三角関数 と 複素正弦波

[ 三角関数 ]
ラジアンで表した円の角度
cos と sin
r
b
度
0°
90°
180°
ラジアン
0
1
π
2
π
θ
a
cosθ=
a
r
sinθ=
r
θ=
θ=π
θ=-π
・ 斜辺 r = 1 なら、cos と sin は、a,b の
長さに等しくなる。
cosθ=a
sinθ=b
y
1
P=(a, b)
b
-1
0
2π
a
1
x
3
π
2
1
π
2
θ=0
θ
0
θ=
θ
3
π
2
360°
y
b
・ cos は、直角三角形の斜辺 r と
角θをはさむ辺 a との比
sin は、角θの対辺 b との比
単位円 と
三角関数
270°
θ=-
x
1
π
2
θ=π と θ=-π は同じ
θ=(3/2)π と θ=(-1/2)π は同じ
つまり、2πを足したり引いたりしても、
一周するだけなので、円の角度としては同じとなる。
だから、
cos(-π)=cosπ
sin(-1/2)π=sin(3/2)π
などが成立する。
時間を変数とした 三角関数
y
-1
1
x-y 平面に、半径が1の円(単位円と言う)を描く。
円周上の点Pと、Pから x 軸に垂線を下ろした点 と、
原点0とは、直角三角形になる。
そして、この直角三角形は、斜辺の長さが1である。
P
sin t
-1
t
cos t 1
0
関数 cos t は、
単位円上を
等速円周運動をする
点P
の x座標
Pの座標を(a,b)とする。
また、x軸と半径P-0とが作る角度をθとする。
すると、 cosθ=a sinθ=b
となる。
-1
0
つまり、単位円の上の点Pの座標、(a,b)は、
(cosθ,sinθ) となる。
cos t
t
x
[ 複素正弦波 1/3 ]
複素指数関数 e z において、z=j ωt とおいたもの、ejωt を複素正弦波と呼んでいる。
I (虚)
複素正弦波の定義
ejωt =cosωt+j sinωt
1
ω:角周波数、 t :時間
( オイラーの公式 )
ejωt
sinωt
ωt
-1
0
R(実)
1
cosωt
-1
・ ejωt は、実数部が cosωt、虚数部が sinωt を持つ複素数として定義される。
・ ejωt は、複素数の値をとる時間 t の関数である。。
性質: 複素数 ejωt は、絶対値が1で、偏角が ωt の複素数である。
(証明)
・ 性質 1-1: 複素数 ejωt の絶対値 (=原点からの長さ)は、ωt の値によらず常に1である。
(証明): 複素数 ejωt の絶対値 = | ejωt | = √((実数部)2+(虚数部)2 )
= = √((cosωt)2+(sinωt)2 )=1
・ 性質 1-2:複素数 ejωt の偏角はωt である。
(証明): 一般に、複素数 z の絶対値を | z |、偏角をθとすると、
実数部は | z |・cosθ、 虚数部は | z |・sinθ
と表される。
ejωt の絶対値は 1 なので、その実数部は cosθ、虚数部はsinθと表される。
一方定義より、 ejωt の実数部は cosωt、虚数部はsinωt であるので、
偏角 θ=ωt であることが示される。
[ 複素正弦波 2/3 ]
I (虚)
複素正弦波の定義
ejωt =cosωt+j sinωt
1
ω:角周波数、 t :時間
ejωt
sinωt
ωt
-1
0
R(実)
1
cosωt
-1
・ 性質より、時間が経過して t が大きくなるにつれて、偏角が増加するので、ejωt は半径が1の円
(単位円 )の上を回転する。
・ ωt = 2πf t より、t = 1/ f となると、ωt=2π となって、1回転する。つまり、ejωt の回転周期は、
周波数の逆数である。 1秒間に f 回回転する。
正弦波として、sin や cos ではなく、 ejωt を使うことの利点
・ 指数関数の形をしているので、微分・積分が簡単。
d
(微分) e jω t = jω ⋅ e jω t
dt
1 jω t
jω t
(積分) ∫ e dt = jω e
(1)
(2)
式からわかるように、微分は jωをかける、積分は jωで割る操作と同じになる。
・ また、2つの正弦波の掛け算や割り算も、複素正弦波の場合は簡単になる。
(乗算) e jω1 t e jω 2 t = e j (ω1 +ω 2 ) t
(除算) e jω1 t /e jω 2 t = e j (ω1 - ω 2 ) t
式からわかるように、乗算は加算、除算は減算操作で表される。
[ 複素正弦波 3/3 ]
・ 通常の正弦波 sin, cos と、複素正弦波の関係。
複素正弦波 e jω t の定義より、
e jω t = cos ωt + j sin ωt
また、e
− jω t
(1)
は、式(1) の j を - j として、
e − jω t = cos ωt − j sin ωt
(2)
となる。式(1)から式 (2) を引き算すると、
e jω t − e − jω t = 2 j sin ωt
よって、
sin ω t =
(
1
e jω t − e − jω t
2j
)
が得られる。また、式 (1)と式 (2) を加算して、
e jω t + e − jω t = 2 cos ωt
よって、
cos ω t =
(
1 jω t
e + e − jω t
2
)
が得られる。
これらの式は、sin (または cos )が、 e
jωt
とe
-jωt
からできていることを表している。