ガイドブック ガイドブック - 駒ヶ根高原砂防フィールドミュージアム

ガイドブック
駒ヶ根高原砂防フィールドミュージアムで
素敵な思い出を残してね
こもれ陽の径
中央アルプスの豊かな自然に育まれた駒ヶ根高原一帯の
自然、風土、人々が築き上げた
文化や郷土を守る砂防施設など、
自然
地域全体を野外展示物と見立てた青空博物館
文化
濃ヶ池カール
歴史
暮らし
河床大礫
お問合わせ
一般社団法人
駒ヶ根観光協会
所在地 :〒399-4117 長野県駒ケ根市赤穂 759-447 駒ヶ根ファームス内
電話番号 : 0265-81-7700
駒ヶ根高原砂防フィールドミュージアム構想協議会
あなたが感じたことを記録に残してみませんか?
駒ヶ根高原砂防フィールドミュージアムとは?
駒ヶ根高原には、千畳敷カールや光前寺のほかにも、自然の営みや歴史・文化が感じら
れるものがたくさんあります。「駒ヶ根高原砂防フィールドミュージアム」とは、中央
アルプスの豊かな自然に育まれた駒ヶ根高原一帯の自然、風土、人々が築きあげた文化
や郷土を守る砂防施設など、地域全体を野外展示物と見立てた青空博物館です。
フィールドミュージアム内には説明看板が設置されています。ガイドマップを片手に自
然豊かな駒ヶ根高原を散策してみてください。新たな駒ヶ根高原の魅力を再発見できる
かもしれません。
コースは「七名石」コースと「こもれ陽」コースの2コースがあります。
時間に合わせてコースを巡ったり、行きたい場所だけ訪ねてみたりしてください。
各ポイントの詳しい内容はガイドブックで調べることができます。
また、土地の成り立ちや自然災害にまつわる話を聞くことが出来るガイドツアーに参加
することができます。詳細は、駒ヶ根観光協会にお問い合わせください。
こもれ陽の径
参考文献
こまくさ橋
砂防情報センター
本坊酒造
「七名石」コース
「こもれ陽」コース
大沼湖
駒ヶ根ファームス
七名石 ( ござ石 )
光前寺
さらに詳しく知りたい方はこちらの文献を参考にしてください。
1)「駒ヶ根高原砂防フィールドミュージアム HP」
2)「駒ヶ根観光総合パンフレット」 駒ヶ根観光協会発行
3)「宮田村パンフレット」 宮田村観光協会発行
4)「駒ヶ根観光協会 HP(http://www.kankou-komagane.com/)
」
5)「駒ケ根市 HP(http://www.city.komagane.nagano.jp/)
」
6)「宮田村 HP(http://www.vill.miyada.nagano.jp/)
」
7)「天竜川サイエンス」 天竜川サイエンス編集員会、2006
8)「上伊那川たんけんブック」 上伊那川たんけんブック編集委員会、2006
9)「駒ケ根市誌自然編Ⅱ 駒ケ根市の自然」 駒ケ根市誌編さん室、2007
10)「駒ヶ根市誌 現代編下巻」 駒ケ根市誌編さん室、2007
11)「駒ヶ根市誌 近世編Ⅰ」 駒ケ根市誌編さん室、2007
12)「駒ヶ根の史跡と文化財」 駒ヶ根市立駒ヶ根博物館、1973
13)「中央アルプス 太田切川流域の自然と文化」 中部環境緑化センター、1979
14)「光前寺縁起の研究」 駒ヶ根郷土研究会光前寺縁起研究委員会、1996
1
「七名石」コースマップ
砂防情報センター
こまくさ橋
全長 146m の吊り橋です。
夜間にはライトアップされと
てもきれいです。
新太田切
発電所
降雨体験車「あめ太郎」
あめ太郎では、10 ~ 180mm
の 6 段階の雨を軽乗用車に乗る
形で濡れずに体験することがで
きます。
太田切川のなりたちや土砂災
害の恐ろしさ、砂防の役割な
どについて見て・触れて・学
習することができます。
黒川水産
七名石(ござ石)
太田切川床固工群
七名石(切石)
「七名石」は、およそ 9 万年
前に氷河によって「千畳敷
カール」から「しらび平」ま
で運び出され、2 万年前に土
石流によって駒ヶ根高原へ運
び出されたものと考えられて
います。
川底が削られて下流に堆積す
ると洪水の原因になります。
床固工は、これを防ぐために
つくられた施設です。魚が遡
上できるように、魚道も付け
られています。
大沼湖
古代~中近世には、まだ砂防
工事などは行われていなかっ
たようです。土石流の小山は、
このころに発生した土石流の
跡と考えられます。
中央アルプスから流れ出る水
は農作物が育つには冷たすぎ
るため、溜池で温めてから田
畑に引くように工夫されてい
ます。大沼湖は、古い時代の
地すべりの跡につくられてい
ます。
高尾山入口
土石流の小山
七名石(重ね石)
七名石(地蔵石)
七名石(袋石)
七名石(小袋石)
光前寺
七名石(蛇石)
記録によれば、
「光前寺」は
火災による被害はあっても、
土石流などの被害はなかった
ようです。太田切川の土石流
に対して安全な場所に建てら
れたのかもしれません。
2
「こもれ陽」コースマップ
こもれ陽の径
砂防情報センター
こまくさ橋
全長 146m の吊り橋です。
夜間にはライトアップされと
てもきれいです。
新太田切
発電所
降雨体験車「あめ太郎」
あめ太郎では、10 ~ 180mm
の 6 段階の雨を軽乗用車に乗る
形で濡れずに体験することがで
きます。
太田切川のなりたちや土砂災
害の恐ろしさ、砂防の役割な
どについて見て・触れて・学
習することができます。
こまくさ橋から宮田村ふれあ
い広場までの黒川に沿った総
延長 1.7kmの遊歩道です。
黒川水産
本坊酒造
太田切川床固工群
太古の扇状地面
河床大礫
巨石公園の対岸高さ 40 ~
50mのところに薄っすらと
稜線が見えます。これはおよ
そ2万年前の扇状地面と考え
られています。
高尾山入口
川底が削られて下流に堆積す
ると洪水の原因になります。
床固工は、これを防ぐために
つくられた施設です。魚が遡
上できるように、魚道も付け
られています。
ウィスキー通の間で幻の逸品
と称されているマルスウィス
キーやワインなどがつくられ
ており、工場見学もできます。
およそ 166 トンの重さがあ
る大きな木曽花崗岩で、およ
そ2万年前の土石流によって
運ばれたものと言われていま
す。
3
「七名石」コース/「こもれ陽」コース
■周辺情報
森と水のアウトドア体験広場
砂防情報センター
【開館時間】
8:30 ~ 17:00
【休館日】
4 ~ 10 月:無休
11 ~ 12 月、3 月:
毎週水・木曜
1 ~ 2 月 :休館
【入館料】
無料
【連絡先】
0265-85-0455
体験広場内には、クライミング
ウォール、ビーチバレー、スケー
トボードパーク、3 on 3 バス
ケットコートなどのスポーツ施
設が整備されており、アルプス
体験館で申し込みを行えば自由
に利用することができます。
「アルプス体験館」 内にある 「砂防情報センター」 では太田切川流域のなりたちや土
砂災害の恐ろしさ、 砂防の役割などについて見て ・ 触れて ・ 学習することができます。
館内には流域の地形がわかるジオラマや地域と砂防の関わりを紹介する映像コーナー
のほか、 水槽に渓流魚なども展示されています。
太田切川は、標高 3,000m 級の山脈である中
央アルプスから流れる川のひとつです。
りゅうき
【開園時間】8:30 ~ 17:00
( 夜間)クライミングウォール 21:00 まで ( 予約のみ )
【連絡先】0265-85-0455
花の庭
中央アルプスは、今からおよそ 70 万年前に隆起
が始まったと考えられ、その隆起は現在も続いて
いるといわれています。それは年に 2mm といわ
れていますから、現在までに 1,400mほども持
ち上がったことになります。
中央アルプスの上昇が激しくなるにつれ、山か
ら流れ出る川は急流になり、水の流れが山肌をけ
ずって、深い谷ができたといわれています。そし
て、山からけずられた大量の土砂は下流に運ばれ、
長い年月をかけて谷の出口に積もり、そこに大き
な扇状地ができたと考えられています。太田切川
扇状地もそのひとつで、駒ケ根市や宮田村は、そ
の太田切川扇状地の上にあります。
扇状地のでき方
※8)
駒ヶ根キャンプセンター
爽やかな自然がいっぱいのキャ
ンプ場でご家族や仲間と一緒に
バーベキューをするなどして楽
しめます。キャンプサイト以外
にもマレットゴルフ場やじゃぶ
じゃぶ池もあります。
けいりゅうぎょ
砂防情報センター内の展示物
土砂災害対策模型
せんじょうち
太田切川扇状地はどうやってできたか?
自主林での森林浴、巨石の公園
や山野草を植えた花の庭など、
豊かな自然がいっぱい。川遊び
や遊具のある芝生広場で、お友
達、ご家族連れでゆっくり楽し
めます。
およそ 70 万年前からの中央アルプスのなりたちやくらしを守る
砂防について、 模型や映像などで知ることができます。 ここで
概要を知ってから巡るといいですよ。
太田切川流域地形ジオラマ
コ ラ ム 青空博物館の謎にせまる①
映像コーナー
【開設期間】4 月~ 11 月 ( 気候により変動あり )
【連絡先】0265-83-9013
①山がけずられ、土
砂が川によって下流
に運ばれている。
②山から平地に出る
と川の水の勢いがへ
り、運ばれてきた土
砂が底にたまる。
太田切川キャッチ&リリース区間
太田切川流域を 1 万分の 1 に縮小
した地形ジオラマで、ボタンを押
すと砂防施設や観光施設・公共機
関の位置を示したランプが点滅し、
連動したナレーションで要約した
情報を提供します。
土砂災害対策模型と地すべり対策
模型の 2 種類があり、土砂災害の
しくみや恐ろしさ、砂防事業の役
割と大切さを分かりやすく知るこ
とができます。
砂防事業や土砂災害に関するビデ
オ映像を、タッチパネルからの操
作で見ることができます。
<ビデオの内容>
・伊那谷の土砂災害に立ち向かう
・ヒャッケン君の伊那谷砂防案内
・昭和 36 年 6 月伊那谷豪雨災害の
記録
etc
中部電力 ( 株 ) 新太田切発電所
放水口から中央自動車道太田切
橋の上端約 4km の区間はキャッ
チ&リリース区間として設定さ
れており、釣れた魚はすべてリ
リース ( 再放流 ) するように配
慮されています。
③川の流れが左右
に移動しながら土
砂をためていくた
め、土地がおうぎ
形になる。
かんさつ
この河川で釣りをするには天竜川漁協の鑑札(遊魚権)が必要
です。
(一日券販売店売り 1,000 円、現場売り 1,600 円)
※印は参考文献番号を示す
4
「七名石」コース/「こもれ陽」コース
■周辺情報
千畳敷カール
降雨体験車「あめ太郎」
コ ラ ム 青空博物館の謎にせまる②
約 2 万年前の氷河によって形成されたカール地形であり、
ロープウェイを降り
ると、標高 3,000m の
岩肌の真下に広がる
千畳敷カール、目の
前に千畳敷カールが
広がっています。
カール内の遊歩道は
周遊約 40 分です。
夏はカール一面に可
憐な高山植物が咲き競い、秋は山肌一面が黄金色に輝く
など四季折々の姿を見せます。
【アクセス情報】
駒ヶ根高原からは菅の台バスセンターよりしらび平行きバスで
約 35 分、しらび平駅からロープウェイで千畳敷カールまで約
8分
一般的に土砂災害は 1 時間に 50mm以上の雨で発生しやすい
と言われています。 降雨体験機 「あめ太郎」 では、 10、 20、
30、 50、 100、 180mmの 6 段階の雨を軽乗用車に乗る形で
濡れずに体験することができます。 ワイパーでどこまで視界を
確保できるでしょうか。
この体験を是非日頃の生活にも役立てください。
【連絡先】
中央アルプス観光 0265-83-3107
伊那バス 0265-83-4115
のう が いけ
濃ヶ池カール
昭和 57 年 7 月、 長崎県で 1 時間に 187mm(日本観測史上最高) の豪雨を記録し、
土砂災害などが発生しておよそ 300 人もの死者、 行方不明者が出ました。
時間雨量の段階
① 10 mm
② 20 mm
③ 30 mm
④ 50 mm
⑤ 100 mm
⑥ 180 mm
ザーザーと降る、やや強い雨。長く降り続けると災害に注意が必要。
土砂降りの強い雨。車のワイパーを速くしても見づらい。
バケツをひっくり返したように降る、激しい雨。道路が川のようになる。
滝のように降る、非常に激しい雨。土石流が起こりやすくなる。
恐怖を感じるような強烈な雨。大規模な災害の発生するおそれが強くなる。
日本の時間雨量の最大記録(187mm)に近い雨。
千畳敷から駒ケ岳方面へ
のっこしじょうど
りょうせん
登った稜線(乗越浄土)か
ら西下方に見えるのが濃ヶ
池です。
濃ヶ池は氷河期時代に形成
された日本に数箇所にしか
ない氷食湖です。ナナカマ
ドやタケカンバなどの紅
葉、夏には高山植物がきれいに広がるお花畑も近くにあり
ます。
巨石のなぞをさぐる!
7~5万年前ごろになると地球は氷河期に入っ
たといわれています。気温は低下し、高い山は
氷河でおおわれるようになりました。
氷河期が終わり、2 万年前ごろから地球はふ
たたび暖かくなったといわれています。氷河は
下流へ少しずつ流れ、そのときに岩盤をけずっ
て、巨石を下流へと運んでいったと考えられ、
そのとき、氷河が岩盤を大きくけずりとってで
きたお椀状の地形をカールといいます。千畳敷
カールや濃ヶ池カールは、中央アルプスの代表
的なカールです。
特に千畳敷カールは木曽山脈(中央アルプス)
の中で最も大きいカールです。
また、氷河期が終わり地球が暖かくなってい
くと、それにともなって雨が多くなり、川の流
量も増えました。こうした気候の変化の結果、
この地域では、土石流がたびたび起きていたと
考えられます。
この土石流が更なる扇状地をつくったと考え
られ、駒ヶ根高原にある七名石や、駒ヶ根高原
スキー場のわきの土石流堆(土石流が積もった
もの)
、少し下流の太田切川内の巨石なども、こ
の時期の土石流によって運ばれたものと考えら
れます。
※9)
太田切川の巨石の分布
(緑色は太田切川の土石流扇状地)
土石流とは
土石流とは、山や谷の土砂が大雨など
でくずれ、川底の石や土砂が長雨や集中
豪雨などによって一気に下流へと押し流
されるものをいいます。地方によって、
「山津波」とか「てっぽう水」などと呼
ぶところもあります。
その流れの速さは規模によって異なり
ますが、時速 20 ~ 40km という速度で一瞬のうちに人家や畑など
を壊滅させてしまいます。
崩壊した大西山(昭和 36 年)
5
「七名石」コース
■周辺情報
駒ヶ根高原美術館
名刹「光前寺」
【拝観時間】
9:00 ~ 16:00
( 夏は 16:30 まで )
【拝観料】
庭園見学のみ 500 円
【連絡先】
0265-83-2736
コ ラ ム 青空博物館の謎にせまる④
名刹光前寺の隣接地に
ある美術館で、本館と別
館で構成されています。
館内には池田満寿夫、藤
原新也、草間彌生、ロダ
ン、ゴヤ等の作品が収蔵
されています。
光前寺の周辺の巨礫・巨木のなぞ
光前寺が建立された 860 年(貞観 2 年)当時
の太田切川の状況は、今では知ることが出来ませ
どせきりゅうはんらんいき
んが、太田切川・中田切川の土石流氾濫域を避け
た位置にあり、安全な場所に立地していることが
分かります。
【開館時間】 9:00 ~ 17:30(5 月~ 10 月)
9:00 ~ 17:00(11 月~ 4 月)
【休 館 日】 4 月~ 11 月:無休、12 月~ 3 月:水曜日
年末年始
【入 館 料】 大人 1,000 円 小中学生 500 円
【連絡先】 0265-83-5100
光前寺は 860 年 (貞観 2 年) に建立された伊那谷きっての名
刹です。 早太郎伝説や光苔などで有名なお寺で、 十余棟の堂
棟を備え、 南信州随一の祈願霊場として広く信仰されています。
光前寺内や周辺には七名石と同様な名前がついた巨石が点在
しています。 これらの巨石は太田切川が土石流で運んできたも
のですが、 光前寺にはこれらを避けてスギの巨木が群集してお
り、 非常に貴重な存在です。
※2)
早太郎は遠州に向い、娘の身代わりとなっ
て化け物の”老ヒヒ”を死闘のすえ退治
むかし、むかし
したのでした。
700 年ほど前のはなし。
傷ついた早太郎は、光前寺に戻ると静か
光前寺には風のように早く走る「早太郎」 に息を引きとりました。その後、早太郎
という山犬が飼われていました。ある日、 は「霊犬早太郎」と
一実坊という旅の坊さまが訪ねてきまし
言われ、
た。「遠州(静岡県磐田市)で、祭りの日 不動明王の化身とし
に娘をお供えする悲しい習わしがあり、
て、また災難除、
それが化け物の仕業なんです。」「化け物
厄払の御利益がある
が恐れている早太郎をさがしてここまで
と言われ、信仰をあ
来ました。どうか早太郎をかしてくださ
つめています。
い。」それを聞いた光前寺の和尚さんは「早
太郎、行って助けてあげなさい」と言い
※早太郎伝説がとりもつ縁で磐田市と駒
ました。
ケ根市は友好都市になっています。
光前寺にまつわる早太郎伝説とは・・・
光前寺杉並木
きょれき
旧竹村家
※12)
ただし、光前寺の中には巨礫が点在しています
東日本唯一の古い民家
として、国の重要文化
財に指定された貴重な
史跡です。この住宅は
江戸時代中期の名主の
家で、藩役人を迎える
ため豪壮なつくりと
なっています。
【開館時間】 9:00 ~ 17:00
【休 館 日】 月曜日 ( 祝日は翌日 )、年末年始
【入 館 料】 大人 200 円 小中学生 100 円
【連絡先】 0265-83-5011
が、これは14万年以上前に太田切川の土石流に
よって運搬されたものと想定されます。
光前寺には稚児見舞いに関わるとされる稚児石
を含め、五石とか七石とかの言い伝えがあると郷
土巖書に記されています(天神石、大神石、蛙石、
稚児岩、水置石、御座石:一部七名石と重複)
。
また、現在のユースホステル南の箒木、別荘地
の山林の中にある子育木と子持木、大沼湖の南東
の蛇神が祭ってあるところにあった蛇の木など光
前寺には名木、奇木が数多くありました。巨木の
定義は、環境省では「地上 130cm における幹周
が 300cm 以上のもの」とされており、スギの巨
木群としては日光が有名
郷土館 (旧駒ヶ根市役所庁舎)
駒ケ根市郷土館は、県
内にも数少ない大正期の
洋風建築で駒ヶ根市役所
の旧庁舎です。昭和 46 年
秋に庁舎新築に伴い、庁
舎の代表的な部分(延面
積 410 ㎡)を現在地に移
築し、郷土館として保存
するとともに民俗資料館等を陳列しています。
【【開館時間】 9:00 ~ 17:00
【休 館 日】 月曜日 ( 祝日は翌日 )、年末年始
【入 館 料】 大人 200 円 小中学生 100 円
ですが、その他には知ら
れているところは少な
く、光前寺の樹齢 300
年を超える巨木群は貴重
な存在です。
(最大:幹周囲 646cm、
樹齢 435 年)
天神岩
※12)
【連絡先】 0265-83-5011
7
「七名石」コース
■周辺情報
駒ヶ根シルクミュージアム
大沼湖
養蚕や製糸の歴史、シルクの
魅力が分かる「シルクミュージ
アム」
、染物やシルククラフト
が体験できる「体験工房」があ
ります。また、レストランや
ミュージアムショップ、農産物
直売所も併設されています。
コ ラ ム 青空博物館の謎にせまる⑤
馬の放牧がさかんだった駒ヶ根高原
駒ヶ根高原では、中世や近世には馬の放牧がさ
かんに行われていたようです。
駒ヶ根高原を挟むように流れる太田切川も中田
たぎり
切川も、田切地形と呼ばれる深い谷をつくってい
て、川岸は急な崖になっています。また、下流には
だんそうがい
【開館時間】 9:00 ~ 17:00
【休 館 日】 水曜日 ( 祝日は翌日 )、年末年始
【入 館 料】 大人 300 円 小中学生 100 円
【連絡先】 0265-82-8381
まぐさば
秣場として活用されていたのはそのためと考えら
れます。
おもしろかっぱ館
大沼湖は自然にできた湖ではなく、 人がつくった人工湖です。
中央アルプスから流れ出る水は夏でも大変冷たいため、 そのまま田畑
に引いてしまうと農作物の生長に悪影響をおよぼします。 そこで先人は、
ためいけ
水をいったん溜池にためて温めてから田畑に引くように工夫しています。
また、 池の背面にある山は古い時代に地すべりを起こしていたようで、
斜面には円弧状の崖があります。 すべり落ちた土砂は小山のように盛
り上がるので、 山側には窪地ができ、 昔は大沼と呼ばれる湿地帯だっ
たようです。 先人はこの窪地を利用して溜池をつくったようです。
断層がつくったとされる崖(断層崖)もあります。
つまり駒ヶ根高原は、柵などつくらなくても馬が
逃げる心配のないという、放牧にはちょうどよい
土地だったのではないでしょうか。
土石流の危険がある太田切川ぞいの土地が、
地元東伊那に伝わる、かっぱか
ら作り方を教わったという「痛
※秣場(まぐさば)
風の妙薬」の関連資料や各地の
牛や馬の飼料とする草を刈り取る草地のこと
河童伝説にまつわる河童絵巻な
どを展示しています。
【開館時間】 9:00 ~ 18:00
【休 館 日】 月曜日 ( 祝日は翌日 )、年末年始
【入 館 料】 大人 200 円 小中学生 100 円
【連絡先】 0265-81-4767
駒ヶ根ふるさとの家
大沼池
地域の素材、自然フィールド
を活用して、子供同士や親子が
農林業体験、食育(農)体験や
環境体験・自然体験を通して「生
きていく力を自ら学び、自ら考
える力を養える場」を実践でき
る場所として活用されています。
【施設情報】 事前予約制の宿泊及び日帰り利用施設
【連絡先】 0265-82-8391
光前寺
駒ヶ根高原家族旅行村
0
100
200(m)
大沼池の地すべり復元図 ( 松島信幸原図 ) ※9)
地すべり域を示す地形図 ※9)
キャンプセンターやスポー
ツ施設、露天こぶしの湯など
があり、家族連れなど多くの
方々に利用されています。
写真:文政年間(1818 ~ 1829 年)の
太田切川流域の古図
(駒ヶ根市立博物館所蔵)
【営業期間】 4 月~ 11 月
【連絡先】 0265-83-7227
8
「七名石」コース/「こもれ陽」コース
■周辺情報
駒ヶ根ファームス
土石流の小山/太田切床固工群
コ ラ ム 青空博物館の謎にせまる⑥
JA上伊那直営の農産物・特産品
直売所をはじめ、長野県第1号の地
ビール「南信州ビール」が楽しめる「あ
じわい工房」や、濃厚さが自慢の「す
ずらん牛乳」を製造するJA上伊那
「すずらんハウス」
、地元の新鮮な農
産物を販売する「駒ヶ根高原農産物
直売所」が集まった観光施設で、観
光案内所も併設されています。
【開館時間】 9:00 ~ 18:00(5 月~ 10 月)
10:00 ~ 17:00(11 月~ 4 月)
【休 館 日】 木曜日
【連絡先】 0265-81-7700
巨礫をはこんだ氷河と土石流 ( 松島・亀田,1986)
※9)
土石流の小山は、 古代~中近世の土石流の跡 (土石流の石や土砂が積もっ
どせきりゅうたい
てできた土石流堆) と考えられています。
駒ヶ根高原一帯は、 太田切川が山地から平地に出る場所に土石流が堆積した
土石流扇状地です。 太田切川周辺では、 土石流堆は中央自動車道付近まで
その地形をはっきり残しています。 この土石流堆は 「土石流の墓場」 とも呼ば
れており、 太田切川流域では、 こうした土石流の堆積が氷河期から現代へ至
るまで続いています。
太田切川の砂防
太田切川の砂防工事は、昭和 26 年に始まりま
した。当初は長野県が工事を行っていました。
昭和 36 年 6 月に、
のちに
「三六災 ( さぶろくさい )」
とよばれる大きな豪雨災害が天竜川流域をおそ
い、太田切川でも大きな被害が出ました。
これをきっかけに、昭和 37 年から、太田切川
ちょっかつ
の砂防工事は国の事業(これを直轄事業といいま
す)として行われることになり、それは今も続い
ています。
てい
直轄砂防事業によって、太田切川では砂防えん堤
とこがためこう
や床固工の整備が進んでいきました。その代表的
な施設を紹介します。
こまくさの湯
こまくさの湯は中央
アルプス駒ヶ岳のふも
とに抱かれ、遠くに南
アルプスを望む日帰り
温泉施設です。アルカ
リ性単純泉で筋肉痛や
関節痛などの効能があ
ります。露天風呂や
ジェット風呂もあり、旅の疲れを癒してくれます。
【開館時間】 10:00 ~ 21:00
【休 館 日】 第 2・4 水曜日 ( 祝日は翌日 )
【入 浴 料】 大人 600 円、子ども 300 円
【連絡先】 0265-81-8100
農業体験実習館 こまゆき荘
本谷砂防えん堤
砂防えん堤は、上流
から土石流などの状態
で流れてきた土砂を受
け止め、下流に一気に
流れ出さないようにす
るための施設です。本
谷砂防えん堤は高さが
35mあり、太田切川の中で最も規模の大きい
砂防えん堤です。昭和 57 年から工事を始め、
平成 8 年に完成しました。駒ヶ根高原とその
周囲に暮らす人々や、田畑や道路、建物など
たくさんの施設を土砂災害から守っています。
太田切川床固工群
こまゆき荘は、川沿
いで林間の閑静な温泉
宿泊施設です。食事メ
ニューでは、地元名物
のソースかつ丼などが
好評です。
太田切川の床固工は昭和 50 年に工事が始
まり、現在は 1,490m
が完成しています。
とこがためこう
太田切川の中に石を積んだような構造物があります。 これは床固工と呼
ばれる砂防施設です。 勾配が急な川では流れる水の力によって川底が
削られ、 削られた土砂は下流に運ばれる途中で堆積して川底を上げ、
洪水の原因となってしまいます。 床固工はこのようなことを防ぐためにつ
そじょう
くられた施設で、 地域の暮らしを守っています。 また魚が遡上できるよう
に魚道も付けられているなど、 自然環境にも配慮してつくられています。
【開館時間】 6:00 ~ 21:00
【休 館 日】 年中無休
【入 浴 料】 大人 500 円 子ども 300 円
【連絡先】 0265-81-7117
このような砂防施設によって、太田切川はしだいに安
全なり、駒ヶ根高原には多くの温泉ホテルやレクレー
ション施設、飲食店、工場などが整備されていきました。
さ ぼうりん
砂防林
川の水があふれたとき、林が水の力を弱め
るとともに、川岸がけずられるのをふせぎま
す。
9
「こもれ陽」コース
かしょうだいれき
太古の扇状地面/河床大礫
■周辺情報
大切にしたい駒ヶ根高原の自然
コ ラ ム 青空博物館の謎にせまる⑦
近世の太田切川
近世(江戸時代)の太田切川のようすは、文政
年間につくられた古図で知ることができます。こ
まぐさば
「巨石公園」 の対岸に見える高さ 40 ~ 50m のところに薄っすらと
稜線が見えます。 これはおよそ 2 万年前の扇状地面と考えられて
います。
7 ~ 5 万年前ごろ地球は氷河期を迎え、 2 万年前ごろからは再び
暖かくなったと言われています。 氷河は融けて少しずつ下方へ移
動し、そのときに山肌を削りました。 暖かくなるにつれ雨が多くなり、
川の水量も増え始めました。 こうした結果、 土石流が度々起き、
運ばれた土砂によって扇状地がつくられていったと考えられます。
イワヒバリ
高山の岩場に住む。
冬季は山麓に移動します。
カワセミ
水に飛び込んで魚を捕って食
べます。水辺で見ることがで
きます。
日本カモシカ
ロープウェイ、バス路線に姿
を現します。
アマゴ
澄んだ水で育ちますが、生息
数が減っています。
りょうせん
スイセン
4 月中旬、光前寺前に
スイセンが咲きます。
の古図を見ると、太田切川にそった土地は秣場と
して利用され、家などの建物はないことがわかり
ます。この時代にもまだ、砂防工事は行われてい
なかったため、川沿いの宮田村や赤穂村(現・駒ヶ
根市)などは、たびたび水害や土砂災害にみまわ
れていたと考えられます。古図には当時の集落の
位置も記されていますが、人家は土石流を避けて、
川から離れた安全な場所にあります。
太田切川は洪水や土石流が起きたりするたびに、
流路を少しずつ変えていったといわれています。
しかし、江戸時代ころになると、流路はだんだん
と固定していき、現在とほとんど同じ場所を流れ
るようになったと考えられています。
川の流れが固定すると、川岸には草や木が根を
張るようになり、やがて林が育ってきます。する
と、大雨などで川の水があふれても、林が水の力
を弱めるはたらきをするため、以前ほど大きな被
害を出さなくなります。それを経験的に知った
人々は、太田切川の川岸に木を植えるようになっ
たのではないかと考えられます。このように、水
かわよけばやし
害を防ぐ目的で川岸につくった林のことを川除林
といいます。
太田切川と天竜川との合流点にあたる下平地区
に、江戸時代のはじめころにつくられたと考えら
いしづみてい
れる川除林の一部が残っています。川除林は石積堤
青空博物館博士になろう!
水にかかわる地名
たぎり
かしょうだいれき
「河床大礫」 は、 およそ 60 立方メートル (=縦 5× 横 4×
き そ こま
かこうがん
高さ 3m) もある大きな木曽駒花崗岩です。 木曽駒花崗岩の
比重は 1 立方メートルあたり 2.76 トンであることから、 「河床
大礫」 の重さはおよそ 166 トンにもなります。 これはおよそ
2 万年前の土石流によって運ばれたものと言われています。
当初は 「太古の扇状地面」 と同じ高さほどにあったと思われ
しんしょく
ますが、 扇状地が太田切川の浸食作用によって深く掘りこま
れ、 今の位置にあるのだと思われます。
太田切川、中田切川などの「田切」とは、扇状地に深い谷
をつくって流れる川が、まるで田を切っているように見える
ことから来た表現だといわれていますが、これとは別に、水
が勢いよく流れるさまをいう動詞「たぎる」から生まれた言
葉だという説もあります。
また宮田村の「みやだ」は、
「み(水)
」と「やだ(谷田)
」
の意味で湿地帯を表す地名、駒ヶ根市の「赤須」は赤土のこ
と、
「上穂」は段丘の高いところの意味ともいわれていて、
この地域には、水や水がつくった地形を示す地名が多いこと
がわかります。
とセットになっていて、石積堤は土砂でつくった
堤防の川側に玉石をしきつめ、流れる水の力で堤
防がけずられないように補強した構造です。下平
地区の川除林に今も残る「長老の松」とよばれる
松は、胸高直径(大人の胸の高さ付近での木の直
径)が1mをこえる大木です。
川除林
10
「こもれ陽」コース
本坊酒造
コ ラ ム 青空博物館の謎にせまる⑧
【開館時間】
9:00 ~ 16:00
【休館日】
年中無休
【連絡先】
0265-85-4633
南信州ビール
「本坊酒造」 信州ファクトリーでは、 ウィスキー通の間で “幻
の逸品” と称されている 「MARS WHISKY」 やワインなどが
つくられており、 工場見学 (約 30 分) ができます。 また 「南
信州ビール駒ヶ岳醸造所」 も併設されており、 これらの試飲
もできます。
アルプスの雪解け水を豊富に含んだ地下 120mより汲み上げ
た良質の地下水を使用するなどしたこれらを味わってはいか
がでしょうか。
飲水恩源ー水の恵みと人々の努力を知る
太田切川扇状地に暮らす人々は昔から、農業用水や生活用水を手に入れるのに、大変な苦労を重ねてきました。
川はすぐ近くにあるのに、水は農地や集落がある土地よりもずっと低い、切り立ったがけの下を流れているため、
簡単に川の水を引いてくることができないからです。
そこで人々は、もっと上流の扇状地の上のほうで取水し、用水路を掘ってその水を下流の村へと送ることを考
えました。こうして江戸時代、上の井、下の井、宮田井、丸山井の用水路がつくられ、谷の出口にはこれらの用
水の取水口がつけられました。
太田切川右岸(川の下流に向かって右側)の菅の台の上穂・赤須、左岸の宮田・中越・諏訪形などの村々では、
用水路によって豊かな太田切川の水を利用できるようになり、扇状地で米作りをすることも可能になりました。
用水を村どうしでうまく使いまわすため、いろいろな工夫もおこなわれました。
しかし、
太田切川は土石流の多い「暴れ川」です。このため、
せっかくつくった用水路や取水口が土石流でうまっ
たり、破壊されたりすることもたびたびありました。
例えば宮田井(黒川井ともよばれています)は、現在より下流に取水口が設けられていましたが、江戸時代に
起きた洪水で取水口がうまり、太田切川と切り離されてしまったため、宝暦 5 年に現在の場所に取水口を移して
用水を確保しましたが、わずか 2 年後に起きた太田切川の大きな土石流によって、土砂に埋もれてしまいました。
このように、用水の確保は太田切川の土石流との戦いの連続であったといえます。
先人たちは今のような建設機械がない時代
にもかかわらず、その恵みを得るためにと
ても大きな「ヒゲスリ岩」に導水トンネル
を掘り取水していました。
マルスウィスキー
■周辺情報
養命酒 駒ヶ根工場
宮田井取水口
養命酒製造工程見学の他、
PR映画鑑賞、養命酒
の森散策、記念館の見学ができます。喫茶コーナー
もあります。
【開館時間】 9:30 ~ 16:30
(30 分間隔ごとに見学開始)
【休館日】 年中無休
【連絡先】 0265-82-3310
地域の特産品
ソースかつ丼
上の井取水口
産品
駒ケ根市特
宮田村市特産品
下の井取水口
紫輝彩丼
11
「こもれ陽」コース
び
みち
こもれ陽の経
■周辺情報
宮田村マレットゴルフ場
コ ラ ム 青空博物館の謎にせまる⑨
黒川沿いのこもれ陽の
径に併設し、豊かな自然
ときれいな清流に囲まれ
た施設です。森林浴を楽
しみながら健康促進する
には最適な場所です。
ふしぎ林ー林のふしぎ
太田切川は、過去に何度も大きな土石流や洪水
を引き起こしてきた「暴れ川」です。駒ヶ根橋の
すぐ下流に、川岸が小高くなっているところ
もちのきはら
【施設情報】 36 コース
【利用期間】 冬期間は閉鎖
【利用料金】 1 人 200 円(レンタルは別途料金)
【連絡先】 0265-83-0680
宮田村総合公園ふれあい広場
こもれ陽の径は、 こまくさ橋から宮田村ふれあい広場までの
黒川に沿った総延長 1.7km の遊歩道です。
太田切川はこれまでに度々土石流などを引き起こしてきました。
今では心地よい散策道 「こもれ陽の径」 にも、 かつて発生
した土石流の跡を見ることができます。
脇を流れる清流 「黒川」 は、 実は江戸時代に人工的につく
られたとされる 「黒川井」、 「宮田井」 と呼ばれる用水路で、
今なお利用されています。
全長 70mのジャンボす
べり台やローラースケー
ト場、イベント広場の設
備があり、水と緑にあふ
れたゆとりある公園です。
近くにはスポーツ施設
として宮田球場やテニス
コート、体育館、マレッ
トゴルフ場などのスポーツ施設も充実しています。
黒川水産
こもれ陽の径の途中にあ
る黒川水産ではニジマス、
ヤマメ、イワナなどの魚を
釣って楽しむことができま
す。釣った魚はその場で塩
焼きにしたり持ち帰ること
もできます。
【開館時間】 9:00 ~ 17:00
【休館日】 月曜日(祝日は翌日)
、年末年始
【入場料】 500 円
【問い合わせ】 0265-85-6250
宮田高原キャンプ場
標高 1,650m の山の中の
大自然に囲まれた中にあ
り、テントサイトやログハ
ウスが完備されています。
(檍原)がありますが、これは、江戸時代の宝暦 7
(1757)年に大きな土石流が起きたときに、大量
の土砂がヒゲスリ岩へ激突し、ネズミサシの森付
近から下流に
積もったこと
によってでき
た小山です。
ネズミサシ
の森は、昔は
ヒゲスリ岩
その名のとお
り、ネズミサシ(ネズ)の木が生えていたようで
すが、今はヒノキ、カラマツ、シラカバなどの森
となっていて、ネズミサシの木は見ることができ
ません。観光ホテルの庭の東側には、むかし、幹
の直径が1mもあるネズミサシの株があったとい
われています。
古い時代の太田切川は、土石流や洪水のたびに
流路を少しずつ変え、江戸時代頃になると、しだ
いに川の流れは固定していき、それに伴って川岸
かはんりん
に林(河畔林)が育つようになりました。さらに
かわよけばやし
人々は、洪水を防ぐため、川除林とよばれる人工
林を川岸に造成しました。川除林には、石ころだ
らけで養分が少ない土地でもよく育つ、カラマツ
などの木が植え
られました。
現在太田切川沿
いには過去の土
石流の跡が土石
たい
流堆となって残
ネズミサシの森
り、その上に自
然に生えてきたマツやシラカバの木が生長し、天
然の川除林となっているところがあります。
一方、こもれ陽の径ぞいには用水と、それを生
かした人工的な杉林を見ることができ、太田切川
の自然林とのちがいがよく分かります。
【開設期間】 7 月~ 9 月
【連絡先】 0265-85-2683
12
「七名石」コース/「こもれ陽」コース
■周辺情報
駒ヶ根高原スキー場
こまくさ橋
コ ラ ム 青空博物館の謎にせまる⑩
初級から中級者まで楽しめる
バラエティ豊かなゲレンデで
す。ソリコースもあります。ナ
イター設備も完備。
【連絡先】 0265-83-4000
パノラマ遊歩道
駒ヶ根高原スキー場の脇には自
然豊かなパノラマ遊歩道があり、
オフシーズンにはリフトの頂上付 古城
崩壊斜面
近まで行くことができます。その
リフトの頂上付近を境に、斜面の
スキー場
勾配が、上方は急、下方は緩く変 駒ヶ根高原別荘地
崩壊堆積物
化しています。これはおよそ 3 万
光前寺断層
光前寺
年以上前に山が崩れた跡といわ
れ、スキー場はその崩れた土砂の
※9)
斜面につくられたものです。
また、2 つあるリフトの間には、土石流の跡が見られ、
これは「太古の扇状地面」と同等の高さにあることから、
その時のものだと考えられます。
こまくさ橋は全長 146mの吊り橋で、 夜間にはライ
トアップされます。 橋の上からの中央アルプスと太田
切川の眺めはとてもキレイです。
日暮の滝 ・ カモシカの滝
中央アルプスの雪形
4 月になり山の雪が解けはじめると雪
形が現れてきます。南アルプスにはほと
んど雪形が見られないのに比べて、中央
アルプスにはさまざまなものが見られま
す。
中央アルプスで最もはっきりと、しか
も長期間現れるのは島田娘です。4月中
旬から千畳敷の南に横向きの島田髪の娘
が現れます。通常雪形というのは自然現
象なので、あまりリアルなものは少なく、
よく説明を聞いてやっと納得できるもの
ですが、島田娘はとても分かりやすいで
す。5月になり島田娘が明瞭になってく
る頃、そのすぐ南に種蒔き爺さんが現れ
ます。
この他に宝剣岳の馬の顔とたてがみや
南駒ヶ岳の中腹には見返り美人、南駒連
峰の田切岳の飛竜など次々と現れます。
ご自分の目で一度確かめてみてください。
日暮の滝は中央アルプスの断層崖
によってできた比高差 25mの大きな
滝であり、しらび平駅から徒歩 15
分程度にあり、ロープウェイとの景
観もあいまってカメラスポット等に
もなっています。またカモシカの滝
はしらび平駅に至る途中にある同じ
断層崖によって形成された滝です。
太田切川の活断層と田切地形
太田切川流域には北北東—南南西方向に多くの
活断層(伊那谷断層)が走っています。断層とは、
台地をつくる岩盤が、何キロメートルにもわたっ
てひび割れてずれてしまったところのことで、今
も動く危険がある断層を活断層といいます。
太田切川流域の代表的な活断層に、飯田線西側
の田切断層、さらにその西側(中央高速東側)の
北割断層、光前寺東側の光前寺断層があります。
さらに中央アルプス山腹斜面にも多くの断層が走
り、これらの断層があるところは急な崖となって
いるため、日暮の滝、不動の滝、かもしかの滝な
どの滝が形成されたと考えられています。
中央アルプスの隆起に伴って山側がせり上がる
と、川の勾配も急となり、流れる水により谷が深
くけずられたようです。こうして山から運ばれた
大量の土砂によって、太田切川、中田切川、与田
切川などの扇状地が形成されましたが、川の流路
が固定してくると、川は扇状地を切るように深い
谷をつくっていき、田切地形ができたと考えられ
ています。
田切地形の形成
※8)
青空博物館博士になろう!
田切地形は文化の境界だった!?
島田娘
太田切川や与田切川を渡る
道路は、古い時代には深くえ
ぐられた谷を避けるために、
大きく上流側に迂回する必要
がありました。このため、両
伊那谷に形成された田切地形
岸を結ぶ道は、ギリシャ文字
のΩの形につけられといわれています。この田切地形は、人
やものの行き来など、両岸の交流の障害となり、すぐ隣の村
なのに、川の向こうとこちらとでは、言葉(方言)や食文化
が違うというような現象も生まれたといわれています。
13