第6回抄録 - 社会福祉法人 青祥会

プ ロ グ ラ ム
総合司会 太田 直也
やまびこ 管理課長
9:30∼ 9:50
開会式
挨
拶
9:50∼11:00
セッション1
事例報告
理事長
座 長 :青 芳 係長看護職員
副座長 :坂田メディケアセンター
9:50∼10:10
演 題 1
主任介護職員
演 題 2
演 題 3
小倉
洋介
田村
朗子
「ありがとう。ありがとう。わしは、幸せやった」
―在宅での看取りへのかかわり 介護支援専門員として―
施 設 :アンタレス ケアプランセンター
発表者 :介護支援専門員
11:00∼11:10
11:10∼12:40
佳代子
佐代合
終の棲家ではない特別養護老人ホームの実態
―4つの事例から学んだ様々な選択肢について―
施 設 :坂田青成苑
発表者 :副主任介護職員
10:40∼11:00
藤内
馬場
ある認知症利用者へのケアを通して学んだこと
―周辺症状を理解することの大切さ―
施 設 :長浜メディケアセンター
発表者 :サブリーダー介護職員
10:15∼10:35
畑下 嘉之
小倉
優子
∼休 憩∼
特 別 講 演
“あなたの笑顔、何よりクスリ!”
講 師
昇 幹夫 先生
司
12:40∼13:30
会 :やまびこ
日本笑い学会副会長 (産婦人科医師)
施設長
∼昼 食 / 休 憩∼
−1 −
大澤
冨美子
13:30∼14:15 セッション2
サービス向上関連
座 長 :青浄苑
副座長 :坂田青成苑
13:30∼13:50
演 題 4
副主任生活相談員
リーダー生活相談員
北村
東郷
入所利用者家族の満足度調査報告
―CHANGE 全ての方々が満足できる施設を目指して―
施 設 :坂田メディケアセンター
発表者 :支援相談員
13:55∼14:15
演 題 5
演 題 6
演 題 7
外村
和也
松浦
柴田
整
美千代
在宅関連
知っていますか!!「介護あんしん窓口」
―長浜市における、その役割と期待される効果について―
施 設 :介護あんしん窓口 湖鳥の里
発表者 :リーダー支援相談員
14:45∼15:05
喜則
やまびこ
座 長 :長浜メディケアセンター 副主任支援相談員
副座長 :デイサービスセンター やまびこ リーダー看護職員
14:20∼14:40
細溝
やっぱここが好きやわぁ
―アンケート結果から見えたこと―
施 設 :デイサービスセンター
発表者 :リーダー介護職員
14:20∼15:05 セッション3
敦史
和也
阪口
智春
地域福祉とケアマネージャー
―ケアマネージャーとしての私に求められていること―
施 設 :ケアプランセンター
発表者 :介護支援専門員
15:05∼15:15
青芳
佃
和彦
杉村
篤俊
管理者
山口
珠緒
理事長
畑下
嘉之
副委員長
鈴木
雅晴
∼休 憩∼
15:15∼15:45
人 権 研 修
長浜メディケアセンター
15:45∼16:15
管理部長
講 評
長浜メディケアセンター
表 彰
16:15
閉会式
挨 拶
法人教育研修委員会
−2 −
演題1
ある認知症利用者へのケアを通して学んだこと
―周辺症状を理解することの大切さ―
介護老人保健施設
長浜メディケアセンター
研究発表者
小倉
洋介(サブリーダー介護職員)
共同研究者
山口
由佳(サブリーダー介護職員)
吉川
壽(副主任介護職員)
細井
真樹(係長介護職員)
橋本
貴明(介護職員)
藤本
麻里(看護職員)
【はじめに】
入所当初から徘徊や収集などの周辺症状が著明であったA氏への対応に多くの職員が翻弄され、
その影響がフロア全体に及びかねない状態を経験した。どうすればA氏の行動を理解できるのか、
どのような関わりを持てばA氏が落ち着かれるのか、試行錯誤を繰り返しながら他職種で情報交換
を行い、幾度となく検討した結果、A氏に変化をもたらすことが出来たので報告する。
【A氏の紹介】
89歳、女性。アルツハイマー型認知症。要介護度3、日常生活自立度A1、Ⅲa。HDS-R3/30
点。性格は短気であった。入所当初より、頻繁に徘徊し、興奮されていることが多く、関わりに対
しても手を払いのけて離れていってしまう状態であった。会話も早口な上に構音障害があり聞き取
りにくく、訴えの内容は理解出来なかった。また、他の利用者の居室に入っては物を収集しトラブ
ルになることや、椅子や布団のような重たいものを持って歩くなど目が離せない行動が続いた。家
族のニーズは、
「役割を持って楽しく生活してほしい」であり、目標を「活動への関心を高めること
で周辺症状の減少を図り、穏やかに過ごす事ができる」と設定しケアを開始した。
【A氏に対するケアとその結果】
当初は、収集や徘徊に対して見守りや付き添いといった単調なケアを行い、時には収集した物を
返してもらうことに懸命になり過ぎ、興奮を助長してしまうこともあった。この頃の徘徊時間は、
平均 1 日 10 時間以上で、促しに応じてもらえる割合は 2 割程度であった。ある日、いつものように
歩き回っているA氏に職員が「歩き過ぎると体に良くないのでちょっと休みませんか」と声かけを
行ったところ、興奮されることなく椅子に座られる場面がみられた。この情報をきっかけに、A氏
の行動をよく観察し何をしたいと思っているのかを考え、周辺症状の要因を探るようにした。その
結果 A 氏の周辺症状に繋がる不満や要求が少しずつ職員にも理解できるようになり、これまで困難
であった活動への参加も可能な場面が増えてきた。以降、各職種が連絡帳を用いて様々な成功情報
を共有し、A氏の行動の受容と自己実現の援助を行うように統一したケアを行なった。入所から 9
ヶ月が経った頃、徘徊時間は平均 5 時間程度に減少し、促しに応じる機会は 5 割近くに増加した。
また、活動参加中の笑顔が増え、他者との交流が図れるまでになった。
【考察】
この事例から周辺症状と言われる行動の中にはきっかけや理由が存在するものが多く、それらを
なくすことが目的ではなく、その人の生活のしづらさを解消しその人らしく過ごすことがゴールで
あるということを学んだ。また理解力の低下している認知症の人に言葉だけで伝えるのではなく、
表情や身振りなども利用し、こちらの気持ちを伝えられるようになることの必要性も痛感した。周
辺症状一つひとつに具体的にどう対応すればよいかを見出すために、成功体験や失敗体験をたくさ
ん記述していくことの大切さも学ぶことができたため、この経験を生かし今後も各職種で成功・失
敗体験を共有しながら、よりよいケアが出来るように目指していきたい。
−3 −
演題2
終の棲家ではない特別養護老人ホームの実態
―4 つの事例から学んだ様々な選択肢について―
特別養護老人ホーム
研 究 発 表 者
共 同 研 究 者
坂田青成苑
田村 朗子 (副主任介護職員・計画担当介護支援専門員)
藤田 恵子 (サブリーダー介護職員) 松井 芳江 (介護職員)
中川 瑛美 (介護職員) 吹田 菜穂 (介護職員)
高橋 沙世 (介護職員) 細井 芳隆 (介護職員)
松井 由美子 (介護職員) 箕浦 俊子(リーダー看護師)
堤 一志 (生活相談員) 西山 裕典(副主任生活相談員)
小倉 志帆 (係長) 塚越 美智子(療養課長)
【問題提起】
特養は終の棲家なのか。坂田青成苑の入所者の中には病院や老健など様々な施設を利用してよ
うやく入所できたという人は多い。また、入所時に施設で最期を迎えたいと希望する人は多く、
利用者とその家族は特養を終の棲家と考えていることがうかがえる。
しかし、疾病の状態によっては終の棲家とはなりえないこともあり、その時が近づいてくると
家族も施設も選択を求められる。今のままで私たちは利用者と家族の希望を受け入れることが出
来るのか。
私たちは今後、施設だけでは支えきれない現実にどう向き合えばよいのか。
【目
的】
坂田青成苑で提供できる看取り介護がどういうものか明確にする。また、坂田青成苑での生活
が続けられなくなった場合の選択肢について理解する。
生活の場として、最期まで私たちができる支援を考え、今後につなげていく。
【方
法】
1.平成 4 年4月から平成 20 年 12 月までの退所理由を調査し、介護保険導入前後のデータを比
較する。
2.年 1 回確認している緊急・急変時における対応についての承諾書の内容から、終末期を迎えら
れた場合の希望を調査し、現在の入所者の希望を把握する。
3.平成 20 年の退所者の中から 4 件を事例に挙げ、退所に至るまでの流れ、家族との関わりにつ
いて考察する。
【結
果】
1.平成 10 年に看取り介護の取り組みを始めたが、介護保険導入にともなう大きな変化は見られ
なかった。
2.入所者 90 名中、施設での看取り介護を希望している方は 81名、医療機関等への入院を希望
している方は6名、在宅での看取りを希望している方は 2 名、現在検討中の方が1名であっ
た。約 9 割の方が坂田青成苑での看取り介護を希望されていることが確認できた。
3.4 事例とも、嘱託医を交えたカンファレンスを行うことでその後の援助の方向性を示すこと
ができた。
【課
題】
・ 医師を含めた多職種間の協働
・ 看取り介護の研修の実施
・ 家族へのアプローチ時期と援助方法
−4 −
演題3
「ありがとう。ありがとう。わしは、幸せやった。
」
―在宅での看取りへのかかわり
介護支援専門員として―
居宅介護支援事業所 アンタレスケアプランセンター
研 究 発 表 者 小倉 優子(介護支援専門員)
共 同 研 究 者 橘 寛(副主任介護支援専門員) 中島
大塚 明子(介護支援専門員)
池野
吉井 友紀(リーダー生活相談員)北川
山添 久子(施設長)
早苗(介護支援専門員)
久枝(介護支援専門員)
慎二(生活相談員)
【問題提起】
社会全体で介護を支えるという介護保険制度が始まり9年目を迎えた現在でも、在宅介護は介
護保険サービス、医療・福祉サービスを利用してもなお、家族の介護力、社会や地域性を含めた
介護環境によって大きく左右されるという現状がある。同じような状態の利用者であっても、環
境が違えば、安心した在宅生活が送れないことも多い。
以上のように在宅介護の課題が多い現状の中で、本人の思いを受け入れ、在宅での介護を続け
ながら最期を看取ったある家族の軌跡をたどり、A氏や家族への関わりはもとより、主治医や在
宅介護を支援した関係者間の連携などが、どのように本人の満足や家族の安心にむすびついてい
ったかということについて考える。
【目
的】
「もう入院はしたくない。家で暮らしたい。
」と、在宅での終末を望んだ A 氏と、不安や迷いが
ありながらも在宅での介護を選んだ家族を側面から支援するという役割を与えられた介護支援専
門員として、本人の満足や家族の安心を生む関わりが出来ていたのか、在宅介護にかかる負担軽
減が図れていたのかを検証する。また、検証結果を今後の介護支援専門員としての取り組みの一
助とする。
【方
法】
事例の過程や本人に対する関係者の関わりを振り返り、本人の満足や家族の安心を生む要因が
どのようなところにあったのかを整理し、在宅での介護を行うためのケア分析から要点を抽出す
る。
【結
果】
最期まで A 氏らしく楽しい時間を過ごすことができた。家族にもたくさんの思い出が残り、満
足のいく看取りができた。
①
②
③
④
⑤
⑥
A 氏や家族の希望,意向を確認し、その思いに寄り添えるように支援できた。
A 氏の楽しみを作り、生きる意欲を持つ働きかけができた。
終末期ケアを支える医療的ケアが受けられた。
A 氏を中心に家族や医療、福祉の専門職との連携を図り、チームアプローチができた。
A 氏と主介護者の思いの強さとそれに応えられる家族の介護力があった。
A 氏の思いを尊重するあまり、家族が重介護を担うことになった。
【課
題】
今後、看取りまでの在宅介護を支えるためには、
① 在宅での看取りを支える主治医(医療)の存在
② 本人や家族への精神的な支援
③ 家族の介護力や介護環境を見極めた上でのケアマネジメント
④ いろいろなニーズに応えられるだけの質の高いサービスや時間的にも柔軟に対応できる
サービス
−5 −
演題4
入所利用者家族の満足度調査報告
―CHANGEすべての方々が満足できる施設をめざして―
介護老人保健施設 坂田メディケアセンター
研 究 発 表 者 細溝 喜則 (支援相談員)
共 同 研 究 者 平尾 祐介 (支援相談員)
猪野 実
(係長支援相談員)
【問題提起】
平成 18 年 4 月に介護保険法が改正され、その一つの柱として「サービスの質の確保・向上」が
求められるようになった。当施設においては、4 年前から入所利用者家族に対して、満足度調査
のアンケートを実施し、提供するサービスとニーズに乖離がないかチェックを行っている。しか
し、過去 3 年の結果をみると、一部のサービスにおいては改善内容が満足度の向上に繋がってい
ないものもある。
その一つの要因として、アンケート結果を職員会議等の場で報告し、各フロアで改善を重ねる
ことで一定の効果は現れているが、フロア間の連携、対応の統一とういう点では未だ不十分であ
る。そこで、これら問題を解決し、アンケート結果をさらに有効に活用できないかと考えた。
【目
的】
アンケートを通して、利用者家族が施設に対してどのようなニーズがあるのかを明らかにする
とともに、アンケート結果の活用方法について再考することを目的とする。
【方
法】
平成 20 年 11 月 12 日時点で入所している家族に対し、満足度のアンケート調査を実施した。ア
ンケート内容は『利用者及び家族の属性 10 項目』と「ケア内容」
「生活環境」「職員の接遇」
「施
設の規則」からなる『サービス別満足度に関する質問 25 項目』及び『総合的な満足度 3 項目』か
ら構成される。データ集計は、満足に 5 点、やや満足に 4 点、以下1点ずつ減じて『不満』に 1
点を付与し各項目の得点を算出した。今回行ったアンケート結果と過去の結果をもとにデータの
分析を行い、多職種で構成する「サービスアップ会議」を行うことで、具体的な対策を検討した。
【結
果】
アンケートの結果、「ケアプランの内容」「職員の身なり」「要望への取り組み」「利用者に対す
る職員の接し方」
「施設のサービスは全体として満足しているか」
「施設内の清潔」
「施設内の明る
さ」の順に満足度が高い結果となった。一方、満足度が低い項目は、
「受診における家族の送迎と
診察立会い」「要望や苦情が言いやすい雰囲気か」「行事」「家族カンファレンス」「他人に施設を
薦めたいか」
「施設内の雰囲気」であった。サービスアップ会議にて満足度の低いアンケート項目
について以下の検討を行った。
アンケート項目
満足度が低い要因
対策に関する検討内容
要望苦情を言い ・顔見知りの関係を築けない
・顔写真入りの職員紹介を作成
やすい雰囲気か ・苦情を誰に言って良いか分からない ・職員の家族への関わり方を再検討
行事について
・家族が行事について把握していない ・広報に行事案内と呼びかけを掲載
・忘年会の見直し
カンファレンス ・平日のみの対応
・土曜日も状況に応じて対応
施設内の雰囲気 ・窓口の対応が事務的である
・事務所内のレイアウトの変更
・笑顔が少ない
・挨拶と笑顔の徹底
自由記載欄のコメント
意見
対策に関する対策内容
ケアプランの説明が分かりにくい
・ケアプランに専門用語を入れない
食堂のテレビの高さが低く見にくい
・テレビ台を使い高くする ・壁掛けテレビにする
爪を定期的に切って欲しい
・業務に爪切りの時間を設ける
・病状等について家人への説明(爪切りが困難な方)
【課
題】
今回、相対的に満足度が低かった項目について検討を行ったが、それ以外の項目についても継
続して検討していく必要がある。また、家族の要望の中には、迅速に対応できないものや、
“施設
の方針”と“家族の想い”の温度差が原因で、対策が難しいものもある。これらについては、家
族との日ごろのコミュニケーションを大切にし、繰り返しての説明を心がける必要がある。
−6 −
演題5
やっぱここが好きやわぁ
―アンケート結果から見えたこと―
デイサービスセンター やまびこ
研 究 発 表 者 外村 和也
共 同 研 究 者 福島 いずみ
柴田 美千代
太田 直也
大澤 冨美子
(リーダー介護職員)
(副主任介護職員)
(リーダー看護師)
(管理課長)
(施設長)
【はじめに】
デイサービスセンターやまびこは、現在利用定員40名で稼動している。介護保険制度導入後、
利用率は増加していたが、他事業所の参入にて利用者の分散化が進み、ピーク時には83%あっ
た利用率が61%まで減少した。新規利用者が数回利用しただけで中止するケースもある反面、
長期入院後の再利用を強く希望されるケースもあり、定員増加や事業所間競合のなかで、利用者
のニーズと提供しているサービスの間にズレがあるのではないかと考えた。
そこで、利用者個々のニーズを適切に把握し、他事業所が開設するなかで、なぜ当センターを
希望されるのか、その要因を分析し、今後の展望を考察する必要があると考えた。
【方
法】
①デイサービス登録済である100名(世帯)の利用者・家族を対象に、無記名でアンケート
調査を実施する。
②利用者の属性、在宅の状況、サービスの利用目的、その満足度、当センターの選択理由や今
後の期待などの調査結果をもとに、男女比・要介護度別等の角度からアンケートを分析する。
③分析結果をデイサービス本来の目的と比較し、適正に機能しているか検証する。
【結
果】
①「閉じこもりがちなので外出の機会を与えたい」
アンケート上でも「気分転換」や「他者との交流」等の項目は高い数値を示しているが、利
用者の明確な役割意識や存在価値は希薄と思われる。
②「できるだけ今の状態を維持したい」
「健康維持」の数値は高いものの、機能維持目的で力を入れている「趣味活動」「レクリエ
ーション」「生活リハ」への利用目的は介護度の低い、言い換えれば残存能力の多い利用者
に限られ、全体的な意識は予想以上に低い。
③「家での入浴は大変、家族も留守がちだから」
「入浴」のニーズは最も高く、
「介護負担軽減」の数値も高く、また満足度も高いことから、介
護の代替目的は適切にクリアしていると思われる。
【考
察】
アンケート調査を踏まえ、利用者家族の意向はもとより、提供しているサービスメニューの内
容、要介護度や相性の問題、設備や人員配置の状況なども再確認してきた。求められるニーズと
サービスのポイントが適合しない限り、多くの利用者等の満足を得ることは困難である。そのた
めには、在宅生活の継続を意識したアセスメントを定期的に行う必要があると再認識した。
【まとめ】
今回の取り組みを通じて、平成19年から平成20年と利用率は着実に増加しており、新規利
用者の継続率は高い数字を維持できている。
ニーズとサービスの折り合いのなか、試行錯誤を繰り返してきたが、在宅生活の延長線上で、
どれだけデイサービスに存在価値を見出し、自分を表現できる生きがいの場と感じてもらうこと
ができるのか、大きな課題が残った。ひとりでも多くの利用者に「やっぱここが好きやわぁ」と
言ってもらえるデイサービスに近づけていきたい。
−7 −
演題6
知っていますか!!「介護あんしん窓口」
―長浜市における、その役割と期待される効果についてー
特別養護老人ホーム
青浄苑
介護あんしん窓口湖鳥の里(長浜西部福祉ステーション内)
研究発表者
阪口
智春
(介護あんしん窓口湖鳥の里・リーダー支援相談員)
共同研究者
饗場
ゆかり
(介護あんしん窓口湖鳥の里・支援相談員)
生月
茂
(青浄苑・管理部長)
佐野
信行
(長浜西部福祉ステーション・所長)
【はじめに】
長浜市は平成18年2月に旧長浜市、旧浅井町、旧びわ町が合併し、平成20年1月1日現在、
人口85,269人、65歳以上高齢者数17,628人、高齢化率20,67%。そのうち介護認
定者数は2,978人、認定率16,4%と全国と比べてほぼ同程度である。
長浜市の高齢化率は全国、滋賀県の高齢化率と同様に年々増加し75才以上高齢者の割合も
年々増加している。西部圏域を担当している「介護あんしん窓口・湖鳥の里」は旧長浜市街地に
位置し、住宅が密集し集合住宅も多い地域のため、一人暮らしや夫婦二人暮らしの高齢者が数多
く住まいし、長浜市で一番高い高齢化率27%となっている。つまり介護予防の重要性が最も高
い圏域と言える。従って出来るだけ元気で長生きするために要介護状態に陥らないような対策が
必要であり、様々な介護予防事業の展開を行っているところである。
【地域支援事業】
介護あんしん窓口は地域包括支援センターのブランチとして長浜市内に6ヶ所あり、圏域ごと
に市民の身近な相談窓口として高齢者の介護・健康・福祉に関する相談を中立的な立場でお受け
している。それぞれの圏域で特定高齢者の選定に協力し、運動機能向上トレーニング事業や栄養
改善教室、口腔機能プログラム事業に繋げたり、虚弱高齢者には自治会を中心に転倒予防教室を
立ち上げ、自主グループ化を支援、地域活動の場として地域のネットワークづくりのひとつとし
て取り組んでいるところである。
現在の地域包括ケアシステムの取り組みの中で「介護あんしん窓口」は重要な働きを担ってお
り、地域の民生委員との連携づくりから、地域包括支援センターの保健師や介護予防事業担当者
との協働で高齢者が健康でいきいきと暮らせる地域づくり・地域ネットワーク形成に尽力してい
る。
【課題】
① インフォーマルサービスの充実・連携
② 地域ケアネットワークの充実
③ 「介護あんしん窓口」職員のスキルの強化
【まとめ】
今後も地域包括支援センターと連携を取り、関係機関との協力で地域をつなぐ重要な役割を担
っていることを自覚し、地域の高齢者が自立しいきいきと暮らせる街づくりに尽力していきたい。
−8 −
演題7
地域福祉とケアマネージャー
∼ケアマネージャーとしての私に求められているもの∼
ケアプランセンター青芳
研 究 発 表 者 佃
共 同 研 究 者 田中
行岡
箕浦
和彦
(居宅介護支援専門員)
百合子 (管理者・副主任・居宅介護支援専門員)
真美子 (居宅介護支援専門員)
隆一
(居宅介護支援専門員)
【問題提起】
ケアプランセンター青芳におけるケアマネージャーは、現在男女各2名ずつの4名にて居宅
サービス計画の作成、給付管理、介護施設の紹介等の業務を行っている。しかし、これまでの
職員の異動や退職に伴い、担当者の交替があったことや、女性から男性ケアマネージャーへ変
更となったことについて、利用者・家族より不安の声を聞くことがあった。
今般、事例検討と当事業所利用者へのアンケートを通し、家族の思いを再度検証することと
した。
【目
的】
1.利用者、家族の真の思いを引き出し、適切な支援を行う。
2.ケアマネージャーに求められているものを見つめなおす。
【方
法】
1.事例を通して、息子と二人暮らしの利用者における、聞き取り調査と支援経過の振り返り。
2.利用者に対し、アンケートの実施。
【結
果】
事例の支援経過の中ではわからなかった家族の思いが、アンケートの問いかけの中で答えとし
て見えてきた。本来は、支援中にくみ取るべき思いに気づけなかったことは残念な結果である。
しかし、家族の『地域の人に支えて欲しい』が、
『母の病気について知られたくない』という相反
する思いを理解できたこと、そして地域の民生委員や近所の人にケアマネージャーが調整役とし
て求められ連携をとれたことは、地域福祉のスタート地点に一歩踏み出せた考えられる。また、
アンケートの結果から男女を問わず利用者・家族の気持ちを理解し、話や想いを聴いてくれるケ
アマネージャーが求められており、信頼関係を築くことが基本となることを再確認した。
【課
題】
誰もが住み慣れた場所で安心して暮らすためには、家族・地域住民・行政・医療機関・サービ
ス機関を結びつけた地域のネットワークが必要であり、今回の事例を通し調整役としてのケアマ
ネージャーの役割を再確認した。
今後、ケアマネージャーとしての専門性を活かし利用者・家族に寄り添ったケアマネジメント
を実践出来るよう資質の向上を目指したいと考える。
−9 −