地域経済調査 福岡県の企業倒産の状況 〜高水準が続く可能性〜 ● 06 年は増加に転じた 図 1 はバブル期から昨年までの福岡 図1 福岡県と全国の倒産件数 (件) 1000 (件) 25,000 全国(右軸) 県と全国の倒産件数の推移を見たもの です。 バブル景気の最中の 90 年に最も少な 800 20,000 600 15,000 くなりましたがその後増加し、98 〜 01 年には全国、福岡県ともに最も多くなり、 全国は 02 年から、福岡県は 01 年から 減少傾向となりました。ところが、06 年 400 10,000 福岡県(左軸) には全国、福岡県とも前年より多くなりま した。ここでは、減少傾向となった 2000 200 5,000 年以降の福岡県の状況について、減少 傾向が続いた 00 〜 05 年と、増加となっ 0 88 90 92 94 96 98 00 02 04 0 06 た 05 〜 06 年に分けて、その変化を中 心に見てみます。 ●大型の倒産は減少が続く 図 2は倒産企業を負債総額の 1 億円 図2 福岡県の倒産件数 (件) 800 以上と1億円未満に分けてみたものです。 (負債額別内訳) 1 億円未満の件数は、全体の件数同 様に01 年以来 05 年迄は減少が続いて 700 全体 いましたが、06年には増加しました。 600 一方、1 億円以上の件数のピークは 1億円以上 500 1億円未満 01年で、全体のピークに1年遅れています。 また、全体が増加した 06 年も前年を下 400 回っており、減少傾向が続いています。 300 その為、06 年の全体の倒産件数は前年 200 を上回りましたが、倒産に伴う負債総額 100 の合計は、前年を下回りました。 0 99 00 01 02 03 04 05 06 年 ●増加した時期は地区毎に異なる 図 3は、福岡県内を、福岡都市圏と朝倉地域の「福岡地区」、北九州、筑豊地域の「北九州地 区」、 「筑後地区」に分けて件数の推移を見たものです。 3 福銀調査月報 2007年3月 県全体では、00 年をピークに減少 図3 地区別の推移 (件) 900 が続いていましたが、地区別に見る とそれぞれの地区で一時的に増加し 800 た時期があり、どの地区も減少が続 700 いていた訳ではありません。 「福岡地区」 県全体 600 は 01 年、 「北九州地区」は 02 年、 「筑 500 後地区」は 03 年と 1 年ずつ増加し、そ の時期は異なっています。公共工事 福岡地区 400 の削減が建設業の倒産を増加させた 300 と思われますが、その影響の大きか 200 った時期は地区によって異なっており、 北九州・筑豊地区 建設業の倒産件数が増えた時期が違 100 筑後地区 ったためです。 0 00 01 02 03 04 05 06 年 ●多いのは「建設業」、 「卸・小売業」だが、 「サービス業」が拡大 図4は業種別に倒産件数を見たもの 図4 業種別の件数推移 (件) 350 です。06年で最も多いのは「建設業」で、 次いで「卸・小売業」、 「サービス業」の 300 順となっています。 建設業 全体の件数が減少した01年から05 250 年について見ると、 「建設業」 「卸・小 卸・小売業 売業」 「その他」は減少傾向となってい 200 ました。 「サービス業」は横ばいでした 150 が、05年には増加しました。 その他 100 全体の件数が増加に転じた06年は、 「建 設業」「卸・小売業」は増加しましたが、 50 「サービス業」は横ばいでした。 「建設業」 サービス業 「卸・小売業」はどの地区でも同じ様に 0 00 01 02 03 04 05 06 年 増加しました。 「サービス業」は特に「福 岡地区」で高水準が続いています。 業種別に先行きを見ていきますと、 「建設業」は、公共工事の減少が続いている事から余り 減少しないと思われます。また、景気回復の鍵を担うとされる個人消費関連の「卸・小売業」 も、規模の拡大が続くなど競争が激しくなっています。 「サービス業」も新しいサービスの誕 生などによる新規参入が多いこともあって、倒産件数は高水準で推移すると思われます。こ れらのことから、景気は回復傾向にあるものの、倒産件数はむしろ高い水準が続く可能性が あると思われます。 (中村) 資料: 「九州・沖縄地区企業整理倒産状況」 (㈱東京商工リサーチ 福岡支店) 福銀調査月報 2007年3月 4
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