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日消外会誌 23(8):2168∼ 2173,1990年
卒後教育セ ミナ ー 5
全結腸切 除 ・直腸粘膜切除,回 腸肛門吻合術後 の排便機能 の
臨床的評価法 としての排便抑制障害度
兵庫医科大学第 2外 科
宇
都
宮
譲
二
全結腸切除 ・直腸粘膜切除, 回 腸肛 門吻合術後 の排使機能 の客観 的臨康的評価法 として排便抑制障
害度 ( c o n t i n e n c e d i s t u r b a n c e g r a d下
e CiD以
G ) を 以下 の ご とく 5 段 階 に分 けた。す なわ ち C O ‐1 は
nomal continence,CO‐
2 i nearly normal continence,DC‐ l i mild dyscontinence,DC‐2:moderate
dyscontinence, IC:incontinenceと
こ.
しブ
そ の他 の指標 として, 1日 排便 回数 ,夜 間排便,肛 門病 変,Pad,止 痢剤 の使用,便 屁識別,社 会生
活支障 の有無 に CDG分 類 は 明瞭 な相 関 がみ られ,本 法 は 「回肛 吻合」後 の臨床的機能評価法 として妥
当 と考 え られた。 当科 で 行 った 「回肛吻合 」 の うち完了後 6か 月以上 を経 た56例す なわ ち漬瘍性大腸
炎 (ulcerative colitis下i以
UC)28例 ,腺 腫 性 ポ リポ ー ジス (adenOmatosis coli;以
下 AC)28例 の
continence rateは
6 9.6%で あ りこれ に悪影響す る因子 は そ の順 に骨盤 内感染症,超 短衛法,高 齢者,
UCで あ った。
Key words:
ileoanal anastomosis, clinical functional assessment, continence disturbance grade
Ic は じ3め│こ
した (Table l).術式 は基本的 にはすで に発表 した 方
「回肛吻合 」UCお よび ACに 対す る手術法 として 今
日各 国にお いて急速 に普及 しつつ あ る。 しか しなお,
法りで あ る。なお短衛法 short cuF methodとは下部直
腸筋層 を温存す る方法 で これ を原則 として行 い 8例 の
種 々な術式 が行われてお り,手 術 の細部 に改良を必要
み に超短筒法 minimum cur methodす
とす る段 階 とい える。本法 の手技 の改善 のためには今
筋群直上 まで筋層 を切 除す る方法 を行 った。
日最 も求 め られてい るものは内外 の施 設 の成績 を比較
し うる普遍的 な機 能評価 の方法 の確立 で あ る。本法 の
なわ ち肛 門挙
IH.臨 床 的評価法
1.排 便抑制 障害度 continence disturbance grade
成績 の評価 の方法 には臨床的排便機能評価法 ,生 理学
(CDG)i排 便 抑 制 の 障 害 の程 度 を表 現 す るた め に 新
的測定法,生 活度評価法 ,侵 襲度,合 併症 の評価 な ど
の側面 が あ るが, この うちで本論 文 で は臨床的排便 機
た に設定 した基準 で 以下 の ご とく 5段 階 に分 けた。 な
能評 価 のみ を取 り上 げ て 検 討 した 。我 々は これ まで
Peckl)による“
patient satisfaction category"の
変法 分
を用 いて分析 して きたが,定 義 が不 明確 で あ るので新
た な評価法 を考 案 した。 なお本論 文 においては 「回肛
吻合」 とは大腸 粘膜 の完全 な る切 除 を行 い,回 腸 また
は回腸嚢 を肛 門歯状線直上 で肛 門管 とを吻合 す る術 式
で あ る。
お soiling(下
着汚染)と ぃ粘液 または少量 の使 で下着
が汚染す る状態をい う,
1)Continence i排
便抑制 が完全であ る状 態 で次 の
2段 階 に分ける。CO‐l i normal continence近i最
の
1∼ 2か 月 に soilingを
全 く経 験 した こ とが な い 状
態. CO-2 i nearly nomal cOntinence, 最近 1∼ 2カ
月に例外的に体調の悪い とき,下 痢 の ときな どに,soi‐
II.症 例 お よび術 式
lingを経験 した こ とがある状態
2)Dyscontinence i排
便抑制 が 時 に不 完全 な こ と
当科 において1983年以来 1990年3月 20日まで に 「回
肛 吻合」 を行 った例 の うち56例を今 回の研究 の対象 と
が あ る状 態 で次 の 2段 階 に分け る。DC‐1:定 期的 に
時 々 (週に 3日 以下)soilingを
経験す る状態.DC‐2i
<1990年 5月 9日 受理>別 刷請求先 !宇 都官譲 二
〒663 西 宮市武庫川 町 1-1 兵
庫 医科大学 第 2外
moderate dyscontinence,定
期的 に頻 回 (週の半分以
上の 日に)soilingを経験す る状態
3)Incontinence(IC):排便抑制 が不可能 な状態で
科
203(2169)
199oを
「8月
Table 1 Number of patient of ileoanal anastomosis
(1990.03.20)
Total
UC
AC
IAA performed
30
Ileostomy closed
For 6 months or more
Average months (range)
29
56
28
28
30(6∼ 63)
26(6∼ 62)
3021(17∼ 59)
Male/Female
29/27
32(7∼63)
15/13
Average age (rang)
306(14∼ 67)
3097(14∼ 67)
14/14
持続 的 に 日夜 s o i l i n g を
経験す る状 態 を含 む。 なお今
DSFは 平均 5.0回, しか し約半数 は夜 間排便 を必要 と
回の分析 では術後合併症 のため に排便障害 に陥 った例
してお り57%に padを 着用す る習慣 が あ る。 しか し肛
門皮膚炎 は14.3%に しか認め られず ,い ずれ も I度 で
で も手術完了 ( 回腸肛 門閉鎖) 後 6 か 月を経 て いれ ば
分析 の対象 とした 。
あ る。DC‐1は 8例 14.7%で 11回以上 の DSFは な く平
2 。 そ の他 の臨床的指標
均5.6回,soilingはほ とん ど夜 に限 られ,loperamide
1 ) 排 使 回数 : 2 4 時間排便 回数 d a l l y s t o o l i n g f r e ‐ の使 用 は半 数 以上 にみ られ るが社 会 生 活 の 制 限 は な
q u e n c y ( D S F ) お よび 1 週 間 あ た りの夜 間排 便 回数
noctumal stooling frequency(NSF), 2)便
屁識房J
い。DC-2は 5例 ,8.9%で soilingは
や は り夜間 のみ に
限 り全例 が padを 必要 とし,肛 門皮膚炎 は60%に み ら
sensation or discrimination ス
iガ
と使 とが可 能 か否
れ,少 数 (20%)な が らII度以上 の病変 がみ られた。
か。3)Padの 常用 の有無.4)止 痢剤 (Loperamid)
社会生活 は制 限 は あ るものが 1例 (20%)に あ った。
の 常 用 の 有 無.5)肛 円 周 囲 皮 膚 炎 perianal sore‐
=漬 瘍 と分 け ら
nessi I度 =発 赤,II度 =び らん,III度
ICは 4例 7.2%で あ る。 II度以上 の肛 門皮 膚炎 が あ り
全例 が イ レオス トミーに変更 した。 UCの 2例 はいず
れ るが これ らす べ ての有無.
れ も重 症 骨 盤 内感 染 症 で あ り 1例 は 第 1期 手 術 の
3.評 価 の基本的条件
Hartmann手 術 後 に 断端 に縫 合 不 全 が 発 生 して frO,
1)評 価 の方法 :外 来来院時 の面接,問診 を中心 とし
zen pelviceの
状態 とな り回肛 吻合 を試 みたが incOnti_
た 。2)評 価者 :原 則 として医師 に よって行われ るがそ
nenceの た め に回腸 襲 切 除 を行 い,Kock回
の数 は不 特定 の多数 で 手術関係者 を含む。3)評 価 の時
期 お よび頻 度 :原 則 として手術 完成 (空置的 回腸肛 門
変更 した.他 の 1例 は 回腸肛 門閉鎖後,日 夜 soilingが
閉鎖)後 6か 月以上 を経 過 した 例 に 限 った。4)除 外
例 :回 肛 吻合術 を行 ったが今回の分析 か ら除 外 した例
的 回腸肛 門を再 開 した。ACの
は回腸肛 門閉鎖後 3か 月以内 に癌 のため 死亡 した AC
の 1例 ,回 腸嚢瞳慶 のために空置的 回腸肛 門 の閉鎖 が
陥 った例 であ り,一 時的回腸痩 を再開 した。他 は直腸
癌 を伴 うACで 広範 の骨盤 内 リンパ節郭清 を行 った 1
で きな い UCの
例 で あ り癌 の再発 を認めた。
1例 であ る。
IV.成
1.CDCと
績
そ の他 の 臨床的指標 との関 係
腸肛 門 に
あ り J菱 周 囲に late abscessが
発生 した もので ,一 時
1例 は60歳の 男性 で 術
な り粘 膜 の 壊 死 に
後 重 症 の obstructive pouchitisと
2.CDGに
影響す る要 因
以上 の 分析 で CDGは
「回圧 吻合」の臨床的排便機能
今度新 た に考 案 した CDGの 内容 を明 らか にす るた
評価 の代表的指標 と考 える こ とがで きるので これ に影
め に,そ の他 の parameterと の相関 をみ る と Table 2
響す る患者 の宿主的要 因 お よび手術手技 に関す る要 因
の ご と くであ る。
を分析 してみた 。 そ の結 果 CDGに 対 す る悪化要 因 を
CO‐1は25例44.1%で そ の全 例 の 排 便 回数 6回 以 下
正常抑制 率 (continence rate)す
なわ ち CO‐1と CO‐2
で96%は 夜間排便 を必要 とせ ず全例 よい便屁識別 を示
の 占め る割合 であ る平均的数値 70%か らの減 少率 で表
し,96%は 肛 門皮膚炎 はみ られず pad,loperamideの
使用 はな く,DSFは 平均 4回 であ る。CO‐2は14例25%
で ,例 外的 な soilingは
す べ て夜 間就寝時 に限 られ る。
現 す る と最 も低 下 率 の 大 き い 順 に 骨 盤 内 感 染 症
な わ ち- 5 0 % ) , 超短 簡 法 ( 3 7 . 5 % , 一
(20,0%す
1日 排 便 回 数 は85%は 6回 以 下 で11回 以 上 は な く
15。
7 % ) で あ り性別 では差 はみ られ なか った 。
3 2 . 5 % ) , 4 0 歳以上 ( 5 5 . 5 % , - 2 4 . 5 % ) , U C ( 6 4 . 3 % , 一
全結陽切除 。直陽粘膜切除,回 陽肛門吻合術後 の排便機能
204(2170)
日
消外会誌 23巻
8号
Table 2 Relationship between the continence disturbance grade and other parameters
CO-1
Total
Number of cases
Defecation frequency
^'6
786%
143%
71%
/-rl
11Average
Soiling pattern
25 446%
No soiling
Night time only
26
46 4°
/。
1 18%
Day time only
Day and night
4 7.1%
Nocturnal defecation
18
32.1°
/。
5 8.9%
Loss of sensation
Use of pad
22 393%
Use of loperamid
16 286%
CO-2
25
14
25 1000%
0 00%
0 0.0%
41
25 100 /。
0°
25 1000%
0 00%
0 00%
0 00%
1 40%
0 00%
0 00%
2 80%
D
C
-
DC-2
1
IC
8
8
4
12 857%
5 625%
0.0%
3 375%
0
0.0%
0
0 00%
2 40.0%
3 60.0%
0 00%
6.3
0
2 143%
00%
56
50
0
00%
0
100 0°
/0
7
00%
0
00%
8 7 5/ °
。
1 125%
0
0.0%
0 00%
6
0
4 2 /9。
°
00%
4
14
5 0 0/ °
。
1 125%
8 571%
5
2 143%
4
6 2 5/ °
。
5 0 0/ °
。
0
5
0
0
3
1
5
4
00%
1000%
00%
00%
60.0%
200%
1000%
800%
4 1000%
14,5
0
0.0%
0
00%
0
00%
4
100.0°
/。
4 1000%
3 75,0%
4
100 00/。
4 1000%
Perineal soreness
42
7 5 /0 。
°
9 161%
0
1
5 89%
2Observation (months)
28 4
Social activity
restricted
24 960%
1 40%
0 00%
30
0
5 89%
00%
857%
143%
0.0%
4
4
5 0 0/ °
。
5 0 0/ °
0
0 00%
23
0.0%
0 00%
2 400%
2 40 0%
1 200%
17
1 200%
0
0.0%
0
00%
4 100.0%
37
4 1000%
Table 3 Factors affecting on continence disturbance grade (1)
a0
t
mG
CDC
Disease
UC(28)
continencerate
DC-1
DC-2
IC
DSF
25 446%
8 286%
14 250%
10 357%
(69 6°
/。
)
8 14,3%
(64.3°
/。
)
4 14.3%
5 8.9%
4 143%
4 71%
2 71%
55
5,7
V.考
17 607%
4 143%
(75.0%)
4 14.3%
1 36%
2 71%
53
察
1,「 回肛 吻合」後 の臨床評価 法 :直 腸肛 門外科 にお
け る機 能評価 の研究 は大別す る と直腸癌 手術,小 児肛
門先天奇形外科 お よび 「回肛 吻合」外科 の領域 に分 け
られ るが,そ れぞれの独 特 の基準 が必要 で あ る。「回肛
吻合」 の対象 とな る患者 は若 く疾患 は 良性 で あ るので
長期 にわた る極 めて 高 い機能 が要 求 され る。 さ らに水
分 の多 い腸 内容 の排泄 が常 にあ る こ とが特徴 で あ る。
「回肛 吻合」 の 臨床的排使機能評価法 は きわ めて多
様 な方法 が用 い られてい るが一 般 に多 くは多元的項 目
十 (6)
0 00%
1 200%
(200%)
2 40 0°
/0
0 00%
2 500%
8.7
―(50)
25 490%
13 255%
(745%)
6 118%
5 9.8%
2 3.9%
5.2
Rectal cuff
ShOrt(48)
% % % % % %
co-1
c0-2
Pelvic sepsis
AC(28)
Minimum(8)
1 12.5%
2
2 5 /0 。
°
(375%)
2 2 5 /0 。
°
2
2 5 /0 。
°
1 125%
6.1
者 の方 が患者 に とってはより重要 な問題であるが統一
した表 現法 はないので CDGは で きるだけ客観的に排
便抑制障害 の程度を表現 しようと試みた。回肛吻合患
者 で とくに問題 となることは排便抑制 はほ とんど可能
で あるが,少 量の水様便の 「
漏れ」で一般に soilingと
表 現 され る.私 は この continenceの
不完全 障害 を
“
dyscontinence"と
い う用語を用いたが, この妥当性
につ いてはかつて Professor Gollど
herに賛 同を得 て
いる。MayO Crouゴ)はSOilingの
大 きさは3.Ocmを 基
的 につ いての偶体的 な記述 が用 い られ てい る.こ の 中
準 としているが,問 診 に あた って soilingの
程度 の情
報を求 め ることは必ず しも容易ではないので頻度 のみ
で排便 回数 と soilingが最 も高頻 度 に用 い られ るが 後
で表現す ることの方 が よ り客観的であると考 え患者の
1990年 8月
205(2171)
Table 4 Factors affecting on continence disturbance grade (2)
Sex
Age
CDG
Male(29)
co-1
cn-2
Female(27)
11 37.9%
9 310%
continencerate
DC_1
DC2
IC
DSF
10∼ (8)
14 51.9%
5 18.5%
(784%)
4 148%
2 74%
2 74%
52
(689%)
4 138%
3 103%
2 69%
58
20∼ (18)
4 50.0%
2 250%
(750%)
0 00%
2 25.0%
0 0.0%
47
30∼ (19)
10
55 6°
/。
3 167%
(723%)
4 222%
1 56%
0 00%
53
8 421%
6 316%
(73.7%)
2 10.5%
1 53%
2 105%
53
40∼ (8)
2
2 5 /0 。
°
2 25.0%
(50.0%)
2 2540%
1 125%
1 125%
55
50-(3)
1 33_3ワ
る
1 333%
(666%)
0 00%
0 00%
1 333%
9.2
Table 5 Factors affecting on continence disturbance grade (3)
Duration of observation
CDG
6∼ 12M(9)
co-1
@-2
continencerate
DC_I
rc-2
IC
DSF
13∼ 24M(13)
5 556%
1 112%
5
(670%)
1 112%
2 224%
0 0.0%
62
(54.0%)
3 238%
3 8 . /5 。
°
2 154%
2 154%
1 77%
52
Surgical experience'
24M∼ (34)
∼ 1987(34)
1988∼ (14)
15 441%
11 324%
(777%)
4 118%
1 29%
3 88%
54
15 441%
11 324%
(765%)
4 11.8%
1 29%
3 88%
9 64.3%
1 7.1%
(714%)
2 143%
2 143%
0 00%
*mimuimum cuff cases excluded
Table 6 Sexual difference in use of,ad
CO-2
D
C
Total
‐ 1
Pad
Female
( 一
)
(十)
20.0%
800%
WIale
556%
444%
Female
Male
00%
100.0%
記憶 の確実 な最近 1週 間 の soilingのあ った 回数 を記
録 す る こととした 。 この方法 に従 い最近 soilingを
経
験 していない もの を,先 ず continenceと判定 した。そ
の結果,そ の頻 度 は69.6%と い う数値 を得たが 同時期
に 当 病 院 の 原 田 ETが 行 った 調 査 めに よ る と70%が
soilingを
経験 した とい う結 果 とな り大 きな差 がみ ら
750%
25_0%
Female
Male
1 111%
8 88.9%
8 615%
5 485%
で は この両者 を あわ せ て c o n t i n e n c e と
表 現 して い る
場 合 が 多 い。定 期 的 に s o i l i n g を
示 す例 は Dozoisに
習 って週 の半 分以下 の 日数 s o i l i n g を
経 験 した例 D C ‐
1 と半 分 以上 の 日数 そ れ を経 験 した 例 D C ‐2 と にわ け
まspOtting4), Hlinilnal leakage6)7), minor
た. 同じ卓争″
)など といわ れ る もので ほ とん ど社会 生 活 に
soilingSル
れた。 そ こで,そ の原 因 を分析 した ところ,医 師の調
査 で は比較 的頻 回 (2週 に 1回 )に 問診 をす るため に
支障 が な い ものであ る。DC・2は社会生会 に支障 を きた
1∼ 2週 間 単 位 の soilingの有 無 を み る こ とが 多 い
が,ETの 調査で は過去数週間 ・
数 か 月 の経験 を も取 り
mhor soilingの範 ち ゅ うに入 るものであ るが DC‐1と
上 げたた め に常 時 は continenceであ るが体 調 を くず
に有用 で あ った 。これ らの dyscOntinenceに対 して IC
は社会生活 へ の支障 が著 し く患者 は 「回圧吻合」 よ り
した と きに例外 的 に soilingをした こ とのあ る もの を
す 者 は 1例 20%の み で 他 の 論 文 の 評 価 で は む し ろ
は他 の parameterの 内容 が 明 らかに異 な り,要 因分析
問題 として いた ので これ を CO‐2と して 分 け る こ と と
も人工肛 門を選 ぶ状態で あ り論文 に よっては合 併症 に
した。そ の結果 CO‐1の割 合 をみ る こ とに よ り成績 が よ
よ りincOntinenceとな った ものは failureと
判 定 して
り明瞭 な差 として表 現 で きる よ うにな った。他 の論文
臨床的排便機能 の分析対象 か ら除外 されてい る こ とも
全結腸切除 ・直腸粘膜切除, 回陽肛門吻合術後の排便機能
206(2172)
あ る。 も しわ れわ れ の 症例 で これ を除外 す れ ば CO‐1
48.1%,CO‐
O%で
226.9%,DC‐
115.3%,DC‐
29.6%,IC
continence rateは 75,0%と な る。
Pezim(St.Marks)り
,Pescatori(Rome)い ,Keighiey
)は continence
日
消外会議 23巻 8号
筋 筒 の 長 さ ! 著 者 はかつ て直 陽 全 体 の 筋 層 を残 す
( 長筋筒法) か ら直腸下部 以上 の筋層 を残す ( 短筋筒法)
へ と手技 を変 更 して きた。そ して肛 門挙筋上 のほ とん
どの筋層 の切 除 を行 う ( 超短筒法) を 8 例 に試 みたが
を padを 必 要 と しな い 状 態 と して そ れ ぞ れ62.7%,
明 らか に機能 が低下す る こ とが判 明 した。 また我 々 も
1 例 の経験 が あ るが産 。回腸 妻痩 や尿道 回腸襲痩 は本
60.0%,45.5%,59.7%と
して い る。 しか し今度 の分
手術後 の合 併症 として注 目され てい る1 の
。 この よ うな
析 の結果判 明 した こ とは padの 常 用 は soilingの
有無
合併症 は直陽筋層 を極端 に短 くした結果 で あ り, 性 器
(Bimingham)3), Fresman(TorontO)。
を必 ず しも意 味 しな い とい うこ とで あ る。DC‐1で も
の後面 を庇 護す る上 で も下部直腸筋層前面 を残す必要
37.5%は padを 用 い て い な い し,CO‐ 2の うち57%は
padを 用 いてい るが 習慣 とな ってい る者 が 含 まれ て い
が あ る と考 えてい る。そ のた め に7 ∼8 c m に わ た り困
る.こ の矛盾 は 同 じ状況 において 男性 と女性 で は pad
を使用す る傾 向 が全 く異 る こ と (Table 6)による もの
と思われ る。 ちなみ にわれわれ のデ ー タ ーで ,他 の報
告 の よ うに failureを除外 して 算 出す る と padを 必要
としない例 は65.4%と な る。
難 な直陽粘膜剣離 を容易 に行 い える手技 を確立 を しな
ければ な らな い。私 どもは p r O n e j a c k k n i f eで
位f o r _
c e p s c o a g u l a t i o n t e c h n i q u用e いて
を この 問題 を解決
しえた。.
年 齢 : 加 齢 と と もに排 便機 能 が 低 下 す る傾 向 が あ
る. な おその原 因 は内括約筋 の t o n u s は加齢 に相 関 し
2.機 能評価 にお よぼす基本的判定条件 につ いて
て下 降す るこ と, 痔 疾患 の合併頻 度 が重 くな るため な
以上 の よ うに極 めて きめの細 かい判定基準 を作 って
どの要 因 に よる もの と考 え られ, 本 法 の適応上考慮 す
べ き ことで あ る.
も, これを用 いて要 因分析や他 の報告 との比 較 を行 う
ば な らない。
りも機 能 が悪 ヽヽこ とが,
Dozoisに よ り指 摘 され てい る。.わ れわれの成績 で も
術後 の経過期 間 は臨床評価 に最 も影響す る要 因であ
るがす で に発表 した術 後期 間 と機能 評価 の デ ー タ ーカ
continence rateは
64.3%vs 75.0%で あ り大差 は な い
が (Table 5),CO‐1では28.6 vs 60,7%とよ り朔確 と
にみ られ るよ うに 6か 月以降 で は あ ま り大 きな変化 が
な った 。両群 の あ いだ に basic factorは
差 はないので,
これ は本質的 な要 因 のため と考 え られ る。
場合 に,先 ず判定 の基本的条件 を吟味 しておかな けれ
み られ な いので 今 日の 分析 の条 件 は適 切 と考 え られ
る。事実 DCGの 各 カテ ゴ リーの 間 で 平均経過期 に差
UCと
ACi UCは
ACよ
1987年以前 の症例 と1988年以降 の症例 を比較す る と
一 方,半J定者 の主 に よ リデ ー タ ー
はない (Table 2)。
観
に影響 を与 える こ とはす で に指摘 され てお りの手術 と
continence rateは76.5%vs 71.4%と 大差 はないが
CO‐1は44.1%か ら64.3%へ と増 加 して お り外 科 チ ー
関係 のない第 3者 に よる ものが理想的で あ る。事実,
今 回の調査 で も外科 医 と ETと の間 で デ ー タ ーに差 が
今後 は条件 の悪 い UCや よ り高齢者 に も本法が適応 し
生 じた こ とが今 回の研究 の動機 とな った。 そ こで主観
うる と考 えて い る。
の入 る余地 の 少 な い 客 観 的 categoryと して CDGを
考 案 した。
さて,以 上 の基本 的吟 味 の も とに DCGに 影響 す る
悪化要 因 adverse factorを
分析 してみた ところ,い く
つ かの ことが判 明 した。最 も悪 い要 因 は骨盤 内感染症
で あ り, 6例 の うち 4例 は軽症 の cur abscessで切開
排膿 に よ り微 小 の赦痕 を残 して完治 した に もかかわ ら
ず,CO‐ 1を示 す もの は な く,重 症 の 骨 盤 内感 染 症 を
伴 っていた 2例 で は いず れ も ICで あ った.こ の よ う
に骨盤 内感染症 は 1度 発生す る とた とえ炎症 は治癒 し
て も排便機能 の低下 につ なが るので 「回腸肛 門」 をお
いて吻合部 と菱 を空置す ることは本手術 の必要条件 で
あろ うと考 える。
ムの経験 がか さむ につれて成績 の改善 がみ られ るか ら
文 献
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2)宇 都官議二,藤本佳久,荘司康嗣ほか :大腸全摘後
の再建法 とその評価一回腸肛門吻合術後 の機能 と
合併症.外 科治療 61:119-124,1989
3)宇 都官譲二,大 田昌資 :潰瘍性大腸炎に対す る「回
陽肛門吻合」を用いた三期的根治手術.消 外 9:
406--417, 1986
4)Dozois RR,Kelly KA,Welling DR et ali lleal
pouch‐anal anastomOsisi Comparison Of resuits
in fallilial adenomatous p01ypOsls and chronic
ulcerative colitis.Ann Surg 210:268--271, 1989
5)原 田俊子,恒 松明美,補 原清史 ほか :IAA術 後肛
門皮膚障害に対する一考察一重症度分類の試み と
1990年8月
207(2173)
ケアの実際 一.日 ス トーマ リハ会誌 5154,1989
6)Pescatori M,Mattana C,Castagneto M: Clini‐
cal and functional resdt after restorative
proctocolectOmy.Br J Surg 75:321-324, 1988
7)Pezim ME: Quality of life aier restorative
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J Surg 172 i 31-33,1985
8)Keighiey MRB: Abdominal mucosectomy
reduces the incidence of soiling and sphincter
J-pouch.Dis Colon Rectuon 30 : 386-390, f987
9) Freshman JW: The ileal reservoir and
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Colon Rectum 31 : 10-16, 1988
10) Gorenctein L, Boyd JB, Ross TM: Gracilis
muscle repair of rectovaginal fistula after
restorative proctocolectomy. Reports of two
cases.Dis Colon Rectum 30 : 730-734, 1987
daコnage after restorative proctocolectomy and
A Method for Clinical Functional Assessment after lleoanal Anastomosis
-"The Continence Disturbance Grade,,Joji Utsunomiya
SecondDepartmentof Surgery,HyogoCollegeof Medicine
As a practicaland universalcriteria for clinical bowelfunctionalassessment
after ileoanalanastomosis,
we
devicedthe "continencedisturbancegrade(CDG)"which is classifiedinto five categories
asfollows.CO-1:normal
continence,CO-2:nearly normal continence,DC-l: mild dyscontinence,
DC-2:moderatedyscontinence
and IC:
incontinence.They are proportionallycorrelatedwith the other parameterssuchas daily bowelfrequency,soiling
pattern,nocturaldefecation,
andperianalsoreness,
useof pad,useof drug,discrimination,andrestrictionof social
ability. In our seriesof 56patientsincluding28colitis and28polyposiswho passed6 monthsor moreafter ileoanal
'14.6%
anastomosis,
were CO'L,25%CO-2,14%
DC-l, 8.7%DC-2and 7.I%lC. The adversefactorsaffectingon the
continencerate was pelvic sepsis,too short rectal cuff, hrghageand colitis.
Reprint requests: Joji Utsunomiya SecondDepartmentof Surgery,Hyogocollege,of Medicine
1-1Mukogawacho,
Nishinomiya,663JApAN