須坂市人権政策推進基本方針(全文)

須坂市人権政策推進基本方 針
~人権が尊重される須坂市をめざして~
屋
部
町
竹
内
せ
つ
さ
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同
じ
世
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勇
気
こ
そ
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き
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く
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日
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小
学
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6
年
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分
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肩
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小 第
山
一
颯そ
う
が
雅 歩
さ
ん
東中学校 1 年
み き
青木美樹さん
〈平成 25 年度小・中学生、一般応募作品最優秀賞の標語・ポスターです〉
平成 26 年3月
須
坂
市
は
じ
め
に
21世紀は「人権の世紀」といわれています。世界平和は私
たちの切なる願いです。国連を中心に、「人権が尊重される
世界」の実現に向けてさまざまな取組みが行われています。
国内では、少子高齢化の急速な進行、長引く経済の停滞、
国際化や情報化の進展等、社会構造が大きく変化する中、同
和問題をはじめ女性、子ども、障がい者、高齢者、外国人な
どへの差別、いじめ、虐待、性犯罪など「人間の尊厳」が侵
害される事件が発生しています。また、インターネットによ
る人権侵害、福島第一原子力発電所の事故に伴う偏見や差別
など、新たな人権問題も生じています。本市においても女性、
子ども、障がい者、高齢者、同和問題、インターネットなど
の人権侵害があります。
こうした状況の中、市では、これからの人権政策推進のあ
り方について、平成24年5月、「部落差別をはじめあらゆる
差別撤廃・人権擁護審議会」に諮問を行い、平成25年3月、
「須坂市では同和問題をはじめとしてあらゆる人権について
社会情勢等の変化に応じた人権政策、人権教育を一層進める」
とする答申をいただきました。この答申に基づき、このたび
「須坂市人権政策推進基本方針」を策定いたしました。
今後、この基本方針により、すべての施策を人権尊重の視
点から総合的に推進し、人権が尊重され、心豊かな生活を送
ることができる明るく住みよい社会の実現(人権のまちづく
り)に向けて取組んでまいります。
市民の皆様におかれましては、家庭・地域、学校、企業・
職場などあらゆる場で、自らの課題として率先して取組んで
いただきますよう心よりお願い申し上げます。
結びに、本基本方針の策定にあたり、熱心にご審議を重ね
ていただきました審議会委員の皆様をはじめ、貴重なご意見
をお寄せいただいた多くの市民の皆様に心より厚く御礼申し
上げます。
平成26 年3月
須坂市長
目
次
第 1 章 基本方針の目的
1 基本方針策定の趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2 基本方針の位置付け ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
第 2 章 基本方針策定の背景
1 世界の動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
2 国内の動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
3 長野県の動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
4 須坂市の取組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
第3章
人権政策の基本理念
1 人権の概念 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
2 人権政策の基本理念 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
第4章
人権施策の方向性
1 基本姿勢 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
2 人権教育・啓発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
3 人権相談・支援 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
第5章
各人権課題に対する施策
1 同和問題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
2 女性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
3 子ども ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
4 障がい者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
5 高齢者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
6 インターネットによる人権侵害 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
7 犯罪被害者等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
8 外国人 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
9 刑を終えて出所した人等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
10 さまざまな人権課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
第6章
推進体制
1 推進体制と役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
2 評価体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
付属資料
1 用語解説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
2 「須坂市人権政策推進基本方針」策定の経緯 ・・・・・・・・・・・・・・・31
3 「部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護審議会」答申(平成 25 年 3 月) ・・・32
4 部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護審議会委員名簿 ・・・・・・・52
5 部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護に関する条例 ・・・・・・・・54
6 世界人権宣言(仮訳文)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55
7 日本国憲法(抄)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59
8 同和対策審議会答申(抜粋)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62
9 人権教育及び人権啓発の推進に関する法律 ・・・・・・・・・・・・・・・・63
10 わが国が締結している主な人権関係条約等・・・・・・・・・・・・・・・・64
11 人権関係の主な国内法(施行日順)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67
12 人権に関する市民意識調査報告書(ダイジェスト版)
・・・・・・・・・・・・69
第1章
1
基本方針の目的
基本方針策定の趣旨
本市では、昭和33(1958)年「須坂市部落解放審議会条例」を制定し、同審議会を
設置しました。翌年、須坂市部落解放推進協議会(現:須坂市人権のまちづくり推
進会議)を発足して以来、同和問題を最重要課題として、さまざまな人権問題の解
決に取組んできました。
昭和40(1965)年の同和対策審議会答申と昭和44(1969)年の「同和対策事業特別措
置法 (以下「同対法」という。)」に基づき、須坂市同和対策事業基本方針及び須
坂市同和教育基本方針を制定し、生活環境の格差を改善するために必要な同和対策
事業を实施するとともに、同和問題を正しく理解し差別をなくすため同和教育事業
を進めてきました。
さらに、部落解放・人権尊重都市を宣言するとともに、部落差別をはじめあらゆ
る差別撤廃・人権擁護に関する条例を制定し、部落差別撤廃・人権擁護に関する総
合計画の策定などにより、同和問題の解決に向けた取組みを進めてきました。
平成6(1994)年の国連総会において、平成7(1995)年から平成16(2004)年までの
10年間を「人権教育のための国連10年」とすることが決議され、平成9(1997)年に
国が、平成11(1999)年に県が、それぞれ行動計画を策定しました。本市でも平成
13(2001)年「人権教育のための国連10年須坂市行動計画」を策定し、人権尊重の視
点からさまざまな人権問題の解決に向けた施策を实施してきました。
平成12(2000)年12月「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が施行され、
平成14(2002)年3月には国の「人権教育・啓発に関する基本計画」が策定されました。
時同じく平成14(2002)年3月31日で「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特
別措置に関する法律(以下「地対財特法」という。)」が失効し、昭和44(1969)年か
ら33年間にわたり続けられてきた特別対策による同和対策事業が終了することから、
残された課題については、平成13(2001)年の部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・
人権擁護審議会において、以降は一般対策事業として差別解消に向けた取組みを進
めることとなりました。
こうした経過を踏まえて、本市においては、従来の同和政策・教育の取組みを拡
充し、平成14(2002)年に名称を「人権同和政策」「人権同和教育」とし、同和問題
を重要な柱として取組んできました。
平成23(2011)年に实施した「人権に関する市民意識調査」では、人権侵害の状況
は、同和問題の他、女性、子ども、障がい者(注)、高齢者の人権問題について、大
きな課題であることが明らかになりました。国内では、急速に普及が進むネット社
会の中で、インターネットによる人権侵害が深刻な状況となっています。犯罪が凶
悪化、陰湿化する中で、犯罪被害者の人権問題も重要な課題となってきています。
また、東日本大震災に伴う原子力発電所の事故による人権侵害や風評被害、ヘイ
トスピーチ(特定の個人や集団などの人種や民族、宗教などを理由に差別意識や偏
見を持ち、激しい言葉で憎しみを表現する言動)など、人権問題はますます多様化、
1
複雑化し、新たな人権問題も発生してきています。
本市のこれまでの同和問題の取組みの中で積み上げてきた成果や手法を生かし、
すべての人の基本的人権を尊重する施策を見直す必要が生じています。
このため、平成23(2011)年度を初年度とする第五次須坂市総合計画前期基本計画
では、一人ひとりが自らの人権意識を高め、すべての人々の人権を守り差別のない
社会を实現するため、全市民・企業・行政が力を合わせて人権のまちづくりを推進
することとしています。
このような状況の中で、平成 25(2013)年3月「部落差別をはじめあらゆる差別撤
廃・人権擁護審議会」から、次の答申がありました。
⑴ 同和問題をはじめとしてあらゆる人権について、社会情勢等の変化に応じた
「人権政策推進基本方針」策定に向けた内容とする。
⑵ 人権問題の中には、同和問題をはじめ、女性、子ども、障がい者、高齢者な
どさまざまな人権問題を含むものとして、人権政策、人権教育とする。
⑶ 市民一人ひとりが、互いの能力や個性などを認め合い、輝いていきいきと暮
らせるように、研修や学習、交流活動を積み重ねながら、人権を尊重し、人権
侵害を許さない社会風土、いわゆる人権文化を培うために、人権政策を一層推
進する。
⑷ 市民一人ひとりが人権への理解を深め、人権尊重の意識を高めるよう、あら
ゆる場を通じて教育・啓発を行うとともに、人権のまちづくりへの取組みを一
層進めることを要望する。
⑸ 施策の推進については、差別解消に向けて関係団体や当事者の意見をしっか
り受け止めて、連携しながら継続的に進めることを要望する。
この答申を基に、市民の意見を聴き、本市が今後進める人権政策の指針として「須
坂市人権政策推進基本方針(以下、基本方針という。)」を策定しました。
2
基本方針の位置付け
この基本方針は、「部落差別撤廃・人権擁護に関する総合計画(平成12(2000)年
策定)」及び「人権教育のための国連10年須坂市行動計画(平成13(2001)年策定)」
に替わるもので、市民の一人ひとりが、人権問題を自らの課題と受け止め、家庭・
地域、学校、企業・職場等あらゆる場で、人権が尊重され差別のない明るい須坂市
の实現に向けて主体的かつ積極的に取組むことを基本としています。
この基本方針に基づき、同和問題をはじめとしてさまざまな人権課題の解決に向
けて、市民と一体となって施策を推進していきます。
また、第五次須坂市総合計画前期基本計画(平成23(2011)年から平成27(2016)年)
における人権に関わる施策を推進するための基本方針とし、必要に応じて見直しを
行うものとします。
(注)平成20年度から「障害者」の表記について、国の法令や他の条例に基づく制度や施設名
あるいは法人、団体の固有名詞は「障害者」と表記し、その他は「障がい者」と表記す
る見解が市健康福祉部から示されました。
2
第2章
1
基本方針策定の背景
世界の動向
人権は、中世ヨーロッパにおいて、厳格な身分制度に縛られ、君主の圧制に苦し
められていた人民が、自由獲得の戦いの中で獲得してきた権利であるといわれてい
ます。
また、人類の歴史は、人間の尊厳を守るための歴史とも言われています。
人類は、20世紀前半に二度にわたる世界大戦を経験しました。第二次世界大戦を
終結させた連合国が中心となり、こうした戦争が起きないようにと国際連合(以下、
国連という。)が結成され、昭和23(1948)年に国連総会で、すべての人民とすべての
国が達成すべき基本的人権についての宣言である「世界人権宣言」が採択されまし
た。
その後、国連では、「世界人権宣言」の理念を实効あるものとするため、「国際
人権規約」、「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」「女子に対する
あらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」
「児童の権利条約」など人権に関わる様々
な条約が採択されました。また、「国際人権年」「国際婦人年」「国際児童年」「国
際障害者年」「国際高齢者年」などの国際年が定められ、その普及と協調行動への
提唱が行われてきました。
しかし、世界の人々の平和への願いにもかかわらず、冷戦構造の崩壊後も依然と
して地域間紛争や貧困、難民の問題など、世界各地で深刻な問題が起きています。
このような厳しい国際社会の状況を受け、平成6(1994)年、国連は、平成7(1995)
年からの10年間を「人権教育のための国連10年」とすることを決議し、「人権教育
のための国連10年行動計画」で、「人権という普遍的文化」を構築するための取組
みを示しました。
さらに、「人権教育のための国連 10 年」の終了を受けて、平成 16(2004)年の国
連総会において、全世界規模で人権教育を推進するための「人権教育のための世界
計画」を開始する宣言が採択されました。
2
国内の動向
国内においては、昭和22(1947)年、基本的人権の享有と法の下の平等をうたう「基
本的人権の尊重」を基本理念に掲げた日本国憲法が施行されました。
昭和31(1956)年には国連に80番目の加盟国として加盟し、「国際人権規約」をは
じめ、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」「児童の権利に関
する条約」など多くの人権に関する諸条約を批准し、国政全般にわたり、人権に関
する諸制度の整備や施策が進められ、国際社会とともに人権確立のための取組みを
進めてきました。
また、同和問題は、昭和40(1965)年の同和対策審議会答申に基づき、「同和対策
事業特別措置法」が施行された昭和44(1969)年から「地対財特法」が失効した平成
3
14(2002)年3月まで、33年間にわたり特別対策として取組みが進められました。
平成9(1997)年には、「人権教育のための国連10年」の国連決議を受け、「人権
教育のための国連10年に関する国内行動計画」を策定するとともに、人権擁護に関
する施策の推進を国の責務と定め、人権教育及び啓発の推進と被害者の救済につい
て審議する「人権擁護施策推進法」を5年間の時限立法として施行しました。
これを受け、平成12(2000)年、人権教育・啓発を一層推進するため、人権教育・
啓発の推進に係る国、地方公共団体及び国民の責務を定めた「人権教育及び人権啓
発の推進に関する法律(人権教育・啓発推進法)」が議員立法により制定されまし
た。また、この法律に基づき平成14(2002)年に「人権教育・啓発に関する基本計画」
が策定され、国の人権教育・啓発の指針が示されました。
現在、国では、主な人権課題として次の17項目を掲げ、さまざまな取組みを進め
ています。
⑴ 女性 ⑵ 子ども ⑶ 高齢者 ⑷ 障がい者 ⑸ 同和問題 ⑹ アイヌの人々
⑺ 外国人 ⑻ HIV感染者・ハンセン病患者等 ⑼ 刑を終えて出所した人
⑽ 犯罪被害者等 ⑾ インターネットによる人権侵害
⑿ 北朝鮮当局による拉致問題 ⒀ ホームレス ⒁ 性的指向 ⒂ 性同一性障害
⒃ 人身取引 ⒄ 東日本大震災に起因する人権
3
長野県の動向
長野県では、平成11(1999)年、人権を尊重し差別のない明るい長野県づくりを目
指して「人権教育のための国連10年長野県行動計画」を策定しました。
平成15(2003)年には、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」の制定を受
けて、「長野県人権教育・啓発推進指針」を策定しました。また、平成20(2008)年
度からの「長野県中期総合計画」でも、「人権が尊重される社会づくり」を主要施
策に位置付け、各種の取組みを行っています。
平成 19(2007)年に「長野県人権政策審議会条例」を制定し、「長野県人権政策審
議会」を設置しました。平成 21(2009)年同審議会から答申を受け、平成 22(2010)
年に、県が進める人権政策の基本的な考え方や方向性を示す「長野県人権政策推進
基本方針」を策定しました。
4
須坂市の取組み
本市では、同和問題は「憲法によって保障された基本的人権にかかわる問題であ
り、その早急な解決は、国の責務であり、国民的課題である」とした昭和 40(1965)
年の同和対策審議会答申と関連法案に基づき今日まで早期解決に向けて、
昭和 47(1972)年 須坂市同和対策室を設置
昭和 48(1973)年 部落差別をなくす須坂市民大集会(現:部落差別をはじめあらゆる
差別をなくす市民大集会)をスタート
昭和 49(1974)年 須坂市同和対策事業基本方針を策定
4
須坂市同和教育基本方針を策定
須坂市同和対策課(現:人権同和政策課)・同和教育課(現:人
権同和教育課)を設置
須坂市企業同和教育推進協議会(現:企業人権教育推進会議)を発
足
町別同和問題学習会(現:町別人権問題学習会)をスタート
昭和 53(1978)年 須坂市部落解放隣保館(現:須坂市人権交流センター)を設置
平成6(1994)年 須坂市部落解放・人権尊重都市を宣言
平成8(1986)年 部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護に関する条例の制
定
などの取組みを行ってきました。
また、同和対策事業は、昭和 44(1969)年ごろから本格化し、道路整備及び排水路
等整備、集会所建設、公営(厚生)住宅建設、児童遊園地整備、農業関係施設整備な
どの環境改善対策事業を行うとともに、医療費特別給付金、高齢者福祉金、学生・
生徒進学奨励金、通学用品等助成金、入学支度金や住宅新築改・増築資金等貸付金、
部落解放子ども会の設置(同和教育推進教員制度)などの制度による部落差別解消
のための事業を平成 13(2001)年度まで取組み、平成 14(2002)年度からは一般対策
事業として取組みを進めてきました。
同和教育事業では、同和問題を一人ひとりが自らの問題と捉え、差別解消に向け
て行動できるよう、学校教育及び社会教育において連携しながら差別意識解消のた
めの学習や研修等に取組んできました。
学校教育では、同和教育指導計画(現:人権同和教育指導計画)を作成し、副読
本「あけぼの」の活用や現地研修(教職員研修)など、部落解放子ども会やPTA
(推進校の指定)とも連携した取組みをしてきました。
また、学習成果を啓発ポスター・標語にする活動も続けてきています。
社会教育では、町別同和問題学習会(現:町別人権問題学習会)や企業同和教育
推進協議会(現:企業人権教育推進会議)、部落解放推進委員会(現:人権のまち
づくり推進会議)、部落差別をなくす市民大集会(現:部落差別をはじめあらゆる
差別をなくす市民大集会)などを、区(自治会)、公民分館、各種団体、企業、学
校等と連携して、市民一人ひとりの教育・啓発に取組んできました。
平成 13(2001)年「人権教育のための国連 10 年須坂市行動計画」の策定により、
平成 14(2002)年度からは、同和問題を最重要課題として、女性の人権問題をはじめ
さまざまな人権問題の解決に向けた取組みを進めてきました。
5
第3章
1
人権政策の基本理念
人権の概念
人権は、すべての人が生まれながらに持っている固有の権利であり、人として幸
せに生きていくために必要な、誰もが侵害されることのない権利です。
須坂市部落解放・人権尊重都市宣言(平成6(1994)年)には、「基本的人権が尊
重され、自由で平等な社会の实現は、すべての人々の強い願いである」と、明記さ
れています。
「個人の尊厳」を基本原理とする日本国憲法では、基本的人権について「人類の
多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、侵すことのできない永久の権利」と
して国民に保障しています。
「世界人権宣言」には、「すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、
尊厳と権利とについて平等である」とあります。
社会生活を営む上で、私たちは誰もが人権を侵害する側、される側に立つ可能性
はあります。近年の複雑で多様化した社会においては、これまで以上にその可能性
は大きいと考えます。
これらのことから、時代がどのように変わっても、私たちは常に「人間の尊厳(社
会の中で個人として尊重され、人間らしく生活するために、人間としての人格を侵
されない普遍的な原理)」を基底に人権を捉える必要があります。
「人間の尊厳」は、人権の原点であり、一人ひとりが人権尊重の意識を高めるこ
とが強く求められます。
2
人権政策の基本理念
基本的人権の尊重を基盤に、あらゆる差別や人権侵害をなくし、市民と行政が一
体となって、「部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護に関する条例」の精
神である「すべての人が人間として尊重され、心豊かな生活を送ることができる明
るく住みよい社会を築く」ことを、本市の人権政策の基本理念とします。
自由と権利が保障され、幸福追求が認められる人権尊重社会を实現するためには、
「人間の尊厳」という人権問題の本質を正しく受け止め、人権問題を自らの課題と
して捉え、解決に向け取組むことが重要です。
一人ひとりの違いを個性として認め、互いに支え合い、共に生きる社会を实現す
ることは、人権政策を進める上での基本です。これまでの同和問題の解決に向けて
取組んだ手法、その中で得られた成果や課題を参考にして、あらゆる人権問題への
取組みにつなげていくことが重要です。すべての市民が人権問題を自らの問題とし
て受け止め、人権が尊重される社会づくりに積極的に係われるよう、市民一人ひと
りの人権意識を高める取組みを進めます。
6
第4章
1
人権施策の方向性
基本姿勢
本市が行うすべての事業は、市民一人ひとりの生命が尊重され、自由や平等が保
障され、幸福追求が認められる社会を实現するために行うものです。そのため、す
べての分野において、人権の視点に立った行政を総合的に推進することにより、人
権が尊重され、差別のない明るい須坂市を築いていきます。
すべての市職員が人権行政の担い手という自覚を持ち、常に人権尊重の視点に立
って施策を企画し、实施し、評価し、改善を行っていきます。また、当事者の意見
を聴く機会の充实と施策への反映に努めます。そのために、職員研修を通じて職員
の資質の向上と人権意識の高揚を図ります。
すべての市民が人権意識を高め互いの人権を尊重する視点に立ってまちづくり
の实践者として、すべての人の幸せを守る人権のまちづくりに努めます。そのため
に、町別人権問題学習会をはじめさまざまな学習会や研修会へ主体的に参加し、人
権意識の高揚を図ります。
2
人権教育・啓発
市民一人ひとりが、人権尊重の意義やさまざまな人権問題について理解と認識を
深め、自らの人権とともに他の人の人権の大切さを認められるようになることが重
要です。同時に、人権問題を自らの課題として捉え、人権を尊重する社会を築いて
いく意欲と实践力を高めることが求められます。また、その推進に当たっては、市
民の自主性を尊重し、さまざまな機会や手法によって实施することが必要です。
学校人権教育と社会人権教育との連携を強化し、相互協力による効果的な人権教
育を推進します。
人権教育・啓発は、生涯にわたって一人ひとりの心のあり方(考え方)に関わる
ことであり、自らの主体的な学習が生涯学習として推進されるように努めます。人
権意識は日々の生活などさまざまな事柄を通じ、自ら考える中から培われるもので
あることを伝えていきます。
⑴
学校人権教育
一人ひとりの児童生徒が発達段階に応じて、身のまわりにあるいじめ、部落差
別をはじめさまざまな人権に関する具体的な学習について、須坂市人権同和教育
指導計画を活用して行い、人権尊重に関する知識や理解を深めます。
人権尊重の理解は、自らの権利の行使に伴う責任を自覚し、互いに人権を尊重
する心、自分の大切さとともに他の人の大切さを認める「共に生きる心」を育て
ます。
さらに、差別を受ける痛みを共感・共有し、差別の克服を自らの課題としてと
らえ、解決する意欲と实践力を身につけ、人権が尊重される社会の实現に主体と
7
なって行動できる人権教育を推進します。
また、幼稚園・保育園・認定こども園、小・中・支援学校、高等学校と連携し、
一貫した人権教育を進め、人権教育を基底にした学校教育により、児童生徒がい
きいきと学べる学校、学級づくりを進めます。
教職員は、自らの姿勢が、人権教育の具体的な姿であり、差別や偏見を見抜く
豊かな人権感覚を磨くことが必要です。
日常の教育活動の中で児童生徒の人権を尊重し、安心して学校生活を送ること
ができるよう、各種研修を工夫し、指導力を高める取組みを進めます。
⑵
社会人権教育・啓発
多様な人権課題についての正しい理解と認識をもとに、具体的な行動や实践に
つながるよう、家庭・地域、企業・職場での自主的な人権教育を推進するため、
あらゆる差別の解消に向けて活動する関係機関及び団体等と積極的に連携し、人
権教育研修の機会と内容の充实に取組みます。
区(自治会)、公民分館、人権教育推進員、人権擁護委員、人権のまちづくり
(※)
推進会議、企業人権教育推進会議、NPO法人等と積極的に連携し、幅広く市民
に教育・啓発を図っていきます。
また、教育・啓発がより効果的に行われるよう、研修会の手法等について、情
報提供を行います。
地域や企業で共に活動する人権教育リーダーの育成と資質の向上を図る研修
会を实施します。
ア 家庭・地域
家庭、地域は最も身近なコミュニティとして、家族のふれあいや住民の交流
を通じた人格形成や、互いの人権を尊重する意識や他人に対する思いやりの心
を育む重要な役割を担っています。
保護者が子どもの人権感覚の育成に果たす役割は重要です。人権感覚を高め
るために公民館活動や学校PTA活動、各種研修会を通して、保護者自らの人
権感覚を高め、家庭教育の充实を図るように支援を行います。
区(自治会)と公民分館が行う町別人権問題学習会の開催にあたって、講師
の派遣や情報提供、資料提供等の支援を行います。
また、地域における指導者及び推進者等の人権教育指導者の育成を図るため、
研修の機会を充实し、实践的研修手法の講習及び情報提供等を行うとともに、
各地域との情報交換や情報共有の機会提供に努めます。
イ 企業・職場
企業においては、コンプライアンス(法令遵守)や説明責任といった社会的
責任はもちろん、人権尊重の視点に基づいた企業活動の推進が求められます。
また、企業内においてはパワー・ハラスメントやセクシャル・ハラスメント
のない明るく働きやすい職場づくりを進めることが必要です。企業で働く人に
とっても、安心して働ける職場、やりがいの持てる仕事は、人間の尊厳に極め
8
て重要な要素となります。このため、企業経営者のみならず、すべての社員の
人権意識を高める企業内人権教育を積極的に進める必要があります。
公正な採用の促進と、企業内人権教育の推進を図ることを目的に、須坂市企
業人権教育推進会議が設立されています。こうした団体や商工関係団体等を通
じ、企業の経営者に対し、企業内での人権教育の推進や人権教育指導者育成を
要請します。また、企業の主体的な人権に関わる取組みや社員に対する研修の
支援を行います。
社員の採用に当たり、就職希望者の基本的人権を尊重した公正な採用選考と、
就職の機会均等が図られるよう、関係機関と連携し啓発を行います。
⑶
人権交流センター等における啓発
人権交流センターや地域人権交流施設は、地域に密着したコミュニティセンタ
ーとして、学校、地域などとも連携しながら、人権に関する情報発信や学習機会
の充实に努め、周辺地域を含めた住民交流の一層の促進を図ります。
人権に関する情報の発信拠点として、人権問題に関する理解を深めるための資
料展示や図書、ビデオ、DVDなどの充实を図り、センター等の利活用を促進す
るとともに、人権問題に関する有用な資料の収集・調査・研究に努めます。
⑷
多様な手法による効果的な啓発
日常の生活の中で人権問題に気付き、自らの課題として意識できるよう、テレ
ビ、ラジオ、新聞などのマスメディアや、インターネット、広報紙などを効果的
に活用し、人権尊重意識の普及啓発に努めます。また、町別人権問題学習会をは
じめ、啓発ビデオの貸出、リーフレットの配布などさまざまな機会と手法を活用
して啓発に努めます。
人権を自らの課題として意識することを促すポスター、標語の募集や、市民が
自発的に参加できる研修手法、实践につながる教材・資料の提供などの創意工夫
に努めます。
「部落差別をはじめあらゆる差別をなくす市民大集会」や「人権を考える市民
のつどい」は、市民が自らの課題として自発的に参加できるよう手法や内容の改
善充实に努めるほか、個別の人権課題について担当課などとの連携協力により事
例を集め、さまざまな人権課題に対する啓発を推進します。
(※)
⑸
人権に関わりの深い特定の職業に従事する人に対する研修
人権が尊重される社会を築くためには、人権に関わりの深い特定の職業に従事
する人の人権感覚を高め、人権尊重の意識が行動に現われるよう实践力を養うこ
とが重要であり、職種や経験等に応じた効果的な研修を行う必要があります。
公務員は、一人ひとりが人権行政の担い手であることを強く認識し、常に人権
尊重の視点に立って職務を遂行する必要があります。そのため、市職員の人権意
識や实践力を高め、さまざまな人権課題解決に向け主体的に行動できる力を育む
人権教育研修の充实に努めます。
9
とりわけ、保育士、教職員については、成長過程にある乳幼児や児童生徒の人
格形成期の保育、教育活動を通じ、人権意識の形成に大きな影響を与えることか
ら、一段と高い人権感覚が求められます。そのため、職種、経験年数を踏まえた
实践的な研修の充实を図ります。
消防職員については、市民の生命に関わる場面も多く、人権に配慮した行動が
求められます。このため、業務に即した人権教育研修の充实に努めます。
また、医療、保健、福祉関係者は、直接患者、利用者、相談者等と向き合う業
務に従事しており、患者や利用者等の人権に配慮した対応が求められます。この
ため、養成学校のほか、医療機関や社会福祉施設等に対し、人権教育研修の充实
を要請します。
⑹
国・県、市民、関係機関との連携・協働
人権教育、人権啓発を進める上で、市のみで实施できることには限界がありま
す。このため、国・県、地域、学校、企業、NPO法人等との連携・協働を進め、
市民の自発的、主体的な取組みに対する支援に努めます。
⑺
人権教育・啓発に関する情報提供
人権教育・啓発を推進するため、人権教育に関する知識、教育・啓発手法に関
する情報等の収集と、市民との共有を図ります。
市内外で行われるさまざまな研修等の機会を通じて積極的に情報を収集する
とともに、学校、区(自治会)や人権のまちづくり推進会議、企業人権教育推進
会議等に対し、人権に関する知識や見解、研修会の講師や研修方法等の情報提供
に努めます。
3
人権相談・支援
市民が人権問題に遭遇したとき、一人で悩むことなく各種相談機関や支援制度を
活用し、自ら解決できるよう、相談体制の整備充实を図ります。
⑴
総合相談体制の整備
本市では、個別課題ごとに福祉課、高齢者福祉課、子ども課等に相談窓口を設
置していますが、人権課題に関わる相談内容は一つの部署だけで解決できない内
容もあります。
平成25(2013)年3月の「部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護審議会」
答申では、「関係する部署や機関が連携した対応と専門性等が必要であり、総合
的に連携できる相談体制」を求めています。
人権問題に適切に対応するため、人権に関する総合相談体制を整備するととも
に、庁内で横断的な連携協力を推進します。また、相談員の専門性を高めるため
の研修の充实に努めます。
人権交流センターにおいては、生活上の相談をはじめさまざまな人権問題解決
10
のため、人権問題に関する資料の収集や活用方法等の工夫に努めるとともに、相
談事業について市民への周知・広報に努めます。
⑵
国・県、関係機関との連携
インターネットによる人権侵害や外国人への差別問題など、高度な知識と専門
性が要求され、市単独では解決が困難な人権課題が増えています。市は、市民に
最も身近な相談窓口として、国・県、弁護士会、人権擁護委員協議会、NPO法
人など人権に関わる関係機関、団体等と連携、協力して速やかな解決が図れるよ
う支援します。
⑶
相談窓口等の周知・広報
人権課題に遭遇した市民が、自らの力で課題を解決できるよう、各種相談窓口
や支援制度などについて、広報紙、インターネットやマスメディア、リーフレッ
トの活用、民生児童委員、生活相談員への情報提供など、さまざまな機会や手段
を通じて周知に努めます。
⑷
自立・自己实現のための施策
「部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護審議会」答申では、「それぞ
れの人権課題に応じて、当事者が『自覚』を高め『自立』するための施策を推進
していく必要があります」としています。
このため、当事者が継続して学んでいける場の提供及び当事者同士がつながっ
て自覚と自立・自己实現に向けての活動や居場所づくりについて、当事者の意見
を聞き支援に努めます。
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や
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第5章
1
各人権課題に対する施策
同和問題
◆
現状と課題
同和問題は、日本社会の歴史的発展の過程において形成されてきた深刻にして
重大な人権問題です。差別発言、差別落書き等が今も後を絶たず、結婚や就職に
際して不当な扱いを受けたり、近年ではインターネットを使った誹謗中傷などの
差別事象も起こっています。
本市では、基本的人権の尊重を基盤に同和問題を重要な柱として、あらゆる差
別や人権侵害をなくす取組みを行ってきました。それにより一定の成果は上がっ
ていますが、差別意識の根絶には至っていません。
平成20(2008)年1月に实施した同和地区住民实態調査結果でも、就労、教育、
福祉などの面での課題が明らかになっています。こうした課題は、同和地区に限
ったことではありませんが、より集中して現れる傾向があります。
平成23年(2011年)10月に实施した「人権に関する市民意識調査」でも、「部落
差別は現在もあると思いますか」の質問に、「須坂市にあると思う」(51.3%)「ほ
かにあると思うが須坂市にない」(12.2%)の回答を合わせると63.5%で、
平成11(1999)年度調査の85%に比べかなり減尐しており、取組みの成果ともいえ
ますが、まだまだ高い数値を示しています。
結婚に関しては、プライバシーの尊重から公表されていませんが、結婚差別は
生じています。人権に関する市民意識調査の中で結婚に関して、「賛成する」
(11.5%)「子どもの意思を尊重する」(62.9%)「親は反対でも、子どもの意思を
尊重する」(20.1%)の回答を合わせると94.5%(11年度79.5%)で、完全解消まで
もう尐しのところまで理解が進んできていると思われますが、「反対があれば結
婚しない」の回答が17.8%あることは課題です。
同和問題について、長年の取組みによって広く市民に理解されてきていますが、
差別意識にとらわれ結婚等で悩むことがあり、一層の取組みが求められます。
◆
施策の方向
同和問題の歴史性、固有性、今なお存在している差別の实態を踏まえ、相談・
支援体制の充实と関係機関との一層の連携を図ることが必要です。就労、教育、
福祉などの課題については、ニーズを的確に把握し、当事者と十分協議し、各種
施策・制度の活用や情報提供等により課題解決に向けた支援を行います。
また、多様な手段と手法を活用し、同和問題に関する正しい理解を深めるため
の教育・啓発を推進し、差別意識の解消に向け、すべての市民が人権のまちづく
り運動に主体的に参加するよう促します。
12
⑴ 当事者性を踏まえた相談体制の充实
○ 相談者の状況に十分配慮し、総合的、専門的な対応ができる相談体制を整
備します。
○ 同和問題の固有性に配慮して、問題解決に向けた助言、情報提供のほか、
適切な関係機関の紹介を行います。
○ 人権交流センターや生活相談員による相談事業の周知を図るとともに、生
活上の課題などの解決に向けた適切な助言や人権同和政策課・人権同和教育
課等関係機関との連携により支援を行います。
○ 人権交流センターや地域人権交流施設を有効に活用した対象地区内外の
住民交流を進め、市民一人ひとりの同和問題を解決する意識の向上を図りま
す。
⑵ 多様な手法による教育・啓発
○ 市民一人ひとりが同和問題を理解し、自らの課題と捉え課題解決に向けて
实践する力を身につけるため、家庭・地域、学校、企業・職場等さまざまな
場で教育・啓発を行います。
○ 人権交流センターや地域人権交流施設は、同和問題に関する情報や資料の
収集及び提供を行うとともに、さまざまな学習機会の提供と、地域住民の交
流促進の取組みを充实します。
○ 町別人権問題学習会は、区(自治会)及び公民分館主催により開催し、公
民館、人権教育関係機関(人権擁護委員・人権同和教育課等)と連携して、
住民の同和問題を解決する意識の高揚を図ります。
○ 人権のまちづくり推進会議は、家庭・地域・団体・企業において、市民総
参加により同和問題の解決に向けて、部落差別をなくし人権が尊重されるま
ちづくりの取組みを推進します。
○ 企業人権教育推進会議は、関係機関との連携により、同和問題を解決し差
別のない職場づくりを行うために研修・啓発等を行います。
⑶ 課題解決に向けた施策の推進
○ 同和問題は、就労、教育、福祉などさまざまな分野に関わることから、全
庁的な推進組織の連携を強化し、各種施策の適切、的確な活用により、課題
解決に向けた自立的な取組みを支援します。
○ 同和問題の解決のための人権に関する实態調査等は、調査内容や調査方法、
实施時期など関係機関等と協議しながら必要に応じて实施します。
○ 同和問題に関して、情報化社会におけるインターネットを利用した差別助
長行為等の新たな課題については、相談窓口を設置するとともに関係機関と
連携して解決に向けた取組みに努めます。
13
2
◆
女性
現状と課題
本市では、平成5年(1993年)に「須坂市女性行動計画」を策定以降、男女共同
参画社会形成のためさまざまな施策を实施してきましたが、平成22(2010)年の
「須坂市女と男がともに参画する社会づくり条例」の制定により、市・市民・事
業者の責務や姿勢を明文化し、協働して取組む基盤ができました。現在は、「第
四次すざか男女共同参画計画」(平成24(2012)年12月策定)に基づき、男女共同参
(※)
画社会の实現に向け取組みを進めています。
今日までのさまざまな施策を展開することにより、固定的な性別役割分担(「男
性は仕事、女性は家庭」といった性別を理由に役割を固定的に分けること)意識
の変化や男女共同参画という言葉の認知度等、市民の理解が進み、意識は徐々に
高まっています。
しかし、社会通念やしきたりなどで、固定的性別役割分担の意識が未だに根強
く残り、女性の参画が進んでいない分野も多くあります。
また、出産・育児期に離職する女性が多く、その後も希望に沿った仕事に就け
ないというような状況が見られます。子育て、介護など男女が共同で参画し、そ
の負担を社会全体で支援する仕組みづくりが必要です。
(※)
配偶者等親密な関係にある人からの暴力(DV(ドメスティック・バイオレン
ス))については、平成13(2001)年に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保
護に関する法律(配偶者暴力防止法)」が施行され、その後の改正等により、法
的整備が進められていますが、市民の理解が十分であるとはいえない状況にあり
ます。DVは犯罪行為であり、重大な人権侵害であるという認識、被害者への支
援の充实、被害防止等に関する啓発が必要です。
◆
施策の方向
「須坂市女と男がともに参画する社会づくり条例」及び「第四次すざか男女共
同参画計画」に基づき、女性と男性が互いに尊敬し支え合い、家庭・地域、学校、
企業・職場などさまざまな分野でともに参画し、性別に関わりなく、その個性と
能力を十分に発揮し、責任を分かち合い行動するまち、男女共同参画社会の实現
をめざします。
⑴ 男女共同参画意識の啓発
○ 市民一人ひとりが性別による固定的な役割分担意識に気付き、それを解消
するため、家庭・地域、学校、企業・職場などで、男女共同参画意識の啓発を
行います。
⑵ 女性の社会参画の促進
○ 各種審議会等委員の女性の参画促進に努めます。
14
○
女性が、積極的に社会参加できるよう情報提供を推進し、さまざまな分野
へチャレンジできるよう支援します。
○ 仕事と家庭生活の調和が保てるよう、ワーク・ライフ・バランスの取組み
を進めます。
⑶ 女性の人権を守るための取組み
○ 女性に対するあらゆる暴力を許さない意識づくりの啓発を行います。
○ 女性が抱える諸問題に対する相談対応を行います。
3
◆
子ども
現状と課題
「日本の将来推計人口」では、晩婚化や夫婦による出生力そのものの低下によ
り、尐子化は今後も一層進行すると予想しています。尐子化の進行は、社会経済
(※)
全体への影響が懸念されるとともに、育児不安や親の過保護、過干渉、児童虐待
など子どもの人権に関わる社会問題ともなり、平成12(2000)年11月、児童虐待の
禁止、児童虐待の予防及び早期発見などについて国と地方公共団体の責務を定め
た「児童虐待の防止等に関する法律」が施行されました。
本市では、未来を担う子どもたちの健やかな成長を願って、第五次須坂市総合
計画前期基本計画、須坂市母子保健計画、あるいは平成14(2002)年度を初年度と
する五か年計画(須坂市子育て支援計画)を推進してきました。
また、平成15(2003)年に制定された「次世代育成支援対策推進法」に基づ
き、平成17(2005)年に「須坂市次世代育成支援行動計画(前期計画)」を策定し
ました。
平成19(2007)年度からは、「子どもは“宝”プロジェクト」として、地域の宝
である子どもを家庭、地域、企業、行政それぞれが連携し「子育て家庭にやさし
いまちづくり」の取組みを推進するとともに、平成22(2010)年に、「須坂市次世
代育成支援行動計画(後期計画)」を策定し、各種施策を推進しています。
しかし、子育ての孤立化、育児ストレス等の問題を抱えているケースや子ども
のしつけや教育に悩みや不安を抱える親が増え、家庭の教育力の低下が指摘され
るようになってきました。さらに、人間性や社会性を育む上で重要な体験学習の
機会の減尐、子どもの規範意識の希薄化、いじめ問題などが指摘されており、子
どもたちを取り巻く環境は大変難しい状況となっています。
本市では、小・中学校において、いじめの实態調査に加え、児童生徒を対象と
(※)
したQ-U(キュー・ユー)調査の活用等によりいじめの早期発見に努めています
が、いじめなどの問題は表面化しないまま深く進行してしまうことがあります。
また、友人関係や学校生活に関すること、親子関係等家庭に起因するもの等、様々
な問題を抱えて不登校となる児童生徒もいます。
障がい等により個々の教育的ニーズに応じた支援を必要とする児童生徒、文化
や言葉の違いから日常生活や学校生活において適応できない外国籍等児童生徒も
15
増えており、一人ひとりの状況に応じた適切な対応と、教育環境の整備が必要で
す。
子どもの性被害、インターネット上における児童ポルノ等有害情報の氾濫や出
会い系サイトなど、大人社会の病巣が子どもの心身に悪影響を及ぼしている現状
も重く受け止める必要があります。
子どもも一人の人間として人格を尊重するという考え方(子どもの権利条約な
ど)を市民一人ひとりが共有することが大切です。
◆
施策の方向
「須坂市次世代育成支援行動計画(後期計画)」「子どもは“宝”プロジェク
ト」に基づき、家庭・地域、学校において、子どもが安心して健やかに成長でき
る環境づくりを推進します。
⑴ 児童虐待への対応
○ 児童虐待を予防するとともに、早期発見・早期対応につなげるため、関係
機関との連携及び関係職員の資質の向上を図り、相談・支援体制の充实に努
めます。
○ 養育支援を必要とする家庭を早期に把握するとともに、特に支援を必要と
する家庭に対して、専門的指導・助言や育児支援や家事支援を行う養育支援
訪問事業を適切に实施し、子育ての孤立化と虐待の防止に努めます。
○ 「児童虐待防止法」について啓発を推進し、市民からの通報を促します。
⑵ 子育て支援等
○ 子育てと仕事の両立のみならず、子育ての孤立化等の問題を踏まえ、広く
すべての子どもと家庭への支援を行います。
○ 子育て支援活動を行うNPO法人、子育てサークルなどさまざまな市民や
団体等の活動主体の共創と、社会資本を十分かつ効果的に活用する取組みを
進めます。
○ 国及び県、市はもとより、企業や地域社会を含めた社会全体で協力、連携
して子育てを支援します。
○ 幼稚園・保育園・認定こども園、児童センター、公民館、学校施設を活用
して、子育て家庭の支援に努めます。
⑶ 人権に配慮した学校教育の推進
○ 各種教育相談機関の周知を図るとともに、不登校児童生徒への相談・支援
等の充实を図ります。
○ 保護者対応や生徒指導に係る教職員の力量の向上を図るとともに、各学校
において、いじめや不登校を未然に防ぐことができるよう、よりきめ細かい
対応に努めます。
○ いじめ問題の解決に当たっては、いじめられた児童生徒の心情を第一とし
16
て、まず学校において人権侵害の状況を把握し、必要に応じて関係機関と連
携し早期解消に努めます。
○ 障がい等のある児童生徒の学校生活を支援するために、教育的ニーズの把
握や、校内支援体制の整備・充实を図ります。また、就学相談の充实、関係
機関との連携を推進します。
○ 外国籍等児童生徒の日常生活や学校生活への適応を図るため、日本語の指
導や精神面・生活面に関わる相談・支援の充实を図ります。
⑷ 子どもの健全育成のための環境づくり
○ 子どもが社会性を身につけ、他者への思いやりや生命を大切に思う心情を
育むよう、さまざまな世代を超えての交流、豊かな自然を生かした体験的活
動等の推進を図ります。
○ 子どもが健やかに成長できる社会環境をつくるために、家庭・地域、学校
の連携を図り、関係団体の協力を得ながら、有害環境浄化に取り組みます。
○ 児童の放課後等における安全・安心な居場所を確保し、遊びや学習、各種
体験活動、異学年交流等をとおして、協調・協力する力や思いやりを育む人
権感覚の育成を図ります。
4
◆
障がい者
現状と課題
心ない言葉や好奇の目、人間としての尊厳を傷つけるような扱い等、障がい者
への偏見や差別が残っており、正しい理解と認識を一層深める必要があります。
(※)
平成18(2006)年に施行された「障害者自立支援法」は、平成25(2013)年4月1
日から「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援する法律(略:障害者総
合支援法)」に改正され、全ての国民が、障がいの有無によって分け隔てられる
ことなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を实現するため、
障がい者がその能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むこと
ができるよう、障がいのある人の生きづらさにつながる障壁を除去していくとい
う考え方を理念として規定しました。
市では、昭和60(1985)年度から「障害者計画」により障がい者の地域生活の支
援を進めています。さらに、国の「障害者基本計画」を具体化し、地域で生活す
る障がい者の生活支援につなげていくために、具体的な目標を掲げながら計画的
に施策を進めています。
また、須坂市部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護に関する条例に基
づき、差別をなくす取組みを進めてきました。しかし、時代の進展とともに社会
参加や生きがいの問題など、さまざまな角度から地域福祉の基盤整備が必要とさ
れています。
そこで、平成23(2011)年度に「第四次須坂市障がい者等長期行動計画」がスタ
17
(※)
ートし、リハビリテーションとノーマライゼーションというこれまでの理念を更
に広く市民に定着させ、
「障がいが重くても地域で当たり前の生活ができる社会を
創る」ことや「みんなで助け合い、地域で元気に暮らせる社会をめざして」を目
標に取組みを進めています。
障がい者の地域生活移行を促進するため、地域での理解不足や誤解の解消、生
活の場や就労など昼間活動をする場の確保、相談支援体制の充实など環境整備を
進めることが求められています。
平成24(2012)年10月1日から「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支
援等に関する法律」が施行され、国や地方公共団体、障害者福祉施設従事者、使
用者等に障害者虐待の防止等のための責務を課すとともに、虐待を発見した者に
は通報が義務付けられました。
情報伝達の手段が制約を受ける視覚障がい者や聴覚障がい者などは、その障が
いにより情報の収集・コミュニケーションの確保に大きなハンディキャップがあ
ります。災害、医療等生命に関わるものから、人と人をつなぐ手段としてなど情
報・コミュニケーションの確保は障がい者が地域で安心して生活し、社会参加を
していく上で極めて重要な意義を持っています。このため、情報機器の活用や多
様なコミュニケーション手段の確保など、障がいの状況に応じて必要な情報を必
要な時に、容易に入手交換できる体制の整備を進める必要があります。
◆
施策の方向
「第四次須坂市障害者等長期行動計画(みんなで助け合い 地域で元気で暮ら
せる社会をめざして)」に基づき、障がい者が住み慣れた地域で、自分らしく当
たり前に、安心していきいきと自立した生活が送れるよう障害者福祉サービスの
提供を行います。また、すべての人が自分らしく暮らしていけるまちづくりを目
指して、障がい者施策を推進します。
⑴ 心と社会のバリアフリー
○ 地域社会の中で、障がい者の人権が守られ、偏見や差別を受けることなく、
ひとりの生活者として尊重されるよう、障がい者や障がいについて正しい理
解と認識を深める啓発活動を推進します。
○ 地域における障がいのある人とない人との交流の促進、ボランティア活動
等を通した福祉教育の充实を図ります。
○ 学校においては、特別支援学校や障害者施設等との交流をはじめ、障がい
者への理解、社会的支援や介護福祉などの課題に関する理解を深める教育を
推進します。
⑵
障がい者の自立と社会参加の促進
(※)
○
ユニバーサルデザインの考え方に基づき、障がい者の自立や社会参加の妨
げとなっている物理的な障壁等をなくし、誰にもやさしく、安全で快適な福
18
祉のまちづくりの推進に努めます。
○ 自分らしい生活を選択し、決定することができるように、一層市民の理解
を深め、障がい者の社会参加の促進と、芸術文化活動の振興、障がい者スポ
ーツの普及発展に努めます。
○ 障がいのある人が、自己实現に向けて主体的に社会参加し、ゆとりとうる
おいのある生活を送ることができるよう、社会、経済、文化活動への参加の
促進を図るとともに、自立を支援する施策の充实を図ります。
○ ハローワーク、障害者総合支援センター等関係機関と連携し、職業相談、
求人開拓などを行い、障がい者の就労促進と経済的自立の支援に努めます。
○ 障がいの重度化、重複化、多様化が進む中で、保健・医療・福祉、教育、
雇用など関係機関が連携を深め、障がい者の一人ひとりのニーズに合ったき
め細やかな対応に努めます。
⑶ 障がい者の権利擁護の推進
○ 身体、財産などの基本的権利に関する事柄のほか、生活上のさまざまな相
談が受けられる体制の整備を図ります。
○ 障がい者の権利を守るため、関係機関と連携して成年後見制度の普及・活
用を促進します。
○ 障がい者への虐待に関する正しい知識を普及し、早期発見や早期対応が図
れる体制の整備に努めます。
⑷ コミュニケーションのバリアフリー等
○ 障がい者に関する不適切な用語について、条例等の見直しを行います。
○ 日常生活上の適切な用語の使用についての普及・啓発に努めます。
○ 情報伝達手段が制限される障がい者のため、手話通訳者・要約筆記者の養
成事業及び派遣事業等の充实、点訳・音訳のできる人の養成など、コミュニ
ケーション支援の充实に努めます。
5
高齢者
◆
現状と課題
本市の総人口は、平成25(2013)年4月1日現在51,353人、このうち65歳以上の
高齢者人口は14,507人で、総人口に占める割合(高齢化率)は28.3%となっていま
す。これは、介護保険制度が始まった平成12(2000)年の19.9%から13年で8.4%
上昇しています。3年前と比較しても1.9%上昇しており、今後もこの傾向が続
くものと推測されます。高齢者の増加に加え、一人暮らしの高齢者や高齢者のみ
の世帯の増加、また認知症高齢者の増加など、地域や家庭における高齢者に関す
る新たな課題が顕在化しています。
本市では、平成11(1999)年度から3年ごとに「須坂市老人福祉計画及び介護保
険事業計画」を策定し、現在「第六次老人福祉計画及び第五期介護保険事業計画」
19
に基づきさまざまな施策を進めています。また、平成18(2006)年に「高齢者虐待
の防止、高齢者の療養者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)」が施
行されましたが、市内では高齢者虐待の事例が報告されています。
虐待を受けた高齢者の多くが何らかの認知症を有しており、認知症に対する正
しい知識の普及や地域全体で高齢者とその家族を支える仕組みづくりが求められ
ています。
また、高齢者への経済的虐待による金銭問題の発生や、振り込め詐欺をはじめ
特殊詐欺・悪徳商法の被害に巻き込まれるケースが後を絶ちません。また、認知
(※)
症等で判断能力が十分でない人に対して、人権を守る成年後見制度の普及啓発や
制度利用がすすむための支援がますます必要とされます。
◆
施策の方向
「第六次老人福祉計画及び第五期介護保険事業計画」に基づき、「高齢者が住
み慣れた地域で安心して生きがいを持って暮らせるまち」を基本理念に高齢者に
なっても、また介護が必要になっても、誰もが住みなれた家庭や住みなれた地域
で、安心して過ごせることができ、それぞれが誇りをもって自分らしく豊かに生
活していくことができるように、「地域包括ケア」の考え方に基づき、高齢者の
支援を進めます。
⑴ 地域全体で支える体制の整備
○ 高齢者や障がい者だけでなく、その家族や地域の人々も含めて一人ひとり
が共に支え合いながら、いきいきとした生活を送るために、人づくり、地域
づくりにより誰もが生涯安心して暮らせるまちづくりの基盤を確立します。
○ 介護を必要とする高齢者等の需用に対応して必要なサービスを円滑に利用
できる環境整備を図ります。
○ 地域包括支援センターを中心に、関係機関との連携や地域の資源を発掘・
活用し、地域全体で支える体制の整備を図ります。
⑵ 高齢者の積極的な社会参加
○ 高齢者が自らの経験や知識を生かして主体的、積極的に社会参加するため
の支援をします。
○ 高齢者の生きがいや健康づくりを推進するため、シルバー人材センター等
高齢者の社会生産活動への積極的参加や老人クラブ等をはじめとする自主的
団体への加入、シニア(老人)大学や公民館活動等の生涯学習活動への積極
的な参加がしやすい環境づくりを図ります。
⑶
○
介護予防の充实
自立した生活を続けて要介護状態にならないこと、あるいは要介護状態に
なっても介護を最小限にとどめるための介護予防の啓発を推進します。
20
○
健康診査、健康教育等の機会を通じて普段から健康の保持に努め、要介護
の状態になった時はリハビリテーションを受け、積極的に在宅サービスや福
祉サービスを活用することが必要であることから、疾病予防、介護予防事業
の充实を図ります。
⑷ 高齢者の権利擁護
○ 認知症や寝たきり状態になっても同居家族がいない高齢者や、家庭内にお
いて十分な介護を受けることができない高齢者の権利を擁護し、生活全般に
わたってサポートする体制の確立を図ります。
○ 地域包括支援センターを中心に関係団体や地域住民等との連携により「生
活支援」や「自立支援」を基本に据えたサポート体制の確立を図ります。
6
インターネットによる人権侵害
◆
現状と課題
インターネットには、電子メールのような特定の利用者間の通信や、ホームペ
ージ、ツイッターのような不特定多数の人が利用できるもの等があります。発信
者の匿名性とともに、情報発信が容易にできることから、他人を誹謗中傷する表
現や差別を助長する表現、有害情報、写真の無断掲載などプライバシーや人権に
関わる問題が多数発生しています。
表現の自由に配慮しつつ、限度を超えた表現等については、個別に対応してい
るのが現状です。例えば、発信者がわかる場合は、啓発を通じて人権侵害情報を
排除し、特定できない場合は、プロバイダに対して、情報等の停止、削除を申し
入れ、業界が自主規制をしています。
携帯電話やスマートホンの普及により小・中学生の間でも情報端末の保有率が
高まり容易に利用し、犯罪に巻き込まれるケースも見受けられます。
このことから、学校や社会における人権教育において、情報化の進展がもたら
すさまざまな影響について、正しい利用の仕方や危険性について教育・啓発が求
められます。
◆
施策の方向
プライバシーや情報モラルについて正しく理解するための啓発を行うとともに、
インターネットを介したいじめや人権を侵害する事案に対しては、関係機関と連
携し、適切な対応につながるよう支援します。
○ インターネットを介したいじめや人権侵害に関する相談窓口を設けるとと
もに、専門の関係機関と連携し、助言を行います。
○ 有害サイトをブロックするソフトやプロバイダによる規制等、子どもたち
を有害情報から守るための仕組みの周知を図るとともに、家庭における情報
モラル教育の推進に努めます。
○ 学校や公民館などにおける人権教育、情報教育の機会を通じて、インター
21
ネットが社会に与える影響の重大性について周知を図るとともに、情報発信
のモラルや責任等について理解を深める啓発を行います。
7
犯罪被害者等
◆
現状と課題
犯罪被害者等が直面している困難な状況を踏まえ、これを打開し、その権利・
利益の保護を図るため、平成17(2005)年、「犯罪被害者等基本法」が施行されま
した。これにより、国、地方公共団体、国民の責務が規定されるとともに、同法
に基づく基本計画が策定され、国における各種施策が進められています。
県においては、「犯罪被害者等基本法」を受け、各種の施策を進めており、市
においても同様に取組みを進めています。しかし、市民の犯罪被害者に対する認
識や関係機関における被害者支援に関する認識は未だ十分とはいえない状況に
あります。
犯罪による被害者が受けた精神的なダメージについての理解不足から、配慮に
欠ける言動によりさらに傷つけてしまうことがあります。被害者の思いを理解し、
支援していくことが必要です。
犯罪被害者やその家族は、被害を受けたことによる精神的な傷、再び同様の被
害に遭うことへの不安等により、日常生活や経済活動に支障をきたす場合が尐な
くありません。平穏で自立した生活を一日も早く取り戻せるよう、精神的なケア
や、生活支援等が必要です。
また、重大事件等では、マスコミ報道の過熱化による二次被害の問題などが指
摘されています。
「犯罪被害者等基本法」が施行されましたが、行政の取組みは十分とは言えま
せん。県内では、認定特定非営利活動法人長野犯罪被害者支援センターが啓発、
相談・支援活動を行っています。
◆
施策の方向
国の「第二次犯罪被害者等基本計画」に基づき、犯罪被害者等の擁護活動を行
う民間団体の支援に努めるほか、相談窓口を設けるとともに、関係機関等と連携
し、適切な対応につながるよう情報提供や支援に努めます。
また、犯罪による被害者の置かれている現状を理解し、社会全体で支援してい
くという市民への理解を促すため、関係機関と連携して啓発に努めます。
8
外国人
◆
現状と課題
著しい国際化や情報化の進展と外国人労働者の受け入れなどにより、日本に居
住する外国人は、今後増えていくと考えられます。
本市の外国人住民数は、平成25(2013)年4月1日現在433人で、前年に比べ
22
7.5%減尐しています。
こうした中、地域社会での外国人との共生、子どもの教育、社会保障などに関
する課題は依然としてあります。このような課題に対応するため、相談者には、
長野県や支援団体が行う「多文化共生くらしのサポーター」による生活相談、医
療通訳の養成制度や派遣制度の紹介をしており市としては日本語教室を实施し
ています。
また、観光や就労のために訪れる外国人に対し、偏見による入店や入居の拒否、
社会保険未加入問題など、外国人の人権が脅かされることがあります。また、教
育、福祉などの制度や災害時の情報が伝わらないことによる不利益を被ることも
あります
また、言語、生活習慣や文化の違いなどによるトラブルも発生しています。私
たちは、共に暮らす住民の一人であることを理解し、互いに協力し合って、より
よい地域づくりを行っていく必要があります。
外国人と日本人が住民として共に生き、開かれた地域社会を实現するためには、
互いの国の歴史や文化を正しく認識し、尊重するとともに、多様な文化や価値観
を認め合う共生の心を醸成することが何よりも必要です。
平成21(2009)年7月、「住民基本台帳法」が改正され、平成24(2012)年7月か
ら、外国人住民についても住民票が作成されることとなりました。これに伴い、
外国人登録制度は廃止されました。
◆
施策の方向
国籍や人種等の違いを超えて、互いの文化や価値観を尊重する意識の醸成と、
国際交流活動の推進に取組みます。
⑴
国際化の推進
市民の国際感覚を高め、互いの異なる文化や価値観を尊重し合い共生できる
社会の構築に向けて、さまざまな機会を捉えて情報発信と啓発を行います。
⑵ 国際交流の推進
○ 友好都市をはじめ在住外国人との教育・文化・スポーツなどさまざまな国
際交流活動を推進し、外国人に対する偏見の解消に努めます。
○ 国際交流ボランティアの育成を図り、市民が主体の継続的な国際交流活動
に努めます。
⑶ 多文化共生の推進
○ 外国人への情報提供及び市民と外国人の交流や教育・啓発を進めるととも
に、日本文化と異文化の相互理解を推進するための学習機会の充实と啓発に
努めます。
○ 外国人の定住化・長期滞在化が進む中で、外国人を対象とした多言語での
生活情報の提供や、日常生活の相談・支援体制の充实を図ります。
23
○
生活上の悩みなどを抱える外国人が、スムーズに相談できるように、国・
県等の関係機関との連携を図ります。
9
刑を終えて出所した人等
刑を終えて出所した人に対しては、本人に真摯な更正の意欲がある場合であって
も、周囲に偏見や差別意識があり、社会復帰を目指す人にとって厳しい状況にあり
ます。
刑を終えて出所した人が更生し、社会の一員として日常生活を営むためには、家
族、職場、地域社会など周囲の人々の理解と協力が必要です。
刑を終えて出所した人に対する偏見や差別を解消するために、保護司をはじめと
する更生保護ボランティアの人たちと連携して、人権に配慮した啓発を進めます。
10 さまざまな人権課題
⑴
HIV感染者・ハンセン病患者等
◆
現状と課題
(※)
HIV(エイチ・アイ・ブイ)は、感染者との性的接触や感染者の血液が傷口
(※)
などから体内に入った場合や輸血により感染し、エイズ(AIDS)は、HIV
の感染によって免疫機能が働かなくなる病気です。HIVの感染力は弱く、正
しい知識に基づいて通常の社会生活を送る限り感染の心配はありませんが、万
一感染しても、現在では医療技術の進歩により発症を予防することが可能とな
っています。
県の人口10万人当たりのHIV感染者・エイズ患者届出数(平成17(2005)年
~平成19(2007)年の3か年の平均)は、全国8番目で依然として多い状況にあ
ります。引き続き感染予防の各種対策の推進とともに、感染者・患者に対する
偏見・差別の解消を図る必要があります。
(※)
ハンセン病は、らい菌によって主に皮膚や末梢神経が侵される感染症の一つ
で、感染しても発症することはまれです。万一発症しても、化学療法剤の効果
によって現在では確实に治癒するようになり、早期治療によって後遺症も残り
ません。
ハンセン病は、過去の隔離政策などにより恐ろしい病気とのイメージが定着
し、多くの回復者は、ハンセン病が治る病気となってから後も療養所に入所し
ており、入所者の平均年齢は80歳を超えています。これは、高齢化による面も
ありますが、ふるさとに帰られたときに、自分自身だけでなく、家族、親戚ま
でもが偏見・差別にさらされるのではないかといった不安も大きく影響してい
ます。
平成20(2009)年6月に「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」が施行
され、解決に向けた施策が推進されています。
24
◆
施策の方向
HIV感染症、ハンセン病等の感染症について市民が正しく理解するための
教育・啓発を行い、偏見や差別の解消を図ります。
○ 知識不足や誤解によって生じるさまざまな偏見等を払拭するため、感染
症に関する正しい情報の普及・啓発を推進します。また、学校等と連携し、
性教育の一環として感染症や感染予防・治療に関する適切な指導を行いま
す。
○ プライバシーに配慮して、迅速かつ安心して相談・検査が受けられるよ
うに努めます。
⑵
アイヌの人々
(※)
アイヌの人々は、アイヌ民族であることを理由として結婚や就職などで差別を
受けてきました。アイヌ文化の振興並びに固有の言語と長い歴史を持つアイヌの
人々への正しい理解と認識を深めていくことが必要です。
アイヌの人々の歴史や文化及び現状についての認識不足などにより生じる偏見
や差別をなくすため、アイヌ文化等に関心を一層高め、アイヌの人々への正しい
理解を促進するよう県と連携して広報・啓発に努めます。
⑶
性的指向及び性同一性障害
(※)
(※)
同性愛などの性的指向の人や、性同一性障害の人に対する偏見や差別があり、
社会生活のさまざまな場面で人権問題が発生しています。また、こうした偏見や
差別のため、このような性的尐数者は、大きな悩みや苦しみを抱いています。
性同一性障害の人については、平成16(2004)年に「性同一性障害者の性別の取
扱いの特例に関する法律」が施行され、性同一性障がい者に関する施策の進展が
図られていますが、心と体の性が一致しないことにより日常生活の中で生ずるさ
まざまな問題について、市民の理解と社会的支援が必要です。
性的指向及び性同一性障害を理由とする偏見や差別は不当であるという認識を
持ち、人間の性のあり方について理解を深め、同性愛、両性愛、性同一性障害な
ど性的尐数者への偏見や差別の解消をめざして、広報・啓発に努めます。
⑷
ホームレス
経済状況の悪化等を背景に、全国的にホームレスの増加が課題となっており、
ホームレスに対し、嫌がらせや暴行を行うなどの人権問題が発生しています。
ホームレスの自立支援、ホームレスとなることの防止のため、ホームレスの人
権に配慮し、地域社会の理解と協力を得て問題を解決することを目的に、
平成14(2002)年8月に「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」が施行
されました。
経済的自立が困難なことや通行人等が暴力をふるうなど多くの人権問題が起き
ているとの調査結果もあり、ホームレスに対する偏見や差別の解消をめざして、
関係機関等と連携して啓発に努めます。
25
⑸
暮らしの中に潜むさまざまな人権問題
平成23(2011)年3月に発生した福島第一原子力発電所の事故により、福島県等
から全国各地に避難している人たちが不当な差別を受ける事例が起こっています。
これは、感染症等と同様に、風評や誤った知識に基づく人権侵害であり、許され
ないことです。
このほかにも、家制度を重視する社会通念を背景とした婚外子に対する差別、
派遣社員やパートタイム労働者などの非正規労働者に対する差別、学歴や職業に
対する差別や偏見など、さまざまな人権問題が存在しています。
また、地域社会における慣行や因習などによる人権問題など、今まで当たり前
に過ごしてきた生活体験の中にも、合理性がなく、差別につながるおそれのある
ものが多く見られます。
法的整備が進められているものもありますが、慣行、因習などに基づくものは
規制になじまず、また顕在化しにくいため、差別と気づく人権感覚が求められま
す。
社会の変化により、これからもさまざまな人権課題が表面化してくることが考
えられますが、私たちの社会は、多様な人々が共存し、関わりを持ちながら暮ら
している社会です。すべての人は平等であるという理念に立ち、誰もが安心して
幸せな生活を送ることができる地域社会をつくるため、あらゆる機会を通じて市
民の人権意識の高揚を図ります。
仁
礼
小
学
校
4
年
旭ヶ丘小学校6年
あや は
山﨑 彩 葉さん
26
さ
そ
い
い合
っい
し
ょ
に
遊
ぶ
的 楽
場 し
智と
もい
信あ
きな
さ
ん
第6章
1
推進体制
推進体制と役割
⑴
本市の役割と国・県との連携
人権施策は、「人間の尊厳を守る」という観点から具体的に展開していくこと
が大切です。そのため、人権政策を効果的に推進するに当たっては、国、県、市
がそれぞれの役割に応じて協力し合い、連携して取組みを進めます。
ア 本市においては、市が取組む事業は、すべての分野で人権と関わり、人権尊
重の意識を持って行われることを基底に、同和問題をはじめとして、女性、子
ども、高齢者、障がい者、外国人など、各人権課題に関わる部署により取組み
を進めるとともに、全庁的な推進組織である「須坂市人権政策推進本部員会議」
のもと、総合的に人権施策の推進を図ります。また、市民に最も身近な自治体
として、市民のニーズを的確に把握するように努めます。
施策の推進については、差別解消に向けて関係団体や当事者の意見をしっか
りと受止め、連携しながら継続的に進める市の姿勢が大切です。また、同和問
題については、歴史的・文化的・社会的背景を考慮し、一般対策に工夫を加え
た施策を継続的に進めていくことが必要です。よって、関係機関との連携や協
議による取組みを進めるため、市に設置されている本部員会議の充实に努めま
す。
イ 国においては、法務局が人権問題に関わる紛争処理や啓発の役割を担ってい
ます。市では、法務局や人権擁護委員協議会、人権啓発活動ネットワーク協議
会、保護司会等と連携して相談事業の充实と啓発を推進します。
ウ 県においては、人権啓発の全県的な推進と国との調整の役割を担っています。
市では、県の個別課題担当部署、関係施設等のほか、警察、認定特定非営利活
動法人長野犯罪被害者支援センター等との連携により、人権啓発の効果的な推
進と相談支援事業の充实に努めます。
⑵ 市民・NPO法人等
人権が尊重される社会を築くためには、すべての市民が人権問題を自らの課題
として受け止め、自主的に取り組んでいく必要があります。また、社会情勢の変
化に伴って、人権課題は複雑・高度化し、行政だけでは解決が困難な問題が尐な
くありません。
学校、地域、企業、教育機関、市民団体、NPO法人等が、それぞれの立場で
人権課題解決のための自主的な取組みを尊重するとともに、協働の考え方をより
進め、市民一体となって人権が尊重される社会づくりを推進します。
27
2
評価体制
社会情勢の変化等に的確に対応し、より着实に、より効果的に人権政策を推進す
るため、「部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護審議会」に意見を求める
とともに、事務事業評価制度を活用し、定期的に点検・評価を行い、施策の見直し
を行います。
また、人権に関する实態調査等は、調査内容や調査方法、实施時期など関係機関
等と協議しながら必要に応じて实施します。
常
盤
中
学
校
2
年
さ
り
げ
気な
づく
か
い
し
よ
う
塚 友
田 だ
奏か
な
未 みち
さ に
ん
東中学校3年
小島雅隆さん
28
付
1
属
資
料
用語解説
アイヌ
日本とロシアにまたがる北方先住民族。固有の言語や伝統的
な儀式・祭事、多くの口承文学(ユーカラ)など、独自の豊
かな文化を持つ。
平成 18 年に北海道が实施した「北海道アイヌ生活实態調査」
によると、北海道内には、日高支庁及び胆振支庁管内を中心
に、
2万3千人余のアイヌの人々が暮らしている。平成 20 年
6月6日に国会において「アイヌ民族を先住民族とすること
を求める決議」が採択された。
エイズ(AIDS)
後天性免疫不全症候群(英:Acquired Immune Deficiency
Syndrome の略)
。HIVの感染により引き起こる症状の総称
をいう。
HIV(エイチ・アイ・ブイ) ヒト免疫不全ウイルス(英:Human Immunodeficiency Virus)。
人の免疫細胞に感染して免疫細胞を破壊する。
NPO(エヌ・ピー・オー)
利益を分配しない組織(英:Non Profit Organization の略)
。
営利を目的とせず、公益の増進に寄与することを目的とし
て、住民が主体的に取り組む活動を行う民間団体で、公式に
は「特定非営利活動法人」という。
Q-U(キュー・ユー)
学級生活満足度調査(英:Questionnaire ‐ Utilities の
略)
。
学校生活における児童生徒一人ひとりの意欲や満足度、及び
学級集団の状態をアンケートによって測定するもの。
児童虐待
保護者がその看護する児童に対し、身体に外傷が生じる(ま
たは生じ得る)暴行を加えたり、わいせつな行為をしたり(ま
たはさせたり)、保護者としての監護を著しく怠ったり、著
しい心理的外傷を加える言動を行うこと。
障害者自立支援法
障害者基本法の理念に基づき、障がい種別ごとに縦割りにさ
れていた障害者福祉制度を全面的に見直し、自立支援の観点
から一元的なサービス提供システムを規定した法律。平成
18(2006)年 4 月から一部施行、同年 10 月から全面施行。対
象者は、身体・知的・精神の各障がい者(18 歳以上)及び障
がい児(18 歳未満)。給付内容は、ホームヘルプサービス、
ショートステイ、入所施設等の介護給付費及びリハビリテー
ション、就労移行支援等の訓練等給付費、心身障害の状態軽
減を図るための自立支援医療など。国が基本指針を、市町
村・都道府県が障害福祉計画を定めることや、市町村・都道
府県による地域生活支援事業の实施を規定している。
29
人権に関わりの深い特定の職 国連 10 年国内行動計画において、人権にかかわりの深い特
業
定の職業に従事する者として、検察職員、矯正施設・更生保
護関係職員等、入国管理関係職員、教員・社会教育関係職員、
医療関係者、福祉関係職員、海上保安官、労働行政関係職員、
消防職員、警察職員、自衛官、公務員、マスメディア関係者
の 13 の業種に従事する者を掲げている。
性的指向
性的意識の対象が異性、同性又は両性のいずれかに向かう概
念のこと。
(英:Sexual Orientation)
。
大まかに「異性愛」
、
「同性愛」、
「両性愛」に分類される。性
的指向を持たない場合は「無性愛」で、性的指向に分類され
る場合もある。
性同一性障害
生物学的な性(からだの性)と性の自己意識(こころの性)
が一致しないために、社会生活に支障をきたす状態。
成年後見制度
認知症、知的障害、精神障害等の理由で判断能力が不十分に
なったり、判断能力が失われたりした人について、家庭裁判
所が選任した後見人等が本人に代わって財産管理や契約等
を行い、本人の権利を守る制度。
男女共同参画社会
男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社
会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、
もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益
を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会のこ
と。
DV(ドメスティック・バイ 配偶者からの身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有
オレンス)
害な影響を及ぼす言動。
(英:domestic violence の略)。
ノーマライゼーション
高齢者や障がい者などを施設に隔離せず、健常者と一緒に助
け合いながら暮らしていくのが正常な社会のあり方である
とする考え方。
ハンセン病
らい菌(英:Mycobacterium leprae)の感染により発症する
感染症で、慢性炎症性の疾患。かつては「らい病」と呼ばれ
ていたが、古くからの偏見に結びついた呼称であるため、菌
を発見したハンセン氏にちなんで「ハンセン病」と呼ばれる
ようになった。
ユニバーサルデザイン
国籍、言語、年齢、性別、障害・能力の如何を問わずに利用
することができる施設・製品・情報の設計(デザイン)をい
う。また、そのような視点であらかじめ都市や生活環境を計
画する考え方。
30
2
「須坂市人権政策推進基本方針」策定の経緯
答
年
申
関
係
内
月 日
容
須坂市部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護審議会
第1回審議会 委員委嘱、正副会長互選、
「須坂市部落差別をはじめあらゆる
平成 24 年
差別撤廃・人権擁護に係わる基本方針について」諮問
5月 29 日 (以後、平成 25 年3月 25 日の答申までの間、計9回開催)
第2回審議会 「部落差別撤廃・人権擁護に関する総合計画及び人権教育の
ための国連 10 年須坂市行動計画の総括」
「同和地区住民实態調査結果」
「人権
7月 19 日
に関する市民意識調査結果」
「諸団体からの人権に関する調査結果」について
審議(以後、2回審議)
第4回審議会 「須坂市部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護に係
9月 28 日
わる基本方針について答申(素案)
」について審議(以後、4回審議)
平成 25 年
第9回審議会 「須坂市部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護に係
2月 22 日 わる基本方針について答申(案)」について審議
第 10 回審議会 「須坂市部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護に係
わる基本方針について」答申を決定
吉池会長より三木市長に「須坂市部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権
3月 25 日
擁護に係わる基本方針について」について答申
3月 21 日
基
年
月 日
本
方
針
関
係
内
容
平成 25 年
須坂市部落差別撤廃・人権擁護に関する総合計画推進本部員会議及び須坂市
5月 14 日 人権教育のための国連 10 年行動計画推進本部員会議開催
第1回須坂市部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護審議会審議会
10 月 16 日 委員委嘱、正副会長互選
「須坂市人権政策推進基本方針(素案)」について審議
10 月 31 日 「須坂市人権政策推進基本方針(素案)」について庁内全課で検討(2回)
須坂市部落差別撤廃・人権擁護に関する総合計画推進本部幹事会及び須坂市
11 月 14 日 人権教育のための国連 10 年行動計画推進本部幹事会開催
「須坂市人権政策推進基本方針(素案)」について協議
第2回須坂市部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護審議会
11 月 21 日
「須坂市人権政策推進基本方針(素案)」について審議
12 月 20 日~ 「須坂市人権政策推進基本方針(案)」に対する意見募集(パブリックコメン
平成 26 年
1月 10 日 ト) 募集結果7人、65 件
第3回須坂市部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護審議会
1月 22 日 意見募集(パブリックコメント)募集結果について審議
「須坂市人権政策推進基本方針(案)」について審議
須坂市部落差別撤廃・人権擁護に関する総合計画推進本部員会議及び須坂市
1月 27 日 人権教育のための国連 10 年行動計画推進本部員会議開催
「須坂市人権政策推進基本方針(案)」について審議
3月3日 「須坂市人権政策推進基本方針」決定
3月 10 日 「須坂市人権政策推進基本方針」を市議会に報告
3月 24 日 「須坂市人権政策推進基本方針」公表
31
3
Ⅰ
「須坂市部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護に係わる基本方針について」答申(平成 25 年3月)
はじめに
須坂市では、昭和 33 年(1958 年)に須坂市部落解放審議会を設置して以来、同和問題
を中心にさまざまな人権課題の解決にむけて取組んできました。この間、平成 14 年(2002
年)3月に「地域改善対策特別事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(地対財特
法)」が失効し、同和対策事業が概ね終了することから、残された課題については、平成
13 年(2001 年)の部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護審議会において、一般対
策事業として差別解消に向けた取組みを進めることとなりました。
また、平成 12 年(2000 年)に「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律(人権教育・
啓発推進法)
」が制定されたことを受けて、平成 16 年(2004 年)4月には、部落差別撤廃・
人権擁護に関する総合計画推進本部員会議、並びに人権教育のための国連 10 年須坂市行動
計画推進本部員会議において、それぞれの計画の継続を決定し、現在まで進めてきました。
平成 23 年(2011 年)に实施した「人権に関する市民意識調査」によると、人権侵害の
状況は、同和問題のほか、特に女性、子ども、障がい者、高齢者の人権問題について、大
きな課題であることが明らかになりました。
国内では、急速に普及が進むネット社会の中で、インターネットによる人権侵害が深刻
な状況となっています。犯罪が凶悪、陰湿化する中で、犯罪被害者の人権問題も重要な課
題となってきています。
このような状況の中で、新たな人権同和政策が求められている今、本審議会では、以下
の点について、総合的に検討を重ねてきました。
・人権に関係する団体からの意見
・部落差別撤廃・人権擁護に関する総合計画及び人権教育のための国連 10 年須坂市行動
計画の 10 年間の総括と分析
・人権に関する市民意識調査及び同和地区住民实態調査の結果と分析
その結果、同和問題をはじめとしてあらゆる人権について、社会情勢等の変化に応じた、
「人権政策推進基本方針」策定に向けた答申を作成するに至りました。
市民一人ひとりが、互いの能力や個性などを認め合い、輝いていきいきと暮らせるよう
に、研修や学習、交流活動を積み重ねながら、人権を尊重し、人権侵害を許さない社会風
土、いわゆる人権文化を培うために、人権政策を一層推進されるよう要望するものです。
Ⅱ
人権政策の基本理念
1 人権について
人権は、すべての人が生まれながらに持っている固有の権利であり、人として幸せに
生きていくために必要な、誰もが侵害されることのない権利です。
須坂市部落解放・人権尊重都市宣言(平成 6 年(1993 年))には、
「基本的人権が尊重
され、自由で平等な社会の实現は、すべての人々の強い願いである。」と、うたわれてい
ます。
最近の社会は複雑化し、一人ひとりの権利意識が高まり、価値観が多様化する中で、
誰もが人権を侵害する側、される側に立つ可能性があるといえます。
例えば結婚についてみると、相手が同和地区出身だから、障がい者だから、外国人だ
32
からなどの理由で、結婚を反対することが現实にあります。結婚で反対した人でも、日
常生活をしている中で、時には差別される側に立たされることもあります。
「人間の尊厳」は、人権の原点であり、一人ひとりが人権尊重の意識を高めることが
強く求められます。
2
人権政策の中で
市では、平成 14 年(2002 年)「人権教育のための国連 10 年須坂市行動計画」を施行し、
2回の町別人権同和問題学習会の内、1 回は同和問題を、もう 1 回はさまざまな人権問
題を学習してきています。平成 23 年(2011 年)实施の市民意識調査からは、女性、子ども、
障がい者、高齢者等に対する人権侵害や同和問題等への対応が一層必要であることが明
らかになりました。
これからの人権施策は、市行政すべての分野で一層人権を重視したきめ細かな対応が
求められます。一人ひとりの違いを個性として認め、互いに支え合い、共に生きる社会
を实現するために、これまでの同和問題の解決に向けて取組んだ手法、その中で得られ
た成果や課題を参考にして、あらゆる人権問題への取組みにつなげていくことが重要で
す。
Ⅲ
須坂市における近年の取組みと本審議会
1 人権同和関係法令等及び市の取組み
市は、国際状況及び国、県の動向や取組み状況に沿うと共に、人権侵害の实態を直視
する中で、部落差別をはじめあらゆる差別を一日も早く解消するために、市民総参加に
よる取組みを進めてきました。
人権同和関係に関する法令等及び須坂市の取組みは以下のとおりです。
((市)は須坂市、◆は国、△は世界)
年(西暦)
昭和 21(1946)
22(1947)
23(1948)
法令等及び須坂市の取組み
◆「日本国憲法」制定
◆「教育基本法」制定 平成 18 年 12 月改正
△「世界人権宣言」採択
33(1958) (市)「須坂市部落解放審議会条例」制定
40(1965)
◆「同和対策審議会答申」
◆「人種差別撤廃条約」採択
41(1966)
◆「同和教育の推進についての基本方針」策定
◆「国際人権規約」採択
44(1969)
◆「同和対策事業特別措置法」制定
△「人種差別撤廃条約」発効
45(1970) (市)「第1回須坂市職員部落問題研修会」開催
(市)「部落解放推進委員会」改組
48(1973) (市)「部落差別をなくす市民大集会」開催
49(1974) (市)「須坂市同和教育基本方針」制定
(市)「町別同和問題懇談会」始まる
33
(市)「企業同和教育推進協議会」発足
53(1978) (市)「部落解放隣保館」設置
54(1979)
◆「国際人権規約」批准・発効
57(1982)
◆「地域改善対策特別措置法」制定
59(1984) (市)「町別同和問題学習会」を年2回とする
◆地対協意見具申
61(1986)
◆地対協意見具申
62(1987)
◆「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法
律」施行
平成 3(1991)
4(1992)
◆地対協意見具申
◆「地対財特法」一部改正5年延長
5(1993)
△世界人権会議「ウイーン宣言」採択
6(1994)
△「人権教育のための国連 10 年」決議
(市)「部落解放・人権尊重都市宣言」制定
7(1995)
◆「人種差別撤廃条約」批准
8(1996)
◆地対協意見具申
◆「人種差別撤廃条約」発効
(市)「部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護に関する条例」施行
(市)「須坂市部落解放審議会条例」廃止
9(1997)
◆「人権擁護施策推進法」施行
◆「人権擁護推進審議会」設置
◆「地対財特法」一部改正5年延長
◆「人権教育のための国連 10 年」国内行動計画策定
11(1999) (市)「人権に関する市民意識調査」实施
12(2000)
◆「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」施行
(市)「部落差別撤廃・人権擁護に関する総合計画」策定
(市)「人権のまちづくり推進委員会」改組
13(2001) (市)「人権教育のための国連 10 年須坂市行動計画」策定
(市)「部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護審議会」答申
14(2002)
◆「人権教育・啓発に関する基本計画」策定
◆「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関
する法律」失効
(市)同和対策関連の法律失効に伴い、部落解放隣保館、同和対策集会所(人
権同和政策課所管施設)の名称を変更
(市)「 町 別 人権 同 和問 題 学習 会 」 に改 称 し、 2 回の 内 1 回は 同 和 問
題、もう1回はさまざまな人権問題とする
19(2007) (市)「同和地区住民生活实態調査」实施
23(2011) (市)「人権に関する市民意識調査」实施
34
2
本審議会の設置背景と目的
⑴ 市部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護審議会
市では、平成6年(1994 年)の部落解放審議会答申を受けて、平成 7 年(1995 年)12
月に「須坂市部落解放審議会設置条例」を廃止し、「須坂市部落差別をはじめあらゆ
る差別撤廃・人権擁護に関する条例」を制定し、市長の諮問に応じ調査審議するため
に、本審議会を設置しました。
⑵
人権政策推進基本方針策定に向けて
平成 24 年(2012 年)5月に市長より本審議会に、社会情勢等の変化に適切に対応し
た、あらゆる人権政策を推進するための基本方針策定に向けた答申について諮問があ
りました。
これを受けて、本審議会は、5月 25 日に第1回目を開催して以来、9回の会議を行
い、今後の人権政策の基本的な考え方や課題と方向性をとりまとめました。
Ⅳ
須坂市における人権に関する实態
1 諸団体の人権に関する意見とその結果
平成 24 年(2012 年)6月 29 日から7月9日の間、諸団体等から意見募集を行い、34
団体等(女性に関係する団体7、子どもに関係する団体5、高齢者に関係する団体2、
障がい者に関係する団体5、同和問題に関係する団体2、その他の団体 13)から「日頃
感じている人権課題」
、
「課題に向けての取組み」
、
「取組みを進める上での課題」、
「行政・
住民の係りや協力の必要性」
「その他」について、意見をいただきました。
人権課題と日頃感じている主な内容は以下のとおりです。
人権項目
内
容
○性別による固定的役割分担意識
女性
○町の運営に関わる場(役員)への女性の参画が尐ない
○職場での男女の待遇差がある(働きやすい職場づくり)
○パートナーシップという意識が育っていない
○保護者からの虐待等
○子ども同士の悪口、中傷
子ども
○子どもたちの人権侵害につながる言葉の使用
○学校でのいじめによる生徒の自殺
○携帯電話やインターネットによる子どもたちの被害や有害図書の氾濫
○障がい者が地域社会で普通に暮すことや活動ができていない
障がい者
○一般の方が視覚障害を正しく理解していない
○障がい者への偏見(正しく理解していない)
○高齢者同士や近所での行き来が尐ない(孤独)
○認知症に対する無知、無関心
高齢者
○一人暮らしの方の日常的な交通手段に係る経済的な負担が多い
○介護の問題、家族の経済的負担、施設等の問題、災害時等の避難などが課
題
35
○高齢者が認知症になったときに虐待が多い
同和問題
○特に結婚での差別
○中国人に対する根深い差別意識
○言葉や文化、生活習慣の違いから近隣住民とのトラブルがある
外国人
○就労やアパート入居時での差別(信頼されない)
○結婚での偏見
○インターネットによるさまざまな人権侵害
その他
○出所した人に対する偏見と就労の困難さ
2
市民意識調査とその結果
⑴ 調査方法等
平成 23 年(2011 年)10 月に無作為抽出による、20 歳以上の市民 4,000 人を対象に、
各町区長はじめ役員による調査票配布と郵送回収により人権に関する市民意識調査を
行いました。
質問は 31 項目 33 問で、
「人権問題への関心」、
「須坂市行動計画にある同和問題をは
じめさまざまな人権問題」、
「人権侵害への対応」、「須坂市の取組み」について調査を
行いました。
なお、質問項目は、比較の便宜等を考慮して、長野県の「人権に関する県民意識調
査(平成 20 年(2008 年)6月)
」、高山村の「人権に関する村民意識調査(平成 20 年
(2008 年)6月)
」
、本市の前回調査(平成 11 年(1999 年)8月)を基本として、調
査の目的に照らして必要な項目を付加しました。
回答者数は 1,827 人、回答率 45.7%、女性からの回答は 53.7%で、50 歳代以上の
方が 65%を占めています。
⑵
調査結果
① 全体
ア
人権問題への関心について
人権問題に関心がある人は 70%を超えています。関心がある人権問題は、障が
い者、高齢者、同和問題、子ども、女性の順に多く、特に障がい者、高齢者の問
題が高いのは、60 歳代以上の回答者が多かったことによると思われます。
また、町別人権同和問題学習会へ出席した人の 78.1%が「役員だから」と答え、
「関心をもって進んで参加した」は 21.2%にとどまっています。同和問題は、必
ず年 1 回学習しているため関心が高く、県の調査結果(平成 20 年)とほぼ同じ
です。それ以外の人権問題については、より一層の教育と啓発が必要であること
がわかりました。
参加しない理由として「仕事や家庭が忙しくて出席できない」は 31.8%です。
また、
「自分には関係ない問題」は 10%で、
「自分は差別したことはなく理解して
いる」を合わせると 38.5%にのぼります。
なお、人権問題への関心は、県の調査結果(平成 20 年)と比べ 13%ほど低い
ことがわかりました。
36
イ
人権侵害について
過去 10 年間で「人権が侵害されたことがある」は、平成 11 年調査に比べ 7%
増えています。学校や職場での人権侵害、子ども、障がい者、高齢者、女性、同
和問題の人権侵害が増えたことは、
「今回家族を含めた調査であること」
「平成 14
年(2002 年)よりさまざまな人権について学習を進め、人権意識が高まってきたこ
と」等によるものと思われます。
ウ
人権啓発について
講演・研修、尐人数での研修、リーダー養成及び研修など、現在行われている
研修及び形態が支持されています。学習者が参加してよかったと感じられ、自ら
参加したくなるよう工夫していく必要があります。
②
分野別
◇同和問題
* 「部落差別は現在もあると思いますか」の質問に、「須坂市にあると思う「須
坂市にはないと思うがほかにあると思う」を合わせると 63.5%で、「わからな
い」は、20 歳代~40 歳代で 35%を超えています。
* 「人権上問題があると思うのはどのようなことですか」の質問に、「結婚問題
で家族、親戚、友人、知人等から反対される」は、平成 11 年調査の 85%から
60.2%へ減尐しています。また、「身元調査をされる」「差別的言動を受ける」
「就職・職場で不利な扱いを受ける」が多い状況です。
* 現在起きている問題として、
「結婚について」と答えた方が 60.2%で、平成 11
年調査の 85%に比べ大きく減尐しています。しかし「あなたのお子さんの結婚
相手が同和地区の人と知った場合どうしますか」の質問に、
「賛成し、協力する」
「子どもの意志を尊重する。親が口出しすべきことではない」を合わせると 74%
で、平成 11 年調査の 56.8%に比べ大きく上回っています。
さらに、
「親としては反対するが、子どもの意志が強ければしかたがない」
を合わせると 94.0%で、平成 11 年調査の 79.5%に比べ大幅に増えています。
県・高山村も同様の傾向にあり、男女別においても同じ割合です。
* 「あなたが同和地区の人と結婚しようとしたとき、家族や親戚から強い反対を
受けたらどうしますか」の質問に、「自分の意志を貫いて結婚する」「家族や親
戚の説得に全力を傾けたのちに、自分の意志を貫いて結婚する」を合わせると
81%で、高山村とほぼ同様の傾向です。
* 「部落差別の解消にむけてどのようにお考えですか」の質問に、「自分の問題
として解決に努力すべきだと思う」が 30.2%、「そっとしておけば自然になく
なる」が 24.9%、
「どのようにしても差別はなくならないと思う」が 20.6%で
す。
以下、
「女性」から「性的指向及び性同一性障害者」まで 13 の分野については、
37
質問「人権上問題があると思うのはどのようなことですか」の調査結果を記述し
ます。
◇女性
「固定的役割分担意識」
「職場での差別待遇」
「夫からの暴力」
「職場のセクシャ
ル・ハラスメント」「売春・買春」が高い状況です。「固定的役割分担意識」が最
も高く、48.6%の女性は問題と考えています。
また、
「売春・買春」以外の上記4項目は、若い世代ほど問題と考え、
「水着姿
や裸体などのポスター」
「ヌードなどの雑誌」
「アダルト・ビデオ」
「風俗営業等」
は、年齢が上がるほど問題と考えている人が多くなっています。
◇子ども
「保護者による子どもへの暴力や虐待、育児の放棄などがある」
「子どもによる
暴力、いじめ、無視などの仲間はずしがある」が多く、女性は男性に比べて全項
目において高い傾向にあります。20 歳代では、「大人が自分の意思を子どもに強
制する」
「大人が子どものプライバシーを尊重しない」が特に高くなっています。
◇高齢者
「悪徳商法の被害にあうことが多い」
「認知症に関する理解が不足している」
「経
済的自立が困難である」
「働ける能力を発揮する機会が尐ない」「高齢者がじゃま
者扱いやつまはじきされる」「地域、家族等とのつながりがない」「独居老人の孤
独死」の6つの項目で 30%を超え、身近な問題と感じている人が多く、全項目で
女性の方が問題と感じており、年代別による差は多くありません。
◇障がい者
「障がい者に対する理解が足りない」
「結婚問題で周囲から反対される」
「就職・
職場で不利な扱いを受ける」「差別的言動を受ける」「じろじろ見られたり、避け
られたりすることがある」の5つの項目で 30%を超えています。女性の方が問題
と感じています。
◇外国人
「言語が異なるため、保健・福祉・医療・教育・生活環境・防災などの日常生
活に必要な情報が得にくい」「就職や仕事内容、待遇で不利な扱いを受ける」「交
際や関わりを避けるなど地域社会での理解認識が不十分」
「行政への参画機会が尐
ない」が 20%を超えています。
◇HIV感染者・エイズ感染者等
「結婚問題で周囲から反対される」「就職・職場で不利な扱いを受ける」「差別
的な言動を受ける」が 26%を超えています。若い世代ほど問題と感じています。
38
◇ハンセン病患者・元患者等
「結婚問題で周囲から反対される」「就職・職場で不利な扱いを受ける」「ハン
セン病療養所の外で自立した生活を営むのが困難である」「差別的な言動を受け
る」が 22%を超えています。
◇刑を終えて出所した人
「本人や家族が地域社会から差別的な扱いを受ける」
「就職・職場・学校で不利
な扱いを受ける」
「事件のことに関して、周囲にうわさ話をされる」「結婚問題で
周囲から反対される」
「経済的に自立が困難である」が 33%を越えています。
◇アイヌの人々
「独自の文化や伝統の保存、伝承が図られていない」が 19%で、60%を超える
人が「分からない」と答えています。
◇犯罪被害者等
「犯罪行為によって精神的なショックを受ける」
「事件のことに関して、周囲に
うわさ話をされる」
「取材や報道によってプライバシーに関することを公にされた
り、私生活の平穏が保てなくなったりする」
「捜査や刑事裁判において精神的負担
を受ける」が 40%を超えており、女性は関心が高くなっています。
◇インターネットによる人権侵害
「出会い系サイトなど犯罪を誘発する場となっている」
「他人を誹謗中傷する表
現を掲載する」が 50%を超えており、女性の関心が高くなっています。
◇ホームレス
「経済的に自立が困難である」「じろじろ見られたり、避けられたりする」「通
行人等から暴力をふるわれる」が 30%を超えており、若い世代ほど関心が高くな
っています。
◇性的指向及び性同一性障害者
「性的指向及び性同一性障害者に対する理解が足りない」
「差別的な言動を受け
る」が 30%を超えており、若い世代ほど関心が高くなっています。
3
同和地区住民生活实態調査とその結果
⑴ 調査方法等
平成 20 年(2008 年)1月に須坂市の同和地区(旧「地域改善対策特定事業に係る国
の財政上の特別措置に関する法律」第2条第1項に規定する、地域改善対策特定事業
が实施された同項の対象地域)住民を対象に、住民生活实態調査(75 世帯。世帯を構
成する 18 歳以上の個人 199 人)を实施しました。調査員が各世帯を訪問し、調査票の
配布と回収を行いました。
39
質問は、世帯調査は4項目 12 問で、「世帯・家族」、「住宅の状況」、「家計の状況」、
「事業経営の状況」を、個人調査は4項目 31 問で、「就業状況」、
「健康と福祉」、
「事
業経営」
、
「被差別体験」について行いました。
⑵
調査結果
① 世帯調査
ア
世帯の实態
(ア) 世帯の状況について
平成 17 年度(2005 年)国勢調査須坂市数値と比べると、1 人世帯は尐なくな
り、2人世帯が多くなっています。3人世帯以上では差がありません。
(イ) 住宅の状況について
住宅は農村地帯にあり、市営の賃貸住宅 8%以外は持ち家で、平成 17 年度
(2005 年)国勢調査須坂市数値 73.3%を超えています。
イ
世帯の総収入について
世帯の収入は、世帯主や家族の給与と年金・恩給、農林業収入という家庭がほ
とんどで、農林業以外の事業収入・内職が各 3 世帯です。世帯の総収入が 300 万
円未満の家庭が 40%でした。
②
個人調査
ア
生活实態
(ア) 年間の収入について
年間収入は、200 万円未満が 41%(平成 18 年(2006 年)労働力調査 32%)、
200 万円~400 万円未満 32%(同 30%)、
400 万円~700 万円未満 10%(同 23%)、
700 万円以上4%(同 12%)と、低所得者の割合が高く、平成 10 年度(2008
年)生活住民实態調査と比べて、低所得者が増えています。
(イ) 最終学歴について
最終学歴は、平成 10 年度調査と比べて、高校卒が 35%から 44%、短大等卒
が4%から 12%、大学等卒は2%から3%と増えています。
イ
被差別体験
「自ら差別を受けたことがある」26%、
「家族や親族が差別を受けた」14%、
「家族・親族以外の知人などの近しい人が差別に出会ったことがある」8%で
した。
「自ら差別を受けたことがある」は、40 歳代以上が 26%で、70 歳代では 40%
を超えています。
差別に遭遇した時期は、10 年以上前が 75%で、ここ2年以内が3%と尐な
くなっています。
40
また、
「結婚までいたらなかった人」のうち、
「同和問題が関係した」は、50
歳代は 73%、40 歳代は 33%、40 歳未満 0%です。
ウ
部落差別をなくすために
(ア) 部落差別の現状について
「現在でも部落差別があると思いますか」に対して、
「あると思う」は 58%
で、年代が進むにつれて高い傾向にあります。
一方、
「わからない」は 28%で、若い年代ほど高い状況です。
(イ) 差別を受けたときの対応について
「運動団体に相談・連絡した」が5%、
「行政機関に相談・連絡した」が0%
と尐ない状況でした。
対処しなかった理由は、
「相談するところがなかった」が9%、
「初めてのこ
とで動揺した」が 16%、
「抗議・説得の勇気がなかった」が 28%、
「いつもの
ことで我慢した」が 31%でした。
エ
地区住民の部落差別解消への認識について
「部落差別をなくすために重要なこと」では、一番多かったのは、「学校・
社会教育の取り組みの必要性」で 59%、
「差別を法律で禁止する」が 52%、
「同
和地区住民の努力」が 45%、
「行政が同和地区住民の『自立』を支援する」が
44%、
「分散して住むようにする」が 14%、「そっとしておけば自然になくな
る」が 18%でした。
4
「部落差別撤廃・人権擁護に関する総合計画及び人権教育のための国連 10 年
須坂市行動計画」の見直しについて
⑴ 総合計画について
総合計画は、平成 12 年(2000 年)2月に同和問題を中心として総合的に施策を推進
するために制定されたものです。制定後 10 年を経過することから今回、施策ごとに
所管する部署により総括を行い、それに基づき分析を行いました。
その結果、環境改善対策及び産業振興、学校教育・社会教育の充实、人権擁護につ
いては、ほぼ達成しました。しかし、社会福祉対策では健康増進、経済向上対策では
選考採用の適正化・労働条件の改善、市職員研修では、研修方法と推進者としての自
覚が課題として残されています。
⑵
行動計画について
行動計画は平成 13 年(2001 年)3月、国の「人権教育・啓発に関する基本計画」、
「人
権教育の指導方法等の在り方について〔第三次とりまとめ〕に基づき、平成 16 年(2004
年)に、推進本部員会議において継続して推進することに決定し、現在まで取組んで
きました。
その結果、同和問題は解消に向けて進んできていますが、その他のさまざまな人権
41
問題が新たな課題となってきていることから、今後も人権教育及び啓発の推進が必要
であるとの共通認識に立ちました。
⑶
見直しの結果
近年の情報社会の進展、尐子高齢社会の到来、女性の社会進出、障がい者との共生、
国際化への対応等大きな社会構造の変化及び市民の人権に関する意識の変化を考慮
し、新しい時代を生きる市民のために、時代の変化に応じた、新たな「人権政策推進
基本方針」を策定することが望ましいと考えます。
Ⅴ
分野別施策の現状・課題と方向性
本審議会としては、どの人権課題も重要であると認識した上で、諸団体からの意見、人
権に関する市民意識調査結果、住民生活实態調査結果、部落差別撤廃・人権擁護に関する
総合計画の総括及び人権に関する国連 10 年須坂市行動計画の分析等、人権課題についての
これまでの経緯や現状を総合的に分析、検討した結果、本市においては、同和問題をはじ
めとして女性、子ども、障がい者、高齢者の問題が優先的な人権課題であると判断しまし
た。
以下、同和問題を最初に、次いで女性、子ども、障がい者、高齢者の問題等について記
述することとしました。
1
同和問題
⑴ 現状と課題
同和問題の現状を捉えるにあたっては、差別が实態的差別と心理的差別に分けら
れ、实際生活の中で差別がどのような所に現れているかについて重視しました。
平成6年の部落解放審議会答申は、同和地区では就労、教育、福祉などの面で問
題を抱えていることを指摘しています。平成 20 年1月に实施した同和地区住民实態
調査結果でも、依然として就労、教育、福祉などの面での課題が明らかになってい
ます。
もちろんこうした課題は、同和地区に限りませんが、より集中して現れる傾向が
あります。人権侵害は依然としてありますが、そのほとんどは表面化しないという
現状があります。
特に結婚については、プライバシーの問題でもあり、公にされにくい面がありま
すが、現在も深刻な課題として残されており、人権同和教育を受けてきた世代でも
結婚に反対するという实態もあります。
また、インターネット上での差別書き込みなど情報化社会での新たな問題も起き
ています。
⑵
①
方向性
同和問題の歴史・固有性・实態を踏まえた施策について
市民意識調査の結果から心理的差別がまだ残っていることが明らかとなりまし
た。同和問題が日本の歴史の中で長年かけて形成されてきたように、人権問題に
42
は、それぞれの歴史と固有の課題があり、实態が異なります。さらに、人権問題
は同和問題、女性、障がい者、高齢者などが重層・集中する場合もあり、それぞ
れの解決には、市民の人権意識を高めることが不可欠です。
同和問題の解決には、対象地区の生活实態調査や市民意識調査を定期的に続け、
課題を明らかにし、対策を講じていく必要がありますが、实施にあたっては関係
機関、当事者と十分協議の上实施します。また、差別の解消に向けては、すべて
の市民が人権のまちづくり運動へ主体的に参加することが求められます。
②
総合的・専門的な相談・支援体制の確立とその推進
同和問題の相談内容は、就労、教育、福祉といった多様な内容とともに、人権
侵害などがあります。
そこで、総合性、専門性、当事者性という観点での相談体制の充实が求められ
ます。さらに、支援の継続性や差別をなくそうとする人々が連携していくことが
大切です。
こうした点を踏まえて、人員体制や総合的窓口を整備し、国、県、民間機関、
NPOなどとも連携・協働を進め、より实効性のある相談・支援体制を充实して
いくことが必要と考えます。
③ 当事者の「自覚」
「自立」に対する支援
当事者の多くは、何らかの機会・時期に同和地区出身であることを知ります。
そのことに向き合い、正しく理解し、力強く生きていくための「自覚」
「自立」に
向けた支援が必要です。
そのためには、相談による支援活動を行ったり、人権交流センター、人権ふれ
あいセンター、学習センターを有効に活用した対象地区内外の住民交流を進めた
りすることにより、「自覚」「自立」に向け意欲を持ち、さらに同和問題をはじめ
さまざまな人権問題について継続して学び、問題の解決につなげていくことが重
要と考えます。
2
女性
⑴ 現状と課題
市では、平成5年(1993 年)に「須坂市女性行動計画」を策定以降、平成 15 年(2003
年)に「第二次すざか男女共同参画計画」を、平成 19 年(2007 年)には「第三次す
ざか男女共同参画計画」を策定しました。
これにより、さまざまな施策を展開することにより、固定的な性別役割分担(性別
を理由に役割を固定的に分けること)意識の変化や男女共同参画社会の認知度等、市
民の理解が深まっている面もあり、意識は徐々に高まっています。
しかし、男女共同参画に関する固定的性別役割分担の意識が未だに根強く残り、女
性の参画が進んでいない分野も多く残っています。
女性では、出産・育児期に相当する年齢層において、離職者が増加し、その後も仕
事に就けないというような状況が見られます。子育て、介護など男女が共同で家族と
43
しての責任を果たすことや、社会全体で支援する仕組みづくりが必要です。
このほか、配偶者等からの暴力(DV(ドメスティック・バイオレンス))やセクシ
ャル・ハラスメントなどの人権侵害は依然として後を絶たず、相談も増えています。
今後も女性の人権や尊厳に配慮した対応が一層求められます。
⑵
方向性
各種啓発や男女平等などの理念に基づく教育をさまざまな機会を通じて行い、男女
が互いの個性や能力を尊重し合い、深い理解と信頼のもとに協力して行動することが
必要です。
地域における男女共同参画の推進役となる人材の育成や施策・方向決定の場への女
性の参画などを促進し、性別によって制約されることなく、暮らしやすい社会をめざ
し、男女共同参画推進の基盤づくりを進めることが必要です。
女性も男性も、仕事と家庭生活(家事・子育て・介護など)、地域活動の調和のとれ
た参画を図りながら、能力を発揮していきいきと活動できる環境の整備を進めること
が必要です。
また、配偶者等からの暴力(DV)やセクシャル・ハラスメントなどの防止に努め
るとともに、被害者からの相談を受ける体制の整備や、被害者を保護し、自立を支援
することが求められます。
3
子ども
⑴ 現状と課題
「日本の将来推計人口」によれば、晩婚化や夫婦による出生力そのものの低下によ
り、尐子化は今後も一層進行すると予想されています。尐子化の進行は、社会経済全
体への影響が懸念されるとともに、家庭や地域の教育力が低下しつつある中で、育児
不安や親の過保護、過干渉、児童虐待など子どもの人権に関わる社会問題ともなって
います。
市では、須坂市総合計画、須坂市母子保健計画、あるいは平成 14 年度(2002 年)
を初年度とする五か年計画(須坂市子育て支援計画)により未来を担う子どもたちの
健やかな成長を願ってきました。
また、総合的かつ計画的な推進と整合を図りながら、平成 15 年(2003 年)に制定
された「次世代育成支援対策法」に基づき、平成 17 年(2005 年)に「須坂市次世代
育成支援行動計画(前期計画)
」を策定しました。
さらに、平成 22 年(2010 年)には、
「須坂市次世代育成支援行動計画(後期計画)」
が策定され、
「子どもは宝プロジェクト」により各種施策を推進しています。
しかし、人間性や社会性を育む上で重要な体験活動の機会の減尐、家庭や地域の教
育力の低下、子どもの規範意識の希薄化、いじめ問題などが指摘されており、子ども
たちを取り巻く環境は大変難しい状況となっています。
そのような社会であるからこそ、子どもも一人の人間として人格を尊重するという
考え方(子どもの権利条約など)を市民一人ひとりが共有することが大切です。
今後も子どもの人権や尊厳に配慮した対応が一層求められます。
44
⑵
方向性
児童虐待の発生予防を図るとともに、早期発見・早期対応に一層努め、虐待を受け
た子どもたちに対し、保護から自立支援に至るまでの支援体制の整備が一層必要です。
また、いじめなどの悩みや不安を抱える子どもたちに対し、適切な相談・支援を学
校、家庭、関係機関の連携により進めます。さらに、人権教育の推進により、豊かな
心の育成とともに保護者や地域の大人の子どもへの理解を進め、意識を変えていくこ
とが重要です。
4
障がい者
⑴ 現状と課題
市では、昭和 60 年度(1985 年)の「障害者計画」により障がい者の地域生活の支援
を進めています。さらに、国の「障害者基本計画」を具体化し、地域で生活する障が
い者の生活支援につなげていくために、具体的な目標を掲げながら計画的に施策を進
めています。
また、須坂市部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護に関する条例に基づき、
差別をなくす取組みを進めてきました。しかし、時代の進展とともに社会参加や生き
がいの問題など、さまざまな角度から地域福祉の基盤整備が必要とされています。
そこで、平成 23 年度(2011 年)に「第四次須坂市障がい者等長期行動計画」が、
平成 24 年度(2012 年)には「須坂市福祉計画(第3期)
」がスタートしました。リハ
ビリテーションとノーマライゼーションというこれまでの理念を更に広く市民に定
着させ、「障害が重くても地域で当たり前の生活ができる社会を創る」ことや「みん
なで助け合い、地域で元気に暮らせる社会をめざして」を目標に取組みを進めていま
す。
障がい者の地域生活移行を促進するため、地域での理解不足や誤解の解消、生活の
場や就労など昼間活動をする場の確保、相談支援体制の充实など環境整備を進めるこ
とが求められています。
今後も障がい者の人権や尊厳に配慮した対応が一層求められます。
⑵
方向性
障がい者が、住み慣れた地域で自分らしく当たり前に生活していけるように、身近
な地域での保健福祉サービスの充实を図るとともに、自立生活への支援や就労を促進
することが大切です。
また、障がい者が偏見や差別を受けることなく、ひとりの生活者として尊重され、
自分らしい生活を選択し、決定することができるように、一層市民の理解を深め、社
会参加を促進するとともに、ユニバーサルデザインに配慮した生活空間の整備を推進
することが必要です。
障害の重度化、重複化、多様化が進む中で、保健・医療・福祉、教育、雇用など関
係機関が連携を深め、障がい者の一人ひとりのニーズに合ったきめ細やかな対応が重
要です。
45
5
高齢者
⑴ 現状と課題
わが国の高齢者(65 歳以上)数は、平成 22 年(2010 年)10 月1日現在、2,958 万
人で、総人口に占める割合(高齢化率)は 23.1%と、国民の5人に1人以上は高齢者
となっています。
市の高齢化率は平成 23 年(2011 年)10 月1日現在、26.7%です。これは、介護保
険制度が始まった平成 12 年(2000 年)の 19.9%から 11 年で 6.8%上昇しています。
3年前と比較しても 2.0%上昇しており、今後もこの傾向が続くものと推測されます。
高齢者の増加に加え、一人暮らしの高齢者や高齢者のみの世帯の増加、認知症高齢者
の増加など、地域や家庭における高齢者に関する新たな課題が顕在化しています。
市では、平成 11 年度(1999 年)から 3 年ごとに「須坂市老人福祉計画及び介護保
険事業計画」を策定し、現在「第六次老人福祉計画及び第五期介護保険事業計画」に
基づきさまざまな施策を進めています。また、平成 18 年(2006 年)に「高齢者虐待
の防止、高齢者の療養者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)」が施行
されました。しかし、市内では高齢者虐待の事例が報告されています。
虐待を受けた高齢者の多くが何らかの認知症を有しており、認知症に対する正しい
知識の普及や地域全体で高齢者とその家族を支える仕組みづくりが求められています。
また、高齢者への経済的虐待による金銭問題の発生や、振り込め詐欺・悪徳商法の
被害に巻き込まれるケースが後を絶ちません。しかし、認知症等で判断能力が不十分
であるなど、人の権利を守るための制度である成年後見制度の普及は遅れています。
今後も高齢者の人権や尊厳に配慮した対応が一層求められます。
⑵
方向性
地域や家庭における高齢者に関する新たな課題が顕在化する中、できる限り住み慣
れた自宅や地域で暮らし続けることができるよう、高齢者の生活状況に対応した支援
体制の整備などを推進することが必要です。
また、認知症及び高齢者虐待に関する知識の普及を一層図るとともに、高齢者とそ
の家族を地域全体で支える仕組みづくりを促進することも重要です。
「高齢者の尊厳を守る」という人権を意識した対応や介護など、当事者だけでなく
地域全体での学習が大切です。
なお、成年後見人制度については、引き続き普及啓発に努めなければなりません。
6
インターネットによる人権侵害
⑴ 現状と課題
インターネットには、電子メールのような特定の利用者間の通信や、ホームページ、
ツイッターのような不特定多数の人が利用できるもの等があります。発信者の匿名性
とともに、情報発信が容易にできることから、他人を誹謗中傷する表現や差別を助長
する表現、有害情報、写真の無断掲載など人権に関わる問題が多数発生しています。
表現の自由に配慮しつつ、限度を超えた表現等については、個別に対応しているの
が現状です。例えば、発信者がわかる場合は、啓発を通じて人権侵害情報を排除し、
46
特定できない場合は、プロバイダに対して、情報等の停止、削除を申し入れ、業界の
自主規制をしています。
また、携帯電話やスマートホンの普及により子どもたちが容易に利用し、犯罪に巻
き込まれるケースも見受けられることから、正しい利用の仕方や危険性について教
育・啓発が求められます。
今後もさまざまな人権に配慮した対応が一層求められます。
⑵
方向性
個人のプライバシーや名誉に関する正しい理解を深めるため啓発活動を行うととも
に、インターネットを介したいじめ、人権を侵害する事例に対して関係機関と連携を
とり適切に対応することが求められます。
学校教育においては、情報リテラシー教育による、インターネット上の誤った情報
や偏った情報をめぐる問題を含め、社会にもたらす影響や、情報発信における個人の
責任、情報モラルについて取組む必要があります。
7
犯罪被害者
⑴ 現状と課題
犯罪被害者等が直面している困難な状況を踏まえ、これを打開し、その権利・利益
の保護を図るため、平成 17 年(2005 年)、犯罪被害者等基本法が施行されました。こ
れにより、国、地方公共団体、国民の責務が規定されるとともに、同法に基づく基本
計画が策定され、国における各種施策が進められています。
県においては、犯罪被害者等基本法を受け、各種の県施策を進めており、市におい
ても県同様に取組みを進めています。しかし、市民の犯罪被害者に対する認識や関係
機関における被害者支援に関する認識は未だ十分とはいえない状況にあります。
今後も犯罪被害者等の人権や尊厳に配慮した対応が一層求められます。
⑵
方向性
個々の犯罪被害者等が、再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、
被害の状況及び原因、被害者等が置かれた個々の状況等に応じて適切に、かつ途切れ
ることなく支援することが求められます。犯罪被害者等に対する各種相談窓口の情報
提供や市民への理解を促すための広報・啓発に努める必要があります。
8
外国人
⑴ 現状と課題
市の在留外国人は、
平成 24 年4月1日現在 468 人で、国籍別にみると、中国 26.3%、
タイ 26.3%、ブラジル 18.8%、フィリピン 7.5%、韓国・朝鮮 4.1%、アメリカ 1.9%、
その他 15.1%となっています。ブラジル、韓国・朝鮮は前年に比べ減尐していますが、
中国、タイ、フィリピン、アメリカを合わせると 9.8%増加しています。
こうした中、地域社会での外国人との共生、子どもの教育、社会保障などに関する
課題が発生しています。このような課題に対応するため、相談者には長野県や支援団
47
体が行う「多文化共生くらしのサポーター」による生活相談、医療通訳の養成や派遣
制度の紹介、日本語教室を实施しています。
また、観光や就労のために訪れる外国人に対し、偏見による入店や入居の拒否、社
会保険未加入問題など、外国人の人権や尊厳が脅かされることがあります。また、教
育、福祉などの制度や災害時の情報が伝わらないことによる不利益を被ることもあり
ますので、一層の啓発が必要と考えます。
⑵
方向性
外国人が地域の中で孤立することなく日本人と共に暮らしていくためには、日本語
によるコミュニケーションが必要であり、同時に日本の社会制度や習慣、文化等につ
いて理解を深めることも必要なことから、外国人に対して学習の機会の提供に一層努
める必要があります。
また、観光や就労のために訪れる外国人に対し、偏見による入店や入居の拒否、社
会保険未加入問題など、外国人の人権や尊厳が脅かされることがないように、働きや
すい職場環境の整備や須坂市に訪れる外国人旅行者などの人権に配慮した対応をして
いく必要があります。
9
刑を終えた人
⑴ 現状と課題
刑を終えて出所した人が更生し、社会の一員として日常生活を営むためには、家族、
職場、地域社会など周囲の人々の理解と協力が必要です。
⑵
方向性
刑を終えて出所した人に対する偏見や差別を解消するために、人権や尊厳に配慮し
た啓発活動を推進する必要があります。
10
さまざまな人権課題
人権課題はこの他にもいろいろありますが、ここではHIV感染者・ハンセン病回復
者等、アイヌの人々、性的指向及び性同一性障害、ホームレスに対する人権侵害につい
て取り上げます。
⑴
HIV感染者・ハンセン病回復者等
県の人口 10 万人当たりのHIV感染者・エイズ患者届出数(平成 17 年(2005 年)
~19 年(2007 年)の3か年の平均)は、全国8番目で依然として多い状況にあります。
引き続き感染予防の各種対策の推進とともに、感染者・患者に対する偏見・差別の解
消を図る必要があります。
ハンセン病は、過去の隔離政策などにより恐ろしい病気とのイメージが定着し、多
くの回復者は、ハンセン病が治る病気となってから後も療養所に入所しており、入所
者の平均年齢は 80 歳を超えて生活しています。これは、高齢化による面もありますが、
ふるさとに帰られたときに、自分自身だけでなく、家族、親戚までもが偏見・差別に
さらされるのではないかといった不安も大きく影響しています。なお、平成 20 年(2009
48
年)6月に「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」が制定され、解決に向けた
施策が推進されています。
今後もHIV感染者・ハンセン病回復者等の人権や尊厳に配慮した対応が一層求め
られます。
⑵
アイヌの人々
国では、平成 20 年(2008 年)6月に国会において「アイヌ民族を先住民とするこ
とを求める決議」が採択されました。これに関する官房長官談話を踏まえ、有識者の
意見を聞きながら、総合的な施策の確立に取り組むため、内閣において、
「アイヌ政策
のあり方に関する有識者会議」を開催しています。
県においては、アイヌの人々の歴史、文化、伝統及び現状に関する県民の認識と理
解を深め、アイヌの人々の人権を尊重する意識を高める取組みが行われています。市
においても県と連携して、正しい理解を深められるよう啓発が求められます。
⑶
性的指向及び性同一性障害
平成 16 年(2004 年)7月に「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」
が施行され、性同一性障害者に関する施策の進展が図られています。
人間の性のあり方に対する理解を深め、同性愛、両性愛、性同一性障害など性的尐
数者への偏見や差別の解消をめざして、広報・啓発活動に努める必要があります。
⑷
ホームレス
ホームレスの自立支援、ホームレスとなることの防止のため、ホームレスの人権に
配慮し、地域社会の理解と協力を得て問題を解決することを目的に、平成 14 年(2002
年)8月に「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」が施行されました。
経済的自立が困難なことや通行人等が暴力をふるうなど多くの人権問題が起きてい
るとの調査結果もあり、ホームレスに対する偏見や差別の解消をめざして、啓発活動
に取り組む必要があります。
Ⅵ
人権施策の方向性と推進体制
人権施策は、
「人間の尊厳」という観点から具体的に展開していくことが大切です。
また、
「地方公共団体は、人権教育・啓発推進法において、国と連携を図りつつ、その地
域の实情を踏まえた施策を推進する責務がある」とされております。市が取組む事業は、
すべての分野で人権と関わり、人権尊重の意識を持って行われることが求められます。
1 人権教育・啓発
⑴ 人権教育・啓発の推進
人権教育・啓発を一層推進するためには、学校、家庭・地域、企業・職場などあら
ゆる場を通じて、人権への理解を深め、人権尊重の意識を高めるよう働きかけること
が必要です。市や地域等で行われる人権教育・啓発の機会に積極的に参加するととも
に、家庭でも話し合い、人権意識を一層高めていくことが大切です。
49
また、半世紀を超える本市の同和教育で培ってきた成果と課題を基に、体験や交流
活動を取り入れた学習形態の工夫などによる研修等が必要です。
⑵
人材育成・資質向上
人権教育を効果的に推進するには、指導者の育成が重要です。教職員、市職員、地
域や企業のリーダー的立場の人たちを対象とした、人権教育を主体的に推進する指導
者育成のための研修が求められます。そして、学校、家庭・地域、企業・職場などあ
らゆる場で指導者を中心に、互いの人権を大切にする地道な取組みが必要です。
⑶
市民、関係団体との連携
より効果的な人権教育・啓発を行うためには、人権のまちづくりを一層進めること
が重要です。共創の考え方に基づき、人権のまちづくり推進に関わる団体が主体的に
人権教育及び人権学習等に取組むとともに、連携して市民への幅広い教育・啓発を進
めることが重要です。
⑷
情報収集・提供
人権教育・啓発にあたっては、これまでの人権問題に関する知識、教育・啓発の手
法等の情報を収集するとともに、その情報を効果的に市民に提供・共有し推進するこ
とが大切です。
人権啓発については、市民意識調査の結果によると、これまで行われてきた人権問
題への意識を深めるための講演会、研修会だけでなく、マスメディア等を通じた啓発
も必要と考えます。
2 人権相談・支援
⑴ 総合相談窓口の整備
市の福祉課、高齢者福祉課、子ども課等に個別の相談窓口が設置され利用されてい
ます。人権課題の解決については、一つの部署だけで解決できない内容もあることか
ら、関係する部署や機関が連携して対応する必要があります。人権問題は、専門性等
も必要であり、総合的に連携できる相談体制が必要と考えます。
⑵
相談窓口等の周知広報
市民が人権問題に直面したときに一人で悩むことなく、各種相談機関、支援制度な
どを利用し、自ら解決していくことができるよう、情報を提供することが求められて
います。
特に必要とする情報をどのように市民に提供すれば有効であるかを検討するととも
に、マスメディアやインターネットを利用した対応の検討が必要です。
人権交流センターは、交流事業や人権相談事業を行っており、人権問題に関する資
料の収集と共に活用方法も考えていくことが大切です。
50
3
「自覚」「自立」のための施策
市では、それぞれの人権課題に応じて、当事者が「自覚」を高め「自立」するための
施策を推進していく必要があります。
例えば、
「障がい者差別をなくしましょう」と呼びかけるだけでは、障がい者の人権は
保障されません。バリアフリー化や、仕事づくりなどの具体的な施策が進められて、は
じめて障がい者の人権は保障されるのです。
また、女性の問題では、女性も男性も仕事と家庭生活、地域活動の調和を図りながら
互いの個性や能力を尊重し、協力し合っていくこと等で、人権が守られます。
同和問題については、前述した施策を一層推進していくことが必要です。
4 施策の総合的な推進
⑴ 人権施策の推進体制
市の各部署において、それぞれの人権課題に対する施策に取組んでいますが、今後
は横断的な連携体制の充实を図り、施策を検討、实施することが必要です。
また、人権に関係する団体等においても地域などの实情に応じて取組んでいますが、
市との一層の連携協力が必要です。
さらに、市においては、企業、地域コミュニティ、教育機関、市民団体・NPO等
の協力を得るとともに、その活動や取組みへの支援が必要です。
⑵
市の体制整備と人材確保
施策の推進については、差別解消に向けて関係団体や当事者の意見をしっかりと受
止め、連携しながら継続的に進める市の姿勢が大切です。
同和問題については、歴史的・文化的・社会的背景を考慮し、一般対策に工夫を加
えた施策を継続的に進めていくことが必要です。
そして、関係機関との連携や協議による取組みを進めるため、市に設置されている
本部員会議の充实が一層求められます。
また、対象地区に設置され、現在人権同和教育・啓発、交流の拠点となっている人
権ふれあいセンター、学習センターの活用と周辺地域住民との連携による教育・啓発、
交流を一層進めることが望まれます。
⑶
人権施策の評価体制
人権施策を着实に、効果的に推進するためには、その实施方法等定期的なチェック
や評価を行うことが必要です。
51
4
須坂市部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護審議会委員名簿
(氏名は五十音順・敬称略)
職 名
会 長
氏
(平成 25 年3月 25 日(答申日)現在)
名
役 職 等
よし
いけ
たけし
吉
池
武
副会長
いのうら
ゆういち
井ノ浦
勇一
委 員
青木 たけ子
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
あおき
こ
いいかわ
のりかず
飯川
憲一
いっしき
一色
おびなた
しゅう じ
修治
のぶお
大日方 延男
かたぎり
のりお
片桐
哲男
こもり
きん ご
小森
金吾
たきざわ
のぶゆき
瀧澤
延行
委 員
たなか
とも え
田中
友江
委 員
ながた
えいいち
永田
栄一
委 員
なりた
いく み
成田
征美
委 員
委 員
はたけやま
のぶしげ
畠山
信重
やまぐち
かつとし
山口
勝利
社会福祉法人須坂市社会福祉協議会
会長
須坂市企業人権同和教育推進会議 会長代理
部落解放同盟須坂市協議会
副会長
財団法人須坂市身体障害者福祉協会
元須坂市役所職員
須坂市民生児童委員協議会
会長
須坂市老人クラブ連合会 副会長
部落解放同盟須坂市協議会
会長
公募委員
人権擁護委員
前須坂市公民分館長会 会長
須坂市連合婦人会
理事
須坂市校長会 幹事
前須坂市区長会 副会長
52
理事長
須坂市部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護審議会委員名簿
(氏名は五十音順・敬称略)
職 名
会 長
副会長
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
(平成 26 年2月現在)
氏
名
役 職 等
うえき
しんいち
よこやま
かつ と
植木 新一
横山 勝登
あおき
こ
青木 たけ子
いいかわ
のりかず
飯川
憲一
いっしき
一色
おびなた
しゅう じ
修治
のぶお
大日方 延男
きたむら
ゆう じ
北村 勇次
こもり
きん ご
小森
金吾
しもざき
まさゆき
たきざわ
のぶゆき
瀧澤
延行
たきざわ
みつお
下崎 正幸
滝澤 光雄
たなか
とも え
田中
友江
つじ
げんかず
とくたけ
ひであき
なりた
いく み
成田
征美
辻
源数
徳武 秀明
社会福祉法人須坂市社会福祉協議会
会長
須坂市企業人権同和教育推進会議 会長代理
部落解放同盟須坂市協議会
副会長
財団法人須坂市身体障害者福祉協会
理事長
元須坂市役所職員
前須坂市民生児童委員協議会
会長
前須坂市区長会 副会長
部落解放同盟須坂市協議会
会長
須坂市校長会 幹事
公募委員
須坂市老人クラブ連合会 副会長
人権擁護委員
前須坂市公民分館長会 会長
連合長野高水地域協議会須高地区連合会 副会長
須坂市連合婦人会
53
理事
5
須坂市部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護に関する条例
平成7年 12 月 18 日条例第 42 号
(目的)
第1条 この条例は、すべての国民に基本的人権の享有を保障し、法の下の平等を定める日
本国憲法の理念にのっとり、部落差別をはじめあらゆる差別をなくし、人権の擁護を図り、
もって人権尊重を基調とする差別のない明るい須坂市の实現に寄与することを目的とする。
(市の責務)
第2条 市は、前条の目的を達成するため、必要な施策を積極的に推進するとともに、行政
のすべての分野で市民の人権意識の高揚に努めるものとする。
(市民の責務)
第3条 市民は、部落差別をはじめあらゆる差別をなくし、人権擁護に関する施策に協力し、
自らも相互に基本的人権を尊重するとともに、人権侵害に関する行為をしてはならない。
(市の施策の推進)
第4条 市は、第1条の目的を達成するために必要な生活環境の改善、社会福祉の充实、産
業の振興、職業の安定、教育・文化の向上等に関する施策の推進に努めるものとする。
(实態調査等の实施)
第5条 市は、前条の施策の推進に反映させるため、必要に応じ实態調査等を行うものとす
る。
(教育及び啓発活動の充实)
第6条 市は、市民の人権意識の高揚を図るため、関係団体との協力関係を強化し、充实し
た人権教育を推進するとともに、あらゆる機会をとらえて啓発活動を行い、人権擁護の社
会づくりに努めるものとする。
(推進体制の充实)
第7条 市は、第4条の施策を効果的に推進するため、国、県及び関係団体との連携を図り、
推進体制の充实に努めるものとする。
(審議会)
第8条 市は、部落差別をはじめあらゆる差別をなくし、人権擁護に関する重要事項につい
て市長の諮問に応じ、調査審議するため、須坂市部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人
権擁護審議会を置く。
(補則)
第9条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附
則
(施行期日)
1
この条例は、平成8年1月1日から施行する。
(須坂市部落解放審議会条例の廃止)
2
須坂市部落解放審議会条例(昭和33年条例第7号)は、廃止する。
(須坂市特別職の職員等の給与に関する条例の一部改正)
3
須坂市特別職の職員等の給与に関する条例(昭和30年条例第8号)の一部を次のように
改正する。
別表第2中「部落解放審議会委員」を「部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護
審議会委員」に改める。
54
6
世界人権宣言(仮訳文)
1948 年(昭和 23 年)12 月 10 日
第3回国際連合総会
前
採択
文
人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認するこ
とは、世界における自由、正義及び平和の基礎であるので、人権の無視及び軽侮が、人類の
良心を踏みにじった野蛮行為をもたらし、言論及び信仰の自由が受けられ、恐怖及び欠乏の
ない世界の到来が、一般の人々の最高の願望として宣言されたので、人間が専制と圧迫とに
対する最後の手段として反逆に訴えることがないようにするためには、法の支配によって人
権保護することが肝要であるので、諸国間の友好関係の発展を促進することが、肝要である
ので、国際連合の諸国民は、国際連合憲章において、基本的人権、人間の尊厳及び価値並び
に男女の同権についての信念を再確認し、かつ、一層大きな自由のうちで社会的進歩と生活
水準の向上とを促進することを決意したので、加盟国は、国際連合と協力して、人権及び基
本的自由の普遍的な尊重及び遵守の促進を達成することを誓約したので、これらの権利及び
自由に対する共通の理解は、この誓約を完全にするためにもっとも重要であるので、よって、
ここに、国際連合総会は、社会の各個人及び各機関が、この世界人権宣言を常に念頭に置き
ながら、加盟国自身の人民の間にも、また、加盟国の管轄下にある地域の人民の間にも、こ
れらの権利と自由との尊重を指導及び教育によって促進すること並びにそれらの普遍的かつ
効果的な承認と尊守とを国内的及び国際的な漸進的措置によって確保することに努力するよ
うに、すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準として、この世界人権宣言を公
布する。
第1条 すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等
である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなけ
ればならない。
第2条
すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若し
くは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも
受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。
2
さらに、個人の属する国又は地域が独立国であると、信託統治地域であると、非自治地
域であると、又は他のなんらかの主権制限の下にあるとを問わず、その国又は地域の政治
上、管轄上又は国際上の地位に基づくいかなる差別もしてはならない。
第3条 すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する。
第4条
何人も、奴隷にされ、又は苦役に服することはない。奴隷制度及び奴隷売買は、い
かなる形においても禁止する。
第5条
何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは屈辱的な取扱若しくは刑罰を受ける
ことはない。
第6条
すべて人は、いかなる場所においても、法の下において、人として認められる権利
を有する。
第7条
すべての人は、法の下において平等であり、また、いかなる差別もなしに法の平等
な保護を受ける権利を有する。すべての人は、この宣言に違反するいかなる差別に対して
も、また、そのような差別をそそのかすいかなる行為に対しても、平等な保護を受ける権
55
利を有する。
第8条
すべて人は、憲法又は法律によって与えられた基本的権利を侵害する行為に対し、
権限を有する国内裁判所による効果的な救済を受ける権利を有する。
第9条 何人も、ほしいままに逮捕、拘禁、又は追放されることはない。
第 10 条
すべて人は、自己の権利及び義務並びに自己に対する刑事責任が決定されるに当
っては、独立の公平な裁判所による公正な公開の審理を受けることについて完全に平等の
権利を有する。
第 11 条
犯罪の訴追を受けた者は、すべて、自己の弁護に必要なすべての保障を与えられ
た公開の裁判において法律に従って有罪の立証があるまでは、無罪と推定される権利を有
する。
2
何人も、实行の時に国内法又は国際法により犯罪を構成しなかった作為又は不作為のた
めに有罪とされることはない。また、犯罪が行われた時に適用される刑罰より重い刑罰を
課せられない。
第 12 条 何人も、自己の私事、家族、家庭若しくは通信に対して、ほしいままに干渉され、
又は名誉及び信用に対して攻撃を受けることはない。人はすべて、このような干渉又は攻
撃に対して法の保護を受ける権利を有する。
第 13 条 すべて人は、各国の境界内において自由に移転及び居住する権利を有する。
2
すべて人は、自国その他いずれの国をも立ち去り、及び自国に帰る権利を有する。
第 14 条
すべて人は、迫害を免れるため、他国に避難することを求め、かつ、避難する権
利を有する。
2
この権利は、もっぱら非政治犯罪又は国際連合の目的及び原則に反する行為を原因とす
る訴追の場合には、援用することはできない。
第 15 条 すべて人は、国籍をもつ権利を有する。
2
何人も、ほしいままにその国籍を奪われ、又はその国籍を変更する権利を否認されるこ
とはない。
第 16 条
成年の男女は、人種、国籍又は宗教によるいかなる制限をも受けることなく、婚
姻し、かつ家庭をつくる権利を有する。成年の男女は、婚姻中及びその解消に際し、婚姻
に関し平等の権利を有する。
2
婚姻は、両当事者の自由かつ完全な合意によってのみ成立する。
3
家庭は、社会の自然かつ基礎的な集団単位であって、社会及び国の保護を受ける権利を
有する。
第 17 条 すべて人は、単独で又は他の者と共同して財産を所有する権利を有する。
2
何人も、ほしいままに自己の財産を奪われることはない。
第 18 条
すべて人は、思想、良心及び宗教の自由に対する権利を有する。この権利は、宗
教又は信念を変更する自由並びに単独で又は他の者と共同して、公的に又は私的に、布教、
行事、礼拝及び儀式によって宗教又は信念を表明する自由を含む。
第 19 条
すべて人は、意見及び表現の自由に対する権利を有する。この権利は、干渉を受
けることなく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否
とにかかわりなく、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む。
第 20 条 すべての人は、平和的集会及び結社の自由に対する権利を有する。
56
2
何人も、結社に属することを強制されない。
第 21 条
すべて人は、直接に又は自由に選出された代表者を通じて、自国の政治に参与す
る権利を有する。
2
すべて人は、自国においてひとしく公務につく権利を有する。
3
人民の意思は、統治の権力を基礎とならなければならない。この意思は、定期のかつ真
正な選挙によって表明されなければならない。この選挙は、平等の普通選挙によるもので
なければならず、また、秘密投票又はこれと同等の自由が保障される投票手続によって行
われなければならない。
第 22 条
すべて人は、社会の一員として、社会保障を受ける権利を有し、かつ、国家的努
力及び国際的協力により、また、各国の組織及び資源に応じて、自己の尊厳と自己の人格
の自由な発展とに欠くことのできない経済的、社会的及び文化的権利を实現する権利を有
する。
第 23 条
すべて人は、勤労し、職業を自由に選択し、公正かつ有利な勤労条件を確保し、
及び失業に対する保護を受ける権利を有する。
2
すべて人は、いかなる差別をも受けることなく、同等の勤労に対し、同等の報酬を受け
る権利を有する。
3
勤労する者は、すべて、自己及び家族に対して人間の尊厳にふさわしい生活を保障する
公正かつ有利な報酬を受け、かつ、必要な場合には、他の社会的保護手段によって補充を
受けることができる。
4
すべて人は、自己の利益を保護するために労働組合を組織し、及びこれに参加する権利
を有する。
第 24 条
すべて人は、労働時間の合理的な制限及び定期的な有給休暇を含む休息及び余暇
をもつ権利を有する。
第 25 条
すべて人は、衣食住、医療及び必要な社会的施設等により、自己及び家族の健康
及び福祉に十分な生活水準を保持する権利並びに失業、疾病、心身障害、配偶者の死亡、
老齢その他不可抗力による生活不能の場合は、保障を受ける権利を有する。
2
母と子とは、特別の保護及び援助を受ける権利を有する。すべての児童は、嫡出である
と否とを問わず、同じ社会的保護を受ける。
第 26 条
すべて人は、教育を受ける権利を有する。教育は、尐なくとも初等の及び基礎的
の段階においては、無償でなければならない。初等教育は、義務的でなければならない。
技術教育及び職業教育は、一般に利用できるものでなければならず、また、高等教育は、
能力に応じ、すべての者にひとしく開放されていなければならない。
2
教育は、人格の完全な発展並びに人権及び基本的自由の尊重の強化を目的としなければ
ならない。教育は、すべての国又は人種的若しくは宗教的集団の相互間の理解、寛容及び
友好関係を増進し、かつ、平和の維持のため、国際連合の活動を促進するものでなければ
ならない。
3
親は、子に与える教育の種類を選択する優先的権利を有する。
第 27 条
すべて人は、自由に社会の文化生活に参加し、芸術を鑑賞し、及び科学の進歩と
その恩恵とにあずかる権利を有する。
2
すべて人は、その創作した科学的、文学的又は美術的作品から生ずる精神的及び物質的
57
利益を保護される権利を有する。
第 28 条
すべて人は、この宣言に掲げる権利及び自由が完全に实現される社会的及び国際
的秩序に対する権利を有する。
第 29 条
すべて人は、その人格の自由かつ完全な発展がその中にあってのみ可能である社
会に対して義務を負う。
2
すべて人は、自己の権利及び自由を行使するに当っては、他人の権利及び自由の正当な
承認及び尊重を保障すること並びに民主的社会における道徳、公の秩序及び一般の福祉の
正当な要求を満たすことをもっぱら目的として法律によって定められた制限にのみ服する。
3
これらの権利及び自由は、いかなる場合にも、国際連合の目的及び原則に反して行使し
てはならない。
第 30 条
この宣言のいかなる規定も、いずれかの国、集団又は個人に対して、この宣言に
掲げる権利及び自由の破壊を目的とする活動に従事し、又はそのような目的を有する行為
を行う権利を認めるものと解釈してはならない。
須
坂
支
援
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中
学
部
1
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さ ぞ
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常盤中学校1年
な つ み
竹前奈津美さん
58
7
日本国憲法(抄)
昭和 21 年 11 月3日公布
昭和 22 年5月3日施行
前
文
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫
のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保
し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに
主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信
託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、
その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理
に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚する
のであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しよ
うと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去し
ようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の
国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認す
る。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであ
つて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持
し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓
ふ。
第3章 国民の権利及び義務
第 10 条 日本国民たる要件は、法律でこれを定める。
第 11 条
国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する
基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
第 12 条
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを
保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共
の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
第 13 条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の
権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必
要とする。
第 14 条
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地
により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2
華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3
栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれ
を有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
第 15 条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2
すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
3
公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
59
4
すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関
し公的にも私的にも責任を問はれない。
第 16 条
何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正
その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいか
なる差別待遇も受けない。
第 17 条
何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところに
より、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
第 18 条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、
その意に反する苦役に服させられない。
第 19 条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
第 20 条
信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特
権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2
何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3
国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
第 21 条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2
検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
第 22 条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2
何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
第 23 条 学問の自由は、これを保障する。
第 24 条
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本
として、相互の協力により、維持されなければならない。
2
配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の
事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければ
ならない。
第 25 条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に
努めなければならない。
第 26 条
すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を
受ける権利を有する。
2
すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる
義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
第 27 条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
2
賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
3
児童は、これを酷使してはならない。
第 28 条
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障
する。
第 29 条 財産権は、これを侵してはならない。
2
財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3
私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
第 30 条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
60
第 31 条
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又
はその他の刑罰を科せられない。
第 32 条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
第 33 条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、
且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
第 34 条
何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられ
なければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要
求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなけ
ればならない。
第 35 条
何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けること
のない権利は、第 33 条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する
場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
2
捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。
第 36 条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
第 37 条
すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける
権利を有する。
2
刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己
のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
3
刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告
人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
第 38 条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
2
強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、
これを証拠とすることができない。
3
何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑
罰を科せられない。
第 39 条
何人も、实行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑
事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。
第 40 条
何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるとこ
ろにより、国にその補償を求めることができる。
第 10 章
最高法規
第 97 条
この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努
力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、
侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
61
8
同和対策審議会答申(抜粋)
昭和40年8月11日
内閣総理大臣 佐藤栄作 殿
同和対策審議会会長 木村忠二郎
昭和36年12月7日総審第194号をもって、諮問のあった「同和地区に関する社会的
及び経済的諸問題を解決するための基本的方策」について審議した結果、別紙のとおり答申
する。
◆前文
昭和36年12月7日内閣総理大臣は本審議会に対して「同和地区に関する社会的乃び経
済的諸問題を解決するための基本的方策」について諮問された。いうまでもなく同和問題は
人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障され
た基本的人権にかかわる課題である。したがって、審議会はこれを未解決に放置することは
断じて許されないことであり、その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題であ
るとの認識に立って対策の探求に努力した。その間、審議会は問題の重要性にかんがみ存置
期間を二度にわたって延長し、同和地区の实情把握のために全国及び特定の地区の实態の調
査も行なった。その結果は附属報告書のとおりきわめて憂慮すべき状態にあり、関係地区住
民の経済状態、生活環境等がすみやかに改善され平等なる日本国民としての生活が確保され
ることの重要性を改めて認識したのである。
したがって、審議もきわめて慎重であり、総会を開くこと42回、部会121回、小委員
会21回におよんだ。
しかしながら、現在の段階で対策のすべてにわたって具体的に答申することは困難である。
しかし、問題の解決は焦眉の急を要するものであり、いたずらに日を重ねることは許されな
い状態にあるので、以下の結論をもってその諮問に答えることとした。
時あたかも政府は社会開発の基本方針をうち出し、高度経済成長に伴なう社会経済の大き
な変動がみられようとしている。これと同時に人間尊重の精神が強調されて、政治、行政の
面で新らしく施策が推進されようとする状態にある。まさに同和問題を解決すべき絶好の機
会というべきである。
政府においては、本答申の精神を尊重し、有効適切な施策を实施して、問題を抜本的に解
決し、恥ずべき社会悪を払拭して、あるべからざる差別の長き歴史の終始符が一日もすみや
かに实現されるよう万全の処置をとられることを要望し期待するものである。
62
9
人権教育及び人権啓発の推進に関する法律
平成 12 年 12 月6日法律第 147 号
(目的)
第1条 この法律は、人権の尊重の緊要性に関する認識の高まり、社会的身分、門地、人種、
信条又は性別による不当な差別の発生等の人権侵害の現状その他人権の擁護に関する内外
の情勢にかんがみ、人権教育及び人権啓発に関する施策の推進について、国、地方公共団
体及び国民の責務を明らかにするとともに、必要な措置を定め、もって人権の擁護に資す
ることを目的とする。
(定義)
第2条 この法律において、人権教育とは、人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動を
いい、人権啓発とは、国民の間に人権尊重の理念を普及させ、及びそれに対する国民の理
解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動(人権教育を除く。)をいう。
(基本理念)
第3条 国及び地方公共団体が行う人権教育及び人権啓発は、学校、地域、家庭、職域その
他の様々な場を通じて、国民が、その発達段階に応じ、人権尊重の理念に対する理解を深
め、これを体得することができるよう、多様な機会の提供、効果的な手法の採用、国民の
自主性の尊重及び实施機関の中立性の確保を旨として行われなければならない。
(国の責務)
第4条 国は、前条に定める人権教育及び人権啓発の基本理念(以下「基本理念」という。)
にのっとり、人権教育及び人権啓発に関する施策を策定し、及び实施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第5条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の实情を
踏まえ、人権教育及び人権啓発に関する施策を策定し、及び实施する責務を有する。
(国民の責務)
第6条 国民は、人権尊重の精神の涵養に努めるとともに、人権が尊重される社会の实現に
寄与するよう努めなければならない。
(基本計画の策定)
第7条
国は、人権教育及び人権啓発に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、
人権教育及び人権啓発に関する基本的な計画を策定しなければならない。
(年次報告)
第8条 政府は、毎年、国会に、政府が講じた人権教育及び人権啓発に関する施策について
の報告を提出しなければならない。
(財政上の措置)
第9条 国は、人権教育及び人権啓発に関する施策を实施する地方公共団体に対し、当該施
策に係る事業の委託その他の方法により、財政上の措置を講ずることができる。
附 則
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第八条の規定は、この法律の施行の
日の属する年度の翌年度以後に講じる人権教育及び人権啓発に関する施策について適用す
る。
(見直し)
第2条 この法律は、この法律の施行の日から三年以内に、人権擁護施策推進法(平成8年
法律第 120 号)第三条第二項に基づく人権が侵害された場合における被害者の救済に関す
る施策の充实に関する基本的事項についての人権擁護推進審議会の調査審議の結果をも踏
まえ、見直しを行うものとする。
63
10
わが国が締結している主な人権関係条約等
名
称
発効年月日
締結年月日
1966.12.16
1976.1. 3
1979. 6.21
1966.12.16
1976.3.23
1979. 6.21
1965.12.21
1969.1. 4
1995.12.15
1979.12.18
1981. 9. 3
1985. 6.25
1953. 3.31
1954. 7. 7
1955. 7.13
1984.12.10
1987. 6.26
1999. 6.29
1989.11.20
1990. 9. 2
1994. 4.22
2000. 5.25
2002. 2.12
2004. 8. 2
2000. 5.25
2002. 1.18
2005. 1.24
難民の地位に関する条約
1951. 7.28
1954. 4.22
1981.10. 3
難民の地位に関する議定書
1967. 1.31
1967.10. 4
1982. 1. 1
1949.12. 2
1951. 7.25
1958. 5. 1
2006.12.13
2008. 5. 3
未締結
2007. 9.28
署名
2006.12.20
2010.12.23
2009. 7.23
世界人権宣言
経済的、社会的及び文化的権利に関す
る国際規約(社会権規約)
市民的及び政治的権利に関する国際規
約(自由権規約)
あらゆる形態の人種差別の撤廃に関す
る国際条約
女子に対するあらゆる形態の差別の撤
廃に関する条約
婦人の参政権に関する条約
採択年月日
1948.12.10
拷問及びその他の残虐な、非人道的な
又は品位を傷つける取扱い又は、刑罰
に関する条約
児童の権利に関する条約
武力紛争における児童の関与に関する
児童の権利に関する条約の選択議定書
児童の売買、児童買春及び児童ポルノ
に関する児童の権利に関する条約の選
択議定書
人身売買及び他人の売春からの搾取の
禁止に関する条約
障害者の権利に関する条約
強制失踪からのすべての者の保護に関
する国際条約
64
名
称
概
要
人権及び自由を尊重し確保するために、「すべての人民と
世界人権宣言
すべての国とが達成すべき共通の基準」を宣言したもので
あり、人権の歴史において重要な地位を占めている。
世界人権宣言の内容を基礎として、これを条約化したもの
経済的、社会的及び文化的権利 であり、人権諸条約の中で最も基本的かつ包括的なもの。
に関する国際規約(社会権規約) 社会権規約を国際人権 A 規約、自由権規約を国際人権 B 規
約と呼ぶこともある。
市民的及び政治的権利に関する
国際規約(自由権規約)
あらゆる形態の人種差別の撤廃
に関する国際条約
国際人権規約の一つ。身体の自由と安全、移動の自由、思
想・良心の自由、差別の禁止、法の下の平等などの市民的・
政治的権利(自由権)を保障している。
人権及び基本的自由の平等を確保するため、あらゆる形態
の人種差別を撤廃する政策等を、すべての適当な方法によ
り遅滞なくとることなどを主な内容としている。
男女の完全な平等の達成に貢献することを目的として、女
子に対するあらゆる差別を撤廃することを基本理念とし
女子に対するあらゆる形態の差 ている。具体的には、「女子に対する差別」を定義し、締
別の撤廃に関する条約
約国に対し、政治的及び公的活動、並びに経済的及び社会
的活動における差別の撤廃のために適当な措置をとるこ
とを求めている。
女性が、あらゆる選挙において、なんらの差別も受けるこ
婦人の参政権に関する条約
となく、男性と同等の条件で、投票する権利を有すること
を定めている。
「拷問」を公務員等が情報収集等のために身体的、精神的
拷問及びその他の残虐な、非人
道的な又は品位を傷つける取扱
い又は、刑罰に関する条約
な重い苦痛を故意に与える行為と定義し、各締約国が「拷
問」を刑法上の犯罪とすること、そのような犯罪を引き渡
し犯罪とすること、残虐な、非人道的な又は品位を傷つけ
る取り扱い等が公務員等により行われることを防止する
ことなどについて定めている。
18 歳未満のすべての者を児童と定義し、世界の多くの児
児童の権利に関する条約
童が、今日なお、飢え、貧困等の困難な状況に置かれてい
る状況にかんがみ、世界的な観点から児童の人権の尊重、
保護の促進を目指している。
武力紛争における児童の関与に
関する児童の権利に関する条約
の選択議定書
武力紛争における関与から児童を一層保護するため、18
歳未満の自国の軍隊の構成員が敵対行為に直接参加しな
いこと、自国の軍隊に志願する者の採用についての最低年
齢を引き上げることなどについて定めている。
65
名
称
概
要
児童の売買、児童買春及び児童 性的搾取などから児童を保護するため、児童の売買、児童
ポルノに関する児童の権利に関 買春及び児童ポルノに係る一定の行為の犯罪化、裁判権の
する条約の選択議定書
設定、犯罪人引渡し、国際協力などについて定めている。
難民の人権保障と難民問題解決のための国際協力を効果
難民の地位に関する条約
的にするため定められた国際条約で、「難民」の定義を定
め、それに該当する者に対して、国内制度上の諸権利と保
護を与えるべき旨を規定している。
難民の地位に関する条約が、1951 年 1 月 1 日前に生じた
事象の結果として難民となった者のみに対して適用され
難民の地位に関する議定書
るという制約を設けていたため、条約が採択された後新た
な事象により生じた難民が条約の適用を受けられるよう
規定している。
売春及び売春を目的とした人身売買は、人としての尊厳及
人身売買及び他人の売春からの び価値に反するものであり、かつ、個人、家族及び社会の
搾取の禁止に関する条約
福祉をそこなうため、売春目的の人身売買や売春からの搾
取などの禁止と処罰等を規定している。
障害者の固有の尊厳、個人の自律及び自立、差別されない
こと、社会への参加等を一般原則として規定し、障害者に
障害者の権利に関する条約
保障されるべき個々の人権及び基本的自由について定め
た上で、この人権及び基本的自由を確保し促進するための
措置を締約国がとること等を定めている。
国家機関や国の許可を得た個人又は集団が逮捕・拘禁・拉
強制失踪からのすべての者の保 致などで個人の自由をはく奪する行為を強制失踪として
護に関する国際条約
禁止し、組織的で広範な強制的失踪は、人道に対する罪に
相当すると規定している。
66
11
人権関係の主な国内法(施行日順)
施行年月日
法
1947. 5. 3
日本国憲法
1948. 1. 1
児童福祉法
1950. 4. 1
身体障害者福祉法
1951. 5. 5
児童憲章
1965. 8.11
同和対策審議会答申
1969. 7.10
同和対策事業特別措置法
1970. 5.21
心身障害者対策基本法
1982. 3.31
地域改善対策特別措置法
1986. 4. 1
律
名
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
(男女雇用機会均等法)
1987. 4. 1
地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律
1989. 2.17
後天性免疫不全症候群の予防に関する法律(エイズ予防法)
1993.12. 3
障害者基本法(
「心身障害者対策基本法」を「障害者基本法」に改称)
1994. 9.28
ハートビル法(高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築
の促進に関する法律)
1995.12.16
高齢社会対策基本法
1996. 4. 1
らい予防法の廃止に関する法律
1997. 3.25
人権擁護施策推進法(2002.3.25 失効)
1997. 7. 1
アイヌ文化振興法(アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の
普及及び啓発に関する法律)
1997. 7. 4
「人権教育のための国連 10 年」国内行動計画
1999. 4. 1
精神薄弱の用語の整理のための関係法律の一部を改正する法律
1999. 6.23
男女共同参画社会基本法
1999.11. 1
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
2000. 4. 1
介護保険法
2000. 4. 1
外国人登録法改正( 指紋押捺全廃)
2000.11. 1
2000.11.15
犯罪被害者保護法(犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に附随する措
置に関する法律)
交通バリアフリー法(高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動
の円滑化の促進に関する法律)
2000.11.20
児童虐待の防止等に関する法律
2000.11.24
ストーカー行為等の規制等に関する法律
2000.12. 6
人権教育及び人権啓発の推進に関する法律
2001.10.13
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律
2002. 3.15
人権教育・啓発に関する基本計画
2002. 5.27
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関す
る法律
67
施行年月日
法
律
名
2002. 8. 7
ホームレス自立支援法(ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法)
2002.10. 1
身体障害者補助犬法
2003. 1. 1
拉致被害者支援法(北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する
法律)
2003. 5.30
個人情報の保護に関する法律
2003. 7.16
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律
2003. 9.13
出会い系サイト被害防止に関する法律
2004. 6. 4
障害者基本法改正(差別禁止理念明文化 2007.4.1 施行)
2004. 7.16
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律
2004.12.10
発達障害者支援法
2005. 4. 1
犯罪被害者等基本法
2006. 4. 1
障害者自立支援法
2006. 4. 1
高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律
2006. 4. 1
公益通報者保護法
2006.10.28
自殺対策基本法
2007. 6. 1
探偵業の業務の適正化に関する法律
2007. 7. 6
2008. 6. 6
2009. 1. 1
住宅セーフティネット法(住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進
に関する法律)
アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議
国籍法改正(出生後に日本人に認知されていれば、父母が結婚していない場
合にも届出により日本国籍を取得可能に)
2009. 4. 1
ハンセン病問題の解決の促進に関する法律
2012.10. 1
障害者虐待の防止、障害者の擁護者に対する支援等に関する法律
2013. 4. 1
障害者自立支援法を障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総
合的に支援するための法律)に改正施行
68
須坂市部落差別をはじめあらゆる差別撤廃・人権擁護に関する条例に基づき、「部落差別撤廃・人権擁護に関する総
合計画(平成12年2月策定)」及び「人権教育のための国連10年須坂市行動計画(平成13年3月策定)」の見直しの資
料とするため、人権問題に関する市民の意識を調査しました。
【調査概要】
1 調査対象…市内に住む20歳以上の市民4,000人(無作為抽出)
2 回答者数…1,827人
3 回 答 率…45.7%
4 調査項目…31項目
5 調査方法…各町役員による配布、郵送による回収
6 調査時期…平成23年10月
【報告書の表記】
1 数値については、すべてパーセントです。須坂市の傾向をつかむため、他の自治体の調査を参考としました。
2 【県】の表記は、「平成20年人権に関する県民意識調査」です。
3 【高山村】の表記は、「平成21年人権に関する住民意識調査」です。
4 【国】の表記は、「平成19年人権問題に関する世論調査(内閣府实施)」です。
5 【長野市】の表記は、「平成23年人権とくらし意識調査」です。
無回答
1.5
1 年代別抽出数は同率である。
2 60歳代以上の人が過半数を占
め、20歳代の人が極端に尐ない。
20歳代
5.6
30歳代
13.9
70歳以上
25.1
40歳代
14.0
60歳代
24.5
無回答
2.2
女 性
53.7
男 性
44.1
50歳代
15.4
1 回答率
60歳代以上の回答率が50%を超えているのは、町の役員を経験し、市民大集会をはじめ各種研修会、町別人権同和
問題学習会へ参加したことにより、関心が高まったと考えられる。一方、20歳代の回答率が極端に低かったことは、
県外の学校へ進学して不在であったり、仕事や家庭生活、趣味等を優先し人権同和問題を身近に感じることが尐なか
ったりするためではないかと思われる。
2 人権同和問題への関心について
人権問題に関心がある人は70%を超えている。関心がある人権問題は、障がい者、高齢者、同和問題、子ども、女
性の順に多い。特に障がい者、高齢者の問題が高いのは、60歳代以上の回答者が多かったことによると思われる。
また、町別人権同和問題学習会へ出席した人の78.1%が「役員だから」と答え、「関心をもって進んで参加した」
という人は21.2%にとどまっている。同和問題は、必ず年1回学習しているため関心が高く県とほぼ同じである。それ
以外の人権問題については、より一層の教育と啓発が必要である。
参加しない理由として「仕事や家庭が忙しくて出席できない」と答えた人が31.8%いる。また、「自分には関係な
い問題」と答えた人が10%で、「自分は差別したことはなく理解している」と答えた人を合わせると38.5%にのぼる。
「人権尊重は、心で理解し行動で表すもの」という視点からも人権意識がより高まるような啓発活動が求められる。
3 人権侵害について
過去10年間で「人権が侵害されたことがある」と答えた人が、平成11年調査に比べ 7%増えている。学校や職場で
の人権侵害、子ども、障がい者、高齢者、女性、同和問題の人権侵害が増えたことは、今回家族を含めた調査である
こと、この10年間に人権意識が高まってきたこと等によるものと思われる。
4 同和問題について
結婚問題についての親の考えとして、「賛成」「子どもの意志尊重」「親として反対するが意志が強ければしかた
がない」を合わせると94%であり、平成11年調査の79.5%に比べ14%上昇し、差別解消に向けての意識の向上がみら
れる。一方「親としてはじめは反対」「家族や親戚が反対なら認めない」「絶対に認めない」を合わせると25.4%で、
平成11年調査の31.6%に比べ6.2%の減尐にとどまっている。 このことから、結婚差別の意識がまだ根強くあるもの
と思われる。
5 人権啓発について
講演・研修、尐人数での研修、リーダー養成及び研修など、現在行われている研修及び形態が支持されている。
学習者が参加してよかったと感じられ、自ら参加したくなるような内容に工夫していく必要がある。
69
80.0
須坂市
70.0
県
60.0
無回答
1.6
関心がない
5.7
50.0
40.0
30.0
20.0
あまり
関心がない
21.0
10.0
関心がある
29.7
0.0
同
和
問
題
女
性
子
ど
も
高
齢
者
障
が
い
者
外
国
人
H
I
V
感
染
者
等
少し関心が
ある
42.0
関心がない
1.8
無回答
1.0
●出席しない理由
1.差別したことがない
理解している・・・・28.5%
2.関係ない問題・・・10.0%
3.学校や職場で
学習した・・・・・・・20.6%
4.仕事や家庭が
忙しい・・・・・・・・・31.8%
(複数回答)
あまり
関心がない
12.2
少し関心が
ある
38.8
関心がある
46.2
ハ
ン
セ
ン
病
刑
を
終
え
た
人
ア
イ
ヌ
の
人
々
犯
罪
被
害
者
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
北
朝
鮮
拉
致
被
害
者
ホ
ー
ム
レ
ス
性
的
指
向
性
同
一
性
障
害
人
身
取
引
中
国
帰
国
者
死
刑
制
度
無回答
1.8
ない
43.1
●出席理由
1.役員なので・・・・・・78.3%
2.誘われたので・・・・18.6%
3.関心があったので・21.3%
(複数回答)
ある
55.2
①人権問題への関心については、「関心がある」「尐し関心がある」を合わせると71.7%で、県は85.0%である。
②関心がある人権問題は、障がい者、高齢者、同和問題、子ども、女性の順に多い。
③人権同和問題学習会には、過去10年間で半数の人が出席している。毎年のべ約4,000人が学習会に参加している。
③学習会に出席しない理由「自分は差別をしたことがないから、自分には関係ない問題、仕事や家庭が忙しい」について、もう尐し
深く考えたい。
70.0
90
平成11年調査
80
平成23年調査
平成11年調査
平成23年調査
60.0
50.0
無回答
2.0
70
60
50
ある
20.0
40
20.0
10.0
ない
63.8
ない
78.0
10
30.0
ある
35.2
30
20
40.0
無回答
1.0
0.0
悪
口
う
わ
さ
0
ある
ない
無回答
60
平成11年調査
平成23年調査
50
仲
間
は
ず
し
名
誉
毀
損
差
別
待
遇
プ
ラ
イ
バ
シ
ー
60.0
セ
ク
ハ
ラ
暴
力
脅
迫
ス
ト
ー
カ
ー
そ
の
他
平成11年調査
平成23年調査
50.0
40.0
40
30.0
30
20.0
20
10.0
10
0.0
同
和
問
題
0
地域社会
職場
学校
家庭内
その他
女
性
子
ど
も
高
齢
者
障
が
い
者
外
国
人
感
H
染
I
者
V
等
ハ
ン
セ
ン
病
刑
を
終
え
た
人
ア
イ
ヌ
の
人
々
犯
罪
被
害
者
イ
ネ
ン
ッ
タ
ト
ー
そ
の
他
①人権が侵害されたと思ったことがある人の割合は、平成11年調査(今までの自分)より、今回(過去10年間の自分や家族)は7%
増えている。また、県は過去すべてで35.2%で、須坂市は過去10年間で20.0%である。
②人権侵害の種類は、悪口うわさ、名誉毀損、仲間はずしの割合が高い。
③人権侵害があった場所は、地域社会、職場、学校の順に多い。
④人権侵害の問題は、女性、子ども、障がい者、高齢者、同和問題の順で多い。
70
90.0
80.0
70.0
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
(
に高須
あ山坂
る村市
)
ほ (
に
か 高須
な
に 山坂
い
あ 村市
が
る )
ど
こ
に
も
な
い
わ
か
ら
な
い
無
回
答
90.0
80.0
70.0
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
結
婚
問
題
就
差 差
落
職 言別 別
書
・ 動的 的
き
職
な な
場
35.0
須坂市
30.0
県
25.0
身
イ そ
ネ
元
ン の
ッ
調
タ 他
ト
査
ー
な
い
わ
か
ら
な
い
無
回
答
就
職
結
婚
住
居
及
び
移
転
機
近
教
会
所
育 や
均
づ
の 生
等
き
活
あ
い
そ
の
他
70.0
20.0
平成11年調査
60.0
15.0
平成23年調査
50.0
10.0
40.0
5.0
30.0
0.0
自
と分
しの
て問
題
誰
か
が
解
決
関自
係分
なに
いは
な
自
く
然
な
に
る
な
く
な
ら
な
い
考
がえ
なた
いこ
と
20.0
無
回
答
10.0
0.0
賛
成
・
協
力
意
思
尊
重
無回答
1.5
反対があれば
結婚しない
17.5
意志を貫く
31.9
家族親戚を
説得後
意志を貫く
49.1
親
仕は
方反
な対
いだ
が
な家
ら族
認親
め戚
な反
い対
絶
対
認
め
な
い
無
回
答
60.0
須坂市
県
国
50.0
40.0
30.0
20.0
①部落差別があると答えた人は、須坂
市が63.5%で、高山村が58.5%であ
る。資料として掲載されていないが、
「わからない」は、20歳代~40歳代
では35%を超えていた。
②「結婚問題で家族、親戚、友人、知
人等から反対される」は、平成11年
調査の85%から60.2%へ減尐してい
る。
③「自分の問題として解決に努力すべ
きだと思う」は30.2%、「そっとし
ておけば自然になくなる」は24.9%、
「どのようにしても差別はなくなら
ないと思う」は20.6%である。
④「賛成し、協力する」「子どもの意
志を尊重する。親が口出しすべきこ
とではない」を合わせると74%で、
平成11年調査の56.8%に比べ大きく
上回っている。更に「親としては反
対するが、子どもの意志が強ければ
しかたがない」を合わせると95%で、
平成11年調査の79.5%に比べ増えて
いる。
⑤「自分の意志を貫いて結婚する」
「家族や親戚の説得に全力を傾けた
のちに、自分の意志を貫いて結婚す
る」を合わせると81%である。
10.0
0.0
固
分
定
担
的
意
役
識
割
差職
別場
待で
遇の
へ夫
のか
暴ら
力妻
職
・
場
ハ
の
ラ
セ
ス
ク
メ
シ
ン
ャ
ト
ル
売
春
・
買
春
・女
ポ性
スの
タ水
ー着
等姿
女
の
性
雑
の
誌
ヌ
・
ー
新
ド
聞
等
ア
ビ
ダ
デ
ル
オ
ト
等
・
女
風
性
俗
の
営
働
業
く
婦
女
人
性
、
へ
未
の
亡
言
人
葉
等
無
回
答
暴
育力
児、
放虐
棄待
、
暴子
力ど
、も
いに
じよ
める
パ
ソ
でコ
のン
い・
じ携
め帯
電
話
児
児
童
童
ポ
買
ル
春
ノ
、
等
大
を人
強の
制意
思
教
暴
師
力
の
や
言
体
葉
罰
の
プ
ラ
を
イ
無
バ
視
シ
ー
そ
の
他
な
い
分
か
ら
な
い
無
回
答
80.0
70.0
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
71
70.0
須坂市
県
国
70.0
60.0
須坂市
県
国
60.0
50.0
50.0
40.0
40.0
30.0
30.0
20.0
20.0
10.0
10.0
0.0
0.0
経
が済
困的
難自
立
働
が
け
少
る
な
機
い
会
被悪
家
病
で
害徳 虐庭
院
の
に商 待で
・
虐
あ法
の
施
待
うの
設
じ
ゃ
ま
者
扱
い
意
さ
見
れ
が
な
尊
い
重
理認
独
解知 孤居
不症 独老
足の 死人
の
そ
の
他
な
い
分
か
ら
な
い
無
回
答
結
婚
問
題
就
で
職
の
・
待
職
遇
場
差
別
的
言
動
悪
徳
商
法
入
居
拒
否
地
に
域
参
活
加
動
避
け
ら
れ
る
障
理が
解い
不者
足へ
の
そ
の
他
な
い
分
か
ら
な
い
無
回
答
①女性の人権問題では、全体的に、固定的役割分担意識、職場での差別待遇、夫から妻への暴力、職場のセクシャルハラスメント、
売春・買春の項目が高い。須坂市では、固定的役割分担意識が最も高い。
②子どもの人権問題では、「保護者による子どもへの暴力や虐待、育児の放棄などがある」「子どもによる暴力、いじめ、無視など
の仲間はずしがある」をあげた人が多い。
③高齢者の人権問題では、「悪徳商法の被害にあうことが多い」「認知症に関する理解が不足している」をあげた人が多い。
④障がい者の人権問題では、「障がい者に対する理解が足りない」をあげた人が最も多い。
どうしたらよい
かわからない
11.0
無回答
2.0
黙ってが
まんする
9.5
無回答
3.4
その他
2.1
法務局又は
人権擁護委員
10.1
相手に
抗議する
21.5
その他
1.8
須坂市役所
女性センター 6.0
など県の機関
5.3
①「相手に抗議する」「誰
かに相談する」を合わせ
ると75.7%。「黙ってが
まんする」「どうしたら
よいかわからない」は、
それぞれ約10%である。
②「身近な人」をあげた人
が最も多い。
身近な人
59.8
弁護士・司法
書士
8.0
警察署
5.3
誰かに相談する
54.2
60.0
50.0
45.0
50.0
どんな
内容か
知って
いる
18.7
無回答
2.7
知らな
かった
27.8
40.0
35.0
40.0
30.0
25.0
30.0
20.0
15.0
20.0
10.0
内容は知ら
ないが名称
は聞いたこ
とがある
50.8
5.0
10.0
0.0
0.0
学
町
問
校
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答
①部落解放・人権尊重都市宣言については、「どんな内容か知っている」「内容は知らないが名称は聞いたことがある」を合わせると
69.5%である。
②人権同和教育を受けた機会については、「学校」「町別人権同和問題学習会」をあげた人は、50%を超えている。資料には掲載され
ていないが、「学校」をあげた人は、20~30歳代で90%を超えているが、60歳代以上は、27%以下であった。また、「町別人権同和
問題学習会」をあげた人は20~30歳代で15%であるが、60歳代以上は70%を超えていた。
③効果的な啓発広報活動については、「講演会・研修会」が43.6%と最も高く、「各種団体、各町等で尐人数での研修会」「地域指導
者や各種団体のリーダーの養成及び研修」「自由な意見交換ができる会合」が多い。
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平成 26(2014)年 3 月発行
編集・発行:須坂市市民共創部人権同和政策課
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