勝 新興 国 市場

ー﹂を販売するSABミラー
界 的 ビ ー ル ブ ラ ン ド﹁ミ ラ
つつある。今回は知られざる大陸、
躍もあり、アフリカ経済は力を蓄え
ス成長を喫した 年でさえ2%の成
る。グローバル経済が4%のマイナ
界経済の成長率である4%を上回
力と優良企業群を紹介したい。
長を達成し、今後も中国、インドに
次ぐ成長ポテンシャルが見込める。
欧州企業の中には、このポテンシ
ャルを認識し、すでにアフリカ経済
に深く入り込んで、内部から成長を
資源など一部の産業を除いて注目さ
ずか4%││ 。もっとも、こうした
GDP︵国内総生産︶では全体のわ
でアフリカへの関与を強め、投資額
ーラム﹂の開始以降、特に官民一体
牽引する役割を担う企業もある。中
れることも少なかった。同様にアフ
型どおりの見方は、今や時代遅れと
や貿易額を急拡大させている。
アフリカ大陸には、中国、インドに次ぐ成長ポテンシャルが見
込まれる
(写真は南アフリカ最大の都市、ヨハネスブルグ)
成され、1人当たりGDPにも甚だ
ジジェリア、南アフリカの5カ国で構
ジ
ェリア、エジプト、モロッコ、ナイ
様だ。大陸陸
陸のGDPの6割はアルジ
きな格差も存在し、経済はまだら模
る。豊かな資源に恵まれる一方、大
支配の名残などの社会問題が横たわ
業のしやすさではBRICs や﹁ア
ラや法制度も比較的整っており、事
匹敵するレベルにある。社会インフ
人当たりGDPはBRICs 諸国に
これらの国々は政治的に安定し、1
リカのライオン﹂として特定した。
ス、チュニジア、モロッコを﹁アフ
ト、リビア、ボツワナ、モーリシャ
ラが年率 %成長をたたき出す一方
で、多くのアフリカ諸国のGDPは
実質ゼロ成長にとど
まる。
い環境にあると思われる。
具体的にアフリカの優良企業を見
ていこう。BCGでは、アフリカの
トップ企業群から、売り上げ規模・
の成長を牽引すると
今後のアフリカ経済
プ︵B C G︶ で は、
ャレンジャー企業﹂と名付けた。
る企業 社を抽出、
﹁アフリカ・チ
の両面から、ユニークな強みを有す
ス、ならびに戦略とビジネスモデル
成長率、グローバルでのプレゼン
目される8カ国、南
コンサ
ボストン
ルティング グルー
ィリピン、タイ、ベトナム︶
﹂に近
ジアのタイガー︵インドネシア、フ
アフリカ、アルジェリア、エジプ
Allan Baxter/Getty Images
しい格差がある。過去 年、アンゴ
00
106
2011.2.5 週刊東洋経済
世
アフリカに目を転じ、その経済の底
ブッシュ・インベブに次ぐ、ビール
をご存じだろうか。アンハイザー・
で世界第2位のグローバル企業だ。
その出自は、実はアフリカにある。
成長を牽引する 8カ国
﹁アフリカのライオン﹂
アジア経済やラテンアメリカ経済
の華々しさの陰で、アフリカ経済の
世界の面積の %、人口︵約 億
人︶
でも %を占めるアフリカだが、
リカ企業もなじみが薄く、パートナ
なりつつある。アフリカ大陸全体の
国も 年の﹁中国アフリカ協力フォ
ーや競合として認識している日本企
回
2000年から 年までの実質GD
第
新興国市場 で勝 つ
の 略
戦
10
08
大陸アフリカの底力と
チャレンジャー企業群
集中連載
業はそう多くないだろう。だが、S
影は薄い。昨年のW杯開催までは、
09
ただ、アフリカ諸国には政情不安
や内戦、さらに貧困、疾病、植民地
10
P成長率は5・3%と、同期間の世
20
ABミラーなど隠れた成長企業の活
15
市 井 茂 樹 ● ボストン
コンサルティング
グループ
パートナー &マネージング・ディレクター
塚 原 義 章 ● ボストン コンサルティング グループ プリンシパル
40
13
10
新興国市場で勝つ12の戦略
社の売り上げは 億5000万
や規制緩和といった要因は大きい。
ではの優位性、また資源価格の高騰
安価な労働力を活用できる地元なら
のディジェジィ、パキスタンのモビ
エジプトのモビニル、アルジェリア
獲得してきた。その結果、同社には
するなど、中東以外でも顧客基盤を
社で 社の売り上げの %を占める
不均衡な構成となっている。
だが、困難な状況をチャンスに変え
ナ、バングラデシュのバングラリン
リンク、チュニジアのチュニジア
し、果敢に国外進出を試みるなど、
クなど、驚くほど多数の事業部門が
る方法をクリエーティブに見いだ
チャレンジャー企業ならではの精神
創造性と展開力でも光る
チャレンジャー企業群
具体的な企業としては、通信・ハ
イテク企業でマロック・テレコム
生まれた。だが、同社はいわゆる
業種は金融、資源・鉱業、通信・ハ
イテク企業を中心に幅広い。前回紹
もその一つの要因といえる。
ガーナ
0
ボツワナ
モロッコ
14
12
10
ェリア︶などが挙
ダンゴテ︵ナイジ
ゴ︶
、砂 糖 精 製 の
エコバンク︵トー
IB︵エジプト︶
、
と、現在 の国や地域で事業を展開
でシェアを高めてきた。同社による
参入し、地域性に応じた商品の拡販
や合弁・提携を通じて各国の市場に
収合併して誕生した。同社はM&A
籍企業の中には、アフリカの消費者
業にも競合企業にもなりうる。多国
先進国企業にとって、アフリカの
チャレンジャー企業はパートナー企
し、うまく業務を運営している。
社の株主利回り
げられる。これら
年に華潤創業との合弁会社を立ち上
位の地位にある。中国では1994
し、9割以上の国々でシェア1∼2
ている。フランスのコングロマリッ
企業にアプローチする企業も出てき
と市場を理解するために、アフリカ
75
るS&Pのマイナ
と、同時期におけ
999年から 年
︵T S R︶ は、1
合弁会社のシェアは %と中国最大
に、ブランドの幅を広げた。現在、
社を次々と吸収。コスト低減ととも
﹁雪花﹂を投入する一方で、醸造会
げ、地元の好みに合わせたビール
界最大のセメント企業、ラファージ
る。同じくフランスに本拠を置く世
得したのは、こうした理由からであ
ロック・テレコム株式の過半数を取
ト、ヴィヴェンディがモロッコのマ
までで
ス0・8%、TO
のビール企業となっている。
・8%
共通する成功要因
アフリカのチャ
レンジャー企業に
にならない。
ス、アルジェリアのディジェジィな
ィンド、ギリシャのウィンド・ヘラ
東に進出したうえで、イタリアのウ
エジプトのオラスコム・テレコム
も積極的な海外展開を行っている。
リカ大陸の可能性は無限だ。その未
を築き上げるチャンスを秘めたアフ
なり得る。これから独自の資本主義
だが、ユニークなアフリカ企業
は、同時に、手ごわいライバルにも
東や地中海沿岸での足場を築いた。
は何か。確かに、
どの通信事業会社を買収し、北朝鮮
自国市場と結び付きの強い近隣の中
資源へのアクセス
来は明るく輝いている。
会社を買収し、石油資源の豊富な中
はエジプトのオラスコム系列の建設
PIXのマイナス
09
5・8%とは比較
24
では合弁事業で3Gサービスを提供
20
ナイジェリア
スーダン
コートジボワール
エチオピア
シエラレオネ
GDP 成長率 2001∼10 年(平均、% )
(注)
GDPは2008年の購買力平価基準。○の大きさは08年GDP、
GDP成長率は01∼08年が実績値、09∼10
年が予測値 (出所)
IMF World Economic Outlook(2009)
、EIU、UNCTADの資料を基にBCG作成
を持つ多元的な組織構造により、新
アルジェリア
アンゴラ
冒頭のSABミラーは、南アフリ
カのサウス・アフリカ・ブリュワーズ
ケニア
カメルーン
6 タンザニア 8
4
2
0
エジプト
︵エジプト︶
、金融機関ではオールド
チュニジア
レンジャー企業のリストも作成して
南アフリカ
1
産油国
産油国以外
興国市場特有の多元的な環境に対応
2
︵SAB︶
がアメリカのミラー社を吸
アフリカ経済を牽引する
「アフリカのライオン」8カ国
ミューチュアル︵南アフリカ︶
、C
﹁本社﹂
は置かず、
それぞれに中枢部
フ リ カ︶
、 オ ラ ス コ ム・ テ レ コ ム
︵モロッコ︶
、MTNグループ︵南ア
55
介したラテンアメリカ地域や、その
40
ほかの新興国を対象に、同様のチャ
ッコ︵6社︶の3カ国に偏っている。
カ︵ 社︶
、エジプト︵7社︶
、モロ
にまたがるが、その内訳は南アフリ
㌦から800億㌦。本拠地は8カ国
3
リビア
モーリシャス
ガボン
40
が容易なことや、
週刊東洋経済 2011.2.5
107
40
18
1人当たりGDP(万ドル)
いるが、アフリカのリストは上位5
Key Data 新興国市場の真実