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日本を先導した研究開発 ∼コンピュータ開発の視点から∼

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社団法人 電子情報通信学会
THE INSTITUTE OF ELECTRONICS,
INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS
フェロー&マスターズ未来技術研究会資料
FM06-4-2 (2006.11.13)
【 FM シ ン ポ ジ ウ ム 特 別 講 演 ( 概 要 )】
日本を先導した研究開発
∼コンピュータ開発の視点から∼
相磯
秀夫
東京工科大学
わ が 国 で 本 格 的 に コ ン ピ ュ ー タ が 開 発 さ れ た の は , 1950 年 代 で あ る . そ れ 以 来 , 半
世紀以上にわたって,情報社会を担うコンピュータ産業の形成に向けた様々な研究開発
が行われてきた.ここでは,主としてコンピュータ開発の黎明期に焦点をあて,コンピ
ュータの研究開発と産業の形成への経緯について概観する.
基 礎 研究
わ が 国 に お け る コ ン ピ ュ ー タ( か つ て は , 電 気 計 算 機 ま た は 計 算 機 と 呼 ん で い た ) に
関する基礎研究は戦前から行われており,国際的にも高い評価を得ている.その主なも
のは次のとおりである.
* 中 嶋 章 ・ 榛 澤 正 男 ( 日 電 ): ス イ ッ チ ン グ 回 路 理 論 , 1936 年 .
* 大 橋 幹 一 ( 電 試 ): リ レ ー 回 路 理 論 , 1942 年 .
* 後 藤 以 紀 ( 電 試 ): 論 理 数 学 理 論 , 1949 年 .
* 池 田 敏 雄 ( 富 士 通 ): リ レ ー 式 演 算 回 路 機 構 , 1952 年 .
* 後 藤 英 一 ( 東 大 ): パ ラ メ ト ロ ン 素 子 の 発 明 , 1954 年 .
試 作 機開 発
初期の電子式計算機の試作は,リレーまたは真空管を用いたものであったが,その数
は多くない.実用的なトランジスタの開発が予想以上早く進み,わが国の計算機の開発
はトランジスタまたはパラメトロンを使って始まったといってよい.
* 山 下 英 男 ( 東 大 ): リ レ ー 式 画 線 統 計 機 , 1947 年 .
* 城 憲 三 ( 阪 大 ): 真 空 管 式 演 算 回 路 , 1949 年 .
* 駒 宮 安 男( 電 試 )
:リ レ ー 式 計 算 機 ETL MarkⅠ ,1952 年 .ETL Mark Ⅱ ,1955 年 .
* 池 田 敏 雄 ( 富 士 通 ): リ レ ー 式 計 算 機 FA COM 100, 1954 年 .
* 岡 崎 文 次 ( 富 士 写 真 フ ィ ル ム ): 真 空 管 式 計 算 機 FUJIC, 1956 年 .
* 高 橋 茂( 電 試 ):ト ラ ン ジ ス タ 式 計 算 機 ETL MarkⅢ ,1956 年 .ETL Mark Ⅳ ,1957
年.
* 室 賀 三 郎 ( 電 電 公 社 ): パ ラ メ ト ロ ン 計 算 機 MUSASHINO-1, 1957 年 .
* 高 橋 秀 俊 ( 東 大 ): パ ラ メ ト ロ ン 計 算 機 PC-1, 1958 年 .
* 日 電 : パ ラ メ ト ロ ン 計 算 機 NEAC-1101, 1958 年 . ト ラ ン ジ ス タ 計 算 機 NEAC2201, 1958 年 .
* 東 芝 : ト ラ ン ジ ス タ 計 算 機 TOSBAC 2100, 1959 年 . TOSBAC-3100, 1960 年 .
* 日 立:パ ラ メ ト ロ ン 計 算 機 HI PAC MK-1,1957 年 .ト ラ ン ジ ス タ 計 算 機 HI TAC301,
1959 年 .
2
* 穂 坂 衛 ( 国 鉄 ): 座 席 予 約 シ ス テ ム MARS-1, 1959 年 .
* 雨 宮 綾 夫 ( 東 大 ): 真 空 管 式 計 算 機 TAC, 1959 年 .
* 三 菱 電 機 : ト ラ ン ジ ス タ 計 算 機 MELCOM 1101, 1960 年 .
* 富 士 通 : ト ラ ン ジ ス タ 計 算 機 FACOM 222, 1961 年 .
* 沖 電 気 : ト ラ ン ジ ス タ 計 算 機 OKITAC 5090, 1961 年 .
* * * * * *
コ ン ピュ ー タ産業 の形 成
わ が 国 で コ ン ピ ュ ー タ メ ー カ が 現 れ た の は 1960 年 代 初 頭 で あ る が , 上 記 の 試 作 計 算
機 の 成 果 を 活 か し た 産 学 官 連 携 の 努 力 が 見 ら れ る .特 に ,そ の 立 ち 上 げ( 産 業 の 揺 籃 期 )
には政府(経済産業省)の施策が大きな役割を果たした.その主なものは次のとおりで
ある.
* 電 子 計 算 機 調 査 委 員 会 の 設 置 ( 1955 年 )・ 国 内 8 社 に よ る IBM 650 相 当 計 算 機 の 分
担 開 発 の 試 行 ・ 外 国 特 許 対 策 ( 1957 年 ).
* 電 子 工 業 振 興 臨 時 措 置 法 ( 電 振 法 ) の 制 定 ( 1957 年 )・ 技 術 導 入 の 支 持・ IBM 特 許 ラ
イセンスの斡旋・外国計算機の輸入抑制.
* 日 本 電 子 工 業 振 興 協 会 の 発 足 ( 1958 年 )・ 代 表 的 な 試 作 計 算 機 を 集 め た 計 算 セ ン タ ー
の 設 置 ( 1959 年 )・ プ ロ グ ラ マ 養 成 .
* ETL Mark Ⅳ を 手 本 に し た ト ラ ン ジ ス タ 計 算 機 な ら び に 東 大・電 電 公 社 電 気 通 信 研 究
所が推進したパラメトロン計算機の国内メーカーへの技術指導.
* 国 内 7 社 に よ る 日 本 電 子 計 算 機 株 式 会 社 ( JECC) の 設 立 ( 1961 年 )・ レ ン タ ル 業 務
開始.
* 富 士 通 ・ 沖 ・ 日 電 の 3 社 技 術 研 究 組 合 に よ る 計 算 機 FONTAC 開 発 ( 1965 年 ).
* 大 型 工 業 技 術 研 究 開 発 制 度 に よ る 大 型 高 性 能 コ ン ピ ュ ー タ の 開 発( 大 型 プ ロ ジ ェ ク ト )
の 支 援 ( 1966 年 ∼ 2002 年 ).
超高性能電子計算機・パターン情報処理システム・第5世代コンピュータシステム・
ソフトウェア生産工業化システム・超高速並列コンピュータ・相互利用互換計算機・
リアルワールドコンピューティングなど
* 富 士 通 ・ 日 立 ・ 日 電 3 社 に よ る 日 本 ソ フ ト ウ ェ ア 株 式 会 社 の 設 立 ( 1966 年 ).
* 新 製 品 系 列 開 発 補 助 金 に よ る 企 業 統 合( 3 グ ル ー プ 体 制 )
・製 品 系 列 毎 の 開 発 分 担 の 試
行 ( 1971 年 ).
* 超 LSI 技 術 研 究 組 合 の 結 成 ( 1976 年 ).
* * * * * *
最 近 の研 究 開発
技術立国ならびに健全なユビキタス社会の実現に向けて,最近注目される産学官連携
の共同研究開発には,次のようなプロジェクトがある.
* TRON プ ロ ジ ェ ク ト
* e -JA PAN 戦 略
* u -JA PAN 戦 略
*新産業創造戦略
*次世代超高速ネットワークの開発
*リアルタイムOS開発・オープンソースソフトウェア推進・人材育成
* * * * * *
3
今 後 の研 究 開発課 題
高度情報社会の成熟に向けて,今後取り組むべき研究課題のいくつかを挙げる.
*基礎研究:感性・知識・知能
*アートサイエンス:文理芸融合
* ユ ビ キ タ ス ・コ ミ ュ ニ ケ ー タ の 開 発
*大規模高信頼ソフトウェアの開発
*情報の利活用
*セキュリティ技術
*コンテンツ制作・ソリューションサービス
*サービスサイエンス(工学)
*社会インフラストラクチャの整備
*超能力:ワープ・テレパシィー・超感覚認識・念力
* * * * * *
参考文献
* コ ン ピ ュ ー タ 博 物 館 : 情 報 処 理 学 会 ホ ー ム ペ ー ジ ( http://ww w.ipsj.or.jp)
* 高 橋 茂 : コ ン ピ ュ ー タ ク ロ ニ ク ル , オ ー ム 社 , 1986 年 .
* 高 橋 茂 : 日 本 の 情 報 処 理 技 術 の 足 跡 , 情 報 処 理 8-10, 情 報 処 理 学 会 , 2003 年 .
*青木洋: 日本のコンピュータ産業形成史∼技術開発と産業形成の日本的特質∼ ,博
士論文,東北大学.
* 遠 藤 諭 : 計 算 機 屋 か く 戦 え り , ア ス キ ー , 1996 年 .
[講演者略歴]
1955 年 慶 應 大 ・ 工 ・ 電 気 卒 . 1957 年 同 修 士 了 . 阪 大 ・ 工 ・ 助 手 を 経 て , 通 産 省 電 気 試
験 所( 現 ,産 業 技 術 総 合 研 究 所 )入 所 .ETL Mark IV な ど 国 産 ト ラ ン ジ ス タ 計 算 機 の 研
究開発を担当し,国内メーカーの商用計算機開発を指導した.その後一貫して計算機ア
ー キ テ ク チ ャ の 研 究 に 従 事 . 工 学 博 士 . 1971 年 慶 應 大 ・ 工 ・ 電 気 ・ 教 授 . 1990 年 同 大
学 湘 南 藤 沢 キ ャ ン パ ス の 開 設 に 貢 献 , 初 代 環 境 情 報 学 部 長 . 1999 年 同 大 学 名 誉 教 授 . 4
月 東 京 工 科 大 学 に 移 籍 し ,初 代 メ デ ィ ア 学 部 長 .6 月 よ り 現 職 .1995 年 紫 綬 褒 章 ,2006
年瑞宝中綬章受章.電子情報通信学会フェロー.
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