close

Enter

Log in using OpenID

自主ワークショップ「ヨーロッパ Social Firm の現在と未来~日本での創業

embedDownload
自主ワークショップ「ヨーロッパ Social Firm の現在と未来~日本での創業に向けて」
企画者 吉崎未希子(有限会社人財教育社)
【要旨】
Social Firm(以下 SF)とは、公益を目的とし、障害者と非障害者が共に働く企業である。1960 年代のイタリアに
始まり、西ヨーロッパ各国でそれぞれの哲学と実態に基づいて発展し続け、現在に至る。2011 年秋現在 96,000 人超
の障害者が SF で働いており、その動きは、地域的には東ヨーロッパ諸国へ、働く人々の対象も様々な障害へと拡大
している。
SFE-CEFEC は、ヨーロッパの SF 推進の共同体 NGO である。参加国が持ち回りで年1回の国際会議を行ってお
り、2010 年はイギリス、2011 年はイタリア、2012 年には、25 回記念会議をルーマニアで開催した。各国の取り組
み報告の他、SF 事業のプラン検討等の実践的なワークショップ等、活発な意見交換が行われる会議である。
本自主ワークショップでは、ヨーロッパ SF の現在と未来について、当社が行った視察調査を基に報告した後、
SFE-CEFEC に倣い日本に SF を創るための検討をパネルディスカッション形式で行う。パネラーには、ヨーロッパ
で SF の創設に関わっている人物や、日本で SF 創業を目指している起業家を予定している。また、出来るだけ参加
者もディスカッションに加われるよう計らいたい。その目的は、単なるヨーロッパ SF の一方的な情報伝達に留まら
ず、日本に SF を創業するための具体的な行動を起こすためである。多くの参加を期待したい。
social firm の本質を掴むには
人財教育社 森田廣一
social firm の本質を掴むには現在過去未来の三つの視点
がある。
現在からの視点
現在からの視点はドイツでの social firm の展開と,ヨ
ーロッパの EU 参加国中 18 ヶ国での展開からである。
ドイツの展開は、
1983 年ベルリンのバックシュテルン事
務所で、ペーター・シュタットラーと心理学者アービン・
ゼイフィールドとウルスラ・プロッグ達が一堂に会し、
障害者が自助で働く場を創ろうと統合プロジェクトを立
上げ、現在の FAF の活動を形成しているものである。
FAF は social firm 事業設立のコンサルティングと支援
を行い、ドイツ全土に数多くの social firm を起こしてい
る。この活動は social firm とはどんな事業なのかを出発
点とするものである。この為、この事業の本質を理解す
る事が social firm の本質を掴むことに繋がる。おおよそ
30 年間で約 700 社が設立され 90%を超える確率で事業
が継続されており、刻々と増えている。従って事業展開
している social firm の現在に視点を向ける事によって
本質が把握できる。
併せて FAF から独立した social firm
連合協会 BAG による長年のロビー活動が影響している
SGB Ⅸ が 2001 年 に立法 化 され 、 social firm が
Integrationsprojekt とドイツ名称と成っている。SGB
Ⅸは Social Gesatz Buch Ⅸの略であり、社会法典 Ⅸと
して 障害者の就労を社会システム化しているものであ
る。この法による社会システムの支援によって、2001
年以降は年間 30 社~40 社が生成発展している。この社
会システムの機能に視点を向ける事により、本質の把握
が可能である。
ヨーロッパ EU 参加国中18 ヶ国での展開は 1987 年ベ
ルリン国際会議を嚆矢とする SFE CEFEC への視点で
ある。SFE は social firm europe ヨーロッパソーシャル
フ ァ ー ム 連 合 の 略 称 で あ る 。 元 々 は CEFEC
Confederation of European Firm,Employment
initiatives and Co-operative for people with mental
health problem が正式名称で、太文字を略称としている。
精神障害者の雇用に関する推進と協同を図るヨーロッパ
企業連合と云うNGOであり、
長いので CEFECと成り、
更に SFE と成り、SFE CEFEC が本年度から通称とし
て使われている。会議は各国の持ち回りで開催され、参
加者は企業の経営者や社員、
障害者就労の行政の担当者、
EU の担当者、大学の研究者、協同組合の担当者、精神
科医、個人参加等様々である。25 回の会議の継続の中で
行っているのは、如何にして事業として social firm を拡
大展開して行くか、と云うテーマである。会議は毎回時
流を考慮しての適宜テーマが掲げられ、基調ディスカッ
ションとテーマ別セミナーディスカッションが三日間の
日程で繰り広げられる。毎回 200 人位の参加が有り、地
元とヨーロッパ各地、更に世界中から集まっている。そ
の影響下で、現在ヨーロッパ各国及び各地で自国の状況
や文化に応じての social firm 設立が推進されている。イ
ギリスはその典型で、social enterprise と云う止揚概念
を生み出し、
急速な設立発展が進められている。
従って、
CEFEC への視点は本質を掴む現在的視点と成る。
過去からの視点
障害者を社会の課題として捉えるのは、プロイセンの
ビスマルクが社会保障の概念の実践を政治的課題とした
事に端を発する。その後、ナチスによる障害者への迫害
を経て、第二次大戦後の障害者への行政的対応が行われ
てきた。精神障害者については病院治療が中心であり、
入院治療が長期的に行われると云う状況である。
Klaus Dörner クラウス・デルナー博士は 1980 年~
1996 年グーテルスローの LWL 病院の院長として、精神
障害者の治療に取組み、長期入院患者に対する先駆的改
革を行っている。LWL 病院は広大な敷地に数多くの入
院病棟と関連施設を持っている。長期入院治療への対応
の為である。ゲットー(隔離居住地域)と良く似た施設
環境である。数十年に亘る長期入院を維持する為の施設
であるが、人間として生きていく自由はかなり制限され
る為、似ているのである。1984 年 9 月 9 日~9 月 25 日
の 16 日間、デルナー博士は 26 人の患者と共に休暇旅行
を実施した。目的はアパート形式のホテルで自ら生活す
ると云う体験をする為である。その体験の中で患者達は
生き方の変化を起こした。自らの意思で生活したいとの
変化である。この実践によってデルナー博士は、入院か
ら一般の住居での暮らしを行える様に、治療方針を変革
したのである。更に自立した暮らしを続ける中で患者達
は、仕事をしたい、役に立つ事をしたいと云う願望を訴
えた。最初にこの要望を受けた時、博士は大きな衝撃を
受けた。患者が仕事をしたい等考えた事もなかったので
ある。自分は患者の事は何も理解していなかった、と博
士は述懐している。仕事と遊びは人生の最も重要な事柄
である、とも述懐している。その後、患者達と博士は仕
事の場を作り出す困難に取り組んでいった。グーテルス
ローには、その時に設立されたドイツの social firm の発
祥 NPO 法人ダルクが現存している。social firm と云う
名称も理念も無かった頃である。
過去からの視点として、
social firm の濫觴から本質を掴む事が可能である。
うものである。果たして精神障害の治療に病院のベッド
は有効なのだろうか?と。患者を人間的生き方から引き
離す方法を取らざるを得ない治療へのアンチテーゼであ
る。原理は地域医療として、地域に居住の場と働く場と
住民として共生の場を恒久的に築いていくものである。
この理念は患者と医師と病院と云う関係を転換するもの
である。患者は生活者で、医師は協力者で、病院は地域
医療の様々な役割を担う機能施設である。これらの位置
付けは目下試行錯誤でヨーロッパの各国で試みられてい
る。
ハンブルグから車で約一時間南下すると、ゲーストハ
フトと云う街がある。この街を中心とした地域は
186,000 人が居住している農村地域である。ノーベルが
ダイナマイトの生産地として最初の製造工場を作った所
である。エルベ川の流域にあり、景観の美しい地域であ
る。ヨハニテル病院はこの街の高台にあり、この地域の
医療を担っている総合病院である。ここの精神科の院長
はマティアス・ハイスラー博士である。デルナー博士の
弟子であり、LWL 病院で一緒に改革に取り組んでいた
医師である。4 年前に行政に脱精神障害による地域の再
構築を提案し、現在その実践に取り組んでいる。200 の
ベッドは 20 に削減され、入院治療は大きく転換されて
いる。モバイル移動緊急チームと云う名称の治療支援体
制が取られており、日常的に地域の医療協力をカバーし
ている。暴力沙汰が激減したと担当医師が感慨を持って
云っている。
何故激減したのか?地域での家族との関係、
住民いわゆるお隣さんとの関係が再構築された為である、
との事。暴力が如何にマイナスになるかを自覚したので
は、これは私の見解である。脱精神障害と social firm の
結び付きは試行錯誤中である。しかし、social firm の本
質を未来から掴む事が出来る可能性がここにはある。
参考文献
・Die Entwicklung von Integrationsfirmen Peter Stadler
berlin,FAF gGmbh,1.Aufflage 2005
(統合企業の発展 編集ペーター・シュタットラー ベル
リン FAF 2005 年出版)
・ Spät
kommt
ihr---
Gütersloher
Wege
mit
Langzeitpatienten Herausgeber Konstanze Könnig
Privat Verlag Jakob Hoddis Gütersloh
未来からの視点
“Post Psychiatrie 脱精神障害”と云う理念と実践が
21 世紀に入って、ヨーロッパで広がっている。この理念
は精神障害の治療として、病院のベッドを否定するもの
である。病院による医療はドイツでは 200 年位、日本で
は 150 年位の歴史を持つものである。現在では病院での
治療が常識と成っている。脱精神障害はその歴史から疑
(来るのが遅いよ…長期入院患者とのグーテルスローでの道の
り 編集コンスタンツ・ケーニッヒ
私家出版 ヤコブ・ホディス出版 グーテルスロー)
・ soziale
psychiatrie
134
oktober
2011
Der
DeutschenGesellschaft für soziale psychiatrie e.V.
(社会精神医学 134 号 2011 年 10 月 ドイツ社会精神
医学協会)
統合企業へのコンサルティング支援について
FAF gGmbh(Fachberatung für Arbeits- und Firmenprojekt 仕事と労働に関するコンサルティング)
代表 Peter Stadler ペーター・シュタットラー
(FAF は統合企業を専門に扱っているコンサルティング会社 www.faf-gmbh.de)
統合企業*の設立の動機
事業計画への公的なコンサルタント機関である FAF
は、一般市場で働いて収入を得たいと云う障害者への公
益を目的とする企業の設立コンサルティングを行ってい
る。賢い消費者が暗算で計算をした上で購入する様に、
障害者も倫理的に考えた上で就労に取り組んでいる。
我々は、統合企業が公益性と経済性のバランスを得る事
によって、経営的に健全に成り立つ様に支援する事を役
割としている。
従ってこの役割は次の事に挑戦しているのである。
「統合企業は通常の会社であり、通常の市場で企業活動
を行い、労働契約を基盤として障害者を 25 から 50%
雇用するものである。」
FAF はこの役割の為にベルリン、ケルン、ケムニッツ、
ダルムスタット、キール*の 5 事業所を拠点として、ド
イツの多くの地域で統合企業の設立を目指している顧客
に対し,統合企業の経済的負担を最適にし,就労の場を増
加させる為の設立のコンサルティングを行っている。
*統合企業とはドイツの社会保障に関する法律 SGB(社
会法典)
Ⅸに規定されている Integrationsprojekt に基
づき設立されている企業である。social firm と同義。
*キールは 2013 年に新設されている。
統合企業の設立は事業コンセプトから
我々は 1986 年以来積み重ねてきた経験を基に、事業
コンセプトの改善と実行プラン策定の支援を行っている。
コンサルティングの目指す所は、統合局の主導による財
団や銀行の支援によって,設立を可能にすることである。
設立後の継続支援及び、事業の拡大コンサルティングも
行っている。
一般市場では多くの新事業が最初の年に失敗してい
るが、統合企業は失敗を遠ざけている。我々は通常の教
科書的なコンサルティング手順を避け、25 年間で積み重
ねて来た手法に基づいている。何故なら、支援している
統合局*が銀行や財団による誤った投資をしない為であ
る。過去初期段階での統合企業の設立は、厳しい企業間
競争に立ち向う事が出来ない単なる夢物語として冷笑さ
れたこともある。設立が進められた 20 年間の推移では
その様な例があったかもしれない。統合企業という新た
な概念と方法に、否定的な見解が示され、早計な評価が
為されていたのである。
しかし、主な州では経営への支援や事業計画との違い
の発生に対する支援コントロールが詳細に行われている。
例えば、
予想を上回る支払いやコスト及び仕入れの増加、
新たな機材の早期導入の必要性に対するもの等。
この為、
多くの地域で経済的かつ公的な見識を併せ持った能力の
高い経営者が活動している。計画と実際とのズレと云う
初期事業計画の綻びは、むしろ多くの公益企業の設立に
よる雇用創出の機会と成っていると楽観的に考えられる。
*統合局(Integrationsamt)は SGB Ⅸによって設立さ
れた行政局である。下部組織の IFD(Integrations
Fach Dienst 統合専門サービス機関 )によって障害
者の職業教育・就労支援・解雇への対応・企業支援を
行っている
これらの結果、統合企業の発展は、障害者の作業施設
や、更に社会/保健衛生機関に属する多くの社会施設の
運営担当者から大きな関心がもたれている。
何故ならば、これまでは障害者が働く為の中心的な事業
とは考えられていなかった事業サービスが統合企業によ
って直営され、
中心的設立事業と成っているからである。
bag-if :統合企業労働連合協会
“企業新報” 2011 年 1 月号
編訳 jks 森田 廣一
(ドイツ語原文)
bag-if Bundesarbeitsgemeinschaft
Integrationsfirmen e.V.
Firmen-Kurier Januar 2011
Interview mit Peter Stadler, Geschäftsfürer
der FAF GmbH
Beratung und Starthilfen schützen von
Fehlplanungen
Die Unternehmensberatung FAF ist auf
lntegrationsfirmen spezialisiert:
Was sind die Motive der Gründer solcher Betriebe?
Die gemeinnützige Fachberatung für Arbeits- und
Firmenprojekt wendet sich vor allem an
Unternehmer, die ein soziales Ziel, nämlich die
berufliche Teilhabe behinderter Menschen auf dem
normalen Arbeitsmarkt, mit wirtschaftlichen
Mitteln erreichen wollen.Im Herzen sind diese
Mennschen ethisch motiviert,im Kopf rechnen sie
wie gute Kaufreute. Wir können ihnen helfen,die
Balance zwischcn Sozialem und Wirtschaftlichem
zu finden.
Die Aufgabe ist herausfordernd:
Integrationsuntemehen sind normale Betriebe, die
am normalen Markt tätig sind und zwischen 25
und 50% Menschen mit Schwerbehinderung auf
Basis von Arbeitsvertragen beschäftigen.
Wie gehen Sie dabei vor?
In unseren Niederlassungen in Berlin,
Köln,Chemnitz und Darmstadt sowie vor Ort beim
Kunden an vielen Orten Deutschlands beraten wir
die Gründer solcher lntegrationsfiem,um deren
wirtschaftliche Tragfäigkeit zu optimieren und
Nachhaltigkeit der Arbeitspläze zu erhöhen.
Was passiert, wenn ein Konzept nicht stimmig ist?
Dann helfen wir mit unserer 25jährigen
Erfahrung,das Konzept zu verbessern. Manchmal
raten wir auch,eine ldee nicht weiterzuverfolgen
oder völlig neu zu durchdenken.Die Beratung
mündet im ldealfall in einen Businessplan,mit dem
der Gründer sich um Kapital und Hilfen bei
lntegrationsämtern, Stiftungen und Banken
bemühen kann.
Begleiten Sie die Firmen nach dem Start weiter?
Wenn das gewünscht ist geme.Manchmal bringen
die Gesellschafter der lntegrationsfirmen
Erfahrungen mit,manchmal ist eine
Konsolidierungensberatung erwünscht.
Normalerweise scheitern sehr viele Neugründer in
den ersten Jahren. Was sind lhre Erfarungen?
Stimmt, das vermeiden wir in der Regel durch den
vorgelagerten Beratungsprozess,
auf den übrigens auch die fördernden
lntegrationsämter, Banken und Stiftungen
drängen, um Fehlinvestitionen zu vermeiden.
Die Gründer von lntegrationsprojekten werden
zuweilen als Sozialromantiker belächelt, die im
harten Wettbewerb nicht mithalten könnten. Was
sind ihre Erfahrungen?
Das mag in den Gründerjahren vor über 20 Jahren
der Fall gewesen sein;aus den Negativerfahrungen
wurden aber schnell Konsequenzen gezogen. In
manchen Ländem gibt es ergänzend ein
begleitendes Controlling,das dem Management
hilft,Schieflagen― z.B in der Entwicklung von
Liquidität, Kosten,Aufträgen,neuen
Produktenfrühzeig zu erkennen.Vielerorts sind
hochprofessionelle Geschäftsführer tätig, welche
wirtschaftliche und sozial Aspekte gut miteinander
verknüpfen. lch bin optimistisch, dass die Chancen
auf Arbeitsplätze in sozialen Unternehmen
wachsen-derzeit stehen viele Gründer in den
Startlöchern.
Aus welchen Bereichen kommen die?
Zum Beispiel haben die Werkstäten für behinderte
Menschcn ein großes lnteresse, ferner die Träger
großer Einrichtungen im Sozial‐ und
Gesundheitswesen.
Bei diesen geht es darum,Dienstleistungen,die
nicht zum Kemgeschäft zälen, mittels Gründung
einer lntegrationsfirma in eigener Regie zu
betreiben.
Author
Document
Category
Uncategorized
Views
5
File Size
322 KB
Tags
1/--pages
Report inappropriate content