よくあるシリーズ② お腹が痛くなるのはどうして?! 腹痛は、消化器、泌尿器、婦人科領域、血管、筋肉、腹膜など腹腔内にあるあらゆる器官の 変化で起こります。 それだけでなく心臓などの病気でも起こり、おそらく病気のなかで腹痛を主症状とするものが 最も多いのではないかと思われます。にもかかわらず、痛みの程度や部位、性質、随伴症状など で原因となる病気がある程度推測できるのが腹痛でもあります。 ※腹腔内にある臓器とは…胃・十二指腸、肝臓、胆のう、すい臓、脾臓 お腹が痛いときの応急手当は?? ① 楽な姿勢をとらせる。 (お腹を痛がる人の場合、膝屈曲位をとらせるとよい) 腹痛の人は、自然と楽な姿勢をとっていることが多い。 吐き気がある場合は、横向きに寝かせる。 ② 衣服やベルトなどを緩める。 ③ お腹が冷えているようなら、カイロ等で温めると痛みが和らぐ。 こんな腹痛のときは救急車を呼びましょう!! ・突然の激しい腹痛 ・持続する激しい腹痛 ・吐血や下血を伴う腹痛 ★腹痛のときには以下の質問に答えられるようにしておくことが大切★ 1. お腹はいつから痛いのか? 痛みは突然痛くなったか?(どれくらいの時間で悪くなったか) 痛みは繰り返すか? 2. 時間経過はどうか? 痛みは徐々に増悪しているか? 持続時間はどれくらいか? 痛みのピークはいつか? 3. 痛みはどんな痛みか? 絞るような痛みか? 持続的な痛みか? 波のように繰り返すような痛みか? 4. 5. 痛みが増悪する、和らぐことは? ・食後に悪化する →胃潰瘍、膵炎、胆石発作 ・食後に楽になる →十二指腸潰瘍、胃食道逆流症 ・歩行や体動で悪化する →腹膜炎 ・深呼吸で悪化する →胸膜炎、肺炎、肋骨骨折、肝周囲炎 ・寝ていると悪化する →胃食道逆流症、脊髄圧迫 腹痛以外の症状は?? ・発熱はどうか? ・吐き気、嘔吐は? ・食欲はどうか、水分は摂れているか? ・排便はあるか?(血便、黒色便、血尿、下痢の有無) ・排尿はどうか?(頻尿、排尿時痛、血尿、尿の量) ・睡眠はどうか? ・不正出血の有無(女性) 6. アレルギーの有無 7. 月経歴、妊娠の有無 それでは!! 腹痛で、よく搬送される主な疾患を見ていきましょう☆ 胃の粘膜に炎症が生じると、胃の粘膜は多かれ少なかれ障害を受けます。この時、粘膜が 深くえぐり取られたものを“潰瘍”と呼んでおり、浅い変化しか生じなかったものを“び らん”と呼んでいます。 胃潰瘍:40歳以降の人に多い 十二指腸潰瘍:10~20代の若年者(特に男性)に多い 原因 ピロリ菌であると言われています。 症状 胃潰瘍:食後30分から1時間たった後の上腹部痛 十二指腸潰瘍:空腹時痛、特に夜間に多い ※痛みが出現しないこともある!! 胸やけ、吐き気、嘔吐、腹部膨満感 潰瘍からの持続的な出血があると…吐血(コーヒーの残りかす様) 下血(黒っぽい便) す ぐ に 救 急 車 を ! 出 血 症 状 が あ れ ば 、 食べ物や消化液の流れが小腸や大腸で滞った状態、すなわち 内容物が腸に詰まった状態を言います。腸が拡張して張ってくる ためお腹が張って痛くなったり、肛門方向へ進めなくなった腸の 内容物が口の方向に逆流して吐き気を催し、嘔吐したりします。 腸閉塞は、吐き気・嘔吐を伴う腹痛が現れる代表的で一般的な病気です。 原因 腸の外側の場合:腸の圧迫、ねじれ 腸の手術後(腸が腹壁と癒着、腸同士が癒着) 腸の内側の場合:大腸がん、 高齢者で便秘傾向の人では硬くなった便自体 症状 腹痛(きりきりと強い痛みが起こり、しばらくすると少し和らぐ) 吐き気・嘔吐、腹部膨満、排ガス・排便の停止 ●自然に治ることはないので、早めに病院を受診すること!! 虫垂に化膿性の炎症が起こる病気で、 急性腹症の原因として最も多いです。 虫垂炎の発症のピークは10~20代 (幼児期以降に増加し、学童期に好発)。 老人、幼児では穿孔例が多く、 妊婦では圧痛点が右上方へ移動します。 原因 完全に分かってはいない。 症状 主症状:腹痛、食欲不振、発熱、吐き気、嘔吐 典型的な経過: 【初期症状:上腹部やへその周りが突然痛む】 【発熱、吐き気、嘔吐、食欲不振】 【数時間から24時間以内:痛みが右下腹部に移動】 ●虫垂炎は自然によくなることはなく、放っておくと穿孔して腹膜炎を起こし、 命にかかわるので、病院を早く受診して下さい!! 心臓から血液を体の各部に運ぶ大動脈は、外膜、中膜、内膜の 3構造からなる臓器で、この構造によって十分な強度と弾力性 を保っています。何らかの原因で動脈の内側にある内膜に裂け 目ができ、3構造の中央にある中膜内に血液が入り込んで大動 脈が避けることを大動脈解離と言います。 60~70歳代に多いです。 原因 症状 原因は不明。 前触れもなく現れる強い胸痛・背部痛、 呼吸困難、ショック 腎臓から尿道に至る尿路管腔内に、尿成分の一部が 析出・結晶化し、結石として尿管内にとどまった状態 を言います。30~60代の男性に多いです。 約95%が上部尿路結石(腎杯・腎盂・尿管)に できます。 原因 (1)尿路の通過障害 ●先天的に腎盂と尿管の移行部が狭い ●腎盂・尿管がん ●長期臥床による尿流停滞 ●前立腺肥大 (2)尿路感染 (3)水分摂取 →水分を多く取ることが結石形成の予防になる!! 糖質を含む清涼飲料水、甘味飲料水、コーヒー、紅茶、アルコール の過剰摂取は避け、一般家庭の水道水や麦茶、ほうじ茶がよい。 (4)食事 →偏食・過食にならにように、バランスのとれた食事をする!! 症状 腰背部~下腹部の発作性激痛、 血尿、吐き気、嘔吐
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