2010年春号 - 東海大学文学部ヨーロッパ文明学科

2010 年 5 月 20 日
東海大学文学部
ヨーロッパ文明学科ニュースレター
2010年春号
♥学生たちの春のヨーロッパ体験記♥
南フランス・歴史と文明に触れる旅
by 安達未菜・細川亜希(ヨーロッパ文明学科3年生)
私たちは、今年の3月の春休みを利用して、南フランスのプロヴァンス地方とコート・ダジュール地方を訪れました。
南仏のこれらの地方は、紀元前2世紀という早い時代から古代ギリシア・ローマ文明が波及して根づいたところなので、あち
こちに古代(とくにローマ)の遺跡があります。中世ロマネスク文化もユニークなものが見られ、最近ではゴッホを筆頭に、
多くの文化人や芸術家たちを引きつけてきたところです。
コート・ダジュールではニース、モナコ、そしてエズを訪れました。イタリアにも近く、ニースの旧市街などはまるでイタ
リアにいるような気分を味わいました。エズは断崖絶壁の上にある村で、地中海を見下ろす大パノラマを見ることが出来ます
(下の写真左)
。かのニーチェが『ツァラトゥストラ』の着想を得たのもこの地だということです。
プロヴァンスではアルル、アヴィニヨン、オランジュ(写真下中央)、ポン・デュ・ガール(写真上)などで古代ローマ文明の
影響の大きさや、独特の中世文化などに触れることが出来ました。また、この地に留学したり、仕事を持って住んでいる東海
大学ヨーロッパ文明学科の同級生や先輩たちと会うこともできました(写真下右)。みんな本当に生き生きとされていて、私た
ちもそんな生き方に触れることが出来て、とてもよい刺激になったと思っています。
コート・ダジュールのエズにて
オランジュの古代凱旋門
Aix-en-Provence東海大学の会です!
今年(2010年)の夏の「ヨーロッパ実地研修」は?!
ヨーロッパ科学と文化の旅
~近代の黎明期を散策する
(引率教員:平野葉一教授)
今日の文明の基礎のひとつにヨーロッパ近代の成立があります。なかでも15世紀~17世紀における近代科学の成立は、
自然観の転換をうながしたという意味でとても重要な位置を占めます。この時代はまさにヨーロッパ近代を準備した黎明
期なのです。この旅では、ヨーロッパ近代の黎明期の足跡をたどります。まずパドヴァ(ヴェネチア)
、ミラノといった
北イタリアの諸都市の大聖堂や博物館を訪れ、ジョットやレオナルド・ダ・ヴィンチの活動を見ます。またドイツではヴ
ァイル・デア・シュタット、ニュールンベルグ、ギーセン、フランクフルトなどを訪れ、ケプラーやアルブレヒト・デュ
ーラーを中心にヨーロッパにおける科学や技術の歴史の一端に触れます。またそれぞれの都市では、ヨーロッパの人々の
歴史観や文化についても学びます。
※さらに来年以降の予定
2011 年度「ドイツ・フランス・ベルギーほか・EU 統合に触れる旅」
2012 年度「スペイン・サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼の道をたどる旅」
☀
スペイン留学報告
by ヨーロッパ文明学科・木村奈央(きむらなお)
私はいま春休みを利用してスペインに留学しています。最初はとまどうことも多く、またスペイン語もなかなか理解できなか
ったり、うまく通じなかったりすることもありましたが、今ではかなりうまくスペインの人々とコミュニケーションが取れるよ
うになってきたと思っています。
留学先の学校では、基本的に3時間の文法の授業のあとに、プラス1時間の授業(会話とか文化とか)を取っているのですが、
実はこのプラス1時間の授業に出ているということが、結構効果があるみたいです。
自分が言いたいことはかなり言えるようになったかなー、と本当に思います。最初の頃は、授業中などに先生やクラスメート
から「これについては、日本ではどうなの?」みたいに聞かれた時はいつも困っていたのですが、それも最近はだいぶ答えるこ
とができるようになりました。自分でもかなり進歩したんだと思っています。
ただし、あまり長い文章になったり、話題が複雑なものになると、まだ頭で整理しきれないところが出てきて、しばしばつま
づいています。やはり日本人の留学生は、他の国から来た学生たちと比べて、ボキャブラリー(語彙力)という点では、まだま
だ明らかに足りないと痛感してます。
スペインにも「アニメショップ」とかがあるんですが、そこでカードゲームをするスペイン人たちの図はなんとも可笑しな光
景です。ちょっと「萌え系」の女の子が描かれたカードとか出し合ってて(笑)。マンガに関しては日本でも結構マイナーなもの
もそれなりにショップに置いてあったりして。なかなか面白いです。そう言えば、最近「萌え」とか「空気を読む」って、外国
語でいったいどうやって説明するんだろうなー、なんてふと考えていたりします(笑)
。
もうしばらくスペインで勉強しますが、これからも楽しくて充実した留学生活を送りたいと思ってます!!
クラスメートの友だちとパーティー(真ん中が私)
地中海をバックに留学生の友だちと
活躍する卒業生紹介
小林洋祐君
スコットランド・グラスゴー大学大学院(ヨーロッパ文明学科2008年度卒業生)
小林洋祐君は、ヨーロッパ文明学科2008年度卒業生で、在学中にイギリスのケンブリッジ大学に長期留学され、英語とイギリスの文化につ
いて勉強されました。卒業研究はヨーロッパ特にフランスやイギリスの映画文化・映画制作についてまとめられました。卒業後は映画制作の現
場でマネージメントにかかわる仕事をしたいとの希望から、スコットランドに留学され、グラスゴー大学の大学院に進まれることになりました。
これまでスコットランドのグラスゴー大学のpre-masterと
いマスター(大学院)の前段階にあたるコースを約8カ月履修
していたのですが、先日無事終了し、試験の結果グラスゴー大
学大学院への進学が認められました。
こちらでの主専攻科目はビジネスマネージメントなのです
が、グラスゴー大学ではそれらに加え、社会学や英国史などを
学びました。特に社会学ではコントやデュルクハイムなどの実
証主義者についてのレポートやトーマス・クーンに関するエッ
セイ などを書かされましたが、中でもデヴィット・ヒュー ム
の思想はとても興味深く感じました。
今後は、9月の秋学期からグラスゴー大学マスターコースで
マネージメントの勉強を続ける予定です。そこで映画制作につ
いてのノウハウや、ヨーロッパの映画文化の奥深さなどについ
て、さらに多く学ぶことが出来ればと思っています。ヨーロッ
パの社会や文化、
そしてヨーロッパのビジネスなど に関しては、
まだまだ学ぶことが多いのですが、これからも頑 張っていきた
いと思っています。
(グラスゴー大学の授業でプレゼンテーションする小林君)
教員スタッフの春の研究調査活動
北イタリア・ロマネスク美術取材旅行
by 金沢百枝(准教授)
2010年春、新潮社から出版される本のため、北イタリアに取材撮影旅行に行きました。
水上都市ヴェネツィア、中世のポンペイとも言われるラヴェンナなど、魅惑的な町が多
い北イタリアは、古代ローマの文化を継承しながら、中世独特の美術や建築を産み出し
た場所です。歴史と美術の流れを辿るよう、あまたから12聖堂を選び、訪ねました(金
沢百枝・小澤実『イタリア古寺巡礼 ミラノ~ヴェネツィア』新潮社、8月25日刊行予
定)
。1時間ほど山登りをしないとならないアルプス山中の修道院には、中世随一の壁画
が残ります。僧院から後ろをふり返れば、コモ地方の湖を遙か見渡す絶景です。そこで
は、堂守のおじさまが僧坊でお手製のパスタと生ハム、発泡性の赤ワイン・ランブルス
コをご馳走してくださいました。これまでいくつも聖堂を訪ねましたが、初めての経験
でした。が、ゆっくりしすぎて、雪が降り始め、麓に降りる頃には、スノードロップや
クリスマスローズなど早春の花のうえに、雪が積もっていました。
ヴェネツィアでは霧の中、水上バスで小一時間ほどのトルチェッロ島を訪ねました。
今はひなびた島ですが、かつてはヴェネツィアよりも栄えた場所で、12世紀の美しいモザイクで有名な大聖堂があります。黄金に浮
かぶ聖母マリアの美しさは須賀敦子さんのお墨付きです。西壁の最後の審判図は、細部が面白い。天使がラッパを吹き鳴らし、世界
が終わり、審判の時がきた事を告げると、死者たちが陸から海から甦るのですが(下の写真右)
、ライオンなど野獣に混ざって、肉食
ではないだろうゾウの口からも死者が復活しています。
夕刻、濃霧のため船がとまってしまいました。苦労して宿に帰り着き、美術館ちかくのバーカロで「モレイケ」という旬の料理を
食べました。脱皮したばかりで殻の軟らかい蟹を、生きたまま数時間、溶き卵に浸し、そのまま素揚げにしたもの。聞くと残酷です
が、殻の香ばしいカリカリと、中のふわふわが美味。春と秋という限られた時期、少量しか捕れないため、これを目当てに訪れたひ
とでも運よく食べられるかどうかという珍味なのだそうです。
金沢百枝・小澤実
『イタリア古寺巡礼
ミラノ~ヴェネツィア』
新潮社から 8 月 25 日
刊行予定
南フランス・古代中世歴史調査 by 中川久嗣(教授)
2010年3月、いつものように南フランスの歴史的文化遺産を巡りました。今回は、特にエクス・アン・プロヴァンスとその周辺の中
世のキリスト教聖堂、アルルからアヴィニヨンにかけてのアルピーユ山地周辺の歴史遺産、そしてオート・プロヴァンスの古い教会
などを回りました。なかでも興味深かったのは、プロヴァンス・エギエール近くのサン・ピエール・ドゥ・ヴァンスの古代ローマ時
代のヴィラの遺構です。周辺には今では人家などまったくない山間の開けた平地に忽然と発掘現場が現れます。大きな中庭を取り囲
むように小さな居室が並んでいます。個人邸宅用の浴室なども完備されていて、今から2000年前の快適な田舎暮らしを想像できます。
ボーケール近くのサン・ローマン修道院は、岩山の中をくりぬいた岩窟修道院で、ローヌ川を見下ろすテラスには、中世の墓穴が
所狭しと掘られています。オート・プロヴァンスのシミアンヌ・ラ・ロトンドは、外から見たら巨大な石積みの塔にもかかわらず、
内部はきわめて精巧に作られたロマネスク時代のドームでした。最後はパリ・アンヴァリッドの軍事博物館で授業「ヨーロッパの戦
争と文明」のための資料収集などを行いました。
サン・ピエール・ドゥ・ヴァンスのヴィラ
サン・ローマン修道院
パリの軍事博物館
2009年度卒業論文の紹介(一部)
「16世紀の要塞建築研究~Die Zitadelle Spandau~」
「ヨーロッパにおけるドラゴンという存在について」
「古代ローマにおける公共浴場の成立について」
「ヨーロッパの魔女狩りに関する心理学的考察」
「デカルト哲学における神とキリスト教について」
「古代ギリシア・ローマの戦車競走について」
「ケルト文明からみる妖精の在り方」
「墓碑に見るヨーロッパの死生観~トランジの誕生と展開」
「写実的風景画の成立における17世紀オランダの画家たちの活動とその意義」
「バロック絵画に見るイリュージョニズム ~アンドレア・ポッツォ≪聖イグナティウスの栄光≫を巡って~」
ヨーロッパ文明学科
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オープンキャンパスのお知らせ ◆◆◆◆
6月20日(日)
体験授業「美術で読むイタリアの文化と歴史 ミラノからヴェネツィアへ」
(担当:金沢百枝 准教授)
北イタリアは、ヨーロッパ世界の誕生を考えるうえで欠かせない場所です。古代ローマの文化を継承
しつつ、新しい建築や美術も生まれました。講義では、水上都市ヴェネツィアの教会美術から、アルプ
ス山中の中世の聖堂まで旅しつつ、中世の歴史、美術、食、ファッションを読み解きます。
12時から14号館4階教室にて(予定)
体験授業終了後は AO 入試や推薦入試、一般入試などの受験希望者に対して、課題説明あるいは質問や個別
相談タイムをもうけます。何でもお気軽におたずね下さい。
※大学による全体説明は 10 時から。学科体験授業の詳しい時間と場所は大学ホームページと当日の案内にてご確認下さい。
( http://www.u-tokai.ac.jp/ )
↑写真左:脱皮したばかりの蟹モレイケは春のヴェネツィアの名物料理。まん中と右:アッピアーノ城礼拝堂のキリスト伝を描いた
壁画(1200 年頃)でつまみ食いする人々。じゃがいも団子クヌーデルやソーセージにかぶりつく。
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発行責任者:中川久嗣(なかがわ・ひさし:ヨーロッパ文明学科主任)[email protected]
http://www.u-tokai.ac.jp/
(東海大学大学オフィシャルサイト)
http://www.hum.u-tokai.ac.jp/
(東海大学文学部サイト)
http://www.hum.u-tokai.ac.jp/europa/
(学科制作サイト)
※ヨーロッパ文明学科の教員による出張講義などのご要望にもお応えいたします。お問い合わせは中川まで。