プロダクトクリエーションミーティング(東京)資料

加速するプロダクトクリエーション
2011年6月29日
林 秀樹
チーフプロダクトクリエーションオフィサー
将来見通しに関する注意事項
• 本発表において提供される資料ならびに情報は、いわゆる「見通し情報」(forwardlooking statements)を含みます。これらの文言は、現在における見込み、予測、リス
クを伴う想定、実質的にこれらの文言とは異なる現実的な結論、結果を招き得る不
確実性に基づくものです。
• それらリスクや不確実性には、一般的な業界ならびに市場の状況、金利、通貨為替
変動といった一般的な国内および国際的な経済状況が含まれます。リスクや不確実
性は、特に製品に関連した見通し情報に存在します。製品のリスク、不確実性には、
技術的進歩、特許の競合他社による獲得、臨床試験の完了、製品の安全性ならび
に効果に関するクレームや懸念、規制機関による承認取得、国内外の保健関連改
革、マネジドケア、健康管理コスト抑制への傾向、国内外の事業に影響を与える政府
の法規制など、新製品開発に付随する課題などが含まれますが、これらに限定される
ものではありません。
• また、承認済み製品に関しては、製造およびマーケティングのリスクがあり、需要を満
たす製造能力を構築する能力を欠く状況、原材料の入手困難、市場の受容が得られ
ない場合などが含まれますが、これに限定されるものではありません。
• 新しい情報、将来の出来事もしくはその他の事項より、見通し情報に更新もしくは改
正が望ましい場合であっても、それを行う意図を有するものではなく、義務を負うもの
ではありません。
1
エーザイプロダクトクリエーションシステムズ (EPCS)
従来の研究開発体制から
エーザイプロダクトクリエーションシステムズへの
トランスフォーメーション
2009年7月1日発足
• ユニット毎の自律的マネージメントによるベンチャー様の
生産性の実現
• 先進技術の導入による開発期間の短縮
• ユニット間の有機的連携によるイノベーションの実現
2
我々の想い
“疾患の改善と治癒をもたらす新しい薬剤を
望まれている患者様に一日も早く届ける”
自律的なマネジメントによるユニット間の有機的な
連携により、‘開発期間の短縮’をもたらす
イノベーションを実現する
3
ユニットプレジデントへの期待
発明・発見から承認取得までの
End to endを委せる
良き所有意識と責任意識の醸成
チャンピオンを生む
4
エーザイプロダクトクリエーションシステムズ (EPCS)
の全体像
コアファンクションユニット(CFU)
6 技術・機能領域
プロダクトクリエーションユニット(PCU)
6 創薬領域
ニューロサイエンス PCU
Lynn Kramer
Michael Lewis
オンコロジー PCU
バイオマーカー&パーソナライズドメディスンCFU
Takashi Owa
Yoshiya Oda
モルフォテック PCU
サイエンティフイック&オペレーショナルクリニカルサポート
CFU
Nicholas Nicolaides
フロンティア PCU
協
働
Masanori Tsuno
ネクストジェネレーションシステムズCFU
Yasunobu Kai
Kappei Tsukahara
KAN PCU
バイオファーマシューティカルアセスメントCFU
Toshio Imai
5
ファーマシューティカルサイエンス&テクノロジー CFU
Akiyoshi Suganuma
日本・アジア臨床研究 PCU
グロ-バルレギュラトリーアフェアーズCFU
Toshio Ohbayashi
Mark Taisey
開発期間の短縮
加速するプロダクトクリエーション(1)
世界同時開発・申請の進展
具体例
ハラヴェンは、2010年3月30日に日米欧で同日
申請し、13ヶ月以内に3極での承認取得を達成
更に、シンガポール、スイスでの承認を取得、
他のアジアを含む各国で申請中
6
加速するプロダクトクリエーション(2)
バイオマーカー研究の促進
具体例
 全ての開発段階にバイオマーカーを活用することによ
り、薬効を早期に把握し、治療効果の見込める患者
様を特定し、開発期間を短縮
 バイオマーカーとイメージングマーカーの開発により、
特にオンコロジー領域とアルツハイマー病プロジェクト
へ貢献
7
加速するプロダクトクリエーション(3)
臨床開発の加速
具体例
 シンプルフォーミュレーション(単純化製剤)による
フェーズⅠ試験の可能な限り早期の実施
 戦略的提携による外部からの資源投入により多く
の適応症で可能な限り早期のPOC達成
 複数の試験の同時並行実施や、各臨床フェーズの
試験のオーバーラップによる臨床開発期間の短縮
 インドのデータマネジメント機能を活用したグローバ
ル試験のデータ解析期間の短縮
8
加速するプロダクトクリエーション(4)
社外の知と社内の知との融合による
オープンイノベーションの追求
具体例
 ニューロサイエンスPCUにオープンイノベーション部を
設置し、社外との研究連携を推進
 オンコロジー領域でのバイオベンチャーからの技術導入
ならびにがん遺伝子情報に基づく個別化医療の実現
 構造多様性(DOS)に基づく化合物ライブラリーの活用
9
加速するプロダクトクリエーション(5)
成功確度の高い自社開発品に
資源を集中投入
具体例
計画「はやぶさ」中に上市予定の、
ハラヴェン適応追加、ぺランパネル、lenvatinib、
farletuzumab、E5501に資源を集中投入
10
加速するプロダクトクリエーション
開発、申請、承認が計画を上回る進行
ペランパネル
ハラヴェン
部分てんかん発作:
乳がんサードライン治療適応での
日米欧同時申請により
ドラッグラグを最小化
欧州申請済、米国申請手続き中
計画より約1年半の加速
lenvatinib
甲状腺がんフェーズⅢ試験を開始
メラノーマ、子宮内膜がん:フェーズⅡ
計画を上回る進行
clevudine
2010年12月に中国申請
計画より3ヶ月の加速
Dacogen
成人急性骨髄性白血病(AML)適応
米国申請手続き中
2010年11月米国承認,
2011年2月シンガポール承認
2011年3月欧州承認
2011年4月日本承認
2011年3月中国CTA申請
*CTA: Clinical Trial Application
farletuzumab
プラチナ感受性卵巣がん
フェーズⅢ
計画を上回る患者組み入れの進行
E5501 (AKR-501)
パリエット
ITP適応での
グローバルフェーズⅢ試験を
準備中
逆流性食道炎
(1日2回投与)
2010年12月に日本で承認取得
申請から承認まで7ヶ月
パートナーによる
2011年12月の再申請を計画
エスゾピクロン
2010年11月日本申請
計画より2ヶ月の加速
:がん領域
11
:中枢領域
:その他の領域
lorcaserin
アリセプト
レビー小体型認知症:
フェーズⅢ
少数例(140例)での
申請の可能性
加速するバイオマーカー研究
2011年6月29日
小田 吉哉
バイオマーカー&パーソナライズド・メディスン機能ユニット
医薬品開発におけるバイオマーカーの重要性
1. バイオマーカーは、創薬探索研究および臨床試験初期段階
において薬効ならびに安全性の確認や治療効果の見込める
患者様の特定を可能とする
2. 後期臨床試験において、バイオマーカーを活用することによ
り、効果の期待できる患者様を事前に特定し有効性・安全
性を確実かつ早期に確認することで、臨床試験の速度なら
びに成功確度を高める
3. バイオマーカー研究により、個別化医療を実現し、患者様と
そのご家族にさらなるベネフィットを提供する
バイオマーカーは、患者様に薬をお届けするまでの全プロダクト
クリエーション過程を加速させる
14
lenvatinibの分化型甲状腺がんフェーズⅡ試験
タンパク質バイオマーカー解析
46種のバイオマーカー候補について、49人の患者様の試料を測定
(分化甲状腺がんフェーズⅡ試験:lenvatinib)
VEGFR2(血管内皮増殖因子受容体2)
は、lenvatinibの標的となる受容体型チロ
シンキナーゼ のひとつである。
lenvatinib投与による体内での初期応答
は、VEGF(血管内皮増殖因子)産生量の
増加である。
2つのタンパク質バイオマーカーにより創薬標的への作用を確認
15
lenvatinibの分化型甲状腺がんフェーズⅡ試験
遺伝子バイオマーカー解析
遺伝子変異解析
遺伝子名
患者数 (%)
変異数
BRAF
NRAS
KRAS
VHL
ERBB2
PTEN
MYC
PIK3A
TP53
MET
4 (17)
6 (26)
2 (9)
4 (17)
1 (4)
1 (4)
1 (4)
1 (4)
1 (4)
1 (4)
1
2
2
1
1
1
1
1
1
1
10 genes
16 (70%)
計12 変異
遺伝子変異解析と最良総合効果
変異遺伝子
効果
効果の割合
正常
変異
p値
KRAS/NRAS
PR
36%
100%
0.007
KRAS/NRAS or BRAF
PR
27%
91%
0.01
KRAS/NRAS or VHL
PR
38%
89%
0.02
KRAS/NRAS or
BRAF or VHL
PR
30%
83%
0.012
33遺伝子中に443変異が存在
遺伝子変異のある分化型甲状腺がんの患者様に対して治療効果が高い
16
lenvatinibの分化型甲状腺がんフェーズⅡ試験
遺伝子バイオマーカー解析
1つの遺伝子バイオマーカー無増悪生存期間
(フェーズ II 試験)
無憎悪生存期間の予測
Ras変異群
Ras 正常群
P = 0.019
Hazard Ratio = 0.124
無憎悪生存期間(日数)
 Ras変異群では有意に無増悪生存期間が延長する
バイオマーカー解析による無増悪生存期間の予測
17
lenvatinibのメラノーマ試験(前臨床から臨床へ)
遺伝子バイオマーカーによる患者様の選択
メラノーマ前臨床モデル実験におけるlenvatinib の抗腫瘍効果
遺伝子バイオマーカー:
前臨床モデル実験において
lenvatinibは、BRAF 野生型の
メラノーマにおいてより効果を
示した
フェーズⅠ臨床試験におけるメラノーマに対するlenvatinibの最大腫瘍縮小率
 遺伝子の変異状態を基に、患者様を層別して
フェーズⅡ試験が進行中
 野生型のメラノーマのがん原遺伝子の中で
バイオマーカーとしての妥当性を検証中
 これらのバイオマーカー候補はフェーズⅡ試験
にて有用性検討がなされる
18
イメージングによるハラヴェンの薬理作用の解明
• ハラヴェンの効果をDCE-MRI法によっ
て侵襲性ヒト乳がん細胞(MX-1)移植
モデルマウスにて検討した
ハラヴェン
投与群
• DCE-MRI によって腫瘍内の微小血管
系の透過性におよぼす影響を評価でき
る
投与5日目
投与14日
目
Kttrans value (1/min)
投与1日目
tumor
パクリタキセル
投与群
Halaven
tumor
侵襲性ヒト乳がん細胞(MX-1)皮下移植モデルにお
いて、ハラヴェンは血管透過性を減じることを確認
19
バイオマーカーによる
前臨床試験データと臨床試験データのブリッジング例
Phospho-c-Met Y1234/1235
E7050 による c-Met のリン酸化抑制効果
E7050
Treatment
肺がん細胞株移植モデル
E7050
Treatment
E7050 102 臨床試験サンプル
タンパク質バイオマーカーにより創薬標的への作用を確認
20
イメージングによるアリセプトの薬理作用の確認
• 陽電子放出断層撮影法 (Positron Emission Tomography: PET)
および単一光子放射断層撮影(Single Photon Emission Computed
Tomography: SPECT) はアルツハイマー病における病態進行状況、
薬理および治療効果の測定に利用できる可能性がある
• イメージングによって脳内代謝活性、血流量、老人斑の蓄積状況、
薬物動態学的な反応、投与薬剤の受容体占有率などが定量的に測
定できる
• AD遺伝子改変マウスにおいてアリセプトの影響を、18F-FDG PET
および123I-iomazenil SPECT画像で確認
•123I-iomazenil
SPECT– ベンゾジア
ゼピン受容体の逆作
動薬 神経病理学的
変化を反映
21
•18F-FDG PET
- 糖代謝を反映
 アミロイド産生遺伝子改変マウスにおいてアリセプトの作用を、PETおよび
SPECT画像で確認
基礎研究から臨床試験にわたって常に患者様に思いを馳せる
“バイオマーカー研究はエーザイの
医薬品開発を加速し成功確度を高める”
22
加速するオンコロジーポートフォリオの進展
2011年6月29日
大和隆志
オンコロジー プロダクトクリエーション ユニット
日米欧で抗がん剤ハラヴェンの承認を取得
ハラヴェン
静注用
1mg
(一般名:エリブリンメシル酸塩)
効能・効果(日本)
手術不能又は再発乳癌
・初めて日米欧三極で同日申請し、
13ヵ月以内で日米欧で承認取得
・初めて転移再発乳がんで単剤での
全生存期間延長
承認取得状況
•
•
•
•
•
25
米国:2010年11月(2010年度売上高25百万米ドル)
シンガポール:2011年2月
EU:2011年3月
日本:2011年4月
スイス:2011年5月
ハラヴェン発明・発見の経緯
•1985年、名古屋大学 平田教授・上村博士のグループは
三浦半島沖で採取した600 kg のクロイソカイメンから
単離したハリコンドリンB 12.5 mg を用いて構造決定
•1992年、ハーバード大学の岸義人教授のグループは、
野崎-檜山-岸(NHK)カップリング反応をキーステップ
とし、すべての合成原料(パーツ)がハリコンドリン1点に
収束していく方法論によって、はじめてハリコンドリンB
の全合成に成功
Marine sponge Halichondria okadai
:
•1992年、エーザイボストン研究所はハリコンドリンB
類縁体の本格的な探索合成研究に着手し、in vitro、
in vivo評価モデルにおいて理想的な活性を示す
ハラヴェン(eribulin mesylate)の創製に成功
全合成工程数: 62
超低温反応: 6
禁酸素反応: 5
:不斉炭素
:
全合成工程数: 62
超低温反応: 6
禁酸素反応: 5
26
ハラヴェン
ハラヴェン EMBRACE試験アップデート
-全生存期間延長作用を再確認-
• San Antonio Breast Cancer Symposium(2010年12月)において、
EMBRACE試験の全生存期間における最新の解析データを発表
-ハラヴェンの全生存期間延長作用を再確認
-安全性プロファイルは前回の解析から変化なし
ハラヴェン投与群では、
治験医師選択療法施行群に対し、
全生存期間中央値を2.7カ月延長
全生存期間の中央値
ハラヴェン投与群
13.2カ月
10.5カ月
対照群
P=0.014
ASCOハラヴェンブース
27
ハラヴェンの薬剤プロファイルと最大化戦略
新規の作用機序を有する
微小管ダイナミクス阻害剤
・転移性乳がんにおいて、全生存期間延長の
ベネフィット
 全生存期間を、治験医師選択療法施行群との比較に
おいて有意に延長する、世界で初めての単剤療法
リポソーム製剤
自社抗がん剤との
併用戦略
・簡便な使用法
 ボーラス投与による短時間での投与
 過敏反応を回避するためのプレ・メディケーション不要
乳がん アジュバント
・良好な忍容性プロファイル
 グレード3/4(高度以上)の神経障害の発生率は、10%未満
20億ドル
レベルを
めざす
乳がんファーストライン
作用機序
2015年度まで
非小細胞肺がん
微小管の伸張を阻害
肉腫
微小管形成に関与しない
チューブリンの重合を惹起
乳がんセカンドライン
微小管短縮に作用しない
乳がんサードライン
28
2015年度以降
10億ドル
レベルを
めざす
マウスにおけるエリブリンとパクリタキセル、イキサベピロンとの
神経障害誘発作用の比較
マウス坐骨神経組織像
A: 媒体投与群
B: エリブリン最大耐量
C: パクリタキセル最大耐量
D: イキサベピロン最大耐量
エリブリンはマウスにおいて最大耐量
でパクリタキセルやイキサベピロンに比
べ程度のより軽い、媒体投与に近い
軽度の神経障害病理像を示す。
進行性乳がんにおけるエリブリン
とイキサベピロンの神経障害誘
発・促進作用を比較するための
フェーズⅡ試験が進行中
29
Lenvatinib( E7080)のユニークで選択的なキナーゼ阻害作用
5つの受容体チロシンキナーゼファミリーに対し
高い選択性を示す
カイノーム デンドログラム
Lenvatinib(E7080)
受容体
チロシンキナーゼ
54キナーゼ
(IC50値)
スニチニブ*
113キナーゼ
(kd値)
受容体
チロシンキナーゼ
ソラフェニブ*
113キナーゼ
(kd値)
受容体
チロシンキナーゼ
*Nat Biotech 2005;23(3)のデータに基づき作成
30
マルチキナーゼ阻害剤Lenvatinibの放射線治療抵抗性進行性分化型甲状腺
がん(DTC)におけるフェーズⅡ試験
ASCO 2011にて発表
S. I. Sherman, B. Jarzab, M. E. Cabanillas, L. F. Licitra, F. Pacini, R. Martins, B. Robinson, D. Ball, J.
McCaffrey, M. H. Shah, D. Bodenner, R. Allison, K. Newbold, R. Elisei, J. P. O'Brien,
M. Schlumberger
担当医判定による腫瘍縮小効果判定
最低14ヶ月のフォローアップを行った時点での評価
VEGF受容体
標的療法
実施例
N=17 (%)
完全寛解(CR)
全症例
N=58 (%)
0
0
8 (47%)
26 (63%)
34 (59%)
(45-71%)
不変(SD)
8 (47%)
13 (32%)
21 (36%)
SD維持症例
4 (24%)
10 (24%)
14 (24%)
進行(PD)
1 (6%)
2 (5%)
3 (5%)
16 (95%)
39 (96%)
55 (95% )
部分寛解(PR)
(95% 信頼限界)
病勢コントロール率(CR + PR + SD)
31
VEGF受容体
標的療法
未実施例
N=41 (%)
0
分化型甲状腺がんフェーズⅡ試験におけるLenvatinibの効果
(最低14ヶ月のフォローアップに基づく治験担当医評価)
瀑状プロット
評価部位の平均最大径の変化
無増悪生存期間
p-value = 0.28
VEGF受容体標的療法未実施例:中央値14.4ヶ月
VEGF受容体標的療法実施例:中央値11.4ヶ月
Prior VEGFs
No Prior VEGFs
Censored subjects
32
Lenvatinib 臨床開発の加速
1.進行中のフェーズⅢ試験
分化型甲状腺がん
対照群:プラセボ
主評価項目:無増悪生存期間
2.進行中のフェーズⅡ試験
i)肝細胞がん
ii)子宮内膜がん
iii)メラノーマ
iv)グリオブラストーマ
v)非小細胞肺がん、等
33
エーザイレジメン
Lenvatinib (E7080) と Golvatinib (E7050)* の併用
IND申請済
A2780卵巣がん皮下移植ゼノグラフトモデルにおける
E7080とE7050の抗腫瘍作用
抗VEGF療法
腫瘍相対容積
低酸素状態
HGF/c-Metシグナル伝達経路の増強
併用作用の検討
日
対照群
34
c-MET/VEGFR2キナーゼ阻害剤
がん細胞の浸潤・転移性の上昇
日
対照群
併用群
*:
34
VEGFとHGFシグナル
ダブルブロックの理論的妥当性
“リバウンド” 再血管新生
JNCI101, 1530, 2009
オープンイノベーション
プリズムバイオラボとの戦略的提携
• PRI-724 はWntシグナル伝達経路における CBP/β-カテニン複合体形成を阻害
• CBP/β-カテニン相互作用の阻害は細胞増殖を抑制し、細胞分化を促進
• CBP/β-カテニンの阻害は再発、薬剤耐性獲得や転移に関与すると考えられているがん幹
細胞/がん始原細胞の分化をも促進
シグナル伝達プロセス概念図
細胞模式図
受容体
カテニン
カテニン
カテニン/TCF
変異
腫瘍細胞
カテニン
CBP/カテニン
細胞増殖
P300/カテニン
細胞分化
核
細胞増殖
抑制
細胞分化
促進
PRI-724 はアンメットメディカルニーズの存在するがん患者様にとって、新規
治療オプションを提供するファーストインクラスの薬剤となるポテンシャルを保有
35
オープンイノベーション:エピザイム社との戦略的提携
何故EZH2ヒストンメチルトランスフェラーゼを選択したのか?
•
•
EZH2は多彩な固形がんで過剰発現しており、
乳がん、前立腺がん、非小細胞肺がん等の予
後悪化予測と相関性を示す
EZH2 Y641 活性型変異がリンパ腫(DLBC
LやFL)で認められている
PRC2
“我々はHDAC阻害剤の次は何
かと考え、ヒストンメチルトランス
フェラーゼがエピジェネティックスア
プローチによる抗腫瘍剤開発にお
いて非常に興味深い創薬標的と
Polycomb Repressive Complex 2
(PRC2)
H3K27-Me3
H3K27
UTX & JMJD3
なり得ると考えた”
エーザイ 大和隆志
3636
BioCentury 03/28/2011v
Target
gene
標的遺伝子の
転写
Transcription
オンコロジーPCU ポートフォリオ
前臨床
殺細胞薬
エリブリン(E7389)
(微小管ダイナミクス
阻害剤)
リポソーム製剤
E7449
(PARP 阻害剤)
分子標的薬
エピジェネ
ティックス
標的薬
フェーズⅡ
フェーズⅢ
エリブリン(E7389)
社外連携プログラム
(非小細胞肺がん,
泌尿器系がん等)
エリブリン(E7389)
(乳がん1stライン、
乳がんアジュバント、
非小細胞肺がん、
前立腺がん等).
エリブリン(E7389)
乳がん2ndライン、
SAR
(乳がん3rdライン
中国CTA申請)
Golvatinib(E7050)
(c-MET/KDR
キナーゼ阻害剤)
E6201
(MEK1/マルチ
キナーゼ阻害剤)
E7016
(PARP 阻害剤)
PRI-724
(Wnt シグナル
モジュレーター)
Lenvatinib(E7080)
(KDR/マルチ
キナーゼ阻害剤)
子宮内膜がん、メラ
ノーマ、グリオブラス
トーマ、肝細胞がん、
非小細胞肺がん等
E7820
(インテグリン a2
発現抑制剤)
大腸がん
Decitabine(E7373)
AML小児適応
エピザイム
(EZH2 阻害剤)
免疫療法および
ワクチン
37
フェーズⅠ
E7300
(CYP1B1 DNA
ワクチン)
denileukin
Diftitox(E7272/
E7777)
メラノーマ
申請および承認
ハラヴェン
乳がん3rd
ライン
Lenvatinib(E7080)
甲状腺がん
Decitabine(E7373)
高齢者 AML
DACOGEN
MDS
denileukin
Diftitox(E7777)
PTCL
ONTAK
CTCL
エーザイのバイオロジクスプロダクトクリエーション
ユニットとして、独自の技術と開発ノウハウでバイオ
ロジクス開発をリード
2011年6月29日
ニコラス ニコライデス
プレジデント Morphotek Inc
モルフォテックのビシネスモデル
ヒューマンヘルスケアに貢献する新規バイオロジクス開発のため
技術とパートナーシップを活用
臨床段階のリードプロダクト
Farletuzumab (MORAb-003) – がん領域
• PhIII 再発性プラチナ感受性卵巣がん
• PhII プラチナ抵抗性卵巣がん
• PhII 非小細胞肺がん(NSCLC)ファーストライン
開発品パイプライン
•MORAb-022、PhI、炎症性疾患
•MORAb-028、PhI、転移性メラノーマ
• PhII 化学療法抵抗性転移性大腸がん
• PhII 転移性肉腫
• PhII メラノーマ
•MORAb-047、前臨床、感染症
•MORAb-048、前臨床、感染症
•MORAb-050、前臨床、がん
•MORAb-066、前臨床, がん
•KANAb-071、前臨床, 免疫領域
•MORAb-075、前臨床, がん
創薬標的・技術に関する提携
研究・開発のための技術
Amatuximab (MORAb-009) – がん領域
• PhII 中皮腫ファーストライン
MORAb-004 – がん領域
ラクダ抗体
がんターゲッティングペプチド
40
MORAb-003 (farletuzumab)
ファーストインクラスの葉酸受容体アルファに対する単クローン抗体
 ファーストインクラスの葉酸受容体アルファ(FRA) に対する






ヒト化IgG1単クローン抗体
FRAは卵巣がん、乳がん、大腸がん、非小細胞肺がん、腎がん、
他のがんで過剰発現
FRAの過剰発現は葉酸非依存性に正常細胞の悪性化を生ずる
プラチナ感受性初回再発性卵巣がんにおいて、フェーズⅢグローバ
ル無作為化 二重盲検比較試験を実施中
プラチナ抵抗性卵巣がんにおいて、フェーズⅡ無作為化二重盲検
比較試験を実施中
他のがん種を対象とした臨床試験を準備中-NSCLCファースト
ラインでの試験を開始
2006年にFDA より、2008年にはEMAより軟部肉腫適応に関し
てオーファン指定
41
独自の作用機序を持つfarletuzumab
葉酸受容体アルファ(FRA)の病態生理
farletuzumab (MORAb-003)の活性
悪性形質転換の細胞内パスウェイ
FRA発現腫瘍細胞によるゼノグラフトモデルの
試験結果
MORAb-003はIGROV-AF1の増殖を抑制
過剰発現された
over-expressed
葉酸受容体アルファ
folate
receptor alpha
PLyn kinase
Cell stasis &
suppressed proliferation
腫瘍重量の平均値
antibody mediated
ADCCまたはCDCによる
cytoxicity via
抗体依存性細胞障害
ADCC and CDC
Cell transformation
& proliferation
Nucleus
シグナル伝達
Controll mAb
薬剤
ヒト卵巣がん細胞株
farletuzumab はFRAに依存したシグナル伝達と免疫エフェクター作用により抗腫瘍作用を発現し、
葉酸の生理作用には影響を与えない
ADCC42= 抗体依存性細胞障害作用; CDC = 補体依存性細胞障害作用
Farletuzumab の臨床的知見
• フェーズⅠ試験において,病態の進展した卵巣がん患者様の70%で病勢の安定化が
認められた。
• プラチナ感受性卵巣がんのフェーズⅡ試験において,標準治療との併用で90%の患者様で
治療によるベネフィットが認められた(文献対照では45%の治療ベネフィット)
• フェーズⅡ試験において第1次寛解を上回る20%患者様での第2次寛解が認められた
(標準治療では5%未満の寛解達成)
 12ヶ月未満で初回の再発が認められた数例の患者様で、3年を上回る再発抑制が認められている
• 3年を上回る長期のfarletuzumab 治療で重篤な有害事象は認められていない
• 初回再発性プラチナ感受性卵巣がんにおいて、1つのピボタル試験(FAR-131)での
申請がFDAから支持されている
• プラチナ抵抗性の卵巣がんにおいて、予備的な知見として週1回タキサン投与との併用で
効果が観察されている
• プラチナ抵抗性の卵巣がんにおけるサポーティブ試験(FAR-122)を実施中
43
Farletuzumab のプラチナ感受性および
プラチナ抵抗性卵巣がんにおけるピボタル試験
• カルボプラチン/タキサン+farletuzumab (1.25 mg/m2 or 2.5 mg/m2) またはプラセボ
• 初回再発性卵巣がん患者様で、ファーストライン標準治療単独に対し、 farletuzumab併用
での無増悪生存期間の延長を検討
• Special Protocol Assessment によるFDAでのプロトコールレビューおよびEMA、機構でのプ
ロトココールレビューを実施済み
• 30カ国の治験実施施設から70%の患者組み入れを達成し、2011年度の試験終了を目
標とする
• BLA申請を2012年度に予定
•
•
•
•
週1回タキサン投与+farletuzumab またはプラセボ
プラチナ耐性の卵巣がん
週1回タキサン治療に対して、 farletuzumab併用での全生存率の向上を検討
8カ国の治験実施施設から62%の患者組み入れを達成し、 2012年度の試験終了を
目標とする
44
MORAb-004: エンドシアリンに対するmAb
ファーストインクラスのエンドシアリンおよび周皮細胞特異的単クローン抗体

ファーストインクラスのエンドシアリン/TEM1に対するIgG1単クローン抗体

VEGFやチロシンキナーゼ阻害剤とは異なり、ターゲットは腫瘍血管の周皮細胞や腫瘍
ストローマ細胞、間葉系由来腫瘍細胞に発現している

エンドシアリンの阻害により腫瘍細胞の増殖を抑制

フェーズⅠ試験において、良好な安全性プロファイルが示されると共に、数種の癌腫での
治療効果が示唆された

フェーズⅠ試験での知見や作用機作から、2012年度の臨床エンドポイントの達成を
目標に、3つの適応症でのフェーズⅡ試験を2011年度に開始予定
1.転移性メラノーマに対する単剤治療(実施中)
前臨床試験でメラノーマの増殖抑制が認められた
2.フェーズⅠ試験での知見から、化学療法抵抗性の転移性大腸がんに対する単剤治療
複数の患者様で無増悪生存期間中央値15.1ヶ月を示した病勢安定を確認
3.フェーズⅠ試験での知見から、転移性軟部肉腫に対する単剤治療
4ヶ月、7ヶ月より長い無増悪生存期間を示したケースを2例確認

2011年にFDAより軟部肉腫適応でオーファン指定を受ける
45
MORAb-004 の腫瘍細胞および
腫瘍周囲微小環境に対する作用
腫瘍周囲微小環境に対する作用
エンドシアリンは腫瘍細胞の生存維持・増殖を支援す
る腫瘍血管周皮細胞や腫瘍周囲繊維芽細胞にも発
現している
エンドシアリン
腫瘍細胞に対する作用
メラノーマにおけるプレキシコン耐性獲得は、PDGF受容体βお
よびPDGF受容体βシグナルの発現増強により生ずる
受容体チロシンキナーゼ
エンドシアリン
BRAF
阻害
繊維芽細胞
周皮細胞
ヒトエンドシアリンノックインマウスの腫瘍増殖および
腫瘍血管新生に対するMORAb-004の作用
エンドシアリン経路の阻害はPDGF受容体β が伝達
するシグナルや間葉系由来細胞の増殖を抑制する
エンドシアリン
腫瘍血管
イメージング
46
増殖比率
免疫組織染色
増殖比率
IgG対照
腫瘍血管
増殖刺激
スクランブル配列
エンドシアリン
増殖刺激
MORAb-004:エンドシアリンに対する単クローン抗体
ファーストインクラスのエンドシアリンおよび腫瘍血管周皮細胞に対する単クローン抗体
腫瘍周囲微小環境に対する作用
腫瘍細胞に対する作用
エンドシアリンは腫瘍血管周皮細胞や間葉系由来腫瘍細胞
には発現するが、VegFが標的とする血管内皮細胞には発
現しない
血管内皮細胞
腫瘍血管
周皮細胞
単クローン抗体
投与
周皮細胞
血流
血流遮断
MORAb-004抗原陽性
免疫グロブリン対照
MORAb-004
移植後日数
腫瘍細胞に対する直接作用
ヒトエンドシアリンノックインマウスメラノーマ転移モデル
(移植19日目)
血管内皮細胞
MORAb-004抗原陰性
In vivo 実験系でのMORAb-004による血管新生抑制
47
ヒトエンドシアリンノックインマウスに移植した
ヒト腫瘍ゼノグラフト(移植14日までの評価)
毎秒光子数
腫瘍
腫瘍周囲微小環境の抑制による効果
対照群
技術プラットフォーム
先進技術プラットフォームを維持・増強
• モルフォテックは現有技術に基づく18の単クローン抗体プログラムを開発中
• 新規単クローン抗体関連技術は競合性のあるプロジェクトの開発を促進するもの
として成熟
• EPCSの目標の一つは、成功確率の向上と患者様のニーズの高い新薬の有効性を
高めることを可能とする分子標的療法関連先進技術の維持・増強
• 新規単クローン抗体技術の具体例
• フラグメント抗体
• オンコロジー領域向け薬物結合抗体
• オンコロジー領域向け標的指向性ペプチド-薬物結合体
• モルフォテックは2011年3月にトランスモレキュラー社よりがん指向性ペプチド
プラットフォームや関連臨床プログラムを買収
48
TM がん指向性ペプチド
がん標的化学療法への応用
がん標的化学療法
への応用
急性毒性
生存マウス数
患者様スクリーニング
への応用
イメージング用薬
1群5匹
パクリタキセル
TM-タキソール
投与開始時の腫瘍サイズに対する比率(%)
化学療法用薬
有効量の5分の1の用量での薬効薬理試験
生理食塩水
タキソール、3.7mg/kg
TM601-タキソール、
3.7mg/kgタキソール等量
薬物投与(週3回)
*p=0.001、生理食塩水投与比較
p-0.01、タキソール投与比較
観察期間(日)
49
サマリー
• 前臨床からフェーズⅢまで18個のプログラムが進行中
• farletuzumab は最も開発が進行しているプログラムであり、卵巣がんでのグロー
•
•
•
•
バルフェーズⅢ 試験の終了を予定し、日米欧で2012年度の申請をめざす
farletuzumabに関しては FRA陽性がんを含む新規適応への拡大を計画中
MORAb-004 はフェーズⅠ試験が終了し、各種のがんで効果が確認された
MORAb-004では、 2012年度に、高いメディカルニーズの存在する3つのがん
種に対し、POC達成をめざす
自社創出の殺細胞性化合物のがんへのデリバリーによる患者スクリーニング、
がんへの薬物デリバリーおよび安全性の向上による更なる開発進展の可能性を
追求するため、新規がん指向性薬物デリバリープラットフォーム技術を獲得
50
H3 Biomedicine Inc.
- 我々のめざす創薬戦略と価値創造 -
2011年6月29日
加藤 弘之
プロダクトクリエーション本部 部長
H3* Biomedicineの設立コンセプト
- Focused Medicine への注力“Disciplined”
アプローチ
エーザイとの
機能的連携
フォーカスされた
がん患者様への
価値提供
オープン・
イノベーション/
サイエンティフィック
ファウンダー
最新のがん遺伝子情報および有機化学合成技術を駆使し、
個別化医療を志向した低分子抗がん剤の創製をめざす
53
*:Human Healthcare and Hope
“Disciplined” アプローチ
- H3 Biomedicineにおける創薬活動の原則と創薬技術基盤 H3 Biomedicineにおける創薬アプローチには二つの”Discipline”があり、それ
ぞれは、H3 Biomedicineでの創薬活動に必要な基盤技術と密接に関連する
Discipline 1
Discipline 2
がんの根本原因に関連する遺伝
子情報に基づいた標的分子候補
の同定を行い、機能検証を行った
上で標的分子を選定する
従来の創薬方法論ではアプローチ
が困難と考えられてきた標的分子
であっても、それらが病因に関与
する重要な標的である限り、断固
として追求する
最新のがん遺伝子科学、
バイオインフォマティクス、
およびがん生物学に関わる技術
54
最新の有機合成化学を利用した
多様性志向型合成に関わる技術
がん遺伝子情報のプロスペクティブな利用
がん患者様
がん遺伝子
情報の集積
がん遺伝子に関する公的
な取り組み
(TCGA, ICGC*)
-高速シークエンスにより
特定のがん患者様に特有
な遺伝子変異を同定、
データベース化
- 上記データベースの
公知化、アップデート
公知の情報を利用
発がん
ドライバー候補
の同定
標的分子、
バイオマー
カー候補の
同定
(Informaticians)
機能確認アッセイ
(Cancer Biologists)
-複雑でノイズの多いがん
遺伝子情報からがんの「ド
ライバー」と「二次的な変
動因子」を峻別
-同定されたドライバー候
補によるがん形成機能を
実験的に確認(in vivo/in
vitro)
-対象となる患者様群
(候補)の特定
- がん形成メカニズムの
理解
バイオインフォマティクス
H3 Biomedicineでの創薬技術基盤の確立
H3 Biomedicineはがん患者様の遺伝子情報を、臨床結果のレトロスペクティブな解析のためでは
なく、プロスペクティブに用いることによって新規標的、バイオマーカーの同定をめざす
55
* TCGA: The Cancer Genome Atlas, ICGC: International Cancer Genome Consortium
多様性志向型合成 (DOS)
- 最新有機合成化学のパワー Commercial
DOS
Natural products
構造の複雑性
合成の容易性
- 化学構造の複雑さと合成の行いやすさのバランスを取りつつ、
- 骨格と立体構造の多様性を確保する
難易度の高い標的分子への挑戦を可能とするユニークな化合物ライブラリの創製
56
H3 Biomedicineの創薬ストラテジー
患者様
患者様
患者様の遺伝子情報に基づ
く標的分子の同定と選定
遺伝子情報に基づくバイオ
マーカーによる適切な患者様
の選択
標的分子同定
標的分子の検証/
評価系の確立
最適化合物の探索
バイオインフォマ
ティクス
がん遺伝子機能
を検証するため
の細胞評価系
DOS を利用した
化合物ライブラリ
臨床試験
H3 Biomedicineにおける創薬技術基盤
サイエンティフィックファウンダー/エーザイのサイエンス・エクセレンス/強力なリーダーシップ
57
Focused Medicineによる価値創造
- “Disciplined” アプローチから創られる価値 -
特定の患者様集団への高い奏功率の実現により、患者様、医療従事者、
ペイヤーの皆様に対して科学的根拠に基いた明確なメリットを提示
遺伝子情報(バイオマーカー)に基づく対象患者様の効率的な見極めと高い
奏功率による臨床開発費用の低減、開発期間の短縮を実現
既存抗がん剤の耐性メカニズムを遺伝子レベルで解析することにより、
耐性を克服する既存薬との組み合わせに展開
58
加速するニューロサイエンス
ポートフォリオの進展
2011年6月29日
リン・D・クレーマー
ニューロサイエンス プロダクトクリエーション ユニット
グローバルなてんかんフランチャイズ
難治性てんかん治療に向けての豊富な品揃え
欧州
Zebinix
北アメリカ
アジア・日本
Zonegran
MAA (単剤療法) 申請準備中
Inovelon
MAA SF* (欧州、スイス) 申請済
ルフィナミド
Perampanel
MAA 申請済
ぺランパネル フェーズⅢ準備中
7主要国**におけるてんかん罹患数
Zonegran
フェーズⅢ
Banzel
承認 (米国:錠剤,SF*、カナダ:錠剤)
Perampanel
NDA 申請手続中
2009年
2019年
難治性部分てんかん(60%)
3,179,330
3,324,700
難治性全般てんかん(40%)
2,119,550
2,216,470
**5,298,880
5,541,170
合計罹患数
Decision Resources estimate a 0.4%/year growth on total diagnosed prevalent
epilepsy cases through 2019
* 既存薬でコントロールされている患者: 2,463,981 (77.5%), 難治性: 715,349 (22.5%)
** 米国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリス、日本
SF*: 懸濁製剤
ペランパネル: 作用機序
AMPA受容体に対して高選択 非競合的に拮抗する治療剤
ぺランパネル
疾病状態
過剰
活性化
興奮性
受容体
抑制性
受容体
AMPA
受容体
GABA
受容体
通常状態
AMPA
受容体
GABA
受容体
ぺランパネルはAMPAレセプターへの
アロステリックな結合によって、
興奮性のシナプス伝達を抑制
AMPA受容体:α-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazolepropionic acid 受容体
AMPA受容体は中枢神経系全般にわたり分布しており、興奮性シグナル伝達に関与
している
62
GABA
受容体
Redress imbalance of excitatory
and inhibitory transmitter
Imbalance of CNS circuit
てんかん発作
AMPA
受容体
ぺランパネル:米国NDA*、欧州MAA申請を達成
計画より18ヶ月前倒しの申請達成!
 さまざまな戦略的アプローチによってプロジェクトタイムラインの大
幅な短縮を達成
 革新的なオペレーション
 PK/PDの関係性をフェーズⅡ試験結果で確認
 フェーズⅢ試験の同時開始
 グローバルに標準化したオペレーションプロセスの有効利用
 インドにおけるデータマネージメントセンターの有効利用
 標準化プロセスにより、試験データのリアルタイムレビューが試験サイトを的確に評価
 エーザイプロダクトクリエーションシステム(EPCS)がねらい通りに機能
 EPCSの枠組みのプロジェクトのオーナシップに関する高い動機づけ
 ユニットのリーダーシップメンバーが強力なサポートを発揮
 コアファンクションユニット(CFUs)の信頼度の高いサポート
 他のてんかん薬開発からの経験知
 Banzel (Inovelon)、Zonegran 、Zebinix
これらのアプローチは標準化され、他のプロダクトクリエーションにも積極的に適応
63
*:米国は申請手続き中
ペランパネル: 米国NDA、欧州MAA申請を達成
ファーストインクラスのAMPA受容体拮抗剤
ペランパネル: 12歳以上の部分てんかん発作を有する
患者様における治療
作用発現メカニズム
• 選択的非競合的AMPA受容体拮抗剤
• ファーストインクラス
 既存メカニズム抗てんかん薬との併用
可能性を提示
有効性
• 中央値において部分てんかん発作頻度を
40%減少 (プラセボ 13%)
• レスポンダー比率40% (プラセボ 17%)
• 投与2週目で効果を発現
• 二次性全般発作に対して有効性を確認
安全性、薬物動態
ドラッグデリバリー
• 重篤な副作用は認められなかった
•
一日一回 経口投与 錠剤(2~12mg)
• 薬物相互作用による影響が少ない
•
2mgより至適用量まで、1週ごとに漸増
•
シンプルな用法・用量
• 血中濃度モニタリングが不要
• 血中濃度半減期が長い
64
ペランパネル:フェーズⅢ試験における治療効果
てんかん患者様を対象としたフェーズⅢ試験
306試験
試験番号
臨床用量
主要評価項目 (FDA)
てんかん発作頻度の変化率 (Ancova)1
対数変換後の変化率
主要評価項目 (EMA)
レスポンダー比率1
副次評価項目 (FDAおよびEMA)
複雑部分発作+二次性全般発作1
4mg
8mg
8mg
12mg
8mg
12mg
0.4197
0.0026
< 0.0001
0.0261
0.0158
TBP*
TBP*
0.2542
0.0037
< 0.0001
0.0044
0.018422
TBP*
TBP*
0.4863
0.0132
0.0003
0.076033
0.091433
TBP*
TBP*
0.6506
0.0070
0.0005
0.0020
0.00812
TBP*
TBP*
てんかん発作頻度に関する用量反応性相関
全ITTを対象として解析
北米のみで解析した場合  濃い緑
3 北米のみで解析した場合 
淡い緑
*TBP: 8/9月のIEC2011で発表予定 (イタリア、ローマ)
2
65
305試験
2mg
副次評価項目 (FDAおよびEMA)
1
304試験
< 0.0001
p値:
0.0262
< 0.005
< 0.05
TBP*
0.05 - 0.10
> 0.10
ペランパネル: 製品ポテンシャルの拡大戦略
製品拡大タイムラインと適応症拡大戦略
FY2011
FY2012
FY2013
FY2014 以降
主たる適応症
部分てんかん発作
米国・欧州申請
中国申請
日本申請
日本・アジア フェーズⅢ
強直性間代性てんかん(PGTC)発作
PGTC フェーズⅢ
米国・欧州申請
追加適応症
部分てんかん発作 (単剤療法)
単剤療法 フェーズⅢ
米国・欧州申請
(規制当局との話し合いにより変更の可能性あり)
レノックス・ガストー症候群 (LGS)
LGS フェーズⅢ
米国・欧州申請
(規制当局およびPPSR、PIPとの話し合いにより変更の可能性あり)
66
アルツハイマー型認知症/認知症 ポートフォリオ戦略
対症療法および疾患修飾(原因)療法からのアプローチ
対症療法(アリセプト)
症状(認知機能)の改善を証明
神経伝達物質の補充や、受容体ならびにセカンドメッセンジャーの修飾による
シナプス伝達の維持、改善
脳神経伝達機能の低下(障害)
による症状の悪化
脳神経細胞
脳神経細胞の脱落や機能
不全による症状の進行
脳神経細胞の整合性を維持して脳機能を正常に保つ
(脳神経細胞数の維持)
疾患修飾(原因)療法 (BAN2401、E2609)
アルツハイマー型認知症の進行を抑制する (臨床効果の維持)
加えて、イメージング,バイオマーカーで脳神経細胞の健全性維持を証明
67
BAN2401: 作用機序及び今後の臨床戦略
BAN2401: ヒト化Aβプロトフィブリル抗体 (フェーズⅠ実施中)
ADDLs Aβ*56
可溶性
Aβ モノマー
(4 kDa)
不溶化
オリゴマー
低分子量A集合体
プロトフィブリル
Globulomers
Spheroids
(20-100 kDa)
(> 100 kDa)
繊維化Aβ
Aβプラーク
(8-20 kDa)
BAN2401
Modified from Prof. Lars Lannfelt
ヒト化プロトフィブリル抗体
ヒト化モノクローナル抗体により神経毒性を呈するプロトフィブリルを除去
FY2011
FY2012
Phase I
軽症及び中等度AD患
者様における反復投与
によりPoPを確認
68
FY2013
FY2014
Phase II
PoP
Phase II/III
PoC
FY2015
FY2016
FY2017
Phase III
BLA (対症療法)
FY2015 - 2016
疾患修飾(原因)
療法で申請
FY2017
E2609:作用機序及び今後の臨床戦略
アミロイドβ 減少を目指す β-セクレターゼ阻害剤 (フェーズⅠ実施中)
E2609: β-セクレターゼ阻害剤
E2609
APP
アミロイド前駆体
タンパク質のβサイト
切断酵素(BACE)阻害
によるAの総量低下
オリゴマーAβ
Aβ プラーク
Aβ
FY2011
FY2012
Phase I
PoP確認と最大耐
用量の決定を並行
して実施(単回投与
にてPoMをめざす)



69
Phase I/II
PoP
FY2013
FY2014
FY2015
Phase II/III
FY2016
FY2017
Phase III
PoC
単回投与における最大耐用量の決定に先んじて、反復投与試験とPoP確認試験を開始
単回投与ならびに反復投与における最大耐用量を同時に確立
軽度認知障害 (MCI)患者様を対象に早期PoPの可能性を追求
NDA/MAA
(対症療法)
FY2016
疾患修飾(原因)
療法で申請
FY2017
オープンイノベーションと探索研究
広範な視点を持ち、プロダクトクリエーションに直結する共同研究を志向
新規メカニズム/化合物
エーザイ
プロダクトクリエーション システムズ
ニューロサイエンス
探索研究機能
ロンドン大学
ニューロサイエンス
臨床研究機能
プロジェクトに特化
エスタス
セラピューティクス
POC 試験開始
(2012年度)
5月25日リリース済
精神科領域
バイオマーカー
タンパク質恒常性
脳神経炎症
脳血管ーミトコンドリア
バイオアークティック
テクノロジー/プラットフォーム
US
放射線医学
総合研究所
(NIRS)
脳内PETイメージング
産業技術
総合研究所
(AIST)
PoP (2012年度)
JP
UK
ニューロサイエンス
オープンイノベーション
抗プロトフィブリルヒト抗体
IMMD Inc.
新規動物モデル
仮想スクリーニング
慶應義塾大学
加齢による
神経変性疾患
70
京都大学
霊長類
動物モデル
バイオマーカー
アンド
パーソナライズドメディスン
CFU
ネクスト
ジェネレーション
システムズ CFU
ジョンズ
ホプキンス大学
Brain Science
Institute
ニューロイメージング
+バイオマーカーマーカー
CNSに特化した
化合物ライブラリー
GCP2阻害剤
ベストインクラスの
トロンボポエチン受容体作動薬E5501
2011年6月29日
甲斐康信
フロンティア プロダクトクリエーション ユニット
E5501 作用機序
CD-34
造血幹細胞
CFU-GEMM
CFU-MK
(前駆細胞)
巨核芽球
巨核球
血小板前駆体
血小板放出
血小板
IL-3, SCF
IL-6, IL-11
トロンボポエチン(TPO), E5501
• E5501はトロンボポエチンと同様の生理活性を示す、経口投与
可能な低分子化合物
• 前臨床試験でE5501はトロンボポエチンと同様に巨核球数を用
量依存的に増加させた
• E5501の最大効果はトロンボポエチンのそれに匹敵するもので
あった
• さらにトロンボポエチンとの併用でE5501の上乗せ効果が認めら
れた
73
E5501-ITP: 試験結果概要及び今後の予定
•ITP: 特発性血小板減少性紫斑病
– E5501の開発で最も進行した適応症
•003/004試験より有望なデータが得られた
– POCを達成
– 競合品に対する主たる差別化ポイントを同定
•FDA/EMAとの第II相終了時相談を成功裏に終了
– 第III相ピボタル試験を現在立案中
 試験には中国のサイトも含まれる予定
2013年度申請予定
74
E5501-ITP: 第II相試験からのキーメッセージ
1. 用量依存的な反応が早期
(7日目)に発現し試験期間
(28日間)を通じて持続した
2. 短期から長期に亘る有意な
血小板増加が観察された
225
90
80
Placebo
70
60
2.5 mg
50
5 mg
40
10 mg
30
20 mg
20
Platelet Count (x109/L)
Responder Rate by Visit (%)
100
200
175
150
125
100
75
50
25
0
10
0
Day 7
Day 14
Day 21
Day 28
Study time
3. E5501は6ヵ月間の延長投与試験期間を通して良好な忍容
性と安全性プロファイルを示した
75
E5501-ITP: 市場におけるポテンシャル
ターゲット:慢性ITPの2nd/3rdライン治療
• トロンボポエチン(TPO)受容体作動薬の
ベスト イン クラス
 有効性の早期発現
 有意な肝毒性及び薬物相互作用
がない
 食事による有意なPK変動なし
 経口投与可能
他の標準治療薬に置き換わる可能性
76
E5501 開発戦略
複数の適応症を同時開発
ITP
慢性特発性血小板減少性紫斑病の治療
• POC 達成
• 2nd/3rd ラインセラピーをターゲットとした
フェーズⅢ試験を計画中
• 最も臨床ステージが進んでいるプログラム
aTLD
侵襲を伴う処置・手術が予定されている慢性
肝疾患患者における血小板減少症の改善
• POC 試験 – 実施中
• 2011年度中のトップラインを見込む
E5501
cTLD
C型肝炎に対して、インターフェロンを含む
抗ウイルス療法を開始あるいは実施してい
る患者における血小板減少症の改善
•
•
•
77
CIT
がん化学療法に伴う血小板減少症の改善
•
POC 試験を計画中
POC 試験を2011年度第2四半期に開始
ポテンシャルの大きい中国アジアにおける
開発を加速
中国でのB型肝炎適応も計画中
TLD: Thrombocytopenia associated with chronic liver disease
CIT: Chemotherapy induced thrombocytopenia
加速するイースト アジアでの
プロダクトクリエーション
2011年 6月29日
大林 俊夫
エーザイ・プロダクトクリエーション・システムズ
ジャパン/アジア クリニカルリサーチ プロダクトクリエーション ユニット
JAC PCU(ジャパン/アジアクリニカルリサーチ PCU)による
イースト アジアにおける臨床開発の加速
日本・アジアの臨床研究機能をJACに集約
JACは臨床開発計画策定~承認までの
PC活動を担う。
アジア臨床開発の加速
早期承認取得
39%
イースト アジア(特に日本、中国)が
全社の成長を牽引
売上高構成比は2010年度の49%から
2015年度には63%に増加
(CAGR 6%、中国のCAGRは26%、日本は5%)
実績
80
肝臓疾患領域フランチャイズ
慢性肝炎・肝硬変・肝細胞がん(HCC)に対する高いメディカルニーズの存在
• アジア・太平洋地域での肝炎ウイルスへの高罹患率
– 全世界のB型慢性肝炎ウイルス(HBV)感染者
(約3億5,000万人)の約78%にあたる
2億7,500万人がアジア・
中国
太平洋地域に暮らす
韓国
HBV感染 1260万人
HCC
1.9万人
HBV感染 1億630万人
HCC
54.7万人
• 肝細胞がんの発生頻度は、
中国が1位、アジア・アフリカ
諸国で上位7ヵ国を占める
81
日本
HBV感染 150万人
HCC
0.9万人
香港
HBV感染 126万人
HCC
0.1万人
台湾
HBV感染 306万人
HCC
0.8万人
Source;
World Population Prospects: The 2008 Revision
European Journal of Gastroenterology & Hepatology, May 2010
Korean J Hepatol. 2009 DEC; 15 (Suppl 6): S13-24
Am.J.Trop.Med.Hyg., 2002, pp. 389-393
Surveillance of Viral Hapatitis in Hong Kong, 2008
Journal of Gastroenterology and Hepatology 24(2009) 346-353
The Oncologist 2010; 15 (suppl4); 5-13
肝臓疾患領域フランチャイズ
肝臓疾患を診断から治療まで幅広くカバーする製品ラインアップ
診断
PIVKA
肝細胞がんの補助診断薬
慢性肝炎
強力ネオミノファーゲンシー
(注射)/グリチロン錠(経
口)
慢性肝疾患における肝機能異常の改善
B型肝炎
Clevudine
DNAポリメラーゼ阻害による抗ウィルス剤
肝硬変
リーバクト
分岐鎖アミノ酸製剤(非代償性肝硬変患
者の低アルブミン血症の改善)
DC Bead
肝細胞がん
肝疾患に伴う
血小板減少症
82
Golvatinib (E7050)
肝細胞がんなどの多血性悪性腫瘍におけ
る血管塞栓療法施行時の血管塞栓材
VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤
マルチキナーゼ阻害剤
cMet/VEGFR2阻害剤
E5501
トロンボポエチン受容体作動剤
Lenvatinib (E7080)
肝臓疾患の異なるステージに複数の治療オプションを提供し
アジアに特有のアンメットメディカルニーズを充足する
Clevudine(B型肝炎治療剤)
B型肝炎治療を目的としたDNAポリメラーゼ阻害による抗ウィルス剤
• ブグァン製薬株式会社(韓国)より導入
• 強力かつ持続した抗ウィルス作用(ブグァン製薬実施韓国フェーズⅢデータより)
韓国301試験: HBeAg (+)
韓国302試験: HBeAg (-)
Clevudine
Clevudine
Yoo BC, Lee HS. Hepatology 2007;45:1172-78
Yoo BC, Lee HS. Hepatology 2007;46:1041-48
• エーザイ実施の中国フェーズⅢにおいても良好な結果を得、
2010年12月に輸入許可申請済み、本年度中の許可取得をめざす
83
肝臓疾患領域フランチャイズ 申請予定
申請済み
2012年度
PIVKA
(診断薬)
日本販売
強力ネオミノファーゲンシー/グリチロン錠
(慢性肝炎)
日本・中国・台湾 販売
DC-Bead
(血管塞栓剤)
日本申請中
2011年度回答予定
Clevudine
(B型肝炎)
中国申請中
2011年度回答予定
84
リーバクト
(肝硬変患者における
低アルブミン血症)
中国
2014年度以降
E5501
(肝疾患に伴う
血小板減少症)
イースト アジア
lenvatinib(E7080)
(肝細胞がん)
イースト アジア
govatinib (E7050)
(肝細胞がん)
イースト アジア
各種肝疾患に対する豊富なパイプラインにより
ポテンシャルの大きいアジア市場をカバー