2013 表紙:2011 年-冬号) 夏 公益社団法人 1 目次 新着情報 法令・通知・基準改正(2013 年 1 月-2013 年 6 月) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3頁 論文・文献その他の情報(2013 年 1 月-2013 年 6 月) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5頁 論文・書籍紹介 投稿論文「日本の社会保障年金制度50年の歩みと教訓」 中田 正、坪野剛司 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9頁 論文紹介「年金受給権」 OECD Pensions at a glance 2011 年版 OECD および G20 加盟国の退職後 所得システム(抜粋) パートⅡ 第 2 章 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 頁 追 悼 文「年金研究の巨星墜つ」 年金数理人 久保知行 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63 頁 論文募集について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65 頁 ご意見・ご要望について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66 頁 ©2013 公益社団法人日本年金数理人会 本資料は公益社団法人日本年金数理人会会員の能力向上のためのものに作成されたものであり、当該目 的にのみ使用することが認められます。本資料の記載内容は、当団体が信頼できると判断した各種データに基 づき作成されておりますが、その正確性、確実性を保証するものではありません。法令変更、金融情勢の変化 などにより、本資料に記載された内容は予告なしに変更されることがあります。本資料に関する権利は、公益 社団法人日本年金数理人会に帰属し、本資料の一部または全部の無断複写複製を禁じます。 2 新着情報 法令・通知・基準改正(2013 年 1 月-2013 年 6 月) 法令・通知改正 厚生年金基金制度の見直しに向けた年金法改正 関係法令 「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正す る法律」(平成25年法律第63号)(平成25年6月19日成立・26日公布) 主な内容 厚生年金基金制度の見直し ・施行日以後は、厚生年金基金の新設は認められないこととなった。 ・施行日から5年間の時限措置として特例解散制度を見直し、分割納付における事業 所間の連帯債務を外すなど、基金の解散時に国に納付する最低責任準備金の納付 期限・納付方法の特例が設けられることとなった。 ・施行日から5年後以降は、代行資産保全の観点から設定した基準を満たさない基金 については、厚生労働大臣が第三者委員会の意見を聴いて、解散命令を発動でき ることとなった。 ・上乗せ給付の受給権保全を支援するため、厚生年金基金から他の企業年金等への 積立金の移行について特例が設けられることとなった。 ・施行日から起算して10年を経過する日までに、存続厚生年金基金が解散または他 の企業年金制度等に移行するよう政府が検討を行い、速やかに必要な法制上の措 置を講じることが附則に盛り込まれた。 (公布日から1年を超えない範囲で政令で定める日から施行) 確定拠出年金に関する通知の発出 関係通知 「確定拠出年金制度について」の一部改正について(年発0329第4号) (平成25年3月29日) 「確定拠出年金の企業型年金に係る規約の承認基準等について」(年企発0329第1号) (平成25年3月29日) 3 主な内容 分散投資を促進するため、デフォルトファンドに設定する運用商品の選定にあたって の留意事項や加入者等に対する説明事項を明確化する。 加入者が確定拠出年金での運用目標を容易に把握できるように老後のライフプランを 通した投資教育を拡充する。 投資助言を実施する際の留意事項を明確にする。 加入者掛金(マッチング拠出)の効果について、情報提供を行うことを明確化する。 平成25年度に適用する下限予定利率等について 関係告示 厚生労働省告示第51号(平成25年3月21日) 厚生労働省告示第52号(平成25年3月21日) 厚生労働省告示第53号(平成25年3月21日) 関係通知 「厚生年金基金の予定利率の下限等について」の一部改正について(年企発0321第1号) (平成25年3月21日) 主な内容 確定給付企業年金と厚生年金基金の平成25年度に適用する掛金計算に用いる下限予 定利率は「0.8%」、最低積立基準額の計算に用いる予定利率が「2.13%」と決定された。 4 論文・文献その他の情報(2013 年 1 月-2013 年 6 月) 政府関係 厚生労働省 平成 24 年度の国民年金保険料の納付状況と今後の取組等 (平成 25 年 6 月 24 日) 主な内容 平成 24 年度分の納付率は、59.0% (対前年同期比+0.3%) 、 過年度分(22 年度分)の納 付率は、64.5%(22 年度末から 5.2 ポイントの伸び)、 過年度分(23 年度分)の納付率は、 62.6% (23 年度末から 3.9 ポイントの伸び)。平成 25 年度の主な取組みとして、①未納者の 属性に応じた収納対策の徹底・強化、②市場化テスト受託事業者との協力・連携体制の強化、 ③行動計画推進の責任体制を明確にし、収納対策を組織的に推進することが掲げられてい る。 (参照サイト http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000356df-att/2r985200000356i0.pdf) 厚生労働省 平成 25 年(2013 年)1 月末現在 国民年金保険料の納付率 (平成 25 年 3 月 27 日) 主な内容 平成 24 年度分の納付率は、57.1% (対前年同期比△0.1%) 、 過年度分(22 年度分)の 納付率は、64.2%(22 年度末から 4.9 ポイントの伸び)、 過年度分(23 年度分)の納付率は、 62.0% (23 年度末から 3.3 ポイントの伸び) (参照サイト http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002y4xo-att/2r9852000002y51n.pdf) 厚生労働省 社会保障審議会年金部会 厚生年金基金制度に関する専門委員会 「『厚生年金基金制度の見直しについて(試案)』に関する意見」 (平成 25 年 2 月 8 日) 主な内容 昨年 11 月に提示された厚生年金基金制度の見直しに関する厚生労働省試案について、① 「代行割れ問題」への対応、②持続可能な企業年金の在り方、③代行制度の在り方の各論点 に沿って、関係団体等からのヒアリングを含め審議を行った結果を踏まえ取り纏められた報告 書が公表された。 (参照サイト http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002uy9e.html) 5 その他 厚生労働省 平成 24 年度第 3 四半期 年金積立金管理運用独立行政法人の運 用状況について(平成 25 年 3 月 1 日) 主な内容 収益率(期間率)は国内外株式の上昇、及び、外国債券の上昇によりプラス 4.83%、収益額 はプラス 5 兆 1,352 億円、運用資産額は 111 兆 9,296 億円。 (参照サイト http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/pdf/d01_130301.pdf) 論文 “Sticky Ages: Why Is Age 65 Still a Retirement Peak?(硬直的な年齢: なぜ、まだ 65 歳が退職のピークなのか?)”, January 2012 – Center for Retirement Research at Boston College 主な内容 社会保障の通常退職年齢(FRA)が 66 歳に引き上げられたことに伴い、最近の退職者の退 職年齢のピークも上昇した。しかし、依然として大部分の人々は 65 歳で社会保障給付を請求 している。本稿では、65 歳を請求年齢とする「硬直性」に対して考えられる 2 つの解釈、すなわ ち、メディケアの受給資格と将来の社会保障給付に関する労働者の知識不足について検証 する。はじめに、メディケア受給資格の影響を分析する。ここでは FRA が 65 歳ちょうどと 65 歳 2 カ月から 66 歳までの 2 つのグループを比較する。FRA が遅く事業主を通して退職者健康保 険に加入できないグループの方が、65 歳で社会保障を請求する傾向が強い。我々はこの結 果を、メディケア受給資格によって退職を決める人が増えている証拠と捉えている。請求によ って連邦医療保障の対象となることができるからである。会社の退職者健康保険に加入でき ない方は、当該健康保険加入者と比べて 65 歳の誕生日直後に退職する割合が 7.5%多く、 FRA まで退職を先延ばしにする割合は 5.8%少ない。この結果は、健康保険への加入が退職 決定の重要な要素であることを示しており、広範囲におよぶ調査結果と一致している。社会保 障給付に関する誤った情報をもとに、65 歳で請求している人がいるのかどうかという疑問につ いては、退職給付を正確に予測できない人がいるのも事実である。しかし、我々の分析によれ ば、このような混乱と社会保障請求のピークが 65 歳であることは無関係である。 (参照サイト: http://crr.bc.edu/wp-content/uploads/2013/01/wp_2013-2.pdf) 6 “Sustainability of Pension Systems in Europe – the demographic challenge(欧州 における年金制度の持続可能性_人口統計学上の課題)”, July 2012- European Actuarial Consultative Group 主な内容 欧州連合(EU)の大半の加盟国の年金制度は、人口の高齢化を主要因とした深刻な課題に 直面している。 比較的低い出生率と高齢者を中心にした平均余命の急激な伸びを背景に人口の高齢化が 進んでいる。各国の社会保障制度に対する高齢化の影響は財政の持続可能性という視点か ら懸念事項の一つになっているが、財政の持続可能性は年金給付の妥当性と国の持続可能 性でバランスを取る必要がある。 財政の持続可能性への対応策として定年年齢を延長することが考えられる。 しかし、2050 年の高齢者の人口比率を 2010 年と同水準に維持するためには、10 年もの定 年年齢の延長が必要になる国もある。定年時の平均余命を一定に維持するためには、男性 については 10 年当たり 1.3 年以上、女性については 10 年当たり 1.2 年程度の定年年齢の延 長が必要となる可能性がある。 様々な基準を用いて、どの国の年金制度の持続可能性が高いか明らかにするため、様々な 分析が公表されている。持続可能性や妥当性に関する見解が文化や現在の体制を反映して 加盟国ごとに異なるのは言うまでもない。本レポートでは、年金制度の持続可能性に寄与して きたと思われる社会保障制度改革の重要な内容について報告する。 (参照サイト: http://www.gcactuaries.org/documents/Sustainability_pension_system_%20final_020712%202 70612_web.pdf) “Shifting Income Sources of the Aged(高齢者の収入源シフト)”, November 2012U.S. Social Security Administration - Office of Retirement and Disability 主な内容 本稿では退職所得の測定に対する年金のトレンドの影響について論考する。かつては主要 な退職所得源の一つであった伝統的な確定給付(DB)年金が次第に税制適格な確定拠出 (DC)年金と個人退職勘定(IRA)に取って代わられつつある。民間セクターで勤務した、将来 の退職者の間ではこうしたトレンドが継続すると思われる。所得データの主要な情報源の一つ である国勢調査局の人口動態調査(CPS)では、DC と IRA による給付が大幅に過少に示され ており、将来の退職所得の測定方法に関する問題が増幅されているというのが本稿の結論で ある。CPS およびそれ以外のデータ・ソースは、DC 年金と IRA による給付の周期性(不規則 性)を明らかにするため退職所得の測定方法を見直す必要がある。 (参照サイト: http://www.ssa.gov/policy/docs/ssb/v72n3/v72n3p59.html) 7 “The autopilot solution: How notional savings accounts could put state pensions on a sustainable trajectory(みなし貯蓄勘定によって、国の年金を持続可能な軌道 に乗せるには)”, February 2nd 2013 - The Economist 主な内容 近年の経済、金融の大混乱によって、先進国の国家財政はすでに打ちのめされているが、 今はさらに大きな脅威が迫っている。人口の高齢化で、より多くの年金受給者が、より少ない 労働者に収入を頼るようになるということだ。欧州連合(EU)では老年人口指数(20-64 歳に対 する 65 歳以上の比率)は、今後 50 年間で 28%から 58%に上昇する見込みだ。多くの発展途 上国でも同じような状況である。例えば、中国の生産年齢人口は減少し始めている。改革を 実施しなければ、このような厳しい人口トレンドによって、多くの国の年金制度は崩壊の危機 に直面するだろう。 (参照サイト: http://www.economist.com/news/finance-and-economics/21571116-how-notional-savings -accounts-could-put-state-pensions-sustainable) 8 論文・書籍紹介 投稿論文 「日本の社会保障年金制度50年の歩みと教訓」 中田 正1 坪野剛司2 本稿は来年 3 月 30 日から 4 月 4 日の間、ワシントンで開催される第 30 回国際アクチュアリー大 会での報告用に執筆されたものである。本稿に関するコメントを筆者あて ([email protected])お寄せいただきたい。 (調査研究委員会) 要約 日本の公的年金制度は、明治時代の軍人・官吏を対象とした恩給制度、また一般人を対象とす るものとしての労働者年金法(1942 年)を嚆矢とするが、1961 年の国民年金法の全面施行によっ てすべての日本国民がいずれかの公的年金制度に加入するという「国民皆年金」を達成した。 2011 年は、「国民皆年金」達成 50 周年に当たっている。 現在、日本では、「社会保障制度改革国民会議」において、公的年金制度を含む社会保障制 度全般の見直しが行われている。 本稿では、「国民皆年金」以来の 50 年を振り返って、日本の公的年金制度が直面してきた課題 と日本政府の対応について、以下の財政問題を中心に検討する。 1. (保険料)日本の公的年金制度が段階保険料方式を採用したこと、 2. (財政方式・財政計算)日本の制度は積立式で始められたが、徐々に部分積立方式に変更さ れるとともに、1985 年に基礎年金制度が導入されるなど制度体系がマルチ・ピラー体系とされ たこと、また、2004 年に保険料について「保険料水準固定方式」が導入されたほか、財政計算 が永久均衡方式から有限均衡方式に変更されたこと、 3. (給付水準)1960 年代半ばからの高度経済成長に伴い年金給付レベルが徐々にひきあげら れ、1973 年には年金給付に物価スライドが導入されたこと、また、その後、経済成長の鈍化に より年金給付レベルが徐々に引き下げられ、2004 年には、マクロ経済スライドが導入されたこ と、 4. (支給開始年齢)時代の推移とともに、徐々に引き上げられてきたこと、支給開始年齢引き上げ は、非常に難しく、時間がかかったこと、 5. (年金給付水準)、および、 6. (被用者年金一元化)2012 年、被用者年金制度間で費用負担調整が行われたこと、 等。 年金制度の発展は経路依存性が強いとされ、その発展過程は各国の社会、経済、財政等の状 1 2 虎ノ門アクチュアリー事務所顧問、日本年金数理人会副理事長 年金綜合研究所理事長、日本年金数理人会顧問 9 況に依存する。しかしながら、近年、経済、情報等のグローバル化は進んでおり、各国の状況に 類似する側面も多くなっている。日本の公的年金制度発展の歴史が他国、特にこれから公的年 金制度をはじめようとしている国々や充実・発展させようとしている国々、さらにそこで活躍してい るアクチュアリーに参考になれば幸いである。 1. はじめに 日本の公的年金制度の特徴は、①国民皆年金制度であること、②社会保険方式であること、及 び③世代間扶養を中心としていること、の 3 点にあるとされる。 2011 年は 1961 年の「国民皆年金」が達成されてから「50 周年」に当たる。 本稿においては、平成 23 年版厚生労働白書によって、 1. 国民皆年金以前の公的年金制度(-昭和 20 年代) 2. 国民皆年金の実現(昭和 30 年代-オイルショック) 3. 制度の見直し期(昭和 50 年代-60 年代) 4. 少子・高齢社会への対応(-平成 10 年) 5. 経済構造改革と年金制度、政権交代と年金制度(平成 11 年-) の順に、日本の公的年金の歴史を概観した後、日本の公的年金制度の発展過程を以下の財政 の観点から検討する。 1. 保険料-段階保険料方式 2. 財政方式、財政計算-積立方式から、一部賦課方式の導入へ、無限均衡方式から有限均 衡方式へ 3. 支給開始年齢-55 歳、60 歳、65 歳への引き上げ 4. 被用者年金一元化 日本の公的年金制度発展の歴史が他国、特にこれから公的年金制度をはじめようとしている 国々や充実・発展させようとしている国々、さらにそこで活躍しているアクチュアリーに参考になれ ば幸いである。 2.国民皆年金以前の公的年金制度(-昭和 20 年代) 日本の社会保障としての年金制度の始まりを 17 世紀はじめの会津藩主保科正之に求める説3も あるが、社会保障としての年金制度の源流は、軍人や官吏を対象とする明治時代の恩給制度4と するのが通説である。これらは、教職員や警察官等の恩給制度と合わせ、1923(大正 12)年に、 「恩給法」に統一されている。この他、現業公務員に対しては共済組合制度が創設されている。 その後、昭和に入り、戦時体制下で傷痍軍人や軍人遺族の年金が求められ、その後 1939(昭和 3 保科正之は、「90 歳以上の全ての領民に終生一人扶持を与えよ」としたとされ、これをもって、日本の老齢年金 の始まりとする説がある。なお、一人扶持とは、1 日につき玄米 5 合、年にして2石5斗をあらわす。 4 1875(明治 8)年に「陸軍武官傷痍扶助及ヒ死亡ノ者祭粢並ニ其家族扶助概則」及び「海軍退隠令」 、1884 (明治 17 年)に「官吏恩給令」が公布され、1890(明治 23 年)にはそれぞれ「軍人恩給法」「官吏恩給 法」に発展した。 10 14)年に、戦争遂行のための船員確保等のため「船員保険制度」が創設された。船員保険制度 は、療養の給付、傷病手当金、養老年金、廃疾年金、廃疾手当金、脱退手当金等を給付する総 合保険制度で、このうち、養老年金、廃疾年金が日本で初めての社会保険方式による公的年金 制度となった。 船員保険制度の創設後、戦争遂行のためには、物資を生産する労働者の確保も必要であること から、1941(昭和 16)年に、工場で働く男子労働者(ブルーカラー)を対象とした「労働者年金保 険法」が公布された。この制度では、養老年金(資格期間 20 年で支給開始 55 歳)、廃疾年金、廃 疾手当金、遺族年金及び脱退手当金が給付された。 その後、1944(昭和 19)年に女子や事務職員に適用が拡大され、名称も「厚生年金保険」と改め られた。 終戦直後の経済混乱の中、急激なインフレにより当時の年金給付の中心であった遺族・障害給 付は減価した。また、労働者は生活困窮し、保険料の支払いが困難となったほか、積立金も実質 価値が減少した。こうした中、1954(昭和 29)年、年金の体系について全面的な改正をする厚生 年金保険法の改正が行われた。その内容は、①報酬比例部分のみであった養老年金を定額部 分と報酬比例部分の2階建てとすること、②男子の支給開始年齢を 55 歳から 60 歳に段階的に引 き上げること、③平準保険料率より低い保険料率とするが、保険料率を段階的に引き上げる将来 見通しを作成すること(段階保険料方式)、④財政方式を積立方式から修正積立方式に変更し、 国庫負担を導入すること、であるが、5 年に一度の財政再計算も制度化された。 3.国民皆年金の実現(昭和 30 年代-オイルショック) 厚生年金保険法が全面改正された 1954(昭和 29 年)当時、厚生年金の給付水準は月 100 円程 度に過ぎず、特定職域グループの厚生年金保険からの分離・独立(私立学校教職員共済組合 (1954 年)、公共企業体職員等共済組合(1956 年)、農林漁業団体職員共済組合(1959 年))が 相次ぎ、また、公務員も新しい共済組合(市町村共済組合(1955 年)、国家公務員共済組合 (1959 年)、地方公務員等共済組合(1962 年))が発足した。こうした被用者保険制度は農民や自 営業者をカバーしていなかったため、厚生省は国民年金制度創設の検討を行い、「国民年金法」 が 1957(昭和 32)年に制定された。無拠出性の福祉年金は 1960(昭和 35)年から支給され、拠出 性国民年金は 1961(昭和 36 年)から保険料徴収がはじめられた。 既に、医療保険については、1958 年(昭和 33 年)の国民健康保険法改正により「国民皆保険」 が達成されていたが、ここに医療保険に遅れること 3 年にして、すべての国民がいずれかの公的 年金制度の対象となる「国民皆年金」が実現したのである。 福祉年金は「年金」思想の普及に貢献した。当時 300 万人の高齢者が郵便局に列をなしたと言 われる。一方、「積立金が軍需産業に使われるのではないか」という懸念や、事務委託を時期尚 早とする市町村長の抵抗5など、「皆年金」に対する反対運動も強かった。当時の岸内閣は安保条 5 昭和 33 年の国民健康保険法改正によって「国民皆保険」が達成されていたが、国民健康保険事務は市 町村で行うこととされていたため、合わせて「国民年金」の事務を行うことを過重な負担としたのである。 11 約の改訂を目指していて、これに反対するものなど世情は騒然としており、国民年金法成立後、 安保条約は改訂されたが、これが逆であったら、国民年金法の成立は難しかったのではないかと 言われている。 国民年金は、20 歳以上 60 歳未満の日本国民6で、厚生年金・共済組合の対象となる被用者以 外の全ての人(農林水産従事者、商店主等)を被保険者とする社会保険年金制度であった。 その後、日本経済の成長とともに給付水準が充実され、厚生年金では、1965(昭和 40)年に、「1 万円年金」、1969(昭和 44)年には、「2 万円年金」が実現した。国民年金でも、1966(昭和 41)年 に「夫婦 1 万円年金」、1969(昭和 44)年に「夫婦 2 万円年金」が実現した。さらに、1973 年の改正 では、物価スライド制と標準報酬の再評価が導入され、「5 万円年金」が実現した。国民年金でも、 「夫婦 5 万円年金」が実現している。 なお、1973 年は、医療保険、年金制度を初め社会保障制度の大幅な給付改善が行われ「福祉 元年」と呼ばれている。 昭和47年、48 年は消費者物価指数がそれぞれ 11%、23.2%上昇した「狂乱物価」と呼ばれた 年であった。年金給付は、大幅な減価を強いられるところであったが、48 年改正で物価スライド制 が導入7されていたため、年金受給者は購買力を維持することができた。 4.制度の見直し期(昭和 50 年代-60 年代) しかしながら、福祉元年といわれた 1973 年秋に第 1 次オイル・ショックが勃発、日本経済は高度 経済成長の時代から安定成長の時代に突入する。この中で、充実が図られてきた年金制度も見 直しが進められることになり、制度間調整の時代を迎えた。 3 種 7 制度に分立していた公的年金制度は、1985(昭和 60)年の改正によって、国民年金を全 国民対象の基礎年金とし、厚生年金、共済組合の被用者年金を 2 階の報酬比例年金とする制度 体系に再編成された。 さらに、将来に向けて、年金給付水準の適正化が図られた。その結果、1986(昭和 61)年に、32 年加入の標準的な年金が 17 万 3,100 円(平均標準報酬の 68%)、40 年加入で、21 万 1,100 円 (平均標準報酬の 83%)であったものが 40 年加入で 17 万 6,200 円(平均標準報酬の 69%)に抑 えられた。 こうして、日本の年金政策は制度の分立、給付拡大から、基礎年金創設等制度統合と給付水準 適正化へ大きく方向転換されることになった。 5.少子・高齢社会への対応(-平成 10 年) 制度が分立した状況では、産業構造・就業構造の変化に伴い制度維持が困難となる年金制度 が出てこざるを得ない。こうした状況に対応して、被用者年金制度が厚生年金制度に統合される 形で再編成された。1986(昭和 61)年に、船員保険(職域外年金部門)が、1997(平成 9)年、日本 6 7 現在は、日本に居住する全ての人が対象になっている。 スライド制の導入は、狂乱物価に対応したものでなく、たまたま時期が一致したものとされる。 12 鉄道共済、日本たばこ産業共済、日本電信電話共済が、2002(平成 14)年に農林漁業団体共済 組合が厚生年金に統合された。 また、国民の平均寿命が伸びていく中で、伸びに対応した支給開始年齢の引き上げが検討され た。1994(平成 6)年の改正で、厚生年金の支給開始年齢が 60 歳から 3 年に 1 歳ずつ引き上げら れ 65 歳とされることになった(女子は 5 年遅れで実施)。さらに、60 歳代前半の在職老齢年金に ついて賃金の増加に応じて賃金と年金額の合計が増加する仕組みに改められた。 6.経済構造改革と年金制度、政権交代と年金制度(平成 11 年-) 2009(平成 21 年)8 月に実施された総選挙で自民・公明の連立政権から民主党を中心とする政 権への政権交代が行われた。政権交代の要因のひとつとして、年金記録の誤りによって、本来受 給できる年金が支給されない「消えた年金問題」があるとされる。年金記録問題については、「国 家プロジェクト」として、2010(平成 22)年度、2011(平成 23)年度の 2 年間集中的に取り組み、平 成 25 年 3 月現在 1,708 万件の記録を基礎年金番号に統合している。また、無年金・低年金問題 への対応として国民年金保険料の納付期間を 2 年から 10 年にする制度改正が行われた(3 年間 の時限措置)。 日本の公的年金は全国民が加入する皆年金制度(強制加入)であり、全国民共通の基礎年金と 被用者の上乗せ年金からなる 2 階建ての構造で終身給付(スライド付き)を行っている。 図 1.日本の年金制度体系 13 被用者年金は、現役時代の収入のおおよそ 6 割程度の水準を維持するモデルが設定されてお り、基礎年金は、老後の基礎的支出をまかなう考えで給付水準が設定されている。 表 1.日本の公的年金給付の現状 年金制度 老齢基礎年金等受給権者数 老齢年金平均年金月額 国民年金 2,765万人 厚生年金 1,385 15.7 共済組合 261 17.1 計 4,411 5.4万円 - 公的年金は、高齢者世帯の所得の約 7 割を占めるとともに、高齢者世帯の公的年金等の総所 得に占める割合が 100%の世帯が 6 割強と高く、また、国民の 4 人に 1 人が年金を受給するなど、 今や老後生活の柱として定着し、国民生活に不可欠な役割を果たしている。 また、内閣府の調査によると、日本の 60 歳以上の高齢者は、「経済的に日々の暮らしにこまって いるか」との質問に対し、71.0%が「困っていない」とし、「困っている」は 28.3%となっていて、生 活が比較的安定しているといえる。 7.日本の公的年金制度の発展過程 これまで、1961(昭和 36)年の国民皆年金以来の日本の公的年金の歴史を概観した。これから は、日本の公的年金制度の発展過程を以下の財政の観点から検討する。 (1) 保険料-段階保険料方式 日本の公的年金制度は積み立て方式でスタートしたが、19540(昭和 29)年の改正で、厚生年 金に段階保険料方式が導入された。段階保険料方式は、当初の経済発展レベルの低い段階で 導入可能な低保険料で出発し、経済発展とともに将来の保険料を引き上げていく方式で、積み 立て方式ほど初期保険料が高くなく、また、賦課方式ほど将来の保険料引き上げが急にはならな いことから、発展途上国に公的年金制度を導入するときの現実的な保険料設定方法として、ILO (世界労働機関)も推奨している方法である。段階保険料方式は、賦課方式と積み立て方式の間 の方式であり、保険料の引き上げ方によっていずれにも近い形にしうる。ここでは、ある程度の経 済成長を前提としており、日本の場合、1960 年代の高度経済成長によって、良好に段階保険料 方式が機能した例といえよう8。 8 それでも、政府の保険料引き上げ法案は、国会で野党によって、常に拒否ないし減額修正されている。 14 図 2.公的年金保険料率の推移 (2) 財政方式、財政計算-積立方式から、修正積立方式へ、無限均衡方式から有限均衡方式へ 日本の厚生年金の財政方式は、当初積み立て方式であったが、1954(昭和 29)年の改正で賦 課方式を基本としながらも、一定程度の積立金を保有する修正積立方式へ変更されている。これ は、1954(昭和 29)年の改正で平準保険料率より低い保険料率にせざるを得なかったために行わ れたことであって、前述のように、このとき同時に段階保険料方式として、将来の保険料の引き上 げを組み込んでいる9。 また、1973(昭和 48)年に導入されたスライド制以降、公的年金制度を積み立て方式で運営する のは、難しくなっており、日本の公的年金制度の修正積立方式による運営は国民の間に定着して いる。 なお、2004(平成 16)年改正では、保険料の設定が「給付水準維持方式」から「「保険料水準 固定方式」に変更された10。それまで、日本の公的年金では、年金給付水準を維持するた め、5 年に 1 度財政再計算を行って保険料を設定する方式であった(給付水準維持方式)。 9 現在、日本国内で、厚生年金制度について、後代負担を避けるため、給付債務を全て清算し、完全な積 み立て方式で運営せよとの意見があるが、この制度の歴史的経緯を踏まえない暴論である。 10 給付主導(Benefit oriented)の制度運営から保険料主導(Contribution oriented)の制度運営への転換で ある。当時、厚生省年金局内でも、高齢のスタッフは、 「給付主導」派、若年のスタッフは、 「保険料主導」 派と言われた。 15 この方式では、給付は維持されるものの、保険料はどこまでも上昇する可能性があった。 「保険料水準固定方式」では、保険料水準、特に、上限を固定し、その範囲で給付を行う ため、保険料の将来の上昇が見通せることになった。これは、保険料上昇の負担に耐えら れないとする国民の声に対応したものであるが、将来の給付水準は不透明になっている。 また、財政計算で保険料水準固定方式に加え、有限均衡方式が導入された。それまでの財政 計算では、制度が永遠に存続するとしての財政計算を行っていたが、この財政計算は、おおむ ね 100 年を目処にその間で財政均衡を保つように財政計算がなされた。有限均衡方式による財 政計算を行っている制度としては、米国の社会保障年金制度(OASDI)があるが、米国の場合、 長期の 75 年間の財政見通しに加え、10 年の短期見通しが行われている。日本の場合、100 年間 の長期見通し一本であるが、米国のように、短期の見通しも合わせて行うべきであろう。その際、 長期推計と短期推計基礎率をどう整合的に設定するかという問題がある。また、およそ 5 年に1度 行われてきた財政計算について、毎年行ってもらいたいという要望11にどう応えるか、100 年の推 計期間後の状態をどう評価するか等、技術的課題も残されている。 (3) 支給開始年齢-55 歳、60 歳、65 歳への引き上げ 支給開始年齢の引き上げは、収入(保険料)を増やし、支出(給付)を減らすので、年金財政の 建て直しに非常に有効な方法である。しかしながら、支給開始年齢の引き上げは、新規受給者に とっては、雇用をいつやめて年金生活に移るかという大問題であるので、雇用との連携を保ちつ つ慎重に行う必要ある。日本のこれまでの経験では、支給開始年齢の引き上げは、常に人々の 反発を招き、国会での法案通過も困難を極め、引き上げには、非常に長い時間がかかっている。 しかしながら、現在、1994 年、2000 年に決定された 60 歳から 65 歳への引き上げが行われている 最中であるが、公的年金制度の財政逼迫状態を見ると、早晩、支給開始年齢の引き上げは議論 せざるを得ないものと考えられる12。 (4) 年金給付水準 年金給付水準には、支給開始時点の水準とその後のスライドによる水準維持の 2 つのポイント がある。前者については、日本の被用者年金の場合、現役労働者の 60%が目処とされている。 後者については、支給開始年齢時点は、現役労働者の 60%を目処として給付水準を設定し、 受給し始めたら物価スライドで購買価値を維持するというのが、日本の方式であった。しかし、 2005 年に導入された、「マクロ経済スライド」では、物価上昇率から、被保険者数の減少率と受給 者の余命の伸び率を減じるので、その分受給者の購買力は少しずつ減少する。こうした、受給者 の年金を少しずつ削減する方法は、近年、他の国でも取られている。例えば、ドイツでは持続可 能係数(Nachhaltigkeitsfaktor)が導入され,また、スウェーデンでは自動均衡ルールが導入されて 11 2011 年、民主党政権下で行われた「事業仕分け」での委員からの要望。 欧米においては、多くの国で、支給開始年齢の引き上げが行われたり、検討されたりしている。米国: 65→67 歳(2027 年)引き上げ中、英国:65→68 歳(2046 年)引き上げ予定、ドイツ:65→67 歳(2029 年)引き上げ予定等 12 16 いる。しかしながら、日本の「マクロ経済スライド」では、賃金・物価の伸びが小さくこれを適用する と名目額が下がってしまう場合には適用せずに名目額を確保するため、およそ 10 年間にわたる デフレ経済下で発動されなかった13。 図 3.厚生年金の年金給付水準 60.0 350,000 300,000 50.0 250,000 40.0 200,000 30.0 150,000 ①老齢年金 ②平均標準報酬月額 ①÷② 20.0 100,000 10.0 50,000 0.0 0 19551970 1985 2000 (5) 被用者年金一元化 日本の公的年金制度は、一般労働者、公務員等職域ごとに、設立され、発展してきた。その結 果、多い時には 3 種 7 制度に分立していた(1980 年代)。こうした職域別の年金制度は、産業構 造・職業構造の変化に弱い。実際、昭和 60 年代から、財政力の弱い年金制度は一般制度である 厚生年金制度に吸収合併されている。職域ごとの制度よりも、厚生年金のような国全体をカバー する一般制度として運営する方が、制度運営が安定することは論を待たない。しかしながら、人々 の働き方は様々であるので、労働実態に合わせ、職業・産業によって年金制度に差があっても良 いとする考え方もある。例えば、炭鉱労働者が 65 歳、70 歳まで働くというのは無理であろう。 13 「マクロ経済スライド」導入により、年金給付改定率は従来の物価上昇率から調整率を減じた率でスラ イドする。導入時、調整率は受給者の余命の伸び 0.3%、被保険者数の減少 0.6%、合わせて 0.9%と見込 まれていた。 17 表 2.厚生年金への統合 年金制度 統合過程 船員保険(職域外年金部門) 1986(昭和 61)年に厚生年金保険に統合 日本鉄道共済 1997(平成 9)年に厚生年金保険に統合 日本たばこ産業共済 〃 日本電信電話共済 〃 農林漁業団体共済組合 2002(平成 14)年に厚生年金保険に統合 8.終わりに 本稿では、1961 年の「国民皆年金」以来の 50 年を振り返り、財政問題を中心に、日本の社会保 障年金制度が直面した課題と、それらへの政府の対応を見てきた。全ての居住者が公的年金に 加入する「国民皆年金制度」や共通制度に加入する「基礎年金制度」等、日本の公的年金制度 には、世界に誇るべきことも多い。また、全国民を強制加入し、その国民に対しスライド付き終身 給付を 50 年間続けてきた実績も誇って良いことであろう。 ここで、日本の年金制度で行われた施策について筆者なりの評価をまとめてみたい。 ① (◎)段階保険料方式の採用:段階保険料方式は、発展途上国に公的年金制度を導入する 場合の優れた方法と言える。日本の場合、1960 年代の経済高度成長もあって、段階保険料 方式の採用は成功であったと言える。 ② (◎)国民皆年金制度:日本に住んでいる人ならば誰でも少なくともどれかの公的年金に加入 し、高齢になり退職した時などに、年金が給付される制度は、日本が世界に誇るべき制度で ある。これは、社会のインフラとして日本社会安定の基礎の一つとなっている。 ③ (◎)全ての人が基礎年金に加入する制度:上記の国民皆年金制度下で全ての人が基礎年 金に加入し、そこから老後生活の核となる給付をうける制度は、優れた制度と言える。 ④ (○)積立方式から一部賦課方式の導入:日本の公的年金制度の発展上やむを得なかった 措置とも言えるが、妥当な選択であったともいえる。日本の一部論者には、世代間公平の観 点などから、積立方式にすべしとの意見もあるが、日本の公的年金の歴史を踏まえない暴論 と言える。 ⑤ (X)給付水準維持方式から保険料水準固定方式への変更:年金給付・保険料設定について、 給付主導から保険料主導への考え方の転換である。給付についてある程度の水準を確保す る「給付の十分性」を重視するか、「制度維持」を重視するかの選択とも、「DB」か「DC」かの選 択とも言え、世界的にも大きな課題と言える。後者は、近年の財政悪化を背景に出てきた考 え方であるが、筆者は年金制度については、「給付の十分性」を重視し、それをまかなうには、 保険料引き上げの他、支給開始年齢引き上げによる老齢年金の給付引き下げ、在職老齢年 金、遺族年金の給付引き下げ等によって給付総額を減少させて対応すべきと考える。 ⑥ (△)永久均衡方式から有限均衡方式への変更:有限均衡方式は、日本では、ごく最近取り 入れられた方式であり、①短期の推計も行う場合、長期と短期の基礎率をどう整合的に設定 18 するか、②算定する有限期間後の状況をどう評価し、どう算定期間に組み込むか等の技術的 課題が残されている。こうした技術的課題を解決し、有限均衡方式を制度運営に役立つもの としていく必要がある。 ⑦ (○)支給開始年齢の引き上げ:当面は、マクロ経済スライドによる財政改善によって対応して いくことになるが、長期的には、雇用との調整を考えながら長期の見通しを持って対応する必 要がある。 ⑧ (△)被用者年金一元化:日本では、現在、公的年金制度の 2 階部分に当たる被用者年金を 厚生年金に一元化することしている。これは、職域別の年金制度について産業構造・職業構 造の変化に日本全体で対応しようとするものであるが、人々の働き方は様々であるので、産 業・職種によって年金給付に差があって良いとする考え方もある。企業年金の場合は、こうし た考えは当然の事として認められている。 2013 年 8 月 6 日、「社会保障制度改革国民会議」の報告書が公表された。同会議は、2000 年代 初頭からの引き続く社会保障制度改革議論のいわば総仕上げとして、自民・公明・民主の 3 党提 案による「社会保障制度改革推進法案」に基づき、2012 年 11 月から 20 回、9 か月にわたり議論 が重ねられてきたものである。同報告書では、社会保障制度改革の全体像とともに、少子化、医 療、介護、年金の社会保障 4 分野の改革案が述べられている。このうち、社会保障改革の全体像 としては、このまま現行制度を維持していけば将来現役の負担がおおきくなりすぎ制度破綻が危 惧されるとして、現行制度の骨格が形成された 1970 年代モデルから、団塊世代が全員 75 歳以上 になる 2025 年モデルへの変更を訴え、その内容として、現役負担・高齢者給付という「年齢別負 担」から全ての世代が相互に支えあう「負担能力別負担」を提案している。また、年金分野の改革 では、これまでの制度改革14によって長期的な給付と負担を均衡させるための年金財政フレーム が完成したと評価したうえで、次の制度改革を提案している。 ・ マクロ経済スライドによる給付調整を計画的に行うこと ・ 非正規雇用者への適用拡大を引き続き継続すること ・ 中長期的課題として、支給開始年齢引き上げ問題を検討すること ・ 高所得者の年給付の身直し等世代内再分配について検討すること これらの提案は、これまで行われてきた制度改革論議を肯定するものであり、年金制度について は、国民会議は新しい提案でなく、これまでの議論を継続すべきとしていると考えられる。 なお、本報告では、国民会議でも紹介された15OECD レポートを引用して国際的な年金議論に 立脚して年金改革論議を進めるべきと述べられている点が注目される。 14 報告書では、「2004 年の改革の年金財政フレームで、将来的な負担の水準を固定し、給付を自動調整して長 期的な財政均衡を図る仕組みとしたことで、対 GDP 比での年金給付や保険料負担は一定の水準にとどまることと なり、基本的に年金財政の長期的な持続可能性は確保されていく仕組みとなっている。」と評価している。 15 第 12 回社会保障制度改革国民会議(5 月 17 日開催)において、OECD レポート「Pensions at a glance 2011」 とニコラス・バーの IMF 東京講演が紹介された。 19 今後、改革プログラム法案の秋の国会への上程、改革具体法案の来年以降の国会への上程が 予定されている。今回の報告書は、国民に消費税引き上げに加え社会保障のためのさらなる負 担を求めることも求める厳しい内容でもあるが、今後 3 年間国政選挙が予定されていないこともあ り、政治的には、厳しい改革を行うによい時期とされている。 制度改革の具体化に当たっては、日本の制度のよさを生かしつつ、これまでの歴史の上に立っ て改革を進めていくことが大切である。 近年、世界的に、社会経済のみならず年金制度もが複雑化してきており、専門家としてのアクチ ュアリーに対する助言期待も高まってきている16。そうした期待に応えるため、アクチュアリーは各 国の経験を十分検討し、年金制度及びその運営について的確なアドバイスを行うべきである。本 稿の日本の経験がその一助となれば幸いである。 参考文献 1. 吉原健二「我が国の公的年金制度-その生い立ちとあゆみ」2004年、中央法規出版 2.「平成23年版厚生労働白書 第 1 部 社会保障の検証と展望 ~国民皆保険・皆年金制度実 現から半世紀~」2011 年、厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/11/ 16 「アクチュアリー:持続可能な社会保障制度のキープレーヤー」ソーシャル・ポリシー・ハイライト24、国際社会保 障協会 20 論文・書籍紹介 論文紹介 「年金受給権」 Pensions at a Glance 2011 年版 OECD および G20 加盟国の退職後所得システム(抜粋)パート II 第 2 章 OECD 2011 (調査研究委員会 訳) 翻訳の品質および原文との整合性に関する責任は、本翻訳を行った公益社団法人日本年金 数理人会調査研究委員会にある。原文と本翻訳の内容に相違がある場合、原文の内容が優先 する。 年金受給権は OECD の年金モデルを利用して計算されている。計算は各国で 2008 年に 適用されている変数とルールに基づいている。計算は 2008 年に労働市場に参入した被雇 用者に関するもので、従って、すでに立法化され、現在は段階的に導入されている年金 改革の影響が完全に含まれている。指標の記述に先立ち、まず方法と前提に関して記載 している。このレポートには、『一目でわかる世界の年金(Pensions at a Glance)』の直近 版に掲載されている 9 つの指標に加え、年金受給権に関する新しい指標が 5 つ含まれて いる。 最初の指標は、個々人の報酬に対する年金の比率を表す、よく知られた所得代替率であ る。まず、独身者に関する、すべての強制加入制度(強制加入型私的年金を含む)を源 泉とする収入の(税引前)総所得代替率について論述する。第二に、公的年金と私的年 金(普及が進んでいる場合には任意加入型私的年金を含む)を個別に示す。続いて、年 金と年金受給者に対する税務上の取扱いについて分析する。4 番目と 5 番目の指標は、報 酬と年金に関して支払われる租税と拠出金を考慮に入れた純額ベースの所得代替率であ る。次の指標は本稿で初めてとりあげるもので、既婚者に対する給付を総額と純額の両 方で表している。こうした指標の最後が投資リスクの調査で、私的年金の投資収益率の 相違が退職所得全体に及ぼす影響を表している。この指標も本稿で初めてとりあげる。 その次が「年金財(現価)」(退職給付フローの生涯価値)に関する 2 つの指標である。 この指標では、年金受給年齢、賃金または物価の変動に対する年金のスライド制および 平均余命が考慮されているため、所得代替率よりも包括的な尺度である。 2 つの政策目標(高齢者に十分な所得を提供すること、および報酬の一定割合を代替す ること)のバランスは次の 2 つの指標で説明されている。これらの指標は年金給付方式 の累進性と年金と報酬の関連性を要約したものである。 年金受給権に関する最後の 2 つの指標は報酬水準の異なる個人全体の平均で、年金給付 水準、年金財(現価)および退職所得システムを構成する各々の要因の役割を表してい る。 21 はじめに 本書のパート II 第 2 章に記載されている年金受給権に関する様々な指標およびパート II 第 6 章の年金「貯蓄ギャップ」分析は OECD の年金モデルを利用している。方法と前提 はすべての国の分析に共通しているため、年金制度の設計を直接比較できる。将来の年 金受給権は今日の変数とルールに基づいている。 提示されている年金受給権は OECD 加盟国で現在法制化されているものである。すでに 法制化されてはいるが、段階的に導入されている給付設計の変更は最初から完全実施され ることを前提にしている。十分な情報を入手できる場合には 2008 年から法制化されてきた 改革が含まれている。 年金システムに関するすべての変数の価値は 2008 年の状況を表している。それ以降に年 金改革が実施された場合には、変更されたルールはすでに実施済みであったと仮定し、変 数を 2008 年当時の価値に再計算している。 勤続年数 本稿では、フル・キャリアを、20 歳で労働市場に参入し、標準的な年金受給資格年齢(言 うまでもなく国ごとに異なっている)まで勤続することと定義している。定年が 60 歳の場 合は 40 年、定年が 65 歳の場合には 45 年、定年が 67 歳の場合は 47 年など、勤続年数の長 さは法定の定年年齢によって異なることを意味している。20 歳という年齢は OECD 加盟国 で労働市場に参入する平均年齢の概算であるが、当然ながら国によっては 20 歳を上回るこ ともあれば下回ることもある。(20 歳ではなく、25 歳で労働市場に参入した被雇用者(従 って就業年数は 5 年短い)に関する感応度分析は『一目でわかる世界の年金(Pensions at a Glance)』の 2007 年版に示されている。) 主要な指標は、人々が通常の年金受給年齢まで就業することを前提にしているが、第 I 部第 3 章「退職動機」には通常の年金受給年齢の前と後に退職する人に関する計算が示さ れている。 失業、全日制の教育、子供の養育、障害者または高齢の親族の介護などの理由で有給労働 ができない期間もある。しかし、大半の OECD 加盟国はそのような期間に対する年金受給 権を保護する制度を実施している。失業期間中および子供の養育期間中に関するルールは 極めて複雑になることが多いが、本書の第 III 部の国別プロフィールに記載されている。 OECD の年金モデルにはこれらのルールが含まれている。紙幅の都合上、本稿にはそうし た調査結果が記載されていない。 カバレッジ 本稿に掲載されている年金制度には、公的なもの(つまり、国連国民所得標準方式で定義 されている政府または社会保障機関からの支払いが関係する場合)、または私的なものかを 問わず、民間セクターの被雇用者を対象にしたすべての強制加入型年金制度が含まれてい る。民間セクターの従業員を対象にした主な年金制度が国ごとにモデル化されている。公 22 務員、公的セクターの職員および特殊な専門家グループを対象にした年金制度は除外され ている。 ほぼ全員が加入している年金制度も含まれているが、従業員の 85%以上を対象にしてい ることが条件になっている。本書では、そのような年金制度を「準強制加入型年金」と呼 んでいる。デンマーク、オランダおよびスウェーデンでは特に重要な意味を持っている。 任意加入型の企業年金が普及している OECD 加盟国は増加しつつあり、こうした企業年金 は退職所得の提供で重要な役割を果たしている。これらの国に関しては、こうした任意加 入型年金の受給権とともに、所得代替率に関する一連の計算結果が示されている。公的年 金の受給額が比較的少ない国民が老後に備えて貯蓄しなければならない金額を表す年金 「貯蓄ギャップ」の分析もある。 定年退職後に受給資格を取得できる可能性のある資力調査付き給付もモデル化されてい る。資産と所得の両方を考慮に入れた資力調査付き、純粋な所得調査付き、または年金所 得のみを対象に調査する給付もある。計算では、年金受給権者全員が年金給付を受給する と仮定されている。資産も考慮に入れた、より広義の資産調査が存在する場合には、所得 調査が拘束力を有するものとされている。退職所得の全額を強制加入型年金制度(または 任意加入型年金制度がモデル化されている国では強制加入型年金制度と任意加入型年金制 度)から得ていることを前提にしている。 年金受給権は様々な報酬水準(その範囲は各国の平均報酬の 0.5 倍から 2 倍まで)の被雇 用者の間で比較されている。こうしたレンジを設定することにより、最も貧しい被雇用者 と最も裕福な被雇用者の将来の退職給付を分析することができる。 経済変数 OECD 全加盟国および分析対象になった主要非 OECD 加盟国について、単一の前提に基 づいて比較が行われている。実際には、年金水準は、経済成長率、賃金の伸び率および物 価上昇率の影響を受けるため国ごとに異なることになる。しかし、単一の前提により、様々 な年金制度の結果が経済状況の差異の影響を受けないようにすることが可能になる。この ような方法により、年金水準の国ごとの相違は年金制度と年金政策の相違のみを反映する ものになる。以下に基本的な前提を記載する。 物価上昇率は年率 2.5%と仮定されている。実際には、物価スライド制によりこうした前 提が影響することはほとんどない。 実質賃金上昇率は年率 2%と仮定されている(物価上昇率を勘案すると、名目賃金の上昇 率は 4.55%となる)。個人報酬は各国の平均に合わせて増加すると仮定されている。これは、 個人が報酬分布の中で同じ位置にあり、現役時代を通して毎年、平均報酬に対し同じ比率 の報酬を得ていることを意味する。OECD データベースから引用された報酬分布のデータ は一部の合成指標で利用されている。具体的にはパート II 第 5 章の「平均報酬」に関する 指標を参照。 積立方式の確定拠出年金の管理費用控除後の実質収益率は年率 3.5%と仮定されている。 23 (数理計算における)割引率は年率 2%と仮定されている。割引率は、経済成長モデルと それ以外のダイナミック経済モデルに共通する知見である、実質報酬の伸び率と同じ率に 設定されている(割引率に関する議論については Queisser および Whitehouse の 2006 年の 調査報告書を参照)。 モデルの基準化では、国連の 2050 年人口統計データベースから引用された各国の死亡率 予測が利用されている。 こうした基本的な前提の変化が年金受給権に影響を及ぼすのは明らかである。各国の報酬 増加率の変動に伴う影響のほか、個人報酬の伸びが平均を上回る場合または平均を下回る 場合に関しては、Pensions at a Glance(OECD、2005 年)の初版に示されている。収益率の 相違に伴う影響は「投資リスクと所得代替率」に関する指標で評価されている。 計算は、確定拠出年金給付が保険数理的に公正な価格の物価スライド制終身年金の形で支 払われることを前提にしている。この計算は死亡率予測に基づいている。資金が別の方法 で引き出される場合でも、定年時の支払最高額は同額となり、変更されているのは給付の 支払方法のみである。同じく、みなし勘定制度におけるみなし年金給付率は(ほとんどの 場合)、スライド・ルールを利用し、それぞれの国で採用されている前提を割り引いて計算 された死亡率データに基づいて計算されている。 租税および社会保険料 年金受給者が支払い、年金受給権の計算に使用された個人所得税と社会保険料に関する情 報は、次のウェブサイトの国別プロフィールに掲載されている: www.oecd.org/els/social/pensions/PAG。 モデル化に際しては、租税制度と社会保険料は将来も変更されないと仮定されている。こ れは、税額控除または拠出金の上限設定など、「バリュー(額)」変数が平均報酬に合わせ て毎年調整される一方、個人所得税率表および社会保険料率などの「レート(率)」変数は 変更されないことを黙示的に意味している。 被雇用者に関する 2008 年度の一般条項と税務上の取扱いについては OECD の Taxing Wages レポートに掲載されている。どのような支払いが租税とみなされるかなど、当該レ ポートで使用されている慣行的な取り決めを記載している。 参考文献 D’Addio, A., J. Seisdedos および E. R. Whitehouse(2009 年) 「投資リスクと年金:リターン の不確実性の測定」社会、雇用および移民に関する調査報告書 70 号、OECD 出版局(パリ) OECD(2009 年)、課税賃金、OECD 出版局、パリ Queisser, M.および E. R. Whitehouse(2006 年)「ニュートラルそれとも公正? 保険数理概 念と年金制度設計」社会、雇用および移民に関する調査報告書 40 号、OECD 出版局、パリ Whitehouse, E. R.、A. C. D’Addio および A. P. Reilly(2009 年)「投資リスクと年金:個人 の退職所得と政府予算に対する影響」社会、雇用および移民に関する調査報告書 87 号、 OECD 出版局、パリ 24 要旨 総所得代替率は、現役時代の報酬に対する定年退職後の年金水準を表している。平均的 な所得層の OECD 加盟 34 ヵ国の平均的な総所得代替率は 57%である。しかし国別では大 きな格差がある。所得代替率が低いのは、アイルランド、日本、メキシコおよび英国で、 今日から勤務を開始した人の将来の所得代替率は 35%にも満たない。一方、最も高いの はアイスランドとギリシャで、所得代替率は 95%を上回っている。その他の国で所得代 替率の予測を高い水準(70%から 90%)に設定しているのは、オーストリア、デンマー ク、ハンガリー、ルクセンブルク、オランダおよびスペインである。 大半の OECD 加盟国は平均的な所得層よりも所得代替率を高くすることにより低所得層 を老後の貧困から保護している。例えば、平均的な所得層の所得代替率が 57%であるのに 対し、平均所得の半分しか稼いでいない被雇用者の平均所得代替率は 72%を上回っている。 しかし、次の 7 ヵ国では平均的な所得層と平均所得の半分程度の被雇用者の所得代替率は 同じである:オーストリア、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、ポーランド、ス ロバキア共和国およびスペイン。 低所得層に現役時代の報酬を上回る年金を支払っているのは、アイスランド(所得代替率 は 145%)、デンマーク(同 121%)およびイスラエル(同 100%)の 3 ヵ国である。一方、 所得代替率が低いのはドイツと日本で、それぞれ 42%と 48%にすぎない。カナダおよびニ ュージーランドなど、一部の国では平均的な所得層に対する給付は比較的少ないものの、 低所得層に対してはレンジの中間に近い所得代替率を設定している。 OECD 加盟 34 ヵ国の平均では、平均所得の 1.5 倍に相当する被雇用者(本稿では「高所 得被雇用者」という)の総所得代替率は 52%で、平均的な所得層の 57%を若干下回ってい る。高所得層に関しては国別の格差が広がっている。所得代替率が 80%を上回っているの は、ギリシャ、アイスランド、ルクセンブルク、オランダおよびスペインの 5 ヵ国である。 逆に、所得代替率を低めに設定しているのはアイルランド、ニュージーランド(公的年金 は定額給付)および英国で、所得代替率は 26%にも満たない。 報酬の中央値(被雇用者の半数がこれを上回り、半数の被雇用者がこれを下回る水準)で は、OECD 加盟 34 ヵ国の総所得代替率の平均は 60.6%である。全体として、平均(算術平 均)的な給与水準での総所得代替率とほとんど差がない。 (報酬の中央値は平均報酬の 75% から 90%である。「報酬:平均と分布」に関する指標については第 II.部 5 章を参照)。 次の 5 ヵ国では、 (女性の年金受給年齢が男性より若い年齢に設定されているため)女性の 年金の総所得代替率は男性と異なっている:チリ、イスラエル、イタリア、ポーランドお よびスイス。性別による格差が大きいのはチリ、イタリアおよびポーランドで、女性の年 金の所得代替率は男性の 3 分の 1 前後である。イスラエルとスイスでも女性の所得代替率 は男性より低いが、男性との格差は上述の 3 ヵ国よりもはるかに小さい。オーストラリア とメキシコでも女性の所得代替率は低いが、これは定年の相違によるものではなく、年金 25 給付率が高いためである。 非 OECD 加盟国に関しては、所得代替率の計算結果に大きな格差があり、南アフリカと インドネシアでは平均的な所得層で 15%に満たないが、サウジアラビアでは 100%になっ ている。平均的な所得層および高所得層に関しては、EU 加盟 27 ヵ国の平均が OECD 加盟 34 ヵ国の平均を大幅に上回っている。 定義および測定値 高齢者の年金所得代替率は、定年退職前の主な収入源であった給与所得に代わり、年金シ ステムからどの程度の退職所得が給付されているかを測定したものである。総所得代替率 は総年金受給額を退職前の総報酬で除したものと定義されている。 所得代替率は(定年退職直前の)最終報酬に対する年金の比率で表示されることが多い。 しかし、本稿では年金給付を個人の生涯平均報酬(経済全体での報酬の伸びに合わせて再 評価されている)に対する比率で表示している。この基本的な前提に基づくと、被雇用者 は現役時代を通して経済全体の平均報酬に対して同じ比率の報酬を得るとされている。こ の場合、再評価された生涯平均報酬と個人の最終報酬は同額になる。被雇用者が年齢を経 るにつれて報酬分布で上に移動すると、定年退職直前の報酬は生涯平均報酬を上回り、個 人の最終報酬に基づいて計算された所得代替率は低くなる。 26 年金の報酬別総所得代替率 個人報酬、男性 (カッコ内:男性と異なる場合の女性の数値) の平均報酬に対する倍数 報酬の 中央値 0.5 1 52.6 (50.1) 73.3 (70.8) 47.3 (44.8) 報酬の 中央値 1.5 0.5 1 1.5 OECD 加盟国(続き) OECD 加盟国 オーストラリア 個人報酬、男性 (カッコ内:男性と異なる場合の女性の数値) の平均報酬に対する倍数 38.6 (36.1) ノルウェー 52.9 63.4 53.1 41.7 オーストリア 76.6 76.6 76.6 72.3 ポーランド 59.0 (43.2) 59.0 (45.3) 59.0 (43.2) 59.0 (43.2) ベルギー 42.6 60.1 42.0 32.7 ポルトガル 54.4 63.3 53.9 53.1 カナダ 48.5 76.6 44.4 29.6 スロバキア共和国 57.5 57.5 57.5 57.5 チリ 48.4 (37.5) 60.0 (49.2) 44.9 (34) 41.8 (28.9) スロベニア 62.4 64.3 62.4 62.4 チェコ共和国 57.3 80.2 50.2 37.4 スペイン 81.2 81.2 81.2 81.2 デンマーク 84.7 120.6 79.7 66.1 スウェーデン 53.8 68.3 53.8 68.7 エストニア 50.9 60.2 48.0 44.0 スイス 59.3 (58.5) 65.2 (64.7) 57.9 (57.1) 40.9 (40.3) フィンランド 57.8 66.4 57.8 57.8 トルコ 69.5 76.4 64.5 64.5 フランス 49.1 55.9 49.1 41.3 英国 37.0 53.8 31.9 22.6 ドイツ 42.0 42.0 42.0 42.0 米国 42.3 51.7 39.4 35.3 ギリシャ 95.7 95.7 95.7 95.7 OECD 加盟 34 ヵ国 60.6 72.1 57.3 52.0 75.8 75.8 75.8 75.8 アイスランド 109.1 144.9 96.9 87.0 主要非 OECD 加盟国 アイルランド 34.9 57.9 29.0 19.3 アルゼンチン 81.1 (73.8) 90.7 (83.4) 78.1 (70.8) 73.9 (66.6) イスラエル 85.3 (75) 100.1 (89.9) 69.6 (61.2) 46.4 (40.8) ブラジル 85.9 85.9 イタリア 64.5 (50.6) 64.5 (50.6) 64.5 (50.6) 64.5 (50.6) 中国 82.5 (65.1) 97.9 (78.5) 77.9 (61.0) 日本 36.3 47.9 34.5 30.0 インド 72.4 (68.4) 95.2 (90.9) 65.2 (61.4) 55.0 (51.4) 韓国 46.9 64.1 42.1 31.9 インドネシア 14.1 (12.4) 14.1 (12.4) 14.1 (12.4) 14.1 (12.4) ルクセンブルク 90.3 97.9 87.4 83.8 ロシア連邦 65.1 (57.9) 73.0 (65.9) 62.7 (55.5) 59.2 (52.1) メキシコ 46.3 (46.3) 57.5 (57.5) 30.9 (28.7) 29.6 (26.4) サウジアラビア オランダ 89.1 93.0 88.1 86.5 南アフリカ 13.1 ニュージーランド 47.8 77.5 38.7 25.8 EU 加盟 27 ヵ国 62.9 (61.0) 70.1 (68.2) 61.6 (59.7) ハンガリー 85.9 85.9 71.2 (55.2) 100.0 (87.5) 100.0 (87.5) 100.0 (87.5) 100.0 (87.5) 21.2 10.6 7.1 58.3 (56.4) 出典:OECD 年金モデル http://dx.doi.org/10.1787/888932370835 年金の総所得代替率:平均的な所得層 サウジアラビア アイスランド ギリシャ オランダ ルクセンブルク ブラジル スペイン デンマーク アルゼンチン 中国 オーストリア ハンガリー イスラエル インド トルコ イタリア ロシア スロベニア ポーランド スイス フィンランド スロバキア共和国 ポルトガル スウェーデン ノルウェー チェコ共和国 フランス エストニア オーストラリア チリ カナダ 韓国 ドイツ ベルギー 米国 ニュージーランド 日本 英国 メキシコ アイルランド インドネシア 南アフリカ O E C D 加 盟 34 ヵ 国 出典:OECD 年金モデル http://dx.doi.org/10.1787/888932370835 27 年金の総所得代替率:低所得層および高所得層 低所得層 高所得層 アイスランド デンマーク イスラエル サウジアラビア ルクセンブルク 中国 ギリシャ インド オランダ アルゼンチン ブラジル スペイン チェコ共和国 ニュージーランド カナダ オーストリア トルコ ハンガリー オーストラリア ロシア スウェーデン フィンランド スイス イタリア スロベニア 韓国 ノルウェー ポルトガル エストニア ベルギー チリ ポーランド アイルランド スロバキア共和国 メキシコ フランス 英国 米国 日本 ドイツ 南アフリカ インドネシア O E C D 加 盟 34 ヵ 国 出典:OECD 年金モデル http://dx.doi.org/10.1787/888932370835 要旨 私的年金が高齢者に果たしている役割は大きく、かつ重要性を増している。これは公的 セクターと民間セクターを区分した年金の総所得代替率の計算で示される。平均的な所 得層の OECD 加盟国の平均所得代替率は公的年金のみでは 42%である。これに対し、強 制加入型私的年金を含めると 57%である。一般的なルールに基づいて任意加入型私的年 金を加算すると、平均的な所得層の平均所得代替率は 64%である。 OECD 加盟国のうち、強制加入型年金受給権の計算に公的年金しか含めていない 12 ヵ国 に関しては、平均的な所得層の平均所得代替率は 64%である。公的年金と強制加入型私的 年金の支給データを利用している OECD14 ヵ国の平均所得代替率は 62%である。OECD 加 盟 34 ヵ国全部の平均所得代替率も、公的年金、強制加入型私的年金および任意加入型私的 年金を含めると 64%である。 これは、種類の異なる年金相互の代替を示している。オーストラリア、デンマーク、アイ スランドおよびイスラエルでは公的年金プログラムの対象が極めて限定されているため、 中間所得層と高所得層に対する公的年金の極めて低い所得代替率に強制加入型私的年金が 加算されている。チリ、ハンガリー、メキシコ、ポーランド、スロバキア共和国およびス ウェーデンでは、代替が直接的で、年金改革により公的年金の給付の一部が強制加入型私 的年金に切り替えられている。カナダ、アイルランド、英国および米国では、以前から公 的年金の給付額が比較的低い水準に抑えられており、任意加入型の年金が普及してきた。 主要非 OECD 加盟国の中で強制加入型の公的年金のみを有しているのはアルゼンチン、 ブラジルおよびサウジアラビアの 3 ヵ国である。インド、ロシア連邦および南アフリカの 3 ヵ国には任意加入型私的年金があり、南アフリカでは資産調査があるために平均的な所 28 得層および高所得層には公的年金が支給されていない。インドネシアのシステムは強制加 入型の私的年金のみで、公的な年金制度はない。 強制加入型私的年金 一つ目のグループの 14 ヵ国では、強制加入型私的年金または私的年金がほぼ完全に普及 しているため、 「準強制加入型年金」と記載されている(デンマーク、オランダおよびスウ ェーデン)。 アイスランド、オランダおよびスイスでは、私的年金は確定給付型であるが、それ以外の 国は確定拠出型である。14 ヵ国のうち 7 ヵ国では、平均的な所得層の強制加入型私的年金 の所得代替率が 22%から 32%のレンジ内に収まっている。しかし、デンマーク、アイスラ ンド、イスラエルおよびオランダの所得代替率はこのレンジをはるかに上回っている一方、 ノルウェーではこのレンジを大きく下回っている。 7 ヵ国では、各国平均の 50%から 150%に相当する報酬の被雇用者の所得代替率は同じで ある。しかし、一部の国では公的年金の上限を上回る報酬をカバーする私的年金が設定さ れている。チリ、オランダおよびノルウェーでは私的年金の所得代替率の高さがレンジ全 体での報酬の伸びに伴って増加する理由になっている。またスウェーデンで平均報酬の 150%を得ている被雇用者の所得代替率がはるかに高い理由にもなっている。 スイスのパターンは複雑である。スイスでも、公的年金給付を考慮すると、低所得層の所 得代替率は低くなっている。しかし企業年金の対象となる報酬の上限は比較的低くなって いる。 任意加入型私的年金 任意加入型私的年金が普及し、被雇用者の 40%から 65%が加入している 9 ヵ国の所得代 替率が示されている(「私的年金のカバレッジ」に関する指標を参照)。任意加入型私的年 金に加入している被雇用者は就業人生を通して当該年金制度に加入すると仮定されている。 モデル化された制度は第 III 部の「国別プロフィール」に記載されている。9 ヵ国のすべ てで確定拠出年金がモデル化されている。 一般的に、確定拠出年金制度は報酬にかかわらず一定の代替率で支給される。(報酬別の 実際の拠出率に関するデータは大半の国で入手できないため、様々な所得レンジの全体で 平均的または代表的な料率が仮定されている。 )例外はベルギーで、税制上の優遇措置を受 けられる給付算定用報酬の上限が設定されている。ドイツもこのカテゴリーに該当するが、 上限は報酬レンジの 150%をわずかに超えた水準に設定されている。ノルウェーでは、強 制加入型の確定拠出年金制度と同じく、私的年金が公的年金給付の一部を代替する仕組み になっているため、所得代替率は報酬水準に合わせて上昇している。 29 公的年金、強制加入型私的年金および任意加入型私的年金の総所得代替率 個人報酬に対する比率 公的年金 強制加入型私的年金 0.5 1 1.5 0.5 1 1.5 37.9 76.6 60.1 61.2 18.8 80.2 64.7 37.7 66.4 55.9 42.0 95.7 44.4 63.0 57.9 38.9 64.5 47.9 64.1 97.9 30.5 58.5 77.5 57.7 28.7 63.3 26.0 64.3 81.2 45.6 52.3 76.4 53.8 51.7 57.2 11.8 76.6 42.0 38.9 3.2 50.2 28.9 25.5 57.8 49.1 42.0 95.7 44.4 15.0 29.0 19.4 64.5 34.5 42.1 87.4 4.0 29.2 38.7 46.1 28.7 53.9 26.0 62.4 81.2 31.1 34.5 64.5 31.9 39.4 42.1 3.2 72.3 32.7 25.9 0.0 37.4 17.0 21.5 57.8 41.3 42.0 95.7 44.4 5.1 19.3 13.0 64.5 30.0 31.9 83.8 2.7 19.5 25.8 34.2 28.7 53.1 26.0 62.4 81.2 22.8 23.7 64.5 22.6 35.3 36.5 35.4 35.4 35.4 主要非 OECD 加盟国 アルゼンチン 90.7 85.9 ブラジル 97.9 中国 95.2 インド インドネシア 14.1 35.0 ロシア連邦 100.0 サウジアラビア 15.1 南アフリカ 58.3 EU27 ヵ国 78.1 85.9 77.9 65.2 14.1 35.0 100.0 0.0 49.0 73.9 85.9 71.2 55.0 14.1 35.0 100.0 0.0 44.6 OECD 加盟国 オーストラリア オーストリア ベルギー カナダ チリ チェコ共和国 デンマーク エストニア フィンランド フランス ドイツ ギリシャ ハンガリー アイスランド アイルランド イスラエル イタリア 日本 韓国 ルクセンブルク メキシコ オランダ ニュージーランド ノルウェー ポーランド ポルトガル スロバキア共和国 スロベニア スペイン スウェーデン スイス トルコ 英国 米国 OECD 加盟 34 ヵ国 41.3 41.7 41.8 55.9 22.5 50.7 22.5 49.0 22.5 31.4 81.9 31.4 81.9 31.4 81.9 61.3 50.2 33.4 26.9 34.6 26.9 58.9 26.9 67.0 5.7 30.2 7.0 30.2 7.5 30.2 31.6 31.6 31.6 22.7 12.8 22.7 23.4 45.9 17.1 17.3 17.3 任意加入型 確定拠出年金 0.5 1 1.5 15.6 30.8 15.6 30.8 12.3 30.8 11.3 11.3 11.3 16.9 16.9 16.9 37.6 37.6 37.6 14.6 8.6 14.6 12.0 14.6 17.1 36.7 38.8 36.7 38.8 36.7 38.8 17.3 33.1 33.1 33.1 強制加入型の合計 0.5 1 1.5 73.3 76.6 60.1 61.2 60.0 80.2 120.6 60.2 66.4 55.9 42.0 95.7 75.8 144.9 57.9 100.1 64.5 47.9 64.1 97.9 57.5 93.0 77.5 63.4 59.0 63.3 57.5 64.3 81.2 68.3 65.2 76.4 53.8 51.7 71.7 47.3 76.6 42.0 38.9 44.9 50.2 79.7 48.0 57.8 49.1 42.0 95.7 75.8 96.9 29.0 69.6 64.5 34.5 42.1 87.4 30.9 88.1 38.7 53.1 59.0 53.9 57.5 62.4 81.2 53.8 57.9 64.5 31.9 39.4 57.2 38.6 72.3 32.7 25.9 41.8 37.4 66.1 44.0 57.8 41.3 42.0 95.7 75.8 87.0 19.3 46.4 64.5 30.0 31.9 83.8 29.6 86.5 25.8 41.7 59.0 53.1 57.5 62.4 81.2 68.7 40.9 64.5 22.6 35.3 51.9 90.7 85.9 97.9 95.2 14.1 52.3 100.0 15.1 70.1 78.1 85.9 77.9 65.2 14.1 52.3 100.0 0.0 61.6 73.9 85.9 71.2 55.0 14.1 52.3 100.0 0.0 58.3 任意加入型を含めた 合計 0.5 1 1.5 75.7 92.0 57.6 69.7 45.0 56.7 91.5 61.5 48.6 59.0 59.0 59.0 95.5 66.5 56.9 92.1 72.0 53.4 65.0 40.5 58.8 90.5 90.5 84.3 68.6 78.2 64.4 59.3 74.1 55.4 95.2 65.2 55.0 35.0 35.0 35.0 48.2 33.1 33.1 DC=確定拠出 出典:OECD 年金モデル http://dx.doi.org/10.1787/888932372355 30 要旨 個人税制は高齢者の支援で重要な役割を果たしている。年金受給者は社会保険料を支払 わないことが多い。個人所得税には累進性があり、年金受給権は定年退職前の報酬を下 回るのが通常である。そのため、通常は、年金所得に対する平均的な税率が勤労所得に 対する税率を下回る。さらに、大半の所得税制は高齢者に対して、年金所得に対する追 加の減免措置または年金受給者に対する税額控除のいずれかの優遇措置を設けている。 OECD 加盟国の半分強(34 ヵ国中 18 ヵ国)が個人所得税において基本的な追加の救済措 置を高齢者に提供している。一般的には追加の減免措置または税額控除という形式で行わ れる。カナダや英国など、多くの場合には所得が高くなるほど高齢者に対する追加の救済 措置が段階的に縮小されている。 相当数の国で特定の退職所得源に対する税負担の軽減措置が実施されている。12 の OECD 加盟国では、公的年金に対する所得税の全額または一部のいずれかに対して減免措置が適 用される。例えば、米国では年金受給者の所得総額によって異なるものの、公的年金(社 会保障給付)の 15%から 50%に対する課税が免除されている。他の 4 ヵ国では私的年金所 得に対する軽減措置がある。例えばオーストラリアでは課税済みの年金拠出と投資リター ンに由来する給付は、60 歳以上での支給時には非課税になっている。(そのため、この制 度は強制加入型確定拠出年金と当該年金に対する任意拠出に適用されている。) 全体的には、24 の OECD 加盟国では、それぞれの個人所得税において高齢者または年金 所得に対して何らかの減免措置が実施されている。年金および年金受給者を就労年齢の者 と同じように取り扱っているのは 10 ヵ国にすぎない。 オーストラリアとニュージーランドを除くほぼすべての OECD 加盟国が被雇用者に対し て従業員社会保険料の拠出を課している。オーストラリアとニュージーランドに加え、17 ヵ国では年金受給者に社会保険料の拠出を課していない。定年退職者に社会保険料の拠出 を課している 15 ヵ国の拠出率は被雇用者に請求される料率をつねに下回っている。一般的 に、高齢者は(明白な理由から)年金または失業保険に拠出しない。しかし、年金受給者 は健康保険または長期介護保険の支払義務を負うほか、場合によっては広範な給付を賄う ために「連帯」拠出を義務付けられる場合がある。 経験的調査結果 図表は、被雇用者と年金受給者が租税および拠出金として支払った金額の所得に対する比 率を示している。 まず年金受給者に関しては、(上述の「年金の総所得代替率」に関する指標で記載されて いるとおり)平均的な所得層の定年退職後の所得代替率で租税として支払った金額の所得 に対する比率によって国ごとにランクされている。OECD に加盟している 5 ヵ国と OECD に加盟していない主要 5 ヵ国では、年金受給者は定年退職後に所得税を支払う必要がない。 スロバキア共和国およびトルコなど、一部の事例では年金が課税されないためである。ア 31 イルランドなど、それ以外の国では、年金所得が高齢者に適用される基礎的な所得税課税 限度額を下回っているためである。平均的な所得層における総所得代替率が適用される年 金受給者は租税および拠出金として所得の 11.8%を支払う。 図表の他の 2 つのバーは、報酬と年金に関する租税と拠出金に対する取扱いの相違に伴う 影響を直接表示している。長い方のバーは、平均的な報酬の被雇用者が支払った租税と拠 出金の金額を表している。OECD 加盟国の平均は 26.4%で、OECD に加盟していない主要 国の平均は 12.8%である。 真ん中のバーは、年金受給者が同額の所得(すなわち、年金が平均報酬と同額である)に 対して支払う租税の金額を表している。OECD 加盟国の平均は 18.2%で、同じ水準の所得 の被雇用者が支払った比率を約 8.2 ポイント下回っている。 平均報酬と同額の所得の年金受給者に対する 18.2%と平均的な所得層における総所得代 替率を乗じた額に相当する所得に対して租税および拠出金として支払われた 11.8%との差 異は、所得税制の累進性の影響を示している。 参考文献 Keenay, G.および E. R. Whitehouse(2003 年) 「高齢者の支援における個人得税制の役割:15 ヵ国の調査結果」財政研究第 24 巻、第 1 号、1-21 ページ。 個人所得税および社会保険料の拠出における年金と年金受給者の取扱い 追加の 租税 OECD 加盟国 オーストラリア オーストリア ベルギー カナダ チリ チェコ共和国 デンマーク エストニア フィンランド フランス ドイツ ギリシャ ハンガリー アイスランド アイルランド イスラエル イタリア 日本 韓国 ルクセンブルク メキシコ オランダ 年金所得に対する 税負担の全額免除 または一部軽減 税負担の 軽減/税額 控除 公的 年金 私的 年金 社会 保障 拠出 追加の 租税 年金 税負担の 軽減/税額 控除 公的 年金 なし 低い 低い なし なし なし なし なし 低い 低い 低い 低い なし なし 低い 低い なし 低い なし 低い なし 低い OECD 加盟国(続き) ニュージーランド ノルウェー ポーランド ポルトガル スロバキア共和国 スロベニア スペイン スウェーデン スイス トルコ 英国 米国 主要非 OECD 加盟国 アルゼンチン ブラジル 中国 インド インドネシア ロシア連邦 サウジアラビア 南アフリカ 年金所得に対する 税負担の全額免除 または一部軽減 なし なし 年金 なし 低い 低い なし なし 低い なし なし 低い なし なし なし 私的 年金 社会 保障 拠出 なし なし 低い 低い なし 出典:国別プロフィールは次のサイトに掲載されている:www.oecd.org/els/social/pensions/PAG http://dx.doi.org/10.1787/888932370854 32 年金受給者および被雇用者が支払う個人所得税と社会保険料 年金受給者(平均的な所得層の総所得代替率で試算) 被雇用者(平均所得で試算) 年金受給者(平均報酬と同額の所得で試算) イスラエル エストニア 米国 オーストラリア 英国 アルゼンチン チェコ共和国 中国 カナダ 韓国 ポルトガル アイルランド 南アフリカ インドネシア トルコ スロバキア共和国 ハンガリー ロシア インド ブラジル メキシコ デンマーク オランダ スウェーデン アイスランド オーストリア ルクセンブルク フィンランド ドイツ ニュージーランド イタリア ポーランド ノルウェー スイス スペイン チリ サウジアラビア ギリシャ ベルギー フランス スロベニア 日本 租税および拠出金(所得に対する比率%) 租税および拠出金(所得に対する比率%) 出典:OECD 年金モデル OECD 租税モデルと給付モデル http://dx.doi.org/10.1787/888932370854 要旨 平均的な所得層の OECD 加盟国全体の純所得代替率は 69%で、総所得代替率より 12 ポイ ント高くなっている。これは、勤労報酬に対して支払った租税と拠出金が定年退職後の 年金に対して支払った金額を上回っていることを反映している。平均的な所得層の純所 得代替率も 40%以下のメキシコ、アイルランドおよび日本から 100%を大幅に上回るギリ シャまで国によって大きな格差がある。 OECD 加盟国全体の低所得層(平均報酬の 50%)の純所得代替率の平均は 83%である。 高所得層(平均報酬の 150%)の純所得代替率の平均は 63%で、低所得層より低くなって いる。総所得代替率と同じく、収入格差は最低給付額や年金受給資格を得られる報酬の 上限など、年金制度の累進的な性格を反映している。 「年金および年金受給者に対する税務上の取扱い」に関する前述の指標は、個人税制と社 会保険制度が高齢者の支援で果たす重要な役割を示している。年金受給者はしばしば社会 保険料を支払わず、また所得税に関し有利な取扱いを受けている。所得税の累進性に加え、 総所得代替率が 100%に満たないことも、年金受給者が支払う所得税が被雇用者より少な いことを意味している。そのため通常は、純所得代替率が総所得代替率を上回っている。 平均的な所得層に関しては、各国の所得代替率のパターンの相違は、総額ベースではなく 純額ベースにみられる。例えば、ドイツとベルギーの年金制度では純所得代替率が総所得 代替率を大きく上回っている。第一の理由は、社会保障拠出に基づく年金所得に対する優 33 遇措置である。第二の理由は、ドイツとベルギーでは他の OECD 加盟国に比べ相対的に所 得代替率が低く、かつ個人所得税の累進性が強いため、定年退職後の年金所得に対して支 払う所得税は就労期間中に支払った所得税よりはるかに少ないことである。ドイツでは年 金所得に対する税制上の極めて有利な取扱いが次第に廃止されつつあるという事実に関わ らず、こうした指摘が当てはまっている。 対照的に、ニュージーランドとスウェーデンは純額ベースでは図表の下の方に位置してい る。ニュージーランドとスウェーデンでは年金所得と勤労報酬に対する税率が極めて類似 していることがその理由である(ただし、スウェーデンでは 2009 年に年金受給者に対する 税負担の軽減措置が再び導入された)。 低所得層に関しては、純所得代替率に対する租税と拠出金の効果は報酬水準の高い被雇用 者に対する効果より小さくなっている。一般的に、低所得の被雇用者が支払う租税と拠出 金は平均的な所得層より少ないことがその理由である。低所得層の退職所得は個人所得税 における標準的な税負担の軽減措置(税負担の軽減、税額控除など)を受けられる水準を 下回っている場合が多い。そのため、低所得層は個人所得税において年金または年金受給 者に認められている追加の減免措置の恩恵を完全に享受できないことが多い。 低所得層の総所得代替率と純所得代替率の差は平均 10 パーセント・ポイントである。ベ ルギーとスロベニアでは低所得層の純額ベースの所得代替率が総額ベースよりはるかに高 くなっている。 平均の 150%に相当する勤労報酬の被雇用者の純所得代替率はギリシャが最も高い。当然 のことながら、定額年金システムを採用しているニュージーランドとアイルランドの所得 代替率が最も低い。ニュージーランドとアイルランドでは平均の 150%に相当する勤労報 酬の被雇用者が受け取る年金は現役時代の純報酬の 3 分の 1 にも満たない。 非 OECD 加盟国の純所得代替率に関しては、報酬レンジの全体で各国内の格差が極めて わずかである。しかし、南アフリカの平均的な所得層の 12%からサウジアラビアの 108% まで、国によってかなり大きな格差がある。総所得代替率と同じく、EU27 ヵ国の平均的 な所得層の純所得代替率は平均で 74%と、OECD 加盟 34 ヵ国の数字をはるかに上回って いる。 定義および測定値 純所得代替率は、被雇用者と年金受給者が支払う個人所得税と社会保険料を考慮に入れた 個人の純年金所得を定年退職前の所得で除した数値と定義されている。それ以外の点に関 しては、純所得代替率の定義と測定値は総所得代替率と同じである(前出の指標を参照)。 年金受給者に適用される各国の税制ルールの詳細は次のサイトに掲載されている: www.oecd.org/els/social/pensions/PAG。 34 年金の報酬別純所得代替率 個人報酬、男性 (カッコ内:男性と異なる場合の女性の数値) の平均報酬に対する倍数 報酬の 中央値 0.5 1 報酬の 中央値 1.5 OECD 加盟国 オーストラリア 個人報酬、男性 (カッコ内:男性と異なる場合の女性の数値) の平均報酬に対する倍数 0.5 1 1.5 OECD 加盟国(続き) 65.9 (63.2) 82.5 (79.7) 58.9 (56.9) 47.1 (45.3) ノルウェー 62.3 81.7 62.2 51.4 オーストリア 89.9 91.3 89.9 84.6 ポーランド 68.2 (50.7) 68.1 (53.4) 68.2 (50.6) 68.3 (50.4) ベルギー 66.0 81.8 64.1 52.0 ポルトガル 65.5 73.4 69.2 70.5 スロバキア共和国 カナダ 61.5 88.7 57.3 39.7 72.9 68.3 74.5 76.7 チリ 66.0 (52.4) 74.4 (61.7) 64.3 (49.9) 62.7 (46.3) スロベニア 90.2 82.5 85.4 86.2 チェコ共和国 72.5 94.0 64.4 48.9 スペイン 84.5 82.3 84.9 85.4 デンマーク 94.5 131.9 89.8 80.8 スウェーデン 53.3 67.0 53.6 72.6 エストニア 63.1 73.4 58.3 51.4 スイス 66.4 (65.5) フィンランド 64.8 72.0 65.2 64.4 トルコ 98.0 107.3 フランス 60.8 69.4 60.4 53.1 英国 48.0 67.5 41.5 30.5 ドイツ 58.4 55.6 57.9 57.2 米国 53.4 63.8 50.0 46.6 110.3 113.6 111.2 106.8 OECD 加盟 34 ヵ国 72.0 82.8 68.8 63.4 99.5 96.3 106.0 103.2 アイスランド 111.7 139.0 101.1 91.7 主要非 OECD 加盟国 アイルランド 40.8 60.8 35.8 26.8 アルゼンチン 94.7 (86.2) 106.0 (97.5) 91.3 (82.8) 87.8 (79.1) イスラエル 92.2 (82.3) 103.0 (93.6) 78.2 (69.8) 56.7 (50.6) ブラジル 96.6 96.6 98.9 イタリア 76.2 (63) 78.2 (63.4) 75.3 (62.1) 76.7 (62.1) 中国 90.6 (71.5) 106.4 (85.3) 86.8 (69.2) 80.1 (64.7) 日本 41.4 52.7 39.7 34.9 インド 82.3 (77.8) 108.2 (103.3) 74.1 (69.8) 韓国 51.8 69.8 47.5 37.3 インドネシア 14.8 (13.1) 14.7 (13) 14.9 (13.2) 14.9 (13.2) ルクセンブルク 96.2 103.1 94.0 90.9 ロシア連邦 74.8 (66.6) 83.9 (75.7) 72.0 (63.8) 68.0 (59.8) ギリシャ ハンガリー メキシコ オランダ ニュージーランド 46.9 (46.9) 58.2 (58.2) 78.6 (78.1) 96.6 64.1 (63.2) 46.2 (45.5) 93.1 96.0 63.9 (58.8) 107.4 (95.1) 107.2 (94.8) 107.6 (95.2) 108.0 (95.7) 32.2 (29.9) 33.3 (29.7) サウジアラビア 103.3 104.5 99.8 96.4 南アフリカ 14.4 22.0 11.9 49.6 79.4 41.5 29.4 EU27 ヵ国 75.7 (73.6) 81.8 (79.7) 74.2 (72.1) 8.3 70.6 (68.4) 出典:OECD 年金モデル http://dx.doi.org/10.1787/888932370873 年金の純所得代替率:平均的な所得層 ギリシャ サウジアラビア ハンガリー アイスランド オランダ ブラジル ルクセンブルク トルコ アルゼンチン オーストリア デンマーク 中国 スロベニア スペイン イスラエル イタリア スロバキア インド ロシア ポルトガル ポーランド フィンランド チェコ チリ スイス ベルギー ノルウェー フランス オーストラリア エストニア ドイツ カナダ スウェーデン 米国 韓国 ニュージーランド 英国 日本 アイルランド メキシコ インドネシア 南アフリカ O E C D 加 盟 34 ヵ 国 出典:OECD 年金モデル http://dx.doi.org/10.1787/888932370873 35 年金の純所得代替率:低所得層および高所得層 低所得層 高所得層 デンマーク ギリシャ インド トルコ サウジアラビア 中国 アルゼンチン オランダ ルクセンブルク イスラエル ブラジル ハンガリー チェコ オーストリア カナダ ロシア スロベニア オーストラリア スペイン ベルギー ノルウェー ニュージーランド スイス イタリア チリ エストニア ポルトガル フィンランド フランス 韓国 スロバキア ポーランド 英国 スウェーデン 米国 アイルランド メキシコ ドイツ 日本 南アフリカ インドネシア O E C D 加 盟 34 ヵ 国 ア イ ス ラ ン ド 出典:OECD 年金モデル http://dx.doi.org/10.1787/888932370873 要旨 OECD 加盟国の平均的な所得層の純所得代替率の平均は公的年金のみでは 50%、強制加 入型私的年金を含めると 68%である。一般的なルールに基づいて任意加入型私的年金を 含めると平均的な所得層の純所得代替率の平均は 77%である。 個人税制は高齢者の支援で重要な役割を果たしている。年金受給者は社会保険料を支払わ ないことが多いほか、個人所得税には累進性があり、年金受給権は定年退職前の勤労報酬 を下回るのが通常であるため、年金所得に対する平均的な税率は勤労報酬に対する税率を 下回るのが一般的である。さらに、大半の所得税制は高齢者に対する追加の税負担軽減措 置や税額控除を与えることにより年金所得または年金受給者のいずれかに対する優遇措置 を認めている。そのため、通常は純所得代替率が総所得代替率を上回っている。 公的年金のみを計算に含めている 12 の OECD 加盟国の平均的な所得層の所得代替率の平 均は 76%である。公的年金と強制加入型私的年金をデータに含めている 14 の OECD 加盟 国の所得代替率の平均は 72%である。公的年金、強制加入型私的年金および任意加入型私 的年金を含めた OECD 加盟 34 ヵ国の所得代替率の平均は 75%である。全体的には、純所 得代替率がそれに対応する総所得代替率より 10%から 12%高くなっている。 非 OECD 加盟主要国に関しては国ごとおよび報酬水準により大きな格差がある。このう ち、報酬水準に関する唯一の例外がロシア連邦で、すべての報酬レンジで純所得代替率が 一律になっている。 強制加入型私的年金 最初のグループに属する OECD 加盟 14 ヵ国には強制加入型私的年金またはほぼ全員が加 入している私的年金があり、デンマーク、オランダおよびスウェーデンでは「準強制加入 型」と呼ばれている。 36 アイスランド、オランダおよびスイスの私的年金は確定給付であるが、それ以外の国は確 定拠出である。14 ヵ国のうち 6 ヵ国の平均的な所得層の強制加入型私的年金制度の純所得 代替率は 23%から 41%までの幅がある。しかし、チリ、デンマーク、アイスランド、イス ラエルおよびオランダはこのレンジをはるかに上回っている一方、ノルウェーはこのレン ジをはるかに下回っている。 公的年金制度の上限を上回る報酬をカバーする私的年金を有するとともに、それに応じた 税制を実施している一部の国の中で、報酬水準全体で所得代替率が同一の国はない。これ が、チリ、アイスランド、メキシコ、オランダ、ノルウェーおよびスロバキア共和国では 報酬レンジの全体にわたり、報酬に応じて私的年金の所得代替率が上昇する理由になって いる。また、スウェーデンで平均報酬の 150%に相当する被雇用者の所得代替率がはるか に高くなっている理由にもなっている。 スイスのパターンは複雑である。スイスでも公的給付を考慮に入れると低所得層の所得代 替率が低くなっている。しかし、企業年金でカバーすべき報酬の上限は、比較的低い水準 に設定されている。 任意加入型私的年金 任意加入型私的年金が普及し、被雇用者の 40%から 65%が加入している 9 ヵ国の所得代 替率が次ページに示されている(「私的年金のカバレッジ」に関する指標を参照) 。 モデル化された制度は第 III 部の「国別プロフィール」に記載されている。9 ヵ国のすべ てで確定拠出年金としてモデル化されている。 一般的に、確定拠出年金制度の所得代替率は報酬に対して一律になっている。(大半の国 では実際の報酬別拠出率に関するデータを入手できないため、報酬レンジ全体で平均的な レートまたは一般的なレートが前提にされている。)しかし、税務ルールの相違により報酬 レンジ全体では純所得代替率が異なるものの、一般的には報酬の増加につれて所得代替率 が上昇する。例外は、税制上の優遇措置を受ける給付算定用報酬に上限が設定されている ベルギーである。ドイツもこのカテゴリーに該当するが、報酬レンジの 150%をわずかに 上回る水準に上限が設定されている。 37 公的年金制度、強制加入型私的年金制度および任意加入型私的年金制度の純所得代替率 個人報酬に対する比率 公的年金 強制加入型私的年金 0.5 1 1.5 0.5 1 1.5 OECD 加盟国 オーストラリア オーストリア ベルギー カナダ チリ チェコ共和国 デンマーク エストニア フィンランド フランス ドイツ ギリシャ ハンガリー アイスランド アイルランド イスラエル イタリア 日本 韓国 ルクセンブルク メキシコ オランダ ニュージーランド ノルウェー ポーランド ポルトガル スロバキア共和国 スロベニア スペイン スウェーデン スイス トルコ 英国 米国 OECD 加盟 34 ヵ国 42.6 91.3 74.9 70.9 23.2 93.5 70.8 46.0 72.0 69.4 54.8 113.6 56.4 60.5 60.8 40.0 72.0 52.7 69.8 103.1 30.9 65.6 78.9 66.3 33.2 73.4 30.8 82.5 82.3 44.8 63.2 107.3 62.0 61.0 65.3 14.8 89.9 52.1 50.4 4.6 62.2 32.6 31.0 65.2 60.4 56.0 111.2 62.1 15.7 31.3 21.9 71.7 39.7 47.5 94.0 4.2 33.1 41.1 52.4 33.2 69.2 33.6 85.4 84.9 31.0 38.2 93.1 37.4 47.3 50.0 3.9 84.6 42.5 35.0 0.0 47.0 20.8 25.1 64.4 53.1 55.6 106.8 60.5 5.3 22.5 15.8 71.8 34.9 37.3 90.9 3.0 21.7 29.0 40.4 33.3 70.5 34.6 86.2 85.4 24.1 26.8 96.0 26.8 44.1 44.1 39.9 44.1 43.2 主要非 OECD 加盟国 アルゼンチン ブラジル 中国 インド インドネシア ロシア連邦 サウジアラビア 南アフリカ EU27 ヵ国 106.0 96.6 106.4 108.2 14.7 40.2 107.2 15.7 67.2 91.3 96.6 86.8 74.1 14.9 40.2 107.6 0.0 58.1 87.8 98.9 80.1 63.9 14.9 40.2 108.0 0.0 53.2 51.1 59.7 62.7 61.1 27.5 57.2 27.3 60.0 26.3 39.9 78.6 43.9 85.4 42.8 86.3 63.0 56.4 40.9 27.3 38.8 28.0 66.7 30.3 74.7 6.6 34.9 8.0 35.0 8.8 35.0 37.4 40.9 42.1 22.3 15.5 22.6 25.9 48.5 19.4 19.9 19.9 任意加入型 確定拠出年金 0.5 1 1.5 19.4 35.7 19.3 39.9 15.9 41.5 13.1 13.9 14.2 22.1 22.6 22.4 39.5 40.7 43.8 14.9 9.8 15.5 13.6 16.4 20.2 42.3 45.8 43.1 46.6 43.6 48.4 19.9 34.3 37.1 39.0 強制加入型の合計 0.5 1 1.5 82.5 91.3 74.9 70.9 74.4 93.5 131.9 73.4 72.0 69.4 54.8 113.6 96.3 139.0 60.8 103.0 72.0 52.7 69.8 103.1 58.2 104.5 78.9 72.9 68.1 73.4 68.3 82.5 82.3 67.0 78.6 107.3 62.0 61.0 81.3 58.9 89.9 52.1 50.4 64.3 62.2 89.8 58.3 65.2 60.4 56.0 111.2 106.0 101.1 31.3 78.2 71.7 39.7 47.5 94.0 32.2 99.8 41.1 60.3 68.2 69.2 74.5 85.4 84.9 53.6 64.1 93.1 37.4 47.3 67.6 47.1 84.6 42.5 35.0 62.7 47.0 80.8 51.4 64.4 53.1 55.6 106.8 103.2 91.7 22.5 56.7 71.8 34.9 37.3 90.9 33.3 96.4 29.0 49.2 68.3 70.5 76.7 86.2 85.4 72.6 46.2 96.0 26.8 44.1 62.4 106.0 96.6 106.4 108.2 14.7 60.1 107.2 15.7 81.1 91.3 96.6 86.8 74.1 14.9 60.1 107.6 0.0 73.2 87.8 98.9 80.1 63.9 14.9 60.1 108.0 0.0 69.6 任意加入型を含めた 合計 0.5 1 1.5 94.3 106.6 71.4 90.3 58.4 76.5 106.7 76.1 61.1 76.9 78.6 78.0 100.3 72.0 66.4 93.9 82.7 56.6 74.0 45.4 69.5 104.3 106.8 96.9 80.5 93.9 77.0 70.3 92.5 68.7 108.2 74.1 63.9 40.2 40.2 40.2 50.0 37.1 39.0 DC=確定拠出 出典:OECD 年金モデル http://dx.doi.org/10.1787/888932372374 38 要旨 本書の年金受給権に関する大半の指標は独身者に関する分析に基づいている。多くの国 では年金制度は事実上「個人化」されており、既婚夫婦の位置付けは同じ報酬水準の独 身者 2 名の位置付けと同じである。ただし、それ以外の国では結婚によって年金受給権 が影響を受けている。 配偶者の有無は 2 つの点で年金受給権に影響を及ぼす。一つ目は、一方の配偶者の過去の 勤務歴と拠出に由来して夫婦の給付が決まる「派生的な」権利である。二つ目は、一部の 給付、特に資力調査付きの給付と基礎的な給付では、夫婦を各々の個人として別々に取り 扱うのではなく、一つの「年金単位」として位置づけて評価することである。 次々ページの表は、5 種類の家族別に計算された年金受給権を示している。最初の 3 種類 の場合は、報酬の合計が一律に各国の平均報酬の 100%とみなされている。まず、こうし た報酬の独身者を、働き手が一人の夫婦と比較し、次は各々同じ水準の報酬を得ている共 働き夫婦と比較している。他の 2 つの種類は、平均報酬の 150%に相当する報酬の独身者 と、平均報酬の 100%および 50%を稼いでいる共働きの夫婦とを比較している。 計算結果は 2006 年当時の変数と年金制度の給付設計を利用して示されている。当局者が (本書の残り部分で利用されている)2008 年当時の変数と給付設計を利用した夫婦の計算 結果をまだ認証できないことがこの理由である。 大半の OECD 加盟国では、独身者に比べ、働き手が一人の夫婦に対する総所得代替率を 高く設定している。ただし、オーストリア、ドイツ、イタリア、ルクセンブルク、スペイ ンおよびトルコはこの例外である。 夫婦のうち就労していない配偶者に採用される政策という点では、国ごとに大きな相違が ある。一部の国では、基礎的な給付が独身者より夫婦の方が高く、夫婦に対する給付は独 身者より高くなっている(ただし、独身者 2 名に対する給付額を下回る)。例えばオランダ では、基礎年金の受給権は事実上オランダでの居住要件のみに依存している。 アイルランドと英国では、自ら基礎年金の全額を受給できる権利を獲得していない配偶者 については配偶者向けの基礎年金により給付が行われている。フランスでは公的年金にお いて配偶者に対する補完的な給付が行われている。 日本と米国では報酬比例公的年金において配偶者向けの給付が行われている。ここでも配 偶者の一人が自ら十分な年金受給権を獲得していない場合に、夫婦に対して比較的高い給 付が行われている。 デンマークで働き手が一人の夫婦に対し平均的な報酬の独身者より高い給付が行われて いる理由は、資力調査付き年金制度によって説明される。平均的な報酬水準でも配偶者の 両方が資力調査付き給付の受給資格を取得する。同じように、ベルギー、フィンランドお よびスウェーデンでは平均的な報酬の独身者には最低保証年金の受給資格は付与されない、 一方で、働き手の一人が平均的な報酬を得ている夫婦は最低保証年金から追加給付を受け 39 取る。 所得代替率が比較的高い国の中で格差が最も小さいのは韓国とフランスで、それぞれ 3.1%と 3.2%である。一方、アイルランドとオランダでは差が 30 ポイント以上拡大する。 メキシコ、ポーランドおよびスロバキア共和国では、働き手が一人の夫婦の年金受給権は 同じ報酬水準の独身者より制限されている。私的年金の年金計算では、独身者に比べ夫婦 の平均余命が長いことから、夫婦に対する給付が引き下げられているためである。 高い給与水準-具体的には報酬が平均の 150%に相当する独身者-と世帯主の報酬が平均 的で、その配偶者の報酬が平均の 50%である夫婦とでは、給付算定用報酬の上限によって 結果が異なることがある。例えば、ドイツでは 150%弱の水準に拠出の上限が設定されて おり、独身者の総所得代替率が低い理由になっている。ドイツと同様、拠出の上限以下の 報酬水準における総所得代替率が一律であるオーストリアについても同じ指摘が当てはま る。 定義および測定値 夫婦の取扱いに関するルールと変数の詳細は 2011 年公表予定の「女性と年金」と題され た OECD 報告書に掲載されている。 40 2006 年当時の変数と給付設計に基づく年金の所得代替率(報酬・独身者・夫婦別) 総所得代替率 (総報酬の合計に対する比率) 世帯主の報酬 (平均報酬に対する比率) 100 100 50 100 純所得代替率 (純報酬の合計に対する比率) 150 100 100 50 100 150 配偶者の報酬 (平均報酬に対する比率) n.a. 0 50 50 n.a. n.a. 0 50 50 n.a. オーストラリア 41.6 57.5 57.5 43.3 33.1 53.1 74.5 68.9 50.8 41.8 オーストリア 80.1 80.1 80.1 80.1 76.4 90.3 90.3 90.5 90.3 86.3 ベルギー 42.0 52.1 58.1 47.4 32.5 63.7 66.9 78.7 63.7 51.7 カナダ 44.5 53.7 53.8 44.1 29.7 57.9 70.0 62.6 51.1 40.0 チェコ共和国 49.7 57.3 79.2 59.6 36.4 64.1 73.8 95.3 64.1 49.4 デンマーク 80.3 97.4 100.9 78.1 67.5 91.3 116.8 114.2 80.8 82.7 フィンランド 56.2 61.3 61.3 56.2 56.2 62.4 77.0 73.1 62.4 63.8 フランス 53.1 56.3 60.8 56.5 48.2 65.4 74.9 75.0 66.7 59.9 ドイツ 43.0 43.0 43.0 43.0 42.6 61.3 75.5 59.2 61.3 60.3 ギリシャ 95.7 115.7 115.7 115.7 95.7 110.8 127.7 133.6 127.7 106.7 ハンガリー 76.9 80.2 80.4 80.2 76.9 105.5 108.0 97.8 108.0 99.2 アイスランド 90.2 114.0 108.3 96.3 87.5 95.1 128.8 110.1 95.1 92.1 アイルランド 34.2 64.4 68.4 45.6 22.8 40.1 75.5 68.4 40.1 30.3 イタリア 67.9 67.9 64.2 65.4 67.9 74.8 73.7 74.8 74.8 77.1 日本 33.9 52.1 47.1 38.3 29.4 38.7 57.9 51.4 38.7 33.9 韓国 42.1 45.2 66.6 51.9 33.6 46.6 50.0 71.4 49.3 38.7 ルクセンブルク 88.1 88.1 99.4 91.9 84.3 96.5 110.4 107.1 96.5 93.5 メキシコ 36.1 29.3 55.3 37.9 34.5 38.0 30.8 56.0 30.8 39.6 オランダ 88.3 118.6 93.4 90.0 86.6 103.2 146.7 105.0 103.2 98.6 ニュージーランド 38.7 58.8 58.8 39.2 25.8 41.1 63.2 61.0 31.6 29.0 ノルウェー 59.3 62.9 55.4 51.5 49.8 69.3 88.7 71.3 59.8 60.6 ポーランド 61.2 60.4 60.4 60.4 61.2 74.9 73.9 73.5 73.9 75.0 ポルトガル 53.9 53.9 54.8 54.2 53.1 69.6 69.6 63.7 69.6 72.0 スロバキア共和国 56.4 55.7 55.7 55.7 56.4 72.7 71.8 65.5 71.8 74.9 スペイン 81.2 81.2 81.2 81.2 81.2 84.7 91.7 82.1 84.7 85.3 スウェーデン 61.5 82.1 70.3 62.6 75.6 64.1 88.0 73.4 61.6 81.2 スイス 58.3 76.1 67.8 59.7 40.5 64.5 101.0 79.9 64.5 44.3 トルコ 86.9 86.9 86.9 86.9 86.9 124.7 124.7 124.7 124.7 127.1 英国 30.8 39.1 50.0 37.2 21.3 40.9 52.3 62.7 40.9 29.2 米国 38.7 57.3 49.8 42.1 34.1 44.8 73.9 57.3 44.2 39.5 OECD 加盟 30 ヵ国 59.0 68.3 69.5 61.7 54.3 70.3 84.3 80.3 69.4 65.5 出典:OECD 年金モデル http://dx.doi.org/10.1787/888932372393 41 要旨 2008 年の金融危機と経済危機の際は、年金問題について考えるときには投資リスクが政 策当局の最大の関心事であった。OECD 加盟国の私的年金基金の資産価値は平均で 24% 減少し、金額では 5.4 兆ドルの損失を出した。しかし、私的年金は退職所得全体の一部に すぎず、退職所得の主要部分は投資リスクの影響をそれほど受けなかったことに留意す ることが重要である。一部の国では資力調査付き年金によって低所得者を投資リスクか ら保護するとともに、税制も退職所得の「自動安定化装置」の役割を果たすことができ る。 投資リスクの測定 投資リスクの規模は次の OECD 加盟 8 ヵ国の過去のデータを利用して分析されている: カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、スウェーデン、英国および米国。この、詳 細な計量経済分析結果を利用して 40 年に及ぶ投資期間について結果の分布と蓋然性のシ ミュレーションを行った。年金基金のポートフォリオに含まれている主要な 2 つの資産(す なわち、株式と国債)を対象にしている。こうした 2 つの資産を均等に分割したポートフ ォリオの分析結果が下の表に示されている。 加工前の分析結果では表に示された数値よりリターンが高くなっている。これらの数値は、 とりわけ管理手数料を反映して下方修正されている(この点に関しては、第 II.部第 6 章「年 金基金の運営費用と手数料」に関する指標を参照)。 投資リスクの水準:年金への影響 リターン分布 10 25 50 75 90 2.5 3.3 4.3 5.3 6.0 26.9 31.9 39.9 50.5 60.0 (パーセンタイル:%) 年間の実質リターン(%) 所得代替率(%) 注:国内株式 50%と自国の国債 50%で構成されたポートフォリオ。所得代替率の計算は 10%の 拠出率と OECD の平均死亡率を前提にしている。 出典:OECD 年金モデル。D’Addio, A. C.、J. Seisdedos および E. R. Whitehouse 共著(2009 年)、 「投資リスクと年金:リターンの不確実性の測定」 、社会、雇用および移民に関する調査結果 報告書、第 70 号、OECD 出版局、パリ。 上の表は、実質ベースで投資リターンが、年率 4.3%を上回るか 4.3%を下回るかが、丁度 50%の確率であることを表している。この数値は本稿の基本的な前提である 3.5%を上回っ ている。約 10%の確率で実質リターンが 2.5%を下回り、または 6%を上回ると予想される。 表では、こうしたリターンによって所得代替率が最低の 27%から最高の 60%まで幅広く変 化することが分かる。 42 実際の投資リスク 次ページの表は、低いリターン、中程度のリターンおよび高いリターン(すなわち、リタ ーン分布の 10 パーセンタイル値、中央値および 90 パーセンタイル値)のそれぞれに分け て総所得代替率と純所得代替率を示している。表の左側の 10 ヵ国では、確定拠出年金が義 務付けられている。右側の 9 ヵ国では任意加入型私的年金が広範に普及している(「私的年 金のカバレッジ」に関する指標を参照)。 投資リスクが退職所得に与える影響は退職所得パッケージの構造によって大きく異なっ てくる。第一に、報酬比例公的年金制度または基礎年金の多くは投資リターンの影響を受 けない。例えば、ハンガリーでは最善のシナリオの確定拠出年金の給付額が最悪のシナリ オの価値の 2.6 倍に相当する(図表も参照)。しかし、全体的な給付は 1.5 倍しか変動して いない。 第二に、資力調査付き給付によって投資リスクの一部を相殺できる。すなわち、確定拠出 年金の運用規模が小さいほど、ターゲット年金プログラムからの給付は多くなる。例えば、 オーストラリアでは最善のシナリオの確定拠出年金の給付額は最悪のシナリオの 2.4 倍に 相当する。資力調査付き給付を含む全体の所得はわずか 1.6 倍の範囲内で変動している。 デンマークでも資力調査付き給付が重要な役割を果たしている。 投資リスクに直面した場合に退職所得の最終的な安定化装置になっているのが税制であ る。一般的には限界税率は平均的な税率より高いため(すなわち、個人所得税には累進性 があるため) 、確定拠出年金の所得の減少に伴って納税義務はそれを上回って減少する。そ の影響が最も大きいのはデンマークである。税引前では、最善のシナリオと最悪のシナリ オにおける年金全体の格差は 1.8 倍である。これに対し、租税を考慮に入れた税引き後で は 1.5 倍になる。ポーランドでも租税の影響は大きいが、ハンガリーでは年金に課税され ないため、退職所得の自動安定化装置がない。 43 年金の投資リターン別の総所得代替率と純所得代替率 強制加入型または準強制加入型の確定拠出年金 総所得代替率 (%) 10 収益率の百分位数 チリ デンマーク エストニア ハンガリー イスラエル メキシコ ポーランド 10 50 90 収益率の百分位数 2.5 4.3 6.0 2.5 4.3 28.2 43.0 67.0 36.4 51.6 その他 14.7 8.8 0.0 19.0 10.6 合計 43.0 51.8 67.0 55.4 62.2 確定拠出 32.6 51.2 82.2 47.4 71.6 104.1 カナダ その他 5.9 0.4 0.0 8.5 合計 38.5 51.6 82.2 55.9 72.1 104.1 確定拠出 39.4 63.0 103.2 45.0 69.6 102.8 チェコ共和国 その他 30.6 27.1 21.1 35.0 29.9 合計 70.0 90.1 124.3 80.0 99.5 123.7 確定拠出 17.9 27.4 42.7 22.2 32.6 48.9 ドイツ その他 25.5 25.5 25.5 31.6 30.4 29.2 0.5 10 6.0 年間の実質リターン(%) 50 90 純所得代替率 (%) 10 50 90 2.5 4.3 6.0 2.5 4.3 6.0 確定拠出 12.2 19.1 30.6 15.5 23.3 35.2 0.0 その他 42.0 42.0 42.0 53.3 51.2 48.3 72.4 合計 54.3 61.2 72.6 68.8 74.5 83.5 確定拠出 24.2 37.8 60.5 31.3 49.0 78.5 その他 38.9 38.9 38.9 50.3 50.4 50.5 合計 63.0 76.7 99.3 81.6 99.4 129.0 確定拠出 8.8 13.8 22.1 11.0 17.0 26.8 その他 50.2 50.2 50.2 62.6 61.8 60.7 合計 59.1 64.1 72.4 73.6 78.8 87.5 確定拠出 13.1 21.0 34.5 17.6 27.8 44.7 その他 42.0 42.0 42.0 56.4 55.7 54.5 72.4 ベルギー 0.0 21.0 合計 43.4 52.9 68.3 53.8 63.1 78.1 確定拠出 24.7 38.6 61.7 35.3 52.2 77.3 アイルランド その他 44.4 44.4 44.4 63.6 60.2 55.7 合計 55.2 63.0 76.5 74.0 83.5 99.2 確定拠出 29.5 46.1 73.8 34.1 48.5 72.9 その他 29.0 29.0 29.0 33.5 30.5 28.6 合計 合計 69.1 83.0 106.1 99.0 112.4 133.0 58.5 75.1 102.8 67.6 79.0 101.5 確定拠出 38.9 62.2 102.0 44.7 68.8 105.5 ニュージーランド 確定拠出 11.5 18.0 28.8 12.2 19.0 30.3 その他 19.4 19.4 19.4 22.3 21.5 その他 38.7 38.7 38.7 41.1 41.0 40.8 合計 58.4 81.7 121.5 67.0 90.3 125.6 合計 50.2 56.7 67.5 53.3 60.0 71.1 確定拠出 24.4 37.9 60.2 25.4 39.4 確定拠出 9.3 14.8 24.3 10.7 16.7 26.8 その他 4.3 0.0 0.0 4.5 0.0 0.0 その他 51.5 54.8 60.3 59.1 61.7 66.4 合計 28.7 37.9 60.2 29.9 39.4 62.7 合計 60.8 69.6 84.7 69.8 78.4 93.2 確定拠出 23.8 37.1 59.4 27.6 42.8 67.9 英国 確定拠出 28.3 45.8 76.0 33.9 52.5 85.2 32.8 その他 31.9 31.9 31.9 38.1 36.6 35.7 合計 60.3 77.7 107.9 72.0 89.1 120.9 確定拠出 30.1 48.1 78.9 36.4 57.4 91.4 その他 39.4 39.4 39.4 47.7 47.0 45.7 合計 69.5 87.5 118.3 20.1 62.7 ノルウェー その他 28.7 28.7 28.7 33.4 33.1 合計 52.5 65.9 88.2 61.0 75.9 100.8 スロバキア共和国 確定拠出 その他 スウェーデン 90 総所得代替率 (%) 純所得代替率 (%) 確定拠出 年間の実質リターン(%) オーストラリア 50 任意加入型または主に任意加入型の確定拠出年金 25.2 38.2 58.9 32.7 49.4 76.2 米国 26.0 26.0 26.0 33.6 33.6 33.6 合計 51.2 64.1 84.8 66.3 83.1 109.9 確定拠出 18.1 27.4 42.2 18.2 27.1 40.9 その他 31.1 31.1 31.1 31.3 30.8 30.2 合計 49.3 58.5 73.4 49.5 57.8 71.1 84.1 104.4 137.1 出典:OECD 年金モデル、Whitehouse, D’Addio および Reilly(2009 年)も参照。 http://dx.doi.org/10.1787/888932370892 44 年金の投資リターン別総所得代替率、税金および拠出金 所得代替率(総所得に対する比率) 所得代替率(総所得に対する比率) 税引後 オーストラリア デンマーク 特定階層向け 税引後 特定階層向けおよび基礎 確定拠出 投資リターン分布のパーセンタイル 所得代替率(総所得に対する比率) ハンガリー 確定拠出 投資リターン分布のパーセンタイル 所得代替率(総所得に対する比率) ポーランド 税引後 報酬比例公的年金 税引後 報酬比例公的年金 確定拠出 確定拠出 投資リターン分布のパーセンタイル 投資リターン分布のパーセンタイル 出典:OECD 年金モデル、Whitehouse、D’Addio および Reilly(2009 年)も参照。 http://dx.doi.org/10.1787/888932370892 要旨 年金財(現価)は生涯の退職所得の総額を見積もったものである。平均的な所得層の年 金財(現価)は OECD 加盟国の平均では年間報酬の 9.6 倍である。女性の場合は平均余 命が長いため、個人報酬の 11.1 倍と男性より高くなっている。 所得代替率は年金の給付約定を示しているが、総合的な測定値ではなく、退職時の給付水 準のみを考慮している。全体像を把握するためには、平均余命、定年年齢および年金のス ライドも考慮に入れる必要がある。これらの値は、年金給付の支給期間、および年金給付 の金額が時間の経過とともにどのように推移するかを決定する。将来の年金給付フローの 源を表す年金財(現価)はこれらの要因を考慮に入れている。強制加入型の退職所得制度 からの年金と同じ金額を受け取る年金保険を購入するために必要な一時金とみなすことが できる。 各々の報酬レベルで男性に対する年金財(現価)の総額が最も大きいのはルクセンブルク で、オランダ、アイスランドおよびギリシャがそれに続いている。これらの国の平均年金 財(現価)は平均的な所得層の報酬の 17.5 倍で、OECD 加盟国の平均である 9.6 倍より約 80%高くなっている。平均的な所得層の年金財(現価)が最も小さいのは英国で、所得代 替率が相対的に低いことと長期年金受給年齢が 68 歳と高いことがその理由になっている。 所得代替率が高いことは、低所得層の年金財(現価)が平均的な所得層より高くなる傾向 があることを意味している。平均的な所得層の 9.6 倍に対し、所得が平均の半分の男性の 45 年金財(現価)は個人報酬の 12.2 倍である。同じく、低所得層の女性の年金財(現価)は 平均的な所得層の個人報酬の 11.1 倍に対し 14.1 倍となっている。低所得層の年金財(現価) が最も大きい 4 ヵ国(デンマーク、アイスランド、ルクセンブルクおよびオランダ)の男 性の場合、年金財(現価)の数値は個人報酬の 21.0 倍を上回っている。 平均余命の影響 ハンガリー、メキシコ、ポーランド、スロバキア共和国およびトルコなど、平均余命の短 い国では、退職後の予想生存期間が短くなるため、他の要因を一定とすると約定された年 金支給が履行される可能性は高くなっている。平均余命の長いスイスや北欧諸国では逆の 影響が出ている。所得代替率とは異なり、履行可能性と平均余命の関係を年金財(現価) の指標から把握できる。 同じく、女性の平均余命は男性より長いため、女性向けの年金財(現価)はすべての国で 男性より高くなっている。これは単に年金給付を受けられる退職後の期間がより長くなる と予想されているためである。また、一部の国では今でも女性の退職年齢が低いため、年 金の支給期間がさらに長くなっている。 年金財(現価)は年金受給開始年齢の影響も受ける。例えば、デンマーク、ドイツ、アイ スランド、ノルウェー、英国および米国などではすべて、年金受給開始年齢を 65 歳以上に しているか、またはそのように計画しているため、年金財(現価)は削減されている。 スライドの影響 年金財(現価)はスライド・ルールの影響も受ける。現在では、大半の OECD 加盟国が 年金の支給額を物価とスライドさせているが、例外もある。例えば、ルクセンブルクでは 年金と平均報酬を連動させているが、チェコ共和国、フィンランド、ハンガリー、スロバ キア共和国およびスイスの 5 ヵ国では物価上昇率と報酬の伸びをミックスした数値に連動 してスライドしている。少なくとも通常の状態であれば、報酬は物価上昇率を上回るスピ ードで伸びるため、物価スライド制よりも有利なスライド制を採用しているこれらの国の 年金財(現価)が高くなっている。 スライド政策の相違も女性と男性の年金財(現価)に影響を与えている。女性の平均余命 が長いことは、女性の方が有利なスライド制(例えば、物価上昇率を上回る)の恩恵をよ り多く享受する傾向にあることを意味する。 非 OECD 加盟国に関しては、年金財(現価)は平均的な所得層について個人報酬のわず か 1.4 倍という南アフリカから 22.2 倍のブラジルにいたるまで、国ごとに大きな格差があ る。南アフリカの数値が低いのは、所得代替率が低いことに加えて平均余命が短いことに 起因している。 定義および測定値 年金財(現価)の計算では一律に 2%の割引率が適用されている。比較は予想される年 金受給権に言及しているため、計算では 2050 年度までの各国の年齢別および性別の死亡率 が利用されている。年金財(現価)は年間の個人総報酬の倍率で示されている。 46 報酬別総年金財(現価) 個人報酬、平均に対する倍数 0.5 1.0 1.5 0.5 男性 1.0 13.1 8.0 6.3 14.7 8.7 オーストリア 10.2 10.1 9.5 11.1 11.1 ベルギー 9.8 12.9 6.8 7.5 5.3 5.0 11.5 14.4 8.0 8.4 9.2 6.9 6.4 10.2 7.0 12.6 18.8 7.9 12.1 5.9 9.8 15.1 22.3 9.5 14.3 チリ チェコ共和国 デンマーク エストニア フィンランド フランス 9.2 7.3 6.7 11.9 9.4 10.9 10.6 9.5 9.3 9.5 7.9 13.0 12.1 11.4 10.6 7.7 7.7 7.7 9.2 9.2 15.2 15.2 15.2 17.4 17.4 アイルランド 10.6 25.5 11.4 10.6 16.1 5.7 10.6 14.1 3.8 13.3 28.8 13.7 13.3 18.0 6.9 イスラエル 15.9 11.0 7.4 17.4 11.8 イタリア 10.6 10.6 10.6 11.1 11.1 ドイツ ギリシャ ハンガリー アイスランド 日本 韓国 ルクセンブルク 8.1 5.8 5.1 9.7 7.0 9.9 23.6 6.5 21.1 4.9 20.2 12.0 27.4 7.8 24.5 メキシコ 8.9 4.8 4.6 10.0 5.0 オランダ 18.7 16.1 17.7 8.0 17.4 5.4 21.4 18.3 20.3 9.2 ニュージーランド 0.5 女性 OECD 加盟国 オーストラリア カナダ 個人報酬、平均に対する倍数 1.5 1.0 1.5 0.5 男性 OECD 加盟国(続き) 11.7 6.8 ノルウェー 10.4 ポーランド 8.4 6.2 ポルトガル 5.6 スロバキア共和国 6.0 スロベニア 1.0 1.5 女性 9.7 7.6 13.8 11.4 8.4 8.4 9.3 8.9 8.9 8.9 8.9 9.2 8.1 9.2 8.0 9.2 10.3 11.3 9.1 11.3 8.9 11.3 13.0 12.6 12.6 17.4 16.9 16.9 7.0 スペイン 11.6 スウェーデン 8.5 スイス 13.7 11.5 13.7 9.1 13.7 11.5 15.5 12.9 15.5 10.2 15.5 12.9 12.4 10.8 7.6 14.2 12.2 8.6 11.4 トルコ 8.9 英国 9.2 米国 10.1 7.6 8.5 4.5 8.5 3.2 12.0 9.0 10.2 5.3 10.2 3.8 7.6 5.8 5.2 8.9 6.8 6.0 17.4 OECD 加盟 34 ヵ国 13.3 15.8 主要非 OECD 加盟国 4.6 アルゼンチン 12.2 9.6 8.7 14.1 11.1 10.0 13.2 11.4 10.8 17.0 14.5 13.6 22.2 22.2 22.2 22.2 22.2 22.2 18.7 14.9 13.6 18.5 14.1 12.7 6.1 インド 6.0 インドネシア 23.5 ロシア連邦 16.1 11.2 9.5 17.1 11.7 9.8 2.6 10.5 2.6 9.0 2.6 8.5 2.6 13.5 2.6 11.4 2.6 10.7 4.6 サウジアラビア 19.9 南アフリカ 6.1 EU27 ヵ国 16.4 16.4 16.4 18.8 18.8 18.8 2.9 11.7 1.4 10.2 1.0 9.6 3.5 13.9 1.8 12.2 1.2 11.4 7.9 ブラジル 11.1 中国 出典:OECD 年金モデル http://dx.doi.org/10.1787/888932370911 47 報酬別および性別の総年金財(現価) 低所得層の男性 低所得層の女性 平均所得層の男性 低所得層(男性および女性) 平均所得層の女性 平均所得層(男性および女性) インドネシア 南アフリカ チリ 米国 ロシア連邦 ドイツ 英国 日本 ポーランド メキシコ ポルトガル エストニア スロバキア共和国 ベルギー 韓国 トルコ オーストリア フランス イタリア ハンガリー フィンランド アイルランド ノルウェー スウェーデン OECD 加盟 34 ヵ国 オーストラリア スイス チェコ共和国 カナダ スロベニア アルゼンチン スペイン ギリシャ イスラエル ニュージーランド サウジアラビア アイスランド インド オランダ 中国 デンマーク ブラジル ルクセンブルク 注:平均的な所得層の年金の総所得代替率(GRR)順に国別にランクされている。 出典:OECD 年金モデル http://dx.doi.org/10.1787/888932370911 要旨 純年金財(現価)は、これに対応する総額ベースの指標と同じく、生涯に受け取る年金 給付の現在価値を表している。しかし、退職所得に対して支払われる租税と拠出金も考 慮されている。年金財(現価)に関する両方の数値は個人の総報酬の倍率で示される。 平均的な所得層に関する OECD 加盟国の純年金財(現価)の平均は、男性の場合は個人 の総報酬の 8.2 倍、女性の場合は 9.6 倍である。女性の年金財(現価)の数値が男性より 高い主な理由は、女性の平均余命が長いことである。 純年金財(現価)は個人の総報酬の倍率で示されるため、総年金財(現価)(退職後も納 税義務を負う場合)を下回るか、または同額(年金が非課税の場合、もしくは年金所得が 課税最低限を下回る場合)である。これは次々ページの 2 つの図表に明確に図示されてい る。例えば、スロバキア共和国とトルコでは、年金には課税されないため、純額と総額の いずれでも年金財(現価)は同額である。 48 総額ベースでなく、純額ベースで測定すると年金財(現価)のランキングは大幅に変化す る。例えば、スロバキア共和国は平均的な所得層の純年金財(現価)では上から 8 位にラ ンクされているが、総年金財(現価)では上から 16 位にランクされている。デンマークは 正反対のパターンになっているが、すべての報酬水準で被雇用者の退職所得に対して最も 高い租税が課税されていることがその理由である。デンマークは総年金財(現価)では上 から 7 位にランクされているが、純年金財(現価)では上から 14 位にランクされている。 北欧 5 ヵ国、オーストリア、イタリア、ルクセンブルクおよびオランダでは、定年退職者 は重い税負担を負っている。一つには、強制加入型年金制度に伴う高水準の所得代替率の 裏返しでもあるが、それらの国の課税水準が全体的に高いことも影響している。 個人報酬の影響 平均的な所得層に対する年金が非課税になっている 7 ヵ国に、オーストラリア、ベルギー およびカナダを加えた 10 ヵ国では、低所得層は納税義務と拠出義務を負わない。さらに、 ギリシャ、ハンガリー、韓国および英国の 4 ヵ国では、定年退職した低所得層の納税義務 は極めて少額で、年金に課税される税率は 1%未満である。 高所得層に関しては、結果に大きな差がなく、純年金財(現価)は過半数の国で年間報酬 の 4 倍から 7 倍のレンジに収まっている。主な例外はルクセンブルク(男性の場合は報酬 の 14 倍)で、12.3 倍のギリシャと 11.6 倍のオランダがそれに続いている。最も数値が低 いのは英国で、男性は 3.1 倍、女性は 3.6 倍である。 非 OECD 加盟国に関しては、ブラジル、中国、インド、インドネシア、ロシア連邦およ び南アフリカでは純年金財(現価)と総年金財(現価)が同額である。総年金財(現価) の計算と同じく、これらの国の間には平均報酬の 1.4 倍の南アフリカから平均報酬の 22.2 倍という最高倍率のブラジルにいたるまで大きな開きがある。 これらの計算は年金システムの給付サイドのみを考慮に入れていることに注目すること が重要である。生産年齢の人々が支払った税金と拠出金が、現役時代と比較した退職後の 生活水準に与える影響は、上述の「年金の純所得代替率」の指標の項で論述されている。 定義および測定値 純年金財(現価)は、定年退職者がそれぞれの年金に対して支払義務のある税金と社会保 険料を考慮した後の年金給付フローの現在価値である。それぞれの国における個人の年間 総報酬の倍率で測定され、示されている。比較対象として総報酬を利用する理由は、退職 後に支払った税金および社会保険料の影響を、現役時代に支払った税金および社会保険料 から分離させるためである。こうした定義は、年金に対する社会保険料と所得税の納付義 務のない国では総年金財(現価)と純年金財(現価)が同額になることを意味している。 所得水準の異なるそれぞれに対して、年金受給者が支払った税金と社会保険料は強制加入 型の年金給付を前提に計算されている。その計算では、年金所得または年金受給対象年齢 者のいずれかに認められている標準的なすべての税額控除と税負担の軽減、および租税特 権が考慮されている。 49 年金受給者に適用される各国の税制ルールの詳細は次のサイトの国別プロフィールに掲 載されている:www.oecd.org/els/social/pensions/PAG。 報酬別の純年金財(現価) 0.5 OECD 加盟国 オーストラリア オーストリア ベルギー カナダ チリ チェコ共和国 デンマーク エストニア フィンランド フランス ドイツ ギリシャ ハンガリー アイスランド アイルランド イスラエル イタリア 日本 韓国 ルクセンブルク メキシコ オランダ ニュージーランド 個人の年間総報酬に対する倍率 1.0 1.5 0.5 1.0 男性 女性 13.1 9.4 9.8 12.9 8.1 12.6 12.8 9.2 9.5 10.0 6.9 15.1 10.3 20.0 11.4 15.6 10.3 7.3 9.9 20.7 8.9 15.3 13.2 7.7 7.8 6.0 7.4 5.8 7.7 8.0 7.0 7.5 8.3 6.1 13.2 9.2 12.0 5.7 10.4 8.8 5.4 6.5 16.3 4.8 12.8 6.6 5.6 6.9 4.4 4.9 5.1 5.6 6.2 6.0 6.8 6.8 5.7 12.3 8.0 10.2 3.8 6.9 8.3 4.5 4.9 14.4 4.6 11.6 4.4 14.7 10.3 11.5 14.4 9.0 15.1 15.3 11.9 11.3 11.4 8.3 17.4 12.9 22.5 13.7 17.3 11.1 8.8 11.9 24.1 10.0 17.5 15.1 8.6 8.6 7.1 8.3 6.1 9.3 9.5 8.9 8.9 9.4 7.4 15.2 11.4 13.4 6.9 11.3 9.6 6.4 7.8 19.0 5.0 14.6 7.5 1.5 6.2 7.5 5.2 5.5 5.1 6.8 7.4 7.7 8.1 7.8 6.8 14.1 10.1 11.3 4.6 7.5 8.9 5.4 5.9 16.7 4.6 13.3 5.0 0.5 個人の年間総報酬に対する倍率 1.0 1.5 0.5 1.0 1.5 男性 女性 OECD 加盟国(続き) ノルウェー ポーランド ポルトガル スロバキア共和国 スロベニア スペイン スウェーデン スイス トルコ 英国 米国 OECD 加盟 34 ヵ国 11.7 7.2 8.9 9.2 13.0 12.8 8.9 11.8 10.1 7.6 7.6 11.2 8.0 7.0 8.0 9.2 11.5 11.6 6.6 8.9 8.5 4.4 5.6 8.2 6.1 6.9 7.6 9.2 10.9 11.0 7.9 6.3 8.5 3.1 4.9 7.1 13.8 8.1 10.3 11.3 17.4 14.5 9.9 13.5 12.0 9.0 8.8 13.1 9.5 7.4 9.1 11.3 15.5 13.1 7.5 10.1 10.2 5.1 6.5 9.6 7.2 7.3 8.6 11.3 14.7 12.5 8.8 7.1 10.2 3.6 5.6 8.2 主要非 OECD 加盟国 アルゼンチン ブラジル 中国 インド インドネシア ロシア連邦 サウジアラビア 南アフリカ EU27 ヵ国 12.8 22.2 18.7 16.1 2.6 10.5 14.7 2.9 10.9 11.0 22.2 14.6 11.2 2.6 9.0 13.9 1.4 8.9 10.4 22.2 12.7 9.5 2.6 8.5 13.3 1.0 7.9 16.5 22.2 20.0 17.1 2.6 13.5 17.0 3.5 13.0 14.0 22.2 15.5 11.7 2.6 11.4 16.2 1.8 10.6 13.2 22.2 13.7 9.8 2.6 10.7 15.5 1.2 9.4 出典:OECD 年金モデル http://dx.doi.org/10.1787/888932370930 平均的な所得層の性別の総年金財(現価)と純年金財(現価)の対比 男性 女性 純年金財(現価) (個人報酬の倍率) 純年金財(現価) (個人報酬の倍率) 総年金財(現価) (個人報酬の倍率) 総年金財(現価) (個人報酬の倍率) 注:両図表の目盛りは個人報酬の 15 倍に相当する年金財(現価)を上限にしているため、ルクセンブルクとオランダが両 方の図表から除外されているほか、ギリシャとハンガリーが女性の図表から除外されている。 出典:OECD 年金モデル http://dx.doi.org/10.1787/888932370930 50 要旨 累進性指数は退職後の年金と現役時代の報酬の関係を一つの数字に要約することを目的 にしている。調査結果は、単純基礎年金(アイルランドおよびニュージーランドなど) の 100 からハンガリーのゼロ、スウェーデンのマイナス数値までのばらつきが見られ、 退職所得制度全体が逆累進性を持つことを示している。OECD 加盟国全体の平均は 37 で ある。地域別の相違が際立っており、公的年金の累進性が非常に強い英語圏の指数の平 均は 80 である。対照的に、南欧諸国の平均は 8 にすぎず、報酬と年金給付の非常に強い 関連性を示している。 「単純基礎(pure-basic) 」年金制度は過去の報酬および他の収入源のいずれとも無関係に 給付が行われる。相対的な年金の水準は報酬と無関係で、所得代替率は報酬の上昇ととも に低下する。対照的に、 「単純保険型(pure-insurance)」の年金制度では定年退職時に全て の被雇用者の所得代替率が等しくなるようにされている。確定拠出年金は、報酬、勤続年 数または年齢に関わらず同じ給付発生率となる報酬比例制度と同じく、通常は単純保険型 のモデルと一致する。 こうした 2 つのベンチマークは、強制加入型年金制度の年金給付方式の国際比較で利用さ れる「累進性指数」の根拠になっている。この指数は単純基礎年金制度のスコアを 100 と し、単純保険型年金制度がゼロになるように設計されている。単純基礎年金制度は累進性 が最も強く、単純保険型年金制度は所得代替率が一定であるため累進性はない。必ずしも スコアの高い方が「良い」わけではなく、また逆も同様である。スコアの高い国とスコア の低い国の目的が異なるだけである。 次ページの表は、総年金給付のジニ係数と OECD 平均に基づく報酬の合成分布を前提に した給付方式の累進性指数を示している。指数が 100 の 2 ヵ国に加え、カナダ、イスラエ ルおよび英国はいずれも極めて累進性の強い年金制度を採用しており、指数は 70 近くまた は 70 以上になっている。これらの国はいずれもターゲット年金(セーフティネット)また は基礎年金の比率が高い。 目盛りの反対側にあるフィンランド、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、オランダ、ポー ランド、ポルトガルおよびスロバキア共和国ではほぼ完全な報酬比例年金制度が採用され ているため、累進性は限定的である。指数は 10 未満である。このグループには、計画的に 拠出と給付を密接にリンクさせるみなし勘定を採用している 2 つの国が含まれている。そ れ以外の国は 2 つのグループの間にある。累進性指数がマイナスになっているスウェーデ ンは際立っている。このような逆累進性は第 III 部の「国別プロフィール」の総所得代替率 の図表に示されている。この図表では低所得層と高所得層の所得代替率が平均的な所得層 より高くなっている。 表の最後の 2 列では、年金受給権の不均衡性が国内の報酬分布の不均衡性によるものか、 または給付方式の相違によるものかについての指標である。事実、完全にデータが揃って いる 29 ヵ国ではいずれの測定値も累進性指数の平均は 37 前後になっている。 51 年金給付方式の累進性指数は年金制度の強制加入部分のみを測定していることに注目す ることが重要である。一部の国では企業年金と個人年金が広範に普及している(「私的年金 のカバレッジ」に関する指数を参照) 。これらの年金を考慮に入れると、年金受給者の所得 分布は拡大することになる。 定義および測定値 OECD 加盟国の退職所得制度では、保険と所得再分配の役割に対して異なる重点が置かれ ている。累進性指数は単純基礎年金制度を 100 とし、単純保険型年金制度がゼロになるよ うに設計されている。この計算は不均衡性に関する標準的な尺度であるジニ係数に基づい て行われている。正式には、累進性指数は年金受給権のジニ係数を報酬のジニ係数で除し た比率を 100 から控除しており、いずれの場合も報酬分布によって加重されている。計算 は各国のデータ(入手できる場合)および OECD の平均報酬分布の両方を利用して行われ ている。この指数の基礎になっているのはマスグレイブ=シンの分析(1948 年)である。 参考文献 Musgrave, R. A.および T. Thin (1948 年) 、 「所得税の累進性 1924 年-48 年」、Journal of Political Economy56 号、498-514 ページ。 年金受給権と報酬に関するジニ係数 OECD 平均および各国の報酬分布データ OECD 平均分布 年金 累進性 ジニ 指数 係数 OECD 加盟国 オーストラリア オーストリア ベルギー カナダ チリ チェコ共和国 デンマーク エストニア フィンランド フランス ドイツ ギリシャ ハンガリー アイスランド アイルランド イスラエル イタリア 日本 韓国 ルクセンブルク メキシコ オランダ ニュージーランド ノルウェー 10.9 21.5 11.4 3.5 21.0 9.1 12.6 21.0 26.5 20.4 21.8 27.8 28.8 15.8 0.0 7.3 28.5 15.3 8.9 23.5 14.1 27.2 0.0 15.5 62.2 25.4 60.5 88.0 27.2 68.4 56.1 27.0 7.9 29.3 24.3 3.4 0.0 45.1 100.0 74.5 1.1 46.9 69.3 18.6 51.2 5.7 100.0 46.3 OECD 平均分布 年金 累進性 ジニ 指数 係数 各国の報酬分布 年金 ジニ 係数 累進性 指数 ジニ 係数 賃金 10.8 21.0 10.9 3.5 61.8 25.5 55.9 87.9 28.3 28.2 24.8 29.0 9.1 10.8 68.4 55.1 28.8 24.0 22.6 19.2 21.5 29.7 33.0 4.6 28.0 25.1 3.1 0.0 23.7 26.6 28.7 30.6 33.0 0.0 100.0 29.6 25.6 14.6 9.9 23.9 18.0 25.4 0.0 13.0 1.2 46 69.1 18.6 51.8 5.6 100.0 44.5 25.9 27.1 32.1 29.3 37.3 26.9 28.8 23.5 OECD 加盟国(続き) ポーランド ポルトガル スロバキア共和国 スロベニア スペイン スウェーデン スイス トルコ 英国 米国 OECD 加盟 34 ヵ国の平均 OECD 加盟 29 ヵ国 27.9 26.7 28.6 21.7 23.2 31.7 13.5 25.6 5.0 17.1 18.0 18.2 3.0 7.4 0.8 24.7 19.6 –10.1 53.0 11.1 82.8 40.6 37.4 37.0 主要非 OECD 加盟国 アルゼンチン ブラジル 中国 インド インドネシア ロシア連邦 サウジアラビア 南アフリカ EU27 ヵ国 24.1 26.7 21.3 16.9 28.8 23.9 28.8 0.0 21.6 16.4 7.4 26.1 41.5 0.0 16.9 0.0 100.0 25.0 各国の報酬分布 年金 ジニ 係数 累進性 指数 ジニ 係数 賃金 30.1 28.9 28.6 3.7 13.6 0.8 31.3 33.5 28.8 22.6 28.4 11.6 30.4 5.0 17.1 20.4 –16.7 54.4 16.7 82.8 40.6 28.4 24.3 25.5 36.5 28.8 28.8 18.1 36.8 28.7 注:OECD 加盟 29 ヵ国とは、国の報酬分布データが入手できる国を指している。 出典:OECD 年金モデル、OECD 報酬分布データベース http://dx.doi.org/10.1787/888932370949 52 報酬分布:OECD 平均および主要国 オーストラリア ベルギー 米国 ハンガリー イタリア ノルウェー ドイツ OECD 日本 OECD 出典:OECD 報酬分布データベース http://dx.doi.org/10.1787/888932370949 要旨 ハンガリー、イタリアおよびスロバキア共和国など、一部の国では年金受給権と定年退 職前の報酬の間に非常に強い関連性がある。対照的に、アイルランドとニュージーラン ドで採用されている定額給付には年金と報酬の間に関連性がないことを意味している。 図表は年金給付の水準を縦軸に、定年退職前の個人報酬を横軸にしている。図表でカーブ がフラットになっている状態は年金と報酬の間に関連性がないことを表し、カーブの右肩 上がりの上昇は関連性が強いことを表している。 年金給付と定年退職前の個人報酬の関連性の強さによって国ごとにグループ分けされて いる。グルーピングは「年金給付方式の累進性」に関する既述の指標の項で記載されてい る年金給付分布と報酬分布の比較に基づいている。 パネル A は年金受給権と定年退職前の報酬の間に関連性がほとんどない 7 ヵ国を示して いる。アイルランド、ニュージーランドおよび南アフリカの定額給付制度に加え、カナダ では、低所得者の 38%から平均的な所得層と高所得層の 44%と、年金給付の水準にほとん ど差がない。カナダは報酬比例年金制度を採用しているが、目標とする所得代替率は非常 に低く、その上限は国内の平均報酬とほぼ同額で、資力調査付き給付は控除されている。 英国では、報酬比例年金制度の累進性が極めて強いほか、基礎年金プログラムもある。オ ーストラリアでカーブが比較的フラットになっているのは、資力調査付き公的年金プログ ラムが主な収入源になっているためである。また雇用者が DC 年金制度に対する拠出義務 を負う報酬にも上限が定められている。 パネル A の対極として、年金受給権と定年退職前の報酬の関連性が極めて強い 8 ヵ国が 列挙されている(パネル F)。オランダの準強制加入型企業年金では年金受給資格が得られ 53 る報酬に上限が設定されていない。ハンガリー、スロバキア共和国およびイタリアでは、 年金受給資格が得られる報酬の上限が平均報酬の 3 倍以上の水準に設定されている。これ らの国では大半の報酬レンジでそれぞれの年金水準が報酬に連動して直線的に増加してい る。 パネル E で紹介されている 8 ヵ国では、パネル F で紹介されている 8 ヵ国に比べ、定年 退職前の個人報酬と年金給付の関連性がやや弱くなっている。このグループには EU27 ヵ 国の平均も含まれている。エストニアとポーランドでは確定拠出年金と報酬比例公的年金 により年金と報酬に強い関連性がある。しかし、最低保証給付が果たす役割はパネル F で 紹介されている国よりも大きくなると予想されている。 分析対象の非 OECD 加盟国の大半(アルゼンチン、ブラジル、中国、インド、ロシア連 邦およびサウジアラビア)がこれら最後の 2 つのグループに属し、年金と報酬の関連性が 比較的強いことは注目に値する。さらにこれらの国の多くでは、被雇用者が正規の年金制 度でカバーされていない非公式の大きなセクターがある。 例外の一つが再分配プログラムのあるルクセンブルクとスウェーデンで、最低退職所得を 平均的な報酬の 38%に相当する比較的高い水準に設定している。第二に、スウェーデンで は公的年金の受給資格が得られる報酬の上限が比較的低い水準(国内平均報酬の 110%) に設定されているため、パネル F に示されている国に比べ報酬と年金の関連性が低くなっ ている。 残りの国は中間に属している。パネル B とパネル C の 13 ヵ国の年金と定年退職前の報酬 の関連性は最初のグループの国(パネル A)より強いが、その年金制度ではパネル F に示 されている 8 ヵ国よりはるかに累進的な方式が採用されている。チェコ共和国、韓国、ノ ルウェーおよび米国では、低所得層に対するこのような再分配は主として累進的な給付方 式の結果である。これらの国の公的年金制度では、低所得層の定年退職前の所得に対する 給付比率が平均的な所得層や高所得層より高くなっている。デンマークとアイスランドは、 大規模な基礎年金プログラムとターゲット退職所得プログラムによってこうした累進性を 実現している。 パネル D は、年金受給権と定年退職前の報酬の関連性から見て OECD 加盟国の中間に属 する 6 ヵ国を示している。フランスとポルトガルでは再分配型の年金プログラム(最低保 証年金制度とターゲット年金制度)を比較的所得の低いレンジで採用している。しかし、 所得水準が高くなるほど報酬と給付の間に強い関連性がある。 54 定年退職前の報酬と年金給付の関連性 各国の平均報酬に対する総年金給付の比率 パネル A オーストラリア ニュージーランド パネル B カナダ アイルランド 英国 インドネシア 南アフリカ ベルギー チェコ共和国 デンマーク 韓国 スロベニア スイス イスラエル パネル C オーストリア 日本 スペイン パネル D ドイツ ノルウェー 米国 メキシコ フランス ポルトガル スウェーデン トルコ フィンランド パネル E ポーランド エストニア ロシア連邦 チリ インド アイスランド パネル F アルゼンチン 中国 EU27 ヵ国 ギリシャ ハンガリー オランダ ルクセンブルク スロバキア共和国 イタリア ブラジル サウジアラビア 出典:OECD 年金モデル http://dx.doi.org/10.1787/888932370968 55 要旨 これまで紹介してきた指標は、様々な水準の報酬別に、所得代替率、相対的な年金水準 および年金財(現価)を表している。本項では、報酬レンジの全体でこれらの指標の加 重平均を算出することにより定年退職時の年金水準と年金財(現価) 、年金支給額の生涯 価値の平均について考察する。 まず、様々な所得の被雇用者に対する取扱いの相違を考慮しながら退職所得の平均水準 を示す。OECD 加盟 34 ヵ国の平均年金水準は各国の平均報酬の 55.3%である。 次に、高齢者に対する所得提供費用の総額を要約する。年金財(現価)の加重平均は、 男性については各国の年間平均報酬の 10.3 倍、女性については 12.0 倍である。 相対的な年金水準の加重平均は、報酬分布に関するデータと年金受給権の計算結果を組み 合わせて求める。その上で、総合値が各国の平均(単純平均)報酬に対する比率で示され る。一般的には、低所得層の所得代替率は高く、高所得層は低い。しかし、高所得層より 低所得層に属する被雇用者の数がはるかに多い。 男性と女性に関する調査結果は、それぞれ表の一つ目と二つ目の列に表示されている。レ ンジの最上部ではアイスランドの年金水準の加重平均が 100%を上回っており、オランダ、 ルクセンブルクおよびギリシャが僅差で続いている。別の 3 ヵ国(デンマーク、ハンガリ ーおよびスペイン)では、年金水準の加重平均が平均報酬の 70%を上回っている。目盛り の反対側にある OECD 加盟 10 ヵ国(ベルギー、チリ、ドイツ、アイルランド、日本、韓 国、メキシコ、ニュージーランド、英国および米国)では、年金水準の加重平均が平均報 酬の 40%を下回っている。 年金財(現価)の測定にも同じ種類の加重平均を適用できる。年金受給開始年齢、平均余 命および物価スライド政策の国ごとの相違が考慮されているため、年金財(現価)は現役 の被雇用者に約束する年金の支給額を表す最も総合的な測定値である。年金財(現価)の 加重平均は各国の平均報酬の倍数で示される。 年金財(現価)の調査結果は表の三つ目と四つ目の列に示されている。加重平均年金財(現 価)の平均(男性については平均報酬の 13.3 倍から 21.8 倍、および女性については 15.1 倍から 25.8 倍)を上回っているのはデンマーク、ギリシャ、アイスランド、ルクセンブル ク、オランダおよびスペインである。ハンガリー、イスラエル、イタリア、スロベニア、 スウェーデンおよびスイスの測定値は平均報酬の 10-12 倍前後の水準に密集している。 (実勢為替レートで)米ドルに換算すると、これら 12 ヵ国での約定年金支給額は、男性 については 667,000 米ドル、女性については 766,000 米ドルである(表の 5 番目と 6 番目の 列を参照)。これらの数字は、現在の年金制度のルールに基づいて将来の平均的な定年退職 者に対して約束する移換額の現在価値を表している。 統計分布の反対側にある日本、英国および米国の 3 ヵ国では、年金財(現価)が OECD の平均を大きく下回っており、男性については平均報酬の 6.3 倍、女性については平均報 56 酬の 7.6 倍である。ポーランドなど平均余命の短い国でも年金財(現価)が相対的に低く なっている。 非 OECD 加盟国に関しては、約定年金額がすべての国で OECD 加盟 34 ヵ国の平均を大き く下回っている。そうした中で最も高い金額を記録したのはブラジルで、男女ともに 198,000 米ドルである。これは所得水準の低さを反映したものである。 定義および測定値 各指標は各国の平均報酬の 0.3 倍から 3 倍の報酬を得ている者の年金受給権(年金水準 と年金財(現価))の計算に基づいている。 個人報酬の各々の水準は、報酬分布における重要性に基づいて加重されている。計算は 各国の統計を利用している(第 II 部.第 5 章の「報酬:平均および分布」に関する指標を参 照)。報酬分布にはすべての国で歪みがある。分布の最頻値(またはピーク)と中央値(従 業員の半分が下回り、半分の従業員が上回る報酬水準)は平均値を大きく下回っている。 そのため、多くの人が平均所得を下回り、平均所得を上回る人は少ないため、指数の計算 に際しては高所得層よりも低所得層に大きな加重が置かれている。 加重平均:年金水準と年金財(現価) 各国の平均報酬に対する比率 加重平均 年金財 (現価) 男性 女性 男性 女性 加重平均 年金水準 OECD 加盟国 オーストラリア オーストリア ベルギー カナダ チリ チェコ共和国 デンマーク エストニア フィンランド フランス ドイツ ギリシャ ハンガリー アイスランド アイルランド イスラエル イタリア 日本 韓国 ルクセンブルク メキシコ オランダ ニュージーランド 47.4 44.7 67.9 67.9 38.2 38.2 42.0 42.0 45.6 33.7 47.5 47.5 80.4 80.4 47.2 47.2 59.6 59.6 44.4 44.4 39.3 39.3 81.8 81.8 71.0 71.0 100.4 100.4 29.0 29.0 62.7 55.4 64.7 50.8 34.0 34.0 39.1 39.1 82.7 82.7 37.3 35.3 87.0 87.0 38.7 38.7 9.5 9.8 7.0 8.7 7.7 9.0 13.3 7.9 9.7 9.3 7.7 15.1 10.6 19.4 7.5 12.2 10.6 6.3 7.6 21.8 7.4 18.0 10.6 平均年金財 (現価) (米ドル) 男性 女性 10.4 479 000 10.7 557 000 8.2 407 000 9.8 350 000 8.0 86 000 10.9 145 000 15.7 937 000 10.1 114 000 11.6 529 000 10.5 444 000 9.3 466 000 17.4 528 000 13.3 144 000 21.8 897 000 9.1 448 000 13.2 382 000 11.1 408 000 7.6 305 000 9.2 231 000 25.3 1 542 000 8.1 50 000 20.6 1 145 000 12.0 347 000 524 000 608 000 476 000 394 000 89 000 175 000 1 106 000 146 000 632 000 501 000 563 000 609 000 180 000 1 008 000 544 000 413 000 427 000 368 000 280 000 1 789 000 55 000 1 311 000 393 000 加重平均 年金財 (現価) 男性 女性 男性 女性 加重平均 年金水準 平均年金財 (現価) (米ドル) 男性 女性 OECD 加盟国(続き) 48.3 ノルウェー 56.2 ポーランド 52.1 ポルトガル 56.3 スロバキア共和国 57.0 スロベニア 73.4 スペイン 64.3 スウェーデン 49.6 スイス 68.4 トルコ 30.3 英国 37.5 米国 55.3 OECD 加盟 34 ヵ国 48.3 42.1 52.1 56.3 57.0 73.4 64.3 49.0 68.4 30.3 37.5 53.8 9.4 8.5 8.7 9.2 12.7 13.4 10.4 10.4 9.8 5.4 6.3 10.3 11.1 9.5 10.0 11.3 17.0 15.1 11.7 11.9 11.7 6.4 7.3 12.0 732 000 119 000 205 000 82 000 293 000 455 000 556 000 715 000 142 000 332 000 254 000 436 000 865 000 133 000 235 000 101 000 392 000 513 000 625 000 818 000 170 000 394 000 294 000 504 000 主要非 OECD 加盟国 アルゼンチン ブラジル 中国 インド インドネシア ロシア連邦 サウジアラビア 南アフリカ EU27 ヵ国 65.5 69.5 60.3 47.9 59.9 12.2 54.5 85.5 54.7 12.0 22.0 16.1 12.4 2.6 9.5 16.4 1.9 10.5 15.3 22.0 15.5 13.0 2.6 12.1 18.8 2.3 11.9 128 000 198 000 67 000 44 000 4 000 79 000 143 000 26 000 380 000 164 000 198 000 64 000 46 000 4 000 101 000 164 000 32 000 428 000 76.6 81.4 76.5 63.7 13.7 61.5 97.7 10.6 58.7 出典:OECD 年金モデル http://dx.doi.org/10.1787/888932370987 57 加重平均比較:性別の年金水準と年金財(現価) 男性 女性 加重平均年金財(現価) (WAPW) 加重平均年金財(現価) (WAPW) 加重平均年金水準(WAPL) 加重平均年金水準(WAPL) 出典:OECD 年金モデル http://dx.doi.org/10.1787/888932370987 要旨 退職所得のパッケージは、前述の「公的年金制度の構造」に関する指標に由来した分類 法を利用し、複数の部分に分類される。この枠組みでは年金制度を 2 つの強制加入の階 層に分類している。1 階部分は再分配に関する機能で、年金受給者が最低限の絶対的な生 活水準を実現できるように設計されている。2 階部分は貯蓄機能で、現役時代の報酬と比 較し、退職後の目標所得の実現を目指している。公的年金制度をこれら 2 階層および公 的年金と私的年金に分類したこの指標も各国の年金政策における大きな相違を浮き彫り にしている。 再分配機能から始めると、計算は定年まで勤続した被雇用者のみをカバーしていることに 注目することが重要である。再分配的な機能を有するすべてのプログラムは、未納歴のあ る人にとってはるかに重要な意味を持つ。しかし、将来の拠出予測は言うまでもなく、過 去の拠出歴の分布に関する情報を入手することも困難である。 OECD 加盟 14 ヵ国(年金制度の他の構成要素が同じ効果を有する韓国とメキシコを含む) で基礎年金が設定されている。こられの給付額は個人報酬や他の年金受給権に基づいてい ない。アイルランドとニュージーランドで定年まで勤続した被雇用者に対する強制加入型 の年金は基礎年金のみである。日本、韓国、オランダおよび英国では、基礎年金が年金総 支給額の 41~62%を占めている。基礎年金はカナダ、デンマーク、エストニアおよびイス ラエルでも重要な意味を持っている。 13 ヵ国では最低保証年金が重要な役割を果たしている。ベルギーと英国では最低保証年 58 金クレジットが同じような効果を持っており、低報酬の被雇用者に対する給付は、実際よ り高い水準の報酬を得たものとして計算されている。英国ではこうしたクレジットが給付 全体に大きな割合を占めている。メキシコ、ポルトガル、スウェーデンおよびトルコでも 最低保証年金が重要な役割を果たしている。 すべての OECD 加盟国が低所得の年金受給者に対するセーフティネットを設けている。 しかし、大半の国では報酬が低くても定年まで勤続した被雇用者にはセーフティネット給 付を受ける資格が与えられない。例外が 9 つある。最も際立っているのはオーストラリア で、再分配機能全体が資力調査付きで、この制度が年金支給パッケージのほぼ半分を占め ている。カナダ、チリ、デンマークおよびアイスランドでも、セーフティネット給付が重 要な役割を果たしており、それぞれ、年金給付額の 17%から 23%を占めている。 退職所得における再分配機能と貯蓄機能のバランスが次ページの左側のチャートに示さ れている。半分の OECD 加盟国では貯蓄機能が 94%以上を占めている。これは、オースト リア、イタリア、ポーランド、スペインおよびトルコなど、一部の国で貯蓄機能における 所得代替率の目標が高く設定されていることを表している。そのほか、スイスと米国では 公的年金の給付方式には累進性があり、他の国では 1 階部分の再分配機能が 2 階部分の年 金で提供されている。英国では、大半の報酬比例年金が最低保証クレジットの給付に含ま れている。 2 階部分の年金制度 強制加入給付のうち 2 階部分は、次々ページの表では、公的年金と私的年金および確定拠 出(DC)年金と確定給付(DB)年金または報酬比例年金に分類されている。OECD 加盟 25 ヵ国には報酬比例公的年金がある。オーストリア、フィンランド、フランス、ドイツ、 ギリシャ、イタリア、スロベニア、スペインおよび米国の 9 ヵ国では、定年まで勤続した 被雇用者に対する給付のほぼ全額を占めている。 OECD 加盟 14 ヵ国の私的年金は強制加入型か準強制加入型である。アイスランド、オラ ンダおよびスイスでは確定給付型(DB)であるが、大半の国では確定拠出型(DC)であ る。オーストラリア、デンマーク、メキシコ、オランダ、ポーランドおよびスロバキア共 和国の 6 ヵ国では、私的年金が強制加入型年金パッケージ全体の 50-60%を占めている。チ リ、アイスランドおよびイスラエルでは私的年金の重要性がはるかに高くなっている。強 制加入給付に占める公的年金と私的年金のバランスが次々ページの右の図表に示されてい る。しかし、カナダ、アイルランド、英国および米国など、多くの国では任意加入型の私 的年金(図表には表示されていない)が重要な収入源になっていることに留意することが 重要である。 定義および測定値 年金パッケージの構造は、前述の加重平均年金財(現価)の指標を利用し、制度の方によ り分類して図示されている。報酬分布データにより加重されている。 59 退職所得パッケージの構造 加重平均年金財(現価)に対する年金制度の強制加入制度の寄与率 1 階部分 2 階部分 1 階部分 資力 公的 公的 私的 私的 合計 調査 基礎 最低 ER DC DB DC 付き OECD 加盟国 オーストラリア OECD 加盟国(続き) 40.6 59.4 ベルギー カナダ 22.9 34.9 チリ 17.5 100 ノルウェー 6.4 93.6 42.2 82.5 18.9 チェコ共和国 デンマーク 19.3 25.3 エストニア 32.2 フィンランド 81.1 100.0 イスラエル 49.7 100 11.1 88.9 100 スロバキア共和国 2.9 52.2 0.8 96.3 100 スペイン 0.7 99.3 41.1 100 スウェーデン 5.6 48.0 100 100 46.4 69.3 0.2 100 30.5 100 100 13.2 86.8 100 96.3 100 英国 0.3 48.2 40.8 10.8 100 100.0 100 米国 100.0 100 79.9 100 43.6 100 100 主要非 OECD 加盟国 100 アルゼンチン 33.1 66.9 100.0 44.6 100 0.4 47.4 55.5 67.6 イタリア 日本 1.3 49.0 100 ポルトガル 100 トルコ 56.4 アイルランド 100 ポーランド 100 スイス ハンガリー 22.3 10.1 100 100.0 ギリシャ 100 10.9 2.3 97.7 3.7 100.0 3.7 85.4 100 スロベニア 26.7 フランス アイスランド 100 ニュージーランド 100.0 オーストリア ドイツ 2 階部分 資力 公的 公的 私的 私的 合計 調査 基礎 最低 ER DC DB DC 付き 100 ブラジル 100 中国 55.4 100 インド 100 インドネシア 韓国 62.0 38.0 ルクセンブルク 15.7 0.1 84.3 メキシコ 12.8 30.7 オランダ 41.4 100 ロシア連邦 56.5 58.6 20.1 100.0 45.0 100 41.1 58.9 100 100.0 20.7 100 サウジアラビア 100 南アフリカ 100 55 53.1 100.0 100.0 100 26.3 100 100 100 DB=確定給付、DC=確定拠出、ER=報酬比例。 1. ベルギー:最低保証年金と最低保証クレジットの両方を含む。 2. デンマーク:私的 DC 年金には準強制加入型企業年金(49.0%)と特別年金(6.5%)の両方が含まれている。 3. フランス:公的年金には国民年金(78.2%)および補完的な企業年金(21.8%)の両方が含まれている。 4. ギリシャ:公的年金は主たる部分(73.0%)および補完的な部分(27%)で構成されている。 5. 韓国:基礎年金は個人報酬ではなく平均報酬に基づく公的年金部分を表している。 6. ルクセンブルク:基礎年金には期末時点の給付も含まれている。 7. メキシコ:DC 年金に対する定額の政府拠出に基づいて計算された基礎年金は、1997 年以降、実質最低賃金の 5.5%を占 めている。 8. スウェーデン:私的 DC 年金には両方の DC 年金(12.6%と 33.8%)が含まれている。 9. 英国:最低保証年金は報酬比例公的年金における最低保証クレジットと関係している。 出典:OECD 年金モデル http://dx.doi.org/10.1787/888932371006 60 1 階部分(再分配プログラム)と 2 階部分(強制加入所得代替スキーム)の バランス 加重平均年金財(現価)に対する比率 アイルランド ニュージーランド ブラジル 南アフリカ 英国 韓国 カナダ 中国 デンマーク 日本 メキシコ オランダ オーストラリア イスラエル アイスランド エストニア ロシア アルゼンチン チェコ チリ ルクセンブルク トルコ ポルトガル ベルギー スウェーデン ノルウェー スロベニア ドイツ フィンランド ポーランド スペイン スロバキア スイス オーストリア フランス ギリシャ ハンガリー イタリア 米国 インド インドネシア サウジアラビア 公的年金 私的年金 2 階部分 1 階部分 出典:OECD 年金モデル http://dx.doi.org/10.1787/888932371006 強制加入型年金における公的給付と私的給付のバランス 加重平均年金財(現価)に対する比率 オーストリア ベルギー カナダ チェコ フィンランド フランス ドイツ ギリシャ アイルランド イタリア 日本 韓国 ルクセンブルク ニュージーランド ポルトガル スロベニア スペイン トルコ 英国 米国 アルゼンチン ブラジル サウジアラビア 南アフリカ ノルウェー ロシア スイス エストニア ハンガリー 中国 スウェーデン ポーランド スロバキア デンマーク メキシコ オランダ インド オーストラリア イスラエル アイスランド チリ インドネシア 出典:OECD 年金モデル http://dx.doi.org/10.1787/888932371006 61 原文は OECD により英語およびフランス語で発行された以下の文書: Partial translation of : Pensions at a Glance 2011 Retirement-income Systems in OECD and G20 Countries Traduction partielle de : Panorama des pensions 2011 Les systèmes de retraites dans les pays de l'OCDE et du G20 © 2011 OECD All rights reserved. (日本語版)© 2013 公益社団法人日本年金数理人会 62 追悼文 「年金研究の巨星墜つ」 年金数理人 久保知行 その知らせは、遠い世界から届いた一陣の風のようであった。年金研究の巨人、マクギ ル博士(Dr. Dan McGill)の訃報である。 まず、博士が創設されたペンシルバニア大学ウォートンスクールの年金研究協議会 (Pension Research Council)の 2013 年 3 月 4 日 e-ニュースの哀悼文要旨をご紹介しよう。 ――― <http://www.pensionresearchcouncil.org/pdf/news/292.pdf> ――― 親愛なる年金研究協議会の同志の皆さん 私たちは、哀悼の意をこめて、ダン・マクギル博士が、2 月 5 日(火)にペンシルバニア州 Bala Cynwyd で、ご逝去されたことを発表します。 マクギル博士は、ペンシルバニア大学ウォートンスクールの保険学名誉教授で、企業年 金の卓越した専門家でした。専門分野に対する彼の多くの貢献の中には、年金および保険 における実務と用語の集大成および標準化がありました。その分野における巨人であるマ クギル博士は、8 冊の書、さらに共同執筆のいくつか、ならびに多数の学術論文を執筆さ れました。彼の書いた教科書『Fundamentals of Private Pensions』は、初版は 1964 年で、現 在は第 9 版ですが、依然として、年金分野の権威あるテキストです。彼の著書『Guaranty Fund for Private Pension Obligations』は、1974 年制定のエリサ法(ERISA)の第 IV 章(支払保証制 度)の先駆者でした。 マクギル博士は、1952 年から 1990 年の引退までウォートンで教鞭をとられました。彼 は 1952 年にウォートンの年金研究協議会を設立し、引退まで代表の座にありました。彼は また、ウォートンスクールの保険およびリスク・マネジメントの学部長となり、年金給付 保証公社の大統領任命の諮問委員会の初代議長でした。彼は、多くの民間企業ならびに連 邦準備制度の理事会を含めた政府機関に、助言を行いました。 ウォートンの保険およびリスク・マネジメントの名誉教授で前学部長の Jerry Rosenbloom は、マクギル博士について、 「彼は、あらゆる点で本物の専門家であり、人々のために時間 を常に割いた本当の紳士でした。彼は、非常に多くの人々にとってのよりどころであり、 多くの人々の生活を変えました。」と述べました。ウォートンの従業員給付制度の国際関係 学の教授で年金研究協議会の理事である Olivia S. Mitchell は、 「ダンの年金、生命保険、健 康保険および長期医療に関する研究は、引退世代に、老齢期に期待する以上のものを与え た。」と述べました。 ―――――――――――― マクギル博士と私との関わりは、上記の著書『Fundamentals of Private Pensions』にかか るものであった。1980 年代の初めに米国に出張した私は、企業年金について、米国で蓄積 された知識や研究を勉強する必要性を痛感した。訪問先の年金アクチュアリーに、体系的 63 に勉強できるテキストを聞いたところ、全員が推薦したのが同書だったのである。 帰国後に、年金数理人の有志と同書の翻訳の計画を進めたが、その当時出版されていたの は第5版であった。翻訳の許可をいただくためにマクギル博士にご連絡すると、現在第6 版を執筆中だから、そちらを翻訳してはどうかとのお言葉を賜り、メンバー一同、悪戦苦 闘のうちに日米同時出版で、訳書『企業年金の基礎』 (ぎょうせい)にこぎつけることがで きたのである。その際に当方の出版社に提示された著作権料は、名ばかりの金額で、事実 上無償と言えるものであったことも覚えている。 だが、話はそこでは終わらない。1988 年の米国滞在の際に、ウォートンで博士にお目に かかる機会を得たが、当時すでにご高齢であった。1990 年に引退される直前だったわけで あるが、博士との会見は、翻訳作業にいそしんだ過去の思い出の締めくくりとなるはずで あった。 ところが、1990 年代の終わりに、博士が新版を出されたとの知らせが舞いこんできた。 その時の衝撃は、今でも鮮明である。大きな疑問は、功成り名を上げ当時は大学も引退さ れていた博士が、どうして新版を出す必要があったのか、ということであった。例えて言 えば、無敗で引退したボクシングのチャンピオンが、再びリングに立ったような気がした のである。 その後の悪戦苦闘は、第7版の翻訳『企業年金の基礎(改版)』に記したところであるが、 博士が第7版を出された理由は、原文にあたって知ることができたように思う。それは、 第 27 章の最後に記された「さほど遠くない将来に、企業年金制度が、公的年金制度が現在 直面している見通しと同様に、掛金費用を増やすか年金給付を減らすかという厳しい選択 に直面することは明らかであろう」ことに対する博士の強い危機感であったろう。 第 18 章で、博士は、「就労中に低賃金の労働者の必要性を満たすことは、我々の社会制度 の課題である。課題に対応できない場合には、最低所得の引退者の状況を改善しようと望 むなら、我々は社会制度を再構築しなければならない。」と書いておられる。 第7版が出た以降、年金を取り巻く状況は、厳しさを増す一方に思える。英米では給付建 ての制度から掛金建ての制度への切り替えが進み、日本でも非正規労働者が増加して、国 民の老後を守るべき年金制度に対する期待感や信頼感は、大きく揺らいでいる。 けれども、そんな時代であるからこそ、人々が安心で安全な暮らしができるようにするた めの知恵が、いっそう求められることになるのではないか。 『年金科学』の創設者ともいえ るマクグル博士が私たちに託したのは、その困難な課題に勇気をもって立ち向かう情熱の 継承であろう。バトンを受け取る私たち一人ひとりの気概が、問われているのではないか。 偉人とは、そんな思いを抱かせてくれる人のことであろう。 恩師マクギル先生、安らかにお眠り下さい。 64 論文募集について 本誌では、下記要領にて論文を募集いたします。 1. 応募テーマ 企業年金の制度、財政、会計、税制、投資理論、ファイナンス等に関する内容をはじめ、公的 年金、社会保障等も含めた広く年金に関る内容を対象とします。 例: ・ 人口減少・高齢社会における公私年金の役割と運営のあり方 ・ 退職給付の債務・費用の測定のあり方 ・ 企業年金の本質と今後の企業年金のあるべき姿 ・ 終身年金の効用と普及のための課題 2. 応募資格 企業年金に関心のある方ならどなたでも結構です。年齢、国籍を問いません。また、団体等共 同執筆による応募も可とします。 3. 応募方法概要 (1) 論文は、次の書式等とします。 ・ A4 判横書き 5~10 頁程度、1 頁 40 字×36 行、日本語 ・ 表やグラフは最小限 ・ 他から引用した部分や統計は出所を明示 ・ 氏名、住所、電話番号、FAX、メールアドレスを記載 (2) 未発表の論文又は既発表の論文としますが、既発表の論文の場合には、発表先の了解を予 め得てください。 (3) 提出された論文は返却しません。 (4) 日本年金数理人会調査研究委員会にて、掲載の可否を決定いたします。 4. 企業年金研究賞論文について 日本年金数理人会では、JSCPA 調査報掲載の論文の中から、優秀な作品について企業年金 研究賞を授与します。 詳細が決まりましたら、別途お知らせをいたします。 5. 論文送付先 お問合せ・応募先 公益社団法人 日本年金数理人会 調査研究委員会 65 〒108-0014 東京都港区芝 4-1-23 三田NNビルB1 階 電 話 03-5442-0208 FAX 03-5442-0700 ホームページ http://www.jscpa.or.jp/ 電子メール mitann#[email protected] ご意見・ご要望について 日本年金数理人会調査研究委員会では、会員の皆様からの本調査報への、ご意見、ご 要望を受け付けています。 調査報の内容、今後取り上げてほしいテーマなど、ぜひお寄せください。 ご意見・ご要望の送付先 公益社団法人 日本年金数理人会 調査研究委員会 〒108-0014 東京都港区芝 4-1-23 三田NNビルB1 階 電 話 03-5442-0208 FAX 03-5442-0700 ホームページ http://www.jscpa.or.jp/ 電子メール mitann#[email protected] 2013 年 7 月 発 行 発行者 公益社団法人日本年金数理人会 〒108-0014 東京都港区芝 4-1-23 三田NNビルB1 階 電 話 03-5442-0208 FAX 03-5442-0700 ホームページ http://www.jscpa.or.jp/ 電子メール mitann#[email protected] 編 集 公益社団法人日本年金数理人会 調査研究委員会 66
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