ホテル産業論

2010年度 首都大学東京「ツーリズム産業論」
ホテル産業論
宿泊業の変遷と最新事情
富士屋ホテル株式会社
取締役会長
勝俣 伸
2010年12月1日
経済の動向について
ツーリズム産業について
日本国内でのツーリズム消費額
ツーリズム産業の付加価値
2008年度
ホテル旅館の軒数推移
各年(度)末現在
ホテル
旅館
普通浴場
理容所
美容所
クリーニング所
(取次店を除く)
取次所
91年
5,837
74,889
11,234
143,524
187,277
52,315
101,705
93年
6,633
73,033
10,388
142,619
189,975
51,229
104,839
95年
7,174
71,556
9,741
142,544
193,918
49,954
111,907
97年度
7,769
68,982
9,020
142,809
198,889
49,215
115,010
99年度
8,110
66,766
8,422
141,321
200,682
47,324
115,703
01年度
8,363
63,388
7,851
140,599
205,204
45,848
113,953
03年度
8,686
59,754
7,324
140,130
210,795
44,041
111,068
05年度
8,990
55,567
6,653
138,855
215,719
41,998
105,134
07年度
9,442
52,295
6,009
136,768
219,573
39,632
101,191
09年度
9,689
48,967
5,494
134,552
223,646
37,392
95,806
9 1 年比
1 6 6 .0 %
6 5 .4 %
4 8 .9 %
9 3 .7 %
11 9 .4 %
7 1 .5 %
9 4 .2%
*11/6日付観光経済新聞掲載(厚生労働省資料)より
ホテル旅館数2009年度
2009年度実数
・旅館
4万8967軒 79万1907室
9689軒 79万8070室
・ホテル
※厚生労働省調べ
ホテルの分類
宿泊目的
ホテル
ビジネス( 出張、商談) ワシントンホテル/JRホテルメッツ
コンベンション(会議)
インターコンチネンタルホテル横浜
アミューズメント
東京ドームホテル/ディズニーランドホテル/舞浜のホテル郡
テーマパーク
ディズニーアンバサダーホテル
観光・リゾート
ザ・ブセナテラス/ザ・ウィンザーホテル洞爺
長期滞在型
コンドミニアム/ マンスリーホテル
立地条件
ホテル
シティホテル(都市)
帝国ホテル/グランドハイアット東京
サバーバン(郊外)
京王プラザホテル八王子/地方都市ホテル
ロードサイド
ファミリーロッジ旅籠屋
ターミナル
JRホテルメッツ/プリンスホテル
リゾート( 海浜)
ザ・ブセナテラス
リゾート( 湖畔)
ザ・ウィンザーホテル洞爺
ホテルの分類
価格帯
Luxury
●フォーシーズンズホテル丸の内
●パークハイアット東京
価
格
帯
●ロイヤルパークホテル
●新浦安
ブライトンホテル
Mid-price
Economy
Budget
●セルリアンタワー東急ホテル
●パークホテル
Upscale
●帝国ホテル
●東横イン
●スーパー
ホテル
●
メトロポリタン
エドモント
●
品川プリンス
ホテル
●ワシントン
ホテル
●アパホテル
客室数
ホテルの分類
資本形態
専業系
鉄道系
航空会社系
不動産系
経営形態
所有直営方式
賃貸借方式
lease contract
運営委託・受託方式
management contract
フランチャイズ方式
franchise contract
ホテル
帝国ホテル
東急ホテルズ / プリンスホテルズ
JALホテルズ、ANAホテルズ
ロイヤルパークホテルズ
ホテル
ホテルニューオータニ
リッツカールトンホテル東京
ウェスティンホテル東京
コートヤード・バイ・マリオット東京銀座ホテル
2000年以降
・外資系高級ホテルの開業
・国内ホテルの建替改修
開業年
2003年
2005年
2005年
2007年
2007年
2009年
2010年10月
2010年10月
2012年1月
ホテル名
グランドハイアット東京
コンラッドホテル東京
マンダリンオリエンタル東京
ザ・リッツカールトン東京
ザ・ペニンシュラ東京
シャングリ・ラ・ホテル東京
セントレジスホテル大阪
ザ・キャピトルホテル東急
パレスホテル
地区
六本木
汐留
日本橋
六本木
有楽町
八重洲
大阪
永田町
丸の内
外資系ホテル参入の背景
z
z
z
z
バブル崩壊による地価の下落
都心大型再開発における不動産価値の向上
アジア地区におけるビジネス拠点
国内におけるホテルブランドの広告宣伝効果
室数
389
290
179
248
314
204
160
251
290
老舗ホテルの建替改修
ザ・キャピトルホテル東急
新業態宿泊施設
ファーストキャビン 大阪御堂筋難波・京都烏丸に出店
(飛行機のファーストクラスをイメージしたキャビンスタイルのホテル)
ホテルを取り巻く環境変化と課題
主要顧客の変化
消費者需要の多様化
価値観の多様化
多彩な販売チャネルの出現
グローバルホテルの進出
少子高齢化社会の到来
ホテル事業の特性
1.多額の先行投資
2.立地、規模、施設構成の成約大
3.運営上は人的サービスが中心
4.季節変動、景気動向の影響大
5.提供するサービスの在庫ができない
日本のホテル経営の特徴(主にシティホテル)
*宿泊部門の比率が低く、宴会部門の割合が大きい。
*人件費が相対的に高い。
*あらゆる面でコストが高く、収益率が低い。
消費者需要の多様化
高級化志向
リーズナブル志向
¾旅行ぐらいは贅沢したい
¾ファミリーだから広い部屋がいい
¾ホテルでのエステを楽しみたい
¾なるべく安く旅行をしたい
¾露天風呂付き客室に泊まりたい
¾団体で宿泊宴会がしたい
¾ホテルのグレードにはこだわりたい
¾卒業旅行がしたい
ホテルの特性によってどのような消費者
をターゲットにするかがポイントとなる
ホテルの景気感応度
ホテルのタイプ
タイプ別の特性
収益変動性
ビジネスホテル
都市部に立地する宿泊機能特化型ホテル。ターゲットがビジネス客や観光客と
するため需要が安定。
低い
シティホテル
宴会・料飲施設を持つ多機能型ホテルであり、ビジネスホテルと比較すると外
部影響による収益変動リスクは高い。リゾートホテルと比較すると宿泊者以外
の利用も見込める為収益変動性は低い。
リゾートホテル
多機能なホテルであると共に、観光地に立地するため、宿泊者がホテル内の施
設を利用する傾向が高く、宿泊者数の変動に連動して他部門への影響を受け
やすい。また景気感応度や自然環境(季節)への依存度が高い為、外部影響
による収益変動リスクが高い。
高い
ホテルカテゴリー別売上比率
リゾート
アーバンリゾート
富士屋ホテル(146室)
甲府富士屋ホテル(103室)
ビジネス
八重洲富士屋ホテル(377室)
宿泊部門 23%
宿泊部門 17%
宿泊部門 50%
料飲部門 37%
料飲部門 22%
料飲部門 20%
婚礼部門 22%
婚礼部門 29%
婚礼部門
3%
宴会部門 28%
宴会部門 27%
宴会部門
売店部門 15%
売店部門
4%
マーケティングの重要性
外部環境
内部環境
¾トレンド(流行)
¾ホテルの特性
¾経済状況
¾顧客の特徴
¾地域の人口割合
¾価格設定
¾ニーズの多様化
¾繁忙時期
ターゲットを明確にする
施策・新商品の開発
売店部門
0%
3%
商品キーワード
90泊2食、贅沢な休日のススメ
9日帰りホテルランチ
9リゾートでのゴルフミーティング
9自然の中でオフサイトミーティング
9紅葉を愛でる山梨の旅
9秋の訪れを感じる、箱根の旅
9お部屋から電車が見えるとレインビュープラン
9アート&ステイ 極上の美術館に触れる、入館券
付き宿泊プラン
9パワースポットめぐり 箱根・富士山
9国内おすすめ一人旅
9ゆったり余裕の旅~連泊のすすめ~
9ホテルのレディースプラン
9富士山の見えるお部屋
9ホテルで楽しむ温泉
リゾートホテルでの取り組み
(1)地域社会との連携
1.インバウンド獲得(箱根町コンベンションビューロー)
2.MICE獲得(箱根スパリゾートコンファレンス)
3.リゾートブライダル(小田原箱根ブライダル協議会)
(2)各施設の重点強化
4.WEBマーケティング
5.外販商品の拡販
インバウンド獲得の取り組み
国・地域全体でのインフラ整備
ビジットジャパンキャンペーン
VISA発給緩和
羽田空港国際化
インフォメーションデスク設置
(JINTO)
宿泊施設の対応
外国語予約サイトへの登録
自社HP外国語ページの充実
語学に堪能なスタッフの採用
現地エージェントとの人間関係構築
(新ロゴマーク)
MICE受注の取り組み
国際会議の開催件数
M Meeting = 企業などの会議
件数
2,500
I Incentive = 招待会 / 懇親パーティー
2,000
C Convention / Congress = 国際会議 / 大会
E Exhibition / Event = 展示会 / 催し物
1,500
1,000
500
0
2005年
2006年
2007年
2008年
(観光庁調べ)
平成23年までに5割以上の増加を目標
箱根スパリゾートコンファレンス
(目的)平日の活性化と国際会議受入
小田急リゾーツ2ホテル
藤田観光1ホテル
プリンスホテル3ホテル
富士屋ホテルチェーン3ホテル
統一商品の開発
・コンファレンスプランナーの常駐
・コンファレンスパッケージ商品
・ワンストップサービス
・KIOSKの設置
ブライダルへの取り組み
少子化・晩婚化によりブライダル市場は縮小傾向
地味婚、ゲストハウス、少人数等ニーズは多様化
(今求められているもの)
家族との絆
結婚式 + 家族宿泊旅行
国内リゾートウェディング
WEBマーケティングの取り組み
(楽天トラベル)
(じゃらんネット)
¾自社サイトの充実
¾会員・リピーターの獲得
¾モバイルサイトの運用
¾宿泊予約サイトの活用
(一休)
¾メールマガジンの配信
¾口コミへの回答
¾ブログ、ツイッター、SNSの活用
¾オークション、共同購入クーポン参画
(ポンパレ)
外販商品の拡販
(販路の拡大)
・ホテル内店舗、百貨店、催事
・HPオンライン販売、ショッピングサイト、
(商品の増加)
・レトルト、缶詰、ジャム、惣菜、クッキー、ケーキ
・枕、ベッド、家具、パジャマ、お皿
新たな取り組み・施策立案
お客様の声
女性スタッフの意見
若手社員のアイデア
マーケティング(商品企画)会議
¾新プランの企画
¾サービス方法の変更
¾優先的設備投資の判断
ホテル業(ホスピタリティ業)とは
‡
‡
‡
クオリティの高いホスピタリティを提供する産業
おもてなしの心を基盤としたサービスの代価として、収入から利益を得る
事業
お客様に心から喜び満足していただくことに対し、自らも喜び、生き甲斐
を見出す資質をもった人々の集まる職場
ホスピタリティ人材の育成
1つの空気
ホテルブランド