下地から仕上げまでトータルプロデュース 進化した高機能舗装材

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特集:左官業者に提案したい塗り床材・防水材
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下地から仕上げまでトータルプロデュース
進化した高機能舗装材
ヤブ原産業株式会社 販売営業部 係長
坂本 昌宏
1. はじめに
当社は天然石を用いた透水性樹脂舗装材を「天然石景観
材」という名称で、先駆者として 30 年以上に渡り、開発・製
造している。透水性のある舗装材には、雨の日に水溜りがで
きず、水はねが少なく歩きやすいという利点があり、雨水が
地面へ浸透することから、排水路の負荷軽減やヒートアイ
ランド現象の緩和等も期待されている。また、こうした機能
面以外にも、天然石を使用していることから、都市景観に彩
りや安らぎをもたらす。この透水性に優れた、透水性天然石
最密構造樹脂舗装材「彩アストン」と敷砂利安定補助材
「楽
砂利パネル」を紹介する。
写真1 楽砂利パネル
写真2 敷き砂利のみ
(ヒールの沈み込み)
写真3 楽砂利パネル仕
様
表1 透水性(室内透水試験(定水位)
:社団法人日本道路建設業協会 道路試験所)
試 料
透水係数(cm / sec)
楽砂利パネル
2.55 × 10 - 1
透水性コンクリート
透水性インターロッキングブロック
等の基準
1 × 10 - 2 以上
※透水係数が高いほど透水性能が高い
2. 製品紹介「楽砂利パネル」
「楽砂利パネル」は砕石や化粧砂利と組み合わせ、簡単に
透水性のある簡易舗装ができるハニカム構造のプラスチッ
ク製
“敷き砂利安定補助材”である。(写真 1、意匠登録)
。通
常敷き砂利だけの舗装は、歩行による砂利の飛散や移動に
より凹凸ができやすい。
「楽砂利パネル」はこれらを抑制し、
凹凸の少ない状態を保つ。
敷き砂利仕上げは、靴が沈み込み(特に女性靴のヒール)
歩きづらい
(写真 2)
。自転車のタイヤも沈み込み、通行が困
難である。
「楽砂利パネル」を用いると、女性靴のヒールの
沈み込みが無くなり、歩きやすくなる(写真 3)。自転車のタ
図1 曲げ強さ(4点曲げ試験)
26
図2 圧縮強さ
No.480 2016 年 8 月号
イヤの沈み込みも解消され、
通行が可能となる。
「楽砂利パネル」
施工後、
砕石を充填することによりパネル
内に透水層が形成されるため、
透水性は非常に優れる
(表 1)
。
3. 製品紹介 「彩アストン」
「彩アストン」は、強さと透水性を両立させた“透水性天然
石最密構造樹脂舗装材”である。従来の透水性樹脂舗装材
は、化粧骨材間に透水のための空隙が存在する。「彩アスト
ン」は、この空隙を化粧骨材の粒度調整及び最密充填骨材と
ローラー転圧工法による充填を行うことにより、最密構造
図3 剥離摩耗性(ラベリング試験)
※ラベリング試験は回転するチェーンで供試体に衝撃
を与え、摩耗した断面積を測定する試験である。
特集:左官業者に提案したい塗り床材・防水材
仕様 1 「楽砂利パネル」+ 化粧砂利仕上げ
◎施工手順
1
2
いろどり
仕様 2 「楽砂利パネル」+「彩アストン」仕上げ
◎施工手順
仕様 1 「楽砂利パネル」+化粧砂利仕上げ工程〜
の後に以下の手順で施工を行う。
4
写真4 路床に6号砕石を敷き込む
5
写真5 「楽砂利パネル」を敷き込む
3
写真8 バインダーと骨材の混練後、
更に最密充填骨材を混練
4
6
写真6 「楽砂利パネル」に6号砕石
を充填
写真7 化粧砂利を敷き込み仕上げ
る(楽砂利パネルを隠す)
写真9 骨材塗り付け
7
写真10 ローラーによる転圧
写真11 コテ押さえ 最終養生
写真13 東京都某大学屋上緑化の歩
道 砕石仕上げ
写真14 行田市総合福祉施設 彩ア
ストン仕上げ
表2 透水性(室内透水試験(定水位)
:
社団法人日本道路建設業協会 道路試験所)
試 料
透水係数
(cm / sec)
彩アストン
8.76 × 10 - 1
透水性コンクリート
透水性インターロッキ
ングブロック等の基準
1 × 10 - 2 以上
※透水係数が高いほど透水性能が高い
写真12 彩アストン表面の
仕上がり
とすることで部材の強度を高めた(特許工法)。
「彩アストン」の曲げ強さ及び圧縮強さは、汎用透水性樹
脂舗装材
(2 分石・1 分石混合タイプ)の約 1.5 倍を示し、剥離
摩耗性
(ラべリング試験)は約 1 / 5 と圧倒的な強さを示す
(図 1 〜 3)。このことにより戸建住宅のガレージや重歩行箇
所への施工が可能である。
「楽砂利パネル」+「彩アストン」仕上げの特長
「彩アストン」は、最密充填骨材が化粧骨材間の空隙を最
適のバランスで埋めるので、透水性は損なわない(表 2)。ま
た、「楽砂利パネル」は、透水性下地(透水コンクリート等)
を用いなくてもベース材と砕石で透水性のある簡易舗装が
できる。通常のコンクリートでは、打設後仕上げ材を施す
までに養生期間
(含水率の低下、強度発現のため)が必要で
あるが、
「楽砂利パネル」+「彩アストン」仕上げは、直ちに
透水性樹脂舗装材が施工でき、工期の短縮が可能である。ま
た、路床まで 40㎜以上の透水層が形成され、透水コンクリー
トや透水性インターロッキングブロックと同等の透水性を
有する。
また、
「彩アストン」のバインダーは、透明度が高いため、
天然石の風合いが損なわれず、景観性に優れる(写真 12)。さ
らにノンスリップ骨材を配合しているため、防滑性を有す
る。そして、乾式板とは異なり、湿式の塗り材料であるため、
現場で自由な形状に施工できるという特長を有している。
4. 施工実例
施工実例として、公園の歩道、マンションのエントランス
などに多数使用されている。最近の興味深い物件として、行
田市の福祉施設の歩行訓練コースの中で路面が波打つよう
に施工された大変ユニークな施設がある。
5. おわりに
建築業界では、建築物の長寿命化、環境に配慮した建築材
料に対するニーズが大きくなって久しい。舗装材について
も建築物の重要な要素であり、前述した性能に加え意匠性、
施工性も求められている。
その中で幣社は、天然石景観材の先駆者として、従来から
ある舗装材に付加価値を付け進化させ、環境にも適した舗
装材を開発・製造・販売している。今後も現状の製品に甘ん
ずることなく、時代のニーズに応え、環境に配慮した独創性
のある
“ものづくり”
に取り組んでいきたい。
No.480 2016 年 8 月号
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