2-2. 施工方法 1.はじめに 施工手順は次のとおり。 当社は天然石を用いた透水性舗装材を「天然石景観材」と ①プライマー塗布 いう名称で、30年以上に渡り、開発・製造している。透水 ②バインダーと化粧骨材の混練 性のある舗装材には、雨の日に水たまりができず、水はね ③②と最密充填骨材の混練 が少なく歩きやすいという利点がある。雨水が地面へ浸透 ④塗り付け することから、排水路の負荷軽減やヒートアイランド現 ⑤ローラー転圧 象の緩和等も期待されている。この透水性に優れた景観材 ⑥コテ押さえ (最終養生) いろどり 「彩アストン」と「楽砂利パネル」を紹介する。 この施工手順のように、化粧骨材とバインダーを混練 し、さらに最密充填骨材を加え、混練する。練りあがった 材料をコテで塗り付けた後、直ちに、ローラーで力を入れ いろどり 2. 「彩アストン」 て転圧する。ローラー転圧することで、最密充填骨材が充 填され、化粧骨材の粒度調整やコテ塗りだけでは不可能な 2-1. 特長 いろどり 「彩 アストン」は、1㎡分の材料(骨材、バインダー、プラ 最密構造となる(図4)。施工においてこのローラー転圧は、 イマー、最密充填骨材など)をセット化し、強さと透水性 施工上の重要なポイントである。しかし転圧には、特殊な を両立させた“透水性天然石最密構造樹脂舗装材”である。 ものは必要なく、中毛ウーローラーでよい。転圧後、最後 これまでの透水性樹脂舗装材は、化粧骨材間に透水のた に仕上げのコテ押さえを行う。 いろどり めの空隙が存在する。「彩アストン」は、この空隙を化粧骨 材の粒度調整および最密充填骨材とローラー転圧工法で充 填し、最密構造とすることで部材の強度を高めた(特許工 3. 「楽砂利パネル」 法) 。 3-1. 特長 「彩アストン」の曲げ強さおよび圧縮強さは、汎用透水性 「楽砂利パネル」は、砕石や化粧砂利と組み合わせ、簡単 樹脂舗装材(2分石・1分石混合タイプ)の約1.5倍を示し、剥 に透水性のある簡易舗装ができるハニカム構造プラスチッ 離摩耗性(ラべリング試験)は約1/5と圧倒的な強さを示す ク製敷き砂利安定補助材である(写真2、意匠登録)。通常 (図1~3)。このことにより戸建住宅のガレージや重歩行箇 敷き砂利だけの舗装は、歩行による砂利の飛散や移動によ いろどり 所への施工が可能である。 り、凹凸ができやすい。「楽砂利パネル」は、これらを抑制 「彩アストン」は、最密充填骨材が化粧骨材間の空隙を最 し、凹凸の少ない状態を保つ。 適のバランスで埋めるので、透水性は損なわない(表1)。 また、敷き砂利は、靴が沈み込み (特に女性靴のヒール) 、 また透明度が高いため、天然石の風合いが損なわれず、景 歩きづらい (写真3) 。自転車のタイヤも沈み込み、通行が困 観性に優れる(写真1)。さらにノンスリップ骨材を配合し 難である。「楽砂利パネル」を用いると、女性靴のヒールの ているため、防滑性を有する。そして、乾式板とは異な 沈み込みが無くなり、歩きやすくなる (写真4) 。自転車のタ り、湿式の塗り材料であるため、現場で自由な形状に施工 イヤの沈み込みも解消され、通行が可能となる。 できるという特長を有している。 「楽砂利パネル」施工後、砕石によりパネル内に透水層が いろどり 28 No.456 2014 年 8 月号 特集:景観・環境に配慮した舗装材の魅力 従来の 汎用透水性舗装材 (2分石・1分石混合) 従来の 汎用透水性舗装材 (2分石・1分石混合) 図 1 曲げ強さ(4 点曲げ試験) 従来の 汎用透水性舗装材 (2分石・1分石混合) 図 2 圧縮強さ 図 3 剥離摩耗性(ラべリング試験) ※ラベリング試験は回転するチェーンで供試体に衝撃を与え、 摩耗した断面積を測定する試験である。 コテによる塗り付け後 写真 1 彩アストン仕上がり表面 写真 2 楽砂利パネル ローラー転圧 図 4 ローラー転圧イメージ 表 1 透水性(室内透水試験(定水位) :社団法人日本道路建設業協会 道路試験所) 透水係数(㎝/ sec) 試 料 8.76 × 10 彩アストン −1 透水性コンクリート 透水性インターロッキングブロック 1 × 10 −2 以上 等の基準 写真 3 敷き砂利のみ(ヒールの沈み込み)写真 4 楽砂利パネル使用 ※透水係数が高いほど透水性能が高い 表 2 透水性(室内透水試験(定水位) :社団法人日本道路建設業協会 道路試験所) 透水係数(㎝/ sec) 試 料 2.55 × 10 楽砂利パネル −1 透水性コンクリート 透水性インターロッキングブロック 1 × 10 −2 以上 等の基準 ※透水係数が高いほど透水性能が高い 写真 5 砕石敷き込み 写真 6 パネル敷き並べ ② 「楽砂利パネル」 を敷き並べる (写真6)。 ③ 「楽砂利パネル」 に6号砕石を充填する (写真7)。 ④化粧砂利を敷き込み、仕上げる(楽砂利パネルを隠す) (写真8)。 化粧砂利の代わりに 「彩アストン」 を施工することもできる。 4.おわりに 写真 7 砕石充填 写真 8 化粧砂利敷き込み 商業施設や公共施設周辺を中心に使われてきた景観材 も、個人住宅の外構(アプローチ、カースペースなど)等小 形成されるため、透水性は非常に優れる(表2)。 規模な物件でも多く使われるようになった。 「彩アストン」、「楽砂利パネル」は、天然石(砂利)を用い 3-2. 施工方法 ることで、自由な意匠性と透水性という機能を生かせる製 施工手順は次のとおり。 品である。今後もこのユニークな製品を施工者、設計者の ①路床に6号砕石を敷き込む(写真5)。 みならず、施主に対してもアピールしていきたい。 No.456 2014 年 8 月号 29
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