ー ズ が 高 ま る 可 能 性 が 高 い 。木 更 津 市 で は 、14 年 度 に 、か ず さ ア ク
ア シ テ ィ に 医 療 健 康 セ ン タ ー を 想 定 し た 「( 仮 ) 塩 田 病 院 木 更 津 ク リ ニ ッ ク 」
が 立 地 す る こ と も あ り 、こ れ ら の チ ャ ン ス を イ ン バ ウ ン ド の 取 り 込 み に 活 か す
こととしている。
モ ニ タ ー ツ ア ー 後 に は 、ツ ア ー 参 加 者 の 会 社 か ら 、「 医 療 視 察 ツ ア ー 」や「 修
学 旅 行 視 察 ツ ア ー 」の 申 し 込 み が あ っ た 。そ の 後 、東 日 本 大 震 災 が 起 き た こ と
か ら ツ ア ー は 延 期 さ れ た が 、こ の よ う な 小 さ な 芽 が モ ニ タ ー ツ ア ー を 契 機 に で
てきたことは、観光振興を推進するうえで大きな励みになった。
木 更 津 市 は 、 11 年 度 に も 引 き 続 き 「 イ ン バ ウ ン ド ・ プ ロ モ ー シ ョ ン 事 業 」に
よ り 、① 外 国 人 観 光 客 受 入 推 進 組 織 の 設 置 及 び 戦 略 会 議 の 開 催 、② 接 遇・語 学
セ ミ ナ ー の 開 催 、③ 海 外 に 向 け た W e b に よ る プ ロ モ ー シ ョ ン 業 務 な ど を 実 施
している。
31
(2 ) 地 方 空 港 か ら 海 外 空 港 へ の 直 行 便 増 加
日 本 人 出 国 旅 客 数 を 居 住 地 別 ・ 出 国 空 港 別 ( 2010 年 ) に み る と 、 成 田 空 港 を
利 用 し て 出 国 し た 航 空 旅 客 の 割 合 は 、「 関 東 」 が 82.9 % で 最 も 多 く 、 次 い で 、
「 東 北 ( 67.4 % )」、「 北 陸 ( 64.4 % )」、「 北 海 道 ( 56.4 % )」 と な っ て い る ( 図
表 29)。 関 東 地 域 を 都 県 別 に み る と 、 成 田 空 港 が 立 地 し て い る 千 葉 県 が 90.4%
と 全 都 道 府 県 の な か で 最 も 高 く な っ て い る 半 面 、ア ク セ ス 利 便 性 に 劣 る 神 奈 川
県 ( 79.2 % ) や 東 京 都 ( 81.3 % )、 埼 玉 県 ( 83.6 % ) は 8 割 前 後 と 千 葉 県 よ り
1 割 程 度 水 準 が 低 い 。こ れ ら の 都 県 で は 羽 田 空 港 を 利 用 す る 割 合 が 2 割 前 後 と
なっている。
そ の 他 空 港 ( 地 方 空 港 ) を 利 用 す る 割 合 は 、「 九 州 」 が 71.5% と 最 も 高 く 、
次 い で 、「 沖 縄 ( 54.0% )」、「 中 国 ( 47.1% )」、「 北 海 道 ( 35.4% )」 と な っ て い
る 。 こ れ ら の 地 域 の 前 年 比 伸 び 率 を み る と 、「 九 州 」 が 前 年 比 + 62.4 % と 大 幅
増 加 し た ほ か 、「 中 国 ( 同 + 27.9% )」 も 二 桁 の 増 加 と な っ て い る 。 こ の 背 景 に
は 、 全 国 22 の 地 方 空 港 が 仁 川 国 際 空 港 ( ソ ウ ル ) ま た は 浦 東 国 際 空 港 ( 上 海 )
に 国 際 定 期 便 を 就 航 し て い る こ と が あ る ( 図 表 28)。
一 方 、国 際 航 空 貨 物 の 発 生・集 中 地( 09 年 度 )を み る と 、成 田 空 港 で は 、「 関
東 」が 92.6% と 最 も 多 く 、次 い で 、
「 東 北( 91.8% )」、「 甲 信 越( 85.5% )」、「 北
海 道( 67.7% )」と な っ て い る( 図 表 30)。関 西 国 際 空 港 で は 、「 近 畿 圏( 76.6% )」
が 最 多 で 「 中 国 ( 71.7% )」、「 北 陸 ( 50.9% )」 が 続 い て い る 。 中 部 国 際 空 港 で
は 、 地 元 の 「 東 海 」 の シ ェ ア が 28.1 % と 最 も 高 い 。 地 方 空 港 で は 、「 九 州
( 51.2% )」 や 「 北 海 道 ( 28.6% )」 の シ ェ ア が 多 い こ と が 目 立 っ て お り 、 主 要
な 国 際 空 港 か ら 距 離 的 に 遠 い 地 域 で は 、地 方 空 港 の 国 際 定 期 便 を 活 用 し た 物 流
の取り扱いが伸びている。
図 表 28 アジ アハ ブ空 港 (仁 川 ・浦 東 )と直 行 便 を結 ぶ地 方 空 港 一 覧
都市名/
空港名
(単位:便)
〔参考〕
地
合
方
鹿
北
沖 成 関 中 羽
札 函 青 仙 秋 新 富 小 静 岡 広 米 高 松 長 大 熊 宮
福
計
空
児
九
縄 田 西 部 田
幌 館 森 台 田 潟 山 松 岡 山 島 子 松 山 崎 分 本 崎
岡
港
島
州
ソウル/仁川 60 12
上海/浦東
30
6
2
6
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
4
2
2
2
2
2 28 16 10
6 120
0
2
0
0
2
0
2
2
2
2
2
2
0
0
2
2
0
0
0
2
2 26 20
0
(注)1.出所:㈱交通新聞社「JR時刻表(2011年7月号)」のデータからちばぎん総合研究所が作成。
2.2011年7月1〜31日のダイヤ。
3.到着便及び出発便をそれぞれ1便として集計。
32
0
76
図 表 29 2010 年 居 住 地 別 出 国 空 港 別 旅 客 数 (構 成 比 :居 住 地 別 出 国 者 数 )
その他空港
居住地別 成田国際空港
羽田空港
関西国際空港 中部国際空港
出国者数 構成比 前年比 構成比 前年比 構成比 前年比 構成比 前年比 構成比 前年比
(人)
(%) (ポイント) (%) (ポイント) (%) (ポイント) (%) (ポイント) (%) (ポイント)
北
海
道
14,121
56.4
6.1
4.5
2.7
2.9 ▲ 6.5
0.7 ▲ 0.3
35.4 ▲ 2.0
19,567
67.4
0.1
7.7
3.9
1.2
1.2
0.7
0.7
23.0 ▲ 5.9
青 森 県
2,912
75.2
7.9
6.3
2.6
0.0
0.0
0.0
0.0
18.4 ▲ 10.4
岩 手 県
1,916
53.3 ▲ 20.3
12.8
11.2
2.1
1.1
0.2 ▲ 8.7
31.6
16.8
東
北宮 城 県
5,544
61.0 ▲ 1.9
5.8
3.1
2.3
0.9
2.0 ▲ 2.5
28.8
0.4
秋 田 県
1,722
63.0 ▲ 8.2
15.6
15.6
0.0 ▲ 2.2
0.0 ▲ 0.9
21.4 ▲ 4.4
山 形 県
2,282
71.9
2.4
4.9
4.9
2.5
1.4
0.8
0.0
19.8 ▲ 8.8
福 島 県
5,191
74.7
1.5
7.1
6.4
0.0
0.0
0.0 ▲ 0.4
18.2 ▲ 7.5
321,180
82.9 ▲ 14.2
15.7
11.2
0.6
0.6
0.2
0.0
0.6
0.2
茨 城 県
12,794
89.6 ▲ 7.4
4.9
2.3
0.4
0.3
0.0 ▲ 0.1
5.1
5.0
栃 木 県
9,968
88.0 ▲ 6.9
10.0
5.5
0.4
0.4
0.1 ▲ 0.1
1.6
1.2
群 馬 県
9,007
88.1 ▲ 8.8
11.0
8.6
0.4
0.4
0.1 ▲ 0.1
0.4 ▲ 0.1
関
東
埼 玉 県
35,766
83.6 ▲ 7.3
15.5
8.1
0.5 ▲ 0.3
0.1
0.0
0.3 ▲ 0.5
千 葉 県
40,616
90.4 ▲ 3.6
8.7
4.1
0.5 ▲ 0.3
0.3 ▲ 0.1
0.2 ▲ 0.1
東 京 都
131,960
81.3 ▲ 6.3
17.3
7.0
0.8 ▲ 0.5
0.2 ▲ 0.1
0.5
0.0
神奈川県
81,069
79.2 ▲ 6.4
19.9
7.4
0.5 ▲ 0.8
0.2 ▲ 0.1
0.2 ▲ 0.1
12,445
38.4
20.9
6.3
6.3
14.6 ▲ 30.7
7.3 ▲ 9.8
33.5
13.3
新 潟 県
4,927
46.4 ▲ 7.6
7.7
4.4
0.3 ▲ 2.4
1.0
0.1
44.6
5.5
甲 信 越
山 梨 県
3,211
37.8
4.9
8.1
5.2
14.6 ▲ 10.5
9.3
0.0
30.1
0.4
長 野 県
4,307
29.7
12.1
3.3
3.3
30.9 ▲ 14.4
13.0 ▲ 4.1
23.2
3.0
13,691
64.4
53.2
8.5
8.5
7.7
5.3
17.4 ▲ 68.8
2.0
1.8
富 山 県
1,792
5.0
1.4
1.6
1.6
57.0
1.3
26.4 ▲ 0.3
10.0 ▲ 4.0
北
陸
石 川 県
4,048
88.4 ▲ 3.8
9.4
2.4
0.2
0.2
1.4
0.9
0.6
0.3
福 井 県
7,851
65.6
6.0
9.6
5.7
0.3 ▲ 4.1
23.6 ▲ 7.9
0.9
0.3
77,169
19.9
14.4
2.0
1.5
6.0 ▲ 81.3
69.0
62.4
3.0
3.0
岐 阜 県
7,409
10.8 ▲ 0.4
0.3
0.3
2.1 ▲ 0.3
86.6
0.4
0.1 ▲ 0.0
東
海静 岡 県
17,136
43.8
1.6
7.4
3.7
2.5
1.9
33.2 ▲ 12.6
13.1
5.3
愛 知 県
44,323
13.8
3.5
0.5
0.4
5.9
1.7
79.6 ▲ 5.7
0.2
0.1
三 重 県
8,301
11.2 ▲ 0.3
0.9
0.8
16.7
1.5
71.2 ▲ 1.7
0.0 ▲ 0.4
114,495
8.6 ▲ 2.0
0.8
0.6
88.4 ▲ 0.6
1.7
1.7
0.5
0.1
滋 賀 県
7,170
3.2 ▲ 2.4
0.0 ▲ 0.5
78.1 ▲ 9.1
18.6
11.9
0.1
0.1
京 都 府
15,454
12.3
5.2
0.4
0.4
86.2 ▲ 4.5
0.7 ▲ 0.9
0.4 ▲ 0.1
近
畿大 阪 府
49,902
7.7 ▲ 2.5
1.0
0.8
90.6
2.0
0.5 ▲ 0.2
0.3 ▲ 0.0
兵 庫 県
31,089
10.6
0.6
0.6
0.3
87.1 ▲ 1.3
0.8
0.2
0.9
0.1
奈 良 県
7,907
4.1 ▲ 5.0
1.2
0.8
94.0
4.2
0.3 ▲ 0.4
0.5
0.4
和歌山県
2,973
11.0
0.4
2.0
1.8
85.1 ▲ 3.9
1.9
1.9
0.0 ▲ 0.3
25,693
14.3
10.2
1.3
0.7
36.3 ▲ 6.5
0.9 ▲ 2.5
47.1
27.9
鳥 取 県
1,410
20.3
9.1
0.0 ▲ 1.6
50.9 ▲ 10.6
0.0
0.0
28.8
3.1
島 根 県
1,518
3.4 ▲ 10.6
6.7
6.7
34.5 ▲ 7.4
0.0
0.0
55.4
11.3
中
国
岡 山 県
7,124
6.0 ▲ 2.5
1.1
1.1
57.8
13.6
0.3 ▲ 0.4
34.7 ▲ 11.8
広 島 県
11,213
16.1
3.8
0.9
0.5
31.6 ▲ 3.5
1.3
0.9
50.1 ▲ 1.6
山 口 県
4,428
25.1
13.4
1.2
1.2
9.5 ▲ 10.2
1.5
1.4
62.7 ▲ 5.7
11,113
19.2 ▲ 3.9
2.1
2.1
56.5 ▲ 6.5
0.3 ▲ 2.0
21.9 ▲ 51.1
徳 島 県
2,327
12.8
1.8
0.7
0.7
75.6 ▲ 2.2
0.0
0.0
10.9 ▲ 0.4
四
国香 川 県
3,181
8.2
4.0
1.7
1.0
69.9 ▲ 2.8
0.9 ▲ 2.5
19.4
0.2
愛 媛 県
4,014
29.0
14.4
2.3
2.3
39.2 ▲ 16.4
0.0 ▲ 0.2
29.6 ▲ 0.1
高 知 県
1,591
26.2 ▲ 5.6
4.8
4.8
45.3 ▲ 6.5
0.0 ▲ 1.7
23.7
9.0
36,625
20.6 ▲ 33.5
0.8 ▲ 4.0
6.1 ▲ 6.5
0.9 ▲ 9.6
71.5
62.4
福 岡 県
20,079
21.4
3.9
0.9
0.7
5.7
3.2
0.7 ▲ 0.2
71.4 ▲ 7.6
佐 賀 県
1,428
8.5 ▲ 2.4
1.0 ▲ 1.6
5.1 ▲ 4.4
0.0
0.0
85.4
8.5
長 崎 県
3,197
15.3 ▲ 9.2
0.3
0.3
1.8 ▲ 2.5
0.4 ▲ 0.2
82.2
11.6
九
州
熊 本 県
4,051
16.0 ▲ 7.2
0.0
0.0
3.5
2.0
1.0 ▲ 1.3
79.4
6.4
大 分 県
2,361
20.0
6.4
1.4
1.4
14.2
9.8
0.7
0.1
63.6 ▲ 17.8
宮 崎 県
2,553
37.2
16.1
1.4
1.4
3.3 ▲ 4.8
1.8
1.8
56.2 ▲ 14.6
鹿児島県
2,956
19.4
11.2
1.4 ▲ 0.6
13.3
1.3
2.8 ▲ 6.3
63.1 ▲ 5.6
沖
縄
2,797
39.9
11.5
2.6
1.6
2.8 ▲ 7.2
0.8
0.2
54.0 ▲ 6.1
国 内 居 住 地 計 1,280,874
52.5 ▲ 1.6
9.0
4.2
20.1 ▲ 1.3
9.4 ▲ 1.1
9.0 ▲ 0.1
(出所)国土交通省「2010年国際航空旅客動態調査(週間拡大結果)」
33
図 表 30 国 際 航 空 貨 物 の発 生 ・集 中 地 と構 成 比 (2009 年 度 :重 量 ベ ース)
成田国際空港
羽田空港
関西国際空港
中部国際空港
その他空港
航空貨物 構成比 航空貨物 構成比 航空貨物 構成比 航空貨物 構成比 航空貨物 構成比
(㎏)
(%)
(㎏)
(%)
(㎏)
(%)
(㎏)
(%)
(㎏)
(%)
北
海
道
34,737
23,507
67.7
0
0.0
369
1.1
909
2.6
9,952
28.6
367,172 337,175
91.8
5,781
1.6
13,009
3.5
310
0.1
10,897
3.0
青森県
5,339
5,130
96.1
3
0.1
206
3.9
岩手県
25,907
22,525
86.9
2,579
10.0
80
0.3
723
2.8
東
北宮城県
99,367
91,799
92.4
5,027
5.1
941
0.9
1,600
1.6
秋田県
36,023
33,569
93.2
3
0.0
2,410
6.7
41
0.1
山形県
55,492
46,629
84.0
76
0.1
1,818
3.3
6,969
12.6
福 島 県 145,044 137,523
94.8
675
0.5
5,258
3.6
230
0.2
1,358
0.9
2,373,590 2,197,097
92.6
22,017
0.9 100,056
4.2
8,446
0.4
45,974
1.9
茨 城 県 167,487 157,871
94.3
105
0.1
7,357
4.4
1,321
0.8
833
0.5
栃 木 県 130,016 111,320
85.6
73
0.1
8,149
6.3
3,132
2.4
7,342
5.6
群 馬 県 117,411 114,458
97.5
366
0.3
2,072
1.8
515
0.4
関
東
埼 玉 県 227,924 205,010
89.9
1,935
0.8
7,315
3.2
2,946
1.3
10,718
4.7
千 葉 県 482,974 460,561
95.4
12,023
2.5
6,269
1.3
229
0.0
3,892
0.8
東 京 都 805,271 738,009
91.6
4,896
0.6
49,819
6.2
188
0.0
12,359
1.5
神奈川県 442,507 409,868
92.6
2,619
0.6
19,075
4.3
630
0.1
10,315
2.3
202,043 172,690
85.5
3,777
1.9
7,870
3.9
8,291
4.1
9,415
4.7
新潟県
45,120
41,013
90.9
263
0.6
2,041
4.5
308
0.7
1,495
3.3
甲信越
山梨県
42,593
38,651
90.7
987
2.3
1,415
3.3
720
1.7
820
1.9
長 野 県 114,330
93,026
81.4
2,527
2.2
4,414
3.9
7,263
6.4
7,100
6.2
101,270
37,850
37.4
327
0.3
51,510
50.9
4,605
4.5
6,978
6.9
富山県
34,798
15,859
45.6
16,587
47.7
1,257
3.6
1,095
3.1
北
陸
石川県
39,588
16,752
42.3
18,913
47.8
1,574
4.0
2,349
5.9
福井県
26,884
5,239
19.5
327
1.2
16,010
59.6
1,774
6.6
3,534
13.1
939,311 526,371
56.0
5,410
0.6 139,994
14.9 264,412
28.1
3,124
0.3
岐阜県
55,343
19,470
35.2
49
0.1
12,234
22.1
22,849
41.3
741
1.3
東
海 静 岡 県 334,033 251,477
75.3
4,581
1.4
16,283
4.9
59,907
17.9
1,785
0.5
愛 知 県 398,001 193,887
48.7
57,191
14.4 146,659
36.8
264
0.1
三 重 県 151,934
61,537
40.5
780
0.5
54,286
35.7
34,997
23.0
334
0.2
1,010,450 183,218
18.1
1,818
0.2 773,623
76.6
23,300
2.3
28,491
2.8
滋賀県
81,928
32,451
39.6
27,141
33.1
16,304
19.9
6,032
7.4
京都府
90,513
20,522
22.7
64,206
70.9
1,744
1.9
4,041
4.5
近 畿 圏 大 阪 府 546,332
77,127
14.1
1,818
0.3 450,524
82.5
3,220
0.6
13,643
2.5
兵 庫 県 267,822
46,802
17.5
214,255
80.0
2,032
0.8
4,733
1.8
奈良県
18,629
6,201
33.3
12,390
66.5
38
0.2
和歌山県
5,226
115
2.2
5,107
97.7
4
0.1
219,218
31,196
14.2
5,542
2.5 157,155
71.7
3,001
1.4
22,324
10.2
鳥取県
11,445
419
3.7
10,377
90.7
649
5.7
島根県
25,573
2,613
10.2
21,103
82.5
1,857
7.3
中
国
岡山県
88,698
21,456
24.2
55,837
63.0
2,900
3.3
8,505
9.6
広島県
71,730
5,721
8.0
5,542
7.7
56,520
78.8
101
0.1
3,846
5.4
山口県
21,772
987
4.5
13,318
61.2
7,467
34.3
38,353
19,037
49.6
15,590
40.6
515
1.3
3,212
8.4
徳島県
10,432
5,239
50.2
5,116
49.0
77
0.7
四
国香川県
4,153
75
1.8
4,078
98.2
愛媛県
22,622
13,342
59.0
6,068
26.8
3,212
14.2
高知県
1,146
381
33.2
328
28.6
438
38.2
0
0.0
349,680
74,709
21.4
5,570
1.6
90,217
25.8
179,184
51.2
福 岡 県 110,612
8,429
7.6
1,673
1.5
32,281
29.2
68,229
61.7
佐賀県
40,053
29,904
74.7
1,969
4.9
8,180
20.4
長崎県
25,496
1,433
5.6
114
0.4
11,141
43.7
12,808
50.2
九
州
熊本県
17,266
1,318
7.6
206
1.2
1,385
8.0
14,357
83.2
大 分 県 118,735
30,275
25.5
1,142
1.0
35,749
30.1
51,569
43.4
宮崎県
8,038
1,376
17.1
48
0.6
307
3.8
6,307
78.5
鹿児島県
29,480
1,974
6.7
2,387
8.1
7,385
25.1
17,734
60.2
沖
縄
1,142
7
0.6
0
0.0
0
0.0
1,100
96.3
35
3.1
(出所)国土交通省「2009年度国際航空貨物動態調査」
合計
(㎏)
34
(3 ) ア ジ ア 主 要 空 港 と の ハ ブ 空 港 争 い の 激 化
世界の空港の国際線ランキングをみると、成田空港は、航空旅客数が直近最
高 の 6 位( 2006 年 )か ら 09 年 に は 8 位 に ラ ン ク を 下 げ て い る( 図 表 31( 1))。
ま た 、航 空 貨 物 取 扱 量 は 、05 年 の 2 位 か ら 06 年 に は 仁 川 国 際 空 港 に 抜 か れ 3
位 と な り 、09 年 に は ド バ イ 国 際 空 港 に も 抜 か れ 4 位 と な っ て い る( 図 表 31( 2))。
も っ と も 、 成 田 空 港 よ り 上 位 の 空 港 の 航 空 貨 物 取 扱 量 を み る 際 に は 、成 田 空 港
の 貨 物 は 実 需 ( 実 際 に 輸 出 ・輸 入 さ れ る 貨 物 ) の ウ ェ イ ト が 高 い の に 対 し 、こ
れ ら の 空 港 で は ト ラ ン ジ ッ ト 貨 物( 仮 陸 揚 げ 貨 物 が 積 込 と 取 卸 の 各 段 階 で 統 計
上2重計上されている)の割合が多いことを割り引いてみる必要がある。
航 空 自 由 化 (オ ー プ ン ス カ イ )を 巡 る 最 近 の 動 き を み る と 、07〜 08 年 に か け て
韓国や香港、ベトナム、マレーシアなどと合意に至ったが、この時点では、首
都圏空港を除くベースの合意であった。
政 府 は 、「 新 成 長 戦 略 」( 10 年 6 月 18 日 閣 議 決 定 ) に 基 づ い て 、 首 都 圏 空 港
も 含 め た オ ー プ ン ス カ イ を 推 進 し て お り 、既 に ア メ リ カ や 韓 国 ほ か 計 8 か 国 と
の 間 で 首 都 圏 空 港 も 含 め た オ ー プ ン ス カ イ に 合 意 し た ( 図 表 32)。 今 後 も 東 ア
ジ ア・AS E A Nの 国・地域 を 最 優先 に 交 渉し 、主要国 と の 間で も 当 初予 定 通
り 11 年 度 中 の 合 意 を 目 指 す 、 と し て い る 。 こ う し た 世 界 的 な オ ー プ ン ス カ イ
の 流 れ も あ り 、ア ジ ア 圏 の 空 港( 図 表 33)の な か で 、ハ ブ 空 港 の 座 を め ぐ る 争
いはさらなる激化が見込まれる。
ハブ空港としての地位を確立することの重要性は、神戸港の歴史を振り返る
と 良 く 分 か る 。 神 戸 港 は 、 95 年 1 月 に 発 生 し た 阪 神 ・ 淡 路 大 震 災 前 の 94 年 に
は コ ン テ ナ 取 扱 量 が 世 界 第 6 位 の 国 際 ハ ブ 港 と し て 栄 え 、中 国 を 始 め と す る ア
ジ ア 諸 港 か ら の 貨 物 を 集 積 し 、欧 米 航 路 に 積 替 え る ト ラ ン シ ッ プ 港 と し て の 役
割 を 果 た し て い た 。と こ ろ が 、震 災 の 影 響 で ハ ブ 機 能 が 一 気 に 低 下 し た こ と か
ら 、ア ジ ア か ら 集 荷 し て い た ト ラ ン シ ッ プ 貨 物 が 韓 国・ 釜 山 港 な ど へ シ フ ト し
て し ま っ た 。こ の た め 、震 災 前 に は 1 億 7 千 万 ト ン 前 後 あ っ た 神 戸 港 の 取 扱 貨
物 量 は 、 震 災 復 興 需 要 が 一 巡 し た 99 年 以 降 は 8 千 ト ン 〜 1 億 ト ン の レ ン ジ で
推 移 し て お り 、 直 近 の 10 年 も 8,553 万 ト ン と 震 災 前 の 94 年 ( 1 億 7,100 万 ト
ン ) と 比 べ て 半 減 の 状 況 と な っ て い る ( 図 表 34)。
35
図 表 31 世 界 の空 港 国 際 線 ラ ンキン グ(上 位 10 位 )
(1)航空旅客数(人)
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
1位
ヒースロー空港
(61,010,000)
ヒースロー空港
(61,348,340)
ヒースロー空港
(62,099,395)
ヒースロー空港
(61,345,549)
ヒースロー空港
(60,651,349)
2位
シャルル・ド・ゴール
国際空港(48,828,000)
シャルル・ド・ゴール
国際空港(51,888,936)
シャルル・ド・ゴール
国際空港(54,904,358)
シャルル・ド・ゴール
国際空港(55,825,413)
シャルル・ド・ゴール
国際空港(53,032,487)
3位
フランクフルト国際空港
(44,837,000)
スキポール空港
(45,940,939)
スキポール空港
(47,692,521)
スキポール空港
(47,349,392)
香港国際空港
(44,979,094)
4位
スキポール空港
(43,999,000)
フランクフルト国際空港
(45,697,176)
フランクフルト国際空港
(47,087,699)
香港国際空港
(47,140,600)
フランクフルト国際空港
(44,520,661)
5位
香港国際空港
(39,821,000)
香港国際空港
(43,274,765)
香港国際空港
(46,304,879)
フランクフルト国際空港
(46,707,577)
スキポール空港
(43,520,650)
6位
チャンギ国際空港
(30,291,000)
成田国際空港
(33,860,094)
チャンギ国際空港
(35,221,203)
ドバイ国際空港
(36,592,307)
ドバイ国際空港
(40,104,149)
7位
ガトウィック国際空港
(28,752,000)
チャンギ国際空港
(33,368,099)
成田国際空港
(34,237,175)
チャンギ国際空港
(36,288,050)
チャンギ国際空港
(36,088,996)
8位
成田国際空港
(26,969,000)
ガトウィック国際空港
(30,016,837)
ドバイ国際空港
(33,481,257)
成田国際空港
(32,323,947)
成田国際空港
(30,894,531)
9位
バンコク国際空港
(26,821,000)
スワンナムプール
国際空港(29,587,773)
スワンナムプール
国際空港(31,632,716)
ガトウィック国際空港
(30,433,937)
マドリード・バラハス
国際空港(29,066,144)
10位
仁川国際空港
(25,591,000)
ドバイ国際空港
(27,925,522)
ガトウィック国際空港
(31,140,044)
スワンナムプール
国際空港(30,103,661)
スワンナムプール
国際空港(28,834,623)
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
1位
香港国際空港
(3,408,000)
香港国際空港
(3,578,991)
香港国際空港
(3,741,827)
香港国際空港
(3,627,225)
香港国際空港
(3,349,693)
2位
成田国際空港
(2,233,000)
仁川国際空港
(2,307,817)
仁川国際空港
(2,523,677)
仁川国際空港
(2,386,472)
仁川国際空港
(2,267,551)
3位
仁川国際空港
(2,120,000)
成田国際空港
(2,235,548)
成田国際空港
(2,211,826)
成田国際空港
(2,058,633)
ドバイ国際空港
(1,846,249)
4位
アンカレッジ国際空港
(2,016,000)
アンカレッジ国際空港
(2,129,796)
フランクフルト国際空港
(2,030,169)
シャルル・ド・ゴール
国際空港(2,010,070)
成田国際空港
(1,810,448)
5位
チャンギ国際空港
(1,834,000)
フランクフルト国際空港
(1,996,632)
シャルル・ド・ゴール
国際空港(1,994,027)
フランクフルト国際空港
(1,962,706)
シャルル・ド・ゴール
国際空港(1,785,372)
6位
フランクフルト国際空港
(1,825,000)
チャンギ国際空港
(1,911,214)
チャンギ国際空港
(1,894,766)
浦東国際空港
(1,915,864)
浦東国際空港
(1,777,976)
7位
台北国際空港
(1,692,000)
シャルル・ド・ゴール
国際空港(1,832,283)
浦東国際空港
(1,825,574)
チャンギ国際空港
(1,856,939)
フランクフルト国際空港
(1,757,526)
8位
シャルル・ド・ゴール
国際空港(1,604,000)
浦東国際空港
(1,829,041)
アンカレッジ国際空港
(1,662,721)
ドバイ国際空港
(1,740,575)
チャンギ国際空港
(1,633,794)
9位
浦東国際空港
(1,602,000)
桃園国際空港
(1,686,423)
マイアミ国際空港
(1,610,895)
スキポール空港
(1,567,712)
桃園国際空港
(1,345,333)
10位
スキポール空港
(1,450,000)
スキポール空港
(1,526,501)
スキポール空港
(1,610,282)
マイアミ国際空港
(1,543,602)
マイアミ国際空港
(1,332,198)
(2)航空貨物取扱量(トン)
(出所)財)成田国際空港振興協会「成田空港ハンドブック」
図表 32 オープンスカイ政策の推進状況
(首都圏空港を含むベース、2011 年8月末時点)
○米国
2010年10月25日合意
○韓国
2010年12月22日合意
○シンガポール
2011年1月19日合意
○マレーシア
2011年1月19日合意
○香港
2011年5月19日合意
○ベトナム
2011年6月9日合意
○マカオ
2011年7月14日合意
○インドネシア
2011年8月12日合意
(出所)国土交通省
36
図 表 33 アジ アの主 要 な国 際 空 港 の概 要
空港名
(開港年)
都市
都心からの距離
滑走路
公共交通機関
(アクセス時間)
66km
成田国際空港
4,000m
電車・特急
(1978年)
2,500m
(東京駅まで61分)
東京
20km
3,000m
羽田空港
3,000m
電車
(1931年)
2,500m (東京駅まで28分)
40km
4,000m
仁川国際空港
3,750m
バス・タクシー
(2001年)
3,750m
(40分)
ソウル
17km
3,600m
金浦国際空港
地下鉄・タクシー
3,200m
(1953年)
(40分)
2,502m
バス(60分)
30km
4,000m
上海浦東国際空港
上海
3,800m リニアモーターカー
(1999年)
3,400m
(7分)+地下鉄
25km
3,800m
北京首都国際空港
北京
3,800m
タクシー(50分)
(1958年)
3,200m リムジンバス(60分)
34km
香港国際空港
3,800m
香港
鉄道(24分)
(1998年)
3,800m
バス(40分)
40km
台北桃園国際空港 3,800m
台北
タクシー(50分)
(1979年)
3,801m
リムジンバス(60分)
20km
シンガ チャンギ国際空港 4,000m
鉄道(27分)
ポール
4,000m
(1981年)
タクシー(35分)
バス(45分)
(出所)各種資料からちばぎん総合研究所が作成
20,000
(万トン)
2009年実績(成田国際空港・羽田空港・
チャンギ国際空港は2009年度)
発着回数
旅客数
取扱貨物量
(回)
(人)
(トン)
国際線
就航先
187,051
32,847,453
1,962,600
35か国3地域
98都市
335,602
62,091,082
740,039
8か国2地域
19都市
198,918
28,549,770
2,313,002
115,895
15,369,944
230,115
2か国
3都市
−
32,102,549
2,543,394
30か国
61都市
−
65,372,012
1,475,649
49か国
77都市
488,505
45,558,807
3,385,313
43か国
112都市
139,399
21,616,729
1,345,333
−
245,536
38,610,797
1,700,892
43か国
115都市
60か国
200都市
図表 34 神戸港の取扱貨物量の推移
17,100
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,553
8,000
6,000
4,000
2,000
0
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10
(年)
(出所)神戸市
37
(4 ) 東 日 本 大 震 災 ・ 放 射 能 汚 染 に よ る 風 評 被 害
① 航空旅客数が大幅減少
2011 年 3 月 11 日 に 発 生 し た 東 日 本 大 震 災 及 び 福 島 第 一 原 発 事 故 に よ る 放 射
能 汚 染 の 影 響 に よ り 、成 田 空 港 の 航 空 旅 客 数 は 大 幅 減 少 し た ( 前 年 同 月 比 : 3
月 ▲ 28.9% → 4 月 ▲ 37.7% )。4 月 の 同 減 少 率 は S A R S( 新 型 肺 炎 )が 流 行 し
た 03 年 5 月 の 同 減 少 率( 同 ▲ 37.2% )を 上 回 る 過 去 最 大 の 下 げ 幅 と な っ た( 図
表 35)
。そ の 後 、航 空 旅 客 数( 前 年 同 月 比 )は 、5 月 ▲ 28.4% 、6 月 ▲ 24.3% と
持ち直しの動きとなっているが依然二桁のマイナスで先行き不透明感が強い。
震災後の成田空港における日本人出入国者数の減少率(前年同期比)は、震
災 直 後 ( 3/11 〜 31 ): ▲ 36 % → 4 月 ( 4/1 〜 27 ): ▲ 30 % → G W 期 間 中 ( 4/28 〜
5/8): ▲ 11% と 減 少 幅 が 徐 々 に 縮 小 し 、 G W 後 の 5/9〜 5/31 に ▲ 26% と 一 時 的
に 落 ち 込 ん だ も の の 、 6 月 : ▲ 22% 、 7 月 ( 7/1〜 18): ▲ 15% と 減 少 幅 は 縮 小
傾 向 と な っ て い る( 図 表 36)。一 方 、外 国 人 出 入 国 者 数 の 減 少 率 は 、4 月( 4/1
〜 27) に は 同 ▲ 67% と パ ニ ッ ク 的 な 落 ち 込 み と な り 、 G W 以 降 に も ▲ 50% を 挟
んで一進一退の動きとなるなど外国人の日本離れは根強い。
日本政府観光局(JNTO)によると、訪日外客数は震災の起きた3月には
前 年 同 月 比 ▲ 50% と な り 、 4 月 に は 同 ▲ 63% と 減 少 幅 が 拡 大 し た ( 図 表 38)。
4 月 の 同 減 少 率 は 「 香 港 」 が 同 ▲ 88% と 最 も 高 く 、 次 い で 「 イ ス ラ エ ル ( 同 ▲
84% )」、「 シ ン ガ ポ ー ル ( 同 ▲ 83% )」 と な っ て い る 。 同 減 少 率 は 、 5 月 に は ▲
50% 、 6 月 ( 推 計 値 ) は 同 ▲ 36% と 減 少 幅 は 縮 小 し て い る が 、 依 然 と し て マ イ
ナス幅は大きい。
成田空港の国際線発着回数(前年比)は、4月からGWまでは前年比▲1割
程 度 で 推 移 し 、 G W 明 け 以 降 の 5 月 に 同 ▲ 16% と 落 ち 込 ん だ あ と は 、 6 月 : ▲
12% 、7 月( 7/1〜 18)
:▲ 8 % と 徐 々 に 落 ち 着 き を 取 り 戻 し つ つ あ る( 図 表 37)。
70
(%)
60
50
図 表 35 成 田 空 港 の航 空 旅 客 数 (前 年 同 月 比 )の推 移
08年9月
リーマン
ショック
発生
03年3月
SARS
発生
09年4月
新型インフ
ルエンザ
発生
11年3月
東日本
大震災
発生
40
30
20
10
0
▲ 10
▲ 20
2011年4月の減少率
▲37.7%は過去最高
▲ 30
▲ 40
03年
04年
05年
06年
07年
(出所)成田国際空港㈱「空港運用状況」
38
08年
09年
10年
11年
図 表 36 震 災 後 の成 田 空 港 の出 入 国 者 数 (前 年 同 月 比 )
(震災前)
3/1
(%) 〜10
3/11
〜31
4/1
〜27
(GW期間)
4/28
〜5/8
5/9
〜31
6/1
〜30
7/1
〜18
0
▲ 10
▲ 20
▲ 11
▲ 15▲ 15
▲ 30
▲ 26
▲ 30
▲ 40
▲ 15
▲ 22
▲ 36
▲ 50
▲ 47
▲ 47
▲ 60
▲ 49
▲ 45
▲ 57
▲ 70
▲ 67
日本人
外国人
▲ 80
(出所)成田国際空港㈱
図 表 37 震 災 後 の成 田 空 港 の国 際 線 発 着 回 数 (前 年 同 月 比 )
(震災前)
3/1
(%) 〜10
3/11
〜31
4/1
〜27
(GW期間)
4/28
〜5/8
5/9
〜31
6/1
〜30
7/1
〜18
0
▲2
▲1
▲4
▲6
▲5
▲8
▲8
▲ 10
▲ 12
▲ 11
▲ 12
▲ 12
▲ 14
▲ 16
▲ 16
▲ 18
(出所)成田国際空港㈱
39
図 表 38 震 災 前 後 の訪 日 外 客 数 の推 移 ( 2 01 1年 1〜 6月 )
(単位:人、%)
1月
総
ア ジ
前年
同月比
2月
前年
同月比
3月
前年
同月比
4月
前年
同月比
5月
前年
同月比
6月
前年
同月比
数 714,099
12 679,398
2 352,666 ▲ 50 295,826 ▲ 63 357,783 ▲ 50 433,100 ▲ 36
計 555,875
13 539,829
2 252,412 ▲ 50 220,195 ▲ 63 264,991 ▲ 51
韓
国 268,368
16 231,640
17 89,115 ▲ 47 63,790 ▲ 66 84,014 ▲ 58 103,800 ▲ 42
中
国 99,131
8 105,362 ▲ 13 62,449 ▲ 49 76,164 ▲ 50 58,608 ▲ 48 61,500 ▲ 41
台
湾 97,115
8 93,446 ▲ 11 42,093 ▲ 53 35,800 ▲ 67 67,958 ▲ 41 87,700 ▲ 23
香
港 34,410
13 49,311 ▲ 6 14,115 ▲ 61
5,774 ▲ 88 11,584 ▲ 72 28,500 ▲ 40
タ
イ 11,412
16 13,597
37 11,718 ▲ 59
8,001 ▲ 78
8,457 ▲ 50
7,500 ▲ 25
シンガポール
9,034
37 12,474
16
6,290 ▲ 53
2,360 ▲ 83
6,999 ▲ 54
8,900 ▲ 50
マレーシア
6,789
45
9,133
15
5,483 ▲ 55
3,462 ▲ 70
4,139 ▲ 60
4,700 ▲ 43
イ
ン
ド
6,056
5
4,693
17
3,475 ▲ 35
4,715 ▲ 15
5,140 ▲ 35
4,500 ▲ 23
フ ィ リ ピ ン
6,612
1
4,643
3
4,532 ▲ 43
5,706 ▲ 34
4,989 ▲ 42
インドネシア
5,014
34
4,109
22
3,863 ▲ 40
2,874 ▲ 58
3,550 ▲ 31
ベ ト ナ ム
3,151
15
3,371
27
3,220 ▲ 30
3,787 ▲ 5
2,636 ▲ 15
イスラエル
638 ▲ 11
489 ▲ 20
470 ▲ 76
359 ▲ 84
426 ▲ 52
ヨ ー ロ ッ パ 計 55,026
7 54,864
2 36,937 ▲ 56 28,891 ▲ 65 33,264 ▲ 54
イ ギ リ ス 13,323
9 14,119 ▲ 10 10,127 ▲ 43
8,010 ▲ 57
8,629 ▲ 42
8,500 ▲ 30
フ ラ ン ス
9,330
14
8,999
3
5,798 ▲ 56
5,472 ▲ 69
5,864 ▲ 57
5,900 ▲ 39
ド
イ
ツ
7,705
12
8,564
17
4,950 ▲ 65
3,268 ▲ 68
4,391 ▲ 60
4,900 ▲ 43
ロ
シ
ア
4,063 ▲ 1
3,263
33
2,091 ▲ 53
1,646 ▲ 67
2,049 ▲ 52
2,000 ▲ 47
イ タ リ ア
3,726
6
3,450
4
2,310 ▲ 63
1,274 ▲ 77
1,543 ▲ 70
ス ペ イ ン
1,663 ▲ 6
1,768 ▲ 9
1,241 ▲ 71
943 ▲ 65
993 ▲ 69
オ ラ ン ダ
2,087
5
2,152
1
1,445 ▲ 53
1,231 ▲ 58
1,484 ▲ 51
スウ ェー デン
2,026
6
1,722 ▲ 7
1,344 ▲ 60
1,149 ▲ 62
1,455 ▲ 40
ス
イ
ス
1,337
2
1,428
7
968 ▲ 64
823 ▲ 72
922 ▲ 58
フィンランド
1,009 ▲ 15
1,077 ▲ 1
833 ▲ 57
671 ▲ 56
722 ▲ 46
ベ ル ギ ー
953
7
1,021
15
651 ▲ 54
542 ▲ 69
700 ▲ 48
オーストリア
1,200
35
903 ▲ 4
503 ▲ 64
287 ▲ 76
380 ▲ 71
デンマーク
1,053
16
1,142
5
708 ▲ 59
456 ▲ 57
648 ▲ 45
アイルランド
877
6
697
2
572 ▲ 47
471 ▲ 46
529 ▲ 39
ノルウェー
756
4
853
33
598 ▲ 59
387 ▲ 48
416 ▲ 36
ポルトガル
456 ▲ 13
594 ▲ 21
331 ▲ 61
163 ▲ 81
259 ▲ 64
ア フ リ カ 計
1,832
14
1,369 ▲ 14
1,089 ▲ 38
1,195 ▲ 30
1,247 ▲ 30
北 ア メ リ カ 計 64,225
4 56,934
1 47,907 ▲ 46 36,051 ▲ 57 47,563 ▲ 42
ア メ リ カ 51,706
6 45,135
3 38,934 ▲ 46 29,788 ▲ 56 40,770 ▲ 38 50,700 ▲ 29
カ
ナ
ダ 10,847 ▲ 3 10,326 ▲ 10
7,852 ▲ 48
5,292 ▲ 66
5,779 ▲ 60
6,100 ▲ 41
メ キ シ コ
1,161 ▲ 16
1,116
12
803 ▲ 58
694 ▲ 52
731 ▲ 57
南アメリカ計
2,965
15
2,394
19
1,674 ▲ 49
1,422 ▲ 63
1,619 ▲ 51
ブ ラ ジ ル
1,738
26
1,118
25
852 ▲ 54
836 ▲ 64
866 ▲ 46
オ セ ア ニ ア 計 34,118
13 23,945
5 12,627 ▲ 45
8,044 ▲ 62
9,067 ▲ 48
オーストラリ
30,689
14 21,467
4 10,853 ▲ 47
6,490 ▲ 65
7,406 ▲ 49
9,400 ▲ 42
ア
ニュージーランド
3,222
10
2,288
9
1,628 ▲ 33
1,407 ▲ 49
1,521 ▲ 38
無国籍・その他
58
35
63 ▲ 22
20 ▲ 62
28 ▲ 58
32 ▲ 35
(注)1.出所:日本政府観光局
2.1〜5月は暫定値、6月は推計値。
ア
40
② 風評被害への対応
震 災 後 、エ ー ル フ ラ ン ス 航 空( フ ラ ン ス )が 成 田 − パ リ 間 を 仁 川 空 港( 韓 国 )
経由に切り替えたり、ルフトハンザ・ドイツ航空(ドイツ)が成田発着便を関
西 国 際 空 港 に 振 り 替 え た り す る と い っ た 動 き が 目 立 っ た ( 図 表 39 )。 こ れ は 航
空 機 の 乗 組 員 が 、余 震 が 続 い て 放 射 能 汚 染 の 可 能 性 が あ る 成 田 空 港 周 辺 に 滞 在
す る こ と を 敬 遠 し た こ と に 対 応 し た も の で 、例 え ば 、エ ー ル フ ラ ン ス 航 空 で は
仁川空港で自国の乗組員を入れ替えるためだけに仁川空港を経由していた。
こ う し た 風 評 被 害 へ の 対 応 策 と し て 、成 田 国 際 空 港 ㈱ で は 、放 射 線 測 定 機 器
を N A A 情 報 通 信 セ ン タ ー ビ ル 5 階 屋 上 北 側 (設 置 地 上 高 24.5m )に 設 置 し 、
測 定 値 は 、 2011年 3 月 末 よ り 午 前 10時 と 午 後 7 時 に 公 表 し て お り 、 こ れ ま で 人
体 に 影 響 な い 水 準 で 推 移 し て い る 。また、成 田 空 港 に お け る 水 道 水 に つ い て は 、
千 葉 県 に 北 総 浄 水 場 の モ ニ タ リ ン グ 調 査( 毎 日 実 施 )を 依 頼 し 、飲 用 と し て 問
題ないことを確認している。
このような取り組みを受けて、国際民間航空機関(ICAO)は、国連機関
7 機 関 を 代 表 し て 、「 日 本 の 空 港 及 び 港 湾 の 周 辺 に お け る 放 射 線 モ ニ タ リ ン グ
は 、引 き 続 き 放 射 線 レ ベ ル が 健 康 上 十 分 に 安 全 な 範 囲 内 に あ る こ と を 示 し て い
る 」 と 安 全 宣 言 を 行 っ た ( 4 月 14日 )。
これらの対応により、現在の海外航空会社はほぼ通常ベースの運行(成田発
着 便 ) に 戻 っ て い る ( エ ー ル フ ラ ン ス 航 空 は 4月 10日 に 成 田 直 行 便 を 再 開 )。
図 表 39 震 災 後 の主 要 海 外 航 空 の対 応
ルフトハンザ・ドイツ航空(ドイツ) 成田発着便を関空・中部に振り替え
アリタリア航空(イタリア)
成田発着便を関空に振り替え
エールフランス航空(フランス)
成田−パリ便を韓国・仁川経由に変更
エバー航空(台湾)
成田便を週10便から7便に減便
デルタ航空(アメリカ)
羽田−デトロイト、ロサンゼルス便を運休。成田便は通常通り運航
シンガポール航空(シンガポール)
羽田−シンガポール便を減便
(出所)各種データよりちばぎん総合研究所が作成。
41
③ 成 田 国 際 空 港 ㈱ の 決 算 見 通 し ( 2011 年 度 )
2011 年 度 の 航 空 機 発 着 回 数 は 18.3 万 回 ( 前 年 度 比 ▲ 4.2 % )、 航 空 旅 客 数 は
2,714万 人 ( 同 ▲ 16.5% )、 航 空 貨 物 量 は 205万 ト ン ( 同 ▲ 1.0% ) と 何 れ も 前 年
度 比 マ イ ナ ス の 見 通 し と な っ て い る ( 図 表 40)。
航 空 旅 客 数 は 、 震 災 及 び 福 島 第 一 原 発 事 故 以 降 の 減 少 傾 向 が 11年 4 〜 6 月 ま
で続くとみられている。その後は、多くのエコノミストの経済予測と同様に、
復 興 需 要 に よ る 日 本 経 済 の 回 復 に 伴 っ て 、11年 度 末 に か け て 概 ね 震 災 後 の レ ベ
ルまで回復する見通し。
過 去 の 例 を み る と 、 03年 3 月 に S A R S が 発 生 し た 際 に は 、 翌 4 月 の 航 空 旅
客 数 は 前 年 同 月 比 ▲ 26.9% と 落 ち 込 み 、10月 ま で 前 年 実 績 を 割 り 込 む 水 準 で 推
移 し た が 、 同 年 7 月 に W H O が 新 型 肺 炎 制 圧 宣 言 を し た こ と も あ っ て 、 11月 に
は 同 プ ラ ス に 転 じ た 。こ の よ う に 航 空 旅 客 は 、減 少 し た 原 因 と な る 事 象 が 解 決
さ れ れ ば 回 復 に 向 か う も の で あ る 。従 っ て 、今 回 の 場 合 に は 、航 空 需 要 が 元 に
戻るかどうかは福島第一原発問題の終息にかかっている。
一 方 、 航 空 貨 物 量 は 、 震 災 等 の 影 響 は 限 定 的 で あ り 、 通 年 で は 10年 度 並 み に
回復する見通し。
11年 度 の 連 結 決 算 で は 、 営 業 収 益 が 1,664億 円 ( 前 年 度 比 ▲ 11.4% )、 営 業 利
益 107 億 円 ( 同 ▲ 66.6 % )、 経 常 利 益 22 億 円 ( 同 ▲ 90.6 % )、 当 期 純 利 益 ▲ 10 億
円 と 04年 4 月 に 民 営 化 さ れ て 以 来 初 め て と な る 最 終 赤 字 を 計 上 す る 見 通 し( 図
表 41)。
図 表 40 成 田 国 際 空 港 の航 空 取 扱 量 に ついて
2009年度
実績
2010年度
実績
2011年度
見通し
2009年度比
(%)
2010年度比
(%)
航 空 機 発 着 回 数 (万回)
18.7
19.1
2.3
18.3
▲ 4.2
航 空 旅 客 数 (万人)
3,285
3,252
▲ 1.0
2,714
▲ 16.5
航 空 貨 物 量 (万トン)
196
207
5.4
205
▲ 1.0
(注)1.出所:成田国際空港㈱プレス資料
2.航空機発着回数及び航空旅客量は、第一四半期の実績が期初の見通しを上回って推移していることから
2011年8月4日に上方修正された。
図 表 41 成 田 国 際 空 港 の連 結 決 算 の概 要
(単位:億円)
2009年度
実績
2010年度
実績
2009年度比
(%)
2011年度
見通し
2010年度比
(%)
営
業
収
益
1,798
1,878
4.5
1,664
▲ 11.4
営
業
利
益
213
320
50.1
107
▲ 66.6
経
常
利
益
125
234
86.9
22
▲ 90.6
当 期 純 利 益
60
99
64.4
▲ 10
−
(出所)成田国際空港㈱プレス資料
42
III. 成 田 空 港 の 強 み ・ 課 題 の 整 理
近 年 の 成 田 空 港 の 環 境 変 化 を み る と 、ア ジ ア の 人 口 増 加 に 伴 う 航 空 旅 客 数
の 増 大 な ど 成 田 空 港 を 活 か し た ビ ジ ネ ス チ ャ ン ス が み ら れ る 反 面 、羽 田 空 港
の再国際化など成田空港にとって脅威となりうる動きも少なくない。
これらのビジネスチャンスを成田空港や空港周辺地域をはじめ千葉県経
済 全 体 に取 り 込 み、脅威 の部 分 を 克服 し て いく た め には 、成 田空 港 の 強み を
さらに強化するとともに、課題についての対応が求められる。
そ こ で 、成 田 空 港 を 取 り 巻 く 環 境 変 化 を 踏 ま え て 、同 港 の 強 み と 課 題 に つ
い て 以 下 に 整 理 し た ( 図 表 42)。
図表 42 成田空港を取り巻く環境変化と成田空港の強み・課題の整理
成田空港を取り巻く環境変化
( 新たな時代の到来 )
成田空港の強み・課題
【機会(チャンス)】
【成田空港の強み】
成田空港の航空機発着枠30万回の地元合意
全世界に広がる豊富な国際線ネットワーク
アジアの人口増加と
訪日外国人3,000万人プログラムの推進
空港周辺地域における産業集積
(物流関連施設・ホテル)
LCCによる新たな航空需要の創出
空港内の高い雇用吸収力
総合特区制度の活用による地域活性化の可能性
災害リスク(地震・津波)が少ない
【脅
威】
【成田空港の課題】
羽田空港の再国際化
東京都西部・羽田空港への
アクセス利便性が悪い
地方空港から海外空港への直行便増加
国内定期便が少ない(8都市9路線29便/日)
アジア主要空港とのハブ空港争いの激化
厳しいセキュリティチェック
東日本大震災・放射能汚染による風評被害
輸出額の国内シェアが縮小
周辺地域への経済波及効果が限定的
成田空港をバックアップする
経済界の広域的な支援組織がない
43
1.成田空港の強み
(1 ) 全 世 界 に 広 が る 豊 富 な 国 際 線 ネ ッ ト ワ ー ク
① 国際線航空旅客の国内シェアは約6割
成 田 空 港 の 2009 年 度 の 国 際 線 航 空 旅 客 数( 通 過 客 含 む )の 構 成 比 は 56.5%
と 国 内 で は 圧 倒 的 な シ ェ ア と な っ て い る ( 同 構 成 比 : 関 西 国 際 空 港 19.0% 、
中 部 国 際 空 港 8.3% 、 図 表 43)。
00 年 度 以 降 の 成 田 空 港 の 同 構 成 比 を み る と 、03 年 度 の 67.2% が ピ ー ク で 、
そ の 後 は 、 中 部 国 際 空 港 の 供 用 開 始 ( 05 年 2 月 ) や 、 羽 田 空 港 が 02 年 度 の
0.3% か ら 09 年 度 の 5.5%( 02 年 度 比 + 5.2 ポ イ ン ト )に 増 加 し た こ と か ら 、
09 年 度 に は 56.5% に 水 準 を 切 り 下 げ て い る 。
一 方 、 09 年 度 の 国 内 線 航 空 旅 客 数 ( 同 ) の 構 成 比 は 、 1 空 港 あ た り で は 、
「 羽 田 空 港 」 が 33.4% と 最 多 と な っ て い る 。 成 田 空 港 の 同 構 成 比 は 0.7% と
「 関 西 国 際 空 港 ( 2.2% )」 や 「 中 部 国 際 空 港 ( 2.8% )」 と 比 べ て も 少 な く な
っている。
図 表 43 航 空 旅 客 数 の構 成 比
成田国際空港
中部国際空港
国際線 国内線
関西国際空港
国際線 国内線
(単位:%)
4空港以外
羽田空港
国際線 国内線
国際線 国内線
国際線 国内線
2000年度
12.2
58.5
0.4
0.0
0.0
0.0
9.1
28.0
4.3
24.9
2.1
30.7
53.8
11.4
64.6
2001年度
10.9
59.2
0.4
0.0
0.0
0.0
8.2
26.8
4.2
26.2
2.3
31.4
54.6
11.7
64.1
2002年度
12.6
64.8
0.6
0.0
0.0
0.0
7.1
23.7
3.4
26.2
0.3
32.1
54.1
11.2
64.0
2003年度
11.7
67.2
0.6
0.0
0.0
0.0
6.0
22.4
2.7
27.2
0.9
32.5
55.1
9.5
64.2
2004年度
13.3
63.1
0.6
0.6
1.3
0.4
6.5
23.2
2.2
26.4
1.8
32.7
53.2
10.7
64.0
2005年度
12.5
57.0
0.6
4.8
9.5
3.6
6.6
21.0
2.7
25.5
2.5
31.7
50.5
10.0
61.5
2006年度
12.5
56.8
0.6
4.6
9.6
3.2
6.4
20.2
2.7
26.1
3.0
32.3
50.4
10.4
61.2
2007年度
12.7
56.6
0.6
4.6
9.7
3.1
6.5
19.7
2.9
26.4
3.6
32.7
49.9
10.4
60.7
2008年度
12.2
56.2
0.6
4.4
9.4
3.1
6.3
19.5
2.7
27.2
4.8
33.1
50.0
10.1
60.5
2009年度
12.9
56.5
0.7
4.0
8.3
2.8
5.9
19.0
2.2
27.3
5.5
33.4
49.9
10.7
60.9
(注)1.出所:国土交通省「空港管理状況調書」
2.全国は「拠点空港」、「地方官吏空港」「共用空港」の合計。
② 日本人出国者・外国人入国者が国内トップ
日 本 人 出 国 者 及 び 外 国 人 入 国 者 の 構 成 比( 2010 年 )を み る と 、成 田 空 港 が
日 本 人 出 国 者 ( 52.4 % )、 外 国 人 入 国 者 ( 44.4 % ) と も に 最 多 と な っ て い る
( 図 表 44、 45)。
日 本 人 出 国 者 の 前 年 比 増 加 率 ( 10 年 ) を み る と 、 同 年 10 月 に 再 国 際 化 さ
れ た「 羽 田 空 港 」が 53.0% と 突 出 し て い る ほ か 、「 新 千 歳( 11.2% )」も 二 桁
増 加 し て い る 。 一 方 、 外 国 人 入 国 者 の 同 増 加 率 は 、「 那 覇 空 港 」 が 59.7% と
最 も 高 く 、 次 い で 「 福 岡 空 港 ( 51.1% )」、「 羽 田 空 港 ( 46.6% )」 と な っ て い
る 。 成 田 空 港 の 前 年 比 増 加 率 ( 10.8% ) を 上 回 っ て い る 空 港 は 上 位 10 空 港
中 7 空 港 と な っ て お り 、 そ の 他 の 空 港 ( 地 方 空 港 ) で も 同 + 62.6% と 大 幅 増
加 し て い る こ と か ら み て 、外 国 人 入 国 者 は 成 田 空 港 以 外 に 分 散 化 し て い る こ
とがみてとれる。
44
図 表 44 日 本 人 出 国 者 の推 移
2006年
総
空
2007年
2008年
2009年
2010年
数 17,534,565 17,294,935 15,987,250 15,445,684 16,637,224
港
対前年
構成比%
増加率
7.7
100.0
計 17,347,447 17,106,974 15,791,408 15,240,225 16,450,005
7.9
98.9
1 成
田
9,635,750
9,547,579
8,751,487
8,280,595
8,713,493
5.2
52.4
2 関
西
3,861,140
3,687,939
3,336,644
3,184,158
3,349,189
5.2
20.1
3 中
部
1,925,890
1,973,782
1,782,085
1,575,891
1,639,549
4.0
9.9
4 羽
田
422,838
679,279
640,043
780,022
1,193,742
53.0
7.2
5 福
岡
702,383
465,695
632,848
675,549
731,705
8.3
4.4
6 広
島
135,551
135,219
113,454
115,553
124,046
7.3
0.7
7 新
歳
110,389
101,858
90,152
102,541
113,991
11.2
0.7
8 仙
台
102,270
87,661
76,695
72,289
77,885
7.7
0.5
9 新
潟
72,366
70,168
65,918
71,521
71,049
▲ 0.7
0.4
10 那
覇
50,757
49,050
41,716
46,096
45,417
▲ 1.5
0.3
他
328,113
308,744
260,366
336,010
389,939
16.0
2.3
そ
千
の
(出所)法務省「出入国管理統計統計表」
図 表 45 外 国 人 入 国 者 の推 移
2006年
総
空
2007年
2008年
2009年
2010年
数 8,107,963 9,152,186 9,146,108 7,581,330 9,443,696
港
対前年
構成比%
増加率
24.6
100.0
計 7,606,687 8,485,920 8,447,772 7,146,672 8,740,804
22.3
92.6
1 成
田 4,015,727 4,375,849 4,282,759 3,788,734 4,196,291
10.8
44.4
2 関
西 1,471,413 1,647,188 1,641,457 1,349,099 1,745,355
29.4
18.5
3 羽
田
344,497
441,477
533,489
512,164
750,831
46.6
8.0
4 中
部
515,603
596,392
596,394
415,420
506,636
22.0
5.4
5 福
岡
386,514
432,750
426,098
319,999
483,651
51.1
5.1
歳
266,651
300,549
310,830
297,700
362,597
21.8
3.8
7 那
覇
64,500
83,542
106,366
87,693
140,080
59.7
1.5
8 仙
台
59,296
80,504
64,580
46,278
55,003
18.9
0.6
9 広
島
43,241
47,994
43,916
34,274
37,182
8.5
0.4
10 新
潟
42,526
41,324
38,118
27,986
28,462
1.7
0.3
他
396,719
438,351
403,765
267,325
434,716
62.6
4.6
6 新
そ
千
の
(出所)法務省「出入国管理統計統計表」
45
③ 国際線航空貨物量の国内シェアは約7割
2009 年 度 の 成 田 空 港 の 国 際 線 航 空 貨 物 量 ( 構 成 比 ) は 69.8% と 国 内 で は
圧 倒 的 な シ ェ ア と な っ て い る( 同 構 成 比 : 関 西 国 際 空 港 21.2% 、中 部 国 際 空
港 4.2% 、 図 表 46)。
00 年 度 以 降 の 成 田 空 港 の 同 構 成 比 を み る と 、中 部 国 際 空 港 の 供 用 開 始( 05
年 2 月 ) の 影 響 な ど か ら 、 中 部 国 際 空 港 が 開 港 す る 前 の 03 年 度 ( 72.2% )
か ら 09 年 度 の 69.8% に か け て ▲ 2.4 ポ イ ン ト 水 準 を 切 り 下 げ て い る 。 こ の
間 、関 西 国 際 空 港 は 、00 年 度 の 31.3% か ら 09 年 度 の 21.2%( 00 年 比 ▲ 10.1
ポイント)までシェアが大幅に低下している。
09 年 度 の 国 内 線 航 空 貨 物 量 ( 構 成 比 ) は 、 1 空 港 あ た り で は 「 羽 田 空 港
( 38.7% )」が 最 多 と な っ て い る 。一 方 、成 田 空 港 は 0.2% と「 関 西 国 際 空 港
( 2.1% )」や「 中 部 国 際 空 港( 1.8% )」と 比 べ て も 少 な い 水 準 と な っ て い る 。
図 表 46 航 空 貨 物 量 の構 成 比
(単位:%)
成田国際空港
中部国際空港
国際線 国内線
関西国際空港
国際線 国内線
羽田空港
国際線 国内線
4空港以外
国際線 国内線
国際線 国内線
2000年度
39.5
64.3
0.5
0.0
0.0
0.0
20.7
31.3
4.1
14.0
1.0
34.5
25.7
3.4
60.8
2001年度
39.2
64.9
0.5
0.0
0.0
0.0
19.8
30.3
3.9
14.6
1.0
35.1
26.4
3.8
60.5
2002年度
45.5
71.2
0.5
0.0
0.0
0.0
17.1
25.1
3.2
13.1
0.0
36.0
24.3
3.6
60.4
2003年度
46.0
72.2
0.9
0.0
0.0
0.0
16.7
24.8
2.7
13.3
0.0
36.2
24.0
3.0
60.2
2004年度
46.1
70.9
0.5
0.5
0.6
0.3
17.1
25.3
2.0
13.1
0.0
37.1
23.2
3.1
60.1
2005年度
43.1
66.3
0.4
5.3
6.9
2.2
16.2
23.7
2.3
13.1
0.1
37.1
22.3
2.9
58.0
2006年度
42.9
67.0
0.3
5.4
7.2
2.2
15.5
22.8
2.4
13.6
0.2
37.4
22.6
2.8
57.7
2007年度
42.6
67.1
0.3
4.8
6.2
2.2
16.2
23.9
2.9
13.9
0.2
37.6
22.5
2.6
57.1
2008年度
39.6
68.5
0.2
3.4
4.5
2.0
15.3
24.1
3.2
16.1
0.4
37.6
25.6
2.5
57.0
2009年度
42.0
69.8
0.2
3.3
4.2
1.8
13.5
21.2
2.1
15.8
0.6
38.7
25.4
4.2
57.2
(注)1.出所:国土交通省「空港管理状況調書」
2.全国は「拠点空港」、「地方官吏空港」「共用空港」の合計。
46
④ 成 田 空 港 か ら し か 渡 航 で き な い 国 は 13 か 国 44 都 市
成 田 空 港 の 2011 年 の 週 間 出 発 国 際 便 数 ( 構 成 比 ) を み る と 、「 ア ジ ア 」 が
59.0 % ( う ち 中 国 は 31.9 % ) と 最 も 多 く 、 次 い で 、「 南 北 ア メ リ カ 方 面
( 22.0 % )」、「 ヨ ー ロ ッ パ 方 面 ( 11.5 % )」、「 中 近 東 ・ オ セ ア ニ ア 方 面
( 7.5% )」 と な っ て い る ( 図 表 47)。
00 年 以 降 の 同 構 成 比 を 時 系 列 で み る と 、 ア ジ ア が 00 年 の 44.1% か ら 11
年 の 59.0% に か け て 14.9 ポ イ ン ト 増 加 し て い る の に 対 し 、 南 北 ア メ リ カ 方
面 は 、同 36.0% か ら 22.0%( 同 ▲ 14.0 ポ イ ン ト )に 水 準 を 切 り 下 げ て い る 。
同 構 成 比 を 旅 客 便 ・ 貨 物 便 別 に み る と 、 貨 物 便 で は ア ジ ア が 11 年 に は
65.7% ( 00 年 比 + 18.7 ポ イ ン ト ) と 大 幅 増 加 し て い る の に 対 し 、 ア メ リ カ
は 同 24.3% ( 同 ▲ 20.1 ポ イ ン ト ) に 大 き く 減 少 し て い る 。 ま た 、 00 年 か ら
11 年 に か け て 旅 客 便 が 増 加 し て い る の は ア ジ ア( 11 年 57.7% 、00 年 比 + 14.4
ポイント)のみとなっている。このように、近年の流れとして、国際的分業
の 進 展 に 伴 う 製 造 業 の 生 産 拠 点 の ア ジ ア へ の 移 転 な ど か ら 、国 際 便 数 は 欧 米
からアジアにシフトしている。
成 田 空 港 の 国 際 線 航 空 定 期 便 数 ( 11 年 7 月 ダ イ ヤ ) を み る と 、 世 界 36 か
国 98 都 市 に 503 便 の 航 空 定 期 便 を 就 航 し て い る( 図 表 48)。成 田 空 港 の 国 際
線 航 空 定 期 便 数 ( 503 便 ) は 、 関 西 国 際 空 港 ( 21 か 国 56 都 市 227 便 ) や 中
部 国 際 空 港 ( 12 か 国 30 都 市 103 便 )、 羽 田 空 港 ( 9 か 国 18 都 市 111 便 ) の
3 港 合 計 ( 441 便 ) よ り 多 く な っ て い る 。 ま た 、 成 田 空 港 か ら し か 渡 航 で き
な い 国 は 、カ ナ ダ や メ キ シ コ 、オ ー ス ト リ ア 、ス イ ス な ど 13 か 国 、都 市 は 、
ボ ス ト ン ( ア メ リ カ ) や バ ン ク ー バ ー ( カ ナ ダ )、 ミ ラ ノ ( イ タ リ ア )、 モ ス
ク ワ ( ロ シ ア )、 な ど 44 都 市 と な っ て い る 。
図 表 47 成 田 空 港 週 間 出 発 国 際 便 数 〔構 成 比 〕
南北アメリカ方面
旅客 貨物
うちアメリカ
計 旅客 貨物
ヨーロッパ方面
計 旅客 貨物
2000年 33.7 44.4 36.0 27.2 43.8 30.7 13.7
アジア
計 旅客 貨物
(単位:%)
中近東
・オセアニア方面
うち中国
計 旅客 貨物
計 旅客 貨物
計
7.6 12.4 43.3 47.0 44.1 16.2 24.7 18.0
9.2
1.0
7.5
2001年 28.9 43.6 32.0 23.6 43.6 27.9 13.0 10.9 12.6 48.7 44.9 47.8 18.2 21.1 18.8
9.4
0.7
7.6
2002年 22.9 36.2 25.7 20.8 36.2 24.0 11.7
8.2 11.0 55.0 55.3 55.1 26.0 26.7 26.2 10.3
0.3
8.3
2003年 23.2 35.7 25.8 20.5 35.7 23.7 11.9
6.9 10.9 54.2 56.5 54.7 27.2 28.8 27.5 10.7
0.8
8.6
2004年 22.7 36.0 25.3 20.7 36.0 23.7 11.8
6.6 10.8 54.7 57.3 55.2 28.3 29.4 28.5 10.8
0.0
8.7
2006年 22.6 33.8 24.8 20.8 33.8 23.4 11.8
8.4 11.1 56.4 57.8 56.7 29.2 29.6 29.3
9.3
0.0
7.4
2007年 21.5 34.7 24.0 19.5 34.7 22.4 11.4
8.5 10.9 57.3 56.7 57.2 31.0 30.0 30.8
9.8
0.0
7.9
2008年 21.5 29.3 22.9 19.6 29.3 21.4 11.5
9.7 11.1 57.1 61.1 57.9 30.7 33.5 31.2
9.9
0.0
8.1
2009年 21.3 25.0 21.9 19.3 25.0 20.2 11.8 10.3 11.5 58.1 64.7 59.2 31.0 46.9 33.7
8.8
0.0
7.4
2011年 21.5 24.3 22.0 19.1 24.3 20.0 11.8 10.1 11.5 57.7 65.7 59.0 29.7 44.0 31.9
9.0
0.0
7.5
(注)1.出所:成田国際空港㈱
2. 各年は4月ダイヤにより集計
3.香港は中国に含む
4.2005年、20010年はデータ欠損。
47
図 表 48 国 際 線 航 空 定 期 便 数 (2011 年 7月 ダイヤ)
(単位:便)
国名
都市名/空港名 成田 関西 中部 羽田 その他 合計
国名
上海/虹橋
上海/浦東
北 京
香 港
廈 門
武 漢
広 州
済 州
西 安
深 圳
瀋 陽
成 都
大 連
重 慶
長 春
青 島
天 津
煙 台
昆 明
済 南
清 州
南 京
都市名/空港名 成田 関西 中部 羽田 その他 合計
ー
0
0
14
8
0
22
ロサンゼルス
26
20
0
0
30
76
アトランタ
25
10
6
8
16
65
ラスベガス
22
14
6
8
8
58
サンアントニオ
2
0
0
0
0
2
サンディエゴ
2
0
0
0
2
4
シアトル
6
2
2
0
2
12
シカゴ/オヘア
ソルトレイクシティ
2
4
2
0
4
12
2
2
2
0
0
6
ダレス
2
2
0
0
0
4
デンバー
アメリカ
(24)
4
2
2
0
2
10 北
トロント
6
2
2
0
0
10 米
ヒューストン
・
中国
8
6
2
0
16
32 南
ボストン
(15)
2
0
0
0
0
2 米
ポートランド
2
2
2
0
0
6
ミネアポリス
ローリー・ダーラム
2
4
2
0
2
10
ワシントン/ダレス
0
0
2
0
4
6
0
2
0
0
0
2
オークランド
0
2
0
0
0
2
グアム
0
2
0
0
0
2
サイパン
0
2
0
0
0
2
カルガリー
カナダ
(2)
0
2
0
0
0
2
バンクーバー
哈爾浜(ハルビン)
0
2
0
0
2
4
ティファナ
メキシコ
(2)
福 州
0
2
0
0
0
2
メキシコシティ
無 錫
0
2
0
0
0
2 北米・南米 計
パリ/シャルル・ド・ゴール
台北/松山
0
0
0
16
0
16
フランス ニューカレドニア/ヌーメア
ア
台北/桃園
22
16
8
0
18
64
(3)
ジ
タヒチ/パペーテ
高 雄
4
0
2
0
0
6
台湾
ア
(5)
南 京
2
0
0
0
0
2
イギリス ロンドン/ヒースロー
杭 州
2
0
0
0
0
2
オランダ
アムステルダム
マカオ
2
2
0
0
0
4
オーストリア
ウィーン
コペンハーゲン コペンハーゲン
ソウル/仁川
28
16
10
6
60 120
韓国
ソウル/金浦
0
14
2
24
0
40
スイス
チューリッヒ
(2)
釜 山
10
6
2
0
10
28 ヨ
フランクフルト
ドイツ
(2)
デリー
4
2
0
0
0
6
ミュンヘン
インド
ロ
(2)
ベルゲン
ムンバイ
2
3
0
0
0
5
ノルウェー
(2)
ラクセルブ
ジャカルタ
6
0
0
0
0
6 パ
インドネシア
(2)
デンパサール
2
2
2
0
0
6
フィンランド
ヘルシンキ
シンガポール シンガポール
14
6
2
8
2
32
ミラノ
イタリア
(2)
スリランカ
コロンボ
4
0
0
0
0
4
ローマ
バンコク
21
6
4
6
2
39
モスクワ
タイ
(2)
プーケット
1
0
0
0
0
1
ウラジオストク
ロシア
(4)
イスラマバード
2
0
0
0
0
2
ハバロフスク
パキスタン
ユジノサハリンスク
カラチ
2
0
0
0
0
2
(3)
ウズベキスタン
ラホール
2
0
0
0
0
2
タシュケント
マニラ
10
4
4
0
2
20 ヨーロッパ 計
フィリピン
(2)
セブ
2
0
0
0
0
2
ドバイ
アラブ首長国
連邦(2)
8
2
2
0
2
14
アブダビ
ベトナム ホーチミン・シティ
中
(2)
ハノイ
4
2
2
0
2
10
イラン
テヘラン
東
クアラルンプール
6
2
0
2
0
10
トルコ
イスタンブール
マレーシア
コタキナバル
0
2
0
2
0
4
カタール
ドーハ
クチン
0
2
0
0
0
2中 東 計
モルディブ
マ-レ
1
0
0
0
0
1
シドニー
オースト
モンゴル
ウランバートル
2
2
0
0
0
4 大 ラリア(3)
ケアンズ
アジア 計
276 175
84
88 186 809 洋
ゴールドコースト
サンフランシスコ
8
2
0
2
0
12 州 パラオ共和国
パラオ
北
パプアニューギニア ポートモレスビー
デトロイト
2
0
2
2
0
6
米
アメリカ
ニューヨーク/ジョン・F.ケネディ
・
10
4
0
2
0
16 大洋州 計
(24)
南
ニューヨーク/ニューアーク
計
2
0
0
0
0
2合
米
ホノルル
19
6
4
6
0
35
(注)1.出所:㈱交通新聞社「JR時刻表(2011年7月号)」のデータからちばぎん総合研究所が作成。
2.2011年7月1〜31日のダイヤ。
3.到着便及び出発便をそれぞれ1便として集計(1週間の累計ではない)。
4.網掛けは成田空港しか路線がない国際航空便(44便)及び国名(13か国)。
5.国名のカッコ内は成田国際空港の路線数(2路線以上)。
ッ
48
14
2
0
2
1
4
8
2
6
2
4
2
5
2
2
2
4
2
14
6
2
4
2
2
135
10
2
2
10
4
2
2
2
6
4
1
1
2
2
6
4
2
2
2
4
70
2
2
2
2
2
10
4
2
2
2
2
12
503
2
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
8
2
0
0
0
0
26
2
2
0
0
2
0
0
0
2
0
0
0
2
0
2
0
0
0
0
0
12
2
0
0
2
2
6
4
2
2
0
0
8
227
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
6
0
0
0
0
0
13
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
4
0
2
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
103
4
2
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
19
2
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
111
0
20
0
4
0
1
0
2
0
1
0
6
0
8
0
2
0
6
0
2
0
4
0
2
0
5
0
2
0
2
0
2
0
5
0
2
12
40
0
8
0
2
0
4
0
2
0
2
12 205
0
14
0
4
0
2
0
12
0
6
0
2
0
2
0
2
0
10
0
4
0
1
0
1
0
6
0
2
0
8
0
4
0
2
0
2
2
4
0
4
2
92
0
4
0
4
0
2
0
4
0
4
0
18
0
8
0
4
0
4
0
2
0
2
0
20
200 1,144
(2 ) 空 港 周 辺 地 域 に お け る 産 業 集 積 ( 物 流 関 連 施 設 ・ ホ テ ル )
① 物流関連施設
成 田 空 港 及 び 空 港 周 辺 地 域 の 保 税 蔵 置 場 ( 2011 年 7 月 末 現 在 ) は 、 成 田 空
港 内 に 35 か 所 、成 田 空 港 外 に 53 か 所( 成 田 市 : 18 か 所 、芝 山 町 : 33 か 所 、
多 古 町 2 か 所 ) の 計 88 か 所 と な っ て お り 、 羽 田 空 港 内 ( 16 か 所 ) や 市 川 市
原 木:旧 T A C T( 8 か 所 )と 比 べ て も 圧 倒 的 な 規 模 と な っ て い る( 図 表 49)。
成 田 空 港 外 の 保 税 蔵 置 場 の う ち 42 社 45 か 所( 11 年 1 月 1 日 現 在 )は 空 港
周 辺 と り わ け 空 港 の 南 1k m に 位 置 す る 南 部 工 業 団 地 ( 芝 山 町 ) に 集 中 し 、
国 内 最 大 級 の 物 流 拠 点 と な っ て い る ( 図 表 51)。
成田空港内の貨物取扱施設をみると、貨物ターミナル地区及び南部貨物地
区 、 整 備 地 区 貨 物 上 屋 、 天 浪 三 角 地 ( 7 貨 物 ビ ル : 08 年 10 月 供 用 開 始 ) の
4 か 所 に 延 べ 床 面 積 295,200 ㎡ ( う ち 上 屋 面 積 : 206,600 ㎡ ) の 施 設 が 整 備
さ れ ( 図 表 50)、 航 空 貨 物 の 年 間 処 理 能 力 は 245 万 ト ン と な っ て い る 。 航 空
機 発 着 回 数 30 万 回 を 達 成 し た 際 の 理 論 上 の 航 空 貨 物 量 は 300 万 ト ン と 現 行
の 処 理 能 力 を 上 回 る 可 能 性 も あ る が 、① 足 元 の 航 空 貨 物 需 要 は 強 い 増 加 基 調
に な い こ と 、② 南 部 貨 物 地 区 に 余 剰 設 備 が あ る こ と( 30 万 ト ン の 取 扱 処 理 能
力 に 対 し 10 万 ト ン 程 度 が 未 使 用 )、 ③ 第 4 貨 物 ビ ル の 施 設 に も 空 き が あ る こ
と、④第7貨物ビル横の天浪三角地に物流施設を建設する予定があること
( 時 期 未 定 )、 ⑤ 空 港 周 辺 の フ ォ ワ ー ダ ー 設 備 に も 余 剰 感 が あ る こ と 、 な ど
から当面の運用は問題ない(物流関係者)とみる向きが多い。
図 表 49 東 京 税 関 管 轄 の保 税 蔵 置 場 (2011 年 7月 末 現 在 )
成田空港及び空港周辺地域
立地
旧TACT 羽田空港
域外
域内
成田市
域外
芝山町
東京航空
貨物出張所
(成田航空貨物出張所)
(管轄)
保税蔵置場数
(箇所)
88
35
18
域内
多古町 市川市原木
33
2
羽田
税関支署
8
16
(出所)東京税関のデータをもとにちばぎん総合研究所が作成。
図 表 50 貨 物 ビ ル等 の延 床 面 積 と貨 物 事 業 者 の推 移
350,000
(㎡)
300,000
250,000
延床面積
貨物事業者
420
(社)
295,200
360
233,600
300
306
200,000
240
260
150,000
180
100,000
120
50,000
60
0
0
2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
(年)
(出所)財団法人 成田国際空港振興協会「2011成田空港ハンドブック」
49
図 表 51 成 田 空 港 周 辺 の物 流 施 設
(出所)成田国際空港㈱
50
② ホテル
成 田 空 港 周 辺 に は 、 県 内 最 大 の ホ テ ル 群 ( 2010 年 : 20 施 設 / 計 7,596 室 )
が 集 積 し て い る (〔 参 考 〕 東 京 デ ィ ズ ニ ー リ ゾ ー ト の ホ テ ル 群 : 9 施 設 /
5,568 室 、 浦 安 市 産 業 振 興 ビ ジ ョ ン 〔 10 年 3 月 〕、 図 表 52、 53)。
成 田 空 港 が 開 港 し た 78 年 時 点 の ホ テ ル は 、6 施 設 2,737 室 で あ っ た が 、そ
の 後 、 80 年 代 後 半 か ら 90 年 代 半 ば に か け て 、 国 際 航 空 需 要 の 高 ま り や バ ブ
ル 景 気 ( 86 年 12 月 〜 91 年 2 月 ) の 追 い 風 も あ っ て 、 ホ テ ル の 建 設 ラ ッ シ ュ
が 続 い た 。95 年 に は 、空 港 周 辺 ホ テ ル で は 最 大 規 模 の「 マ ロ ウ ド イ ン タ ー ナ
シ ョ ナ ル ホ テ ル 成 田( 801 室 )」が オ ー プ ン す る な ど 、急 速 に ホ テ ル の イ ン フ
ラ 整 備 が 進 み 、 00 年 に は 17 施 設 / 6,789 室 と な っ た 。
そ の 後 も 、 04 年 に 「 コ ン フ ォ ー ト ホ テ ル 成 田 」 が オ ー プ ン し た ほ か 、 09
年 に は「 リ ッ チ モ ン ド ホ テ ル 成 田( 207 室 )」や「 ア パ ホ テ ル( 京 成 成 田 駅 前 )
( 458 室 )」が 相 次 い で オ ー プ ン す る な ど 、成 田 空 港 周 辺 ホ テ ル の 施 設 数 及 び
客室数は、近年においても増加している。
図 表 52 成 田 空 港 周 辺 ホ テル及 び客 室 数 の推 移
8,000
(室)
7,000
客室数(左軸)
ホテル数(右軸)
7,596 24
(施設)
21
6,000
20 18
5,000
15
4,000
12
3,000
9
2,000
6
1,000
3
0
0
92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10
(年)
(出所)成田国際空港㈱「NARITA AIRPORT2010」
51
図 表 53 成 田 空 港 周 辺 ホ テルの客 室 数
(2010年10月現在)
客室数
開業年
成田ビューホテル
501
1974年
ホリデイ・イン東武成田(開業時:成田プラザホテル)
484
1975年
ラディゾンホテル成田エアポート
490
1978年
ホテル日航成田
722
1978年
成田エアポートレストハウス
209
1978年
東横イン成田空港
331
1978年
成田エクセルホテル東急
712
1985年
248
1986年
メルキュールホテル成田※
※
102
1987年
成田U−シティホテル
ANAクラウンプラザホテル成田
396
1989年
ホテルスカイコート成田
100
1991年
成田ポートホテル
307
1992年
※
245
1992年
成田菊水ホテル
ヒルトン成田
548
1993年
マロウドインターナショナルホテル成田
801
1995年
463
1996年
インターナショナルガーデンホテル成田※
130
2000年
センターホテル成田※
※
142
2004年
コンフォートホテル成田
※
207
2009年
リッチモンドホテル成田
458
2009年
アパホテル(京成成田駅前)※
合 計
7,596
ホテル名
(注)1.出所:成田国際空港㈱「NARITA AIRPORT2007」ほか
2.※は成田駅周辺。
52
(3 ) 成 田 空 港 内 の 強 い 雇 用 吸 収 力
成 田 空 港 内 の 従 業 員 数 ( 2008 年 11 月 調 査 ) は 、 48,404 人 と な っ て い る 。
こ の 水 準 は 、 成 田 市 内 の 全 従 業 者 数 ( 86,098 人 : 06 年 事 業 所 ・ 企 業 統 計 調
査 ) の 56.2% に 相 当 す る ( 図 表 54)。
前 回 調 査( 05 年 11 月 )と 比 べ る と 、事 業 区 分 別 に は 、06 年 か ら 07 年 に か
け て 免 税 ブ ラ ン ド モ ー ル が 相 次 い で オ ー プ ン し た こ と か ら 、物 品 販 売 業 が 前
回 調 査 比 + 35.3% 、 飲 食 業 が 同 + 10.6% と 二 桁 増 加 し て い る こ と が 目 立 つ ほ
か 、 航 空 機 サ ー ビ ス 業 も 同 + 18.9% 増 加 し て い る 。
居 住 地 別 に み る と 、 成 田 空 港 圏 の 増 加 率 が 同 + 14.0% と 最 も 高 く 、 と り わ
け 成 田 市 以 外 が 同 + 27.1 と 増 加 率 が 突 出 し て お り 、空 港 が 立 地 し て い る 成 田
市以外の周辺地域にも同港の強い雇用吸収力が働いている。
図 表 54 空 港 内 従 業 員 数 の推 移
1984年
10月
合
1993年
6月
1996年
7月
1999年
7月
2002年
12月
2005年
11月
(単位:人、%)
2008年
11月 前回調査比
計
22,198
39,549
39,603
41,977
45,763
47,461
48,404
2.0
官公署
3,552
4,279
6,447
4,674
4,853
4,748
4,811
1.3
航空運送事業
9,372
14,984
13,469
13,886
13,118
12,336
10,433
▲ 15.4
事 航空機サービス業
業 旅客サービス業
区
分 貨物サービス業
別 その他サービス業
4,010
7,489
7,395
7,475
8,578
9,124
10,851
18.9
781
2,915
2,894
3,324
4,348
5,006
5,483
9.5
1,391
2,921
4,334
5,555
6,457
6,886
6,204
▲ 9.9
1,453
3,799
3,808
4,255
5,407
5,914
6,342
7.2
飲食業
955
1,819
1,406
1,463
1,493
1,553
1,717
10.6
物品販売業
684
1,343
1,650
1,345
1,509
1,894
2,563
35.3
18,047
26,067
33,429
35,327
38,880
40,252
41,553
3.2
-
17,437
17,663
18,487
20,462
21,956
25,020
14.0
7,271
12,001
12,000
12,661
13,725
15,133
16,350
8.0
千葉県
成田空港圏
居
住
地
別
成田市
成田市以外
その他県内
-
5,436
5,663
5,826
6,737
6,823
8,670
27.1
-
16,205
15,766
16,840
18,418
18,296
16,533
▲ 9.6
茨城県
427
714
890
1,008
1,115
1,214
1,219
0.4
東京都
2,540
3,492
3,433
3,866
3,959
4,177
4,192
0.4
その他
1,184
1,701
1,851
1,776
1,809
1,818
1,440
▲ 20.8
(出所)成田国際空港㈱「NARITA AIRPORT2010」
53
(4 ) 災 害 リ ス ク ( 地 震 ・ 津 波 ) が 少 な い
国 土 交 通 省 で は 、 東 日 本 大 震 災 に よ り 、 仙 台 空 港 ( 標 高 1.7m ) が 漂 流 物
の 散 乱 や 浸 水 等 の 大 き な 津 波 被 害 を 被 っ た こ と か ら 、2011 年 6 月 に「 空 港 の
津 波 対 策 検 討 委 員 会 ( 委 員 長 : 轟 日 本 大 学 理 工 学 部 社 会 交 通 工 学 科 教 授 )」
を立ち上げた。これまで、国土交通省は、空港を対象とした津波被害は想定
し て こ なか っ た ため 、仙 台空 港 で の被 災 と その 復 旧 状況 な ど を踏 ま え て、沿
岸 部 に 位 置 す る 標 高 20m 以 下 の 38 空 港 ( 図 表 55) に お け る ソ フ ト ・ ハ ー ド
面を含む総合的な津波対策のあり方の検討を始めた。
検 討 対 象 と な る 38 空 港 の な か に は 、 羽 田 空 港 ( 標 高 6.4m ) や 関 西 国 際 空
港 ( 同 5.3m )、 中 部 国 際 空 港 ( 同 3.8m ) が 含 ま れ て お り 、 国 際 空 港 の な か
では、唯一内陸部に立地している成田空港のみが検討対象外で、津波のリス
クには晒されていない。
また、成田空港は、北総台地の丘陵地帯に位置している。同地帯は活断層
が な く 地盤 が 強 固な た め、地 震 な どの 災 害 にも 強 い とい わ れ てお り、東日 本
大 震 災 に お い て も 、成 田 市 が 県 内 で は 最 高 と な る 震 度 6 弱 を 記 録 し た に も か
かわらず、建物全壊の被害はわずか4棟に留まった。
このように成田空港が地震や津波に対するリスクが少ない内陸部に立地し
て い る こ と は 、 災 害 時 の わ が 国 の 航 空 部 門 の 事 業 継 続 計 画 ( business
continuity plan〔 B C P 〕) を 策 定 す る う え で も 大 き な 強 み と 考 え る 。
図 表 55 沿 岸 部 に立 地 する空 港 一 覧
(出所)国土交通省航空局
54
2.成田空港の課題
(1 ) 東 京 都 西 部 や 神 奈 川 県 ・ 羽 田 空 港 ま で の ア ク セ ス 利 便 性 が 悪 い
① 交通手段はバス類が約4割で最多
成 田 空 港 を 利 用 す る 航 空 旅 客 の 交 通 手 段 ( 2010 年 3 月 ) を み る と 、 自 動 車
類 が 56.0% と 最 も 多 く 、と り わ け バ ス 類 が 41.5% と 突 出 し て い る( 図 表 56)。
一 方 、 鉄 道 類 の 構 成 比 は 38.9% で 、 京 成 電 鉄 が 24.2% と J R ( 14.7% ) よ
り多くなっている。
10 年 7 月 に は 、 成 田 空 港 と 日 暮 里 を 最 速 36 分 で 結 ぶ 「 成 田 ス カ イ ア ク セ
ス 」が 開 業 し 、ア ク セ ス 面 が 従 前 比 改 善 さ れ た 。10 年 9 月 時 点 の ア ク セ ス 状
況 ( N A A 調 べ ) を み る と 、 京 成 電 鉄 の シ ェ ア が 26.2% と 2010 年 3 月 比 +
2.0 ポ イ ン ト 上 昇 し て い る 。 こ の 間 、 バ ス 類 の シ ェ ア が 36.7% ( 同 ▲ 4.8 ポ
イ ン ト)と 落 ち 込ん で い るこ と か ら、主に 東京 北 部 や埼 玉 方 面の 利 用 者が バ
ス か ら 利 便 性 の 高 い 成 田 ス カ イ ア ク セ ス に シ フ ト し た も の と み ら れ る( 京 成
電 鉄 )。
図 表 56 成 田 空 港 への アクセス交 通 実 態 調 査 (出 発 旅 客 )
2001年3月調査 2003年3月調査 2005年3月調査 2007年3月調査 2010年3月調査
構成比
構成比
構成比
構成比
構成比
人 数
人 数
人 数
人 数
人 数
(%)
(%)
(%)
(%)
(%)
類 14,561
41.0 15,101
40.3 16777
40.8 17,680
40.4 16,468
38.9
交通手段
鉄
道
J
う
京
ち
N
成
E
電
R
7,900
22.2
7,212
19.2
7,742
18.8
7,893
18.0
6,229
14.7
X
6,064
17.1
5,606
14.9
5,966
14.5
5,572
12.7
4,479
10.6
鉄
6,661
18.8
7,889
21.0
9,035
22.0
9,787
22.3
10,239
24.2
うちスカイライナー
自
2,512
7.1
3,023
8.1
3,375
8.2
3,451
7.9
3,262
7.7
類
20,451
57.6
21,144
56.4
22,822
55.5
24,859
56.7
23,724
56.0
類
15,063
42.4
15,354
40.9
16,591
40.4
18,660
42.6
17,593
41.5
うちリムジンバス
6,536
18.4
6,627
17.7
7,798
19.0
9,669
22.1
9,220
21.8
うちマイクロバス
動
車
バ
国
そ
合
ス
3,430
9.7
3,286
8.8
3,970
9.7
3,907
8.9
3,201
7.6
乗
用
車
類
5,209
14.7
5,489
14.6
5,954
14.5
5,911
13.5
4,816
11.4
貨
物
車
類
179
0.5
301
0.8
277
0.7
288
0.7
290
0.7
内
航
の
空
機
488
1.4
1,270
3.4
1,484
3.6
1,253
2.9
2,168
5.1
他
22
0.1
1
0.0
34
0.1
21
0.0
10
0.0
計
35,522
100.0
37,516
100.0
41,117
100.0
43,813
100.0
42,370
100.0
(出所)成田国際空港㈱「NARITA AIRPORT2010」
55
② 東京都西部や神奈川県へのアクセス状況
今回調査では、東京圏の市区町村ごとに市役所等の最寄駅から成田空港及
び羽田空港までの所要時間・交通料金を比較(調査の前提:平日の朝8時出
発 ) し 、 ① 成 田 空 港 へ の ア ク セ ス 時 間 が 短 い ( 10 分 超 ) グ ル ー プ 、 ② 羽 田 空
港 へ の ア ク セ ス 時 間 が 短 い( 10 分 超 )グ ル ー プ 、③ 成 田 空 港 と 羽 田 空 港 へ の
ア ク セ ス 時 間 に 大 差 が な い( 10 分 以 内 )グ ル ー プ の 3 グ ル ー プ に 分 類 し 、各
グループの人口構成比をみてみた。
そ の 結 果 を み る と 、上 記 ① の グ ル ー プ は 39 市 区 町 村 で 東 京 圏 の 人 口( 2010
年 10 月 現 在 : 3,560 万 人 ) に 占 め る 構 成 比 は 8.3% 、 ② の グ ル ー プ は 129 市
区 町 村 で 同 60.3% 、 ③ の グ ル ー プ は 75 市 区 町 村 で 同 31.4% で あ っ た ( 図 表
57、 58)。 こ の よ う に 、「 羽 田 空 港 が 近 い 」 人 口 の 割 合 は 、「 成 田 空 港 が 近 い 」
人口割合の7倍以上となっている。
具 体 的 に み る と 、千 葉 県 で は 、総 武 本 線「 都 賀 駅( 千 葉 市 若 葉 区 役 所 )」か
ら 成 田 空 港 ま で 57 分 / 650 円 ( 羽 田 空 港 ま で 90 分 / 1,350 円 ) と な る な ど
成 田 空 港の 優 位 性が 時 間・料 金 と もに 高 い 地域 が 多 かっ た が、南 房 総 地域 で
は大差がない地域が大半を占めた。また、埼玉県では、東武伊勢崎線「春日
部 駅 ( 春 日 部 市 役 所 )」 か ら 成 田 空 港 ま で 88 分 / 1,530 円 と 羽 田 空 港 ( 83 分
/ 1,130 円 ) と ほ ぼ 変 わ ら な い な ど 大 き な 差 異 は み ら れ な い 地 域 が 多 い 。 一
方、神奈川県では、横浜市交通局ブルーライン「港南中央駅(横浜市港南区
役 所 )」か ら 成 田 空 港 ま で 118 分 / 4,530 円( 羽 田 空 港 : 46 分 / 720 円 )か か
る な ど、成 田 空 港が 羽 田 空港 よ り 時間・料 金と も に 全域 で 大 幅に 劣 後 して い
る 。 ま た 、 東 京 都 に お い て も 京 浜 東 北 線 「 蒲 田 駅 ( 大 田 区 役 所 )」 か ら 成 田
空 港 ま で 84 分 / 3,080 円 と 羽 田 空 港( 27 分 / 510 円 )と 比 較 し て 大 幅 な 開 き
がある地域が多かった。このように、東京都西部地域や神奈川県から成田空
港へのアクセス利便性は羽田空港と比較すると依然として乏しいことが分
かった。
空港までのアクセス利便性は、多忙を極めるビジネスマンほど重要視して
お り、アク セ ス 利便 性 に 優れ た 羽 田空 港 の 発着 枠 が 広が れ ば、こ の 層 が羽 田
空 港 を 優先 的 に 利用 す る 可能 性 が 高い 。こ のこ と は、ビ ジ ネ スマ ン が 高単 価
のファーストクラスやビジネスクラスを利用する割合が高いことを踏まえ
る と、成田 空 港 及び 同 空 港の 発 着 便を 運 営 する 航 空 会社 に と って 、利 益率 の
高い顧客を失うことを意味している。
なお、今回調査した各駅から成田空港までの交通料金は、成田空港の場合
は 、成 田エ ク ス プレ ス な どの 特 急 料金 が か かる こ と が多 く、羽田 空 港 より 高
額となっている地域が多い。もっとも、両港の航空券価格を比較すると、成
田 空 港 が 羽 田 空 港 よ り 24〜 96% 安 い ( 図 表 59、 上 海 便 〔 往 復 最 安 運 賃 : 成
田 空 港 24,500 円 、 羽 田 空 港 48,000 円 ) こ と を 割 り 引 い て 考 え れ ば 、 成 田 空
港の交通料金の水準は羽田空港と比べても遜色ないと考えることもできる。
56
図表 57 成田空港と羽田空港へのアクセス時間の比較(2010 年人口構成比:東京圏)
(単位:人)
人口
市町村数
成田空港へのアクセス時間が短い
(10分超)グループ
羽田空港へのアクセス時間が短い
(10分超)グループ
成田空港と羽田空港へのアクセス時間
に大差がない(10分以内)グループ
2005年比
増減数
(人)
2005年比
増減率
(%)
2010年
構成比
(%)
2005年
2010年
2,882,113
2,939,553
57,440
2.0
8.3
129市区町村 20,717,721 21,473,810
736,212
3.6
60.3
75市区町村 10,850,464 11,182,171
351,584
3.1
31.4
39市区町村
(注)1.出所:総務省「国勢調査(各年10月1日現在)」及びヤフー路線情報などをもとにちばぎん総合研究所が作成。
2.各市区町村単位で各市役所等の最寄駅から各空港までの時間を検索(平日8時出発)。
3.渋滞などの時間が考慮できないため交通手段は電車のみ(路線バス等は含まない)。
4.東京都の島部は含まない。
図 表 58 成 田 空 港 と羽 田 空 港 への アクセス時 間 の比 較 (東 京 圏 )
成田空港へのアクセス時間が短い(10分超)グループ
羽田空港へのアクセス時間が短い(10分超)グループ
成田空港へと羽田空港へのアクセス時間に大差がない(10分以内)グループ
成田
成田国際空港
羽田空港
57
図 表 59 成 田 国 際 空 港 と羽 田 空 港 の航 空 券 価 格 の比 較
羽田発
(円)
成田発
(円)
価格差
(%)
上
海
48,000
24,500
96(↑)
北
京
38,000
22,800
66(↑)
香
港
46,000
32,500
41(↑)
ソウル
27,900
19,800
41(↑)
シンガポール
36,000
25,800
39(↑)
バンコク
38,000
29,800
27(↑)
パ
リ
53,000
53,000
0(→)
台
北
30,500
24,600
24(↓)
39,800
44,000
▲9(↓)
ロサンゼルス
(注)1.出所:日本経済新聞「2011年9月13日朝刊」
2.2011年10月上旬出発の航空券の往復最安運賃。
3.燃料特別付加運賃などは別。
4.カッコ内は2010年下旬との価格差との比較。
(↑は拡大、→は横ばい、↓は縮小)
58
③ 成 田 空 港 か ら 羽 田 空 港 ま で は 最 速 で も 85 分
成 田 空 港 か ら 羽 田 空 港 ま で の 所 要 時 間( 7 時 〜 22 時 台 ま で の 平 均 )を シ ミ
ュ レ ー シ ョ ン し て み る と 、 京 成 成 田 ス カ イ ア ク セ ス 利 用 時 に は 90 分 、 J R
成 田 エ ク ス プ レ ス 利 用 時 に は 109 分 と な っ て い る ( 図 表 60)。 京 成 成 田 ス カ
イ ア ク セ ス の 利 用 に よ り 、 J R 成 田 エ ク ス プ レ ス を 利 用 し た 時 よ り 19 分 短
く な っ た も の の 、 依 然 と し て 90 分 ( 最 速 は 16 時 台 の 85 分 ) か か っ て い る
ことから、両港間のアクセスは良好とは言いがたい状況にある。
世界の国際空港のなかでビジネスマンの満足度が高い空港と成田空港のア
ク セ ス 利便 性 の 満足 度( 千葉 県「 成田 空 港 を利 用 し たビ ジ ネ スパ ー ソ ンア ン
ケ ー ト 調 査 ( 10 年 10 月 )」) を み る と 、 満 足 度 が 最 も 高 い シ ン ガ ポ ー ル ・ チ
ャ ン ギ 空 港 の 74.7% と 成 田 空 港 ( 23.4% ) と は 51.3 ポ イ ン ト の 大 き な 格 差
が あ る ( 図 表 61、 62)。 こ れ は 、 今 ま で み て き た よ う に 、 東 京 都 西 部 や 神 奈
川県からのアクセスの悪さや羽田空港への乗り継ぎアクセスの利便性が乏
しいことが背景にあるものとみられる。
図 表 60 成 田 国 際 空 港 か ら羽 田 空 港 までの所 要 時 間
京成成田スカイアクセス
JR成田エクスプレス
(成田→日暮里→浜松町→羽田)
(成田→東京→浜松町→羽田)
出発時刻
8:17
9:59
10:39
11:59
12:39
13:59
14:39
15:39
16:39
17:19
18:10
19:12
20:10
21:08
22:18
(平均)
所要時間
102
90
90
86
91
86
86
86
85
92
90
87
93
95
90
90
出発時刻
7:31
8:13
9:15
10:45
11:15
12:16
13:15
14:15
15:15
16:15
17:16
18:15
19:45
20:44
(平均)
所要時間
132
118
110
107
107
98
100
101
104
109
104
105
118
108
109
(出所)ヤフー路線検索にてちばぎん総合研究所が作成
(調査日:2011年7月29日)。
59
図 表 61 成 田 空 港 と上 位 5空 港 の満 足 度 比 較
80
シンガポール・チャンギ空港
(%)
70
60
50
40
30
成田国際空港
20
商業施設
︵空 港 周 辺 を 含 む ︶
宿泊施設
シンガポール・チャンギ国際空港
香港国際空港
ロサンゼルス国際空港
空港内飲食店 ・
小 売 店 ・免 税 店
待 ち 時 間 のた め の
休憩施設
ビ ジ ネ スサ ポ ー ト
サー ビ ス
価 格 の安 さ ︵格 安 航 空
会 社 の乗 り 入 れ な ど ︶
飛 行 機 の運 航 ダ イ ヤ
出入国手続き
空 港 から 目 的 地 ま で の
ア ク セ ス利 便 性
10
仁川国際空港
ロンドン・ヒースロー空港
成田国際空港
(出所)千葉県「成田空港利用ビジネスパーソンアンケート調査(10年10月)」
図 表 62 アジ アの主 要 空 港 と成 田 空 港 の アクセス条 件 の比 較
空港名
(国名)
アクセス利便性
の満足度(%)
都心からの距離
(km)
アクセス交通施設
チャンギ国際空港
(シンガポール)
74.7
20
高速道路/バス(45分)/タクシー(35分)
/鉄道(27分)
仁川国際空港
(韓
国)
39.7
50
高速道路
バス・タクシー(60分)
香港国際空港
(中
国)
63.5
34
道路/鉄道(24分)/バス(40分)/高速
船(マカオ、深せん)
成田国際空港
23.4
66
一般道路/バス/タクシー/成田スカイアク
セス(成田空港⇔日暮里間:最速36分)
(出所)財団法人関西空港調査会「エアポートハンドブック2007」
アクセス利便性の満足度は、千葉県「成田空港利用ビジネスパーソンアンケート調査(10年10月)」
60
(2 ) 国 内 定 期 便 が 少 な い ( 8 都 市 9 路 線 29 便 / 日 )
成田空港の国内定期航空路線は、札幌、仙台、小松、中部、大阪(伊丹・
関 空 )、 広 島 、 福 岡 、 那 覇 の 8 都 市 9 路 線 に 29 便 / 日 が 運 航 さ れ て い る ( 図
表 63)。
一 方 、関 西 国 際 空 港 は 11 都 市 11 路 線 に 43 便 / 日 運 航 さ れ 、1 日 当 り の 便
数 は 成 田 空 港 の 約 1.5 倍 、 中 部 国 際 空 港 で は 17 都 市 17 路 線 に 74 便 / 日 が
運 航 さ れ 、 1 日 当 り の 便 数 は 成 田 空 港 の 約 2.5 倍 と な っ て い る 。
成田空港の国内線航空旅客数の推移を暫定平行滑走路が供用開始となった
2002 年 度 以 降 で み る と 、08 年 度 ま で は 、110 万 人 台 半 ば か ら 120 万 人 前 半 で
推 移 し て い た が 、 09 年 度 は 133 万 人 、 10 年 度 は 169 万 人 と 、 直 近 で は 、 成
田 空 港 の 国 内 線 需 要 は 増 加 傾 向 と な っ て い る ( 図 表 64)。
図 表 63 成 田 空 港 の国 内 定 期 航 空 路 線
成田国際空港
5便/日
札幌
稚内
女満別
旭川
函館
秋田
仙台
成田
羽田
新潟
小松
中部
中部国際空港
14便/日
1便/日
1便/日
2便/日
2便/日
6便/日
6便/日
2便/日
1便/日
13便/日
2便/日
2便/日
6便/日
4便/日
1便/日
伊丹
関空
大阪
関西国際空港
11便/日
1便/日
1便/日
1便/日
2便/日
松山
広島
2便/日
福岡
5便/日
大分
熊本
長崎
宮崎
鹿児島
那覇
2便/日
宮古
石垣
計
29便/日
(出所)各空港のホームページ(2011年9月ダイヤ)
3便/日
2便/日
12便/日
2便/日
3便/日
2便/日
3便/日
4便/日
10便/日
9便/日
1便/日
1便/日
43便/日
1便/日
74便/日
図表 64 成田空港の国内線航空旅客数の推移
1,800
1,691
(千人)
1,600
1,400
1,200
1,107
1,099
1,141
1,108
1,150
2002
(年度)
2003
2004
2005
2006
1,226
1,329
1,134
1,000
800
600
400
200
0
(出所)成田国際空港㈱「NARITA AIRPORT 2010」
61
2007
2008
2009
2010
(3 ) 厳 し い セ キ ュ リ テ ィ チ ェ ッ ク
成 田 空 港 の セ キ ュ リ テ ィ チ ェ ッ ク は 、空 港 開 港 ま で の 歴 史 的 経 緯 も あ っ て 、
日 本 国 内 の 空 港 で は 唯 一 の 検 問 が 実 施 さ れ て お り 、空 港 施 設 へ の 入 場 者 全 員
に 検 問 所 で の 身 分 証 明 書 の 提 示 が 課 せ ら れ て い る 。 さ ら に 、「 千 葉 県 警 察 成
田 国 際 空港 警 備 隊」が検 問所 と タ ーミ ナ ル 内を 巡 回 する な ど、厳 し い 警備 体
制が敷かれている。
検問所は、成田空港駅、空港第2ビル駅、東成田駅の出口改札と、空港施
設 に 入 る全 て の 道路 上 に 設置 さ れ てい る。自動 車 は、空 港 の 制限 区 域 入口 の
道 路 上 に有 料 道 路の 料 金 所と 同 等 の施 設 が 置か れ て おり 、全 ての 車( マイ カ
ー・タクシー・ホテルの送迎車・路線バスなど)が一時停車し、検問を受け
な け れ ばな ら ず、通 勤 時 間帯 な ど は検 問 の ため の 渋 滞が 頻 発 して い る。周 辺
ホ テ ル か ら 空 港 ま で 宿 泊 客 を 送 迎 す る 際 に 、「 朝 の 通 勤 時 間 帯 は 渋 滞 が ひ ど
く 、 宿 泊 客 か ら ク レ ー ム が で る こ と も あ る ( 空 港 周 辺 ホ テ ル 関 係 者 )」 と の
声も聞かれた。また、成田空港を頻繁に利用するビジネスマンのなかには、
「 検 問 の た び に ネ ガ テ ィ ブ な 気 持 ち に な る 」、「 鉄 条 網 や 警 備 の ゲ ー ト に つ
い て は 、テ ロ な ど の 脅 威 を 勘 案 し つ つ 、将 来 を 展 望 し て 是 非 を 検 討 す る べ き 」
といった声も寄せられている(千葉県「成田空港ビジネスニーズ調査報告
書 」)。
成田空港は、都心から遠いことに加えて、厳しいセキュリティチェックが
あ る こ と が 、「 成 田 空 港 に 行 っ て み よ う 」 と い う 消 費 者 行 動 を 阻 害 し て い る
側面がある。このため、成田空港の制限エリア外の商業・サービス施設の魅
力 を 向 上 さ せ る 取 り 組 み と と も に 、段 階 的 な セ キ ュ リ テ ィ チ ェ ッ ク の 緩 和 を
検討していく必要性もあるものと考える。
なお、成田空港関連のゲリラ事件発生状況をみると、成田空港が開港した
78 年 に は 、 過 激 派 が 管 制 塔 を 占 拠 ・ 破 壊 ( 3 月 26 日 ) し 、 開 港 の 延 期 を 余
儀 な く さ れ る な ど 合 計 123 件 の ゲ リ ラ 事 件 が 発 生 し た ( 図 表 65)。 そ の 後 、
90 年 初 ま で は 年 に よ っ て 増 減 が 見 ら れ る な か 6 〜 44 件 の 範 囲 で 推 移 し て い
た が 、93 年 以 降 は 10 件 を 下 回 る 水 準 が 続 き 、直 近 6 年 間( 04〜 09 年 )で は 、
08 年 の 1 件 の み と な っ て い る 。
図 表 65 成 田 空 港 関 連 の ゲリ ラ事 件 発 生 状 況 (2010 年 7 月 現 在 )
140
(件) 123
120
100
80
60
44
42
40
20
0
29
21
18
9
6
40
30 28
22
11
18 16
8 8 9
3 5 6 2
3 3 5 1 0 0 0 0 1 0
78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09
(年)
(出所)成田国際空港㈱「NARITA AIRPORT2010」
62
(4 ) 輸 出 額 の 国 内 シ ェ ア が 縮 小
成 田 空 港 の 国 際 貨 物 取 扱 量 の シ ェ ア を 時 系 列 で み る と 、 2001 年 の 64.9%
か ら 暫 定 平 行 滑 走 路 が 供 用 開 始 と な っ た 02 年 に は 71.2% ( 前 年 比 + 6.3 ポ
イ ン ト ) に 上 昇 し て い る ( 図 表 66)。 一 方 、 中 部 国 際 空 港 が 開 港 と な っ た 05
年 に は 66.3% と 同 ▲ 4.6 ポ イ ン ト 減 少 し 、 そ の 後 、 60% 台 後 半 で 漸 増 傾 向 と
なっている。このように、成田空港の国際航空貨物を数量ベースでみると、
他港の貨物取扱動向や自港の発着回数の増減によりシェアが増減している
ことが分かる。
一 方 、成田 空 港 の国 際 航 空貨 物 を 金額 ベ ー ス( 輸 出入額 )の構成 比 で みる
と 、04 年 の 77.2% か ら 減 少 基 調 を 辿 り 、09 年 に は 69.3% と 04 年 比 ▲ 7.9 ポ
イ ン ト 水 準 を 切 り 下 げ 、 10 年 ( 70.1% ) も ほ ぼ 横 ば い と な っ て い る 。
成 田 空 港 の 同 構 成 比 を 輸 出 額 ・ 輸 入 額 別 に み る と 、 輸 入 額 は 、 75% 前 後 で
ほ ぼ 横 ば い 推 移 し て い る の に 対 し 、 輸 出 額 は 、 04 年 の 78.1% か ら 10 年 の
66.8% ( 04 年 比 ▲ 11 .3 ポ イ ン ト ) ま で 大 幅 な 落 ち 込 み が 目 立 つ ( 図 表 67)。
04 年 か ら 10 年 に か け て の 成 田 空 港 の 輸 出 額 構 成 比 の 変 化( 04 年 比 増 減 率 )
を 品 目 別 に み る と 、「 飲 料 及 び た ば こ ( 04 年 比 ▲ 32.5 ポ イ ン ト )」 の 減 少 率
が 最 も 高 く 、次 い で 、「 鉱 物 性 燃 料( 同 ▲ 23.7 ポ イ ン ト )」、「 機 械 類 及 び 輸 送
用 機 器 ( 同 ▲ 18.7 ポ イ ン ト )」 と な っ て い る ( 図 表 68)。 3 港 合 計 の 輸 出 額
の 55.6% を 占 め て い る「 機 械 類 及 び 輸 送 用 機 器 」の 内 訳 を み る と 、成 田 空 港
は 、輸 送 用 機 器 は 同 ▲ 25.2 ポ イ ン ト 減 少 し て お り 、こ の 間 、中 部 国 際 空 港 の
同 構 成 比 が 同 + 23.7 ポ イ ン ト 上 昇 し て い る こ と か ら み て 、成 田 空 港 の 輸 送 用
機器の輸出需要が中部国際空港にシフトしたと考えられる。同様に、電気機
械( 成 田 空 港 ▲ 22.0 ポ イ ン ト → 関 西 国 際 空 港 + 17.8 ポ イ ン ト )、一 般 機 械( 成
田 空 港 ▲ 8.2→ 中 部 国 際 空 港 + 6.3% )も 成 田 空 港 の 需 要 が 関 西 国 際 空 港 及 び
中部国際空港にシフトしている。
こ の 背 景に は 、各空 港 が 立地 し て いる 3 大 都市 圏(首都 圏 及 び中 京 圏、近
畿圏)の産業構造の違いがある。3大都市圏の機械製造業の製造品出荷額及
び 製 造 品 出 荷 額 に 占 め る 構 成 比 ( 09 年 ) を み る と 、 輸 送 用 機 械 は 中 京 圏 が
19.8 兆 円 ( 全 国 に 占 め る 構 成 比 41.9% )、 電 気 機 械 は 近 畿 圏 が 3.2 兆 円 ( 同
23.4% )、 一 般 機 械 も 近 畿 圏 が 6.4 兆 円 ( 同 22.2% ) と 、 他 の 経 済 圏 よ り 製
造 品 出 荷 額 ・ 構 成 比 と も に 多 く な っ て い る ( 図 表 69)。 こ れ ら の 機 械 製 造 業
の製品の一部がそれぞれの生産拠点から近い関西国際空港や中部国際空港
を利用して輸出を行う向きが増えているものとみられる。一方、首都圏(特
に千葉県)における機械産業は、中部圏や近畿圏と比べて低位に留まり、成
田空港の輸出に占める「機械及び輸送用機器」のシェアが漸減している。
図 表 66 成 田 空 港 の航 空 貨 物 シェ ア(国 際 貨 物 取 扱 量 ・輸 出 入 額 )
85
(%)
輸出入額
80
75.0
75
76.2
77.0
77.2
74.5
73.0
72.4
70
71.2
65
64.3
64.9
国際貨物取扱量
72.2
71.3
70.0
69.8 70.1
70.9
66.3 67.0
67.1
68.5
69.3
60
00年 01年 02年 03年 04年 05年 06年 07年 08年 09年 10年
(資料)東京税関
63
図 表 67 国 際 空 港 の輸 出 入 額 のウ ェイト
≪輸出額≫
100%
2.3
90%
80%
28.7
2.2
1.7
1.3
1.3
22.7
20.3
20.7
20.6
5.8
7.0
6.9
6.3
5.2
4.9
20.8
23.6
25.4
28.5
29.5
28.3
73.4
69.5
67.7
65.3
65.3
66.8
05年
06年
07年
08年
09年
10年
70%
60%
50%
40%
30%
69.1
75.1
78.0
01年
02年
77.9
78.1
20%
10%
0%
00年
03年
04年
成田国際空港
関西国際空港
中部国際空港
≪輸入額≫
100%
4.8
5.1
5.8
5.4
5.3
5.7
6.1
6.1
5.4
5.2
4.9
19.6
20.0
19.6
18.5
18.3
18.7
18.4
18.4
19.3
21.1
21.1
75.6
74.9
74.7
76.1
76.4
75.6
75.5
75.5
75.3
73.7
74.1
00年
01年
02年
03年
04年
05年
06年
07年
08年
09年
10年
80%
60%
40%
20%
0%
成田国際空港
関西国際空港
(出所)財務省「貿易統計」よりちばぎん総合研究所が作成。
64
中部国際空港
図 表 68 品 目 別 輸 出 額 の構 成 比 ( 3港 合 計 =100%) の差 異 (2004 年 -2010 年 )
40
(ポイント)
成田国際空港
関西国際空港
中部国際空港
30
20
30.9
10
15.9
13.3
4.9
10.4
13.8
23.7
17.8
6.3
5.2
0
▲ 5.4
▲ 10
▲ 20
▲ 18.6
▲ 23.7
▲ 30
▲ 18.7
▲ 22.0
▲ 25.2
特殊取扱品
雑製品
︵う ち 輸 送 用 機 器 ︶
︵う ち 電 気 機 器 ︶
︵う ち 一 般 機 械 ︶
機械類及び
輸送用機器
原料別製品
化学製品
動植物性油脂
鉱物性燃料
食 料 に適 さ な い
原材料
▲ 32.5
飲料及びたば こ
食料品及び動物
合計
▲ 40
▲ 7.5
▲ 8.2
▲ 11.3
(出所)財務省「貿易統計」よりちばぎん総合研究所が作成。
図表 69 三大都市圏の機械製造業の製造品出荷額及び構成比(2009 年)
(単位:百億円、%)
全国
首都圏
うち千葉県
中京圏
うち愛知県
近畿圏
うち大阪府
製 造 業 計
26,526
4,701
1,235
4,837
3,443
4,342
1,481
一 般 機 械
2,893
500
59
449
319
643
201
比
100.0
17.3
2.0
15.5
11.0
22.2
7.0
電 気 機 械
1,371
186
21
200
129
320
78
比
100.0
13.5
1.5
14.6
9.4
23.4
5.7
輸送用機械
4,719
592
15
1,977
1,666
321
77
100.0
12.5
0.3
41.9
35.3
6.8
1.6
構 成
構 成
構 成
比
(注)1.出所:経済産業省「工業統計」のデータからちばぎん総合研究所が作成。
2.一般機械は、はん用機械と生産用機械、業務用機械の合計値。
65
(5 ) 周 辺 地 域 へ の 経 済 波 及 効 果 が 限 定 的
① 訪日外国人の観光入込みが少ない
成 田 空 港 を 利 用 し て 訪 日 し た 外 国 人 の 国 内 各 地 の 訪 問 率( 2009 年 )を み る
と 、 千 葉 県 は 18.7% と 、 神 奈 川 県 ( 23.7% ) よ り 低 位 に 留 ま っ て い る ( 図 表
70)。
千 葉 県 を 訪 問 地 別 に み る と 、「 東 京 デ ィ ズ ニ ー リ ゾ ー ト( T D R )」が 9.1%
と 最 も 多 く 、「 成 田 ( 6.4 % )」、「 千 葉 市 ・ 幕 張 ( 3.8 % )」 が 続 い て い る 。 も
っ と も 、千 葉 県 で は 最 多 の T D R が 神 奈 川 県 の「 横 浜( 11.7% )」よ り 低 く 、
成 田 空 港 が 立 地 し て い る 成 田 市 へ の 訪 問 率 も 1 割 以 下 と な る な ど 、訪 日 外 国
人の千葉県内への入込みは低水準となっている。
一 方 、東 京 都 へ の 訪 問 率 は 85.3% と 圧 倒 的 に 多 く 、成 田 空 港 を 利 用 す る 訪
日外国人の多くが千葉県を素通りして東京都に向かう姿が浮き彫りとなっ
て い る 。 な お 、 東 京 都 の な か で は 、「 新 宿 」 へ の 訪 問 が 50.5% で 最 も 多 く 、
次 い で 、「 銀 座 ・ 有 楽 町 ( 37.4% )」、「 浅 草 ( 36.6% )」 と な っ て い る 。
09 年 に 成 田 市 及 び 富 里 市 に 宿 泊 し た 外 国 人 は 、千 葉 県 全 体 の 宿 泊 客 の 約 8
割 に 相 当 す る 124 万 人 と な っ て い る ( 千 葉 県 「 観 光 入 込 み 調 査 」、 図 表 71)。
も っ と も 、 成 田 空 港 を 利 用 し た 外 国 人 842 万 人 ( 09 年 度 ) に 占 め る 割 合 は
14.7% と な っ て お り 、 前 泊 ・ 後 泊 需 要 を 割 り 引 い て 考 え る と 、 千 葉 県 内 へ の
観光を目的とした宿泊はかなり限定的と考えられる。
図 表 70 訪 日 外 国 人 の訪 問 率 (2009 年 )
千葉県
18.7
成田国際空港
(8,190人)
千葉市・
幕張
6.4
3.8
TDR
神奈川県
9.1
横浜
23.7
東京都
成田
鎌倉
11.7
新宿
85.3
50.5
川崎
4.5
銀座・
有楽町
37.4
(単位:%)
その他
不明
1.9
横須賀
1.4
浅草
0.2
その他
1.2
2.4
渋谷
36.6
上野
31.4
29.6
(出所)日本政府観光局「訪日外客訪問地調査」のデータを元にちばぎん総合研究所が作成。
図 表 71 成 田 空 港 周 辺 地 域 の観 光 入 込 客 及 び宿 泊 客 の推 移
調査対象地点
(2009年時点)
9市町
合 計
成田市
富里市
その他
7市町
〔参考〕
千葉県
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
(単位:人)
前年比
(%)
観光入込客
182
21,856,369
22,684,333
24,161,167
25,853,266
25,954,186
0.4
宿泊客
(うち外国人)
72
2,617,968
1,193,091
2,806,764
1,454,352
2,790,842
1,454,210
2,799,153
1,408,451
2,606,537
1,240,662
▲ 6.9
▲ 11.9
観光入込客
70
12,785,500
13,265,919
13,887,340
14,662,745
14,625,659
▲ 0.3
宿泊客
(うち外国人)
36
2,455,898
1,191,745
2,492,443
1,301,766
2,493,499
1,318,107
2,480,210
1,257,412
2,303,850
1,101,653
▲ 7.1
▲ 12.4
観光入込客
8
87,000
139,741
127,845
123,305
132,624
7.6
宿泊客
(うち外国人)
2
21,391
1,129
183,503
152,586
158,965
136,038
186,029
151,039
176,146
139,009
▲ 5.3
▲ 8.0
観光入込客
104
8,983,869
9,278,673
10,145,982
11,067,216
11,195,903
1.2
宿泊客
(うち外国人)
34
0
140,679
217
130,818
0
138,378
65
132,914
0
126,541
0
-
観光入込客
宿泊客
(うち外国人)
(出所)千葉県「観光入込調査」
1,060 129,327,463 127,971,364 134,255,207 147,934,459 152,155,066
979
12,855,777
1,415,369
15,305,210
1,750,650
66
15,415,578
1,747,889
16,295,579
1,818,827
15,749,426
1,551,494
2.9
▲ 3.4
▲ 14.7
② 国際会議の開催件数が少ない
国際空港が立地している千葉県と大阪府、愛知県の国際会議の開催件数
( 2009 年 )を 比 較 し て み る と 、「 大 阪 府 」が 183 件 で 最 も 多 く 、次 い で 、「 愛
知 県 ( 137 件 )」、「 千 葉 県 ( 99 件 )」 の 順 と な っ て い る ( 図 表 72)。
千 葉 県 の 国 際 会 議 の 開 催 件 数 を 会 場 別 に み る と 、幕 張 メ ッ セ( 同 開 催 件 数 :
全 国 17 位 、 図 表 74) が 立 地 し て い る 「 千 葉 市 」 が 63 件 と 最 も 多 く ( 図 表
73)、 次 い で 、「 柏 市 ( 19 件 )」、「 浦 安 市 ( 6 件 )」 と な っ て い る 。 な お 、 成 田
空 港 が 立 地 し て い る 成 田 市 に お け る 開 催 件 数 は 、毎 年 1 〜 5 件 程 度 に 留 ま っ
て お り、こ れ ま での と こ ろ、空港 や県 内 最 大の ホ テ ル群 な ど のイ ン フ ラを 活
用した国際会議の誘致実績は低水準となっている。
国 際 会 議 の 会 場 別 開 催 件 数 の 上 位 10 施 設 を み る と 、1 位 は「 パ シ フ ィ コ 横
浜 ( 開 催 件 数 91 件 / 参 加 者 総 数 286,297 人 )」 と な っ て い る が 、 2 位 以 下 は
東 京 大 学 ( 同 : 71 件 / 13,414 人 ) を は じ め 7 会 場 を 大 学 が 占 め て い る ( 千
葉 大 学 は 全 国 19 位 )。 こ の こ と か ら 、 今 後 の 千 葉 県 内 へ の 国 際 会 議 の 誘 致 を
展 望 す る と 、県 内 ト ッ プ の 幕 張 メ ッ セ 及 び 県 内 の 大 学 と の 連 携 が 鍵 を 握 っ て
いるものと考える。
図 表 72 国 際 会 議 開 催 件 数 の推 移
(単位:件)
2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
千
葉
県
36
41
34
58
89
57
59
64
104
99
千
葉
市
26
19
16
34
59
38
39
42
67
63
柏
市
0
4
1
4
1
1
3
7
14
19
浦
安
市
0
1
2
4
7
3
1
2
4
6
木 更 津 市
4
11
12
10
10
8
6
7
3
2
成
田
市
2
1
1
1
3
3
1
3
5
2
船
橋
市
0
0
0
1
0
0
1
0
1
2
そ
の
他
4
5
2
4
9
4
8
3
10
5
愛
知
県
92
69
98
90
95
114
109
122
152
137
名 古 屋 市
84
62
86
83
89
108
109
109
130
124
大
阪
府
129
113
125
125
160
135
182
124
144
183
大
阪
市
90
83
82
80
94
89
111
76
77
94
千里地区(注3)
26
25
32
39
58
35
49
32
53
71
埼
玉
県
3
0
6
3
2
2
1
3
7
6
東
京
都
313
375
420
368
434
359
462
445
486
505
茨
城
県
69
77
61
75
56
60
64
84
80
76
つくば地区(注2)
67
76
55
72
56
60
64
82
80
74
全
国 2,689 2,737 2,683 2,554 2,896 2,859 3,005 1,858 2,094 2,122
(注)1.出所:日本政府観光局「国際会議統計2009年版」
2.「つくば地区」は、つくば市、土浦市を含む。
3.千里地区は、大阪府の豊中市、吹田市、茨木市、高槻市、箕面市を含む。
4.国際会議の定義は以下の通り
①主催者:国際機関・国際団体(各国支部を含む)又は国家機関・国内団体
②参加者総数:50名以上
③参加国:日本を含む3か国以上
④開催期間:1日以上
67
図 表 73 国 際 会 議 開 催 件 数 の推 移 (2009 年 /上 位 15 位 )
2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
1位 東京(23区)
308
371
408
353
428
357
460
440
480
497
2位
福岡市
104
75
77
77
76
97
126
151
172
206
3位
横浜市
28
15
70
41
82
105
103
157
184
179
4位
京都市
108
111
145
149
170
137
154
183
171
164
5位
名古屋市
84
62
86
83
89
108
109
109
130
124
6位
大阪市
90
83
82
80
94
89
111
76
77
94
7位
札幌市
46
46
42
46
65
54
48
44
77
82
8位
神戸市
69
82
79
84
44
58
76
89
94
76
67
76
55
72
56
60
64
82
80
74
9位 つくば地区(注2)
26
25
32
39
58
35
49
32
53
71
10位 千里地区(注3)
11位
千葉市
26
19
16
34
59
38
39
42
67
63
12位
仙台市
54
46
41
37
43
42
45
51
63
60
13位 北九州市
45
31
18
28
30
19
28
43
47
50
14位
金沢市
9
10
11
12
13
10
10
20
16
27
15位
淡路市
27
24
24
35
39
34
21
35
26
25
(注)1.出所:日本政府観光局「国際会議統計2009年版」
2.「つくば地区」は、つくば市、土浦市を含む。
3.千里地区は、大阪府の豊中市、吹田市、茨木市、高槻市、箕面市を含む。
4.国際会議の定義は以下の通り
①主催者:国際機関・国際団体(各国支部を含む)又は国家機関・国内団体
②参加者総数:50名以上
③参加国:日本を含む3か国以上
④開催期間:1日以上
図 表 74 国 際 会 議 開 催 件 数 (2009 年 /会 場 別 )
開催件数 参加者総数
(件)
(人)
外国人
国内
参加者数 参加者数
6,839
279,458
2,308
11,106
1,194
6,669
1,751
10,646
994
11,097
3,375
9,321
7,211
72,950
1,562
10,127
734
5,696
910
7,713
810
17,904
302
5,663
1位 パシフィコ横浜
91
286,297
2位 東京大学
71
13,414
3位 九州大学
62
7,863
4位 京都大学
51
12,397
5位 名古屋大学
51
12,091
6位 つくば国際会議場
47
12,696
7位 国立京都国際会館
44
80,161
8位 北海道大学
41
11,689
9位 大阪大学
39
6,430
10位 国連大学
39
8,623
17位 幕張メッセ
24
18,714
19位 千葉大学
22
5,965
(注)1.出所:日本政府観光局「国際会議統計2009年版」
2.「つくば地区」は、つくば市、土浦市を含む。
3.千里地区は、大阪府の豊中市、吹田市、茨木市、高槻市、箕面市を含む。
4.国際会議の定義は以下の通り
①主催者:国際機関・国際団体(各国支部を含む)又は国家機関・国内団体
②参加者総数:50名以上
③参加国:日本を含む3か国以上
④開催期間:1日以上
68
③ 空港の活用を意図した製造業の集積が少ない
国 際 空 港 が 立 地 し て い る 自 治 体 の 産 業 構 造 を 従 業 者 数( 06 年 構 成 比 )で み
る と 、成 田 市 の 特 徴 と し て は 、運 輸 業 が 19.9% と 高 い こ と が あ げ ら れ る( 運
輸 業 従 業 者 数 の 構 成 比:常 滑 市〔 中 部 国 際 空 港 が 立 地 〕17.4% 、泉 佐 野 市〔 関
西 国 際 空 港 が 立 地 〕 10.6% 、 図 表 75)。
一 方 、成 田 市 の 製 造 業 の 同 構 成 比 を み る と 、9.1% と 、常 滑 市( 24.2% )や
泉 佐 野 市 ( 17.8% ) よ り 低 位 に 留 ま っ て い る 。 ま た 、 製 造 業 の 従 業 者 数 ( 実
数 ) で 比 較 し て も 、 成 田 市 は 7,861 人 と 泉 佐 野 市 ( 8,745 人 ) よ り 低 水 準 で
ある。とりわけ、航空貨物としての需要が高い高付加価値製品を扱う「一般
機 械 器 具 製 造 業( 同 構 成 比 : 成 田 市 0.8% 、泉 佐 野 市 1.3% 、常 滑 市 1.6% )」
や 「 輸 送 用 機 械 器 具 製 造 業 ( 同 : 0.2% 、 0.3% 、 4.9% )」 の 構 成 比 は 、 他 の
2市に比べて低くなっている。
3地域の歴史的背景や空港が開港されてからの時間軸が異なるため、3地
域 の 産 業 構 造 を 単 純 に は 比 較 で き な い も の の 、成 田 空 港 が 立 地 し た こ と に 伴
う 周 辺 地 域 へ の 空 港 の 活 用 を 睨 ん だ 製 造 業 の 集 積 の 動 き は 、こ れ ま で 限 定 的
であったと考えられる。
図 表 75 国 際 空 港 が立 地 する自 治 体 の産 業 構 造
成
田
市
泉 佐 野 市
(成田国際空港)
(関西国際空港)
常
滑
市
(中部国際空港)
事業所 構成比 従業者 構成比 事業所 構成比 従業者 構成比 事業所 構成比 従業者 構成比
全産業
農業
鉱業
建設業
製造業
食料品製造業
繊維工業
5,327 100.0 86,098 100.0 4,884 100.0 49,140 100.0 2,701 100.0 28,966 100.0
26
0.5
354 0.41
2
0.0
14
0.0
10
0.4
114 0.39
7
0.1
70
0.1
0
0.0
0
0.0
0
0.0
0
0.0
440
8.3 3,255
3.8
291
6.0 2,219
4.5
229
8.5 1,203
4.2
231
4.3 7,861
9.1
694 14.2 8,745 17.8
483 17.9 7,006 24.2
64
1.2 3,523
4.1
46
0.9 3,552
7.2
14
0.5
454
1.6
1
0.0
13
0.0
118
2.4
792
1.6
14
0.5
57
0.2
衣服・その他の繊維製品製造業
5
0.1
24
0.0
230
4.7 1,070
2.2
12
0.4
79
0.3
家具・装備品製造業
7
0.1
19
0.0
13
0.3
46
0.1
11
0.4
414
1.4
化学工業
12
0.2
945
1.1
6
0.1
265
0.5
1
0.0
41
0.1
プラスチック製品製造業
8
0.2
222
0.3
7
0.1
574
1.2
19
0.7
392
1.4
窯業・土石製品製造業
12
0.2
149
0.2
10
0.2
142
0.3
265
9.8 2,503
8.6
鉄鋼業
6
0.1
163
0.2
21
0.4
284
0.6
8
0.3
288
1.0
金属製品製造業
23
0.4
402
0.5
69
1.4
621
1.3
39
1.4
254
0.9
一般機械器具製造業
19
0.4
693
0.8
93
1.9
642
1.3
34
1.3
456
1.6
輸送用機械器具製造業
6
0.1
185
0.2
14
0.3
147
0.3
28
1.0 1,429
4.9
電気・ガス・熱供給・水道業
9 0.17
386
0.4
2
0.0
68
0.1
5 0.19
85
0.3
情報通信業
37 0.69
300 0.35
35 0.72
356
0.7
20 0.74
93 0.32
運輸業
315
5.9 17,097 19.9
164
3.4 5,189 10.6
162
6.0 5,042 17.4
道路旅客運送業
34
0.6 1,422
1.7
15
0.3
609
1.2
3
0.1
119
0.4
道路貨物運送業
85
1.6 1,677
1.9
66
1.4 1,526
3.1
54
2.0
934
3.2
航空運輸業
52
1.0 2,203
2.6
17
0.3
533
1.1
36
1.3
641
2.2
運輸に附帯するサービス業
115
2.2 11,068 12.9
36
0.7 1,956
4.0
63
2.3 3,260 11.3
卸売・小売業
1,528 28.7 14,136 16.4 1,433 29.3 10,413 21.2
693 25.7 4,273 14.8
金融・保険業
93
1.7 1,539
1.8
71
1.5 1,098
2.2
25
0.9
226
0.8
不動産業
248
4.7 1,207 1.40
200 4.10
711 1.45
112 4.15
265
0.9
飲食店,宿泊業
809 15.2 8,352
9.7
680 13.9 5,497 11.2
222
8.2 1,912
6.6
宿泊業
63
1.2 1,944
2.3
28
0.6
984
2.0
18
0.7
179
0.6
医療,福祉
267 5.01 4,304
5.0
277
5.7 4,925 10.0
139 5.15 1,840
6.4
教育,学習支援業
200
3.8 2,747
3.2
173
3.5 1,857
3.8
101
3.7
812
2.8
複合サービス事業
37 0.69
821
1.0
33 0.68
446
0.9
31
1.1
691
2.4
サービス業(他に分類されないもの) 1,034
19.4 18,708 21.7
798 16.3 5,878 12.0
445 16.5 4,137 14.3
公務(他に分類されないもの)
46 0.86 4,961
5.8
31
0.6 1,724
3.5
24 0.89 1,267
4.4
(出所)総務省「事業所・企業統計調査」
69
(6 ) 成 田 空 港 を バ ッ ク ア ッ プ す る 経 済 界 の 広 域 的 な 支 援 組 織 が な い
成田空港を取り巻く各種団体のなかで、経済団体や民間企業が構成員になっ
て い る 団 体 を み る と 、「 地 域 振 興 連 絡 協 議 会 」 や 「 千 葉 県 成 田 空 港 ・ 圏 央 道 沿
線 地 域 産 業 活 性 化 協 議 会 」、「 成 田 空 港 通 り 活 性 化 協 議 会 」な ど が あ る( 図 表 76)。
もっとも、これらの団体は、成田空港を取り巻く関係者の連絡組織的な意味
合 い が 強 か っ た り 、地 域 が 成 田 市 に 限 定 さ れ て い た り す る な ど 、全 県 も し く は
首都圏といった広域レベルで成田空港ないしは成田空港周辺地域の発展をバ
ックアップしている組織は見当たらない。
一 方 、関 西 国 際 空 港 に は 、
「 関 西 国 際 空 港 全 体 構 想 促 進 協 議 会( 会 長 は 関 西 経
済 連 合 会 会 長 )」、 中 部 国 際 空 港 に は 「 中 部 国 際 空 港 利 用 促 進 協 議 会 ( 会 長 は 名
古 屋 商 工 会 議 所 会 頭 及 び 会 中 部 経 済 連 合 会 長 )」 と い う 広 域 的 な 範 囲 を カ バ ー
し た 経 済 界 の バ ッ ク ア ッ プ 組 織 が あ る 。こ れ ら の 協 議 会 で は 、民 間 企 業 の ト ッ
プ が 会 長 を 務 め て お り 、空 港 の 利 用 促 進 に 向 け た 国 内 外 へ の プ ロ モ ー シ ョ ン や
各 種 キ ャ ン ペ ー ン 、広 報 活 動 、国 際 交 流 イ ベ ン ト の 支 援 な ど を 空 港 や 地 元 自 治
体 、経 済 界 が 一 体 と な っ て 取 り 組 み 、空 港 機 能 の 拡 大 や 利 用 促 進 及 び 空 港 を 活
用した地域活性化を目指している。
このような民間主導のバックアップ組織が成田空港に存在しないことは、成
田 空 港 及 び 周 辺 地 域 の 今 後 の 発 展 を 考 え る う え で 心 許 な い し 、大 き な 足 か せ と
なる可能性がある。
図 表 76 成 田 空 港 関 連 の各 種 団 体 等
成田国際空港
団体名
構成員・代表者等
地域振興
連絡協議会
県、9市町、成田市・山武郡市農
業協同組合、成田商工会議所、
芝山町商工会、NAA
千葉県成田空港・
圏央道沿線地域
産業活性化協議会
県、周辺自治体、千葉県商工会
議所連合会、千葉県中小企業団
体中央会ほか
成田空港通り
活性化協議会
イオン㈱、個人の
商店など105名
成田国際空港都市
づくり推進会議
関西国際空港
関西国際空港全体
構想促進協議会
中部国際空港
中部国際空港
利用促進協議会
設立目的(概要)
空港に関する諸問題の解決に努め、空
港と地域の共存共栄を図ることにより、
活力ある空港周辺地域の振興に寄与す
ること
地域における産業集積の形成及び産業
集積の活性化のために当該地域の地方
公共団体が行う主体的かつ計画的な取
組に寄与すること
国道245号線の空港からイオン成田周
辺地域の活性化を図ること
今後の空港整備を踏まえつつ、国際拠
成田市・富里市・香取市・山武
点空港としての機能を活かした「国際空
市・栄町・神崎町・多古町・芝山
港都市づくり」を推進し、空港周辺地域の
町・横芝光町
一層の活性化を図ること
関西国際空港2期事業の円滑な推進及
び全体構想の早期実現を図り、もって世
(会長)
界への貢献と関西・我が国の発展に寄
関西経済連合会会長
与すること
セントレアが、その機能を十分に発揮し
(代表理事)
ていく事が可能となるよう、地域が一体と
名古屋商工会議所会頭
なって、セントレアの利用促進・活用等の
中部経済連合会会長
取り組みを総合的に推進していくこと
(出所)各種資料からちばぎん総合研究所が作成。
70
【参考③】成田空港の概況
≪成田空港の歩み≫
① 開港までの道のり
運 輸 省( 現 国 土 交 通 省 )は 、グ ロ ー バ ル 化 の 進 展 に 伴 う 航 空 需 要 の 増 加 か ら
1970 年 ご ろ に は 羽 田 空 港 の 容 量 が 限 界 ( 発 着 回 数 17 万 5,000 回 / 年 ) に 達 す
る と 予 測 し 、 61 年 か ら 新 空 港 建 設 の 検 討 を 開 始 し た 。
新 空 港 の 位 置 は 、 65 年 11 月 時 点 で は 千 葉 県 富 里 村 ( 現 富 里 市 ) に 内 定 し て
い た が 、地 元 住 民 の 激 し い 反 対 運 動 が 起 き た こ と か ら 同 地 の 建 設 を 断 念 し 、最
終 的 に は 、航 空 管 制 や 気 象 条 件 が 富 里 と 遜 色 な い 富 里 の 東 北 方 約 10k m に 位 置
す る 「 成 田 市 三 里 塚 」 に 閣 議 決 定 し た ( 66 年 7 月 )。 こ の 決 定 に 対 し 、 空 港 設
置 反 対 の 立 場 を 取 る 地 元 住 民 は 「 三 里 塚 芝 山 連 合 空 港 反 対 同 盟 ( 66 年 8 月 )」
を 結 成 し 反 対 運 動 を 展 開 、東 峰 十 字 路 事 件( 71 年 9 月 )で は 機 動 隊 と 反 対 派 農
民等が激しく衝突し、多くの死傷者(警察官3名が死亡)がでた。
71 年 2 〜 3 月 及 び 9 月 に 実 施 さ れ た 行 政 代 執 行( 千 葉 県 土 地 収 用 委 員 会 に よ
る 土 地 収 用 法 に 基 づ く 一 坪 共 有 地 の 収 容 ) を 経 て 、 73 年 に は 「 4,000m A 滑 走
路 」、 75 年 に は 「 暫 定 パ イ プ ラ イ ン 」、 77 年 に は 「 旅 客 タ ー ミ ナ ル ビ ル 」 な ど
の 新 空 港 の 中 核 施 設 が 相 次 い で 完 成 し 、78 年 5 月 、新 東 京 国 際 空 港( 成 田 国 際
空 港 、 以 下 「 成 田 空 港 」 と 記 載 ) は 開 港 し た ( 開 港 時 の 乗 り 入 れ 航 空 会 社 : 29
か 国 34 社 )。
② 開港後〜暫定平行滑走路供用開始
成 田 空 港 の 開 港 以 降 、国 際 航 空 需 要 は 右 肩 上 が り の 増 加 を 続 け 、88 年 に は 同
港 の 航 空 旅 客 数 累 計 が 1 億 人 を 突 破 し 、 91 年 に は 国 際 線 航 空 貨 物 量 累 計 が
1,000 万 t を 上 回 っ た 。 こ う し た 航 空 需 要 の 高 ま り に 呼 応 す る 形 で 、 91 年 3 月
に は J R 及 び 京 成 電 鉄 が 成 田 空 港 駅 に 直 接 乗 り 入 れ 、ア ク セ ス 面 が 改 善 さ れ た
ほ か 、 92 年 12 月 に は 第 2 旅 客 タ ー ミ ナ ル ビ ル が 供 用 開 始 と な る な ど 空 港 関 連
のインフラ設備が拡充された。
02 年 4 月 18 日 に は 、 暫 定 平 行 滑 走 路 ( 長 さ 2,180m 、 幅 60m ) が 開 港 か ら
24 年 目 に し て よ う や く 供 用 開 始( 1 日 当 り の 発 着 枠:370 回 → 546 回 )と な り 、
定 期 便 乗 り 入 れ 航 空 会 社 は 35 か 国 1 地 域 54 社 か ら 39 か 国 2 地 域 66 社 に 増 加
し た 。も っ と も 、同 滑 走 路 は 、用 地 買 収 が 難 航 し た こ と か ら 、当 初 計 画( 2,500
m ) よ り 320m 短 い 2,180m で の 運 用 を 余 儀 な く さ れ 、 ボ ー イ ン グ 747 以 上 の
大 型 機 や 長 距 離 国 際 線 に は 使 用 で き ず 、専 ら 中 小 型 機 と 国 内 線・ 近 距 離 国 際 線
のみに使用された。
③ 成田国際空港㈱発足〜現在
04 年 4 月 に 発 足 し た 成 田 国 際 空 港 株 式 会 社( N A A )に よ り 、第 1 旅 客 タ ー
ミ ナ ル ビ ル( T B )に 免 税 ブ ラ ン ド モ ー ル「 narita nakamise( 06 年 6 月 開 業 )」、
第 2 旅 客 T B に 同 「 ナ リ タ 5 番 街 ( 07 年 4 月 開 業 )」 が 整 備 さ れ 、 商 業 機 能 の
大幅な拡充が図られた。
09 年 10 月 に は 、 B 滑 走 路 が 2,500m 化 ( 用 地 交 渉 が 難 航 し 本 来 計 画 と は 反
対 の 北 側 に 滑 走 路 を 延 伸 ) さ れ た こ と に よ り 、 年 間 発 着 枠 は 20 万 回 か ら 22 万
回 へ 増 大 し た 。ま た 、10 年 7 月 に は 成 田 ス カ イ ア ク セ ス が 開 通 し 、成 田 空 港( 空
港 第 2 ビ ル ) と 日 暮 里 間 が 従 来 の 51 分 か ら 最 速 36 分 で 結 ば れ た 。
09 年 10 月 、前 原 前 国 土 交 通 相 が 羽 田 空 港 を 航 空 網 の 拠 点 で あ る「 ハ ブ 空 港 」
に す る 方 針 を 表 明 す る と 、森 田 千 葉 県 知 事 が「 成 田 と 羽 田 が 共 存 共 栄 す る こ と
が 国 益 に か な う 」と 怒 り を あ ら わ に し た ほ か 、成 田 市 な ど 空 港 周 辺 9 市 町 が 急
遽 会 合 を 開 い て 対 応 を 協 議 す る な ど 、地 元 千 葉 県 で は 、成 田 空 港 の 存 在 感 が 低
71
下 す る 可 能 性 に 対 す る 危 機 感 を 強 め た 。そ の 結 果 、羽 田 空 港 の 国 際 線 タ ー ミ ナ
ル が 開 業( 10 年 10 月 21 日 )す る 直 前 の 10 月 13 日 に 開 催 さ れ た 成 田 空 港 に 関
す る 四 者 会 議( 成 田 空 港 周 辺 9 市 町 、千 葉 県 、国 土 交 通 省 、成 田 国 際 空 港 会 社 )
に お い て 、「 容 量 拡 大 ( 30 万 回 ) に 係 る 確 認 書 」 が 締 結 さ れ た 。
現 在 、 成 田 国 際 空 港 ㈱ で は 、 14 年 度 を 目 途 に 航 空 機 発 着 枠 30 万 回 を 達 成 で
きるよう空港機能の拡充・整備(駐機場の増設、新誘導路の供用など)が着々
と 進 め ら れ て い る 。一 方 、11 年 3 月 に 発 生 し た 東 日 本 大 震 災 及 び 福 島 第 一 原 発
事故の放射能汚染の影響で訪日外国人が激減するなど国際航空需要の先行き
に対する不透明感が高まっている。
こ の よ う に 、成 田 空 港 及 び 空 港 周 辺 地 域 は 、新 た な ス テ ー ジ を 迎 え て い る が 、
これを何としても今後の千葉県経済や成田空港周辺地域の発展につなげてい
き た い も の で あ る ( 図 表 77)。
図 表 77 成 田 空 港 の歩 み
年 月
1961年
1966年
1971年
1978年
1988年
1991年
1992年
1993年
1994年
1996年
1998年
2001年
2002年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
7月
8月
9月
5月
3月
1月
3月
11月
12月
9月
9月
4月
4月
11月
9月
4月
10月
4月
2月
4月
6月
4月
10月
11月
12月
1月
5月
9月
11月
10月
10月
3月
7月
9月
10月
10月
3月
出
来
事
運輸省(現国土交通省)が新空港建設の検討開始
新空港の位置を成田市三里塚に閣議決定
「三里塚芝山連合空港反対同盟」結成
「東峰十字路事件」により機動隊と反対派農民等が激しく衝突
成田空港開港
開港以来の航空旅客1億人達成
開港以来の国際線航空貨物取扱量1,000万トン達成
JR、京成電鉄が「成田空港駅」への乗入開始
第1回成田空港問題シンポジウム開催(以後15回開催)
第二旅客ターミナルビル供用開始
第1回成田空港問題円卓会議開催(以後、12回開催)
関西国際空港開港
輸入貨物仕分け基準解消
発着枠を1日360回から370回へ改定
成田空港−羽田空港間直通列車運転開始
アメリカ同時多発テロ発生
暫定平行滑走路供用開始(発着枠は1日370回から546回に)
芝山鉄道線開業(芝山千代田駅〜東成田駅間2.2km)
成田国際空港株式会社が発足
中部国際空港開港
エコ・エアポート基本計画を策定
第1旅客ターミナルビル免税ブランドモール「narita nakamise」オープン
第2旅客ターミナルビル免税ブランドモール「ナリタ5番街」オープン
「成田国際空港アジア・ゲートウェイ特区」政府方針の決定
開港以来の国際線航空貨物取扱量4,000万トン達成
第1旅客ターミナルビル「ナリタ北斎プラザ」「ナリタ北通り」供用開始
第1回成田国際空港都市づくり推進会議開催
成田国際空港開港30周年
リーマンショック発生
開港以来の航空旅客7億人達成
前原前国土交通相による「羽田ハブ化」発言
2,500mB滑走路供用開始
成田空港の年間発着枠が20万回から22万回へ増大
「成田スカイアクセス」開業
開港以来の航空機発着回数400万回達成
「成田空港に関する四者協議会」にて「容量拡大(30万回)に係る確認書」を締結
羽田空港の国際線ターミナル等供用開始
東日本大震災発生
(出所)成田国際空港㈱「NARITA AIRPORT 2010」等よりちばぎん総合研究所が作成
72
≪成田空港の国際線における位置づけ≫
わ が 国 の 国 際 空 港 は 、成 田 空 港 の 開 港( 1978 年 )以 来 、「 国 際 線 」は 成 田 、「 国
内線」の基幹空港は羽田という「内際分離の原則」のもとで運営されてきた。
も っ と も 、 成 田 空 港 は 、 ① 東 京 都 心 ま で 約 66k m ( 羽 田 空 港 は 同 約 19k m )
と 遠 い こ と や 、 ② 供 用 区 域 が 1,040h a ( 羽 田 空 港 は 同 1,522h a ) と 狭 い こ
と 、 ③ 02 年 に B 滑 走 路 が 2,180m に て 供 用 開 始 ( 09 年 10 月 か ら は 2,500m 化 )
さ れ る ま で A 滑 走 路 1 本 に よ る 運 用 を 強 い ら れ て き た こ と 、 ④ 運 用 時 間 は 6:
00〜 23:00 ま で と 夜 間 運 用 は 禁 止 さ れ て い る こ と な ど 、こ れ ま で 非 効 率 的 な 運
用を強いられてきた。
成田空港のみによる国際線運用は、世界的な国際航空需要の増加を受けて限
界 が 生 じ た こ と か ら 、 94 年 9 月 に は 関 西 国 際 空 港 ( 滑 走 路 : 3,500m )、 05 年
2 月 に 中 部 国 際 空 港 ( 同 : 4,000m 、 3,500m ) が 相 次 い で 供 用 開 始 さ れ 、 関 西
空 港 は 主に 近 畿・四 国・中国 地 域 など 、中部国 際 空 港は 東 海 地域 な ど の国 際 航
空 需 要 に 対 応 し て い る 。 さ ら に 、 10 年 10 月 に は 、 羽 田 空 港 の 国 際 線 タ ー ミ ナ
ル 等 が 供 用 開 始 と な り 、わ が 国 の 国 際 空 港 は 4 港 体 制 の 運 用 と な っ て い る( 図
表 78)。
図 表 78 日 本 の国 際 空 港 の概 要
成田国際空港
関西国際空港
中部国際空港
羽田空港
供用開始
1978年5月20日
1994年9月4日
2005年2月17日
1988年7月2日
(A滑走路供用開始)
2010年10月31日
(D滑走路供用開始)
位置
千葉県成田市
愛知県常滑市
大阪府泉南郡田尻町
東京都大田区
都心までの
距離
東京都心まで
約66km
供用区域:1,040ha
(未供用区域:105ha)
大阪都心まで
約50km
名古屋都心まで
約35km
東京都心まで
約19km
471ha
1,068ha
1,522ha
(A)3,000m×60m
(B)2,500m×60m
(C)3,000m×60m
(D)2,500m×60m
24時間
(24時間)
面積
滑走路
(長さ×幅)
(A) 4,000m×60m
(B) 2,500m×60m
3,500m×60m
(A)3,500m×60m
(B)4,000m×60m
運用時間
(利用時間)
24時間
(6:00〜23:00)
24時間
(24時間)
24時間
(24時間)
輸送実績
(2009年度)
運営会社
決算
(2010年度)
単位:億円
航空旅客数
(千人)
航空貨物量
(千トン)
着陸回数
(千回)
航空旅客数
(千人)
航空貨物量
1,966
(千トン)
着陸回数
94
(千回)
29,451
航空旅客数
(千人)
航空貨物量
634
(千トン)
着陸回数
54
(千回)
13,389
航空旅客数
(千人)
航空貨物量
154
(千トン)
着陸回数
43
(千回)
9,100
740
168
(国内線ターミナル)日本空港
ビルデング㈱
(国際線ターミナル)東京国際
空港ターミナル㈱
(貨物地区)東京国際エア
カーゴターミナル㈱
成田国際空港㈱
関西国際空港㈱
中部国際空港㈱
売上高
売上高
894
売上高
426
売上高
1,878
62,091
1,348
(着陸回数千
回当り)
20
(着陸回数千
回当り)
16
(着陸回数千
回当り)
10
(着陸回数千
回当り)
8
経常利益
234
経常利益
83
経常利益
11
経常利益
31
総資産
9,356
総資産
18,934
総資産
5,014
総資産
(出所)国土交通省「空港管理状況調書」、(財)関西空港調査会「エアポートハンドブック」、各運営会社ホームページ。
73
1,990
≪成田空港の運用状況≫
① 航空機発着回数
航 空 機 発 着 回 数 は 、暫 定 平 行 滑 走 路 が 供 用 開 始( 一 日 当 た り の 航 空 機 発 着 枠:
370 回 → 546 回 ) と な っ た 2002 年 度 に は 176 千 回 ( 前 年 度 比 + 36.7% ) に 増 加
し 、 そ の 後 は 、 02〜 03 年 に 流 行 し た S A R S ( 重 症 急 性 呼 吸 器 症 候 群 ) や 03
年 3 月 の イ ラ ク 戦 争 な ど の 影 響 に よ り 、 03 年 度 が 171 千 回 ( 同 ▲ 2.8% ) に 落
ち 込 ん だ ほ か は 、 お お む ね 19 万 回 前 後 の 水 準 で 推 移 し て い る ( 図 表 79)。
08 年 度 以 降 の 航 空 機 発 着 回 数 の 動 き を 仔 細 に み る と 、リ ー マ ン シ ョ ッ ク( 08
年 9 月 )を 背 景 と し た 世 界 的 な 景 気 低 迷 や 新 型 イ ン フ ル エ ン ザ の 流 行( 09 年 春
頃 〜 10 年 3 月 )、 尖 閣 諸 島 に お け る 中 国 漁 船 衝 突 事 件 に よ る 中 国 の 反 日 感 情 の
高 ま り な ど に よ り 、航 空 需 要 は 伸 び 悩 み 、一 進 一 退 の 動 き と な っ て い る( 08 年
度 191 千 回 → 09 年 度 187 千 回 → 10 年 度 191 千 回 )。 な お 、 航 空 機 発 着 枠 は 、 09
年 10 月 に 暫 定 平 行 滑 走 路 ( 2,180m ) が 2,500m 化 さ れ た こ と に 伴 い 、 10 年 3
月 に は 年 間 20 万 回 か ら 22 万 回 に 増 加 し て い る 。
この間、国際線旅客便で使用される航空機材は、ダウンサイジングが進み、
大 型 機 材( B 747 級 )の シ ェ ア は 00 年 度 の 68.2% か ら 09 年 度 に は 19.5% に 縮
小 す る 一 方 、 小 型 機 材 ( M D 11 級 ) の シ ェ ア は 同 31.4% か ら 67.0% に 急 拡 大
した。
② 航空旅客数
航 空 旅 客 数 は 、 02 年 4 月 の 暫 定 平 行 滑 走 路 の 供 用 開 始 に よ り 、 01 年 度 の
27,444 千 人 か ら 02 年 度 の 33,178 千 人( 前 年 度 比 + 20.9% )に 水 準 を 切 り 上 げ
た( 図 表 79)。そ の 後 、戦 後 最 長 と な っ た 景 気 回 復 局 面( 02 年 2 月 〜 09 年 3 月 )
を 映 じ て 国 際 航 空 需 要 は 緩 や か な 増 加 を 辿 り 、 07 年 度 に は 35,389 千 人 ( 02 年
度 比 + 6.7% ) と な っ た 。 そ の 後 、 08 年 9 月 の リ ー マ ン シ ョ ッ ク に よ る 世 界 的
な 景 気 悪 化 を 映 じ て 、08 年 度 に は 32,649 千 人( 前 年 度 比 ▲ 7.7% )に 急 速 に 落
ち 込 み 、09 年 度 32,847 千 人 、10 年 度 32,521 千 人 と 低 位 横 ば い 推 移 し て い る 。
11 年 3 月 に 発 生 し た 東 日 本 大 震 災 の 影 響 に よ り 、 11 年 3 月 の 航 空 旅 客 数 は
218 万 人 ( 前 年 同 月 比 ▲ 28.9% ) に 落 ち 込 み 、 そ の 後 も 、 4 月 は 167 万 人 ( 同
▲ 37.7% )、 5 月 は 201 万 人 ( 同 ▲ 28.4% )、 6 月 は 216 万 人 ( 同 ▲ 24.3% ) と
前年割れの水準で推移している。
な お 、国 際 線 の 出 発 客( 出 国 客 + 通 過 客 )の 構 成 比( 09 年 度 )を み る と 、「 太
平 洋 線 」が 26.6% で 最 も 多 く 、次 い で「 ア ジ ア 線( 17.5% )」、「 欧 州 線( 12.8% )」
と な っ て い る ( 図 表 80)。
③ 航空貨物量
航 空 貨 物 量 の 既 往 ピ ー ク は 04 年 度 の 2,298 千 ト ン と な っ て い る 。 そ の 後 、
220 万 ト ン 前 後 で 横 ば い 推 移 し た あ と 、08 年 9 月 に 起 こ っ た リ ー マ ン シ ョ ッ ク
に よ り 世 界 レ ベ ル で 航 空 貨 物 需 要 が 落 ち 込 み 、08 年 度 は 1,881 千 ト ン( 前 年 度
比 ▲ 15.4% ) と な っ た ( 図 表 79)。 09 年 下 半 期 以 降 に は 、 世 界 経 済 の V 字 回 復
を 映 じ て 航 空 貨 物 需 要 が 高 ま り 、 09 年 度 は 1,963 千 ト ン ( 同 + 4.3% )、 10 年
度 は 2,068 千 ト ン ( 同 + 5.4% ) に 回 復 し 、 先 行 き も 緩 や か な 増 加 が 期 待 さ れ
ていたなか、東日本大震災が発生した。
11 年 上 半 期 ( 1〜 6 月 ) の 航 空 貨 物 量 は 、 震 災 の 影 響 で 東 日 本 の 生 産 設 備 が
毀 損 し た こ と を 主 因 に 93 万 ト ン ( 前 年 同 期 比 ▲ 12.0% ) に 減 少 し た 。 も っ と
も 、 積 込 ・ 取 卸 と も に 、 実 需 貨 物 の 減 少 率 ( 輸 出 ▲ 8.7% ・ 輸 入 ▲ 5.4% ) が ト
ラ ン ジ ッ ト 貨 物 の 減 少 率 ( 積 込 仮 陸 揚 げ ▲ 29.5% 、 取 卸 仮 陸 揚 げ ▲ 26.5% ) を
下 回 る など 、実需貨 物 に つい て は 底堅 い 動 きで 、今回は 、リーマ ン シ ョッ ク 後
に輸出入ともに実需が大きく減少した動きとは異なっている。
74
図 表 79 成 田 空 港 の運 用 実 績
(年度)
1,978 1980
旅
際
客
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
53
64
118
133
129
176
171
187
188
191
194
191
187
191
線
48
59
113
128
125
165
159
174
175
177
181
178
172
172
便
38
47
93
107
103
138
131
145
146
148
152
151
148
148
航空機発着回数(千回)
国
1990
貨
物
便
9
10
17
20
19
25
27
27
27
27
27
25
22
22
そ
の
他
1.0
1.0
2.5
1.4
1.9
2.1
2.1
2.4
2.7
2.4
2.3
2.2
2.0
2.3
線
4.7
5.5
5.2
5.1
4.3
11
12
12
13
13
13
14
15
20
国
内
旅
客
便
4.0
4.8
4.6
4.8
4.0
11
11
12
12
13
13
13
15
19
貨
物
便
0.7
0.7
0.6
0.3
0.3
0.4
0.3
0.4
0.5
0.5
0.4
0.3
0.4
0.3
航空旅客数(千人)
国
際
7,072 9,144 22,864 30,258 27,444 33,178 29,960 35,120 34,671 35,336 35,389 32,649 32,847 32,521
線 6,638 8,558 21,971 29,459 26,773 32,071 28,861 33,980 33,563 34,185 34,163 31,514 31,519 30,829
日
本
人 3,921 4,667 12,961 18,391 15,686 18,527 15,535 19,352 19,045 19,308 18,783 17,019 16,696 16,699
外
国
人 1,357 2,014 4,541 5,982 5,981 7,173 7,184 7,935 8,066 8,501 9,280 8,546 8,244 8,420
通
過
者 1,361 1,877 4,469 5,086 5,106 6,370 6,142 6,693 6,452 6,376 6,100 5,949 6,579 5,710
線
433
586
航空貨物量(千トン)
国
内
329
475 1,372 1,843 1,604 2,030 2,149 2,298 2,236 2,220 2,224 1,881 1,963 2,068
積
輸
仮
陸
取
輸
仮
陸
894
799
672 1,107 1,099 1,141 1,108 1,150 1,226 1,134 1,329 1,691
込
165
261
647
835
681
921 1,003 1,105 1,065 1,078 1,103
884
919
972
出
113
184
431
678
536
716
788
893
842
845
846
647
666
761
揚
53
77
217
157
144
205
215
212
223
233
257
237
253
211
卸
163
215
725 1,008
923 1,109 1,147 1,192 1,171 1,142 1,121
997 1,043 1,096
入
111
138
509
863
791
912
939
990
961
923
880
776
798
896
揚
53
77
215
144
132
197
207
203
210
220
241
221
245
201
(注)1.出所:成田国際空港㈱「NARITA AIRPORT 2010」
2.航空機発着回数は、回転翼機を除く。
3.国際線航空旅客数は、東京入国管理局成田支局の資料による。国内線旅客数は回転翼機によるものを除く。
4.航空貨物量は、東京税関成田支署の資料による。
図 表 80 国 際 線 路 線 別 出 発 旅 客 数 の(2009 年 度 )
出発客(人)
出国客(人)
通過客(人)
構成比
構成比
構成比
(A+B)
(A)
(B)
(%)
(%)
(%)
太 平 洋 線 4,154,321
26.6 2,575,500
20.6 1,578,800
50.3
欧
州
線 2,004,715
12.8 1,912,000
15.3
92,700
3.0
オ セア ニア線
544,104
3.5
461,800
3.7
82,300
2.6
グ ア ム 線
709,505
4.5
657,900
5.3
51,600
1.6
ア ジ ア 線 2,743,817
17.5 2,113,800
16.9
630,000
20.1
台
湾
線 1,126,508
7.2
964,200
7.7
162,300
5.2
香
港
線 1,034,508
6.6
944,600
7.6
89,900
2.9
中
国
線 1,811,113
11.6 1,626,600
13.0
184,500
5.9
韓
国
線 1,513,210
9.7 1,246,900
10.0
266,300
8.5
合
計 15,641,800
100.0 12,503,300
100.0 3,138,400
100.0
(出所)成田国際空港㈱「NARITA AIRPORT2010」
路線別
75
≪成田空港の決算状況≫
成 田 国 際 空 港 ㈱ の 最 近 の 決 算 状 況 を み る と 、売 上 高 は 、2005 年 度 の 1,712 億
円 か ら 07 年 度 の 1,998 億 円 ( 05 年 度 比 + 16.7% ) に か け て 二 桁 の 増 加 と な っ
て い る ( 図 表 81)。 こ れ は 、 免 税 ブ ラ ン ド モ ー ル の 「 narita nakamise( 06 年
6 月 開 業 )」と「 ナ リ タ 5 番 街( 07 年 4 月 開 業 )」が 相 次 い で オ ー プ ン し た( 図
表 82) こ と に よ る リ テ ー ル 事 業 の 増 収 ( 05 年 度 237 億 円 → 07 年 度 540 億 円 、
同 + 127.8% ) が 大 き く 寄 与 し て い る 。
08 年 度 か ら 09 年 度 に か け て は 、08 年 9月 に 起 こ っ た リ ー マ ン シ ョ ッ ク に よ る
世 界 同 時 不 況 の 影 響 か ら 航 空 旅 客・貨 物 需 要 が 大 幅 に 落 ち 込 み 、09 年 度 の 売 上
高 は 07 年 度 比 ▲1 割 程 度 水 準 を 切 り 下 げ 1,798 億 円 と な っ た が 、10 年 度 に は 、
世 界 経 済 が 緩 や か に 回 復 し た こ と に 加 え 、旅 客 関 連 料 金 の 改 定 注 9 や 成 田 ス カ イ
ア ク セ ス 開 業 ( 10 年 7 月 )、 上 期 の 好 調 な 物 販 ・ 飲 食 収 入 な ど に よ り 1,878 億
円 ( 同 + 4.5% ) と な っ た 。
こ の 間 の 売 上 高 に 占 め る 空 港 運 営 事 業 の 構 成 比 は 05 年 度 の 67.2% か ら 10 年
度 に は 56.1% ( 05 年 度 比 ▲ 11.1 ポ イ ン ト ) に 水 準 を 切 り 下 げ て い る 。 一 方 、
リ テ ー ル 事 業 は 同 13.8% か ら 26.6% ( 同 + 12.8 ポ イ ン ト ) に 大 幅 上 昇 し て い
る 。こ の よ う な 売 上 構 成 比 の 変 化 を 映 じ て 、10 年 度 の 営 業 利 益 の 構 成 比 は リ テ
ー ル 事 業 が 44.7% と 最 も 多 く 、 次 い で 施 設 貸 付 事 業 ( 41.3% )、 空 港 運 営 事 業
( 14.7% ) の 順 と な っ て い る 。
図 表 81 成 田 国 際 空 港 ㈱ の売 上 高 ・営 業 利 益 の推 移
(単位:億円、%)
2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 前年度比 構成比
売上高
1,712
1,843
1,998
1,894
1,798
1,878
4.5
100.0
空港運営事業
1,151
1,129
1,121
1,046
1,001
1,053
5.2
56.1
対売上高構成比
67.2
61.3
56.1
55.2
55.7
56.1
リテール事業
237
381
540
516
484
500
3.2
26.6
対売上高構成比
13.8
20.7
27.0
27.2
26.9
26.6
施設貸付事業
321
329
334
329
309
309
▲ 0.2
16.5
対売上高構成比
18.8
17.9
16.7
17.4
17.2
16.5
鉄 道 事 業
2
2
2
2
2
15
690.8
0.8
対売上高構成比
0.1
0.1
0.1
0.1
0.1
0.8
営業利益
420
333
328
234
213
320
50.1
100.0
空港運営事業
169
64
32
▲ 38
▲ 38
47
14.7
リテール事業
118
135
168
148
135
143
6.0
44.7
施設貸付事業
136
138
134
130
124
132
6.6
41.3
鉄 道 事 業
▲4
▲3
▲5
▲6
▲7
▲3
▲ 0.9
(出所)成田国際空港㈱
図 表 82 成 田 空 港 の免 税 ブラ ンドモ ール(単位:店、㎡)
飲食店
narita nakamise
店舗数
(第1旅客ターミナル)
-2006年6月オープン- 店舗面積
ナリタ5番街
店舗数
(第2旅客ターミナル)
-2007月4月オープン- 店舗面積
一般
物販店
免税店
合計
1
3
14
18
330
675
2,599
3,604
3
6
20
29
519
526
2,900
3,945
(出所)各種データからちばぎん総合研究所が作成。
(注9)09 年 11 月より旅客サービス施設使用料(乗継)
〔大人 1,020 円、小人 510 円(税込み)
〕及び
旅客保安サービス料〔大人・小人ともに 500 円(税込み)
〕を新たに新設した。
76
≪国際空港の決算状況の比較(財務分析≫
2010 年 度 の 国 際 線 タ ー ミ ナ ル 等 運 営 会 社 各 社 の 決 算 に よ る と 、売 上 高 の 規 模
は 成 田 国 際 空 港 ㈱ が 1,878 億 円 と 最 も 多 く 、 次 い で 日 本 空 港 ビ ル デ ン グ ㈱
( 1,348 億 円 )、関 西 国 際 空 港 ㈱( 894 億 円 )、中 部 国 際 空 港 ㈱( 426 億 円 )の 順
と な っ て い る ( 図 表 83)。
その他の財務分析の概要は以下の通り。
○ 収益性(売上高営業利益率)
売 上 高 営 業 利 益 率 は 、 関 西 国 際 空 港 ㈱ が 21.3% と 収 益 性 が 最 も 高 い 。 次 い
で 、成 田 国 際 空 港 ㈱( 17.0% )、中 部 国 際 空 港 ㈱( 9.7% )、日 本 空 港 ビ ル デ ン
グ ㈱ ( 3.1% ) の 順 と な っ て い る 。
○ 安定性(自己資本比率)
自 己 資 本 比 率 は 、 日 本 空 港 ビ ル デ ン グ ㈱ が 50.6% と 安 定 性 が 最 も 高 い 。 次
い で 、 関 西 国 際 空 港 ㈱ ( 32.1% )、 成 田 国 際 空 港 ㈱ ( 24.2% )、 中 部 国 際 空 港
㈱ ( 15.7% ) の 順 と な っ て い る 。
○ 成長性(売上高前期比増加率)
売 上 高 増 加 率 ( 前 期 比 ) は 、 日 本 空 港 ビ ル デ ン グ ㈱ が 前 期 比 + 11.4% と 最
も 高 い ( 日 本 空 港 ビ ル デ ン グ ㈱ が 二 桁 増 加 し て い る の は 、 10 年 10 月 に 第 2
ターミナル増築部及び新国際線ターミナルが供用開始となったことによるも
の )。次 い で 、成 田 国 際 空 港 ㈱( 4.5% )、関 西 国 際 空 港 ㈱( 3.3% )、中 部 国 際
空 港 ㈱ ( 0.7% ) と な っ て い る 。
○ 効率性(総資産回転率)
総 資 産 回 転 率 は 、 日 本 空 港 ビ ル デ ン グ ㈱ が 0.7 回 と 最 も 効 率 性 が 高 い 。 次
い で 、成 田 国 際 空 港 ㈱( 0.2 回 )、中 部 国 際 空 港 ㈱( 0.1 回 )、関 西 国 際 空 港 ㈱
( 0.05 回 ) と な っ て い る 。
図 表 83 国 際 空 港 経 営 会 社 の決 算 状 況 (2010 年 度 )
(単位:億円、%)
成田国際空港㈱
中部国際空港㈱
前期比
売
上
高
営
業
利
益
経
常
利
益
当
期
純
利
益
総
資
産
売 上 高 営業 利益 率( %)
自己 資本比率( %)
総資 産回転率( 回)
1,878
320
234
100
9,356
17.0
24.2
0.2
4.5
50.1
86.9
64.4
▲ 9.7
-
関西国際空港㈱
前期比
426
41
11
10
5,014
9.7
15.7
0.1
0.7
280.1
▲ 2.2
-
前期比
894
190
83
73
18,934
21.3
32.1
0.05
3.3
51.5
795.4
415.9
▲ 1.2
-
(注)1.出所:各社ホームページ
2.羽田空港の経営は、国内線ターミナルは日本空港ビルデング㈱、国際線ターミナルは
東京国際空港ターミナル㈱が行っているが、国際線ターミナルは期の途中である2010年
10月に供用開始となったため、ここでは日本空港ビルデング㈱にて比較した。
77
日本空港ビルデング㈱
(注2)
1,348
42
31
9
1,990
3.1
50.6
0.7
前期比
11.4
▲ 18.0
▲ 37.9
▲ 63.8
6.8
-
78
2011年度 千葉銀行受託調査
成 田 空 港 と千 葉 県 経 済 の飛 躍 的 発 展 のために
〜新 たな時 代 を迎 えた成 田 空 港 をビジネスチャンスに活 かせ〜
2011年9月
■調
査
株式会社 ちばぎん総合研究所 受託調査部
〒263-0043 千葉県千葉市稲毛区小仲台 2-3-12
(電話)043-207-0621
79