ケーススタディ ウェブサイトの多言語展開で PV 急増 デジタル機器の海外展開に早くから着手してきたカシオ計算機。 SDL のトータルな翻訳・ローカリゼーションおよびコンサル ティングサービスを採用し、短期間で多言語ウェブサイトの 公開を実現。最新の製品情報を現地の言語でお客様に提供 することで、海外市場のビジネス拡大を加速しています。 1957 年に世界初の小型純電気式計算機を商品化し、創業したカシオ計算機。 技術力とマーケティング力の強さを発揮し、次々とデジタル機器のヒット商品を 市場に送り出してきました。1965 年にトランジスタを採用した電子式卓上計算 機を、1972 年にはさらに小型化、低価格化を LSI 搭載で実現した初のパーソナ ル電卓「カシオミニ」を市場に投入。発売 10 ヵ月で 100 万台を販売する大ヒッ ト商品となり、同社の成長に貢献しました。 その後もデジタル技術を生かし、時計、電子楽器、デジタルカメラなどを続々と 商品化。1983 年に発売された耐衝撃腕時計「G-SHOCK」は、2009 年には累計 販売数 5,000 万個を記録しています。 海外展開についても 1967 年にはスイスにヨーロッパ事務所を設置し、いち早く 取り組んできました。1970 年に北米に販売会社を設立。欧州、北米の市場に上 場。1978 年には生産拠点としてカシオ台湾を設立。現在は東京、欧州ハンブル グ、北米ニュージャージー、中国上海と 4 つの大きな拠点を持ち、グローバルに 展開しています。2012 年の売上高比率では、国内が約半分、北米、欧州、アジア・ その他が残りを占めています。 現在、時計、電卓、電子楽器、電子辞書などコンシューマ製品を主力として展開 する同社では、製品情報を提供し、マーケットを広げるためにウェブサイトを 戦略的なツールとして位置付け、多言語ローカリゼーションに取り組んでいます。 言語 Case Study – Casio 2 課題 多言語に対応できる コンテンツマネジメントシステム(CMS)へ移行 今や翻訳だけでなく、 CMS システムと連携したコンテンツ 作成が重要です。SDL ジャパンは、 単にランゲージサービスだけではなく、 トータルなローカリゼーション サービス パートナーとしてコンサルティングを含めて 支援してくれました。プロジェクトマネージャー のスキルの高さと、対応の速さにも助けられ ました カシオ計算機株式会社 コーポレート コミュニケーション統轄部 ウェブ戦略部 部長 増渕 浩 氏 同社では、4 拠点でカバーする地域のウェブサイトを運営しています。ウェブサイ トでは、スピーディに世界へと情報発信していくことが命題でした。また、海外 市場の拡大にあわせて、翻訳しなければならない言語も増えていきました。 「東京では、日本語版と英語版を作成し、英語から中南米向けに、スペイン語、 ポルトガル語へと翻訳していました。それが一気にタイ語、ベトナム語など、 アジア言語へと拡大していく必要性に迫られ、そうした言語の翻訳を一括で 任せられる会社を探していました」と、コーポレートコミュニケーション統轄部 ウェブ戦略部の増渕浩部長は 2012 年初頭の状況を説明します。 それまでも欧州拠点では SDL のドイツオフィスが同社の欧州言語の翻訳をパー トナーとして手がけているほか、東京拠点では SDL の韓国オフィスが窓口となっ て同社の翻訳業務を支援してきました。SDL のアジア地域の体制変更とともに SDL ジャパンへと引き継がれた時期に、カシオ計算機ではもうひとつ大きな課 題があがっていました。 ウェブサイトのコンテンツを作成、管理、運用するコンテンツマネジメントシステム (以下、CMS と略)のリプレースです。CMS はデザイン性の高いウェブサイトを 効率よく作成するのに欠かせないシステムですが、製品によって強みが異なりま す。同社がそれまでに導入していた CMS は、デザイン的に見栄えのよいウェブ ページを効率的に作成するのには向いているものの、日本語以外の多言語 展開をしていくときに手間がかかることがわかり、将来を見据えたリプレースを 検討していました。 「当時の CMS は、ウェブページデザインの自由度の高さが利点でした。日本 国内でウェブサイトを展開するだけならば、その CMS で十分なのです。でも、 日本語版と英語版の両方を作りたい。こうなるとそれぞれのページを作らなくては ならず、2 倍の手間がかかっていました。今後言語数が増えていくと大変なこと になります。そこで多言語展開が可能な CMS をもう一度、選び直すことになりま した」と、コーポレートコミュニケーション統轄部ウェブ戦略部戦略企画グループ の渡辺優子グループマネージャーは語ります。 カシオ計算機では、単なる翻訳会社ではなく、CMS へのシステム対応や、ウェブ サイトの多言語化を一括して任せられるコンサルテーションスキルも兼ね備え た会社が求められていました。 Case Study – Casio 3 ソリューション CMS の知識とシステム対応の経験が短期間での立ち上げを可能に 2011 年夏に新しい CMS が選定され、既存コンテンツの移行、新コンテンツの 作成などが進められていきました。2012 年からは移行した CMS に合わせて、 新しい言語の翻訳、CMS への格納に着手することになり、SDL ジャパンがラン ゲージサービスのパートナーとして選ばれ、2012 年の夏から新 CMS でのコン テンツのローカライズに関わっていきました。 システム変更時には、システムの不安定さや想定外のトラブル発生がつきものです。 「初めて導入するシステムでしたから、予想のつかないエラーが出ることもあり ます。コンテンツを入れてみてはじめてわかることや、コンテンツの下準備もこ れまでと異なる注意が必要でした。 実際にコンテンツを入れてみてエラーが起こると、その原因の指摘や対処の 提案をプロジェクトマネージャーからいただき、問題を解決していけたので助か りました」と渡辺氏。 ここには多くのグローバル企業へウェブコンテンツソリューションを提供してきた SDL の強みが生かされています。多様な企業のシステムと連携したランゲージ サービスを手がけ、ビジネスを支援してきた経験が発揮されたといえるでしょう。 「SDL ジャパンは翻訳だけではなく、CMS システムを含めて理解し対応してくれま した。SDL のプロジェクトマネージャーのシステム対応のスキルが高いことにも 驚きました。さまざまなノウハウや経験、高いスキルをもったスタッフが、熱心 にきめ細かいサービスを提供してくれて、非常に感謝しています」と増渕部長は 語ります。 具体的には、CMS で管理するためには XML で記述された原稿の受け渡しが必要 になりました。HTML でなく、システムに対応した XML での記述やシステムの 動きを理解して対応することが、翻訳をする際にも求められます。XML のタグを 不注意で消してしまうといったミスが、システムのエラーにつながるためです。 これまでの経験を生かして、発生したエラーの原因を探り、的確な提案をする システム対応力が、プロジェクト全体をスムーズに進めていく力となりました。 「新しい CMS では、必要な XML データを出力して渡し、SDL で翻訳し終わった XML データをこちらで CMS に入れることで、自動的にウェブに反映される仕組 みになっています。手作業でのウェブページの更新がなくなり、楽になりました」 と渡辺氏は、CMS 移行を含めたウェブページ作成業務の見直しを振り返ります。 1 言語について約 1 万ページにものぼる大量のウェブコンテンツを翻訳、CMS に格納し、英語から、スペイン語、ポルトガル語、タイ語、ベトナム語の 4 言語 対応が進められていました。 「運用していくなかで、SDL ジャパンの翻訳の正確さ、品質の高さに加えて、 システムに入れたときにデータにエラーがないことも評価しています。また、 翻訳された原稿が、言語が異なると文章の長さが変わってしまい、ウェブページ のレイアウトが崩れてしまうことがあります。そうしたユーザーインタフェースの 多言語テストも行い細かくチェックしていただきました。タイ語のように、私が 原稿を見ても内容が全くわからない言語がありますから、データの不備も含め たチェックをしてもらえ、助かっています」と渡辺氏は付け加えます。 また、プロジェクトを進めていく上でのスピーディな対応が、短期間でのシステム 稼働を支えたといいます。システム運用についても逐次連絡を取りながら、プロ ジェクトを着実に進めました。こうして 2012 年 12 月にローカライズ作業スタート から約半年で、新 CMS に対応言語の追加を行ったウェブページが公開されました。 右から左へと読む アラビア語のような ローカライズが難しい言語の翻訳でも、 ウェブページの見た目も含めてデータ 作成をし、CMS とのシステム連携をして もらえるので、SDL ジャパンに安心して 任せられます。PV 急増の実績を踏まえて、 成長するアジア諸国や新興国の言語 展開を検討しています カシオ計算機株式会社 コーポレート コミュニケーション統轄部 ウェブ戦略部 戦略企画グループ グループマネージャ 渡辺 優子 氏 Case Study – Casio 4 導入効果 課題 • コンテンツの現地語展開の拡大によるページビューの増加 言語数増加に伴うウェブサイトの多言 語対応強化を短期間で実現すること • 新 CMS 導入時のシステムエラーへの 対応 • PC サイトとスマートフォンサイトでの ユーザーインタフェースで表示が崩れ るなどの不具合 ランゲージ・サービス º º º コンサルティング 多言語テスト プロジェクト管理 メリット • • • • • 「どの言語も、PV は対前年比で 2 倍以上になっています。中でも韓国語のウェブ サイトの伸びは驚異的で、自国語で製品情報を読みたいと思っているお客様の ニーズに応えることができたと考えています」と渡辺氏。 「カシオのコーポレートサイトに比べ、G-SHOCK サイトはアラビア語を含めた 14 言語とより多くの言語に対応して情報提供しています。また、パソコンだけで なく、スマートフォンにも対応しました。 SDL ソリューション • 現在は日本語を加えた 5 言語から、さらにトルコ語、韓国語へと対応言語を増や しています。これらのウェブサイトのページビュー( PV )は、驚異的な伸びを 見せているそうです。 短期間でウェブサイトの多言語展開を 実現し PV 急増 新 CMS 導入時のシステムエラーの原因 の指摘や対処の提案までトータルに サポート ユーザーインタフェースの多言語テス トで細かい表示上のエラーをチェック 品 質 の 高 い 翻 訳と、CMS システムと 連 携したスピーディーなランゲージ サービスを実現 ノウハウや経験、高いスキルを持った プロジェクトマネージャーによるきめ 細かなサービス スマートフォンサイト運用は、パソコンと違った技術が必要になります。iPhone で見ると、表示がちょっと崩れるといったことが起こりがちなのですが、そうした チェックも SDL に協力してもらいました。特にアラビア語では意図するところと 違う箇所で文章が切れてしまったときに、私たちはアラビア語が読めないので おかしいのかどうかもわかりません。そこでユーザーインタフェースの多言語 テストも SDL にお願いしています。翻訳だけでなく、そうした部分も協力して もらえるので安心しています」と増渕部長は語ります。 今後、大きなマーケットとして期待できるインドネシアやマレーシアへの言語対 応や、公用語の数が多いインドについても検討しているとのことです。 アジアではスマートフォンが急速に普及し、特に新興国ではスマートフォンから インターネットにアクセスする人が多いことが特徴です。そうした層への情報提供 手段として、パソコンとスマートフォンを両輪として、ローカライズしたウェブ ページの提供を計画中です。 自国の言語でのウェブページを見て製品を選んだり、製品の特徴を知ったりする ことは、顧客経験価値の向上につながります。多言語翻訳と、CMS システムと 連携したスピーディなランゲージサービスがそれを支えていくことでしょう。 ウェブサイトの多言語展開で ページビューが急増 SDL(LSE:SDL)は、購買プロセスの流れ全体にわたり、企業が顧客体験を最適化する支援をし ています。Web コンテンツ管理、分析、ソーシャルインテリジェンス、キャンペーン管理、翻訳サー ビスにより、SDL はお客様がデータから得られるインサイトに基づいて顧客の求めるものを理解 し、関連するコンテンツやコミュニケーションを連携させ、言語、文化、チャネル、デバイスの垣根を 越えて魅力的かつコンテキストに合った体験を提供できるようお手伝いします。 詳細については、www.sdl.com/jp/ をご覧ください。 SDL は、1,500 社以上のグローバル法人顧客と 400 社以上のパートナー企業を抱え、世界 38 か国 に 70 か所以上のオフィスを展開しています。グローバルなトップブランド 100 社のうち 72 社が SDL を利用しています。
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