社会との対話 優秀論文 - 慶應義塾大学 商学部

社会との対話
優秀論文
全日本空輸株式会社
「信頼される航空会社を目指して」
慶應義塾大学 商学部 2 年セ組
40420809
森 翔一郎
~目次~
Ⅰ.問題提起
Ⅱ.研修テーマをめぐる現状と問題点
1. 航 空 業 界 の 現 状
2. 航 空 会 社 を 選 ぶ 際 の 重 視 点
3. ANA の 安 全 性 の 現 状
4. 事 故 と は
5. 近 年 の 航 空 ト ラ ブ ル
6. 人 的 ミ ス と は
7. m- SHEL モ デ ル と は
8. m- SHEL モ デ ル か ら 考 え る 改 善 提 案 の 方 向 性
Ⅲ.改善提案
1. コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を ア ッ プ さ せ る 、 人 的 な 要 素 ( L) の 改 善
( 1) 表 彰 制 度 の さ ら な る 向 上 ― 現 場 間 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ア ッ プ ―
( 2) 幹 部 社 員 が 同 乗 ― 現 場 と 経 営 間 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ア ッ プ ―
2. 社 員 教 育 な ど の ソ フ ト ウ ェ ア ( S) の 改 善
( 1) 異 な る 部 署 で の 職 場 体 験
3. 職 場 環 境 ( E) の 改 善
( 1) 社 歴 を 展 示 す る 施 設
4. 情 報 共 有 な ど の マ ネ ジ メ ン ト ( m) の 改 善
( 1) 社 内 で の 情 報 共 有
①現在の情報共有の媒体―社内報
②社内報に加えて―役員年鑑の作成
5. 利 用 者 へ の 安 全 性 イ メ ー ジ ア ッ プ
( 1) 機 体 工 場 見 学 の 充 実
① ANA の 機 体 工 場 見 学 と は
② ANA の 機 体 工 場 見 学 へ の 改 善 提 案
( 2) パ イ ロ ッ ト の ア ナ ウ ン ス を 活 用
Ⅳ.社会全体から見た研修テーマをめぐる問題点
1. 自 社 努 力 の 範 囲 外 の 危 険
2. 構 造 的 な 問 題
2
Ⅰ.問題提起
2005 年 、 航 空 業 界 で は 連 続 し た 安 全 上 の ト ラ ブ ル が 目 立 っ て お り 、 利 用 者 の
航空への信頼は揺らいでいる状況にある。現在、日本の航空会社には信頼回復が
求められているといえるだろう。
近 年 起 こ っ て い る ト ラ ブ ル ・事 故 の 原 因 、そ し て そ の 背 景 を 分 析 し 、ANA( 全
日 本 空 輸 株 式 会 社 、All Nippon Airways)は 今 後 、い か に し て「 信 頼 」を 提 供 し 、
顧客の支持を獲得していくべきかについて考えていきたい。
Ⅱ.研修テーマをめぐる現状と問題点
1. 航 空 業 界 の 現 状
ま ず 、日 本 の 航 空 業 界 は ど の よ う な 状 況 に あ る か に つ い て み て い き た い 。現 在 、
国 内 線 に お い て は 、主 に ANA と JAL( 日 本 航 空 、Japan Air Lines)の 2 社 で あ
る。近年、日本の航空業界では規制緩和によって、スカイマークエアラインズ
( SKY) や 北 海 道 国 際 航 空 ( AIR DO) が 新 規 参 入 し て い る が 、 業 界 の 勢 力 図 を
変化させるまでには至っていない。
2004 年 4 月 、 JAL と JAS( 日 本 エ ア シ ス テ ム 、 Japan Air System) は 完 全 に
経 営 統 合 し た 。 国 際 線 を 収 益 源 と す る JAL と 国 内 線 の 地 方 路 線 に 強 い JAS が 経
営統合したことは、日本の航空業界に大きな衝撃を与えた。中でも最も影響を受
け て い る の は 、 国 内 線 を 収 益 の 源 泉 と し な が ら も 国 際 線 に 進 出 し つ つ あ る ANA
であり、同社はこれからの真価が問われているといえるだろう。
図表 1
航 空 業 界 、 国 内 線 旅 客 数 シ ェ ア の 推 移 ( 2003 年 度 → 2004 年 度 )
2004年度旅客数シェア
2003年度旅客数シェア
その他
2
その他
4.2
JAL
23.9
ANA
49.7
JAS
24.4
2004 年
JAL と JAS が 統 合
JAL
48
ANA
47.8
(出所:日本経済新聞)
3
2. 航 空 会 社 を 選 ぶ 際 の 重 視 点
では、利用者は航空会社に対して何を求めているのか、そのニーズについて考
えてみたい。航空会社は、航空運賃の割引に特に力を入れているように思われる
が、実際の利用者のニーズは若干異なる。
図表 2
航空会社を選ぶ際の重視点
〔(利用者)航空会社を選ぶ際に重視することは何か?[複数回答]〕
【調査方法】ウェブ形式のアンケート調査
【 調 査 時 期 】 2005 年 4 月 1 日 ~ 4 月 5 日
【 回 答 者 数 】 13,273 名
( 出 所 :「 マ イ ボ イ ス コ ム 定 期 ア ン ケ ー ト 」 http://www.myvoice.co.jp/voice/enquete/8109/ )
図 表 2 か ら わ か る よ う に 、利 用 者 が 航 空 会 社 を 選 ぶ 際 に 最 も 重 視 す る こ と は「 信
頼 性・安 全 性 」で あ る 。航 空 会 社 が 力 を 入 れ て い る 航 空 運 賃 は 、
「 信 頼 性・安 全 性 」
に 次 ぐ 、 2 番 目 に 位 置 づ け ら れ て い る 。 こ の ア ン ケ ー ト 調 査 は 2005 年 4 月 に 行
わ れ て い る が 、2005 年 4 月 以 降 、国 内 外 で 航 空 ト ラ ブ ル や 事 故 が 目 立 っ て き て い
ることから、
「 信 頼 性・安 全 性 」を 重 視 す る 割 合 は 、よ り 高 く な っ て い る と 思 わ れ
る。
以 上 の こ と か ら 、 航 空 業 界 、 ひ い て は 交 通 産 業 に お い て は 、「 信 頼 性 ・ 安 全 性 」
が最も重視されており、安全性を犠牲にしてまで運賃の安さやサービスの手厚さ
を求める利用者はいないといえるだろう。事故情報が世界を飛び交い、安全性へ
の感度が高まっている時代だからこそ、航空会社は「安全」を自社のセールスポ
4
イントにし、利益の源泉にすべきではないだろうか。
3. ANA の 安 全 性 の 現 状
次 に 、ANAの 安 全 性 の 現 状 は ど の よ う に な っ て い る の か 、に つ い て み て い き た
い。
「 Plane Crash Info.com」に よ る 世 界 の 航 空 会 社 の 安 全 性 ラ ン キ ン グ を み て み
る と 、ANAは 11 位 に 位 置 づ け ら れ て い る( 図 表 3 参 照 )。国 内 の ラ イ バ ル 社 で あ
る JALは 、 1985 年 の 御 巣 鷹 山 墜 落 事 故
1
の 影 響 で 45 位 に あ り 、 国 内 で は ANAが
優位な状況にあるといえる。
利 用 者 の イ メ ー ジ で も ANA は 、 JAL よ り も 優 位 な 立 場 に あ る と い え る ( 図 表
4 参 照 )。前 述 し た 通 り 、こ の ア ン ケ ー ト 調 査 は 2005 年 4 月 に 行 わ れ て い る の で 、
それ以降の航空トラブルを考慮すると、両者の差はさらに大きくなるかもしれな
い。
1
1985 年 、 JALの ジ ャ ン ボ 機 が 群 馬 県 御 巣 鷹 山 に 墜 落 。 520 人 が 死 亡 。 単 独 機 と し て は 世 界
航空史上最悪の事故となる。
5
図表 3
世 界 の 航 空 会 社 安 全 性 ラ ン キ ン グ ( 1981~ 2004 年 の デ ー タ よ り 作 成 )
順位
航空会社
順位
航空会社
1
Delta Airlines
26
Iberia Airlines
2
Southwest Airlines
27
Air Lingus
3
US Airways
28
British Midland
4
American Airlines
29
Austrian Airlines
5
United Airlines
30
Tap Air Portugal
6
Continental Airlines/Cont. Exp.
31
Cathy Pacific Airways
7
Northwest Airlines
32
Air China
8
Lufthansa
33
Ryan Air
9
British Airways
34
Delta Express
10
United Express
35
Iceland air
11
ANA( 全 日 空 )
36
Easy Jet
12
SAS Scandinavian Airlines
37
Malev-Hungarian Airlines
13
America West Airlines
38
Mexicana Airlines
14
Alaska Airlines/Horizon Air
39
American Trans Air
15
American Eagle
40
BWIA International Airways
16
Air Canada
41
Saudi Arabian Airlines
17
Comair
42
Air Europa
18
Malaysia Airlines
43
KLM/KLM Cityhopper
19
Finnair
44
Varig
20
Alitalia
45
JAL( 日 本 航 空 )
21
Qantas Airways
46
Air France
22
Braathens
47
Air Jamacia
23
Hawaiian Airlines
48
Kuwait Airways
24
Air New Zealand
49
EL AL
25
Aerolineas Argentinas
50
Royal Jordanian Airline
( 出 所 :「 Plane Crash Info.com」 http://www.planecrashinfo.com/rates.htm )
6
図表 4
「安全性がある」というイメージの航空会社
〔「安全性がある」と思われる航空会社は? [複数回答]〕
【調査方法】ウェブ形式のアンケート調査
【 調 査 時 期 】 2005 年 4 月 1 日 ~ 4 月 5 日
【 回 答 者 数 】 13,273 名
( 出 所 :「 マ イ ボ イ ス コ ム 定 期 ア ン ケ ー ト 」 http://www.myvoice.co.jp/voice/enquete/8109/ )
4. 事 故 と は
近年起こったトラブルを具体的に分析していく前に、トラブルの先に存在する
「事故」とは、そもそもどのようなもので、トラブルとどのような関係にあるの
かについて考えたい。
ま ず 事 故 と は 、「 思 い が け ず 起 こ っ た 悪 い 出 来 事 」
2
である。事故が起こると、
死傷者の発生や財物の損害など、
「 よ く な い 事 態 」が 生 じ る 。事 故 に は 交 通 事 故 や
医療事故など様々な種類のものがあるが、ここで考えるのは当然、航空機事故で
あ る 。一 方 、
「 事 故 」に は 人 身 事 故 や 労 災 事 故 、物 損 事 故 な ど の 種 類 も あ る が 、航
空機事故で主に考えられるのは、人身事故である。また大事故、軽微な事故、な
どの言い方もあるが、これは事故の結果の重大性や被害の大きさを示す。軽微な
事故がトラブルとほぼ同じ意味で考えられることもある。
2
出所:岩波広辞苑第 5 版。
7
一般に、航空機事故は多くの死傷者を発生しやすい。そのため、たった 1 つの
事 故 が 、そ れ ま で 積 み 上 げ て き た 信 頼 を 一 瞬 に し て 打 ち 崩 し て し ま う こ と も あ る 。
死傷者を発生させたり、企業の信頼を低下させたりする航空機事故をなくしたい
と願うことは、利用者側にとっても企業側にとっても共通しているといえる。
図表 5
事故の種類
交通事故
大事故
人身事故
医療事故
事故
労災事故
軽微な事故
(≒トラブル)
航空機事故
物損事故
海難事故
製品事故
と こ ろ で 、近 年 、日 本 の 航 空 業 界 で 連 続 し て 起 こ っ て い る の は 、死 傷 者 を 数 多 く
発生させる「大事故」ではなく、比較的被害が少ない「トラブル」である。しか
し、だからといってトラブルを軽く扱ってよいわけではない。航空の安全性を考
え る と き に 重 視 す べ き こ と は 、「 重 大 な 被 害 だ っ た の か 、 軽 微 な 被 害 だ っ た の か 」
などの結果ではなく、
「 な ぜ そ の よ う な 事 故( ま た は ト ラ ブ ル )が 生 じ た の か 」と
いう原因である。
この考え方を裏付けるものとして、ハインリッヒの法則が挙げられる。これは
アメリカの安全技術者ハインリッヒが見出したもので、大事故は何の前触れもな
く突然起こるのではなく、小さな事故やトラブルが積み重なって起こる、という
法 則 で あ る 。具 体 的 に い う と 、1 件 の 大 事 故 が 起 こ る ま で に は 29 件 の 中 程 度 の 事
故 が あ り 、 300 件 の 微 小 事 故 が あ る 、 と い う も の で あ る 。
ハインリッヒの法則からもわかるように、被害の少ないトラブルだから問題は
ない、と安穏と構えるのではなく、小さなトラブルでも原因を分析し、地道に対
策を考えていくことが大切なのである。以下、近年、日本の航空業界で起こって
いるトラブル・事故について具体的に分析していきたい。
8
図表 6
ハインリッヒの法則
大事故
1
中程度の事故
29
微小事故
300
5. 近 年 の 航 空 ト ラ ブ ル
2005 年 1 月 23 日 、新 千 歳 空 港 で 日 本 航 空 機 が 無 許 可 滑 走 を す る ト ラ ブ ル が 発
生 し た 。こ の ト ラ ブ ル を 始 め に 、2005 年 だ け で も 多 く の ト ラ ブ ル が 発 生 し て い る 。
主なトラブルをまとめると以下のようになる。
9
図表 7
1
2005 年 の 航 空 ト ラ ブ ル
JAL
新千歳空港で離陸許可得ずに滑走開始
3
JAL
非常口扉の切り替え操作忘れ
月
国交省
月
監 視 カ メ ラ の 設 置 位 置 ミ ス で JAL 機 の 主 翼 破 損
(羽田空港)
4
ANA
月
国交省
小松空港で離陸許可得ずに滑走開始
管制指示を誤り閉鎖中の滑走路に航空機誘導、誤着陸
(羽田空港)
5
JAL
ジャカルタ―成田線でカートを収納しないで着陸
月
ANA
貨物室のコンテナを固定せずに運航
ANA
長崎―羽田間で高度を誤って飛行
6
JAL
羽田空港着陸時に前輪タイヤが脱落
月
ANA
室内に白い気体充満、緊急着陸
JAL
飛行中に左エンジン停止
7
JAL
与圧装置に不具合
月
JAL
逆噴射不作動で着陸
国交省
管制塔が停電、空港を一時閉鎖
8
(羽田空港)
月
JAL
主翼エンジンの油漏れにより、客室内に煙が発生
JAL
離陸直後にエンジンから出火
9
ANA
エンジンに不具合、緊急着陸
月
ANA
機内の気圧が低下、緊急着陸
10
ANA
エンジントラブル、緊急着陸
月
国交省
管制官が着陸許可を失念
11
(大阪空港)
月
JAL
エンジンに不具合、緊急着陸
ANA
飛行中に左エンジン停止
12
SKY
右エンジン破損、緊急着陸
月
JAL
着陸時に車輪扉接触
(出所:日本経済新聞)
航空機の技術は日進月歩で進歩しており、事故やトラブルの件数、原因は大き
く 変 化 し て い る ( 図 表 8 参 照 )。 グ ラ フ か ら も わ か る よ う に 、 1960 年 代 ま で は 、
年 間 の 事 故 件 数 が 極 め て 高 い 。こ れ に 関 し て は 、
「航空機の機体性能や金属疲労な
ど の 技 術 的 事 象 や 、高 高 度 の 気 象 な ど に 未 知 の 現 象 が あ り 、
『 人 知 を 超 え た 』事 態
10
に遭遇しての事故が多かった」
3
といわれている。
ところが、技術が進歩し、気象予知も格段に向上したにも関わらず、事故件数
は一定になってきている。これは「機体整備や運航でのヒューマンエラー、管制
官とパイロットとの意思疎通などの人的問題に起因する事故が完全にはなくなら
ない」
4
ためであるといわれている。つまり、近年の航空機事故のほとんどは、
機体やエンジンなどハード面に起因する事故ではなく、人的ミス(ヒューマンエ
ラ ー )な ど の ソ フ ト 面 に 起 因 す る 事 故 で あ る 、と い え る 。2005 年 に 連 続 し て 起 こ
ったトラブルも例外ではなく、人的ミスが原因となっているものがほとんどであ
る。
以上のことから、今日の航空業界では人的ミスの比重がますます重くなってき
て お り 、ANA に と っ て も 、い か に し て 人 的 ミ ス を 減 ら す か が 解 決 す べ き 課 題 の ひ
とつであろう。
図 表 8: 商 用 ジ ェ ッ ト 航 空 機 の 事 故 率 と 死 者 数 の 推 移
全損・致命事故
死者数
全事故
年
( 出 所 :「 BOEING 2004 STATISTICAL SUMMARY、 MAY 2005」
http://www.boeing.com/news/techissues/pdf/statsum.pdf )
6. 人 的 ミ ス と は
ここで人的ミスとは、そもそもどのようなものなのかをおさえておきたい。人
的ミスには様々な定義があるが、ここでは「すべきことが決まっている」とき、
「 す べ き こ と を し な い 」あ る い は「 す べ き で な い こ と を す る 」こ と と 定 義 し た い 。
航空業界における具体的な人的ミスの例としては、マニュアルに示されている業
3
4
『 ヒ ュ ー マ ン エ ラ ー 』 p. 4
『 ヒ ュ ー マ ン エ ラ ー 』 p. 5
11
務を見落としたり、勘違いなどで誤った運航をしてしまったりすることが挙げら
れるだろう。
人 的 ミ ス の 原 因 に は 、本 人 の 不 注 意 や 職 場 環 境 な ど 様 々 な も の が 挙 げ ら れ る が 、
こ こ で は 、 人 的 ミ ス を 考 え る 上 で 最 も 有 力 で あ る と い わ れ て い る 、 m- SHELモ
デル
5
をもとに考えていきたい。
7. m- SHEL モ デ ル と は
m- SHEL モ デ ル と は 、 人 的 ミ ス の 要 因 と な る ヒ ュ ー マ ン フ ァ ク タ ー を い か に
最適にしていくかを考えるときに用いられるモデルである。ほとんどの人的ミス
はこのモデルをもとに説明することができ、人的ミスが重要視される産業、特に
航空業界では有効に活用されている。
下 の 図 の 中 心 の L は 、 作 業 者 本 人 ( Liveware) を 表 し て い る 。 こ の L は 、 S、
H、 E、 L に 取 り 囲 ま れ て お り 、 S、 H、 E、 L と は 次 の こ と で あ る 。
S: ソ フ ト ウ ェ ア ( software) … マ ニ ュ ア ル や 規 定 、 作 業 指 示 の 出 し 方 、 教 育 訓
練などソフトに関わる要素。
H:ハ ー ド ウ ェ ア( hardware)… 機 器 、設 備 、施 設 の 構 造 な ど ハ ー ド 的 な 要 素 。
E: 環 境 ( environment) … 物 理 的 環 境 ( 照 明 、 騒 音 、 空 調 )、 仕 事 や 行 動 に 影
響を与える全ての環境。
L: 周 り の 人 ( liveware) … そ の 人 に 指 示 、 命 令 を す る 上 司 や 、 作 業 を 一 緒 に 行
う同僚など、人的な要素。
人 的 ミ ス は 、 中 心 の 作 業 者 本 人 ( L) と そ の 他 の 要 素 が う ま く か み 合 っ て い な
い 時 に 発 生 す る 。 中 心 の 作 業 者 本 人 ( L) を 軸 に 、 そ れ ぞ れ の 要 因 の 例 を 挙 げ る
と以下のようになる。
図表 9
m- SHEL モ デ ル を 使 っ た 例
S( ソ フ ト ウ ェ ア ) 社 員 教 育 が 不 十 分 で あ れ ば 、 社 員 の ス キ ル 、 安 全 意 識 な ど に
問題が生じ、人的ミスが発生する
H( ハ ー ド ウ ェ ア ) 機 器 操 作 が 複 雑 で あ れ ば 、 人 的 ミ ス を 誘 発 し て し ま う
E( 環 境 )
職場環境が良くなければ、社員のモラール(やる気)などに
影響を及ぼし、人的ミスが発生しやすくなる
L( 周 り の 人 )
周 り の 人 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が と れ て い な け れ ば 、情 報 の
伝達が悪くなり、人的ミスが発生する
S、 H、 E、 L の 各 枠 は 波 打 っ て い る が 、 こ れ は 各 要 素 が 一 定 で は な く 、 常 に 変
化 し て い る こ と を 意 味 し て い る 。 人 間 ( L) は モ ラ ー ル や 意 思 疎 通 の 状 態 で 容 易
5
ICAO( 国 際 航 空 民 間 機 関 ) が 提 案 し た も の が 基 礎 に な っ て い る 。
12
に 変 化 し 、 ソ フ ト ウ ェ ア ( S) に し て も 、 マ ニ ュ ア ル の 改 定 、 教 育 訓 練 の 変 更 は
し ば し ば あ る こ と で あ る 。 ハ ー ド ウ ェ ア ( H) は 道 具 の 磨 耗 や 機 械 の 故 障 、 機 械
の 入 れ 替 え な ど で 、状 態 は 同 じ と い う こ と は な い 。当 然 の こ と な が ら 、環 境( E)
も常に変わる。
また、このように一定ではない各要素をうまくマッチングさせていくことが、
人的ミスを防止することにつながるわけだが、そのマッチングをとるのがマネジ
メ ン ト ( m) で あ る 。 マ ネ ジ メ ン ト ( m) は 、 全 体 を 眺 め て バ ラ ン ス を と っ て い
かなければならない。現場をコントロールする権限のある人が、常にバランスを
とれば、人的ミスが生じる可能性は最小限に抑えることができる。また、バラン
スをとるだけではなく、社員をうまく導いていくこともマネジメントの重要な役
割 で あ る 。ト ッ プ マ ネ ジ メ ン ト の 方 針 や 態 度 に よ っ て 、L と SHEL の 状 態 は 変 わ
る か ら で あ る 。例 え ば ト ッ プ が コ ス ト 削 減 を 強 く 主 張 し 過 ぎ る と 、社 員( L と L)
は効率化のための無理な労働を強いられたり、あるいは解雇されたりするかもし
れない。それによってモラールの低下、コミュニケーションネットワークの不都
合が起こり、L と L はかみ合わなくなってしまい、人的ミスが起こりかねない。
そ の よ う な 過 度 な 効 率 化 は 、職 場 環 境( E)や 教 育 訓 練( S)に 影 響 を 与 え る こ と
も考えられる。よって、トップがいかに安全文化を維持していくかも重要である
といえる。
図 表 10
m-SHEL モ デ ル
13
(出所:「東京電力グループ
株式会社テプコシステムズウェブサイト」
http://www.medicalsaga.ne.jp/tepsys/MHFT_topics0103.html )
8. m- SHEL モ デ ル か ら 考 え る 改 善 提 案 の 方 向 性
で は 、 m- SHEL モ デ ル を も と に 、 近 年 の 航 空 業 界 で 起 こ っ て い る 人 的 ミ ス へ
の改善提案を、どのように方向付けていくべきかについて述べたい。
この論文では、人的ミスの要因となりうるそれぞれの要素に改善提案をしてい
きたいと思う。改善提案の方向性をまとめると以下のようになる。
①
コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を ア ッ プ さ せ る 、 人 的 な 要 素 ( L) の 改 善
②
社 員 教 育 な ど の ソ フ ト ウ ェ ア ( S) の 改 善
③
職 場 環 境 ( E) の 改 善
④
情 報 共 有 な ど の マ ネ ジ メ ン ト ( m) の 改 善
な お 、 ハ ー ド ウ ェ ア ( H) に 関 し て は 、 専 門 的 な 分 野 と な っ て し ま う の で こ こ
では省略することにする。
こ れ ら 4 つ の 改 善 方 向 そ れ ぞ れ に 対 し て 、以 下 具 体 的 な 改 善 策 を 提 案 し て い き
たい。
Ⅲ.改善提案
1. コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を ア ッ プ さ せ る 、 人 的 な 要 素 ( L) の 改 善
一般に航空業界での社員同士のコミュニケーションといえば、飛行機や空港と
いった現場間でのコミュニケーションが考えられる。ここではそのような現場間
で の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に つ い て も 、も ち ろ ん 改 善 提 案 を し た い と 考 え て い る が 、
それに加えて現場と経営間でのコミュニケーションについても改善提案したいと
思う。現場間での安全な業務だけでなく、経営陣が実際に現場とコミュニケーシ
ョンをとり、相互に理解することも安全な運航を目指すためには重要であるから
だ。
よって以下、現場間でのコミュニケーション、また現場と経営間でのコミュニ
ケーションをアップさせる改善提案を述べたいと思う。
( 1) 表 彰 制 度 の さ ら な る 向 上
―現場間のコミュニケーションアップ―
現 在 、ANA で は 現 場 社 員 同 士 の 表 彰 制 度 が 導 入 さ れ て お り 、主 に 客 室 部 門 、旅
客 部 門 、 整 備 部 門 で 実 施 さ れ て い る 。 客 室 部 門 で は 「 ANA’S STAR CARD」、 旅
客 部 門 で は 「 GOOD JOB CARD」、 整 備 部 門 で は 「 GOOD SPIRIT CARD」 と そ
れぞれ名称は異なるが、制度内容はほぼ同じで、社員同士のコミュニケーション
14
アップやモラールの向上、組織風土の改革を目指したものである。
具体的には、社員のそれぞれがコメント欄を含めたカードを持ち、優秀なサー
ビ ス あ る い は 、適 切 に 業 務 を こ な し て い る 社 員 に カ ー ド を 直 接 手 渡 す 制 度 で あ る 。
一定期間に多くカードをもらった社員は、表彰され、特に表彰回数の多い社員に
対しては、バッジなどが提供される。
ANAの 表 彰 制 度 は 、現 時 点 で す で に 上 手 く 活 用 さ れ て い る 。特 に 、自 分 の 仕 事
を ほ め ら れ た と い う 達 成 感 が 、社 員 の モ ラ ー ル( や る 気 )向 上 に 結 び つ い て い る 。
ホーソン実験
6
でも証明されているが、モラールをアップさせるためには、賃金
や環境よりも「注目されている」という誇りが大切な要素となる。実際の企業に
おいても、社員のモラールを高める方法として最も用いられているのが、このよ
う な 表 彰 制 度 で あ る ( 図 表 11 参 照 )。
以上のことから、社員のモラールを向上させるという視点で考えると、現状の
表彰制度は非常に上手く機能しているといえる。しかし、コミュニケーションを
アップさせるという視点で考えると、改善の余地があるのも事実である。現時点
での表彰制度は直接手渡すという方式になっている。確かにコミュニケーション
アップを第一に考えるならば、この方式が最も効果的かもしれない。しかし、現
実 的 な 問 題 と し て 、初 対 面 の 相 手 、あ る い は 年 上 の 相 手 に カ ー ド を 直 接 渡 す の は 、
抵抗を感じる人がいるかもしれない。また、誰が誰に投票したかということを知
られることが、人間関係の上で負の影響をもたらすことも考えられるのではない
だろうか。
よって、私は任意で匿名の投票も可能にするため、各部門に投票ボックスを設
け る こ と を 提 案 し た い 。そ の よ う に す る こ と で 、気 軽 に カ ー ド を 使 う こ と が で き 、
カードの利用がさらに広がると考えられる。また、こうしたボックスを設けるこ
とにより、部門を越えての投票も増えるのではないか。その場で渡すタイミング
がなかった場合でも、部門名とその人の名前さえ覚えておけば、ボックスに投票
することが可能になる。直接手渡す方式を残しつつ、こうした方式を導入し、コ
ミュニケーションアップを重視した表彰制度に改善すべきであろう。
6 アメリカ、ウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場での、作業条件と能率との関係
等に関する実験。従業員が「注目されている」という意識を持ったため生産性が向上したと
いうケース。
15
図表11 社員のやる気を高める方法として採用しているもの
表彰する
35
研修・教育の徹底
29
権限を与える
22
小集団活動
13
顧客からの手紙
9
社員持ち株制度
9
サービス基準の策定
7
優秀者の提示や告示
6
利益配分
その他
無記名
3
1
3
無効
4
( 出 所 :『 顧 客 ロ イ ヤ ル テ ィ の 経 営 』 p. 174)
( 2) 幹 部 社 員 が 同 乗
―現場と経営間のコミュニケーションアップ―
現場と経営間のコミュニケーションアップを目指すためには、経営陣が実際に
現場を見ることが最も重要である。現場の状況を理解した上で、現場に足りない
も の や 社 員 に 求 め ら れ て い る も の を 汲 み 取 る べ き で あ ろ う 。現 在 、ANAで は 、ダ
イレクトトーク
7
と呼ばれる組織活性化のための取り組みが行われているが、そ
れに加えて、幹部社員が実際の航空機に定期的に同乗することを提案したい。ま
た、ただ単に同乗するだけでなく、前述した表彰制度を幹部社員にも広めるべき
である。
前述した表彰制度は基本的には、同じ部署内でカードが渡されており、本社社
員がカードを持っていることはない。よって、本社社員、特に幹部社員にもこの
カードを持たせ、同乗した際に渡せるようにするべきである。また、幹部社員と
現場の社員は日常的に接点があるわけではないので、渡すカードには幹部社員の
7
経営層と一般社員が直接、意見交換をする場を設ける取り組み。本社内だけではなく、全
国各地の事業所においても実施されている。
16
連絡先を任意で記入するべきではないだろうか。そのようにすることで、たった
1 枚のカードが現場と経営間をつなぐコミュニケーションツールになり得る。
組織の層が厚くなると、現場からのアイディアや意見は上層社員になかなか伝
わりにくいものである。また、層が重なっていることで、悪い情報は上層には伝
わりにくく、良い情報ばかりが伝わってしまう傾向にある。しかし、このような
制度があれば、現場からの意見を直接吸い上げることによって、現状の良い面も
悪い面も見ることができる。
また、このように現場と経営の距離感を縮めることによって、両者のモラール
は ア ッ プ す る と 思 わ れ る 。現 場 社 員 は 自 ら の 意 見 を 聞 い て も ら え る 会 社 に 満 足 し 、
幹部社員は現場の社員、あるいは顧客を見ることで、自らの仕事の意義を考える
ようになるのではないか。
顧客の意見を聞くことも大事だが、社員の意見を聞き、社員を大事にしていく
ことも忘れてはならない。そのようにすることで社員の満足は高まり、会社への
忠誠心も強まる。つまり、それは最終的にはよりよいサービス、安全につながる
のである。
2. 社 員 教 育 な ど の ソ フ ト ウ ェ ア ( S) の 改 善
( 1) 異 な る 部 署 で の 職 場 体 験
社 員 教 育 を 充 実 さ せ 、安 全 性 を 向 上 さ せ る た め に 、異 な る 部 署 で の 職 場 体 験 を
提案したい。
ANAで は す で に グ ル ー プ 合 同 の CS活 動 と し て 、
「 PROJECT- N」と い う 羽 田 空
港 の 各 職 場 見 学 会 が 実 施 さ れ て い る 。 旅 客 部 、 貨 物 郵 便 部 、 STC 8 部 、 ラ イ ン ハ
ンドリング部でそれぞれ見学会が行われており、
「 自 分 の 業 務 だ け で な く 、他 部 署
の 業 務 内 容 を 理 解 す る こ と で 視 野 が 広 が っ た 」と い っ た 感 想 が 多 数 集 ま っ て い る 。
私はこの職場見学会をさらに発展させた、各部署での職場体験を提案したい。
「 PROJECT- N」 は 旅 客 部 、 貨 物 地 区 、 STC 部 、 ラ イ ン ハ ン ド リ ン グ 部 に 限 ら
れているが、さらに見学部署を広げ、回数も増やすべきではないだろうか。例え
ばパイロットが整備士の仕事を見学したり、本社社員が客室乗務員を体験したり
するプログラムを導入するべきである。もちろん、逆に整備士がコックピットで
のパイロットの実演を見るといったことも効果的であると思われる。
実際、アメリカのサウスウエスト航空
9
はこのようなプログラムを導入してお
り、職域を超えたコミュニケーションや相互理解、学習意欲の向上など、社員に
大きな効果をもたらした。他の部署を体験すれば、自らの部署の重要性も理解で
き、また会社を新しい角度から見ることができる。例えば、サウスウエスト航空
8
ステーションコントロールの略。各空港の状況に応じた空港運営(グランドハンドリン
グ・運航支援)を行う。
9 社員を家族のように大事にする企業文化が有名な航空会社。近年、アメリカでは航空会社
人気ランキング第 1 位を独占。世界の航空会社安全性ランキングでも常に上位にランクイン
している。
17
では、整備士を体験したパイロットは、整備士との認識のギャップに気づき、両
者の間には緊密な協力関係が生まれた。また、客室乗務員を体験した本社社員は
最前線で働く社員に対して、本社の支援体制がいかに重要であるかを学び、その
後の仕事に大いに役立ったという。これは、安全性を維持する上で非常に効果的
であるといえるのではないか。
ただし、これはあくまで体験であり、運航の安全に関わるような重要な部分に
関しては適正なチェック機能を設けなければならないだろう。
3. 職 場 環 境 ( E) の 改 善
( 1) 社 歴 を 展 示 す る 施 設
職 場 環 境 の 改 善 と し て 、 社 内 外 に ANA の 歴 史 を 展 示 す る 施 設 を 設 け る こ と を
提案したい。具体的には、写真や新聞記事、残存している機体などを展示すれば
よいと思う。
現 在 国 内 で の 航 空 会 社 は 、主 に ANAと JALの 2 社 で あ る が 、ANAは 国 策 企 業 で
あ っ た JALと は 違 い 、当 初 か ら 純 民 間 企 業 と し て 発 足 し た
10
。国 か ら 優 先 的 に 保
護 さ れ 、安 定 し た 経 営 を 維 持 し て い た JALと は 対 照 的 に 、発 足 当 初 、ANAは 厳 し
い経営状況に直面する。
「 純 民 間 の 航 空 会 社 は 元 々 無 理 」な ど と い う 悲 観 論 が 飛 び
出 す 中 で も 、逆 境 に 負 け ず 、JALへ の 戦 い を 挑 み 続 け た ANAに は 強 い 意 志 が 感 じ
ら れ る 。 現 在 で は 国 際 線 に も 進 出 し 、 JALと は 肩 を 並 べ る ま で 成 長 し た が 、 こ れ
ま で の ANAの 歴 史 は 社 内 で も 継 承 し て い く べ き だ ろ う 。歴 史 を 体 験 で き る 施 設 を
社内に設けることで、その歴史に携わった社員は当初の思い出を追体験でき、携
わることのできなかった若い社員は、自社の歴史を学ぶことができる。歴史をみ
る と 、 一 般 に JALは 国 策 企 業 と し て 優 遇 、 保 護 さ れ て き た た め に 、 良 く も 悪 く も
「 一 流 企 業 」と し て の 体 質 が あ っ た が 、ANAに は 全 社 員 で 一 丸 と な っ て JALに 立
ち向かう「和協の精神」がみられ、社会的な評価も好意的なものが目立った。こ
の よ う な 歴 史 を 思 い 出 し た り 、学 ん だ り す る こ と で 、ANAの 社 員 と し て 誇 り を 持
つことができ、士気も上がると私は考えている。
ま た 、自 社 の「 良 い 」歴 史 だ け を 継 承 す る だ け で は 不 十 分 で あ る と い え る 。ANA
は 1966 年 に は 連 続 し た 墜 落 事 故
11
を 起 こ し 、 1971 年 に は 当 初 、「 史 上 最 大 の 惨
事」といわれた空中衝突事故(零石事故
12
) を 起 こ し た 苦 い 歴 史 が あ る 。 ANA
は そ れ 以 降 、大 き な 航 空 機 事 故 を 起 こ し て お ら ず 、現 在 の ANA社 員 の 多 く は 、実
際に事故を経験していない。空の安全が問われている現在だからこそ、このよう
な事故を風化させず、継承していくべきである。ただ社内に展示するだけではな
く、社員の研修に利用したり、一般に公開したりすることも提案したい。
過去の歴史を学んで、現在を洞察できる環境をつくり、そして、安全を社内外
10
1952 年 、 前 身 と な る 日 本 ヘ リ コ プ タ ー 輸 送 が 発 足 。
1 年 に 2 度 ( 東 京 湾 ・ 松 山 沖 ) の 墜 落 事 故 を 発 生 さ せ る 。 計 183 名 死 亡 。 運 輸 省 ( 現 国
土 交 通 省 ) に よ っ て 、 一 時 は JALか ら の 経 営 ・ 技 術 指 導 を 受 け る こ と に 。
12 1971 年 、 岩 手 県 零 石 町 上 空 で ANA機 と 自 衛 隊 機 が 衝 突 。 162 名 が 死 亡 。
11
18
でアピールすることは、職場環境の面からみて、効果的であると思われる。
4. 情 報 共 有 な ど の マ ネ ジ メ ン ト ( m) の 改 善
SHEL を バ ラ ン ス さ せ る マ ネ ジ メ ン ト を 充 実 さ せ る た め に は 、 社 内 で の 情 報 共
有が有効である。適切な情報を社員に提供することによって、社員は好奇心が満
たされ、学習意欲をかき立てられる。また、社員の判断力や常識を鍛えたり、新
しいアイディアを引き出したりすることも可能になるだろう。以下に具体的な改
善提案を示していく。
( 1) 社 内 で の 情 報 共 有
①現在の情報共有の媒体―社内報
現 在 、 ANA で は 「 LINKS」 と い う 社 内 報 が 毎 月 発 行 さ れ て い る 。 社 内 や 業 界
のニュース、部署の紹介、社内表彰の発表などが載せられており、社員の求める
情報が満載され、学習意欲を刺激するように編集されている。社内や業界のニュ
ースを知ることで、社員たちは互いに得た情報について話し合い、理解を深める
ことができる。そのような話し合いの中で、社内報には載っていない新しい情報
を得ることもできるだろう。社内表彰の発表は、表彰された本人には自分の仕事
への誇りを与え、表彰されなかった人々についても次回の表彰へのモチベーショ
ンアップにつながるだろう。
②社内報に加えて―役員年鑑の作成
現時点でも社内の情報共有として、非常に効果的な役割を果たしている社内報
だが、これに加えて、私は年 1 回、役員年鑑を作成することを提案したい。現時
点の社内報は、全部署、全社員を幅広く紹介していくことが目標であるため、ど
うしてもトップマネジメントが紹介されることが少なくなってしまうからである。
現 在 、ANA の 従 業 員 は 、ANA 単 体 で 約 12,000 人 、グ ル ー プ 連 結 に し て 約 29,000
人 に な る 。 こ の よ う な 大 人 数 に な る と 、 誰 し も が ANA の 経 営 に 携 わ る リ ー ダ ー
た ち と 日 常 的 に 接 触 で き る わ け で は な い 。 写 真 付 き で ANA の リ ー ダ ー た ち を 全
社員に紹介し、ただ役職名や経歴を載せるだけではなく、親しみやすい質問項目
( 例 え ば「 子 供 の 頃 の 夢 」、や「 尊 敬 す る 人 」な ど )も 設 け れ ば よ い と 思 う 。こ の
ようにすることで、役員たちはより現実的で、親しみやすい存在になるのではな
いか。決して役員たちと直接接触できるようになるわけではないが、何らかのき
っかけにはなるかもしれない。また、たとえ会えなくても自社のリーダーたちを
知ることで誇りに思ったり、安心したりすることもあるはずである。そして、た
だ役員を紹介するだけではなく、明確な経営方針も示すべきであろう。
19
5. 利 用 者 へ の 安 全 性 イ メ ー ジ ア ッ プ
こ れ ま で 、安 全 性 の 向 上 を 目 指 し て 、主 に 社 内 へ の 改 善 提 案 を 行 っ て き た 。し
かし、社内での安全性向上だけではなく、社外、つまり利用者にもそれをアピー
ルする必要がある。どんなに安全性の水準を保っていても、利用者が実感する安
全性と必ずしも同じ水準になるとは限らない。つまり、社内で取り組む「安全」
と、利用者が感じる「安心」は異なるものであるといえる。これまで述べてきた
改善提案を自社のホームページで伝えることはもちろんだが、それに加えて利用
者に「安心」を与える改善提案をしたいと思う。
( 1) 機 体 工 場 見 学 の 充 実
機 体 工 場 見 学 は ANA で す で に 実 施 さ れ て い る が 、 そ の 現 状 を 見 る 限 り 、 改 善
の余地があると私は考えている。また、このサービスを改善することで、安全な
飛行機、航空会社という顧客のイメージアップも図れると思う。
以 下 、 現 在 ANA で 行 わ れ て い る 機 体 工 場 が ど の よ う な も の か 紹 介 し 、 さ ら に
充実させるためには、どのような改善を行うべきかを提案したい。
① ANA の 機 体 工 場 見 学 と は
ANA の 機 体 工 場 見 学 と は 、羽 田 空 港 近 く の ANA 機 体 メ ン テ ナ ン ス セ ン タ ー で
実際の整備の様子を見学することができるプログラムである。最新鋭のボーイン
グ 777 を は じ め 、ボ ー イ ン グ 747、ボ ー イ ン グ 767、エ ア バ ス A320 な ど 大 型 機 、
中型機が、どのように整備されているのかを見ることができる。見学は完全予約
制 と な っ て お り 、見 学 希 望 の 6 ヶ 月 前 の 同 日 日 か ら 1 週 間 前 ま で イ ン タ ー ネ ッ ト
で受付されている。
見学の概要をまとめると以下のようになる。
z
ANA 機 体 工 場 見 学 の 概 要
・場所
ANA 機 体 メ ン テ ナ ン ス セ ン タ ー
( 東 京 モ ノ レ ー ル 「 新 整 備 場 駅 」 下 車 、 徒 歩 約 15 分 )
・見学内容
1
飛行機と整備についての説明
2
飛行機の製造についてのビデオ上映
3
整備作業中の飛行機の見学
・見学可能時間
月曜~金曜 (祝日・年末年始は除く)
20
第 1回
10:00~ 11:30
第 2回
13:00~ 14:30
第 3回
15:00~ 16:30
・見学可能人数
1 回 あ た り 1~ 80 名
・年齢制限
小学生以上
・見学料金
無料
見 学 に 来 る 人 は 、子 供 を 連 れ た 家 族 連 れ や 社 会 見 学 を 目 的 に し た 中 学 生 が 多 い 。
1 時間半の見学プログラムはうまく構成されており、飛行機の仕組みやどのよう
に整備されるかがよくわかるようになっている。
② ANA の 機 体 工 場 見 学 へ の 改 善 提 案
ANA の 機 体 工 場 見 学 は 、現 時 点 で も 非 常 に よ く で き た プ ロ グ ラ ム で あ る が 、実
際の利用者の視点から、さらに改善すべき点を挙げたい。
z
ホームページや飛行機利用時にさらにアピールする
ANA の 機 体 工 場 見 学 は 一 般 の 利 用 者 に は あ ま り 知 ら れ て い な い 。そ の 要 因 と し
て考えられるのが、そもそも認知する機会が少ないということが考えられる。
ANA の ホ ー ム ペ ー ジ で は 、ト ッ プ ペ ー ジ に は こ の 見 学 案 内 は 見 当 た ら ず 、企 業
情 報 の 一 部 に 紹 介 さ れ て い る 。利 用 者 が 目 に し や す い 国 内 線 の ト ッ プ ペ ー ジ で も 、
紹介するべきであろう。
また、飛行機を利用した乗客に、アナウンスで工場見学の紹介をしたり、空港
に ポ ス タ ー で 宣 伝 し た り す る こ と も ひ と つ の 方 法 だ と 思 う 。ANA 機 体 メ ン テ ナ ン
スセンターは羽田空港に近いので、特に羽田空港を利用する乗客にアピールすべ
きであろう。
z
羽田空港からの無料バスを導入する
ANA 機 体 メ ン テ ナ ン ス セ ン タ ー は 羽 田 空 港 に 近 い が 、歩 い て 行 く の は や や 無 理
がある。自家用車用の駐車場もないので、羽田空港と浜松町を結ぶ東京モノレー
ルを使い、新整備場駅で降りるしか方法がない。また、新整備場駅からも歩いて
15 分 は か か る 。こ れ ら の こ と を 考 え る と 、見 学 者 に と っ て ア ク セ ス が 良 い と は 言
い難いだろう。
こ の よ う な 状 況 か ら 、 私 は 、 羽 田 空 港 と ANA 機 体 メ ン テ ナ ン ス セ ン タ ー を つ
なぐ無料バスを導入することを提案したい。新整備場地区には社員用のバスはあ
21
るが、見学者のためのバスはない。見学者の利便性を考慮して、ぜひ導入するべ
きであろう。
z
土曜日・日曜日も見学を行う
現 在 の 機 体 工 場 見 学 は 、平 日 に し か 行 わ れ て い な い 。平 日 に 限 定 し て し ま う と 、
学校や仕事の関係で都合がつかない場合がほとんどになってしまう。多くの人に
見学してもらうために、土曜日・日曜日も見学を行うべきである。そのようにす
ることで、首都圏に住んでいる人々が、休日に見学に来ることも可能になる。家
族連れには人気があるとされているこのプログラムを休日にも実施することで、
見学者が増加することは確実であろう。
z
見学用ビデオを機内でも放映する
見学には、飛行機を見るだけではなく、飛行機の仕組みなどのレクチャーもあ
る 。そ の レ ク チ ャ ー の 中 で 見 せ ら れ る も の の ひ と つ に 、整 備 士 の 1 日 を ド キ ュ メ
ンタリーのような形にしたビデオがある。整備士が一生懸命に仕事に取り組んで
いる様子は非常に感動的で、整備士がいかに安全のために努力しているかがよく
わかる映像となっている。私はこのビデオをぜひ機内でも上映するべきであると
思う。飛行機の安全を裏で支える整備士を見ることは、航空会社へのイメージア
ップにもつながるのではないか。
z
羽田空港以外でも実施する
現 在 、ANA の 機 体 工 場 見 学 は 羽 田 空 港 付 近 の 工 場 で し か 実 施 さ れ て い な い 。機
体工場は、成田空港や伊丹空港の近くにもある。羽田空港以外の機体工場でも見
学を実施し、より多くの人が見学できるようにするべきであろう。
以上のような改善提案を行えば、多くの人が実際に、あるいは機内で整備士の
仕事を見ることができ、安全な航空機・航空会社というイメージアップにつなが
るのではないか。一般の利用者は整備士の仕事を見る機会はあまりないが、整備
士は航空機の安全を支える重要な役割を担っている。このような機会を設けるこ
とは利用者に「安心」を与える点で、非常に効果的であると思われる。
( 2) パ イ ロ ッ ト の ア ナ ウ ン ス を 活 用
航空機はその特性上、天候などの影響により、多少の揺れが予想される乗り物
である。そのような航空機の特性は、パイロット、客室乗務員、多頻度利用の乗
客には当たり前のことと認識されているが、一般の乗客、特に飛行機の利用回数
が少ない乗客には大きな不安要因になり得る。よって、私はそのような不安要因
を取り除くために、パイロットのアナウンスを積極的に活用することを提案した
い。
22
例えば、揺れが予想される場合や、車輪の出し入れによって大きな音が生じる
場 合 、「 安 全 運 航 に は 影 響 が な い こ と 」、「 ベ ル ト を し っ か り と 締 め て ほ し い こ と 」
などを積極的に事前にアナウンスするべきである。また、安全に関する情報だけ
ではなく、顧客満足の視点からアナウンスすることも有効だろう。例えば、予定
運航時間に遅れが生じた場合や、直前の便が欠航した場合にお詫びのアナウンス
をすることが挙げられる。
このようにすることで、本来クレームになり得る事例が、逆に「安心」と「信
頼 」を 提 供 す る 顧 客 満 足 に 変 わ る こ と も あ る 。実 際 、
「機長からのアナウンスのお
か げ で 安 心 し て 搭 乗 で き た 」な ど と 乗 客 か ら 褒 め ら れ る ケ ー ス は 多 く 、2001 年 度
が 15 件 、 2002 年 度 が 58 件 、 2003 年 度 が 79 件 と 着 実 に 増 加 し て い る
13
。この
データからも、乗客のパイロットによるアナウンスに対する期待は高いと思われ
る 。 乗 客 の 「 安 心 」、「 信 頼 」 を 得 る た め 、 安 全 な 飛 行 を 守 っ た 上 で 、 ぜ ひ 積 極 的
に活用すべきである。
Ⅳ.社会全体から見た研修テーマをめぐる問題点
1. 自 社 努 力 の 範 囲 外 の 危 険
航 空 会 社 が ど ん な に 安 全・信 頼 を 高 め る た め の 取 組 み を し て も 、そ の 努 力 の 範
囲 外 の 危 険 も 存 在 す る 。例 え ば 、テ ロ や 機 内 暴 力 、迷 惑 行 為 な ど が そ れ に 当 た る 。
1999 年 に 起 き た ANA機 で の ハ イ ジ ャ ッ ク 事 件
14
は 記 憶 に 新 し い が 、さ ら に 2001
年 9 月 の ア メ リ カ 同 時 多 発 テ ロ は 航 空 業 界 に 大 き な 衝 撃 を 与 え た 。今 後 、日 本 に
おいても航空機を巻き込んだテロが起こる可能性は否定できない。また機内迷惑
行為や悪質行為
15
も 、近 年 増 加 傾 向 に あ り( 図 表 12 参 照 )、軽 視 で き な い 問 題 と
なってきている。
航空会社はこれらの危険に対して、ある程度の防止対策はできるが、根源は社
会的な問題であるため、自然に限界が生じてしまう。過去の経験則による安全対
策では決して十分とはいえない時代になっている。このような問題にいかに対処
するかが今後の課題になってくるだろう。
13
数字はカスタマーサポート部に届けられた件数。
ANA機 ( 61 便 羽 田 発 千 歳 行 ) が 包 丁 を 持 っ た 男 に ハ イ ジ ャ ッ ク さ れ 、 機 長 が 刺 殺 さ れ た
事件。
15 警 察 の 出 動 や 、 直 陸 地 変 更 に つ な が る 行 為 。
14
23
図表12 国内航空会社の機内迷惑行為と悪質行為(件数)
600
500
件数
400
300
200
100
0
1998
1999
2000
2001
年
機内迷惑行為
http://www.teikokyo.gr.jp/index.html )
( 出 所 :「 定 期 航 空 協 会 ウ ェ ブ サ イ ト 」
図 表 13
悪質行為
航空機内の迷惑例
(航空法で、機内で「安全阻害行為」とみなされる主な迷惑例)
z
トイレでの喫煙
z
扉を勝手に操作
z
客室乗務員の保安業務に影響が出るようなセクハラや暴力
z
携帯電話などの電子機器の使用
z
離着陸時にシートベルトをしない
z
手荷物を通路に放置
z
離着陸時に座席やテーブルを倒す
z
救命胴衣など機内装備を勝手に移動
( 出 所 :「 国 土 交 通 省 航 空 局 ウ ェ ブ サ イ ト 」
http://www.mlit.go.jp/koku/koku.html )
2. 構 造 的 な 問 題
2000 年 2 月 か ら 、 日 本 の 航 空 業 界 で は 国 内 航 空 運 賃 は 原 則 自 由 化 さ れ て い る 。
政府が航空運賃を自由化させることで各航空会社の競争を促すことは、利用者、
航空会社ともに良い面もあるが、一方では、激しい価格競争が航空会社に多大な
コスト削減・効率化を迫ることも考えられる。現状分析でも少し述べたが、コス
ト削減・効率化は、運航の安全性に影響を与えることもある。事実、規制がほと
24
んどないアメリカでは、コスト削減・効率化を強いられる余り、事故を多発した
航 空 会 社 も あ る 。ま た JAL の 近 年 の 航 空 ト ラ ブ ル で も 、こ れ が ひ と つ の 原 因 と し
て挙げられている。
現在の世界的な規制緩和の流れや利用者への利益を考えると、価格の自由化は
当然行われるべきだろう。しかし一方で、価格を自由化すれば航空会社が過度な
価格競争を行うことも事実である。つまり、価格を自由化すれば、過度な価格競
争が生じてしまうことは、構造的な問題であるといえる。これを根本的に解決し
ていくのは、極めて困難である。
また、国内線では羽田空港、国際線では成田空港に路線が集中していることも
利用者の数を考えれば当然の結果であり、構造的な問題であるといえる。首都圏
に は 国 内 総 生 産 の 約 4 割 が 集 中 し 、羽 田 空 港 は 国 内 旅 客 の 約 6 割 、国 内 貨 物 の 約
7 割、成田空港は国際旅客の約 6 割、国際貨物の約 7 割に利用されている。この
両 空 港 の 容 量 は 、 羽 田 は 慢 性 的 に 、 成 田 は 1991 年 以 降 、 不 足 の 状 態 と な っ て い
る。このような一極集中は過密ダイヤを形成してしまうので、事故やトラブルを
誘発しかねない。このような状況から、滑走路を拡張したり、首都圏に新しい空
港を建設したりすることが長い間求められてきている。しかし、航空騒音や海洋
環境などの問題により土地の確保は難しく、また多額の政府予算が必要なため、
簡単には新しい空港をつくれないのが日本の航空業界の現状である。
これらの構造的な問題を抱えた状況で、いかに安全・信頼を維持していくかが
航空会社の今後の課題といえるのではないか。
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26