6.日々のフロアレクリエーションを通して

日々のフロアレクリエーションを通して
ハイネス憩の丘 介護職員
大杉勝江・寺尾文宏
<はじめに>
ハイネス憩の丘は入所者数 99 名(一般フロア 66 名、認知専門フロア 33 名)通所定数 19 名の
介護老人保健施設である。認知専門フロアでは、落ち着きなく徘徊する方や歩行が不安定で転倒
リスクがある方、車椅子で立ち上がりが頻回な方など、危険を回避できない生活場面での対応に
職員の手をとられている現状であった。そのため、職員は見守りや介助の業務優先になってしま
い、レクリエーションを提供する意識が薄れ、週1回レクリエーションを実施できるか否かで、
利用者の QOL は満たされていない状況であった。さらに、レクリエーション委員会において日々
のレクリエーションの実施回数が少ないという指摘を受けて認知症専門フロアにて取り組んだ内
容を報告する。
1.目標
利用者の日常生活をより良いものにする。
2.方法
平成 27 年、レクリエーション委員会の 1 年間のフロア目標を、時間を決めて毎日レクリエー
ションができるようにするとした。
そこで、時間を決めてレクリエーションを実施することをフロアミーティングでの職員へ声か
けや申し送りノートに記載し、周知を図った。
① 昼食前にハイネス独自の体操であるリハビリ体操のCDをかける。
② 毎週木曜日の14時から 15 時にリハビリ科と協力し、必ず手作業のレクリエーションを行
う。
手作業の内容とは
・毛糸を使用した編み物。
・円、三角、四角の図形を A4 の紙に印刷し、線上の切り取り。
・3 本の毛糸をテープで机にくっつけて、三つ編みの作業。
編み物は利用者の得意とする編み棒かカギ針を選んでもらい、
利用者の好みや職歴に基づいて、少しでも興味を持てるように 配慮し実施する。
③職員の関わり方
普段レクリエーションに無関心な利用者やすぐに席を立ってしまう利用者は職員が付き添い、
「キレイに編めたね」
「上手に切れましたね」と声かけを行う。レクリエーションを仕事と捉える
利用者のために「ありがとうございました」
「又、お願いします」等の声かけをして一緒に作業を
行う。
上記を行い、フロア職員に毎日レクリエーションを実施してもらえるよう協力を得ようと試みた。
3.結果
①リハビリ体操は始めのころ利用者は乗り気でなく、職員と一緒に体操するのは1人、2人で
した。しかし、毎日継続することで、一緒に体操をしてくれる利用者が増え、今ではほぼ半数の
利用者が一緒に体操をするようになった。
②週に1回しかレクリエーションができなかったが、行う習慣ができた。さらに、簡単にでき
る塗り絵やカルタ、ボール遊びなどバリエーションが広がり、毎日レクリエーションが出来るよ
うになった。なかでもカラオケや歌などは自然と利用者が集まってきて口ずさむようになった。
手作業レクを 2 ヶ月間実施後より、1ヶ月あたりのレクリエーションを行った日が90%に至
った。
③手作業時、ほめるようにしたり、感謝の言葉をかけたりすることで、利用者から「やってや
るよ」
、「あら、そう?」とニッコリ笑顔で返答する方や無我夢中で作業をする方もいた。また、
普段落ち着きがない利用者様もレクリエーションに参加してもらえるようになった。
3.考察
①音楽や歌が好きな利用者が多く、利用者にとって楽しいもので
あると理解してくれたのでは
ないか。
②レクリエーションの内容を提案したことで、職員がどんなレクリエーションを実施すればよい
か分かり、利用者もレクリエーションをする時間という意識をしてくれるようになったと思わ
れる。また、職員が付き添い声かけを行うことは、利用者にとって安心して参加できるような
環境であったのではないか。
③職員の声かけによって、利用者は達成感や自分の居場所ができたことで満足感を得られたので
はないか。また、普段なかなかコミュニケーションが取れない利用者とレクリエーションを通
して関わることで、その方のできることを知るきっかけになったのではないか。
4.まとめ
日々のレクリエーションを取り入れることは、利用者にとって日常生活の質の向上に近づけら
れることが分かった。手をたたいてほめる、尊重する声かけを行うということは大きな満足感に
つながり、職員の喜びにもなる。現在も継続して一日一回のレクリエーションを行っている。し
たがって、今後も職員同士で協力し合い、毎日レクリエーションを行うとともにバリエーション
を増やし、利用者が好まれることをできるようにしたいと考える。